日本のモノレール
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本項では日本のモノレールについて詳述する。
概要[編集]
日本においてモノレールは鉄道に分類され、法令上、鉄道事業法に基づく「鉄道(懸垂式鉄道/跨座式鉄道)」と軌道法に基づく「軌道(懸垂式モノレール/跨座式モノレール)」が存在する。ただし、これは建設時期により適用された法令が異なるためでありシステム上特段の差はない。初期に開通した路線(湘南モノレールまで)は鉄道事業法(旧地方鉄道法)が適用された。北九州モノレール以降に開通した路線は、いわゆる都市モノレールとして道路整備と一体化して建設された事から、「路面電車の高架化」という解釈により軌道法が適用されている。ただし、特定施設内の移動手段の性格が強いディズニーリゾートラインについては鉄道事業法が適用されている。
2009年現在では、モノレールには新交通システムのような鉄道と軌道の混在路線はない。
日本のモノレール路線[編集]
事業者名 | 所在地 | 形式 | 路線名 | 路線延長 |
---|---|---|---|---|
東京モノレール | 東京都 | 跨座式:アルヴェーグ式 | 羽田空港線 | 17.8 km |
東京都交通局 | 東京都 | 懸垂式:上野式 | 上野懸垂線 | 0.3 km |
多摩都市モノレール | 東京都 | 跨座式:日本跨座式 | 多摩都市モノレール線 | 16.0 km |
千葉都市モノレール | 千葉県 | 懸垂式:サフェージュ式 | 1号線 | 3.2 km |
2号線 | 12.0 km | |||
舞浜リゾートライン | 千葉県 | 跨座式:日本跨座式 | ディズニーリゾートライン | 5.0 km |
湘南モノレール | 神奈川県 | 懸垂式:サフェージュ式 | 江の島線 | 6.6 km |
大阪高速鉄道 | 大阪府 | 跨座式:日本跨座式 | 大阪モノレール線 | 21.2 km |
国際文化公園都市線 | 6.8 km | |||
スカイレールサービス | 広島県 | 懸垂式:ロープ駆動懸垂式 | 広島短距離交通瀬野線 | 1.3 km |
北九州高速鉄道 | 福岡県 | 跨座式:日本跨座式 | 小倉線 | 8.8 km |
沖縄都市モノレール | 沖縄県 | 跨座式:日本跨座式 | 沖縄都市モノレール線 | 12.9 km |
歴史[編集]
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ドイツ・ヴッパータールのヴッパータール空中鉄道に刺激され、日本でもいくつかのモノレールの建設案があった。しかし、ほとんどは実現しなかった。大阪で行われていた交通電気博覧会で1928年に運用された懸垂式のモノレールが、日本で最初のモノレールである。
また、一時期は軌道と接触する箇所が少なければ高速運転ができると考えられたため、東京 - 大阪間に新幹線の代わりに高速モノレールを敷こう、などという発案も現れた。だが、実際には高速運転時の安定性を考えると技術的に不可能という事で、立ち消えになった。
戦前[編集]
- 江ノ島電気鉄道(神奈川県)[1]
- 高架単軌道(東京都)
- 東京単軌鉄道(東京都)
- 当時の深川区相川町(現・江東区永代)から隅田川沿いに押上・鐘ヶ淵経由で北千住までを結ぶ路線で、1923年3月26日に申請していたが、河川沿いには荷降ろしが多く、邪魔になること、乗降の危険がある事で1924年6月30日に却下される。
- 江ノ島懸垂電車(神奈川県)
- 小樽高架電気軌道(北海道)
- 上野懸垂電車(東京都)
- 大阪交通電気博覧会内の懸垂電車(大阪府)
- 日本飛行鉄道(東京都・神奈川県)
- 日本懸垂電気鉄道(大阪府)
- 京阪神単軌高架鉄道(京都府・大阪府・兵庫県)
- 豊島懸垂電車(東京都)
- 日本遊覧飛行鉄道(静岡県)
- 羽田航空電鉄(東京都)
戦後[編集]
- 1951年:豊島園で遊戯施設として運行される。懸垂型のプロペラ推進方式を計画していたが、推力が出ないために台車をモーターで回す方式に変更された。車体は日立製作所笠戸工場で製作された。
- 1957年12月16日:上野動物園内のモノレール(東京都交通局上野懸垂線)が開業した。都電に代わる次世代交通機関の試験線としての位置付けとなった。このため、事実上の遊戯施設(実際には正式に免許を受けた鉄道扱い)ながら東京都交通局が運営主体となった。
- 1961年6月:奈良ドリームランドで園内の遊戯施設として開業した。3両編成の東芝式。
- 1962年3月21日:犬山のラインパークに名鉄ラインパークモノレール線(後にモンキーパークモノレール線に改称)が開業した。アルヴェーグ式。車両は日立製作所笠戸工場で製作。日本におけるアルヴェーグ式の第1号路線となる。
- 1963年12月21日:熱海モノレールが免許を取得した。この路線は、熱海駅前と熱海のロープウェイ下を結ぶもので、アルヴェーグ式であった。路線の一部は海上を走る様になっていた。しかし、地盤及び海中での難工事が予想される事から、実現しなかった。
- 1964年1月1日:よみうりランド内の音楽堂前 - 読売ランド間 1.8 km で開業した。アルヴェーグ式。同年8月28日にはさらに 1.1 km 延伸し、環状運転となる。
- 1964年2月8日:名古屋市の東山公園内に動物園と植物園の 471 m を結ぶ東山公園モノレールが開業した。サフェージュ式。試験線という位置付けで、名古屋市交通局協力会(名古屋市交通局関連の外郭団体)が運営。1両のみの運行。
- 1964年9月17日:東京モノレールが開業した。アルヴェーグ式。日本初の本格的な交通機関としてのモノレール路線。
- 1966年4月23日:向ヶ丘遊園 - 向ヶ丘遊園正門前間 1.1 km で小田急電鉄の向ヶ丘遊園モノレール線が開業した。ロッキード方式。車体は川崎航空機岐阜製作所で作成された試作車をそのまま利用した。
- 1966年5月2日:ドリーム交通の運営により大船駅とドリームランド駅の間にモノレール大船線が開業した。3両編成の東芝式。2編成が投入された。
- 1966年5月17日:姫路市交通局の運営による姫路市営モノレールが姫路駅 - 手柄山間 1.6 km で開業した。ロッキード方式。2両編成で運行。
- 1967年9月24日:モノレール大船線が設計の不備による軌道桁などの亀裂により運行休止。同月27日に営業休止。その後、責任問題で長く訴訟が続く事になる。
- 1970年3月7日:湘南モノレールが大船駅から西鎌倉駅までの 4.7 km で開業した。サフェージュ式。
- 1970年3月14日:大阪の万国博覧会会場にて、会場内の移動用に一周 4.3 km のモノレールが9月13日まで運行された(大阪万博の交通#万博会場内の交通機関を参照)。日本跨座式で、単線、一方向のみの運転であった。日本万国博覧会協会より東京急行電鉄が運営を受託し運行した。
- 1971年7月1日:湘南モノレールが西鎌倉駅から湘南江ノ島駅までの 1.9 km を延伸した。
- 1974年4月11日:姫路市営モノレールが、赤字と日本ロッキード・モノレールの解散によって車両維持が困難になった事から運行を休止した。
- 1974年8月15日:東山公園モノレールが休止。
- 1974年12月18日:東山公園モノレールが廃止(その後、1987年に東山動植物園内に二代目モノレール(スカイビュートレイン、こちらは跨座式)が遊戯施設として開業)。
- 1978年12月1日:よみうりランドモノレールが廃止。
- 1979年1月26日:姫路市営モノレールが廃止。
- 1985年1月9日:北九州高速鉄道(北九州モノレール)が開業。いわゆる都市モノレールの第一号。
- 1988年3月19日:埼玉県熊谷市内で開催されたさいたま博覧会で、日本モノレールのリムトレンが展示走行。リニアモーターで推進する列車。試乗線は全長 850 m。
- 1988年3月28日:千葉都市モノレールの2号線スポーツセンター - 千城台間が開業。サフェージュ式。
- 1988年7月31日:北の京芦別で北の京芦別と北海道大観音を結ぶモノレールが開業。遊戯施設扱い。跨座式モノレール、全長550 m 。北海道初。
- 1990年6月1日:大阪高速鉄道(大阪モノレール)の大阪モノレール線(本線)千里中央 - 南茨木間が開業した。
- 1991年6月12日:千葉都市モノレールの2号線スポーツセンター - 千葉間が延伸。
- 1993年9月27日:東京モノレールの羽田整備場 - 羽田空港間が延伸。同時に羽田駅を移設、羽田整備場駅を整備場駅に改称。なお、羽田駅は1998年11月18日に天空橋駅に改称。
- 1994年9月30日:大阪モノレールの大阪モノレール線(本線)千里中央 - 柴原間が延伸。
- 1995年8月1日:千葉都市モノレールの1号線千葉 - 千葉みなと間が開業。
- 1997年4月1日:大阪モノレールの大阪モノレール線(本線)柴原 - 大阪空港間が延伸。
- 1997年8月22日:大阪モノレールの大阪モノレール線(本線)南茨木 - 門真市間が延伸。2011年の重慶軌道交通3号線開業まで営業距離が世界最長のモノレールとなる。
- 1998年4月1日:北九州モノレールが小倉まで延伸(それまでの小倉駅は平和通駅に変更)。
- 1998年8月28日:広島のスカイレールサービスが開業。
- 1998年10月1日:大阪モノレールの国際文化公園都市線(彩都線)万博記念公園 - 阪大病院前間が開業。
- 1998年11月27日:多摩都市モノレールの第一期区間が開業。
- 1999年3月24日:千葉都市モノレールの1号線県庁前 - 千葉間が延伸。
- 1999年6月:北の京芦別モノレールが休止。2008年に軌道解体。
- 2000年1月10日:多摩都市モノレールの第二期区間が開業。
- 2000年2月13日:小田急電鉄向ヶ丘遊園モノレール線が台車の老朽化による亀裂により休止。
- 2001年2月1日:小田急電鉄向ヶ丘遊園モノレール線が正式に廃止。
- 2001年7月27日:舞浜リゾートラインディズニーリゾートラインが開業。
- 2003年8月10日:沖縄都市モノレールが開業。
- 2003年9月18日:ドリーム開発ドリームランド線(旧称・ドリーム交通モノレール大船線)が正式に廃止。
- 2004年12月1日:東京モノレールの羽田空港 - 羽田空港第2ビル間が延伸。同時に羽田空港駅を羽田空港第1ビル駅に改称。
- 2007年3月19日:大阪モノレールの国際文化公園都市線(彩都線)阪大病院前 - 彩都西間が延伸。
- 2008年12月28日:名鉄モンキーパークモノレール線が廃止。
日本のモノレールの経営状況[編集]
全国のモノレールの黒字額及び赤字額を示すと、以下の様になる。▲は赤字を示す(リゾートラインとスカイレールは除く)。
名称 | 事業者名 | 会計年度 | 純損益 | 利益剰余金 | 出典 |
---|---|---|---|---|---|
千葉モノレール | 千葉都市モノレール | 平成24年度 | 約4億4,600万円 | 約5億3,100万円 | [8][9] |
上野動物園モノレール | 東京都交通局 | 平成23年度 | 約4,300万円 | 約1億600万円 | [10] |
東京モノレール | 東京モノレール | 平成24年度 | 約10億7,500万円 | 約116億5,700万円 | [11] |
多摩モノレール | 多摩都市モノレール | 平成24年度 | 約5億4,800万円 | 約24億6,600万円 | [12] |
湘南モノレール | 湘南モノレール | 平成24年度 | 約7,335万円 | ▲約2億2,514万円 | [13] |
大阪モノレール | 大阪高速鉄道 | 平成24年度 | 約16億4,655万円 | ▲約55億9,576万円 | [14] |
北九州モノレール | 北九州高速鉄道 | 平成24年度 | ▲約1億1,791万円 | 約5,727万円 | [15] |
ゆいレール | 沖縄都市モノレール | 平成24年度 | ▲約6億1,461万円 | ▲約130億8,336万円 | [16] |
脚注[編集]
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- ↑ 「我国最初の懸垂鉄道」1929年6月30日中外商業新報(神戸大学附属図書館新聞記事文庫)
- ↑ 『日本全国諸会社役員録. 第36回』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
- ↑ 「鉄道免許状下付」『官報』1928年7月5日(国立国会図書館デジタル化資料)
- ↑ 発起人和田喜次郎は元江ノ島電気鉄道取締役「鉄道敷設権譲渡」『官報』1928年11月8日(国立国会図書館デジタル化資料)
- ↑ 社長の辰澤延次郎は元江ノ島電気鉄道取締役『地方鉄道及軌道一覧 : 昭和10年4月1日現在』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
- ↑ 『鉄道統計資料. 昭和4年 第3編 監督』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
- ↑ 「鉄道起業廃止」『官報』1935年9月16日(国立国会図書館デジタル化資料)
- ↑ テンプレート:pdf 千葉モノレール 2013年7月29日閲覧
- ↑ 貸借対照表 千葉モノレール 2013年7月29日閲覧
- ↑ 平成23年度 損益計算書 東京都交通局 2013年7月29日閲覧
- ↑ 決算情報 東京モノレール 2013年7月29日
- ↑ テンプレート:pdf 多摩都市モノレール 2013年7月29日閲覧
- ↑ テンプレート:pdf 湘南モノレール株式会社 2013年7月29日
- ↑ テンプレート:pdf 大阪高速鉄道株式会社 2013年7月29日閲覧
- ↑ テンプレート:pdf 北九州高速鉄道株式会社 2013年7月29日閲覧
- ↑ テンプレート:pdf 沖縄都市モノレール 2013年7月29日閲覧
関連項目[編集]
外部リンク[編集]