「香川県」の版間の差分
細 (→衆議院) |
細 (→第2次産業) |
||
305行目: | 305行目: | ||
=== 第2次産業 === | === 第2次産業 === | ||
+ | 坂出市には[[瀬戸内工業地域]]の一翼を担う[[番の州臨海工業団地]]があり、[[造船]]、[[石油]]などの企業が立地している。また、四国地方に対する物資の集散地となっている高松市には[[運輸]]、[[卸売]]を主とした企業が[[朝日町 (高松市)|朝日町]]、[[福岡町 (高松市)|福岡町]]、[[木太|木太町]]北部、[[弦打|郷東町]]、[[香西 (高松市)|香西地区]]などの沿岸部に集積し、食品や印刷など市場指向型、軽工業系の工場もその周辺に位置している。 | ||
+ | |||
+ | 工業の製造品出荷額等は番の州を擁する坂出市が県内で突出して多く7685億円、次いで高松市の3296億円、[[三菱マテリアル]]製錬所がある直島町の2392億円と続いている。 | ||
+ | |||
+ | [[建設業]]では[[穴吹工務店]]といった大企業の本社があるものの、産業全体に占める従事者数の率は中国・四国地方各県では広島県に次いで2番目に低く、[[土建屋]]が産業構造に幅を利かせるといった地方に特有の性格は薄い。逆に[[製造業]]従事者が占める率は四国最大であるほか、中四国でも広島県、岡山県に次いで3番目に多い。 | ||
+ | |||
+ | === 第3次産業 === | ||
+ | 面積の大部分が平地で占められている香川県は全域に人口が分布しているため、その需要に対応して最寄品を取り扱う大型商業施設などのロードサイド店が県下の広い範囲に分布している。特に高松市は四国最大規模を持つ高松都市圏の中心都市であり、周辺からの圧倒的な集客力を有している。そのため情報通信業や金融保険業は大部分が高松市に集中しており、日用買回品を販売する小売業も多くが高松市に本社あるいは事業所を置いている。その高松市では日本一長い[[アーケード]]を有する[[高松中央商店街]]周辺が一大商業地区となっているほか、それに準じて[[ゆめタウン高松]]も県内外に対して大きな集客吸引力を持っている。 | ||
+ | |||
+ | 1980年代までは伝統的な個人経営の小売店舗が多数を占めていたが、1990年代以降、都市化や[[モータリゼーション]]の進行、大量消費社会の浸透により、全国や中国・四国地方で展開する[[スーパーマーケット]]や[[コンビニ]]、電器店等の[[チェーン店舗]]が郊外の幹線道路沿いに多数開店し、生活する上での利便性が増した一方、[[バブル経済]]の崩壊もあいまって各市ともほぼ例外なく中心[[市街地]]が[[ドーナツ化現象]]により[[空洞化]]し、都市部の[[地価]]の下落が進んだ。その反動で特に高松市では2000年代に中心市街地周辺への高層[[マンション]]の建設が相次ぎ、複数の[[再開発]]事業など公共投資が活発に展開された結果、小売店舗の中心市街地への新規出店などにより活気や人通りが戻りつつある。 | ||
+ | |||
+ | 他県と比較しても第3次産業が香川県の産業に占める割合は大きく、[[情報通信業]]、[[卸売]]・[[小売|小売業]]、[[サービス|サービス業]]それぞれの従事者数の割合は四国各県で最高であるほか、中国四国地方でも広島県に次いで2番目に高くなっている。 | ||
+ | |||
+ | === 拠点事業所を置く主要企業 === | ||
+ | ※太字は[[上場企業]] | ||
+ | {{Col-begin}} | ||
+ | {{Col-break}} | ||
+ | ; 製造 | ||
+ | * '''[[アオイ電子]]''' | ||
+ | * [[讃陽食品工業]] | ||
+ | * [[四国コカ・コーラボトリング]] | ||
+ | * '''[[タダノ]]''' | ||
+ | * '''[[南海プライウッド]]''' | ||
+ | * [[中央食品 (香川県)|中央食品]] | ||
+ | * [[ずヾや]] | ||
+ | * '''[[テーブルマーク]]''' | ||
+ | * '''[[四国化成工業]]''' | ||
+ | * [[キャスコ]] | ||
+ | * [[日プラ]] | ||
+ | * '''[[日本興業]]''' | ||
+ | * '''[[大倉工業]]''' | ||
+ | * [[帝國製薬]] | ||
+ | * [[富士産業 (健康食品業)|富士産業]] | ||
+ | * [[名物かまど]] | ||
+ | * [[マルキン忠勇]] | ||
+ | * [[トモクニ]] | ||
+ | * [[東洋オリーブ]] | ||
+ | * [[四国物産]] | ||
+ | * [[四国電線]] | ||
+ | * [[鎌田醤油]] | ||
+ | {{Col-break}} | ||
+ | ; 建設 | ||
+ | * '''[[穴吹興産]]''' | ||
+ | * [[穴吹工務店]] | ||
+ | * [[カナック (企業)|カナック]] | ||
+ | * '''[[四電工]]''' | ||
+ | ; 電気・ガス | ||
+ | * '''[[四国電力]]''' | ||
+ | ; 情報通信 | ||
+ | * [[STNet]] | ||
+ | * [[西日本放送]] | ||
+ | * [[瀬戸内海放送]] | ||
+ | * [[エフエム高松コミュニティ放送|エフエム高松]] | ||
+ | ; 運輸 | ||
+ | * [[宇高国道フェリー]] | ||
+ | * [[カトーレック]] | ||
+ | * [[四国旅客鉄道]] | ||
+ | * [[高松エクスプレス]] | ||
+ | * [[高松琴平電気鉄道]] | ||
+ | * [[ことでんバス]] | ||
+ | * [[小豆島バス]] | ||
+ | * [[琴平バス]] | ||
+ | * [[琴参バス]] | ||
+ | * [[大川自動車]] | ||
+ | {{Col-break}} | ||
+ | ; 卸売・小売 | ||
+ | * '''[[イマージュホールディングス]]''' | ||
+ | * [[小野 (企業)|小野]] | ||
+ | * [[幸燿]] | ||
+ | * [[光洋プロダック]] | ||
+ | * [[真田嘉商店]] | ||
+ | * [[四国アルフレッサ]] | ||
+ | * [[セカンドストリート]] | ||
+ | * [[翼 (医薬品卸)|翼]] | ||
+ | * [[セシール]] | ||
+ | * [[ビッグ・エス]] | ||
+ | * '''[[マルヨシセンター]]''' | ||
+ | * [[マルナカ (チェーンストア)|マルナカ]] | ||
+ | * [[宮脇書店]] | ||
+ | * [[ロッキー (企業)|ロッキー]] | ||
+ | * [[西村ジョイ]] | ||
+ | * [[一鶴]] | ||
+ | * [[ユタカ (タオル問屋)|ユタカ]] | ||
+ | * [[大洋水産]] | ||
+ | * [[ダイナマイトコーポレーション]] | ||
+ | * [[オーシャンローズ]] | ||
+ | {{Col-break}} | ||
+ | ; 金融・保険 | ||
+ | * [[香川銀行]] | ||
+ | * [[香川県信用組合]] | ||
+ | * [[香川証券]] | ||
+ | * [[サンライフ]] | ||
+ | * [[四国労働金庫]] | ||
+ | * [[高松信用金庫]] | ||
+ | * '''[[トモニホールディングス]]''' | ||
+ | * '''[[百十四銀行]]''' | ||
+ | ; サービス | ||
+ | * '''[[クリエアナブキ]]''' | ||
+ | * [[国方防虫化学]] | ||
+ | * '''[[セーラー広告]]''' | ||
+ | * [[トーカイ (四国)|トーカイ]] | ||
+ | * [[テクノ (香川県の株式会社)|テクノ]] | ||
+ | * [[ティーネットジャパン]] | ||
+ | * [[東宝物産]] | ||
+ | * [[高松ファイブアローズ]] | ||
+ | * [[オークラホテル]] | ||
+ | {{Col-end}} | ||
+ | |||
+ | === 香川県で創業した主要企業 === | ||
+ | * [[パナソニック ヘルスケア|パナソニック ヘルスケア(旧社名・松下寿電子工業)]] - 2002年に[[愛媛県]][[温泉郡]][[川内町]](現・[[東温市]])へ移転。 | ||
+ | * [[KG情報]] - 1993年に[[岡山県]][[岡山市]]へ移転。登記上の本店は現在も高松市。 | ||
+ | * [[サンフローラ]] - 1999年に会社合併により[[東京都]][[練馬区]]へ移転。 | ||
+ | * [[セカンドストリート]] - 2006年に子会社の吸収により[[埼玉県]][[さいたま市]][[北区 (さいたま市)|北区]]へ移転。登記上の本店は現在も高松市。 | ||
+ | * [[はなまるうどん]] - 2005年に東京都[[中央区 (東京都)|中央区]]へ移転。 | ||
+ | |||
+ | === 特記事項 === | ||
+ | * 百十四・香川両銀行とも[[コンビニATM]]には否定的である。県内でコンビニATMがある一部の[[ローソン]]店舗は岡山の[[中国銀行 (日本)|中国銀行]]管理がある。[[イーネット]]は県内銀行との提携を諦め、中国銀行との提携で[[ファミリーマート]]に設置された。しかし、ユーザーからの強い要望や四国内の地銀他行が次々と導入に踏み切り、また基幹システムが2007年5月に更新されたため、百十四銀行はイーネットと提携し、2008年1月から運用を開始した。なお入金を除き手数料(出金の場合平日昼は105円、夜間と土日祝は210円)が発生する。 | ||
+ | * 全国で唯一、[[チケットぴあ]]の発券カウンターがない県であったが、2006年12月にようやく設置された。ちなみに現在は[[奈良県]]が該当する。 | ||
+ | |||
+ | == 学校 == |
2011年4月29日 (金) 11:06時点における版
香川県(かがわけん)は、瀬戸内海に面し、四国の北東に位置する日本の県の一つ。令制国の讃岐国に当たる。県庁所在地は高松市。
県名は、讃岐のほぼ中央に存在する古代以来の郡名「香川」をとった。
概要
かつては全国で2番目に面積の狭い都道府県だったが、1988年に国土地理院が面積の算定法を見直して香川郡直島町の面積が削除されたため、大阪府に代わって全国で最も面積の狭い県となった。ただし、その後大阪府が関西国際空港などの埋立地を造ったために大阪府の面積は以前より増えており、直島町の面積14.2km²分が復帰したとしても香川県は最下位のままである。現在では岐阜県高山市よりも面積は狭い。一方平野は、県土のほぼ半分を占めており、その率は高い。
古来より雨量、河川の流水量ともに少なく、旱魃に備えて、県内各地に14,000を超える数のため池が造られ点在している。これは県内に高山がなく、高低差が小さいからである。
北部に広がる瀬戸内海には、小豆島など多くの島々が点在している。本州の岡山県とは島々を伝う形で架けられた瀬戸大橋により、道路・鉄路で結ばれている。
瀬戸内海を越えた岡山県や、鳴門海峡を越えた近畿地方との繋がりが深い。特に岡山県との間においては、民間テレビ放送局が同一のエリアになる程であるが、同時に対抗心も強い。
麺のコシがしっかりとした讃岐うどん、こんぴらさんの愛称で親しまれる金刀比羅宮、空海の生誕地としても知られる善通寺(四国八十八箇所の一つ)、寛永通宝の銭形砂絵で知られる観音寺、対岸の倉敷市児島から坂出市にかけて海上に架けられた瀬戸大橋が有名である。
正月には、餡餅の入った白味噌仕立の雑煮「餡餅雑煮」を食べる風習がある。江戸時代、讃岐の国では塩・砂糖・木綿が特産で、「讃岐三白」と呼ばれていた。このうち砂糖は幕府への献上品として多くが用いられ、庶民の口には滅多に入らなかったことから「せめて正月ぐらいは(砂糖を使った餡の入った甘い餅を食べたい)…」という思いから餡餅雑煮が誕生したと言われている。
香川県庁舎の設計者は丹下健三。この他にも、丹下は香川県立体育館や県営一宮団地も設計している。
温暖な気候風土で、堅実な小金持ちが多く、四国お遍路へのお接待の精神もある。
県全体の人口密度が高いのが特徴的であるが、これは平野が多いからである。
県内を供給区域とする電力会社は四国電力であるが、岡山県に隣接した島嶼部である香川郡直島町及び小豆郡の全域は海底地形の理由から、本来の四国電力ではなく中国電力の供給区域となっている。
地理
香川県は四国の北東部に位置し、北部には瀬戸内海に面して讃岐平野が広がる。南部には讃岐山脈が連なる。最高峰は竜王山で1059.9メートルあるが、丘陵部は500~800メートルで各地峠越えに行き来が行われた。
多島海である瀬戸内海には小豆島をはじめ、塩飽諸島や直島諸島など約110余りの島々が存在する。
川が少なく、またどれも33~38キロぐらいで短いため、昔から渇水対策に手を焼いてきた。このため、空海が作ったことで知られる満濃池をはじめとするため池が県内に16,000余あり全国有数である。
- 行政区分:日本、四国地方
- 川と平野:湊川と鴨部川の大川平野、新川・春日川と香東川の高松平野、綾川と大東川の坂出平野、土器川と金倉川の丸亀平野、高瀬川と財田川の三豊平野、他に詰田川、御坊川がある。
- ため池:満濃池は全国一の規模を誇る。
- 用水:香川用水
自然公園
気候
冬から春までの季節における瀬戸内海沿岸地域に含まれる特徴として、冬期は北西の季節風が吹きつけるため肌寒く、曇天の日が多く日照時間が少ない。冬から春にかけて、中国大陸から流入する黄砂に悩まされることが多い。
気候は、瀬戸内海式気候で、晴天の日が多く雨量が少ないのが特徴である。日照時間が長いことが塩の生産・発展に役立ち、「塩田王国香川」と言われた。しかし、少雨の傾向は夏場に多く水不足をもたらし、大雨になると河川が氾濫し、洪水をもたらした。
太平洋岸気候と違い、北西の季節風の影響で、冬季の降水日数が日本海側ほどではないものの、太平洋岸気候に属する地域に比べると多くなっている。
太平洋岸気候と違い、瀬戸内海式気候の冬から春までの季節における瀬戸内海沿岸地域の特徴として、冬でも暖かい日が続くと言われているが、曇り空で雨と雪(みぞれ)が多く、すっきりとしない青空が望めない天気の日が長く続く。冬から春に掛けては晴天日数は非常に少ない。
積雪も一冬に1~2回程度は起こる。特に冬は梅雨の時期のような天候が多く、洗濯物や布団を屋外に干すことが難しい。緯度の割には朝晩の冷え込みは厳しく、沿岸部を除いて氷点下まで下がるのが普通である。
それでも冬から春先に掛けては雨と曇り、みぞれが非常に多い天候の影響で、鼻水や花粉症、咽の痛みなど冬の乾燥性の疾患には悩まされないことが多い。
瀬戸内海式気候と呼ばれる冬から春にかけての気候は瀬戸内海沿岸部や兵庫県南部、大阪湾沿岸部だけではなく、京都府南部、滋賀県南部、奈良県北部、和歌山県北部、三重県伊賀地方などでも同様の性質を持つ。
太平洋高気圧に覆われる夏季には瀬戸内海沿岸特有の「凪」が発生し、日中の気温は35度を超える猛暑・酷暑となり、熱帯夜になることも多い。
地域区分
地域区分は広義・狭義とも県民生活の基盤にもなっており、この区分によって気候・風土・方言(讃岐弁参照)なども異なっている。
東西に長い香川県を分けて考える場合、最も多く用いられるのが五色台を境に東部を「東讃」(とうさん)、西部を「西讃」(せいさん)とする概念である。この名称は香川県が旧讃岐国の範囲と合致しているため、旧国名である「讃岐」に東・西を冠した言い方である。このスケールは県民の会話上でも西讃のことを「西の方」や単に「西」、東讃のことを「東の方」や単に「東」と呼ぶことで通用するほど定着した概念である。
この方式に沿った言い方に「中讃」(ちゅうさん)があるが、こちらはより狭い範囲を表すものであり、このスケールでは同じ「西讃」といった場合でも指し示す範囲が異なる。同じように「東讃」も高松地域・小豆地域を除いた範囲を指す狭義が存在する。小豆地域は狭義の東讃にも含むとする概念もあるが、小豆島は航路で結ばれているのが全て高松であるため、直接の結びつきがない香川県東部とは分けて小豆地域、あるいは単に小豆島とする場合が多い。
その他にも、東讃に高松市を含んだ上で残りの西部を中讃、西讃の計3つで分ける概念もあるが、この場合では県都の位置する地域が中讃てあると捉えられる場合があるため、あえて県都の高松市を別格として「高松地域」とする場合がほとんどである。
行政区分や天気予報、県立高校の学区などでも用いられるこの区分は自治体ごとに区切られているため、市町村合併により所属地域が変化する例が多く見られた。特に平成の大合併では高松市へ合併した綾歌郡国分寺町の所属地域が西讃から東讃へ変わったほか、木田郡庵治町と牟礼町が同じく高松市への合併により、狭義の東讃から高松地域へ所属地域が変わった。
歴史
原始・古代
約2万年前の旧石器時代人が永く住み着いた国分台遺跡群が知られている。同遺跡群は、高松市と坂出市の境に南北にのびる標高400メートルの台地上および斜面上に立地し、高松市(旧綾歌郡国分寺町)に所在する。そこからは、サヌカイト製のナイフ形石器、尖頭器、楕円形石器、舟底形石器、錐などの生活必需石器が大量に出土した。
縄文時代晩期後半の林防城遺跡(高松市)で、当時の土器と木製諸手狭鍬が出土しているなどから、県下にも稲作が伝播し、水田耕作が行われたと推定されが、他に水稲耕作に直接かかわる道具や同時に伝播するはずの文化要素が見当たっていない。また、水稲耕作に従事したムラの形跡がない。
『日本書紀』などには讃岐国は洪水や旱魃、地震などの自然災害が多い土地であると記されており、讃岐ではため池の開発や雨乞い儀式などが行われていた。大宝年間から工事が開始され、弘法大師空海が修築工事を指導したとされる満濃池のほか多くのため池が開発され、それより耕地は灌漑された。菅原道真も、一時は讃岐国国司となっている。
平安時代には関東地方での平将門の乱に乗じて藤原純友が伊予国(愛媛県)で蜂起し、純友は讃岐国の国府を陥落させた。朝廷が追捕使として小野好古を派遣すると讃岐国の武士も乱の平定のために戦う。保元の乱で敗れた崇徳上皇は讃岐国に流刑され、讃岐国で死んだ。平安時代後期には源平合戦の1つである屋島の戦いが行われる。一ノ谷の戦いで源義経に敗れた平氏は屋島の戦い(高松市内)においても義経軍の背後からの急襲で敗北し、以後平氏は瀬戸内海における制海権を失った。
中世
鎌倉新仏教派の法然上人も流刑されたことで有名。足利尊氏らの活躍で鎌倉幕府が滅亡して、後醍醐天皇の建武の新政が始まると、讃岐国には足利氏の一門である細川定禅が入った。以後、南北朝時代を経て室町時代を通じて、細川氏が守護大名として讃岐国を支配した。室町幕府内での政争に敗れて南朝に与した細川清氏は、従弟の細川頼之と戦い、敗れた(白峰合戦、現宇多津町・坂出市)。
讃岐国では、管領を務めた細川京兆家が室町期を通じて守護職を執った。このため阿波国人と同様に讃岐国人も中央へ出る機会が多く、香西、香川、安富、奈良の4氏は細川氏四天王と称されたという(南海通紀)。戦国時代初期には讃岐国人と思われる香西氏が山城国守護代を務めるなど重職にも就いた。
戦国時代には讃岐国の分郡守護代である安富氏と香川氏が東西で大きな勢力を擁し、両者中間の香川、阿野、鵜足郡に長尾氏、奈良氏、羽床氏など中小豪族が乱立していた。しかし安富氏が細川・三好氏の援助を受けた三木郡の十河氏によって滅びると、若干の抵抗があったが讃岐国は三好氏の支配下に入った。三好氏は三好長慶の弟である十河一存に讃岐国を任せた。真偽は不明だが、この時期に毛利氏が讃岐に攻め入った元吉合戦があったとされる。
長宗我部氏が三好・織田氏の内乱に乗じて讃岐へ侵攻してこれを平定する。豊臣秀吉が四国征伐を行うと讃岐へは宇喜多秀家を総大将とする豊臣軍が侵攻し、長宗我部元親が秀吉に屈服すると讃岐は仙石秀久に与えられ、その後は尾藤氏、生駒氏が相次いで封ぜられる。当初は宇多津聖通寺城に拠点が置かれたが、手狭のため高松に新城が築かれ拠点とされた。
江戸時代
生駒氏が生駒騒動によって出羽国へ移されると、水戸徳川家の嫡流である松平頼重が高松に入って東讃高松藩12万石を、京極氏が丸亀に入って西讃丸亀藩5万1千石を領する。途中、京極丸亀藩は支藩として多度津藩1万石を分立させたため、江戸時代の讃岐国には3つの藩が並立することになった。高松藩からは平賀源内が出ている。
この頃には、讃岐国の小農家と阿波国北部の山間農家の間で借耕牛の交流が始まっていた。なお、吉備国から古代に分立された備前国より、直島諸島と小豆島が讃岐国に移されたのは江戸年間のことと思われる。 幕末には高杉晋作を匿った日柳燕石が出ている。
災害としては、宝永4年(1707年)10月に西日本を襲った宝永地震(東海・東南海・南海の同時地震)の被害は讃岐国にも及び、牟礼・庵治の五剣山の一角が崩れ落ち、各地の家や堤防も崩れたところに1-2mの高さの津波が押し寄せた(菊池黄山/翁媼夜話など)。
近代
香川県発足
江戸時代の讃岐国は、高松藩、丸亀藩、多度津藩の3藩と、江戸幕府の直轄地である天領、津山藩の飛地が分立していた。
1871年8月29日の廃藩置県により、高松藩は高松県、丸亀藩は丸亀県、多度津藩と天領は倉敷県、津山藩の飛地はそのまま津山県となった。
その直後に、倉敷県の管轄地が丸亀県へと移された後に、同年に高松県と丸亀県が合併して香川県( - 1873年2月19日)が設置され、1872年に小豆島西部を編入して、現在の香川県(1888年12月3日 -)と同じ管轄範囲(行政区画は1888年12月に分割)となる。
しかし、1873年2月20日には名東県(現徳島県)に編入されるも、2年後の1875年9月5日に香川県(1875年9月5日 - 1876年8月20日)として再設置されたが、翌1876年8月21日には愛媛県に編入された。編入の度に、地理的要因、異なる地域文化、住民意識の不一致などによって、香川県として単独の県の設置を望む声が高まり、12年後の1888年12月3日に香川県が復活して、現在に至る。
「香川県」の名称は、高松市が所属していた香川郡から取った物で、いわば郡名を県名にした物である。
明治から大正にかけて香川県で鉄道敷設競争が起こり、讃岐鉄道(のちの国鉄)、琴平参宮電鉄、琴平電鉄(のちの高松琴平電気鉄道)、琴平急行電鉄の4社が高松-丸亀-琴平間で競って鉄道を敷設した。
現代
1970年に当時の財田村が町制施行して財田町となり、兵庫県に続いて村が消滅した。平成の大合併まで村のない県がこの両県のみという状態が長く続いた。
平成の大合併
- 2002年(平成14年)4月1日 さぬき市が成立。 - 津田町、大川町、志度町、寒川町、長尾町の合併。
- 2003年(平成15年)4月1日 東かがわ市が成立。 - 引田町、白鳥町、大内町の合併。
- 2005年(平成17年)3月22日 丸亀市が成立。 - 丸亀市と飯山町、綾歌町の合併。
- 2005年(平成17年)9月26日 高松市が成立。 - 高松市に塩江町の編入。
- 2005年(平成17年)10月11日 観音寺市が成立。 - 観音寺市と大野原町、豊浜町の合併。
- 2006年(平成18年)1月1日 三豊市が成立。 - 高瀬町、山本町、三野町、豊中町、詫間町、仁尾町、財田町の合併。
- 2006年(平成18年)1月10日 高松市が成立。 - 高松市に牟礼町、庵治町、香川町、香南町、国分寺町の編入。
- 2006年(平成18年)3月20日 まんのう町が成立。 - 満濃町、仲南町、琴南町の合併。
- 2006年(平成18年)3月21日 小豆島町が成立。 - 内海町、池田町の合併。
讃岐の大地震(判明しているもの)
- 715年 霊亀の大地震。
- 887年 (172年後)仁和の大地震。
- 976年 ( 89年後)貞元の大地震。
- 1185年(209年後)文治の大地震。
- 1513年(328年後)天文の大地震。
- 1612年( 99年後)慶長の大地震。
- 1707年( 95年後)宝永の大地震(東海・東南海・南海複合型。震度6で五剣山崩れ)。
- 1854年(147年後)安政の大地震。
- 1946年( 92年後)南海大地震。
行政
情報公開度ランキングでは東京都と共に閲覧手数料を取るために失格となっている。また2009年からは各市も発表になり、坂出市・善通寺市・三豊市・観音寺市の4市も県に倣って手数料を取り失格となっている。県内失格率は5割を超えて全国ワーストとなっている。
知事
官選による知事
- 参事
- 権令
- 知事
|
|
公選による知事
- 初代 増原恵吉 1947年4月16日-1950年7月25日
- 2代 金子正則 1950年9月11日-1974年9月4日
- 3代 前川忠夫 1974年9月5日-1986年9月4日
- 4代 平井城一 1986年9月5日-1998年9月4日
- 5代 真鍋武紀 1998年9月5日-2010年9月4日
- 6代 浜田恵造 2010年9月5日-
副知事
財政
平成18年度の財政指標
- 標準財政規模 2281億0900万円
- 一般会計歳入 4458億8100万円
- 一般会計歳出 4390億7500万円
- 財政力指数 0.42532 ( 都道府県平均 0.46)
- 財政力指数が0.400~0.500のIIグループ(9自治体)に分類されている
- 経常収支比率 94.3% ( 都道府県平均 92.6% )
- 実質公債費比率 15.0% ( 都道府県平均 14.7% )
- 実質収支比率 2.4
- 人口一人当たり人件費・物件費 14万5329円 ( 都道府県平均 12万4759円 )
- ラスパイレス指数 97.5 ( 都道府県平均 97.5 )
地方債残高
- 普通会計の地方債現在高 7533億9800万円
- 上記普通会計以外の特別会計の企業債(地方債)現在高 570億6100万円
- 主な内訳 水道事業分 約147億円 病院事業分 約81億円 宅地造成事業分 約54億円
- 第3セクター等の債務保証にかかわる債務残高等 77億6600万円
- 主な内訳 香川土地開発公社 約74億円
- 香川県の地方債等の合計 8182億2500万円 (連結会計)
- 香川県民一人当たりの地方債等残高 81万5635円 (連結会計)
平成17年度の財政指標
- 財政力指数:0.39(平成17年度)
- 経常収支比率 92.8%
国政
衆議院
中選挙区時代は2区体制だったが小選挙区になってからは3区体制となる。かつては自民党と社会党と半々だったが、1990年代以降は3区すべてで自民党公認または推薦の候補が当選していた。2009年の総選挙で1区・2区を民主党が制し、オール自民党体制は幕を下ろした。
参議院
詳しくは香川県選挙区を参照
ここ10数年は自民党が議席を独占していたが2007年の選挙では初めて民主党公認の女性候補が当選した。さらに2010年に自民党所属の山内俊夫が離党し、改革クラブに入党したため、自民党所属の議員がゼロとなったが、同年の選挙で自民党の公募による新人が初当選し、再び自民党所属の議員が復活した。
- 植松恵美子(民主党)
- 磯崎邦彦(自民党)
香川県議会
- 定数:45人
- 議長:篠原公七
- 副議長:平木享
- 所在地:高松市番町四丁目1番10号
選挙区
会派
- 香川県議会自由民主党議員会(31人)※1998年の県知事選における内紛で自民党は3会派に分裂していた時期があった。
- 香川県議会社会民主党・県民連合(6人)
- 民主党議員会(3人)
- 公明党議員会(2人)
- 日本共産党香川県議会議員団(2人)
常任委員会
- 総務委員会
- 環境建設委員会
- 文教厚生委員会
- 経済委員会
特別委員会
- 行財政改革推進特別委員会
- 地域再生・産業活性化特別委員会
- 防災対策特別委員会
- 県立病院整備等推進特別委員会
治安
県庁所在地の高松市には四国地方4つの県警察を監督する四国管区警察局が置かれている。そのうち香川県内を管轄するのは香川県警察本部以下13の警察署である。
2009年の香川県内の刑法犯認知件数は1万884件。人口1000人当りに換算すると10.71件であり、全国第23位と全国平均(13.40人)を下回っている。また、件数は2004年の13位をピークに年々減少している。
ただし、この数値は中讃地域の治安の悪さによるもので、地域別に見ると高松地域が9.41件、東讃・小豆島地域が7.29件、西讃地域が8.27件なのに対し、中讃地域は11.88件と突出している。中讃地域を管轄するのは坂出・丸亀・善通寺・琴平の4署であるが、そのうちの前者3署で県内警察署のワースト3を独占しているほどであり、これは県庁所在地で多くの繁華街や商業地区を抱える高松北署をも上回るほどである。
この状況を打破するべく、香川県警は丸亀署と善通寺署を統合して新署を設置するにあたって現在高松市に置かれている交通機動隊を分散させて中讃分駐隊を同新署に新設し、治安の回復を図ろうとしている。
人口
2010年国勢調査速報によると、県内総人口は前回調査より1.6%減少し30年ぶりに100万人を下回った。
経済
第1次産業
- 農業
米を始めとしてレタスやみかんなどの栽培が多く、さぬきの夢2000やオリーブ、讃岐三畜(讃岐牛、讃岐夢豚、讃岐コーチン)など瀬戸内海式気候の香川県特有の農産物も多く存在する。
香川県は山岳地帯が少なく全域にわたって平地が多くを占めているため、県下全域に稲作を中心とした農地が広がっている。また、それらはほぼ全てが古来より続く小規模農地であり、農業目的の干拓地のような計画的な大規模農業はほとんど行われていない。
米の作付面積はヒノヒカリが全体の45.9%と最も多く、次いでコシヒカリ37.4%となっており、この2品種で全体の8割以上を占めている。これら主食用うるち米の6割は県内で消費され、残り3割は大阪府、1割は兵庫県に向けて出荷されている。麦の作付面積はさぬきの夢2000が68.5%、イチバンボシが31.2%でこの2品種でほぼ全てを構成している。野菜の生産量で最も多いのはレタスで、次いでたまねぎ、ブロッコリー、きゅうり、ねぎ、いちごの順となっている。
2004年には高松市、丸亀市、坂出市、宇多津町に設定されていた市街化調整区域(いわゆる線引き)が全廃されたため、急速に開発が進み農地が次々と宅地に転用されている。特に丸亀市では線引き廃止後の3年間でそれまでの134倍もの面積が開発許可を受けている。
- 水産業
イワシやシラス、タコやイカナゴなどの海面漁業のほかハマチやノリ、マダイなどの養殖漁業も盛んである。特にハマチの養殖は香川県が全国で始めて成功し、2009年の県の漁業全体の生産額でも17%を占める主要産業になっている。
香川県の形状は讃岐山脈のある南側を弦に見立てた弓なりになっているため、北・西・東全てが瀬戸内海に面し、そのほか瀬戸内海には漁業が主要産業となっているような離島も多く抱えているため県として水産業は重要な産業の一つでもある。
そのような主要産業であるが瀬戸内海特有の赤潮の発生は香川県の水産業に大打撃を与えるため、県によって赤潮研究所が置かれているほどである。
第2次産業
坂出市には瀬戸内工業地域の一翼を担う番の州臨海工業団地があり、造船、石油などの企業が立地している。また、四国地方に対する物資の集散地となっている高松市には運輸、卸売を主とした企業が朝日町、福岡町、木太町北部、郷東町、香西地区などの沿岸部に集積し、食品や印刷など市場指向型、軽工業系の工場もその周辺に位置している。
工業の製造品出荷額等は番の州を擁する坂出市が県内で突出して多く7685億円、次いで高松市の3296億円、三菱マテリアル製錬所がある直島町の2392億円と続いている。
建設業では穴吹工務店といった大企業の本社があるものの、産業全体に占める従事者数の率は中国・四国地方各県では広島県に次いで2番目に低く、土建屋が産業構造に幅を利かせるといった地方に特有の性格は薄い。逆に製造業従事者が占める率は四国最大であるほか、中四国でも広島県、岡山県に次いで3番目に多い。
第3次産業
面積の大部分が平地で占められている香川県は全域に人口が分布しているため、その需要に対応して最寄品を取り扱う大型商業施設などのロードサイド店が県下の広い範囲に分布している。特に高松市は四国最大規模を持つ高松都市圏の中心都市であり、周辺からの圧倒的な集客力を有している。そのため情報通信業や金融保険業は大部分が高松市に集中しており、日用買回品を販売する小売業も多くが高松市に本社あるいは事業所を置いている。その高松市では日本一長いアーケードを有する高松中央商店街周辺が一大商業地区となっているほか、それに準じてゆめタウン高松も県内外に対して大きな集客吸引力を持っている。
1980年代までは伝統的な個人経営の小売店舗が多数を占めていたが、1990年代以降、都市化やモータリゼーションの進行、大量消費社会の浸透により、全国や中国・四国地方で展開するスーパーマーケットやコンビニ、電器店等のチェーン店舗が郊外の幹線道路沿いに多数開店し、生活する上での利便性が増した一方、バブル経済の崩壊もあいまって各市ともほぼ例外なく中心市街地がドーナツ化現象により空洞化し、都市部の地価の下落が進んだ。その反動で特に高松市では2000年代に中心市街地周辺への高層マンションの建設が相次ぎ、複数の再開発事業など公共投資が活発に展開された結果、小売店舗の中心市街地への新規出店などにより活気や人通りが戻りつつある。
他県と比較しても第3次産業が香川県の産業に占める割合は大きく、情報通信業、卸売・小売業、サービス業それぞれの従事者数の割合は四国各県で最高であるほか、中国四国地方でも広島県に次いで2番目に高くなっている。
拠点事業所を置く主要企業
※太字は上場企業
|
|
|
|
香川県で創業した主要企業
- パナソニック ヘルスケア(旧社名・松下寿電子工業) - 2002年に愛媛県温泉郡川内町(現・東温市)へ移転。
- KG情報 - 1993年に岡山県岡山市へ移転。登記上の本店は現在も高松市。
- サンフローラ - 1999年に会社合併により東京都練馬区へ移転。
- セカンドストリート - 2006年に子会社の吸収により埼玉県さいたま市北区へ移転。登記上の本店は現在も高松市。
- はなまるうどん - 2005年に東京都中央区へ移転。
特記事項
- 百十四・香川両銀行ともコンビニATMには否定的である。県内でコンビニATMがある一部のローソン店舗は岡山の中国銀行管理がある。イーネットは県内銀行との提携を諦め、中国銀行との提携でファミリーマートに設置された。しかし、ユーザーからの強い要望や四国内の地銀他行が次々と導入に踏み切り、また基幹システムが2007年5月に更新されたため、百十四銀行はイーネットと提携し、2008年1月から運用を開始した。なお入金を除き手数料(出金の場合平日昼は105円、夜間と土日祝は210円)が発生する。
- 全国で唯一、チケットぴあの発券カウンターがない県であったが、2006年12月にようやく設置された。ちなみに現在は奈良県が該当する。