東武東上本線

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東上本線(とうじょうほんせん)とは、東京都豊島区池袋駅から埼玉県大里郡寄居町寄居駅までを結ぶ、東武鉄道鉄道路線。通常は東上線と呼ばれている。ラインカラーは紺色駅ナンバリングの路線記号はTJ

路線データ[編集]

歴史[編集]

経緯[編集]

日本興業鉄道(小石川下富坂町-高崎間)[1]・京越鉄道(池袋-川越間)[1](ともに未成線)など、川越の周辺で数多くの鉄道が企図・発起されるも、申請却下や免許失効で実現を見なかった。

日本興業鉄道の発起人のメンバーの中には、後に東上鉄道の発起人になる内田三左衛門や千家尊賀が名を連ねていた。内田の出地は川越の豪商、千家の出地は出雲大社の宮司の家柄で兄千家尊福貴族院に4回当選し、埼玉、静岡、東京府知事(官選)を歴任、1906年(明治39年)に第一次西園寺内閣司法大臣に推されている。片や京越鉄道の発起人は川越電気鉄道創業者の綾部利右衛門新河岸川・福岡運河(現・ふじみ野市)の回漕店福田屋の星野仙蔵らが連ねていた。星野は川越商業銀行取締役や黒須銀行を経て1904年(明治37年)に衆議院議員に当選し、当時同じく当選した初代根津嘉一郎から東上鉄道の計画を聞き協力を惜しまなかった。東上鉄道創業当初は監査役に就任したようである。日本興業鉄道計画が絶たれ、新たに千家尊賀と内田三左衛門ほか数名は新たに東上鉄道を発起した。1903年(明治36年)12月23日、逓信省にて東上鉄道の仮免許申請書を提出した。途中出資者が集まらず、紆余屈折を経てのちに東武鉄道社長となった根津嘉一郎に会社創立を託すことになったようである。

1908年(明治41年)10月6日、東京府北豊島郡巣鴨町(現・東京都豊島区巣鴨) - 埼玉県入間郡川越町(現・埼玉県川越市) - 比企郡松山町(現・埼玉県東松山市) - 児玉郡児玉町(現・埼玉県本庄市)および群馬県高崎市を経て群馬県群馬郡渋川町(現・群馬県渋川市)に至る鉄道の敷設仮免許を受け[2]1911年(明治44年)11月11日に東上鉄道創立総会を開き取締役社長に根津嘉一郎が就き、本社を東京府東京市本所区小梅瓦町(現: 東京都墨田区押上1丁目)の東武鉄道本社に置いた。資本金は450万円。実際の東上鉄道本社は川越に置かれたが、根津嘉一郎が東上鉄道の経営に乗り出すと本社登記地のみ押上の東武鉄道本社に変更された。

東上鉄道は設立後、根津嘉一郎のほか原邦造(愛国生命社長→東上鉄道取締役)など投資家の手により開業した。

直ちに本免許を申請し、1912年(大正元年)11月16日東京府東京市小石川区大塚辻町(現・東京都文京区大塚)から群馬県群馬郡渋川町に至る鉄道敷設の件は先ず許可され[3]、同月30日東京府北豊島郡巣鴨村大字池袋字宮ノ下から同村大字巣鴨字向原(現・東京都豊島区東池袋)に至る軽便鉄道の免許を受け[4]、その後1914年(大正3年)4月18日には埼玉県入間郡川越町から田面沢村に至る軽便鉄道の免許を受け[5]、1914年(大正3年)5月1日池袋 - 田面沢間(池袋 - 下板橋間2.2km、川越 - 田面沢間2.3kmは軽便鉄道、下板橋 - 川越間29kmは私設鉄道)が開通し、旅客・貨物運輸営業を開始した[6]。開業にあたり鉄道省から蒸気機関車3両[7]高野登山鉄道から蒸気機関車2両、客車13両、貨車を35両をそれぞれ購入し、東武鉄道から機関車を借り入れた。

その後の延長工事のため、1916年(大正5年)2月27日に田面沢 - 川越間軽便鉄道の旅客営業を廃止し[8]、1916年(大正5年)川越町 - 坂戸町間5.7マイル (9.2km) が開通するや同日川越 - 田面沢間は廃止となった[9]。東武鉄道から客車3両が譲渡された。1918年(大正7年)3月それまで私設鉄道法によって運営された区間は以後、軽便鉄道法による旨指定され[10]、また時節第一次世界大戦の影響で物価は急騰し東武・東上両鉄道の営業費が増加したため、両社を合併し、営業上の経費節減と車両の運用諸設備の更新などを図るために1920年(大正9年)4月7日両社長間で合併の仮契約を結び、同年4月27日に開業線池袋 - 坂戸町40.6kmと未開業線坂戸町 - 高崎間62.8kmのすべての一切をあげて東武鉄道と合併した。同年7月に東武鉄道と東上鉄道の合併登記と引き継ぎが完了して東武鉄道東上本線となった。合併に際しては東武鉄道の1株当たり東上鉄道の1株を割り当てる5:5の対等合併で東上鉄道は解散となった。

現路線はすべて東上鉄道時代に建設されたもので、東武鉄道への合併後は用地買収中だった寄居以遠の延伸は、国鉄八高線の建設計画が出てきたので中断された(坂戸 - 寄居間は東上鉄道が建設し、合併直後に開通している)。

当面の終点目標は上州すなわち群馬県の渋川で、東京と上州の頭文字を取って「東上」とした。将来は新潟県長岡を結ぶ計画だったことから、上越の「上」とする説[11]があるが、この場合の「上越」の語源である上越線の開業は最も早い上越北線でも1920年であり、東上線の計画より後である。

計画当時は、「氷川・池袋練馬白子(現・和光市)・膝折(現・朝霞市)・大和田(現・新座市)・竹間沢(現・入間郡三芳町)・大井(現・ふじみ野市)・川越・小坂松山(現・東松山市)・菅谷(現・嵐山町)・能増(現・小川町)・今市小前田(現・寄居町)・児玉(現・本庄市)・藤岡山名飯塚(現・高崎市)・金古渋川棚下沼田真庭湯原綱子万太郎土樽湯沢塩沢六日町(現・南魚沼市)・浦佐小出(現・魚沼市)・堀内十日市・長岡」として氷川 - 渋川間を第一期線、渋川 - 長岡間を第二期線としていた。川越・児玉往還(東京 - 高崎)、三国街道(現国道17号。高崎以遠)と旧街道筋に沿って敷設する計画であったことが分かる。

この計画当時の予定経路と現路線とでは多少異なっているのは、様々な誘致があったためである。志木付近の商人による誘致では、和光市からも川越街道沿いに行く予定であった路線が大きく北にカーブを描いて朝霞へと至っている。

また、川越以遠の延伸では、宿場町でなく人口が多い周辺の町を経由するように計画が見直され、坂戸、小川、寄居など当初の敷設計画になかった町を経由したため、路線は数度に亘ってうねった曲線を描いている。

1992年(平成4年)3月31日をもって秩父鉄道との直通運転を廃止したが、東武本線系統との間で車両の回送をする場合は、現在でも秩父鉄道を介して行っている。

年表[編集]

  • 1908年(明治41年)10月6日: 仮免許状下付(巣鴨-渋川間)[2]
  • 1911年明治44年)11月: 東上鉄道株式会社設立[12](本社川越町)
  • 1912年(大正元年)11月16日: 鉄道本免許状下付(小石川区大塚辻町-群馬郡渋川町間)[3]
    • 11月30日: 鉄道免許状下付(北豊島郡巣鴨村大字池袋字宮ノ下-同郡同村大字池袋字向原間)[4]
  • 1914年大正3年)
  • 1915年(大正4年)4月1日: 川越西町駅(現・川越駅)開業[14]
  • 1916年(大正5年)
    • 3月1日: 川越町駅 - 田面沢駅間旅客運輸営業廃止[8]
    • 10月27日: 川越町駅 - 坂戸町駅(現・坂戸駅)間開通。同時に的場駅(現・霞ヶ関駅)開業。田面沢駅廃止[9]。高階駅を新河岸駅に改称。
  • 1918年(大正7年)3月27日: 軽便鉄道指定[10]
  • 1920年(大正9年)
    • 6月1日: 鉄道免許一部取消(小石川区大塚辻町-北豊島郡板橋町間、高崎市-群馬郡渋川町間)[15]
    • 7月22日: 東上鉄道と東武鉄道が対等合併する。存続会社は東武鉄道。
  • 1922年(大正11年)12月1日: 川越町駅を川越市駅に改称。
  • 1923年(大正12年)
  • 1924年
    • 5月5日:鉄道免許状下付(南足立郡西新井村-北豊島郡上板橋村間)[18]
    • 5月7日: 鉄道免許取消(大里郡寄居町-高崎市間 指定ノ期限マテニ工事竣工セサルタメ)[19]
  • 1925年(大正14年)7月10日: 小川町駅 - 寄居駅間開通(池袋 - 寄居間全線開通)。同時に男衾駅鉢形駅開業[20]
  • 1929年昭和4年)
    • 10月1日: 池袋駅 - 川越市駅間電化[21]
    • 12月29日: 川越市駅 - 寄居駅間電化(池袋 - 寄居間全線電化)[21]
  • 1930年(昭和5年)
  • 1931年(昭和6年)
  • 1932年(昭和7年)
  • 1933年(昭和8年)
  • 1934年(昭和9年)
  • 1935年(昭和10年)
    • 3月13日: 池袋駅 - 上板橋駅間複線化。
    • 10月1日: 菅谷駅を武蔵嵐山駅に改称。
    • 10月20日: 武蔵常盤駅(現ときわ台駅)開業。
    • 12月29日: 上板橋駅 - 成増駅間複線化。
  • 1937年(昭和12年)5月5日: 成増駅 - 志木駅間複線化。
  • 1940年(昭和15年)7月22日: 川越西町駅を川越駅に改称。
  • 1943年(昭和18年)
    • 7月1日: 越生鉄道(坂戸町駅 - 越生駅間)を買収。
    • 12月26日: 玉淀駅休止。
  • 1945年(昭和20年)
    • 1月17日: 武州松山駅(現・東松山駅) - 武蔵嵐山間が陸軍松山飛行場建設のため経路変更。
    • 4月13日: 東京大空襲により池袋地区で被災、特に東武堀之内駅は被災により駅が崩壊し金井窪駅とともにそのまま消滅。
    • 4月15日: 金井窪駅廃止。
    • 5月20日: 東武堀之内駅休止。
    • 7月: 川越駅が機銃掃射による攻撃を受ける。
  • 1947年(昭和22年)
    • 5月1日: 西山信号所開設。
    • 8月29日: 東武堀之内駅、玉淀駅廃止。
  • 1949年(昭和24年)4月3日: 秩父鉄道への片乗り入れを開始。
  • 1950年(昭和25年)7月24日: 越生線電化。
  • 1951年(昭和26年)
    • 9月1日: 東武堀之内駅が北池袋駅として再開業。みずほ台信号所(現みずほ台駅)、ききょう原信号所(現ふじみ野駅)開設。
    • 9月7日: 玉淀駅再開業。
    • 10月1日: 武蔵常盤駅をときわ台駅に、新倉駅を大和町駅に改称。
  • 1953年(昭和28年)
    • 7月21日: 川越駅 - 川越市駅間複線化。
    • 8月21日: 上福岡駅 - 新河岸駅間複線化。
  • 1954年(昭和29年)
    • 3月1日: 鶴瀬駅 - 上福岡駅間・新河岸駅 - 川越駅間複線化。ききょう原信号所廃止。
    • 6月15日: みずほ台信号所 - 鶴瀬駅間複線化。
    • 6月26日: みずほ台信号所廃止。
    • 10月1日: 武州松山駅を東松山駅に改称。
    • 11月1日: 志木駅 - 旧・みずほ台信号所間複線化。
  • 1959年(昭和34年)4月1日: 蒸気機関車の運転終了。
  • 1964年(昭和39年)9月14日: 西山信号所廃止。
  • 1965年(昭和40年)5月2日: 川越市駅 - 坂戸町駅間複線化。
  • 1967年(昭和42年)
    • 9月9日: 坂戸町駅 - 高坂駅間複線化。
    • 12月1日: 一部8両運転開始。
  • 1968年(昭和43年)9月6日: 高坂駅 - 東松山駅間複線化。
  • 1970年(昭和45年)12月20日: 大和町駅を和光市駅に改称。
  • 1971年(昭和46年)3月1日: 森林公園駅開業。
  • 1973年(昭和48年)8月21日: 北坂戸駅開業。
  • 1974年(昭和49年)8月6日: 朝霞台駅開業。
  • 1976年(昭和51年)
    • 9月1日: 坂戸町駅を坂戸駅に改称。
    • 11月1日: 一部列車を10両編成で運転開始。
  • 1977年(昭和52年)10月21日: みずほ台駅開業。東松山駅 - 森林公園駅間複線化。
  • 1979年(昭和54年)
  • 1986年(昭和61年)10月21日: 貨物営業を全廃。
  • 1987年(昭和62年)8月25日: 和光市駅 - 志木駅間複々線化。これに伴い埼玉県内の成増駅 - 志木駅間で完全立体化とし同区間の踏切を除去。 営団地下鉄(現・東京地下鉄有楽町線営団成増駅(現・地下鉄成増駅) - 和光市駅間開通、相互直通運転開始(森林公園駅 - 和光市駅 - 新富町駅間)。日中の急行が毎時4本、準急が毎時2本となる。
  • 1988年(昭和63年)6月8日: 有楽町線新富町駅 - 新木場駅間の開業に伴い、相互直通運転区間を延長。
  • 1992年平成4年)
    • 3月1日: 自動改札機を設置開始(当初は池袋、みずほ台、川越、高坂の4駅に設置)
    • 3月31日: 秩父鉄道への片乗り入れを廃止。
    • 6月:池袋駅に当路線で初めて発車メロディを導入[23]
  • 1993年(平成5年)11月15日: ふじみ野駅開業。最高速度を95km/hから100km/hに向上。日中の急行と準急がそれぞれ毎時4本になる。
  • 1994年(平成6年)12月7日: 有楽町線新線(現副都心線小竹向原駅 - 新線池袋駅(現・副都心線池袋駅)間の開業に伴い、相互直通運転区間を延長。
  • 1998年(平成10年)3月26日: 以下の内容でダイヤ改正を実施。
    • 急行が朝霞台駅に停車。
    • 特急が志木駅を通過。
  • 2001年(平成13年)4月1日: 全線に運行管理システムを導入。
  • 2002年(平成14年)3月26日: 森林公園駅 - 武蔵嵐山駅間複線化、つきのわ駅開業。
  • 2005年(平成17年)3月17日: 中板橋駅の上りホームに当路線内の中間駅で初めて発車メロディを導入。嵐山信号場を開設し、武蔵嵐山駅 - 嵐山信号場間複線化。あわせて以下の内容でダイヤ改正を実施。
    • 小川町駅 - 寄居駅間でワンマン運転を開始。
    • 土曜・休日に残っていた池袋駅 - 寄居駅間直通列車を廃止。終日小川町駅での分断ダイヤとなる。
    • 平日の特急を廃止。
    • 特急が和光市駅に停車。
    • 平日朝の8両編成運用廃止。
    • 6両編成運用廃止。
  • 2007年(平成19年)4月5日:和光市駅に発車メロディを導入。中間駅の下りホームでは初めての導入となる。
  • 2008年(平成20年)6月14日: 東京メトロ副都心線の開業に伴い、同線との相互直通運転開始。あわせて以下の内容でダイヤ改正を実施。
    • 座席定員制新ライナー「TJライナー」を新設。
    • 特急を廃止、快速急行を新設。
    • 朝ラッシュ時の上り急行を新設。
    • 日中の急行が毎時5本に、準急が毎時3本になる。
    • 池袋駅に発着する8両編成の列車がすべて10両編成化。
    • 最高速度を100km/hから105km/hに向上。
  • 2011年(平成23年)
    • 3月5日: 以下の内容でダイヤ改正を実施。
      • TJライナー、土休日朝間時の快速急行、朝ラッシュ時の急行を増発。
      • 日中の急行と準急のダイヤを等間隔化。急行は12分間隔、準急は20分間隔となる。
    • 3月12日: 1枚のPASMO定期券で東武東上本線和光市駅 - 池袋駅間と東京メトロ有楽町線・東京メトロ副都心線和光市駅 - 小竹向原駅 - 池袋駅間が利用できる二区間定期券の販売が開始される。
    • 4月21日: 坂戸駅に発車メロディを導入。これにより、池袋 - 小川町間の全駅に発車メロディが導入される。
  • 2013年(平成25年)3月16日: 東京メトロ副都心線を介して東急東横線横浜高速鉄道みなとみらい線との相互直通運転開始。あわせて以下の内容でダイヤ改正を実施[24]
    • 快速を新設。
    • 日中の急行が毎時4本に、快速と準急がそれぞれ毎時2本になる。
    • TJライナーの増発、上り朝間時の快速急行の新設および増発などを実施。
    • 準急と快速急行のシンボルカラーを変更。
  • 2014年(平成26年)
    • 5月1日: 前身の東上鉄道を含め東上本線が開業して100周年を迎える。これを記念して、かつて東上本線を走行していたセイジクリーム塗装の車両の復元やその他イベントなど100周年を記念したイベントをおこなう[25]
    • 年度内: 川越市駅 - 小川町駅間にATC導入予定[26][27]
  • 2015年(平成27年)度: 池袋駅 - 川越市駅間にATC導入予定[27]

運行概況[編集]

当線は東京都都心部と埼玉県南西部を結ぶ通勤・通学路線として、また、日中の生活路線として機能している。各種別の現行の停車駅は「駅一覧」を参照。

池袋 - 和光市間をのぞき、普通列車(各駅停車)は東京地下鉄(東京メトロ)有楽町線副都心線東急東横線横浜高速鉄道みなとみらい線)直通列車を中心に設定されている。和光市 - 志木間は都市高速鉄道13号線が整備され、唯一の複々線区間となっており、踏切も一切設置されておらず、速達列車は高速運転が可能となっている。また、複々線区間内においては時間帯・地下鉄線直通の有無に関係なく普通列車は内側の線路を走り、その他の優等列車(TJライナー・快速急行・快速・急行・通勤急行・準急)は外側の線路を走る。

日中川越市以北は、急行が普通(各駅停車)列車の役割を果たすが、2013年3月16日のダイヤ改正により、4本中3本が森林公園発着となったため、残りの1本以外は、森林公園以北は快速が普通列車の役割を果たす。朝と夕方以降は、早朝と深夜に数本ずつ池袋発着の普通列車小川町行きがあるが、基本的には川越市以北は地下鉄直通の普通列車および準急、通勤急行(平日朝上りのみ)、急行が普通列車の役割を果たすが、半分以上が森林公園発着であり、夕方以降の上り、平日朝8時 - 10時までの上り、土休日8時 - 10時までの上下線の快速急行と夕方以降の下りのTJライナーが森林公園以北の普通列車の役割を果たす。

運行本数[編集]

2013年3月改正ダイヤでの昼間1時間あたりの運行本数は、以下のようになっている。

日中の運行パターン
種別\駅名 池袋 成増 和光市 川越市 森林公園 小川町 寄居
運行範囲 快速 2本
急行 4本 1本
準急 2本
普通 8本 2本
新木場[* 1] 2本
元町・中華街[* 2] 2本
2本
  1. 和光市から地下鉄有楽町線新木場まで直通運転(有楽町線内は「各駅停車」)
  2. 和光市から地下鉄副都心線渋谷・東急東横線横浜経由、横浜高速鉄道みなとみらい線元町・中華街まで直通運転(地下鉄線内は「急行」、東横線・みなとみらい線内は「特急」)

直通運転[編集]

都市高速鉄道13号線は、渋谷 - 池袋 - 小竹向原 - 和光市 - 志木間を結ぶ路線として計画され、これに基づき小竹向原 - 和光市 - 志木間が先行して整備・開業し(小竹向原 - 和光市: 東京地下鉄、和光市 - 志木: 東武東上線複々線)、地下鉄8号線新木場 - 有楽町 - 池袋 - 小竹向原)と合わせて有楽町線と呼ばれていた。東上線は、和光市駅から東京メトロ有楽町線副都心線(また、副都心線を介して東急東横線横浜高速鉄道みなとみらい線)へ相互直通運転を行っており、小竹向原・飯田橋・有楽町・新木場(有楽町線)方面、新宿三丁目・渋谷(副都心線)方面、自由が丘横浜(東急東横線)方面、みなとみらい・「元町・中華街」(みなとみらい線)方面へ乗り入れている。直通列車の東上線内での種別は地下鉄線内の種別にかかわらず、すべて「普通」となっている。

同線または地下鉄線で輸送障害が発生した場合、直通運転を中止することがある。その際、下り方面から来た直通電車は和光市駅に進入できないため、朝霞以北で運転を打ち切る。また、同線の都内区間(池袋 - 成増間)で輸送障害が発生して運転を見合わせた場合については、運転再開までは直通運転区間である和光市 - 川越市間で直通列車のみで運行を継続する場合も多い。運転再開後も平常運転を基本とするが複々線区間が終わる志木駅到着までは時刻通りで運行される。ただし、運転状況によって、直通運転を中止して、副都心線からの志木行は副都心線内で和光市行に変更されることもある。運転再開後の遅延した急行の待ち合わせは志木駅で行い、急行などを先行させた後に発車する。上り線でも同様の処置が行われる。運転再開までは和光市駅やJR武蔵野線との乗換駅である朝霞台駅で乗客が溢れる。

かつては、大和町駅(現和光市駅) - 都営地下鉄三田線高島平駅間に、新線(連絡線)を建設して、同線を経由して東急池上線経由東急田園都市線方面との相互直通運転が計画されていた。その名残として、都営地下鉄高島平駅は2面4線のホームとなっている。

その他の概況[編集]

成増駅 - 志木駅間は複々線化と同時に整備され成増駅近隣を除き埼玉県内の同区間には踏切は全くないが、その他の区間は全線的に建設当初のままで地上区間が多い。経路上で交差する主要道路はほぼ全路線が立体交差化されており(川越街道新大宮バイパス山手通り環七通り環八通り笹目通り朝霞市役所通り慶應通り志木街道防衛道路浦和所沢バイパス国道16号川越一番町通り国道407号坂戸バイパス、埼玉県道39号川越坂戸毛呂山線坂戸バイパス、国道254号東松山バイパス埼玉県道47号深谷東松山線、国道254号小川バイパスなど)、上福岡川越の各駅周辺をのぞけば深刻な道路渋滞はほとんどないと言える。

一方、JR埼京線との並走区間である池袋駅 - 下板橋駅間(豊島区)や、大山駅ときわ台駅付近(いずれも板橋区)など、平日朝ラッシュ時間帯に「開かずの踏切」となっている踏切が多い[28]。また大山駅付近における東京都道420号鮫洲大山線(補助26号線、中野通り)の拡幅問題もあるため、大山駅等における将来的な立体交差化が検討されているが[29]、高架化の場合で約300億円程度と見込まれる事業費の負担を巡り国・都・板橋区・東武鉄道の間での折り合いがついておらず[30]、実現には至っていない。

埼玉西部と東京池袋を結ぶ小川町駅以南の沿線地域は新興住宅地の開発が盛んである。近年は大型マンションが増えている。このように沿線の住宅開発が進んでいるため、多くの人が利用し、東武鉄道の中でもトップクラスの収益を上げる路線である。

2012年度の設備投資計画によると池袋 - 小川町間にATCを導入するとし、そのため2015年使用開始にむけて、引き続き工事をしている。

列車種別[編集]

現行の停車駅に関しては「駅一覧」の節を参照。

TJライナー[編集]

詳細は TJライナー を参照

2008年6月14日のダイヤ改正で新設された種別。英文表記は「LINER」。シンボルカラーはオレンジで、停車駅案内におけるラインカラーもオレンジ。3色LED案内表示は橙地の反転。下り(夕ラッシュ)のみの運行。

ホームライナー運用を行う種別であり、夕方以降のふじみ野以北各駅への速達性を高め、かつ「座席定員制」として快適な車内環境を確保する目的で池袋発夕方以降に設定された。池袋乗車時には運賃のほか着席整理券300円が必要であるが、ふじみ野以北の停車駅では着席整理券300円は不要になる。また、森林公園以北は後述の快速急行や快速同様、普通列車の役割を果たす。

愛称の由来は、東上線の「TOJO」からとったもので、「TJライナー」「おかえりライナー」「アシストライナー」の3つの候補の中から投票で選ばれた。

新設当初は平日ダイヤ6本・土休日ダイヤ4本の運行で、森林公園行きも複数設定されていたが、2013年3月16日のダイヤ改正時点での運行本数は、平日ダイヤ10本・土休日ダイヤ6本の運行で、すべて小川町行きとなっている。

現在は下り列車のみ設定されているが、2014-2016年の東武鉄道の中期経営計画では上り列車の新設や下り列車の増発も計画されている[31]

快速急行[編集]

2008年6月のダイヤ改正で新設された種別。この改正で特急が廃止されたため、実質上その後身と言える。英文表記は「RAPID EXPRESS」。シンボルカラーは青。3色LED案内表示は緑地に赤文字(2013年3月のダイヤ改正までは、従前の特急から引き継がれた緑を使用。ただし駅のフルカラーLED案内表示は緑地にピンク文字で、3色LED案内表示では緑地の反転)。平日ダイヤは上りのみ、土休日ダイヤは朝下りと上りで運行される。

停車駅は改正前の特急停車駅に志木が加えられたものとなっている(志木は1998年3月のダイヤ改正まで特急が停車していた)。夕方上りの運用はTJライナーの車両を池袋に送り込むためのもので、土休日ダイヤの最後の1本をのぞき50090系が限定使用されている。その際はTJライナー同様、席はクロスシート(進行方向向き)で運用される。夕方上り以外の運用については使用車両は限定されておらず、50090系が使用される場合はロングシートで運行される。

2011年3月のダイヤ改正で土休日ダイヤ朝の下り列車が増発された。一方、平日ダイヤのTJライナー増発に伴う送り込みは回送列車となっており、上り快速急行の増発は行われなかった。

2013年3月16日のダイヤ改正では、午前中の上り列車が新設され(平日ダイヤ2本、土休日ダイヤ3本)、夕方の上り列車も増発された(平日・土休日ダイヤ共に2本)。ただし、土休日ダイヤ上りの最初の1本は、成増および下赤塚 - 北池袋間への接続は行われない。

快速[編集]

2013年3月16日のダイヤ改正で新設された種別。英文表記は「RAPID」。シンボルカラーは水色。字幕車では水色地に黒文字で快速と表記される。フルカラーLED搭載車では水色地に黒縁の白文字で、快速と表示される。3色LED案内表示は緑地の反転で快速となる。快速急行と急行の中間の種別[32]として日中時間帯に運行され、日中の最速達列車として運行される。

停車駅は、快速急行停車駅に成増朝霞台ふじみ野若葉を加えたもの(川越市以南の急行停車駅 + 川越市以北の快速急行停車駅 + 若葉)で、日中毎時2本の運行。ダイヤ改正後は急行が日中毎時4本の運行となることから、和光市 - 川越間では急行とあわせて速達列車が毎時1本の増となる。

ほとんどの列車が成増(下りのみ)とふじみ野で普通列車と緩急接続を行う。また、川越市では同駅発着の準急と、森林公園では同駅発着の急行と接続する。なお、先発する急行とは平行運転を行っている(川越市で緩急接続を行う快速は、同駅で森林公園行き準急と接続する平日ダイヤ下りの最後の1本のみ)ため、下り列車の方が上り列車よりも所要時間が多くかかる。坂戸で越生線と接続し、小川町で寄居方面の列車と接続している。

急行[編集]

全日を通して設定されている。英文表記は「EXPRESS」。シンボルカラーは赤。字幕車及びフルカラーLED搭載車は赤色地に白文字で急行、3色LED搭載車は無点灯地に赤色で急行と表示される。池袋 - 森林公園・小川町の区間で運行されている。

日中時間帯は、池袋 - 森林公園間が3本・池袋 - 小川町間が1本の毎時4本の運転となり、池袋 - 森林公園間は15分間隔で運転されている。ほぼすべての列車が、ふじみ野で準急・普通列車との緩急接続をし、和光市と川越市で普通列車と接続する。また、森林公園発着のうち2本は、同駅で小川町発着の快速と接続する。夕ラッシュ時以降は、川越市で後発のTJライナー・快速急行の待ち合わせを行う列車があるほか、成増で後発のTJライナーの通過待ちを行う列車がある(この場合は川越市での待ち合わせは行われない)。

2008年6月のダイヤ改正前までは、日中および池袋発着21 - 23時台は15分間隔(毎時4本)、朝は10分間隔(朝ラッシュ時は下りのみの運行)、夕方は12分間隔(毎時5本)で運転されていた。

2008年6月のダイヤ改正より、日中は8 - 15分間隔で運転され、日中の毎時1本の準急を川越市以北へ延長し急行としたため急行が毎時5本(日中)となり、平日ダイヤ朝ラッシュ時間帯の上り急行新設、夕ラッシュ時下りTJライナー新設と相まって川越市以北各駅利用者の利便性は格段に向上した一方で、逆に日中毎時3本に減少した準急依存の志木 - 川越間の急行通過各駅では利便性が悪化した[33]ほか、ふじみ野での緩急接続がなくなったために急行列車の所要時間が池袋 - 川越間において1 - 3分ほど増加した。また、この改正では越生線の日中の運転本数は従前の毎時4本(15分間隔)のまま存置されたため、日中に池袋を毎時0分と13分に発車する急行は、坂戸での越生線接続待ち時間がそれぞれ10分、12分と悪化した。

2011年3月のダイヤ改正より、日中時間帯は池袋 - 森林公園の全区間で12分間隔で運転されるようになった(池袋 - 森林公園間が2本・池袋 - 小川町間が3本の毎時5本)。また、池袋 - 川越間の所要時間が2008年6月ダイヤ改正以前と同じ下り30分・上り31分となり、毎時5本のうち3本がふじみ野で、1本が志木で緩急接続を行うようになった。

2013年3月のダイヤ改正では、前述の快速の運行開始に伴い、川越市 - 東松山間の快速通過駅では1本減便となり(2008年6月のダイヤ改正以前と同じ15分間隔)、下り列車の池袋 - 川越間の所要時間が増加している。また、ほとんどの急行列車がふじみ野で緩急接続を行うようになった。なお、日中毎時4本のうち2本のみが坂戸で越生線と接続している(残り2本は快速と接続)。

通勤急行[編集]

平日ダイヤの朝ラッシュ時上り、計6本(概ね15分間隔)のみ設定されている。英文表記は「COMMUTER EXPRESS」。シンボルカラーは紫。字幕車では紫地に白文字通勤急行もしくは桃色地に白文字通勤急行と表示される。3色LED案内表示は赤地の反転。平日朝ラッシュ時間帯は急行・通勤急行・準急の3種別を運転し、1つの種別への乗客集中を避け、遅れを生じないようにしている。4本目と5本目が小川町始発で、それ以外は森林公園始発で運行されている。なお、急行が停車する朝霞台を通過するため、代わりに志木で普通列車との接続が行えるようになっている。

準急[編集]

全日を通して設定されている。英文表記は「SEMI EXPRESS」。シンボルカラーは緑(2013年3月のダイヤ改正までは、青を使用。3色LED表示については2008年6月ダイヤ改正よりオレンジから緑に変更)。駅のフルカラーLED案内表示は緑地にピンク文字。運行区間は朝夕が池袋 - 川越市・森林公園・小川町間、日中が池袋 - 川越市間のみ。

日中は毎時2本(30分間隔)で運転。ふじみ野で急行と緩急接続をし、川越市で快速と接続する。夕方時間帯に、ふじみ野で急行と快速急行(またはTJライナー)の計2本を待避する列車がある。

2008年6月のダイヤ改正まで、朝が8 - 10分毎、日中が15分毎、夕方が12分毎、早朝と深夜が5 - 22分毎だった。また、急行列車の運転時間帯はふじみ野で、後発の急行に待避接続するダイヤ設定であったが、同改正以後、日中は毎時4本から毎時3本に減便されたため、志木 - 川越間の急行通過駅では減便となった。また、ふじみ野での緩急接続もなくなった。

2011年3月のダイヤ改正より、日中は概ね20分間隔での運転となり、このうち下り列車は、成増で急行と緩急接続をする列車・ふじみ野で急行と緩急接続をする列車・川越市まで先着する列車がそれぞれ1本ずつであり、上り列車は、ふじみ野で急行の待ち合わせをする列車が2本・池袋まで先着する列車が1本であった。また、平日ダイヤの夕方ラッシュ時の準急小川町行き4本については、森林公園で森林公園止まりのTJライナーからの接続を行っていた。

かつては朝ラッシュ時間帯の上りの準急がときわ台に停車していたことがあった。これは当時、当該時間帯において準急と普通が平行運転を行っていたため、準急は途中駅での時間調整が必要であったためである。1983年改正当時の時刻表には「ときわ台に準急はとまりません」の注意喚起があった。

普通[編集]

全日を通して設定されている。英文表記は「LOCAL」。シンボルカラーは白ないし黒。3色LED表示はオレンジ(2008年6月までは緑であった)。駅での案内放送・自動放送に対応した車両または車掌によっては「各駅停車」とアナウンスされる。

池袋発着の列車[編集]

池袋 - 成増間の列車が終日運行されるほか、川越市発着(主に日中)、志木発着(朝夕時間帯)、森林公園・小川町発着(主に早朝下りと夜間上り)、上福岡発着(早朝上りと夜間下りの1往復)、上板橋始発(早朝上り1本のみ)、小川町 → 森林公園の区間列車(TJライナーの車両を森林公園検修区に戻すための運用)の列車がある。

日中の池袋発着は毎時8本(概ね7 - 8分毎)が運行され、成増発着が6本・川越市発着が2本運行されている。池袋 - 成増間ではすべての列車が上板橋(下り毎時2本のみ中板橋)で次発の優等列車の通過待ちを行う。ただし、平日ダイヤ朝ラッシュ時の上り列車、夕方以降の一部列車(上下線共)は上板橋・中板橋の両駅で通過待ちをする。日中川越市発着は、成増で快速との緩急接続(下りのみ)、ふじみ野で急行と緩急接続を行う。また、TJライナーが発車する直前に池袋を発車する普通列車は、中板橋でTJライナーと準急(もしくは急行)の2本の通過待ちを行う。

2008年6月のダイヤ改正までは、日中・夜間は7.5分毎で夕方は6分毎で、優等列車の通過待ちはほとんど中板橋で行われていた。同改正以後は、日中時間帯に上板橋にて優等列車の通過待ちを行う列車が設定された。

2011年3月のダイヤ改正より、日中時間帯においても、池袋 - 成増間で優等列車の通過待ちを行わない列車や、急行と準急の2本を待避する列車が設定された。このため、運転間隔が4 - 13分毎とばらつきが出ていた。

2013年3月のダイヤ改正からは、日中時間帯の運転形態が大きく変わり、志木発着が消滅し川越市発着が設定された。なお、ほとんどの列車の優等列車の通過待ちが上板橋で行われるようになったため、成増での普通列車⇔優等列車の乗り換え時間が増加した。

有楽町線直通列車[編集]

有楽町線に直通する列車は、新木場 - 志木・川越市・森林公園間で運転され、全列車が東上線内「普通」・有楽町線内「各駅停車」として全区間各駅に停車する。

日中は新木場 - 川越市間で毎時2本(30分間隔)運転。和光市(下りは急行から普通列車への乗り換えのみ接続)と川越市で急行に接続。ふじみ野での緩急接続はなし。

2008年6月のダイヤ改正で副都心線が開業したことにより、日中時間帯において、新木場 - 川越市間は従前の毎時4本から毎時2本に減便、新線池袋 - 志木間(毎時2本)は副都心線渋谷発着に置き換えられた。また、有楽町線内の種別に準急が新設されたことにより、有楽町線内「準急」の列車が東上線(東上線内は各駅停車)に直通運転していた(平日ダイヤは有楽町線 → 東上線の1本のみ、土休日ダイヤは朝の東上線 → 有楽町線3本と夕方以降の5往復のみ)。しかし、同年11月のダイヤ改正で有楽町線内「準急」の東上線直通列車が廃止され、すべて有楽町線内各駅停車に置き換えられた。

2011年3月のダイヤ改正では、日中時間帯の2008年6月のダイヤ改正による志木 - 川越間の急行通過駅の減便を補うために、新木場 - 川越市間を増発し毎時3本で運転されるようになった。このうち、上下毎時1本はふじみ野で急行と緩急接続を行い、下り毎時1本は志木で急行と緩急接続を行っていた。

2013年3月のダイヤ改正より、日中時間帯は毎時2本(30分間隔)の運転となり、土休日ダイヤにおける志木発着が消滅した。また、平日朝ラッシュ時に豊洲止まりの列車(上りのみ)が新設された。

なお、有楽町線直通列車は後述の副都心線直通列車も含めて東武東上本線内は普通列車のみであるが、2016年度までにこれら地下鉄直通列車の速達化(急行運転)が計画されている[31]

副都心線・東急東横線・みなとみらい線直通列車[編集]

副都心線・東急東横線・みなとみらい線方面に直通する列車は、東上線内はすべて普通列車として「元町・中華街」(一部列車は菊名・武蔵小杉発着) - 志木・川越市・森林公園間で運転されている。

日中は「元町・中華街」 - 川越市間(副都心線内「急行」、東横線・みなとみらい線内「特急」)で毎時2本(30分間隔)運転。和光市と川越市で急行に接続し、ふじみ野で快速の緩急接続を行う。

なお、川越市発着・森林公園発着は全列車が10両編成で運行されており、東横線・みなとみらい線内では各駅におけるホーム有効長の関係から必ず優等種別(特急・通勤特急・急行)で運転される。志木発着は一部列車を除いて8両編成で運転される。

副都心線内では急行・通勤急行となる列車があるほか、各駅停車は「各停」の種別表示を行っているため、すべての直通列車が和光市で種別変更を行う。2008年6月の副都心線開業時のダイヤでは、日中時間帯は渋谷 - 志木間(副都心線内「各駅停車」)が毎時2本(概ね30分間隔)、渋谷 - 川越市間(副都心線内「急行」)を毎時2本(概ね30分間隔)で運転。

2010年3月のダイヤ改正までは、原則として志木発着は副都心線内「各駅停車」、川越市・森林公園発着は副都心線内「急行」・「通勤急行」として運転されていたが、同ダイヤ改正以後は、渋谷 - 川越市・森林公園間の全区間を各駅に停車する列車(主にラッシュ時)や、副都心線内「急行」の志木行き(土休日ダイヤ夜)が新設された。

2011年3月のダイヤ改正では、渋谷 - 志木間(副都心線内「各駅停車」)を毎時1本減便(代わりに新木場 - 川越市間を毎時1本増発)。さらに、日中時間帯の川越市発着のうち、下り毎時1本がふじみ野で急行と緩急接続を行い、上り毎時1本が志木で急行と緩急接続を行うようになった。

2013年3月のダイヤ改正から、東横線・みなとみらい線相互直通運転開始により"渋谷行き"が消滅。また、志木発着が大幅に削減され、平日ダイヤのラッシュ時間帯(朝:上下3本、夕:下り7本・上り6本)のみの運転となった。

小川町 - 寄居間の列車[編集]

この区間は全列車ワンマン運転を行っており、日中は毎時2本(30分間隔)で運転されている。小川町では同一ホームで池袋方面の列車(日中は快速)と接続している。

使用車両[編集]

東武鉄道が保有する有楽町線・副都心線乗り入れ兼用車(9000系、9050系50070系)と地上運用専用車(8000系10000系、10030系30000系50000系、50090型)のほか、直通先の東京地下鉄が保有する7000系10000系東京急行電鉄が保有する5000系5050系横浜高速鉄道が保有するY500系が使用されている。詳細は後節を参照。

編成両数は、池袋 - 小川町間では志木発着の副都心線直通列車の一部に、東京地下鉄・東京急行電鉄・横浜高速鉄道保有の8両編成の運用がある以外は、すべて10両編成で運行されている。小川町 - 寄居間はすべて4両編成である。かつては6両編成の運用も存在したが、2005年3月17日のダイヤ改正で池袋 - 寄居間直通列車が廃止されたことと小川町 - 寄居間ワンマン運転化に伴い消滅している。

かつて、池袋発着の列車にも8両編成列車があったが、2008年6月14日のダイヤ改正で10両編成に統一された。一方、同改正前は東京地下鉄の全編成が10両であったが、改定後は副都心線直通列車に再編成された東京地下鉄7000系および10000系、さらに2013年3月16日のダイヤ改正からは東急5000系・5050系と横浜高速Y500系の8両編成が志木 - 和光市間で運行されるようになった。

また東横線・みなとみらい線への乗り入れ開始により、東横線と東京メトロ日比谷線との乗換駅である中目黒駅では、東上線からの直通用車両(9000系・9050系・50070系)が伊勢崎線(東武スカイツリーライン)・日光線からの日比谷線直通用車両(20000系・20050系・20070系)と同一ホームで並ぶ光景が見られるようになった。

現用車両[編集]

自社車両[編集]

全車両が森林公園検修区所属。

  • 8000系
    • 東上線系統には8両・4両・2両の各固定編成が存在する。かつては6両編成も存在した。池袋 - 小川町間では8両+2両の組み合わせで10両編成で運用され、小川町 - 寄居間では越生線と共用でワンマン仕様車4両編成が限定的に使用されている。一部、秩父鉄道を介して伊勢崎線系統の車両と入れ替える際の回送に対応する編成も存在する。
  • 9000系・9050系50070系(地下鉄直通対応車)
    • 10両固定編成のみの系列であり、主に有楽町線副都心線に直通する運用に充てられるが、東上線池袋 - 小川町間のみを走る地上運用にも入ることがある。また、例外的に9101Fは地下鉄線には入らず、池袋 - 小川町間のみで運用される(詳細は東武9000系電車の項を参照)。
  • 10000系
    • 東上線系統には10両・8両・2両の各固定編成があり、10両単独または8両+2両の組み合わせで10両編成を組み、池袋 - 小川町間で運用される。かつて8両固定は単独運用されていたが、2008年ダイヤ改正で東上線池袋口の全列車10両編成化に伴い、伊勢崎線系統から2両固定編成を転属させて完全10両化を行った。
  • 10030系
    • 東上線系統には10両・6両・4両の各固定編成があり、10両単独または6両+4両の組み合わせで10両編成を組み、池袋 - 小川町間で運用される。かつては4両+4両の8両編成や4両・6両固定編成の単独運用も見られた。30000系の配置などに伴い、2012年からATCに対応していない編成が伊勢崎線や野田線へ転属している。
  • 30000系
    • 2011年から一部編成が伊勢崎線系統から東上線へ転属しており、2013年5月時点では10両固定編成7本が転属している。東上線への転属の際、6両編成と4両編成を連結して10両固定編成にする工事が行われており、池袋 - 小川町間で運用される[34][35]
  • 50000系
    • 10両固定編成のみの系列であり、池袋 - 小川町間の運用に使用される。第2編成以降は副都心線直通運転に向けた準備工事が施工されているが、現時点で地下鉄対応の機器は搭載されていない[36]
  • 50090系
    • 10両固定編成のみの系列であり、単独で池袋 - 小川町間の運用に充当されている。夕方以降は主にTJライナーや送り込みの上り快速急行で運用されるが、他の時間帯については普通・急行などの他の種別にも使用される。クロスシートロングシートとに転換できるマルチシートを備えており、TJライナーと、その送り込みとなる夕方の上り快速急行ではクロスシート、それ以外はロングシートで運行される。

乗り入れ車両[編集]

  • 東京メトロ7000系
  • 東京メトロ10000系
    • 上記2形式は東京メトロ有楽町線・副都心線からの乗り入れ車両であり、10両編成と8両編成がある。
    • 10両編成は有楽町線直通と副都心線直通(主に副都心線内急行・通勤急行)で使用され川越市まで乗り入れる。なお、Yマークの付いたゴールド帯の7000系は有楽町線直通のみで使用されていた(改造や廃車により現存しない)。
    • 8両編成は副都心線直通(副都心線内各駅停車)で使用され、志木まで乗り入れる。2013年3月のダイヤ改正からは、平日ダイヤ朝1本のみの乗り入れとなっている(それ以外の8両編成はすべて東急・横浜高速所有の車両による運用)。
    • 東上線のほか、同じく有楽町線・副都心線と相互直通運転を行う西武有楽町線西武池袋線にも乗り入れており、東上線直通列車の折り返しが西武線直通列車(またはその逆)となる運用もある。
    • なお、同社の車両の森林公園までの定期乗り入れは2008年6月のダイヤ改正で朝の上りと夜の下りに設定されたものの、2011年3月のダイヤ改正で消滅した。現在は走行キロ数調整のための精算運転のため臨時に乗り入れるのみである。また、西武6000系は東京メトロ線を和光市まで乗り入れるが、和光市以遠の東上線には入線できない。逆に、東武鉄道の車両(9000系・9050系・50070系)が小竹向原から西武線に入線することも不可能である。
  • 東急5000系
  • 東急5050系(4000番台も含む)
    • 2013年3月16日の東京メトロ副都心線と東急東横線の直通運転開始に伴い本格的な営業運転を開始。それ以前には、2012年9月10日より東急電鉄から東武鉄道に一部編成が貸し出されて営業運転に入っていた[37]
    • 8両編成は志木まで、10両編成は川越市までの乗り入れとなる。
  • 横浜高速鉄道Y500系
    • 2013年3月16日より営業運転を開始。8両編成のみのため、志木までの乗り入れとなる。

車両運用について[編集]

東上線から有楽町線および副都心線 - 東横線 - みなとみらい線への相互直通列車について、どの列車がどの車両で運転されるかは『MY LINE 東京時刻表』(交通新聞社)の列車番号欄にて判別ができる。列車番号末尾アルファベットの「T」が東武車両(01T以降の奇数番号)、「S」が東京メトロ車両(8両編成は01S - 19S/10両編成は21S以降の奇数番号)、「K」が東急車両(8両編成は01K - 49Kで横浜高速鉄道車両と共通運用/10両編成は51K以降)となっている(「M」は西武車両で02M以降の偶数番号)。なお、列車番号が6桁の数字で表記されている東横線・みなとみらい線では上3桁が運用番号で、800番台が東武車両、700番台が東京メトロ車両、000番台が東急・横浜高速車両となっており(100番台は西武車両)、例えば「01T」の場合は東横線・みなとみらい線では「801」となる。

過去の車両[編集]

女性専用車[編集]

女性専用車
←池袋・新木場・渋谷  小川町→
10両編成
10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
8両編成
8 7 6 5 4 3 2 1

以下の列車に女性専用車が設定されている。なお、東上線池袋発着と地下鉄線直通列車では設定時間帯が異なっている。

  • 平日ダイヤ朝7:24 - 9:28に池袋駅へ到着する上り急行・通勤急行・準急の進行方向最後尾車両(実施区間は全区間)
  • 平日ダイヤ初発 - 9:30に和光市駅へ到着する上り有楽町線直通の全列車と、副都心線・東横線・みなとみらい線直通の全列車の進行方向最後尾車両(同線内は9:30を過ぎた時点で扱いが取りやめとなる。実施区間は全区間)
    • 志木駅7:33始発・志木駅8:02始発の副都心線・東横線・みなとみらい線直通列車は8両編成のため、上り列車の志木方停止位置が10両編成と8両編成で異なる朝霞台駅では乗車位置が他の対象列車と異なる。

8000系も含む在籍全編成に女性専用車を示すステッカーが貼付されている。かつては10000系列も10両貫通編成のみの貼付で、10000系8両編成2本と10030系4両・6両編成にはステッカーは貼付されていなかったが、2008年6月14日のダイヤ改正に合わせて、4両編成ならびに伊勢崎線から転入した10000系2両編成2本の最後尾車両にも貼付された。また、2011年には8000系4・2両編成の最後尾車両にも貼付された。

駅一覧[編集]

  • 普通列車は全駅に停車する。東京地下鉄に直通する列車は和光市駅 - 森林公園駅間の各駅に停車(副都心線方面に直通する優等列車も東上線内は各駅に停車する)。
  • 通勤急行は上りのみ、TJライナーは下りのみ運転される。
  • 接続路線の ( ) 内の英数字は駅番号を表す。
  • 駅番号(駅ナンバリング)は2012年3月17日導入[38]
凡例
●: 停車、|・↑・↓: 通過(矢印はその方向のみ運転)
駅番号 駅名 駅間営業キロ 累計営業キロ 準急 通勤急行 急行 快速 快速急行 TJライナ丨 接続路線・備考 所在地
TJ-01 池袋駅 - 0.0 東日本旅客鉄道埼京線湘南新宿ライン山手線
東京地下鉄○ 丸ノ内線 (M-25)・○ 有楽町線 (Y-09)・○ 副都心線 (F-09)
西武鉄道池袋線 (SI01)
東京都 豊島区
TJ-02 北池袋駅 1.2 1.2  
TJ-03 下板橋駅 0.8 2.0 東日本旅客鉄道:埼京線(板橋駅[* 1]
都営地下鉄○ 三田線新板橋駅:I-17)[* 1]
TJ-04 大山駅 1.0 3.0   板橋区
TJ-05 中板橋駅 1.0 4.0  
TJ-06 ときわ台駅 0.7 4.7  
TJ-07 上板橋駅 1.3 6.0  
TJ-08 東武練馬駅 1.4 7.4  
TJ-09 下赤塚駅 1.5 8.9 東京地下鉄(地下鉄赤塚駅[* 1]○ 有楽町線 (Y-03)・○ 副都心線 (F-03)
TJ-10 成増駅 1.5 10.4 東京地下鉄(地下鉄成増駅[* 1]○ 有楽町線 (Y-02)・○ 副都心線 (F-02)
直通運転区間 ○ 有楽町線 新木場駅まで
○ 副都心線 渋谷駅東急東横線 横浜駅経由、みなとみらい線 元町・中華街駅まで(副都心線では急行で、東横線では特急となる列車もある)
TJ-11 和光市駅 2.1 12.5 東京地下鉄:○ 有楽町線 (Y-01)・○ 副都心線 (F-01)
(両線とも川越市・森林公園方面から直通運転:上記参照)
埼玉県 和光市
TJ-12 朝霞駅 1.5 14.0   朝霞市
TJ-13 朝霞台駅 2.4 16.4 東日本旅客鉄道:武蔵野線北朝霞駅
TJ-14 志木駅 1.4 17.8   新座市
TJ-15 柳瀬川駅 1.5 19.3   志木市
TJ-16 みずほ台駅 1.3 20.6   富士見市
TJ-17 鶴瀬駅 1.4 22.0  
TJ-18 ふじみ野駅 2.2 24.2  
TJ-19 上福岡駅 1.7 25.9   ふじみ野市
TJ-20 新河岸駅 2.4 28.3   川越市
TJ-21 川越駅 2.2 30.5 東日本旅客鉄道:川越線
TJ-22 川越市駅 0.9 31.4 西武鉄道:新宿線本川越駅:SS29)(徒歩連絡)[* 2]
TJ-23 霞ヶ関駅 3.4 34.8  
TJ-24 鶴ヶ島駅 2.2 37.0   鶴ヶ島市
TJ-25 若葉駅 1.9 38.9   坂戸市
TJ-26 坂戸駅 1.7 40.6 東武鉄道越生線
TJ-27 北坂戸駅 2.1 42.7  
TJ-28 高坂駅 3.5 46.2   東松山市
TJ-29 東松山駅 3.7 49.9  
TJ-30 森林公園駅 2.7 52.6   比企郡
滑川町
TJ-31 つきのわ駅 2.8 55.4  
TJ-32 武蔵嵐山駅 1.7 57.1   比企郡
嵐山町
  嵐山信号場 - 60.1 営業キロは概算
TJ-33 小川町駅 7.0 64.1 東日本旅客鉄道:八高線 比企郡
小川町
TJ-34 東武竹沢駅 3.0 67.1              
TJ-35 男衾駅 3.7 70.8               大里郡
寄居町
TJ-36 鉢形駅 2.7 73.5              
TJ-37 玉淀駅 0.9 74.4              
TJ-38 寄居駅 0.6 75.0             秩父鉄道秩父本線
東日本旅客鉄道:八高線
  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 この駅間の乗り換えでの連絡運輸はなし。公式な乗換駅としても案内されていない。
  2. 公式な乗換駅として案内されていないが、駅改札口に本川越駅までの地図が掲出されている。

待避可能な途中駅[編集]

すべて両方向の列車の待避が可能である。

留置線のある駅[編集]

  • 下板橋駅 - 閑散時の車両留置に使用。7本存在する。
  • 上板橋駅 - 10両編成まで対応。以前は8両編成対応であったが、2008年6月のダイヤ改正で池袋発着のすべての列車が10両編成化されたため、10両編成対応に改良された。引き上げ線として1本存在する。
  • 成増駅 - 引き上げ線として1本存在する。
  • 志木駅 - 駅の1番線横に2本、引き上げ線として4本の計6本存在する。
  • 上福岡駅 - 乗り入れ計画があった都営地下鉄三田線の折り返し線として使用する計画もあった。引き上げ線として1本存在する。また、2番線横にも1本存在したが入線することができず、2010年3月頃に撤去された。
  • 川越市駅 - 元川越電車区、現川越工場を併設。駅の1番線横に2本、引き上げ線として2本の計4本存在する。なお、他に工場内の留置線も存在する。
  • 高坂駅 - 主に川越工場出場車の試運転の折り返しに使われる。かつては貨物列車の運転停車にも使われたが、貨物廃止後に行われた駅舎改築時に大規模な構内の配線替えが行われたため、当時の配線はプラットホームを含め現在とは全く異なる。駅のホームを挟む形で2本存在する。
  • 森林公園駅 - 森林公園検修区を併設。有楽町線・副都心線直通列車は当駅が終着である。
  • 小川町駅 - 駅の4番線横に1本、引き上げ線として1本の計2本存在する。駅の横の線路は主に回送列車が使用する。
  • 寄居駅 - 秩父鉄道経由で新車の受け渡し、転入出車、東武鉄道南栗橋工場入出場車の受け渡しなどが行われる。波久礼方に引き上げ線として1本、2番線横に1本存在する。他にも秩父鉄道との間に数本線路が存在するが、現在は使用されていない。

廃駅・廃信号場[編集]

  • 西山信号所(現・池袋 - 北池袋間、1947年5月1日 - 1964年9月14日)
  • 金井窪駅(現・下板橋 - 大山間、1931年9月27日 - 1945年4月15日)
  • 水谷信号所(現・みずほ台駅、1927年2月1日 - 1938年6月1日)
  • みずほ台信号所(現・みずほ台駅、1951年9月1日 - 1954年6月26日)
  • ききょう原信号所(現・ふじみ野駅、1951年9月1日 - 1954年3月1日)
  • 田面沢駅(現・川越市 - 霞ヶ関間、1914年5月1日 - 1916年10月27日)
  • 入間川水泳場駅(現・川越市 - 霞ヶ関間、1920年7月11日 - 1951年8月20日、夏季のみの臨時駅

過去の接続路線[編集]

  • 上板橋駅:東武啓志線
    • 日本が太平洋戦争に敗れ、米軍を中心とした連合国軍の占領下に置かれたため、米軍の住宅地が必要になった。このため、上板橋からグラントハイツ(現在の光が丘)に向けて路線を建設した。「啓志」というのは、当時のグラントハイツ建設工事責任者のケーシー中尉の名から取られた。上板橋より近い東武練馬や下赤塚などから路線を建設しなかった理由は、東京第一陸軍造兵廠練馬倉庫(現在の陸上自衛隊練馬駐屯地)付近まで、上板橋から引き込み線が既に敷設され、それを延長して建設されたためである。
  • 霞ヶ関駅(当時は的場駅):埼玉県営鉄道霞ヶ関砂利線
    • 元は入間川砂利株式会社が建設した専用鉄道、軌間762mmの軽便線。1920年(大正9年)7月20日全通(入間川 - 的場駅、全長2.4km)。1923年(大正12年)県営砂利事業開始のために埼玉県に譲渡された。1957年(昭和32年)(推定)廃止[39]
  • 高坂駅:東武高坂構外側線日本セメント東松山専用鉄道高本線・秩父鉱業東松山鉱業所専用線)
    ファイル:Takasaka Sidetrack Outside The Premises 1.JPG
    高坂構外側線跡(現存しない)
    • 高坂駅 - 葛袋駅 - 高本駅間にあった貨物専用線。1955年10月に開通し後年電化されたが、1984年(昭和59年)8月1日全線廃止。関越自動車道高坂SA - 東松山IC間にかかる架線柱の残された橋が残存していたが、2013年(平成25年)6月3日から4日にかけて撤去された[40]
  • 小川町駅:東武根古屋線
    • 小川町駅 - 根古屋駅。石灰石運搬用の貨物線。1926年(大正15年)開通。1967年(昭和42年)4月1日廃止。

主要駅の乗降客数[編集]

乗降客数は2012年度のものである。東武鉄道の公式ホームページを参考している。

  • 池袋 471,990人
  • 大山 48,733人
  • 上板橋 49,164人
  • 成増 58,233人
  • 和光市 156,394人
  • 朝霞台 149,650人
  • 志木 100,401人
  • ふじみ野 63,292人
  • 川越 123,242人
  • 川越市 34,809人
  • 若葉 36,755人
  • 坂戸 27,255人
  • 東松山 29,684人
  • 森林公園 14,332人
  • 小川町 11,223人
  • 寄居 4,230人

周遊券[編集]

東上線では下記の周遊券を発売している。

かつての特急と秩父鉄道直通[編集]

特急[編集]

フライング東上[編集]

1949年から1962年まで、モハ5310形・クハ350形を使用した有料特急「フライング東上」[41]が、春と秋の行楽シーズンの休日に運転されていた。この愛称はイギリス国鉄(当時)の「フライング・スコッツマン」にあやかったもので、専用のヘッドマークが用意されたほか、音楽を流す放送装置を備え「ミュージックカー」と称していた。

しかし、あまり乗車率は良くなく、1956年頃を境に特急料金は廃止され、さらに1962年には伊勢崎線急行増発のために5310系は本線へ異動になり、8000系などの通勤形電車のみでの運行となった。

行楽急行・特急[編集]

行楽急行として運行開始されたが、1971年急行設定に伴い、種別を「特急」に変更した。秩父鉄道線への直通運転は通勤車両による運行となった後も1992年まで行われていた(後述)。また、愛称も付けられ、先頭車の前面にはヘッドマークも掲出されていた。なお台形のヘッドマーク掲出は1979年11月改正から1987年11月の方向幕表示変更までの8年間である。また1979年以前の特急は川越駅は通過駅であった。

特急に種別変更後の運行形態は次の通りである。

  • 1971年3月1日改正
  • 1977年10月21日改正
    • ちちぶ: 池袋駅 - 三峰口駅 … 秩父鉄道線直通
    • ながとろ: 池袋駅 - 上長瀞駅 … 秩父鉄道線直通
    • 森林: 池袋駅 - 森林公園駅(2往復)
    • 停車駅: 池袋駅・志木駅・川越市駅・坂戸駅・東松山駅・森林公園駅・小川町駅・寄居駅
  • 1979年11月8日改正
    • みつみね: 池袋駅 - 三峰口駅 … 秩父鉄道線直通(休日運転)
    • ながとろ: 池袋駅 - 上長瀞駅 … 秩父鉄道線直通(同上)
    • たまよど: 池袋駅 - 寄居駅(同上)
    • むさしの: 池袋駅 → 森林公園駅、寄居駅 → 池袋駅(同上、2往復)
    • さだみね: 池袋駅 - 小川町駅(平日運転)
    • 停車駅: 池袋駅・志木駅・川越駅・川越市駅・坂戸駅・東松山駅 - 寄居駅間の各駅
  • 1983年8月22日改正
    • みつみね: 池袋駅 - 小川町 - 三峰口駅 … 秩父鉄道線直通(休日運転)
    • ながとろ: 池袋駅 - 小川町 - 上長瀞駅 … 秩父鉄道線直通(同上)
    • むさしの: 池袋駅 → 森林公園駅、小川町(森林公園)駅 → 池袋駅(同上、3往復)
    • さだみね: 池袋駅 - 小川町駅(平日運転)
    • 停車駅: 池袋駅・志木駅・川越駅・川越市駅・坂戸駅・東松山駅 - 寄居駅間の各駅
    • この改正より秩父鉄道線直通は小川町で系統分割。池袋 - 小川町間は8両編成、小川町駅から6両編成の連絡列車に乗り換え。連絡列車は種別サボ表示だった。
  • 1987年種別幕の使用開始に際し、種別と愛称を併記する方式に変更。
  • 1989年10月24日改正で秩父鉄道線直通が復活し、当該列車は小川町 - 寄居間無停車となる。
  • 1991年12月9日改正で土曜ダイヤ実施。土曜日の運行形態は下り「むさしの」2本、上り「さだみね」1本。
  • 1992年3月29日を以て秩父鉄道直通運転終了。
  • 1992年12月1日改正で列車愛称廃止。
  • 1998年3月26日改正で停車駅変更、志木駅を通過し小川町 - 寄居間の各駅に再停車。
  • 2005年3月17日改正より土曜・休日のみの池袋 - 小川町間運転に変更、停車駅に和光市を追加(改正当日は木曜だったため、実際の停車開始は3月19日)。
  • 2005年3月17日改正
    • 停車駅: 池袋駅・和光市駅・川越駅・川越市駅・坂戸駅・東松山駅 - 小川町駅間の各駅(10両)
  • 2008年6月8日をもって特急の運転が終了。
  • 2008年6月14日のダイヤ改正により特急の種別が廃止。代わってTJライナー・快速急行を新設。TJライナーはフライング東上以来の有料列車である。

秩父鉄道直通[編集]

秩父鉄道に直通を開始したのは1949年(昭和24年)4月3日からのことで、当時は準急列車が乗り入れていた。特急「フライング東上」号も長瀞まで直通していた列車もあった。

昭和30 - 40年代には様々な秩父鉄道直通列車が運転され、行楽急行として「みつみね」「ながとろ」「ちちぶ」「うらやま」などの愛称を付けて運転されていた。 特急に種別変更後は池袋 - 三峰口間の「ちちぶ」(後の「みつみね」)、池袋 - 長瀞(上長瀞)間の「ながとろ」に集約され、さらに1979年改正で休日ダイヤのみの運転に縮小される。また1983年改正では、小川町で系統分割が行われる。

しかし、西武鉄道の秩父鉄道乗り入れ開始(当時は野上駅まで)に対抗するため、1989年(平成元年)のダイヤ改正から池袋駅 - 秩父鉄道直通が再開された。

再開にあたり、西武鉄道との対抗上それまで東松山駅以遠が各駅停車だった停車駅体制が見直され、小川町駅 - 寄居駅間の途中駅が全駅通過運転となった。なお、この2列車は全区間8000系6両編成で運行され、混雑を緩和するために小川町発着の10両編成の急行が数分の間隔で前後に運転される方式となった。

そのため、急行の後を追って途中追い抜くことなく運転されたことから、所要時間は急行と大差なかった。また、当時の「ゆぁ東上」では行楽シーズン時には寄居方に増結を行い森林公園で切り離しを行うことがあると書かれていたが、実際には行われていない。

復活時の停車駅は以下の通り。

運転時刻は以下の通り。

  • みつみね号:池袋駅8:20発→三峰口駅10:43着/三峰口駅16:41発→池袋駅18:59着
  • ながとろ号:池袋駅9:00発→上長瀞駅10:48着/上長瀞駅15:10発→池袋駅16:59着

しかし、秩父鉄道が東武鉄道と互換性のないATSを導入することになり、特定車両使用の困難さから1992年(平成4年)3月29日をもって秩父鉄道への直通は中止され、「みつみね」と「ながとろ」は愛称名なしの池袋 - 寄居間の特急となった。なお、これ以後も本線系統との回送があるため、その牽引用として8000系2両編成3本に秩父鉄道のATSを搭載した。また、ほぼ同時期に西武鉄道による秩父鉄道乗り入れ列車の運転区間が野上駅から寄居駅に延長されている(その後、2007年(平成19年)3月6日から運転区間が長瀞駅までに短縮されている)。

2007年7月21日に開催された秩父鉄道・東武鉄道合同リレーイベントでは、森林公園から寄居まで「東武リレー号」を、秩父鉄道では寄居 - 三峰口間の往復で「SLパレオエクスプレス」(貸切扱い)をそれぞれ運転し、寄居駅での接続体制を取った。

脚注[編集]

  1. 1.0 1.1 明治36年12月18日却下『鉄道局年報. 明治36年度』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
  2. 2.0 2.1 「仮免許状下付」『官報』1908年10月8日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  3. 3.0 3.1 「私設鉄道本免許状下付」『官報』1912年11月20日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  4. 4.0 4.1 「軽便鉄道免許状下付」『官報』1912年12月5日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  5. 5.0 5.1 「軽便鉄道免許状下付」『官報』1914年4月22日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  6. 6.0 6.1 「私設鉄道及軽便鉄道運輸」『官報』1914年5月6日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  7. 『鉄道院年報. 大正3年度』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
  8. 8.0 8.1 「軽便鉄道旅客運輸廃止」『官報』1916年3月7日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  9. 9.0 9.1 「私設鉄道運輸開始」、「軽便鉄道免許状返納」『官報』1916年11月2日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  10. 10.0 10.1 「軽便鉄道指定」『官報』1918年3月29日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  11. 『ノスタルジックトレイン No.4』芸文社 2010年 ISBN 978-4-86396-009-1 98ページ。
  12. 『日本全国諸会社役員録. 第21回』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
  13. 官報では高階駅は当初から新河岸「私設鉄道停車場使用開始」『官報』1914年6月23日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  14. 「私設鉄道簡易停車場設置」『官報』1915年4月7日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  15. 「鉄道免許一部取消」『官報』1920年6月3日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  16. 「地方鉄道運輸開始」『官報』1923年10月5日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  17. 「地方鉄道運輸開始」『官報』1923年11月9日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  18. 「鉄道免許状下付」『官報』1924年5月7日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  19. 「鉄道免許一部取消」『官報』1924年5月7日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  20. 「地方鉄道運輸開始」『官報』1925年7月18日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  21. 21.0 21.1 『地方鉄道及軌道一覧. 昭和15年11月1日現在』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
  22. 「鉄道起業廃止許可」『官報』1932年7月26日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  23. 曲名は「passenger」である。
  24. 3月16日(土)東武東上線でダイヤ改正を実施! 東武鉄道 2013年1月22日
  25. 東上線開業100周年記念イベントを実施します! 東武鉄道 2014年1月21日(2014年3月18日閲覧)
  26. 当初は2012年までの導入が予定されていたが、2、3年延期された。
  27. 27.0 27.1 2014年度の鉄道事業設備投資計画についてPDF  - 東武鉄道、2014年4月30日
  28. 東武東上線の立体化と踏切について - 板橋区都市整備部都市計画課・2013年6月14日
  29. お客様の安全のために - 東武鉄道 2013年安全報告書
  30. 東上線立体化調査特別委員会中間報告書 - 板橋区
  31. 31.0 31.1 「東武グループ中期経営計画 2014~2016」の策定についてPDF  - 東武鉄道、2014年4月30日
  32. 快速急行と急行の中間の種別の例は他に近鉄大阪線の区間快速急行が存在した。
  33. ただし、2011年3月のダイヤ改正で副都心線直通の志木発着の列車を有楽町線直通の川越市発着の列車にシフトする形で同区間は毎時1本増発されている
  34. 東武30000系,東上線での営業運転を開始 - 交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース 2011年6月14日
  35. 交通新聞社「鉄道ダイヤ情報」2012年4月号私鉄車両のうごき記事参照。
  36. 交友社「鉄道ファン」2006年1月号「CAR INFO」記事参照。
  37. 東急5050系4000番台が東武東上線・地下鉄有楽町線で営業運転開始 - 鉄道ファン・2012年9月11日
  38. 「東武スカイツリーライン」誕生! 伊勢崎線 浅草・押上 ⇔ 東武動物公園間に路線愛称名を導入 〜 あわせて駅ナンバリングを導入し、よりわかりやすくご案内します 〜PDF  - 東武鉄道ニュースリリース 2012年2月9日(2012年10月26日閲覧)
  39. 山本智之「ふる里で走っていた砂利運びの小さな鉄道 埼玉県営鉄道をめぐって」、中川浩一「埼玉県営鉄道で見かけた2両の蒸気機関車」(交友社鉄道ファン』2004年8月号 No.520 pp.143 - 149)
  40. 関越自動車道 鶴ヶ島JCT〜松山IC間夜間通行止め(2夜間)のお知らせ別紙2 工事概要PDF  - 東日本高速道路、2013年5月9日
  41. 1956年の広告には「特急フライング・トージョー号」と記されている。これは、近刊雑誌では2007年12月刊行の「鉄道ピクトリアル」臨時増刊号(第799号)のP148や、「鉄道ファン」2008年9月号に掲載されている。

注釈[編集]


参考文献[編集]

  • 澤内一晃「東武鉄道東上線の歴史過程」『鉄道ピクトリアル』No.880

関連項目[編集]

外部リンク[編集]