東京メトロ日比谷線
日比谷線(ひびやせん)は、東京都足立区の北千住駅から目黒区の中目黒駅間を結ぶ、東京地下鉄(東京メトロ)が運営する鉄道路線。鉄道要覧における名称は2号線日比谷線である。
路線名の由来は日比谷公園のある日比谷から。車体および路線図や乗り換え案内で使用されるラインカラーは「シルバー」(銀) 、路線記号はH。
目次
概要[編集]
1961年(昭和36年)に、南千住 - 仲御徒町間3.7kmで開業。当時は帝都高速度交通営団が運営していた。
1962年(昭和37年)の都市交通審議会答申第6号において、東京2号線は「中目黒方面より六本木、霞ケ関、築地、茅場町、上野及び三ノ輪の各方面を経て北千住方面に至る路線」として示された。1972年(昭和47年)の同答申第15号では終点が松原団地に改められ、北千住以北は東武伊勢崎線を複々線化することとされた。その後、1985年(昭和60年)の運輸政策審議会答申第7号では竹ノ塚 - 北越谷間の東武線複々線化が示されている。このうち、中目黒 - 北千住間は日比谷線として順次開業した。
都内の北東の北千住と西南の中目黒を、途中銀座を中心として上野・築地・霞ケ関・六本木など要所を経由する路線である。北千住 - 南千住間は、隅田川を渡るため地上区間になっている。ほとんどが開削工法で建設されたため、平面線形は半径200m以下で90度曲がるような急カーブが連続する。基本的には道路の下を通っているものの、カーブのために道路から大きくはみ出す箇所も複数存在する。1964年(昭和39年)の東京オリンピックに全線開通を間に合わせるため、突貫工事で建設された[注 1]。
北千住駅では、東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)および同線経由で日光線と相互直通運転を行っている。2013年(平成25年)3月15日までは、中目黒駅で東急東横線とも相互直通運転を行っていた(後述)。
日比谷線の建設が計画された当初は、東急東横線からの直通列車は8両編成、東武伊勢崎線からの直通列車は6両編成で対応可能と見られていた。これは、既に東横線沿線において宅地開発が進んでいた一方、伊勢崎線沿線はそれほど宅地開発が進んでいなかったためである。このため、中目黒駅 - 八丁堀駅間は各駅のホームが8両編成対応で建設され、八丁堀駅には東横線からの8両編成列車が折り返しが可能な引き上げ線が北千住寄りに設けられた。それ以北(茅場町駅 - 北千住駅間)は6両編成対応で建設された。
ところが、この予想とは逆に伊勢崎線が日比谷線と繋がったことにより、伊勢崎線の利便性が飛躍的に向上し、沿線の宅地開発が急速に進み、同線からの旅客が急増したため、八丁堀駅以北のホームと伊勢崎線直通列車の8両編成化などの輸送力増強が急がれたエピソードがある。6両編成対応で建設が進んだ茅場町駅 - 北千住駅間の一部の駅において、中目黒方面行と北千住方面行とでホームの位置がずれているのは、このためである。
一方、東横線からの直通列車利用客は、二つ先の終着駅である同線渋谷駅まで利用する乗客も多かったため、伊勢崎線からの直通利用客ほど増加はしなかった。
乗り入れ先の伊勢崎線の終着駅は浅草であり、他の首都圏主要通勤路線のようにJR山手線との乗り換え駅が無い。その結果、日比谷線あるいは半蔵門線直通列車や、北千住駅において山手線と接続する他路線(日比谷線・東京地下鉄千代田線・JR常磐線快速電車・つくばエクスプレス)への乗り換え客が殺到し、特に高頻度で相互直通運転を行う日比谷線への直通利用客が多く、主に平日朝ラッシュ時間帯には慢性的に1分から5分程度の小規模なダイヤ乱れが起きている。
伊勢崎線からの都心直通ルートとしては、他に2003年(平成15年)3月19日に全線開業と同時に相互直通運転を開始した半蔵門線もある。半蔵門線と伊勢崎線との相互直通運転を開始した当初は、運行頻度や運賃、所要時間などの面で日比谷線(あるいは北千住乗り換えの千代田線)が優位に立つケースが多いため、さほど混雑は緩和していなかった。しかし、3年後の2006年(平成18年)3月18日のダイヤ改正より半蔵門線直通列車の運行頻度の倍増や優等列車を充実させたことで、半蔵門線へのシフトは確実に進んだ。日比谷線の最混雑区間である三ノ輪駅→入谷駅間の混雑率は、174%(平成13年度)から153%(平成23年度)まで緩和している。
路線データ[編集]
- 路線距離(営業キロ):20.3km
- 軌間:1067mm
- 駅数:21駅(起終点駅含む)
- 複線区間:全線
- 電化区間:全線(直流1500V架空電車線方式)
- 閉塞方式:速度制御式(新CS-ATC)
- 列車無線方式誘導無線 (IR) 方式
- 最高速度:80km/h
- 平均速度:34.3km/h
- 表定速度:28.3km/h
- 最急勾配:39‰(南千住駅 - 三ノ輪駅間)
- 最小曲線半径:130m(茅場町駅 - 人形町駅間)
- 車両基地:千住検車区・千住検車区竹ノ塚分室(東武伊勢崎線内)
- 地上区間:中目黒駅付近・三ノ輪駅付近 - 北千住駅付近 計2.9km
沿革[編集]
- 1957年(昭和32年)
- 1958年(昭和33年)6月10日 用地交渉を開始。
- 1959年(昭和34年)5月1日 工事着工。
- 1960年(昭和35年)10月21日 - 2号線を日比谷線と呼称決定。
- 1961年(昭和36年)3月28日 南千住 - 仲御徒町間(3.7km)開業。3000系車両営業運転開始。
- 1962年(昭和37年)
- 1963年(昭和38年)2月28日 人形町 - 東銀座間(3.0km)開業。
- 1964年(昭和39年)
- 1966年(昭和41年)9月1日 東武伊勢崎線への乗り入れ区間を北春日部駅まで延長。終日6両編成での運転を開始[1]。
- 1968年(昭和43年)1月27日 神谷町駅で車両火災事故が発生、以後鉄道車両の不燃化対策が強化される。
- 1972年(昭和47年)11月21日 広尾駅で車両火災。
- 1981年(昭和56年)3月16日 東武伊勢崎線への乗り入れ区間を東武動物公園駅まで延長。
- 1988年(昭和63年)
- 1990年(平成2年)9月17日 03系5扉試作車の営業運転を開始。
- 1992年(平成4年)6月16日 中目黒駅引上線で衝突事故発生。
- 1994年(平成6年)7月23日 3000系車両が引退。
- 1995年(平成7年)3月20日 地下鉄サリン事件発生。当線は、神谷町駅、霞ケ関駅、築地駅など、営団地下鉄の路線としては最も被害が大きかった。
- 1996年(平成8年)7月23日 北千住駅の改良工事の大部分が完成し、日比谷線の発着は1階の東武線ホームから3階のホームに分離される(全体の完成は1997年3月)。
- 1997年(平成9年)10月12日 営団地下鉄で初のイベント列車「ドリームエクスプレス'97」が東急東横線日吉 - 霞ケ関間で往復運行される(なお、千代田線や有楽町線でも同様のイベントが同時に行われた)。
- 2000年(平成12年)3月8日 中目黒駅付近で列車脱線事故(営団日比谷線中目黒駅構内列車脱線衝突事故)発生、5人が死亡した。営団時代に発生した事故の中で唯一、乗客に死者が出た事故である。
- 2001年(平成13年)3月28日 東武伊勢崎線北千住 - 北越谷間の複々線化工事完成および東急東横線の「特急」運転開始に伴うダイヤ改正を実施。東横線方面からの乗客が2000年(平成12年)9月26日に開業した「東急目黒線 - 営団南北線・都営三田線」のルートに転移していることなどから、東横線との相互直通列車の本数が削減される。
- 2003年(平成15年)10月18日 開業以来使用していたWS-ATCを新CS-ATCに切り換え、ダイヤ改正を実施[2]。最高速度を70km/hから80km/hに引き上げ、一部区間で所要時分が変更。
- 2004年(平成16年)4月1日 帝都高速度交通営団が民営化し、東京地下鉄(東京メトロ)になる。
- 2006年(平成18年)
- 2007年(平成19年)8月23日 東急東横線のダイヤ改正で2008年6月22日の目黒線延伸による工事の関係上日吉駅の2・3番ホームが一時使用停止となったため、日中の日吉発着を菊名発着に変更。これにより東横線直通列車は終日菊名までの直通運転に戻った。
- 2011年(平成23年)
- 3月14日 同月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による発電所の停止に伴う電力供給逼迫のため、東京電力が輪番停電(計画停電)を実施。これに伴い、この日から東武伊勢崎線・東急東横線との相互直通運転が休止される。
- 3月28日 東武伊勢崎線との相互直通運転が全面的に再開される。
- 4月25日 東急東横線との相互直通運転が平日の朝・夕ラッシュ時のみ再開される。
- 9月10日 東急東横線との相互直通運転が全面的に再開される。
- 2013年(平成25年)3月16日 東急東横線と副都心線との直通運転開始に合わせ、東横線と日比谷線との相互直通運転が廃止となり、中目黒駅までの運転となる[3][4]。同時に、東武線への相互直通運転区間を日光線の南栗橋駅まで延長[5][6]。
運行形態[編集]
日比谷線は全定期列車が各駅停車である。北千住駅 - 中目黒駅間の所要時分は43分(表定速度は28.3km/h)。平日朝ラッシュ時間帯は2分10秒間隔、日中時間帯は5分間隔、平日夕刻時間帯は2分30秒間隔の高頻度で運行されている。大半の列車が全区間を通して運行するが、一部時間帯には南千住駅を始発・終着とする列車(両方向とも)や、北千住駅方面からの霞ケ関・六本木の各駅止まり、中目黒駅始発における終電およびその直前には広尾止まりの列車が設定されている。
直通運転[編集]
終着駅である北千住駅において、東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)を経由して日光線南栗橋駅まで相互直通運転を実施している。乗り入れ先である東武線内においても、各駅停車である「普通」として運行する。
日中時間帯の運転間隔は、10分の間に北千住駅発着列車と東武線直通列車が交互に運行されている。東武線直通列車の内訳は、東武動物公園駅発着列車が毎時4本、南栗橋駅発着列車が毎時2本である。
長らく東武動物公園駅までの直通運転であったが、2013年3月16日から南栗橋駅まで相互直通運転区間が延長された[5][6]。上下線とも草加駅とせんげん台駅で急行(半蔵門線経由東急田園都市線直通)に接続する。東武動物公園駅 - 南栗橋駅間は、同日のダイヤ改正で減便された南栗橋発着の半蔵門線直通列車を補完する役割を担っている。日中の竹ノ塚駅 - 東武動物公園駅間の普通列車は全列車が日比谷線直通である。朝夕には途中の竹ノ塚駅、北越谷駅、北春日部駅を始発・終着駅とする列車も運転されている。乗り入れ区間の営業キロは44.3km(うち日光線10.4km)。なお、2013年3月15日までは、日中時間帯における東武線直通列車は、東武動物公園駅発着と北越谷駅発着の交互運転で、2003年3月19日の半蔵門線と伊勢崎線との相互直通運転開始前は、現在よりも多く東武線直通列車が設定されていた。
日比谷線所属車両である03系の車両基地は、南千住駅に隣接する千住検車区と東武伊勢崎線内の竹ノ塚駅に隣接する千住検車区竹ノ塚分室にある。竹ノ塚の車両基地は、かつての東武鉄道西新井車庫を旧営団が譲り受けたものである。2013年3月16日改正ダイヤでは、自社車2本が東武の南栗橋車両管区春日部支所で、東武車2本が千住検車区でそれぞれ夜間留置となる「外泊運用」が組まれている。
運用番号の末尾は、東武車がT、自社車がSである。運用番号は東武車が 01T - 41T、自社車が 02S - 72S の偶数と 61S・63S・65Sである。
なお、2013年3月15日までは、もう一方の終着駅である中目黒駅から東急東横線菊名駅までの相互直通運転を行っていたが、東横線が副都心線(およびその先の東武東上線と西武池袋線方面とも)との相互直通運転を開始した翌16日からは、日比谷線と東横線との相互直通列車は設定されていない[3][4][5][7]。
かつての東横線内乗り入れ区間の営業キロは16.6kmであり、全列車が各駅停車として運行した。早朝および夕方は10分から15分間隔で武蔵小杉駅または菊名駅発着、日中は30分間隔で菊名駅発着であり、途中駅の元住吉駅で特急の通過待ちを行っていた。直通列車は、東横線の特急運転開始前は日中15分間隔であったが、2001年3月28日の特急運転開始と同時に、日中は30分間隔となるなど、本数が大幅に削減され、同時に東横線所属の1000系車両による日比谷線内折り返し列車(中目黒行)が設定されるようになった。この本数削減の代わりに、中目黒駅において東横線との接続が考慮されるようになった。
東京地下鉄の路線のうち他事業者との相互直通運転を行う東西線、千代田線、半蔵門線、南北線、副都心線の運行形態とは異なり、日比谷線は鉄道3事業者以上に跨った乗り入れを行ったことは一度も無い。ただし、直接ではないが、日比谷線の03系車両が「菊名駅→北千住駅→中目黒駅→東武動物公園駅」のように、一日の間に東横線・東武線の両方に乗り入れる運用は存在した。
東横線との相互直通運転が終了した後も、日比谷線所属車両の定期検査は東急田園都市線鷺沼駅に隣接する鷺沼工場において行われるため、東急線内の東横線 - 目黒線 - 大井町線 - 田園都市線を経由する回送ルートが組まれている。このため、中目黒駅構内の両線を繋ぐ分岐器は撤去されていない。
東急車の運用番号の末尾はKであり、運用番号は81K - 85Kで設定されていた。
臨時列車[編集]
ゴールデンウィークやクリスマスなどのシーズンには、菊名駅を超えて横浜高速鉄道みなとみらい線の元町・中華街駅まで直通する臨時列車「みなとみらい号[注 2]」を運転した。この臨時列車は、日比谷線内でも急行列車として運転し、途中の上野駅、仲御徒町駅・秋葉原駅・人形町駅・茅場町駅・八丁堀駅・東銀座駅・銀座駅・日比谷駅・霞ケ関駅・六本木駅・恵比寿駅に停車したが、2007年4月21日のみなとみらい号からは日比谷線内各駅停車に変更されている。車両は東急1000系が使用された。
日比谷線における臨時急行列車は、2003年12月に「東京ミレナリオ号」として急行運転(停車駅はみなとみらい号と同じ)を行ったことがあったが、その際の車両には日比谷線03系車両が使用されていた。
車両[編集]
日比谷線の車両は、建設当時すでに20m車を標準としていた東武から20m車規格が提案されたが、営団がルート上に急曲線が設定できるため用地買収がより容易となる18m車の採用に傾いたため、協議の末に18mが採用された。東急は当時18m車が標準であった[注 3]が、東横線では既に20m車両の走行実績があった[注 4]。しかし、現在では3社とも20m車を標準としていることから、東武は18m車の日比谷線乗り入れ専用車両を製造して乗り入れており、東急もまた18m車の日比谷線乗り入れ専用車両を製造して乗り入れていた。また、建設当時の東急東横線が最大6両編成であったことから当初は6両編成規格で建設されたが、建設途中から8両に変更されている。車両の扉数は片側3扉が標準だが、東京メトロおよび東武の一部車両は編成の両端2両ずつを5扉としてラッシュ混雑時の乗降時間の短縮を図っている。
北千住 - 上野間は東西線用5000系車両の試運転などでの入線実績があり[注 5][8][9]、20m車の入線が可能となっている区間もある。なお、東京メトロ・東武とも、2016年度から、随時20m級7両編成の新型車両に置き換えられることが発表されている(詳細後述)。
車両の号車番号表記は、東京メトロの車両は中目黒側先頭車を1号車、東急の車両は北千住側先頭車を1号車としており、東武の車両は号車番号表記がなかったが、2011年時点では東京メトロ・東武要出典の車両も北千住側先頭車を1号車としている[10]。
東京地下鉄各路線の中で、乗り入れてくる東武車を含めて車内案内表示器にLCDを設置していない車両のみが使用される唯一の路線である[注 6]。
営団線ではシングルアームパンタグラフの車両が初めて使用された路線でもあるが、自社の車両にはそのようなものが現在はない。
自社車両[編集]
- 03系(第09 - 28編成は編成の両端2両ずつが5扉車)
直通先の東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)・日光線では押上駅 - 南栗橋駅・久喜駅間で半蔵門線との相互直通運転も行われていることから、北千住駅 - 南栗橋駅間では半蔵門線用の車両(8000系・08系)と並ぶ光景も見られるほか、中目黒駅では東横線に乗り入れる有楽町線・副都心線用の車両(7000系・10000系)と並ぶ光景も見られる。なお、東横線との相互直通を行っていた2013年3月15日までは、東横線と東急目黒線が並走する田園調布駅 - 日吉駅間で目黒線に乗り入れる南北線用の9000系と並ぶ光景が日常的に見られた。
乗り入れ車両[編集]
- 東武鉄道
- 20000系・20050系・20070系(20050系は編成の両端2両ずつが5扉車)
中目黒駅では、副都心線を介して東横線に乗り入れる東上線の乗り入れ用車両(9000系・9050系・50070系)と並ぶ光景も見られる。
過去の車両[編集]
- 営団3000系(1961年3月28日 - 1994年7月23日)
- 営団3000系の計画当初、ラインカラーの帯取り付けの検討がなされたが「1・2・3等など旧来の等級を感じさせるので好ましくない」との理事の指示により取り止めとなった[11]。
- 東武2000系(1962年5月31日 - 1993年8月1日)
- 東急7000系(初代)(1964年8月29日 - 1991年6月3日)
- 東急1000系(1988年12月26日 - 2013年3月15日)
女性専用車[編集]
日比谷線における女性専用車は、2006年3月27日に乗り入れ先である東武伊勢崎線の日比谷線直通普通列車と共に導入された。
平日朝7時30分から9時までの間に北千住駅に到着する中目黒方面行の全列車において実施されており、途中駅始発・終着列車も対象である。進行方向最後尾車両である1号車に設定され、実施区間は東武伊勢崎線東武動物公園駅→北千住駅→中目黒駅である。東武日光線南栗橋駅始発の列車については、一番列車が9時過ぎに北千住駅到着となるため対象ではない。また、かつて設定されていた東急東横線直通列車については、中目黒駅到着をもって女性専用車の実施を終了し、東横線内では実施されていなかった。
東京地下鉄の駅構内にある出口階段は、車両の最前部または最後部に集中しており、これは他の東京地下鉄路線においても同様である。特に日比谷線は、この前後車両に限って混雑が著しく増大し、列車遅延などの問題が生じたため、03系の一部と東武20050系の前後2両ずつを5扉車とした車両を導入したにも関わらず、その5扉車かつ最も混み合う車両を女性専用車としてしまった。一般車両である隣の2号車は大変混雑し、男性客を中心に大きな反発を受けるなど問題になっているが、東京地下鉄は改善の動きを見せていない。このような事態は、東京地下鉄で女性専用車を導入している東西線・千代田線・有楽町線・半蔵門線・副都心線にも見受けられるが、これら5路線は1両あたりの車体長が20mで10両編成(副都心線の一部は8両編成)であるのに対し、日比谷線の場合は、1両あたりの車体長が18mで8両編成と規格が小さく編成も短い。
駅一覧[編集]
駅所在地はすべて東京都内
駅番号 | 駅名 | 駅間キロ | 累計キロ | 接続路線 | 所在地 |
---|---|---|---|---|---|
H-01 | 中目黒駅[* 1] | - | 0.0 | 東京急行電鉄:東横線 (TY03) | 目黒区 |
H-02 | 恵比寿駅 | 1.0 | 1.0 | 東日本旅客鉄道:山手線・埼京線・湘南新宿ライン | 渋谷区 |
H-03 | 広尾駅 | 1.5 | 2.5 | 港区 | |
H-04 | 六本木駅 | 1.7 | 4.2 | 都営地下鉄: 大江戸線 (E-23) | |
H-05 | 神谷町駅 | 1.5 | 5.7 | ||
H-06 | 霞ケ関駅 | 1.3 | 7.0 | 東京地下鉄: 丸ノ内線 (M-15) ・ 千代田線 (C-08) | 千代田区 |
H-07 | 日比谷駅 | 1.2 | 8.2 | 東京地下鉄: 千代田線 (C-09)、 有楽町線(有楽町駅:Y-18) 都営地下鉄: 三田線 (I-08) 東日本旅客鉄道:山手線・京浜東北線(有楽町駅) | |
H-08 | 銀座駅 (松屋・三越前) |
0.4 | 8.6 | 東京地下鉄: 銀座線 (G-09) ・ 丸ノ内線 (M-16) | 中央区 |
H-09 | 東銀座駅 | 0.4 | 9.0 | 都営地下鉄: 浅草線 (A-11) | |
H-10 | 築地駅 (本願寺前) |
0.6 | 9.6 | ||
H-11 | 八丁堀駅 | 1.0 | 10.6 | 東日本旅客鉄道:京葉線 | |
H-12 | 茅場町駅 | 0.5 | 11.1 | 東京地下鉄: 東西線 (T-11) | |
H-13 | 人形町駅 | 0.9 | 12.0 | 都営地下鉄: 浅草線 (A-14) | |
H-14 | 小伝馬町駅 | 0.6 | 12.6 | ||
H-15 | 秋葉原駅 | 0.9 | 13.5 | 東日本旅客鉄道:山手線・京浜東北線・総武線(各駅停車) 首都圏新都市鉄道:つくばエクスプレス (01) 都営地下鉄: 新宿線(岩本町駅:S-08)[* 2] |
千代田区 |
H-16 | 仲御徒町駅 | 1.0 | 14.5 | 東京地下鉄: 銀座線(上野広小路駅:G-15) 都営地下鉄: 大江戸線(上野御徒町駅:E-09) 東日本旅客鉄道:山手線・京浜東北線(御徒町駅) |
台東区 |
H-17 | 上野駅 | 0.5 | 15.0 | 東京地下鉄: 銀座線 (G-16) 東日本旅客鉄道:東北新幹線・山形新幹線・秋田新幹線・上越新幹線・北陸新幹線(長野新幹線)・山手線・京浜東北線・東北本線(宇都宮線)・高崎線・常磐線(快速) 京成電鉄:本線(京成上野駅:KS01) | |
H-18 | 入谷駅 | 1.2 | 16.2 | ||
H-19 | 三ノ輪駅 | 1.2 | 17.4 | 東京都交通局:都電荒川線(三ノ輪橋) | |
H-20 | 南千住駅 | 0.8 | 18.2 | 東日本旅客鉄道:常磐線(快速) 首都圏新都市鉄道:つくばエクスプレス (04) [* 3] |
荒川区 |
H-21 | 北千住駅[* 4] | 2.1 | 20.3 | 東武鉄道:伊勢崎線(東武スカイツリーライン) (TS-09)(日光線南栗橋駅まで直通運転) 東京地下鉄: 千代田線 (C-18)[* 5] 東日本旅客鉄道:常磐線(快速)、常磐線(各駅停車)[* 5] 首都圏新都市鉄道:つくばエクスプレス (05) |
足立区 |
- ↑ 中目黒駅は他社接続の共同使用駅で、東京急行電鉄の管轄駅である。
- ↑ 秋葉原駅と岩本町駅が至近(約150メートル)にあり、都営新宿線と乗り換えが可能。2013年3月16日から、連絡扱い(メトロ⇔都営地下鉄乗り継ぎ割引適用)が適用されている。参照:平成25年3月16日(土) 東京の地下鉄がさらに便利になりますPDF - 東京地下鉄、2013年2月15日
- ↑ 南千住駅は乗り換え駅としては認められていない。3社とも乗り換え案内は行っているが、連絡業務を行っていない(詳細は南千住駅の項を参照)。
- ↑ 北千住駅は他社接続の共同使用駅で、東武鉄道の管轄駅である。
- ↑ 5.0 5.1 運賃計算などの詳細については北千住・綾瀬間の取り扱いを参照
- 北千住駅から日比谷駅や霞ケ関駅へ向かう場合、茅場町駅・築地駅経由で遠回りとなる日比谷線よりも千代田線の方が所要時間が短い。このため、東武伊勢崎線の乗客が北千住駅で日比谷線に乗車せずに千代田線に乗り換えるケースも多く、朝ラッシュ時の北千住駅千代田線ホームは大変な混雑となっている(詳細は北千住駅の項を参照)。
- 東京地下鉄および乗り入れている東武鉄道・東京急行電鉄ではPASMO・Suica(2008年3月14日まではパスネットも)を利用することができるが、東武伊勢崎線北千住駅・押上駅経由で日比谷線と半蔵門線を乗り継いだ場合および東急東横線自由が丘駅・目黒線大岡山駅経由で日比谷線と南北線を乗り継いだ場合は、PASMO・パスネットの仕様上東武線・東急線の運賃は計算されず、全線東京メトロ経由で計算される。2013年3月16日からはこの例に東急東横線渋谷駅・中目黒駅経由で日比谷線と副都心線と半蔵門線を乗り継ぐ場合が加わった。
- 2009年現在、国土交通省は新鉄道技術省令の解釈基準で電車線の勾配を最大で35‰と規定しているが、三ノ輪 - 南千住間には39‰の勾配が存在する。
付記[編集]
- 2010年1月9日にテレビ朝日系列で放送されたテレビ番組『Directors TV 東京メトロ・山手線・羽田空港・成田空港意外と知らないコト50』では当路線を用いてさまざまなテスト走行が行われ、その様子が放送された。
今後の予定[編集]
上述のように運行開始以来18m級車両が使用されてきた当路線だが2014年4月30日に2016年度から4年計画でこれらを20m級4ドア車両(7両編成)に置き換える計画が東京メトロと東武鉄道の共同リリースとして発表された[13]。これは「将来のホームドア設置における課題を解消」することが目的と明言されており[13]、全車3ドア車と一部5ドア車の混在への対処として行われるもので、車両置き換えが完了した時点で日比谷線の各駅にホームドアを設置するとしている[13]。また、乗り入れ先の東武スカイツリーラインにおいても、東武鉄道広報が取材に対して「(日比谷線車両の20m化をふまえて、ホームドア設置の)検討を開始したい」との言明がある[14]。前述の通り、日比谷線には半径200mを切る急カーブが多数存在することが20m化のネックとされていたが、東京メトロでは今回の決定に先立ち、測定機器を用いて計測を行い、トンネル躯体には大きな手を加える必要がない(一部の標識などは移設の必要がある)ことを確認している[14]。
出典[編集]
- ↑ 1.0 1.1 東京メトロハンドブック2008
- ↑ ニュースリリース 日比谷線の新CS−ATC化工事が完成いたします。日比谷線のダイヤ改正を行います。 - 東京メトロ
- ↑ 3.0 3.1 東急東横線と東京メトロ副都心線 相互直通運転の開始日が2013年3月16日に決定! - 東京急行電鉄 2012年7月24日
- ↑ 4.0 4.1 平成25年3月16日(土)から相互直通運転開始 副都心線と東急東横線・横浜高速みなとみらい線がつながります - 東京地下鉄 2012年7月24日
- ↑ 5.0 5.1 5.2 日比谷線・千代田線・半蔵門線・南北線 平成25年3月16日(土)にダイヤ改正を実施します ― お客様の利便性向上に向けて - 東京地下鉄 2013年2月14日
- ↑ 6.0 6.1 3月16日(土)東武スカイツリーライン・伊勢崎線・日光線ダイヤ改正 - 東武鉄道 2013年2月14日
- ↑ 3月16日(土)に東横線のダイヤを改正します 東京急行電鉄 2013年1月22日(2013年2月15日
- ↑ 帝都高速度交通営団「東京地下鉄道東西線建設史」699頁 - 770頁記事。なお、当時の北千住駅は改良工事前の地上駅である。
- ↑ 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」1987年12月臨時増刊号「帝都高速度交通営団」特集内162頁記事。
- ↑ 乗り換え・出口案内:日比谷線 - 東京地下鉄公式サイト
- ↑ 「鉄道ピクトリアル」2007年10月号
- ↑ 東急1000系が元住吉で5本並んで留置される - 鉄道ファン鉄道ニュース 2013年3月16日(2014年5月18日)
- ↑ 13.0 13.1 13.2 東京メトロ日比谷線、東武スカイツリーラインに新型車両を導入します - 東京地下鉄、東武鉄道 2014年4月30日(2014年5月1日)
- ↑ 14.0 14.1 君は日比谷線の新型車両を知っているか 東京メトロと東武鉄道が2016年度から導入 - 東洋経済オンライン 鉄道最前線 東洋経済新報社 2014年7月26日(2014年7月28日)
脚注[編集]
注釈[編集]
- ↑ 日比谷線とほぼ同時期に建設され、押上 - 新橋間で開業していた都営地下鉄浅草線は同年、新橋 - 大門間を開通させたのみで全線開通がオリンピックに間に合わず、開催期間中に工事が休止された
- ↑ 第1回の運転時は「横浜みらい号」と称した
- ↑ ただし、東横線と日比谷線の直通に際して製造された7000系は、車体幅2,800mm規格で製造されたことから、東急全線で標準車両として運用できる仕様ではなかった(大井町線・池上線等に入線できなかった)。このため東横線以外の各線向けに、車体幅を2,744mm(地方鉄道定規)とした7200系が別に製造されたが、後年7000系もこれらの路線に入線が可能となっている。
- ↑ 東横線では、碑文谷工場で再生されたいわゆる「戦災復興電車」や伊豆急行100系電車など20m車両が試運転ながら走行した実績があった。
- ↑ 東西線が中野まで開通して国鉄と接続された1966年から東西線の深川工場が稼動を開始した1968年まで国鉄で中野 - 北千住間を回送して千住工場で検査が行われたため。
- ↑ かつては東武20050系がLCDを設置していたが後に撤去された。
参考文献[編集]
- 『鉄道ファン』2004年9月号 特集:東京メトロ(交友社)
- 『私鉄電車ビジュアルガイド 東武鉄道』(編者・著者 東武鉄道研究会、出版・発行:中央書院 2003年) ISBN 4887321422
- 『MY LINE 東京時刻表』各号(交通新聞社)
関連項目[編集]
外部リンク[編集]