「PC遠隔操作ウイルス事件」の版間の差分
細 |
細 |
||
45行目: | 45行目: | ||
=== トロイプログラム IESYS.EXE === | === トロイプログラム IESYS.EXE === | ||
+ | [[Image:ゆうちゃんを救う会5.jpg|300px|thumb|ゆうちゃんを救う会]] | ||
トロイプログラム IESYS.EXEには「2・00」「2・23」「2・35」などのバージョンが確認されている。尚、報道等では[[コンピューターウイルス]]と呼ばれるが、このプログラム単体には他のPCなどへ感染を広める機能は無く、厳密には[[トロイの木馬 (ソフトウェア)|トロイプログラム]]に分類される。 | トロイプログラム IESYS.EXEには「2・00」「2・23」「2・35」などのバージョンが確認されている。尚、報道等では[[コンピューターウイルス]]と呼ばれるが、このプログラム単体には他のPCなどへ感染を広める機能は無く、厳密には[[トロイの木馬 (ソフトウェア)|トロイプログラム]]に分類される。 | ||
;IESYS.EXEへの指示 | ;IESYS.EXEへの指示 |
2014年11月22日 (土) 13:28時点における版
PC遠隔操作ウイルス事件(えんかくそうさウィルスじけん)とは、2012年(平成24年)に日本において、片山祐輔がネットの掲示板を介して他者のパソコン (PC) をトロイの木馬(トロイプログラム)に感染させて遠隔操作し、これを踏み台として襲撃や殺人などの犯罪予告を行ったサイバー犯罪である。尚、報道等では、事件で使用された悪意のあるプログラムをコンピューターウイルスと表現しているが、正確にはトロイプログラムである。
目次
概要
事件の経緯
片山祐輔が、インターネット掲示板を介して東京都の男性A・大阪府の男性B・愛知県の男性C・福岡県の男性D・三重県の男性Eの5人の人間が所有するパソコンに対して不正な指令を与えて、所有者の認識しないところでパソコンを操り計13件の襲撃・殺害予告を行わせた。トロイプログラムを感染させたり、犯罪予告の書き込み動作を行わせるためにインターネット2ちゃんねるやしたらば掲示板などの掲示板が用いられた。
興味をもたせクリックしたくなるような巧みな言葉で指定したウェブサイトへのリンクに5人を誘導し、これをクリックさせることで最終的にパソコンが遠隔操作される仕組みになっていた。片山祐輔自身はTorという仕組みを利用して複数の海外のサーバーを経由して掲示板にアクセスしており、自分のIPアドレスを隠蔽していた。
7件の襲撃・殺害予告については、書き込み時のログに残ったIPアドレスを手掛かりにした捜査で愛知県の男性Cを除く、男性A, B, D, Eの計4人の人間が逮捕された。このなかでも大阪府の男性Bについては、アニメ業界で名前が知られていた著名人だったことや、予告内容が航空機の特定の便の爆破であり、当該機が途中で引き返すという大きな実害が生じていたため、逮捕が大きく報道された。尚、他の男性A, D, Eの3人が逮捕された時点では、従前よりネット上でしばしば見られた犯罪予告投稿に関する事件に過ぎないと認識されており、これが遠隔操作の結果であると知られる前には社会的注目度は高いものではなかった。
警察の捜査に対して当初は男性A, B, D, Eの4人とも否認したが、取調べの過程で東京都の男性Aと福岡県の男性Dが容疑を認めた。容疑を認めた男性Aは未成年であったことから保護観察処分となった。一方で、否認し続けた大阪府の男性Bについては起訴に至った。
しかし、三重県の男性Eのパソコンから、事件に関与したと思われるトロイプログラムが発見されたことから、逮捕後に勾留されていた男性Eは釈放された。また、これを受けて大阪府の男性Bのパソコンを再度調査したところ、やはり同様のトロイプログラムに感染していた痕跡があったことが判明したため、トロイ発覚時点ではこの2件の関連性が注目されていた。後に事件で容疑を認めていた福岡県の男性Dも、三重県の事件と同様のトロイプログラム感染が明らかになったことで釈放された。
10月になって片山祐輔から弁護士やラジオ局に「自分が真犯人」と名乗るメールが届いた。このメールの中で、それまでメディアで報道されていなかった6件について触れられていたことや、メディアで報道されていた7件についても公になっていなかった犯行予告の文言などが一字一句同じである等、報道されていない多数の秘密の暴露があったため、片山祐輔からのメールと断定された。
釈放された男性D, Eの2人に嫌疑なしの不起訴処分、起訴された大阪府の男性Bは起訴取り消し、未成年の東京都の男性Aは保護観察取り消し処分となった。
IPアドレスを根拠とした捜査で特定したパソコンの所有者を直ちに容疑者と断定して検挙した事に対しては、パソコンが遠隔操作されるなりすましの可能性が考慮されなかった点、また、逮捕後の取り調べの中で2人が身に覚えがないのに「自身の犯行であると認める」と全面自白に至らしめた経緯についても問題が提起された。
警察は片山祐輔について、脅迫罪、威力業務妨害罪、不正指令電磁的記録作成・同供用罪などの適用を視野に捜査を進めている。
2012年(平成24年)12月12日に、捜査特別報奨金対象事件に指定された。なお、片山祐輔が逮捕された2013年(平成25年)2月10日付けで指定からはずしている。
2013年(平成25年)1月1日未明に、複数の報道機関や記者に「謹賀新年」のタイトルでメールが送付される。発信元は以前と同じメールアドレスであり、従前ここに宛てて送られてきた質問等への回答や、IESYS.EXEのソース・関連ツール等を先着1名に提供するとしている。
1月5日未明に、複数の報道機関等に再度メールが送付される。発信元は以前のメールアドレスを僅かに変えた物である。「江の島の猫にチップを預けた」としており、5日午前中に警察が回収した。
2013年2月10日未明、合同捜査本部は、片山祐輔が事件に関与している疑いが強いとして威力業務妨害容疑で逮捕した。
犯行の手口
意図せず犯行予告に加担させられた男性5人のうち、1人はウェブサイトのセキュリティーの不備をついたクロスサイトリクエストフォージェリ (CSRF) をしかけられた。他の4人は、トロイプログラムを仕込まれたアプリケーションソフトをダウンロード・実行し、そのトロイを介してPCが遠隔操作された。
遠隔操作
- 東京都男性Aの事件 - CSRFによる殺害予告の書き込み
- トロイを用いた遠隔操作ではなく、真犯人XはCSRFを仕掛けたウェブサイトを用意し、これを指し示すリンクを掲示板に書き込んでクリックさせる事で、殺害予告文をターゲットのウェブサイトである横浜市のHPに自動送信を行わせたことが判明している。なお横浜市のHPは、投稿されたデータが入力フォームを介したものであるかを検証しておらず、また、文章を投稿すると確認画面を経ず、直ちに投稿文を受け容れる設計でありCSRF攻撃への対策が取られていなかった。
- 4人の男性B, C, D, Eの事件 - トロイプログラムによる遠隔操作
- 真犯人Xはバックドア機能を持つトロイプログラムである "iesys.exe"(アイシス・エグゼ)を仕込んだフリーソフトをサーバー上に配置したうえで、言葉巧みにこれをダウンロードする様に仕向ける紹介文を掲示板に書き込み、ユーザーにダウンロード・実行させてバックドアを開いた。片山祐輔は、このバックドアを介してユーザーのパソコンに対して情報取得や、ターゲットとなるHPへの犯行予告書き込みの指示を与え、パソコン所有者の認識しないところで脅迫行為に加担させた。
- ユーザーを誘導する舞台となった2ちゃんねるでは、大半の掲示板では海外サーバーからの書き込みを制限しているが、代行スレッドの掲示板ではTorも含む海外のサーバーからの書込みも可能となっていた。片山祐輔はTorで身許を伏せつつ、ユーザーをフリーソフトに誘導する文言を代行スレッドに書き込み「ソフトウェア板の指定のスレッドにこの書き込みをしてほしい」と依頼することで、他人の手を借りて目的の書き込みを行わせることで、ユーザーをリンクに誘導する目的を達成した。この際に、片山祐輔は代行スレッドに、全く関係のない無関係の掲示板利用者の手を介して誘導するリンクを書き込ませて、自覚なく犯罪に加担させた。
トロイプログラム IESYS.EXE
トロイプログラム IESYS.EXEには「2・00」「2・23」「2・35」などのバージョンが確認されている。尚、報道等ではコンピューターウイルスと呼ばれるが、このプログラム単体には他のPCなどへ感染を広める機能は無く、厳密にはトロイプログラムに分類される。
- IESYS.EXEへの指示
- このトロイは稼働中に特定の掲示板(したらば掲示板)を監視しており、ここに書き込まれる命令を読み取って指示された動作を行う。命令は暗号化されており、ここへの書き込みはTorを介して行われた。また、動作完了時には、別の掲示板に動作完了の旨の書き込みを行う。
- IESYS.EXEの機能
- ウイルス対策ソフト会社の解析に拠れば、このトロイは以下の機能を持つとされる。
- キーロガー(キーボード入力情報の取得)
- スクリーンショットの取得
- ファイルのアップロード(パソコン内のファイルを外部に転送する)
- ファイルのダウンロード(ネットから当該パソコンにファイルを転送する)
- 指定ウェブページへのPOST(自動投稿)
- アップデート
- 自身の消去
- これにより、パソコン所有者に関する情報を得る事も可能であり、実際に真犯人Xからの犯行声明の中にユーザーについて言及した事例が幾つか見える。
- IESYS.EXEの特徴
- 流通しているウイルス作成ツールで製作したり、既存のウイルスの亜種などではなく、スクラッチから製作されたまったくの新種である。
- 従来のボットタイプのウイルスがIRC経由で指示を受けるのに対して、IESYS.EXEは特定の掲示板を監視し、そこに書き込まれた命令を解釈・実行する点が異なる。
- 開発ツールとしてMicrosoft Visual Studio 2010を使い、C#(シーシャープ、プログラミング言語)で記述されている。なお、IESYS.EXEの解析者は、Visual Studio 2010が高価なツールであることから、それを所有するプロの犯行であると示唆しているが、無償エディション (Express) も存在する他、有償エディションも一定期間無償で使用できる。また、Visual Studio 2010の有償エディションか無償エディションかは分かっていない。
- セキュリティソフトベンダーによる命名
一連の犯罪予告事件
全部で13件の予告が確認されている。うち7件が報道され、6件は当初報道されていなかった。
東京都男性AのPC遠隔操作事件
遠隔操作されたPCの所有者は東京都に住む19歳の男子大学生である。
- 6月29日(金)15時17分頃 - 横浜市ウェブサイトへ「鬼殺銃蔵」を名乗って横浜市の某小学校で無差別殺人を行う予告を投稿。附属池田小事件を想起させるような内容であった。この犯罪予告をうけて翌6月30日に予定されていた授業参観は中止となった。
この事件をめぐり、神奈川県警によって男性Aが逮捕された。当初は否認していたが、取り調べの過程で容疑を認め、未成年であったことから保護観察処分(実質的な有罪扱い)となった。しかし、犯行声明をうけて殺害予告の当事者ではない事が明らかになり、保護観察処分取消処分となった。この事件は誤認逮捕でなく冤罪事件であり、マスコミの誤認逮捕事件と報じるのは誤りである。
大阪府男性BのPC遠隔操作事件
遠隔操作されたPCの所有者はアニメ演出家である。本人が実名を公表しており、報道等では実名が用いられる。
- 7月29日(日)21時45分頃 - 大阪市のHPの相談窓口ページに「8月5日にヲタロードでトラックとナイフで無差別殺人をする」という内容の犯行予告の投稿。秋葉原通り魔事件を想起させる内容であった。この犯罪予告をうけて、当該場所には警察官約90人が警戒にあたることになった。
- 7月29日(日) - 首相官邸のHPへ「桜田門前で皇居ランナーを無差別殺人」という予告(当初はメディア非公開)。
- 8月1日(水)13時25分頃 - 日本航空のHPの顧客対応窓口に「日本航空の成田発ニューヨーク行きの006便に爆弾を仕掛けた」という脅迫メール。麻原彰晃死刑囚の釈放を要求する内容があった。この犯罪予告をうけて、午前11時54分に成田空港を離陸していた同便(乗客乗員265人)はアリューシャン列島付近から成田空港に引き返した。
この事件についてログに残っていたIPアドレスから大阪府の男性Bのパソコンが特定された。8月上旬に男性はパソコンを任意提出する一方で、任意の取り調べの中では容疑を否認した。捜査機関は約1ヶ月間任意捜査で、「無線LAN無断使用」「CSRF攻撃」「遠隔操作ウイルス感染」「時限設定自動書き込みウイルス」などの可能性を考慮し、第三者の関与を想定して捜査を行った。しかし、捜査機関の当時の解析能力では遠隔操作ウイルスの痕跡は見つけられず、また複数のウイルス対策ソフトによる検査でも不正プログラムが見つからず、第三者の関与の可能性が低いと判断され、この男性Bの犯行と断定して8月26日に威力業務妨害罪で逮捕した。男性は逮捕後も容疑を否認し続けたため、9月14日に偽計業務妨害罪で起訴された。その後、三重県の事件で新種のトロイ感染が発見された事をうけて、改めてパソコンを調査した所、同種のトロイプログラムに感染していた痕跡が確認されたため9月21日に釈放され、起訴取り消し処分となった。
愛知県男性CのPC遠隔操作事件
遠隔操作されたPCは男性Cが勤務する会社の事務所内のものであり、犯行声明では具体的な社名について言及している。
- 8月9日(木)10時41分頃 - 2ちゃんねるにコミケで殺害予告を5回書き込み(当初はメディア非公開)。8月10日から8月12日までの3日間、東京ビッグサイトで「コミックマーケット82」が開催予定であった。なお、2013年2月10日に逮捕された被疑者の逮捕容疑は、このコミケ襲撃事件に関する威力業務妨害であった。
- 8月9日(木)10時59分 - 2ちゃんねるに天皇殺害予告と書き込み(当初はメディア非公開)。
この事件については男性Cは逮捕されなかった。
福岡県男性DのPC遠隔操作事件
- 8月27日(月)17時頃 - お茶の水女子大学附属幼稚園のHPへ始業式に悠仁親王及び園児らへの殺害を予告するメール。その際に「わるい天皇制を終わりにしてやる」の文言があった。
- 8月27日(月)夕方 - 学習院初等科のHPに始業式に愛子内親王及び児童らへの殺害を予告するメール(当初はメディア非公開)。その際にお茶の水女子大学附属幼稚園事件同様に「わるい天皇制を終わりにしてやる」の文言があった。この犯罪予告メールは迷惑メールに分類されていたため、真犯人Xの犯行声明が明かされるまで犯罪予告が送られてきたことに気付かなかった。
- 8月27日(月) - 芸能事務所ジョビィキッズプロダクション(芦田愛菜所属事務所)のHPへ芦田愛菜の殺害を予告するメール。
- 8月27日(月) - 部落解放同盟中央本部のHPへ部落民殺害と本部襲撃予告をメール(当初はメディア非公開)。部落解放同盟は「本気とは思わず、その後も何も起きなかったので警察に届けなかった」と説明している。
- 8月27日(月)20時21分 - 2ちゃんねるに東京ビッグサイトで9月2日行われるAKB48の握手会でAKBメンバーの殺害予告の書き込み(当初はメディア非公開)。なお書き込みには「はだしのゲンの勝子みたいになれ」の文言など、AKBメンバーにネガティブな表現が書かれていた。
2012年9月1日に男性Dがお茶の水女子大学附属幼稚園事件で逮捕された。当初は否認していたが、警察の調べの過程で容疑を認めた。罪を認めたのは同居女性が予告に関与していたと考え、これを庇い罪が及ぶのを防ぐためだったと報道されている。しかし、東京地検に送致された後は否認に転じた。勾留期限満了日となった9月21日にお茶の水女子大学附属幼稚園事件で起訴不起訴の判断をせずに処分保留として継続捜査の対象とする一方で、芦田愛菜所属事務所事件で再逮捕をして身柄拘束を続けた。福岡県の男性のパソコンには、マイドキュメントフォルダに芦田愛菜所属事務所への犯罪予告メールと同じ内容のテキストファイルが残っていた。
9月21日は三重県の事件における男性Eのパソコンがトロイに感染していると判明した日であるが、再逮捕時点では福岡県男性のパソコンに関連があると判明していなかった。その後、福岡県の男性Dのパソコンにも三重県の男性Eと同様にトロイプログラムに感染していたことが判明していたため9月27日に釈放され、嫌疑なしの不起訴処分となった。
三重県男性EのPC遠隔操作事件
- 9月10日(月)15時34分~15時43分 - 2ちゃんねるに3連休中における伊勢神宮に爆破予告を4回書き込み。その際に「悪い日本の全体主義、軍国主義を打破」「伊勢神宮のボスは今すぐ従軍慰安婦・強制連行・南京大虐殺被害者に土下座したあと切腹しろ」の文言があった。これにより、神宮司庁の職員らの配置人数を増やし警備を強化することになった。
- 9月10日(月)16時10分~16時45分 - 2ちゃんねるに任天堂本社爆破予告を5回書き込み。その際に「花札屋の歴史はこれで最後だ」の文言があった。任天堂は9月13日に新型ゲーム機「Wii U」の発売日や価格等に関する新発表が予定されていた。
9月14日に三重県男性Eが逮捕された。トロイプログラム感染に絡む今回の事件において、2ちゃんねるへの書き込みで逮捕者が出たのは初めて。
逮捕された三重県の男性Eは容疑を否認。大学時代に電気学科に在籍して、パソコンに精通していた三重県の男性Eは三重県警察の尋問に対し、一例として遠隔操作の手法を説明。この男性EのPCについては、他の3人とは異なり、トロイプログラムが消去されずに残っており、逮捕から4日後の9月18日頃からより詳細な解析を実施したところ、新種のトロイプログラムに感染していたことが判明した。逮捕から7日後の9月21日に釈放され、嫌疑なしの不起訴処分となった。
他の男性B, C, Dの3人の被疑者のパソコンと異なり、男性Eのパソコンにのみトロイプログラムが残っていたことについて、片山祐輔の犯行声明では「この時だけ、わざとトロイ(ウイルス)を消さないでおきました。彼らを釈放するのか、犯人扱いのままか、警察がどう出るか試す意図がありました」とあり、トロイプログラムを意図的に残していたと主張している。一方で男性Eは、誘導サイトからトロイプログラムを仕込まれたフリーソフトをダウンロードした約30分後に、最初の犯罪予告事件である伊勢神宮爆破予告が書き込まれているが、パソコンの動きが遅くなったことに気づいてダウンロードから約1時間後にトロイプログラムを自分で停止させており、このため片山祐輔による遠隔操作が不可能となってトロイプログラムの削除もできなくなった可能性もある。
2ちゃんねる代行スレ関連
2ちゃんねるのシベリア超速報板・レス代行スレ関連で片山祐輔がサイトに誘導するため、以下のような書き込みがあった。
犯行声明等
これまでに2012年10月、11月、2013年1月の3回、自称真犯人Xから自身の犯行についてのメールが弁護士や報道機関に届けられている。
- 2012年10月
- 10月9日(火)23時22分 - 落合洋司弁護士宛に片山祐輔から上記事件の犯行告白を主旨とするメールが送信される。
- 10月10日(水)22時20分頃 - TBSラジオの番組『ニュース探究ラジオ Dig』宛に、番組生放送中に片山祐輔から前述の事件に関して犯行目的や犯行内容の詳細、および他の類似の犯行予告事件への関与などが記述された投稿が送られてくる。なお、この日の番組のテーマはコンピューターウイルスの問題を取り上げた「ネットウイルスの実態」を放送中であった。落合洋司弁護士もこの日の番組に生出演していた。
- 2012年11月
- 11月13日(火)23時54分 - 落合洋司弁護士や報道機関宛てに「ミスをした。捕まるのが嫌なので自殺する」旨の自殺予告メールが送信される。メールに添付された写真には人形と、首吊りの縄に見立てた青いLANケーブルとカッターナイフと梱包用テープと当日朝刊の神奈川新聞が写っていた。写真のEXIF情報には撮影時の位置情報が記録されており、千葉県鎌ケ谷市の畑地を示すデータが記録されていた。なお、本来は位置情報は緯度・経度の度・分・秒の小数点以下については60進数表記で示されるものだが、これを100分率表記と見做すと横浜市のある団地に当たり、近傍に東京の男性Aの事件で襲撃が予告された小学校があった。ここから横浜市の団地と千葉県鎌ケ谷市の畑地周辺に警察が聞き込みをかけるも、自殺者や送信元に関する情報は確認されなかった。また、EXIF情報には通常含まれるはずのデータが欠けているなど不自然な点が見られることから改竄されている可能性があり、捜査かく乱を目的に電子メールを送信した可能性がある。
- 2013年1月
- 1月1日(火)午前0時18分、片山祐輔から「謹賀新年」のタイトルで複数の報道機関や記者にメールが送られた。メールには添付ファイルの中にある5題のクイズが出題されており、一つの問題を解いて得られる解答をパスワード等として次の問題を入手できる様になっている。
- 第1問 - 問題として与えられる画像では、韓国の漫画キャラクターが話しているハングルとテレビゲームのキャラクターが話している架空言語のセリフが現れ、これを翻訳することでパスワードが得られる。
- 第2問 - パスワードでファイルを開くと85個のPNGファイルが得られる。その内84個はアイドルグループ「モーニング娘。」の顔写真であり、1つは画像ではない。これらのファイルを画像結合ソフト「Love Machine」(ファイル偽装・分割を行なうためのツール)で結合し、第一問で得たパスワードを与えると本来の画像ファイルが復元される。この画像ファイルが第3問になる。
- 第3問 - 問題で与えられるのは画像ファイルとその解読方法であり、画像ファイルは13手詰みの詰め将棋である。将棋専門誌「将棋世界」2012年1月号に掲載された詰め将棋の問題と同一であった。詰将棋の解答の棋譜がパスワードになる。
- 第4問 - 問題で与えられるのは音声ファイルである。単純に再生すると判別できないが、逆再生すると「パスワードは警察庁長官の氏名、ヘボン式ローマ字半角小文字で」と聴こえ、それが次のパスワードになる。
- 第5問 - 第4問で得たパスワードを使うと2枚の写真並びにテキストファイルが得られる。写真は山頂三角点を写したもので、EXIF情報から東京都奥多摩町の雲取山(東京都、埼玉県、山梨県の三都県境付近)の場所が示される。この三角点の傍にIESYS.EXE関連資料やFAQを記録した記憶媒体を埋めたとする内容。
- 1月2日午後になって警察が該当する地点を捜索したが、記憶媒体は見つからなかった。また、写真の画像データは撮影日などの情報が含まれず、また、メールに添付された雲取山の写真には登山愛好家のサイトに掲載された写真と構図や影の位置などが酷似していたため、写真流用疑惑が浮上し、登頂を疑う見方が出た。但し、片山祐輔は5日のメール等で、埋め方が浅く飛ばされたと主張している。
- 1月5日(土)午前0時34分、真犯人Xから「新春パズル ~延長戦~」のタイトルで25人の弁護士・個人や報道機関にメールが送られた。メールには添付ファイルの中にある3題のクイズが出題された。
- 同日9時頃に報道機関と警察が当該猫を発見し、警察がチップを回収した。目撃情報などから1月3日夕方から1月4日夕方にかけて当該猫に首輪がつけられたと見られている。江の島の防犯カメラには、不審な男性複数が、猫に首輪をはめて、写真を撮る様子が記録されているという。江の島では1ヶ月前の2012年12月21日に万引き防止のために35台の防犯カメラが設置されていた。
捜査の問題点(報道されているもの)
片山祐輔の行為で複数の男性が冤罪となったことについて、マスコミのみならず警察庁OBからも問題を指摘する声が上がっている。
- 東京都の男性Aを巡る問題
- 事件の真犯人Xからの犯行声明によれば、関与したものには東京の男性Aが小学校を襲撃するという書き込みを行ったとして神奈川県警に逮捕された事件(横浜市小学校襲撃予告事件)も含まれており、この事件では被疑者が当初犯行を否認していたにも関わらず、最終的に犯行を認めて保護観察が確定している。ことに、殺害予告で名乗った「鬼殺銃蔵」の自称につき、日本酒の銘柄「鬼殺し」からとった、忌み数である13からジュウゾウと読ませた、などの合理的な根拠ある説明がなされ、小学校を狙った理由についても具体的に動機を供述した自白調書や上申書が作成されていた。そのため何らかの誘導により自白を迫ったのではないかという疑いが浮上し、神奈川県警は既に審判が確定した男性Bに再度事情聴取を行うこととなった。
- また、約250字の予告文を書き込むのに要した時間がわずか2秒であり、書き込みを受けた横浜市も疑問を抱いていたが、警察側は、特殊なソフトを使えば可能と判断し、裏付け捜査を怠っていた。2秒で250文字を書き込んだ方法について男性Aを厳しく追及し「一心不乱に打ち込んだ」という供述を引き出した。
- 12月15日、神奈川県警は「自白の強要や誘導はなかった」と検証結果を発表したが、男性Aの供述には犯人しか知りえない情報が含まれており、強要・誘導なしに、犯人しか知りえない情報を自供したという矛盾が残ったままの幕引きを行った。また、横浜地検は、検察官の取り調べに違法、不適正な行為は認められなかったと発表しており、司法サイドでは冤罪を防ぐシステムにはなっていないことを事実上認めたままやり過ごす状態となっている。警察庁は「サイバー犯罪の捜査でIPアドレスに頼りすぎないことや、裏付け捜査を徹底するように指示した」と発表しており、IPアドレスに頼りすぎたり、裏付け捜査を行わなくても、世間に知れなければ警察・検察には不利益が生じないことを示唆した内容となった。
- 大阪府の男性Bを巡る問題
- 三重県の男性Eについては捜査段階でなりすましに気づいたのに対して、大阪府の男性Bを逮捕した大阪府警は不正プログラムを使ったなりすましに気付かず、IPアドレスが「指紋」に相当する証拠と位置付け、これを根拠に起訴まで行っていた。また、書き込みには男性Bの実名が記載されており、犯行予告としては不自然な点が見られ、一方でふりがなは間違って記載する(犯行予告では実名の漢字を実際とは異なる読み方としていた)など不自然な内容であった。尚「間違ったふりがな」については、本人が過去にパソコンで使用していたニックネームだったと指摘する報道も出ている。
- しかし、男性Bが犯行を否認し続けたにも関わらず、上記の「実名を添えた」点については「他に証拠がなければ警察も手が出せまい」と舐めてかかる「警察に対する挑発」であり、「ふりがなを誤っている点」は「この期に及んで人違いを偽装する」警察の捜査能力を舐めてかかるものでやはり「警察に対する挑発」と断定して起訴を行った。そのため、三重県の事件で遠隔操作が判明しなければ有罪になる可能性があった。
- 大阪地検内部では「大人数で警戒して大騒ぎになったので、立件するしかないという空気になっていた」という。男性Bは「犯行を認めれば罪が軽くなる」(利益誘導に当たる)と言われたと証言していることから、冤罪を招くとして禁止されている違法な捜査を行っていた可能性が示唆されているが、警察は利益誘導を否定している。なお、利益誘導による取調べは陸山会事件でも裁判長より「冤罪を招く危険な方法であり、到底認められない」と強く非難されており、現在の判例では利益誘導による自白は任意性を欠き、証拠として認められないという指摘もあり、過去にも自白の強要があった事件は多数報告されるが、警察は一貫してその事実を否定する。その一方で、取り調べの可視化は断固として反対しており、その警察の態度自体が、違法な取り調べが行われていることを裏付けているものと指摘される。
- パソコンウイルスやCSRFによる第三者の犯行の可能性の考慮不足問題
- 大阪府の男性Bについては逮捕前にパソコンウイルスやCSRF等の第三者による犯行の可能性が考慮されて捜査されていたが、それ以外の3人については逮捕前にパソコンウイルスやCSRF等の第三者による犯行の可能性が考慮されていなかった。
犯人像
片山祐輔の犯人像について学者、ネット関係者、評論家、マスコミなどでは以下のことが推理されていた。
- 日本人である可能性が高い
- プログラムに見えるメッセージの一部に日本語が含まれ、また、動作結果を掲示板に書き込むにあたり日本語で書き込まれることから、トロイの作成者や関係者に日本人が関わっていると見られる。また、指示を出すにあたり日本語の掲示板を介しており、日本のインターネット事情に通じていると指摘されている。
- プログラムの作成に長けている
- トロイプログラムは、既存のウイルス制作ツールを用いて作られたものでも、既存のウイルスを改造した亜種でもなく、独自に作られたものと見られる。なお、犯行声明にも自身でスクラッチから作成したと表明されている。
- 男性の可能性が高い
- 芦田愛菜殺害予告における殺害手法は女性としての人格を否定するような表現である等から。
- 几帳面な性格の人間の可能性が高い
- 個人作成のウイルスに番号を付けるのは珍しい中でプログラムの改良を重ねた際にバージョン番号「2・23」「2・35」がネット上で確認されていることから。
- 普段文章を作成する際に一文ごとに改行する人間の可能性が高い
- 犯罪予告及び犯行声明メールの文章はすべて一文ごとに改行されていることから。
- 地域から連想する場所を挙げる際に「大阪→オタロード」「三重→伊勢神宮」を連想する人間の可能性が高い
- 犯行声明メールによるとパソコン感染をさせた人間の居住地に近い場所を予告するとして「大阪に住んでいることも分かったので、日本橋のオタロードを対象に選定」「三重在住だと分かったので伊勢神宮をターゲット」と書いており、大阪府の男性のパソコンには大阪絡みの場所としてオタロードを、三重県の男性のパソコンには三重絡みの場所として伊勢神宮をそれぞれ襲撃対象にしたことから。なお、三重県の男性が誘導サイトからダウンロードした約30分後に伊勢神宮爆破予告が書き込まれており、片山祐輔は長くても約30分間の時間で三重から伊勢神宮を連想した可能性がある(一方で、47都道府県分の襲撃対象をパソコンを感染させる前にあらかじめ長い時間をかけて考えていた可能性もある)。
- なお、犯行声明メールでは福岡県の男性のパソコンについて「福岡在住だということは分かったけれど、今回は居住地を反映させる予告にはしませんでした」と書いて、犯罪予告の対象は全て東京(お茶の水女子大学附属幼稚園・学習院初等科・芦田愛菜所属事務所・部落解放同盟中央本部・東京ビッグサイト)になっている。
- 「伊勢神宮襲撃」に「悪い日本の全体主義、軍国主義を打破」「従軍慰安婦・強制連行・南京大虐殺に対する謝罪要求」を連想する人間の可能性が高い
- 伊勢神宮事件では乗っ取った男性のパソコンの所在地が三重県とわかってから伊勢神宮を襲撃対象とした際に、「悪い日本の全体主義、軍国主義を打破」「従軍慰安婦・強制連行・南京大虐殺に対する謝罪要求」と送信していることから。
- 真犯人Xは長くても約40分の時間で伊勢神宮への脅迫内容として「悪い日本の全体主義、軍国主義を打破」「従軍慰安婦・強制連行・南京大虐殺に対する謝罪要求」を考えたことになる。ただし、予め47都道府県分の襲撃対象に対応した脅迫文を予め用意しておき、たまたまユーザーの所在地が三重県と分かったことから「伊勢神宮襲撃」を選んだ可能性もある。
- 横浜市の某小学校を知っている人間
- 知名度が高い他の場所と異なり、1件のみ社会的知名度がない横浜市の某小学校を襲撃対象にしたことから。最初に起こした事件であり、連続放火などでも身近な場所から始める傾向があるとして事件前から横浜市の某小学校に何かしらの因縁がある可能性があるが、事件直前に自分に全く関係のない場所にある横浜市の某小学校をネット検索等で偶然見つけた可能性もある。
- 2011年11月13日になって自殺予告メールが届いた際に添付された写真には同日の神奈川新聞が映っているのが確認できるが、新聞の入手方法は自宅宅配か遠方の店舗購入かは不明。
- しかし、捜査撹乱目的による自殺予告メールで添付された写真に神奈川新聞が映っていることや撮影位置情報では横浜市の某小学校近くを意図しており所在地を神奈川県横浜市とミスリードしていたことから、横浜市及び神奈川とは縁が薄い可能性もある。
- 関東圏にゆかりのある人間の可能性がある
- 犯行声明メールで『(自己削除コマンド名について)「自殺」を意味する英語「suicide」にしようと思ったのですが、プログラム実装してたときにスペルを度忘れしてしまったので、適当に設定しました』とあるため、自己削除コマンド名を「suica」としたのはとっさの判断と考えられるが、「suic」(suicideの最初4文字)という文字配列について横浜市を含む関東圏とゆかりがあるために無意識にJR東日本で使われるICカード乗車券の「Suica」を連想した可能性がある。
- また関東圏のラジオ局であるTBSラジオにメールを送っているため、TBSラジオ視聴者と想定されるが、TBSラジオの番組はパソコンのネットを通じて日本全国から聴くことが可能であり、TBSラジオが送信している電波は夜間であれば高感度のラジオ受信機を用いればほぼ日本全国で受信可能であるため、TBSラジオ視聴という理由から片山祐輔が関東圏内在住とは特定できない。
- 2012年11月13日朝刊及び2013年1月4日の神奈川新聞を入手した人間
- 犯人からのメールに神奈川新聞2012年11月13日朝刊と神奈川新聞の2013年1月4日朝刊が写真が載っていることから。
- 神奈川新聞は約22万の発行部数数で神奈川県内の個人宅や事業所に配達されているが、神奈川県内のコンビニ等の売店でも購読できる。神奈川県内でも地方ごとで異なる点があるが、写真に写っている新聞紙では地方の違いは確認できなかった。
- また、写真がメール送信されたのは神奈川新聞を入手してから送信までの時間が長くて18時間もあるため、メール送信場所が神奈川県内とは特定できない。
- 漫画やアニメやゲーム等のサブカルチャーへの親和性がある人間の可能性が高い
- 犯罪予告に「はだしのゲン」を出したり、オタロード・コミケ・任天堂を襲撃対象にしたり、漫画やアニメやゲームなどのサブカルチャーがテーマになっていることから。
- また、サブカルチャーへの親和性は大阪絡みの場所としてオタロードを連想するレベル、又はゲーム会社の任天堂は花札が主力商品だった過去について知っているレベル、「トンチャモン」を知っているレベル、和製RPGで登場する架空言語を知っているほどゲームをプレイしているレベル、自殺予告メールで添付された写真に写っている人形を所有するレベルであると推理される。一方で、犯罪予告においてオタロードやコミケに集まる人たちのことを「キモヲタ」と表現している。
- テレビタレントとして「芦田愛菜」「AKB48」を連想する人間の可能性がある
- 犯罪予告で「芦田愛菜」「AKB48」を襲撃対象にしたことから。「芦田愛菜」の表記について犯罪予告では「芦田愛菜」と呼び捨て、犯行声明メールでは「芦田愛菜ちゃん」とちゃんづけになっていた。
- 警察・検察に敵意を抱いている人間の可能性が高い
- 犯行声明メールに「警察・検察を嵌めてやりたかった、醜態を晒させたかった」「警察の強引な取り調べ」「警察がどう出るか試す意図がありました」「警察・検察の方へ」「あそんでくれてありがとう」「またいつかあそびましょうねーーー[1]」とあることから。犯行声明メールには「秘密の暴露」「警察の強引な取り調べ」とあり、刑事訴訟に関する理論に一定の知識がある可能性がある。また「パソコン感染をさせた人間の居住地に近い場所の予告」「感染パソコンに同様の犯行予告本文が書いてあるテキストファイルを残す」など、捜査機関をミスリードするような手法を意図的に行っている。
- 「警察に逮捕・事情聴取されたことがあって恨みがある、もしくは、警察に何かを訴えたが相手にされずに悔しい思いをしたなどの経験」を持つ可能性がある。一方で横浜市某小学校事件では「殺し疲れたらそのまま銃で自殺します」とオタロード事件では「その後自殺します」とそれぞれあるため、犯行予告をした片山祐輔は架空の自分について「自分自身が生きたまま逮捕されて警察権力の取調べに立ち向かったり裁判という舞台で国家権力と闘う姿勢は無く、逆に現実逃避をしたがっている」という人間性を無意識に投影しており、その人間性が真犯人Xの実生活における本性になっている可能性がある。捜査機関をあざ笑う犯行声明について、グリコ・森永事件のかい人21面相を彷彿とさせるという意見もある。
- また、2013年1月5日の犯行声明から警察が回収したSDカードには、「自分は以前、事件に巻き込まれたせいで、無実にも関わらず、人生の大幅な軌道修正をさせられた」という主張が見えるという。
- 報道機関が報道するような社会的知名度のある事件・事象・組織・場所・人物について知識のある人間の可能性が高い
- 報道機関が報道するような社会的知名度のある日本航空、麻原彰晃死刑囚、皇居ランナー、天皇、悠仁親王、愛子内親王、部落解放同盟、東京ビッグサイト、伊勢神宮、全体主義、軍国主義、従軍慰安婦、強制連行、南京大虐殺、任天堂を扱っていることから。
- これらのことに「はだしのゲン」を加えて政治的思想信条が読み取れる可能性があるが、「警察が大騒ぎしそうな対象を選んでいるだけで、政治的意図、思想信条は読み取れない」という意見もある。
- 皇室に否定的ではない人間の可能性が高い
- 犯行予告では皇居ランナー殺害・皇族殺害・天皇殺害・伊勢神宮爆破など皇室を否定的に書いていたが、犯行声明メールで「悠仁さま」「愛子様」と表記して皇室を肯定するかのような表現をしていることから。
- 神社に関する知識に疎い可能性がある
- 伊勢神宮事件において「伊勢神宮のボス」と表記していることから。そのため、伊勢神宮の神職最高責任者である祭主(池田厚子)に関する知識には疎い可能性がある。
- 「suicide」(自殺)のスペルを度忘れしてしまうくらいであり英語力は完璧ではない人間の可能性が高い
- 犯行声明メールで『(自己削除コマンド名について)「自殺」を意味する英語「suicide」にしようと思ったのですが、プログラム実装してたときにスペルを度忘れしてしまった』とあることから。
- オウム真理教事件に何かしらの意識を強く持っている可能性がある
- オウム真理教事件にまつわる人物や言葉について書かれていることから。
- 2012年8月上旬に大阪府の男性のパソコンを遠隔操作した日本航空事件ではオウム真理教事件の首謀者である麻原彰晃死刑囚の釈放を要求した。また、同月下旬には福岡県の男性のパソコンを遠隔操作して各方面に脅迫メールを送った際にはメールアドレスを「sarin」(サリン)・パスワードに「vxgus」(VXガス)というワードが用いられていることなど、オウム真理教事件にまつわる言葉を用いていた。
- この2ヶ月前の2012年6月にはオウム真理教事件に絡んで特別手配されて長期逃亡をしていた菊地直子と高橋克也が逮捕されて大きく報道されていた。また、麻原彰晃の釈放を要求した飛行機に絡む事件としては1995年6月に全日空857便ハイジャック事件が発生している。
- ネットを常時見ている可能性が高い
- 大阪府のアニメ演出家の事件では、ユーザーが探している用途に適うソフトを作成した上でトロイを仕込んで提供しており、常時ネットを閲覧していると思われる。
- 30歳代の男性
- 2013年1月の犯行声明の中で10年程前(2000年代)に流行したゲームやツールを取り上げていることから。
片山祐輔の検挙
江ノ島の防犯カメラの2013年1月3日の記録に、記録媒体が付けられた地域猫に対して不審な動きをする男の映像や、その男がバイクで移動する映像が写っていたことから、これらの映像を手がかりに同年1月中旬には東京都内に住むIT関連会社社員の30代・片山祐輔が特定された。2月10日未明、警視庁と神奈川、三重、大阪各府県警の合同捜査本部は、この男性が事件に関与したとみて威力業務妨害容疑で逮捕状を請求すると共に、片山祐輔に対して警視庁に任意同行を求め、片山の自宅を訪問して家宅捜索を行った後、逮捕状を執行した。
片山祐輔については秋葉原のネットカフェを利用した記録があり、ここからもPCが押収されている。また、猫カフェにも利用履歴があり、猫に対する執着が指摘される。
片山祐輔は2005年にのまネコ問題をめぐりエイベックス社長宅への放火・社長の妻へ濃硫酸をかける加害・エイベックス社員の殺害の予告や、仙台市の特定の女子小学生を殺害する予告を2ちゃんねるに書き込んだことから逮捕され、脅迫罪など4つの容疑で2006年に1年6ヶ月の実刑判決を受けて服役していた。
2013年2月11日に捜査当局への取材から、片山祐輔が派遣先企業で使用していたパソコンを調べたところ遠隔操作が行われた時期にTorを使用していた形跡が見つかったこと、また、被疑者のパソコンには遠隔操作に使用した掲示板に接続した形跡があることが報道された。なお、片山祐輔は事件への関与を否認している。
この逮捕については新たな誤認逮捕である可能性も指摘されているが、各報道機関は被疑者の小学生時代からの学歴などの個人情報を報道している。
警察、事実上の敗北宣言。ウイルス作成容疑での立件見送り(2013年6月)
一連のPC遠隔操作ウイルス事件で逮捕・起訴された元IT関連会社員・片山祐輔(31)が6月10日、2012年8月に他人のPCを操作してAKB48への襲撃予告を書き込んだとして追送検された。
これまで片山は威力業務妨害やハイジャック防止法違反など7件の事件で逮捕・起訴されていたが、この追送検で捜査は事実上の終結。事件の本丸である「ウイルス作成容疑」での立件は見送られることになった。
片山が関わったとされる事件は、当然ながら全て遠隔操作ウイルスが絡んでいる。にもかかわらず、肝心のウイルスの出どころが解明できなかったのは致命的だ。確かな物証を得られないまま捜査が終了したことは、警察の事実上の敗北宣言ともいえるが、これについて捜査関係者は「片山が取り調べを拒否し、供述を得られなかったため」と説明している。
だが、これは事実と異なる。片山は取り調べそのものは拒否しておらず、あくまで「録画・録音しなければ取り調べに応じない」と頑なに主張していただけだ。それを拒んで実質的に取り調べを拒否していたのは当局側である。
「証拠が完全にそろっていない状態で見込み逮捕し、取り調べで心理的プレッシャーを与えて自白を引き出すという昔からの手法から脱却できていない。取り調べ可視化は現在議論中の案件ではあるものの、実際にこういった自白ありきの案件で録画・録音されて困るのは捜査側。そんな強引な取り調べは現在も行われている。たび重なる再逮捕で4ヶ月も勾留し、彼の社会的地位を脅かすことでプレッシャーを与えたが、片山は最後まで折れなかった」
脚注
- ↑ 文末に「ー」を多くつける表現は、8月9日のコミケ殺害予告でも用いられた。
関連項目
外部リンク
- 遠隔操作ウイルスによる連続威力業務妨害等事件 - 警視庁