ハイビジョン試験放送

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テンプレート:日本の衛星放送チャンネル ハイビジョン試験放送(ハイビジョンしけんほうそう)およびハイビジョン実用化試験放送(ハイビジョンじつようかしけんほうそう)は、ハイビジョン放送の実用化を目的に放送されたテレビチャンネルである。周波数は社団法人ハイビジョン推進協会が割り当てを受け、日本放送協会および民放7社が実際の放送を行った(コールサインについては、「ハイビジョン試験放送」時代はハイビジョン推進協会に、「実用化試験」になってからは実際に放送を行う8つの放送事業者ごとに割り当てられた。詳しくは後述参照)。

概要[編集]

NHKが中心となって開発を進めて来た高品位テレビ「MUSEハイビジョン」の実用化へ向けて、1989年6月3日から1991年11月24日までNHK衛星第2テレビジョン(BS2)の14:00〜15:00(大相撲開催中は17:00〜18:00)と月曜未明の1:00(原則)〜5:00の時間帯に「実験放送」(正式には技術実験)として実施したのが始まりとされている(この時間は一般視聴者向けのBS2の放送は中断で、各地の上映会場向けの上映、あるいはNHK放送技術研究所での技術試験であった。日曜日深夜はデータ放送ファクシミリ放送を含めた技術テストであった)。

1991年11月25日13時に、事実上世界初となるハイビジョン専門テレビ局「ハイビジョン試験放送」として開局した。試験放送は3年間の計画で、周波数(BS-9ch)とコールサイン(JO2C-BS-TV)はハイビジョン推進協会に割り当てられ、曜日・時間に関係なくNHKと民放など各放送局やAVメーカーが製作した番組を放送。放送時間は、1日平均8時間でスタートし、分担時間はNHKが4時間、WOWOWが1時間30分、その他の民放各局が30分程度であったが、順次拡大された。試験放送開始当初の1991年における番組表によると、放送コンテンツの内容はスポーツ中継が33%で最多で、自然や美術を題材にしたドキュメンタリーなどの文化・教養番組が27%、コンサートを中心とする音楽番組が20%、ドラマや舞台中継などの芸能番組が18%と続いた。試験放送はハードとソフトの両面で実用化に近づけるのが狙いであった[1]

実用化試験放送へ[編集]

1994年11月25日より、チャンネルの割り当ては従来と同じくハイビジョン推進協会であるが、「ハイビジョン実用化試験放送」としてNHKと在京民放5局+WOWOW+朝日放送の共同チャンネルだった。民放各局は曜日ごとに担当局が代わり、朝日放送は全国高等学校野球選手権大会の生中継のみ担当した(実用化試験終了後、選手権大会の中継はBS朝日に引き継がれた)。なお、実用化試験放送開始当時の民放各局におけるハイビジョンカメラの保有台数はテレビ朝日フジテレビが7台、TBSテレビが3台、日本テレビが2台、WOWOWと朝日放送が1台、テレビ東京は0台であった[2]

当時NHKは走査線数にちなんで11月25日を“ハイビジョンの日”と称し普及イベントなどを行った。

BSデジタル放送開始とアナログハイビジョンのNHK単独放送への移行、そして終了まで[編集]

2000年12月1日から、ISDB方式でのBSデジタル放送が開始され、在京キー局も関連会社を通じて単独チャンネルでの放送を開始した。このため、MUSEによるアナログハイビジョン放送はNHKのハイビジョン放送のサイマル放送(コールサイン:JO24-BS-HDTV)のみとなった。

この放送は、将来のデジタル放送への統合へ向けて、デジタル放送への円滑な移行ができるようにすることを目的[3]に、デジタル・アナログサイマル放送という形で放送し、データ放送・双方向サービス・字幕放送はなし、BS-hiでの5.1サラウンド放送のサイマル放送は3.1(3-1)サラウンド放送にダウンコンバートされた。

2007年9月30日(正確には10月1日1:00)をもって終了している[4]。これは、2006年3月15日開催の電波監理審議会で、2007年12月1日より、BS-9ch(物理)の周波数帯を使って新規開局するBSデジタル放送局の割り当て周波数領域確保と、それに伴う試験放送などの準備期間が必要だったためによる[3]

なお、アナログハイビジョン終了については参考資料としてNHK経営企画局職員が記した「MUSE方式アナログハイビジョン終了の経緯」(2010年3月作成)も参照。

視聴に必要な機材[編集]

NTSC方式のBSアナログ放送と異なり、MUSEMultiple Sub-Nyquist Sampling Encodingという、アナログハイビジョン用にNHKが開発した、BSアナログの1チャンネル分と同じ周波数帯域に収まるよう、ハイビジョン映像の信号をデータ圧縮したエンコードした放送信号で放送衛星に送出されるため、視聴するには必ずMUSEを受信側でデコード(復調)する必要があった。 ハイビジョン#視聴に必要な機材 を参照

編成[編集]

主にNHKや民放各局のオリジナル番組(一部は地上波番組も)を放送したが、NHKがハイビジョンカメラで制作を始めた番組群も放送した。民放は1日6時間放送。局間の共同制作番組も放送された。

事業者 放送時間 コールサイン
ゆり3号b衛星 BSAT-1衛星
NHK 下記民放の担当時間以外
※夏の高校野球期間中を除く水曜のみ全時間帯
JO341-BS-HDTV JO241-BS-HDTV
テレビ東京 月曜日12時-16時、18時-20時 JO347-BS-HDTV JO247-BS-HDTV
日本テレビ 火曜日12時-15時、18時-21時 JO343-BS-HDTV JO243-BS-HDTV
日本衛星放送 木曜日12時-16時、18時-20時 JO342-BS-HDTV JO242-BS-HDTV
東京放送 金曜日12時-15時、18時-21時 JO344-BS-HDTV JO244-BS-HDTV
全国朝日放送 土曜日12時-15時、18時-21時 JO346-BS-HDTV JO246-BS-HDTV
フジテレビ 日曜日12時-16時、21時-23時 JO345-BS-HDTV JO245-BS-HDTV
朝日放送 全国高校野球選手権大会中継のみ JO348-BS-HDTV JO248-BS-HDTV

コールサインはNHK、日本衛星放送(WOWOW)、在京5局が日本テレビを始めとしてテレビ放送の開局順、朝日放送の順番に割り当てられた。コールサインの変更は1997年8月1日にそれまでのゆり3号b衛星からBSAT-1衛星に発信衛星が変更された事に伴うもの。

地上波民放各局は現在のBSデジタル放送とは違って地上波と同一法人での運営だったため受信報告書を出せば在京キー局のベリカードを日本全国の地域で手にすることができた(カードは地上波放送と同じもの)。

番組[編集]

NHKハイビジョンオリジナル番組[編集]

このうち、『テントでセッション』および『ハイビジョンニュース』は総合テレビでも放送。

『さわやかウインドー』や『ハイビジョンスペシャル』はBShi移行後も継続。

一覧からアンコール放送枠は除外した。

NHK制作番組[編集]

NHKの総合、教育BS1、BS2、FMで放送し、ハイビジョン試験放送でも放送したものを挙げる。多くの番組は2000年度からのNHK衛星ハイビジョンにも引き継がれている。

オープニング・クロージング[編集]

1991年11月24日〜1994年11月24日(ハイビジョン試験放送)は、概ね次のとおり。

  • オープニング
字幕は1枚画で「JO2C-BS-TV」→「衛星9チャンネル 社団法人ハイビジョン普及協会」。アナウンスは「JO2C-BS-TV。HPA衛星テレビジョン放送試験。ただいまよりハイビジョン試験放送を開始いたします」
  • エンディング
字幕でまずハイビジョン推進協会会員企業・団体の一覧→「衛星9チャンネル 社団法人ハイビジョン普及協会」→「JO2C-BS-TV」。アナウンスは「これで本日のハイビジョン試験放送を終了させていただきます。JO2C-BS-TV。HPA衛星テレビジョン放送試験」

1994年11月25日〜2000年11月30日(ハイビジョン実用化試験放送)では、それぞれの番組の開始前・終了時にも制作を担当した放送局・メーカーのID映像を放送した。

脚注[編集]

  1. 1991年11月25日読売新聞・夕刊
  2. 1994年11月28日朝日新聞・夕刊
  3. 3.0 3.1 BSデジタル放送概要と特徴(NHK BSアナログハイビジョン放送 2014年10月9日閲覧)
  4. 参考文献・BSアナログハイビジョン18年間の放送に終止符(日本放送協会放送文化研究所「放送研究と調査・月報2007年11月号 メディアフォーカス」2014年10月9日閲覧)。なおここでいう18年は、BS2でのハイビジョン技術実験の2年間を含めており、BS-9chを使っての放送は約16年である。その後2007年10月1か月間はアナログ放送終了の告知画面のみを放送し、10月31日24時(11月1日0:00)をもって完全に停波した

関連項目[編集]

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