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川崎と木更津とを結ぶアクアラインは、川崎側は[[シールドトンネル]]、木更津側は橋梁を採用している。この構造は当初構想された工法・構造から一大転換されて採用されたものである。1971年頃の構想では、川崎側と木更津側の両側を橋梁構造とし、中央部を(シールドトンネルではなく)[[沈埋トンネル]]とするものであった<ref name="つなぐ5頁">『東京湾をつなぐ』、5頁</ref>。トンネルを採用したのは、船舶および航空機という東京湾の海上および上空の既存の交通との兼ね合いである。つまり、全ての区間で橋梁構造を採用すると大型船舶の航行に支障をきたす。だからといって、橋梁で大型船舶を通過させるだけの高度を確保すると[[東京国際空港|羽田空港]]を離着陸する航空機の障害となる。そのため、大型船舶を航行可能とするトンネル部分を設ける必要があったのである<ref name="つなぐ5頁">『東京湾をつなぐ』、5頁</ref>。実はこの構想段階では二つの案が含まれており、一方(A案)は当時のトンネル換気技術に基づいて中央部に3kmの沈埋トンネルを建設し、盛り土構造の2つの人工島で橋梁と接続するものであった。他方(B案)も中央部のみを沈埋トンネルとする点はかわらないが、トンネル中央部にも換気用の人工島を設置して2本の沈埋トンネルを接続し合計5kmをトンネル構造とする案であった。そして工費の優位性からA案が詳細に検討され、1975年に建設省が中央部をトンネル構造とする案を発表して以降はA案を前提として事業の調査が進められた。1981年頃には換気技術の進歩を反映させ、1本の沈埋トンネルにおいて中央部5kmとする案に変更されたが、中央部を1本の沈埋トンネルとするA案の構造に変わりはなかった。
 
川崎と木更津とを結ぶアクアラインは、川崎側は[[シールドトンネル]]、木更津側は橋梁を採用している。この構造は当初構想された工法・構造から一大転換されて採用されたものである。1971年頃の構想では、川崎側と木更津側の両側を橋梁構造とし、中央部を(シールドトンネルではなく)[[沈埋トンネル]]とするものであった<ref name="つなぐ5頁">『東京湾をつなぐ』、5頁</ref>。トンネルを採用したのは、船舶および航空機という東京湾の海上および上空の既存の交通との兼ね合いである。つまり、全ての区間で橋梁構造を採用すると大型船舶の航行に支障をきたす。だからといって、橋梁で大型船舶を通過させるだけの高度を確保すると[[東京国際空港|羽田空港]]を離着陸する航空機の障害となる。そのため、大型船舶を航行可能とするトンネル部分を設ける必要があったのである<ref name="つなぐ5頁">『東京湾をつなぐ』、5頁</ref>。実はこの構想段階では二つの案が含まれており、一方(A案)は当時のトンネル換気技術に基づいて中央部に3kmの沈埋トンネルを建設し、盛り土構造の2つの人工島で橋梁と接続するものであった。他方(B案)も中央部のみを沈埋トンネルとする点はかわらないが、トンネル中央部にも換気用の人工島を設置して2本の沈埋トンネルを接続し合計5kmをトンネル構造とする案であった。そして工費の優位性からA案が詳細に検討され、1975年に建設省が中央部をトンネル構造とする案を発表して以降はA案を前提として事業の調査が進められた。1981年頃には換気技術の進歩を反映させ、1本の沈埋トンネルにおいて中央部5kmとする案に変更されたが、中央部を1本の沈埋トンネルとするA案の構造に変わりはなかった。
  
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=== 工法 ===
 
=== 工法 ===
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アクアトンネルの掘削は、浮島、川崎人工島(風の塔)、および木更津人工島の3か所から発進した合計8機のシールドマシンによって進められた<ref name="12頁">『東京湾をつなぐ』、12頁</ref>。川崎人工島は、トンネルの中間地点に位置するドーナツ型の縦穴基地であり、シールドマシンを発進させるため最初に木更津人工島とともに建設された。川崎人工島は供用開始後換気塔のためにも使用され、その中心には排気ガスと新鮮な空気を入れ替える設備がある。東京湾に吹く風を利用して換気するため、換気塔の傾斜などは、季節ごとに変わる風の向きや強さを全て空気力学的に計算された結果である<ref name="51頁">『東京湾をつなぐ』、51頁</ref>。川崎人工島の構造物の素材には、羽田空港を離着陸する飛行機が発するレーダー波を乱反射しないものが使用されている。トンネルの換気塔は川崎側にも設置され、浮島換気口として機能している(その後[[東京国際空港|羽田空港]]D滑走路供用開始時には換気口上部が航路の障害となったため、上部を取り払う改修工事が行われた。)。シールド工法の断面は円状であるため、アクアトンネルの車道下側に、緊急車両などが通る管理用道路や光ファイバーなどの通信ケーブルが設置されている。この車道下側は避難路としても機能するように、火災発生時には気圧を高めて煙の侵入を防ぎ、車道からスロープで降りられるようになっている<ref name="162頁">『東京湾横断道路のすべて』、162頁</ref>。
 
アクアトンネルの掘削は、浮島、川崎人工島(風の塔)、および木更津人工島の3か所から発進した合計8機のシールドマシンによって進められた<ref name="12頁">『東京湾をつなぐ』、12頁</ref>。川崎人工島は、トンネルの中間地点に位置するドーナツ型の縦穴基地であり、シールドマシンを発進させるため最初に木更津人工島とともに建設された。川崎人工島は供用開始後換気塔のためにも使用され、その中心には排気ガスと新鮮な空気を入れ替える設備がある。東京湾に吹く風を利用して換気するため、換気塔の傾斜などは、季節ごとに変わる風の向きや強さを全て空気力学的に計算された結果である<ref name="51頁">『東京湾をつなぐ』、51頁</ref>。川崎人工島の構造物の素材には、羽田空港を離着陸する飛行機が発するレーダー波を乱反射しないものが使用されている。トンネルの換気塔は川崎側にも設置され、浮島換気口として機能している(その後[[東京国際空港|羽田空港]]D滑走路供用開始時には換気口上部が航路の障害となったため、上部を取り払う改修工事が行われた。)。シールド工法の断面は円状であるため、アクアトンネルの車道下側に、緊急車両などが通る管理用道路や光ファイバーなどの通信ケーブルが設置されている。この車道下側は避難路としても機能するように、火災発生時には気圧を高めて煙の侵入を防ぎ、車道からスロープで降りられるようになっている<ref name="162頁">『東京湾横断道路のすべて』、162頁</ref>。
  
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|アクア連絡道([[三井アウトレットパーク 木更津]]方面への最寄りIC(川崎方面))
 
|アクア連絡道([[三井アウトレットパーク 木更津]]方面への最寄りIC(川崎方面))
 
|[[袖ケ浦市]]
 
|[[袖ケ浦市]]
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|(木更津西JCT)
 
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|一般国道409号東京湾横断・木更津東金道路と東関東自動車道千葉富津線の境界<br />一般道との接続なし
 
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|[[木更津ジャンクション|木更津JCT]]
 
|[[木更津ジャンクション|木更津JCT]]
|[[館山自動車道]]
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|[[館山自動車道]]・[[首都圏中央連絡自動車道|圏央道]]
 
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|アクア連絡道
 
|アクア連絡道
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木更津金田IC - 木更津JCT間は「'''東京湾アクアライン連絡道(アクア連絡道)'''」区間として、'''東京湾アクアライン'''とは別料金となっている。木更津西JCT - 木更津JCT間(1.5km)は[[高速自動車国道]]である[[東関東自動車道#路線名・道路名|東関東自動車道千葉富津線]]に含まれ、高速自動車国道普通区間の料金が適用される<ref name="kyotei-besshi7" />。
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木更津金田IC - 木更津JCT間は「'''東京湾アクアライン連絡道(アクア連絡道)'''」区間として、'''東京湾アクアライン'''とは別料金となっている。木更津西JCT - 木更津JCT間(1.5km)は[[高速自動車国道]]である[[東関東自動車道#路線名・道路名|東関東自動車道千葉富津線]]に含まれ、高速自動車国道普通区間の料金が適用される<ref name="kyotei-besshi7">[http://www.pref.chiba.lg.jp/doukei/aqualine/aqualinegaiyou/ 東京湾アクアラインの概要] - 千葉県 (2012年7月31日). 2014年3月4日閲覧</ref>。
  
 
;危険物積載車両の通行禁止
 
;危険物積載車両の通行禁止

2020年1月12日 (日) 22:06時点における最新版

東京湾アクアライン

東京湾アクアライン(とうきょうわんアクアライン)・東京湾アクアライン連絡道(とうきょうわんアクアラインれんらくどう)は、神奈川県川崎市から東京湾を横断して千葉県木更津市へ至る高速道路である。東京湾横断道路東京湾横断道路連絡道として地域高規格道路の計画路線に指定されている。

概要[編集]

東京湾アクアライン

東京湾横断道路の建設に関する特別措置法では、川崎市と木更津市との間で東京湾を横断する一般国道東京湾横断道路と定義しており、また、旧日本道路公団による有料管理を前提としていわゆる民活の手法が具体化されていた。一般国道409号が指定されており、自動車専用道路に指定されている。

川崎側の9.6kmがアクアトンネルと呼ばれるトンネル、木更津側の4.4kmがアクアブリッジと呼ばれるになっており、その人工島には海ほたるPAが設けられている。アクアブリッジは、日本第1位の長さの橋梁、アクアトンネルは、関越トンネル山手トンネル飛騨トンネルに次ぐ、日本第4位の長さの道路トンネルである。

1997年12月18日に開通[1]。日本道路公団が一般有料道路として管理していたが、2000年7月3日の事業計画変更に伴い、2013年4月27日に開通した首都圏中央連絡自動車道東金JCT-木更津JCTを含め東京湾横断・木更津東金道路と有料道路事業の道路名を変更。同時に京葉道路千葉東金道路で構成されていた料金プール制(通称千葉プール)に組み込まれた。2005年10月1日の道路公団分割民営化により現在は東日本高速道路管理の全国路線網となっている。

なお、海ほたるPAで両方向共にUターンが可能なため、海ほたるPAを境にトンネル側は神奈川県警[2]、橋の部分(連絡道も含む)を千葉県警[3]が常時覆面パトカーによる速度取締を行っている。全線に渡ってほぼ直線であり見通しも良いために速度超過が後を絶たず、全国的にみても取り締まりによる検挙率が圧倒的に高い[4]

構造[編集]

東京湾アクアライン
東京湾アクアライン

川崎と木更津とを結ぶアクアラインは、川崎側はシールドトンネル、木更津側は橋梁を採用している。この構造は当初構想された工法・構造から一大転換されて採用されたものである。1971年頃の構想では、川崎側と木更津側の両側を橋梁構造とし、中央部を(シールドトンネルではなく)沈埋トンネルとするものであった[5]。トンネルを採用したのは、船舶および航空機という東京湾の海上および上空の既存の交通との兼ね合いである。つまり、全ての区間で橋梁構造を採用すると大型船舶の航行に支障をきたす。だからといって、橋梁で大型船舶を通過させるだけの高度を確保すると羽田空港を離着陸する航空機の障害となる。そのため、大型船舶を航行可能とするトンネル部分を設ける必要があったのである[5]。実はこの構想段階では二つの案が含まれており、一方(A案)は当時のトンネル換気技術に基づいて中央部に3kmの沈埋トンネルを建設し、盛り土構造の2つの人工島で橋梁と接続するものであった。他方(B案)も中央部のみを沈埋トンネルとする点はかわらないが、トンネル中央部にも換気用の人工島を設置して2本の沈埋トンネルを接続し合計5kmをトンネル構造とする案であった。そして工費の優位性からA案が詳細に検討され、1975年に建設省が中央部をトンネル構造とする案を発表して以降はA案を前提として事業の調査が進められた。1981年頃には換気技術の進歩を反映させ、1本の沈埋トンネルにおいて中央部5kmとする案に変更されたが、中央部を1本の沈埋トンネルとするA案の構造に変わりはなかった。

1985年度になると、中央部を沈埋トンネルとする構造から、川崎側の10km全てをトンネルの構造とし、そのトンネルの工法もシールド工法とするように計画変更がなされた。その理由は、川崎側は船舶の航行が多く、実際に建設予定地には1日に1,300隻もの船舶が通過しているとされたが、全体の約7割が川崎側の橋梁予定部分に集中していたためである[6]。また。川崎側を橋梁からトンネルにし、さらに中央部も含めてトンネルの工法を沈埋工法からシールド工法に変更すれば建設時・供用開始後の航行する船舶への影響を少なくできるとされた[6]。構想当初においてはシールド工法は発展途上であり、小口径のトンネルのみに採用され大口径の海底トンネルに採用された事例は無かった。しかし、シールド工法は構想中にも進歩し続けていたのである。さらに施工費用の面では、川崎側をトンネル構造に変更したとしても、軟弱な地盤に下部工の施工費用をかけて橋梁とするものと大差無いことも判明[6]したため、現在の構造が採用されるに至った。

シールドトンネル(アクアトンネル)と橋梁(アクアブリッジ)は、長さ約650m、幅約100mの木更津人工島(海ほたるPA)で結ばれており、アクアブリッジの橋げたは、小型船舶が航行する部分が高くなっている。

工法[編集]

トンネル建設で使用されたシールドマシンの歯
風の塔

アクアトンネルの掘削は、浮島、川崎人工島(風の塔)、および木更津人工島の3か所から発進した合計8機のシールドマシンによって進められた[7]。川崎人工島は、トンネルの中間地点に位置するドーナツ型の縦穴基地であり、シールドマシンを発進させるため最初に木更津人工島とともに建設された。川崎人工島は供用開始後換気塔のためにも使用され、その中心には排気ガスと新鮮な空気を入れ替える設備がある。東京湾に吹く風を利用して換気するため、換気塔の傾斜などは、季節ごとに変わる風の向きや強さを全て空気力学的に計算された結果である[8]。川崎人工島の構造物の素材には、羽田空港を離着陸する飛行機が発するレーダー波を乱反射しないものが使用されている。トンネルの換気塔は川崎側にも設置され、浮島換気口として機能している(その後羽田空港D滑走路供用開始時には換気口上部が航路の障害となったため、上部を取り払う改修工事が行われた。)。シールド工法の断面は円状であるため、アクアトンネルの車道下側に、緊急車両などが通る管理用道路や光ファイバーなどの通信ケーブルが設置されている。この車道下側は避難路としても機能するように、火災発生時には気圧を高めて煙の侵入を防ぎ、車道からスロープで降りられるようになっている[9]

沿革[編集]

  • 1966年(昭和41年)4月 - 建設省が調査を開始する。
  • 1971年(昭和46年)4月 - 建設省が「民間事業主体の活用による東京湾横断道路の建設について」の中間報告があった。
  • 1972年(昭和47年)7月 - 東京湾横断道路研究会が設立される。
  • 1973年(昭和48年)3月 - 建設省が東京湾横断道路調査中間報告書を作成される。
  • 1973年(昭和48年)6月 - 研究会が東京湾横断道路事業計画案をまとめる。
  • 1973年(昭和48年)12月 - 石油ショックの影響により、政府予算編成方針で大型プロジェクトの新規着工延期を決定する。
  • 1974年(昭和49年)12月 - 木更津市促進期成同盟が建設大臣宛に要望書が提出される。
  • 1975年(昭和50年)8月 - 建設省が技術会議において「技術的には建設可能」との結論を得る。
  • 1976年(昭和51年)8月 - 日本道路公団に東京湾横断道路調査室を設置される。
  • 1978年(昭和53年)5月 - 第8次道路整備5カ年計画において、「調査を進め事業化を図る」と位置づけられる
  • 1979年(昭和54年)7月 - 日本道路公団東京第一建設局に東京湾横断道路調査課を設置する。
  • 1980年(昭和55年)8月 - 日本道路公団が海上ボーリングを実施する。
  • 1981年(昭和56年)4月 - 川崎-木更津-成田間を国道409号に指定される。
  • 1981年(昭和56年)6月 - 国土庁首都圏整備計画で「調査を進め計画の具体的推進を図る」と位置づけられる。
  • 1981年(昭和56年)11月 - 日本道路公団が「東京湾横断道路の調査概要」をまとめる。
  • 1982年(昭和57年)8月 - 第9次道路整備5カ年計画案において「調査を完了し、建設に着手する」と明記される。
  • 1989年(平成元年)5月27日 - 着工される。
  • 1996年(平成8年)3月28日 - アクア連絡道袖ケ浦IC-木更津JCT間(4.7km)開通[10]
  • 1997年(平成9年)12月3日 - アクア連絡道木更津金田IC-袖ケ浦IC間(3.9km)開通[10]
  • 1997年(平成9年)12月18日 - 東京湾アクアライン浮島JCT-木更津金田IC間(15.1km)開通。

インターチェンジなど[編集]

IC番号 施設名 接続路線名 起点から
(km)
BS 備考 所在地
首都高速(K6)川崎線 殿町大師方面
1 浮島IC
川崎浮島JCT
国道409号
首都高速(B)湾岸線
0.0 神奈川県 川崎市
- 東京湾アクアトンネル - - 長さ 9,610m
危険物積載車両通行禁止
トンネルのほぼ中間地点に川崎人工島(風の塔)
- 海ほたるPA - 9.8 木更津人工島 Uターンが可能 千葉県 木更津市
2 木更津TB
木更津金田IC
国道409号 15.1 アクア連絡道

三井アウトレットパーク 木更津方面への最寄りIC(茂原方面))

3 袖ケ浦IC 国道409号
国道410号
19.0 アクア連絡道(三井アウトレットパーク 木更津方面への最寄りIC(川崎方面)) 袖ケ浦市
16 木更津JCT 館山自動車道圏央道 23.7 アクア連絡道 木更津市

木更津金田IC - 木更津JCT間は「東京湾アクアライン連絡道(アクア連絡道)」区間として、東京湾アクアラインとは別料金となっている。木更津西JCT - 木更津JCT間(1.5km)は高速自動車国道である東関東自動車道千葉富津線に含まれ、高速自動車国道普通区間の料金が適用される[11]

危険物積載車両の通行禁止

東京湾アクアトンネルは水底トンネルである(長さが約10kmに及ぶ長大トンネルでもある)ため、浮島JCT-海ほたるPAは危険物積載車両の通行は禁止されている。該当車両は東関東道ルートで迂回しなければならないが、高速湾岸線の東京港トンネル空港北トンネル多摩川トンネルも危険物積載車両の通行は禁止されている。なお、上り線は、規制区間の手前である木更津金田ICに、該当車両の退出を促す注意標識と、「トンネル内」の補助標識が設置された規制標識があるほか、その手前である袖ケ浦ICにも該当車両の退出を促す注意標識がある。

道路管理者[編集]

路側放送[編集]

  • ハイウェイラジオ アクアトンネル(川崎浮島JCT-海ほたるPA)
  • ハイウェイラジオ アクアブリッジ(海ほたるPA-木更津金田IC)

東京湾横断道路 (企業)[編集]

東京湾横断道路株式会社(とうきょうわんおうだんどうろ、Trans-Tokyo Bay Highway Corporation)は、1986年10月に設立された第三セクター企業である。1987年7月13日、東京湾横断道路の建設に関する特別措置法に基づき日本道路公団と建設協定を締結し、東京湾横断道路建設事業者となった。開通前日の1997年12月17日、改めて公団と管理協定を締結し、日常的管理業務をおこなっている。本社は東京都大田区大森北1丁目18番18号NJビル7F。

業務[編集]

  • 建設協定に基づく横断道路の新設工事 : 会社は横断道路のうち海上部の詳細設計および工事を行い、陸上部や基本設計、漁業補償については直接公団が行った。1997年12月1日に道路価額1.2兆円として公団に引渡済であり、現在、公団の債務を承継した日本高速道路保有・債務返済機構から長期の割賦による工事代金の支払いが行われている。
  • 管理協定にもとづく維持、修繕等の管理
  • 休憩施設事業 : 海ほたるPAの営業

通行料[編集]

東京湾アクアライン(川崎浮島JCT-木更津金田IC)通行料金
車種 通常料金 ETCアクアライン
特別割引
ETC社会実験割引
(2009年8月 - )
普通車 3,000円 2,320円 800円
中型車 3,600円 2,780円 960円
大型車 4,950円 3,830円 1,320円
特大車 8,250円 6,380円 2,200円
軽自動車 2,400円 1,860円 640円

アクアライン特別割引(割引率約23%)は、2002年7月19日から実施していた社会実験割引が 2006年4月1日から恒久化されたものである。その後もETC車を対象にした社会実験割引が相次いで実施され、2007年8月20日から通勤割引を開始、同年9月25日からは特定区間割引が実施されていた[12]

2009年3月生活対策に基づく高速道路料金の引き下げ開始と同時に、各種時間帯割引が本格的に開始された。まず、3月20日から休日特別割引(上限1,000円)がアクアラインで先行実施され[13]3月28日からは深夜割引・通勤割引、3月30日からは平日夜間割引・平日昼間割引も開始された。

2009年千葉県知事選挙森田健作がETC無線走行に限り普通車800円へ引き下げると公約し当選した。これにより国交省(政府)と千葉県が必要費用を負担する「社会実験」として、2009年8月1日から通行料を毎日終日800円(普通車)へ大幅に引き下げた。当初予定は2011年3月末までであったが、さらに3年間延長された後、千葉県が引き続き費用の一部を負担することを前提として延長期限後も維持されることになり、財源は平成25年度補正予算により手当された[14]

社会実験が終了する2014年度以降については、国土交通省は2013年末に料金引き下げの社会実験が終了する2013年度末以降も割引を続けることを決定し、割引期間は今後10年をめどに継続すると報道されている[15][16]

交通量[編集]

2009年8月からの料金引き下げ社会実験(ETC割引800円)を開始してからは交通量が2008年度比で1.5倍前後に伸び、2012年度は4月に開業した三井アウトレットパーク 木更津による波及効果が大きく[17]2008年度全日比で約1.8倍、2005年度道路交通センサス平日24時間交通量比では約3倍と通行量が増大した。

平成17年度道路交通センサス[編集]

平日24時間交通量

  • 川崎市・千葉県境-海ほたるPA : 11,462
  • 海ほたるPA-木更津金田IC : 11,661
  • 木更津金田IC-袖ヶ浦IC : 8,291
  • 袖ヶ浦IC-木更津JCT : 8,340

社会実験開始前後の1日あたりの平均通行量[編集]

社会実験開始後の累計(44ヶ月間)の状況[18]
区分 実験開始後44ヶ月間の平均
(平成21年8月1日~平成25年3月31日)
実験開始前平成20年度の平均
(平成20年4月1日~平成21年3月31日)
対平成20年度比
全日 34,200台/日 20,800台/日 164%
土日祝 42,500台/日 27,800台/日 153%
平日 30,100台/日 17,200台/日 175%

渋滞[編集]

開通当初は通行量の少なさから自然渋滞は発生しなかったが、通行料の値下げ施策により次第に#交通量が増加したことで、通勤時間帯やゴールデンウィークなどピーク期にアクアトンネルの両端にあたる川崎浮島ジャンクション(上り線)と海ほたるPA入口(下り線)付近で速度低下による1km程度の混雑が日常的に見られるようになった。休日の日中は海ほたるPAへの入庫待ちのために分岐手前付近で渋滞を起こす事もある。また、トンネルや連絡橋の坂道とほぼ直線という線形から、追突事故や故障車が発生し易く、車線規制による事故渋滞を生ずることもある。

交通量が飛躍的に増加した2012年以降は、週末・休日の夕方に上り線川崎浮島JCTからアクア連絡道の木更津JCTまで全線に亘る渋滞が頻繁に発生するようになった[19](並行ルートの館山道・京葉道も同時間帯は渋滞している場合が多い[20])。主に川崎・東京方面から房総へレジャーで向かったマイカーUターンラッシュを生じさせるものであり、木更津JCTから川崎浮島JCTまでが90分以上になることもある。これは川崎浮島JCTの接続道路となる首都高湾岸線と異なり片側2車線である上、アクア連絡道と木更津金田ICが合流する木更津本線料金所手前と川崎浮島JCT手前の登坂速度低下がボトルネックとなっており、交通容量の逼迫から生ずるものである。なお、下り線においては同時期の朝から昼にかけて海ほたるPA手前と木更津金田IC付近で局地的に渋滞が生ずる事があるが、全線に亘って渋滞する事は滅多にない。

2013年4月27日から、上り線アクアトンネル終点(浮島側)手前の登坂部分の壁側面に速度低下を防ぐ効果がある「ペースメーカーライト」をNEXCO東日本が設置している[21]

建設の効果[編集]

総工費は約1兆4,409億円だが、実際の利用は推定交通量を大幅に下回り、その費用対効果の面で批判がある。これは料金が非常に高いためと言われ、数回の料金改定を経て普通車料金で開通当時は4,000円の通行料金は3,000円となる(アクアライン開通前は普通車料金で5,000円を予定していた)。普通車の海上部は通常料金で1km当たり198.68円で、同様に高額な料金の本州四国連絡道路より若干低い。その結果採算性に重大な問題が生じているが、これはもともとの推定交通量の見通しがでたらめだったという指摘がある[22](開通20年後には上下線合わせて一日64,000台、すなわち片側2車線上を24時間休みなしに2.7に1台の車が通過するという交通量が推定されていた)。

建設の目的の一つとして、東京湾環状道路を構成し、また圏央道とともに3環状道路の一番外側の環状道路の一部を担い、首都高速湾岸線等の混雑緩和に役立つことが期待されていたが、アクアラインに利用転換する車両が少ないため、目立った成果はない。

しかし、館山自動車道の全線開通もあり、東京から南房総までの所要時間が約1時間前後短縮された。また、2013年4月に圏央道が東金JCTまでが開通し、房総半島山間部を横断することにより、茂原市夷隅郡など外房北部地域へも短縮した。

なお、2009年からの社会実験による引き下げ(前述)により、アクアラインを利用するタクシーが増加する一方で、競合する東京湾フェリーの輸送台数が2008年度に比べて約3割減少したり、特急さざなみわかしお利用者が木更津・茂原以南で減少する(後のダイヤ改正で区間短縮や本数削減)といった影響があらわれている[23]

また社会実験と称した料金引き下げにより増加した車両数は、料金の引き下げ幅よりも大幅に少なく(社会実験開始前後の1日あたりの平均通行量参照)、結果として社会実験前よりも減収となっている(台数の増加が値下げ分を補填できていない)。

高速バス[編集]

交通量が想定を下回る一方、運賃が比較的安価な高速バスの路線は開通時から設定され、木更津駅から横浜駅新宿駅品川駅川崎駅羽田空港など、あるいは東京駅から木更津駅・君津駅茂原駅安房鴨川駅勝浦駅館山駅など房総半島各地への路線が運行され充実している。また、アクアライン開通後、パークアンドライドを想定した木更津金田バスターミナル袖ケ浦バスターミナル君津バスターミナル市原バスターミナル市原鶴舞バスターミナルも設置された。なお羽田空港、横浜方面および新富士駅から成田空港へのリムジンバスは、通常ルートである首都高速湾岸線が大混雑や通行止めとなった際にアクアラインを経由する場合がある。

東京都心 - 房総半島[編集]

羽田空港 - 房総半島[編集]

  • 羽田空港 - 木更津線(京浜急行バス・東京空港交通・日東交通・小湊鐵道): 羽田空港⇔木更津金田BT-袖ケ浦BT-木更津駅
  • 羽田空港 - 君津線(京浜急行バス・日東交通): 羽田空港⇔君津BT-君津駅-君津製鐵所
  • 羽田空港 - 五井・東金線(京浜急行バス・小湊鐵道): 羽田空港⇔市原BT-五井駅-東金駅
  • 羽田空港 - 蘇我線(京浜急行バス・小湊鐵道): 羽田空港⇔蘇我駅
  • 羽田空港 - 大網線(東京空港交通・千葉中央バス): 羽田空港⇔鎌取駅-誉田駅-土気駅-大網駅

神奈川 - 房総半島[編集]

  • 川崎 - 木更津線(京浜急行バス・川崎鶴見臨港バス・日東交通・小湊鐵道・東京ベイサービス): 川崎駅-浮島BT⇔袖ケ浦BT-木更津駅
  • 川崎 - 三井アウトレットパーク線(京浜急行バス・川崎鶴見臨港バス・小湊鐵道): 川崎駅⇔三井アウトレットパーク
  • 横浜 - 木更津線(京浜急行バス・日東交通・小湊鐵道): 横浜駅東口⇔袖ケ浦BT-木更津駅
  • 横浜 - 三井アウトレットパーク線(京浜急行バス・小湊鐵道): 横浜駅東口⇔三井アウトレットパーク
  • 横浜 - 五井線(京浜急行バス・小湊鐵道): 横浜駅東口⇔市原BT-五井駅
  • 横浜・羽田空港-茂原線(京浜急行バス・小湊鐵道): 横浜駅東口-羽田空港⇔市原鶴舞BT-長南駐車場-茂原駅
  • 横浜・羽田空港-館山線(京浜急行バス・日東交通): 横浜駅東口-羽田空港⇔君津BT-ハイウェイオアシス富楽里-館山駅
  • 相模大野・町田 - 三井アウトレットパーク線神奈川中央交通・小湊鐵道): 相模大野駅-町田バスセンター⇔三井アウトレットパーク

鉄道併設案[編集]

アクアラインに鉄道を開通させようという意見もある[24]2008年東京新聞紙面にてアクアラインのコースを用いて、千葉県木更津から羽田空港を経て東京都新宿区在来線規格にて直通させるという案が報じられ、一部テレビ報道番組等でも紙面が取り上げられるなどした。しかし、今のところ実現に向けた具体的な事業案や行政的な動き、および大規模な市民運動等も起こっておらず、現実性は皆無に等しい。

東京湾アクアラインが登場する作品[編集]

  • ゴジラvsデストロイア』:完成前の横断道路が劇中に登場する。
  • 名探偵コナン 14番目の標的』:物語後半の舞台「アクアクリスタル」のモデルであり、エンディングに夜の東京湾アクアラインが実写で出てくる。
  • 20世紀少年』:橋、トンネルが破壊され孤立した海ほたるパーキングエリアが刑務所になっている。また、風の塔も半壊した状態で登場している。
  • 救急戦隊ゴーゴーファイブ』:本編とエンディングに登場する。
  • バトルギア4』:最高速専門コース「超初級B」のモデル。「アフロライン」と書かれた標識が見られる。
  • 木更津キャッツアイ』:アクアラインの近くに、マスター(演・佐藤隆太)が経営する飲み屋「野球狂の詩」がある。映画第1弾(日本シリーズ)では、ゴミンゴがアクアライン橋梁部をまたぐシーンがある。
  • キューティーハニー』:海ほたるPAやアクアトンネル出口が、ハニー(演・佐藤江梨子)とゴールドクロー(演・片桐はいり)との冒頭の先頭シーンで登場(但し、アクアトンネル出口のシーンは、東京湾臨港道路・臨海トンネルの東京ゲートブリッジ接続線口を代用し撮影)
  • THE FAST AND THE FURIOUS (ゲーム)』:コースの一つとして登場。橋は坂状ではなく平行。海ほたるパーキングエリアが溜まり場の一つであり、技術資料館「うみめがね」があるなど、ほぼ忠実に再現されている。
  • 東のエデン 劇場版II Paradise Lost』:主人公の1人である滝沢朗が、スクーターで夜のアクララインを川崎方面に向かって走行し、ジュイストレーラーが集結している海ほたるに向かうシーンがある。ほか、「東のエデン」のメンバーが車でアクアトンネルを木更津方面に向かうシーンもある。

脚注[編集]

  1. 因みにこの開通当日、何らかの手違いで開通式で先頭に並んでいた車より横の複数ブースの車が先行すると言うアクシデントが発生した。この際、自動車雑誌Optionのビデオ版であるビデオオプションの企画でチューニングショップトップシークレット代表のスモーキー永田が木更津金田料金所で開通数日前から整理券を受領して並んでいた(更にちなむとこの際TBSおはようクジラ小林豊にインタビューされている)にも拘らず上記の手違いを起こされてしまった為、木更津金田-海ほたる間で改造を施した金色のトヨタ・スープラバーンアウトをしてしまった。このエピソード及び映像についてはビデオオプションの「変だよスモーキーspecial」に収録されている。
  2. 川崎臨港警察署管内図 - 川崎臨港警察署ホームページ
  3. 木更津警察署ホームページ - 千葉県警
  4. 交通警察24時 千葉県警高速隊 アクアライン取締り - You Tube
  5. 5.0 5.1 『東京湾をつなぐ』、5頁
  6. 6.0 6.1 6.2 『東京湾横断道路のすべて』、150頁
  7. 『東京湾をつなぐ』、12頁
  8. 『東京湾をつなぐ』、51頁
  9. 『東京湾横断道路のすべて』、162頁
  10. 10.0 10.1 道路資産保有及び貸付状況(路線別) - 日本高速道路保有・債務返済機構
  11. 東京湾アクアラインの概要 - 千葉県 (2012年7月31日). 2014年3月4日閲覧
  12. 平成21年度 千葉県包括外部監査の結果報告書、99-101ページ
  13. 他の高速道路とは別に上限1,000円である。
  14. 東京湾アクアライン 料金割引継続へ - 物流ウィークリー(2014年2月12日閲覧)
  15. 東京湾アクアライン通行料 800円、10年間継続へ - 日本経済新聞 2014年2月15日
  16. 東京湾アクアライン:「普通車800円」今後10年継続へ - 毎日新聞 2014年3月29日
  17. 交通量、平均14%アップ 木更津アウトレットと相乗効果 アクアライン 昨年4月~今年1月 2013年3月26日 千葉日報
  18. 東京湾アクアラインの交通量について(平成25年3月分及び社会実験開始後の累計) - 千葉県土整備部道路計画課高速道対策班
  19. 渋滞予測>東京湾アクアライン 日本道路交通情報センター
  20. 渋滞予測>館山道 日本道路交通情報センター
  21. 点滅する光で渋滞を緩和、アクアライン 2013年5月16日 日経BPケンプラッツ
  22. 猪瀬直樹『道路の権力』66ページ
  23. フェリー3割減 タクシーは増加 公共交通機関に明暗 アクアライン値下げ実験千葉日報2011年6月14日
  24. http://www.tokyo-np.co.jp/article/thatu/list/CK2008060502000095.html

参考文献[編集]

  • 小学館『21世紀こども大百科 大図解』1995年7月1日、ISBN4-09-221161-9、206頁
  • 日経コンストラクションブックス『東京湾横断道路のすべて』1997年9月25日
  • 経済広報センター『東京湾をつなぐ』太平社、1998年7月。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]