川崎重工業

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川崎重工業株式会社(かわさきじゅうこうぎょう)は、二輪車航空機鉄道車両船舶等の輸送機器、その他機械装置を製造する日本企業である。

概要[編集]

明治時代造船所に始まる老舗企業であり、大正時代第一次世界大戦による造船活況、そして世界大恐慌昭和時代第二次世界大戦、戦後の高度成長期と日本の近代史・産業史とともに存続してきた。現代においては、三菱重工業IHI(旧石川島播磨重工業)と共に、日本の重工業における主要企業の一つである。

かつては川崎財閥(松方コンツェルン)の主要企業であった経緯から、川崎製鉄(現JFEスチール)川崎汽船とも関係がある。

本社は神戸市中央区神戸クリスタルタワーである。また東京都港区浜松町に東京本社も設置している。

なお「川崎」は創業者の姓が由来であり、神奈川県川崎市とは無関係である。

主要事業・製品[編集]

製造する商品は多岐にわたる。同社は製造製品の分野ごとのカンパニー制度をとっており、2011年(平成23年)現在では以下のカンパニーで構成されている。グループ連結での売上構成は、船舶海洋事業9.6%、車両製造事業10.9%、航空宇宙事業16.0%、ガスタービン・機械事業16.5%、プラント環境事業7.2%、モーターサイクル&エンジン事業19.1%、精密機械事業11.4%、その他事業9.2%となっている(2011年3月期)。

航空・宇宙[編集]

詳細は 川崎重工業航空宇宙カンパニー を参照

二輪車・汎用エンジン・水上オートバイ[編集]

詳細は 川崎重工業モーターサイクル&エンジンカンパニー を参照

船舶[編集]

詳細は 川崎重工業船舶海洋カンパニー を参照

鉄道車輌[編集]

詳細は 川崎重工業車両カンパニー を参照

建設機械[編集]

会社が分社され、KCMになった。川崎重工業の子会社である。

現在扱っている製品。
かつて扱っていた製品

沿革[編集]

旧ロゴマーク

事業拠点[編集]

生産拠点[編集]

関連会社[編集]

日本の旗 日本 関係会社 所在地 事業
ケイテック 兵庫県明石市神戸市 広告デザイン事業
川重冷熱工業 滋賀県草津市 ボイラ・吸収冷温水機事業
アーステクニカ 千葉県八千代市 破砕機・環境事業
深江パウテック 神戸市北区 粉体事業
日本飛行機 横浜市金沢区 航空宇宙事業
日飛興産
セントラルヘリコプターサービス 愛知県春日井市
川重明石エンジニアリング 兵庫県明石市 ガスタービン事業
カワサキモータースジャパン モーターサイクル&エンジンカンパニー事業
川崎油工
川崎金属工業 三重県四日市市
カワサキマシンシステムズ 大阪市北区 ガスタービンおよびロボット事業
カワサキライフコーポレーション 神戸市中央区 その他事業
ベニックソリューション
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 KAWASAKI MOTORS CORP., U.S.A. デラウェア州 モーターサイクル&エンジンカンパニー事業
KAWASAKI MOTORS
FINANCE CORPORATION
KM RECEIVABLES CORPORATION
KAWASAKI ROBOTICS (U.S.A.) INC.
KAWASAKI MOTORS
MANUFACTURING CORP., U.S.A.
ネブラスカ州 車両事業・モーターサイクル&エンジンカンパニー事業
KAWASAKI RAIL CAR, INC. ニューヨーク州 車両事業
KAWASAKI CONSTRUCTION
MACHINERY CORP. OF AMERICA
ジョージア州
KAWASAKI PRECISION
MACHINERY(U.S.A)INC.
ミシガン州 その他事業
カナダの旗 カナダ CANADIAN KAWASAKI MOTORS INC. オンタリオ州 モーターサイクル&エンジンカンパニー事業
ドイツの旗 ドイツ KAWASAKI GAS TURBINE
EUROPE GMBH
バート・ホンブルク ガスタービン機械事業
イギリスの旗 イギリス KAWASAKI HEAVY
INDUSTRIES (U.K.) LTD.
ロンドン その他事業
KAWASAKI PRECISION
MACHINERY (U.K.) LIMITED
プリマス 油圧装置事業
KAWASAKI ROBOTICS (UK) LTD. マンチェスター モーターサイクル&エンジンカンパニー事業
オランダの旗 オランダ KAWASAKI MOTORS EUROPE N.V. ホーフドロープ
オーストラリアの旗 オーストラリア KAWASAKI MOTORS PTY. LTD. ニューサウスウェールズ州
大韓民国の旗 韓国 KAWASAKI MACHINE
SYSTEMS KOREA, LTD.
仁川
中華人民共和国の旗 中華人民共和国 川崎精密機械(蘇州)有限公司 江蘇省 油圧装置事業
タイ王国の旗 タイ Kawasaki Motors Enterprise(Thailand).Co.,Ltd バンコク 二輪車の製造販売・産業用ロボット販売

中国への新幹線技術供与[編集]

2011年6月30日に開業した中国の北京上海を結ぶ中国版新幹線「和諧号」は、日本とドイツなどの技術が使われており、日本からは川崎重工、日立製作所三菱電機などの企業連合が技術供与した。だがその後、中国側が「独自開発」を主張し、米国や日本などで技術特許を申請する方針を打ち出した(川崎重工は中国で特許を取得していない。川崎重工業の幹部は同年7月4日 「“特許”の中身が分からないので今は対応のしようがないが、もし契約に違反する内容であれば、法的手段をとる必要がある」と述べた。更に同幹部は「供与した技術は中国国内での使用に限ることになっている。きちんと契約を守る大人の国になってほしいと思うが、(中国側の動きを)もう少し見守りたい」と述べた[1]

中国への技術供与には終始慎重だったJR東海の社長は、2011年6月29日の会見で、「新幹線技術は国内のメーカーと旧国鉄の技術陣の長い期間にわたる汗と涙の結晶」と述べた上で、技術供与した川崎重工に対して「技術立国に恥じない対応をしてもらいたい」と語り、特許侵害には断固対処するよう求めた[2]

不祥事[編集]

労働災害[編集]

1971年に入社(一旦退職し、のち1997年に再入社)し、2000年鬱病と診断された神戸工場のグループ長(当時55歳)が2002年、首吊り自殺した。同社は、1件も受注できない中で450億円の大きな商談を任せ、この男性が失敗したとして、男性を社内で「金食い虫」と糾弾し続けてきた。神戸東労働基準監督署が自殺と職務との関連性を認めず、労働災害不認定としたことを受けて、遺族の妻は遺族補償給付金などの不支給処分取り消しを求め神戸地裁に提訴。2010年9月3日、同地裁(裁判長・矢尾和子)は、男性が仕事で大きな重圧を受けていたとして労災を認め、神戸東労働基準監督署の処分を取り消した。判決は「残業時間からは、直ちに業務が過重だったと認められない」、「業務による心理的負荷が強かった。自殺は、業務に内在する危険が現実化した」と言及[3]

子会社での賭博問題[編集]

同社子会社の川重明石エンジニアリングで、2009年頃から、社内のゴルフコンペにおいて、参加者らが賭けを行っていたことが明らかになった。同社の社長ら幹部が関与していた疑いが指摘されている[4]

陸上自衛隊ヘリ納入を巡る談合[編集]

陸上自衛隊の観測用ヘリコプターOH-1)をベースにした次期多用途ヘリコプターの開発計画(UH-X)を巡る談合疑惑が2012年に浮上。受注に当たって同社とその関連企業、及び防衛庁技術研究本部富士重工を排除しようとしたとして、東京地方検察庁特別捜査部の家宅捜索を受けた[5](当時の川重担当者は起訴猶予になった)。

  • この談合問題については、川崎重工業の株主らが2014年6月に同社の村山滋社長ら経営陣を相手取り、談合当時の取締役だった村山社長らが同社に談合による損失を賠償するよう、総額46億2,600万円の支払いを求める株主代表訴訟神戸地方裁判所に起こしている[6]

脚注[編集]

  1. 「川重会長 中国版新幹線和諧号に法的手段を示唆」(msn産経ニュース2011.7.4 18:27配信)
  2. SnkeiBiz 2011.6.29 18:16配信
  3. 「重圧で自殺」と労災認定=遺族補償の不支給取り消す-神戸地裁
  4. 社長ら27人、社内賭けゴルフ…川崎重工子会社 読売新聞 2013年1月8日
  5. 佐官級幹部が漏洩か、川崎重工などに入札情報(MSN産経、2012/9/6閲覧)
  6. 株主代表訴訟:「官製談合で損害」川崎重工業社長らを提訴 毎日新聞 2014年6月23日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]