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+ | [[Image:許宗萬2.jpg|300px|thumb|許宗萬一家の組織内の役割]] | ||
+ | [[北朝鮮]]産[[マツタケ]]不正輸入事件をめぐる捜査が、許宗萬(ホ・ジョンマン)議長一家による在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)「支配」を浮かび上がらせた。 | ||
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+ | 許議長は、表立たない役職のまま、長男に人事、次男には資金運用の実権を握らせていたとされる。世襲を続ける本国の合わせ鏡のような体制。許議長の自宅まで捜索が入った今回の捜査が一家の権勢を揺るがすことになるのか。 | ||
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+ | 2014年9月、8年ぶりの訪朝に当たり、許議長は組織員から盛大な見送りを受けた。その少し前、目立たないように出国した関係者の動向を公安当局が注視していた。議長の妻と長男(53)、次男だ。日朝関係者は「一家そろって[[金正恩]](キム・ジョンウン)第1書記に面会し忠誠を誓うのが目的だった」と説明する。だが、金第1書記は足の手術もあり、結局、面会できなかった。“誤算”はこのとき、始まったのかもしれない。それ以前にも次男は捜索された貿易会社役員の肩書で頻繁に日朝間を往来していた。「密使役」を担っていたとみられ、報告対象は、正恩政権で朝鮮総連を管轄する工作機関225局の康寛周(カン・グァンジュ)局長。だが、彼は一家の訪朝を見届けた直後に死亡する。一家は最大の後ろ盾を失った | ||
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+ | 朝鮮総連関係者によると長男、次男ともに[[朝鮮大学]]校(東京)出身。長男は[[昭和60年]]ごろ、表向きはサッカー交流として1年間、北朝鮮に滞在し、組織教育をたたき込まれたとされる。[[平成24年]]に父が議長に就任した後は、中央本部組織局第2部副局長に就き、組織運営の“裏方”ながら、人事素案を作成するポジションを得たという。次男は傘下の青年組織のトップなどを務めたが、現在の役職は都内支部の副委員長にすぎない。[[公安]]関係者は「本国や海外を自由に行き来させるため、わざと本部の要職に就けなかったのだろう」とみる。代わりに日朝交易を担う企業運営を任され、正恩政権に上納する資金運用に携わっていたとみられている。 | ||
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+ | 長男は人事、次男はカネと、息子を車の両輪にした許一家「支配」体制を築いたことになる。父が描いた人事を長男がまとめ、「密使」として次男が本国の承認を得る-。組織の私物化に道を開くトライアングルが完成したかに見えた。「歴代議長が息子に権力を譲れなかったのを見てきたからだろう。目につきにくい形で息子たちに権力を与えた」と朝鮮総連関係者は言う。だが、満を持した訪朝でも「代を継いだ忠誠」に対する最高指導者の承認を得る機会を逸した。 | ||
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+ | 硬直化した幹部人事に対しては、組織内でも不満がくすぶっているという。[[中央本部競売問題]]は、購入企業との間接的な賃借契約で立ち退きを免れているものの、組織の「象徴」を失いかけた失策に、許体制は内部批判にもさらされた。その時期に自宅の捜索に直面した。金第1書記は側近らの権力の一極集中を防ぐため、人事の再編を繰り返しているといわれる。権勢を誇った叔父の張成沢(チャン・ソンテク)氏の処刑まで断行した。 | ||
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+ | 日朝関係者は「今回の捜査の進展次第では、本国からも一家による組織運営が問題視され、何らかの責任を追及される事態も考えられる」と指摘している。 | ||
== 文献資料・脚注 == | == 文献資料・脚注 == |
2020年1月12日 (日) 20:01時点における最新版
在日本朝鮮人総聯合会(ざいにほんちょうせんじんそうれんごうかい)は、在日朝鮮人の日本在留者団体である。
1945年結成の在日朝鮮人連盟から在日本大韓民国民団(略称「民団」)と袂を分かつ形で1955年に設立。略称は朝鮮総聯(ちょうせんそうれん、ジョソンチョンリョン、조선총련)で一般にこの名称で呼ばれることが多い[1]。法人格がない「権利能力なき社団」。朝鮮総連中央議長を始めとする幹部は北朝鮮の代議員(国会議員)を兼任している[2]。
目次
概要[編集]
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の「在日本公民団体」と自称、同国政府・朝鮮労働党指導部とは密接な関係にあるとされる。そもそもは、日本に滞留している「朝鮮籍」の朝鮮人を対象とした、朝鮮籍の朝鮮人の為の民族学校の運営、朝鮮籍の朝鮮人経営者を対象とした融資機関であり、一種の互助組織であったが、本国の政変と連動して、その実態は変貌していく事になる。
東京都に中央本部を置き、全ての都道府県に本部が設けられ、各地に支部組織がある。なお、中央本部は東京都千代田区富士見二丁目にあるが、ここは靖国神社の遊就館、法政大学市ヶ谷キャンパス、衆議院九段議員宿舎に囲まれたところにある。
北朝鮮法の上では朝鮮総聯の構成員は「朝鮮民主主義人民共和国公民」であると思われるが、そのうち北朝鮮の国籍を有する者の実数は判っていない。日本では国家承認されていない同国の国籍は認められていない。朝鮮総聯の構成員は日本の法律上「朝鮮籍」にあたる人が多く、また韓国籍や日本籍である人もいるが、その大半は地理的には今の韓国出身であり、北朝鮮とは地縁・血縁を持たないものによって構成されている。北朝鮮政府は事実上在日の自国民に対しては二重国籍を認めているものと考えられる。2006年現在、徐萬述中央本部議長をはじめ6名の朝鮮総聯幹部が、最高人民会議の代議員となっている。
日本共産党が北朝鮮と断交したことを受けて、1980年代中盤から北朝鮮は日本社会党に接近し友好関係を築こうとした。日本社会党はこれを受けて同じく友好関係を築き、日本社会党左派を継承した社会民主党も朝鮮総聯と友好関係にある。
発足当初から社会主義を支持し、その後冷戦期社会主義陣営を支持する団体としての性格を明確にした。このことが、日本政府はじめ警察等の治安機関との緊張関係を生み、さまざまな毀誉褒貶の理由となった。
公安調査庁による調査[編集]
非合法な活動を行っている疑いがあるとして、破壊活動防止法(破防法)に基づき公安調査庁から監視を受けている。
北朝鮮政府との関係[編集]
同国に対する朝銀信用組合の不正送金には朝鮮総聯関係者の関与が疑われ、また、北朝鮮による日本人拉致問題の追及が進む中、拉致事件をはじめとする日本国内における同国の非合法活動(スパイ、不正送金、麻薬・拳銃売買等)にも、数多くの朝鮮総聯関係者が深く関与していたといわれている。これらの犯罪行為に対する責任追及について朝鮮総聯は「悪質なデマ」と主張し、朝鮮総聯関係の施設に強制捜査が行われるごとに「在日朝鮮人の権利を侵害する」とし抗議行動を繰り返してきた。また、批判記事を書いた報道機関に職員が多数抗議に押しかけたり、北朝鮮に批判的な団体の集会を職員らが暴力的に妨害した例(リード「『救え!北朝鮮の民衆』緊急行動ネットワーク」ウェブサイトより)などがあり、これに反発する人々は「在日朝鮮人の主権を認めれば逆差別などに繋がる」と批判している。
1972年に当時の美濃部亮吉東京都知事が「外交機関に準ずる機関」として認定して以来、多くの自治体が朝鮮総聯の施設を事実上の外交機関や公共施設に準ずるものとみなして、長らく固定資産税や不動産取得税の減免措置を行ってきた。これは万が一、国交正常化した暁には「朝鮮大使館」として使われるであろうとの指摘があったためとされていた[3]。
しかし、朝鮮総聯の関連施設にはその所有者の大半が関連企業(朝鮮総聯が法人ではないため)であったり、外交とは無関係なものがあるなどとして、2003年に東京都は方針を変更、これらの一部について固定資産税を課すこととした。他の自治体にもこれに追随して固定資産税の減免を解除する動きがある。一方、従来通り継続する自治体もある。こうした措置に対して朝鮮総聯や一部の法学者は反発し、行政訴訟で争われている。この固定資産税などの減免措置を巡っては、「北朝鮮に拉致された日本人を救出する熊本の会」の加納良寛会長が熊本市長を相手取り、朝鮮総聯施設への課税減免措置の無効確認を求めた訴訟を起こしており、2006年2月2日に福岡高裁が、「朝鮮総聯の活動に公益性はなく税の減免措置は違法である」とする判決を出した。熊本市長はこれを不服として上告したため、最終的な決着は最高裁に委ねられることになった。
また防衛庁(現:防衛省)からのミサイルデータの流出に関与した疑いがあると報じられた。朝鮮総聯側はこれを受けて、事実を歪めた報道としている。
対南工作への協力[編集]
朝鮮総聯は、北朝鮮の韓国への対南工作に協力しているとされている。1974年8月15日、日本からの解放記念日である光復節の祝賀行事がソウルの国立劇場で開催されていたが、当時の大韓民国大統領・朴正煕の夫人、陸英修が在日韓国人の文世光(ムン・セグァン、문세광)に射殺されるという事件(文世光事件)が発生した。犯人の狙いは朴大統領の暗殺であったが、韓国の警察による捜査によれば朝鮮総連の関与は明白であるとされた。これは赤化統一を目指した文が朝鮮総連の支援を受けながら、大阪府大阪市中央区の高津派出所から拳銃を窃盗したり、韓国への偽造ビザや偽造パスポートを作成したとされたためである。
しかし韓国側の主張に対して、日本政府は朝鮮総聯の関与を否定したため、韓国において反日感情が高まり日韓関係は国交正常化後、最悪の状態に陥った。日本がこのような態度に出たのは中華人民共和国との国交正常化から日が浅かったため朝鮮総連を刺激したくなかったのではないかとされているが、実際にはこの時期中朝間の関係が文化大革命の影響[4]で冷却化しており、真偽は不明である。
日本の警察官の銃器が犯行に使用されたにもかかわらず、なぜ日本側捜査機関が総聯を捜査しなかったかは理由は現在も真相は不明である。なお朴の娘である朴槿恵が北朝鮮を訪問した際、金正日総書記が北朝鮮の関与を認めて謝罪した。そのため、朝鮮総聯が朴正煕大統領暗殺の工作に関与していた証左とされている。
拉致問題への関与の指摘[編集]
- 1973年に行方不明になった埼玉県上福岡市(現・ふじみ野市)の女性の2人の朝鮮籍児童が拉致されたとされるが、その女性の夫が北朝鮮の工作員であり、さらに夫が勤務していた東京の貿易会社・ユニバーストレーディングの元女性社員が、警察当局の事情聴取に対し、「北朝鮮本国による判断を仰いだ」などと供述していたことが判った[5]。
- 2007年4月25日、警視庁公安部は、上福岡市の事件に関して、国外移送目的拐取容疑で、事件に関与した疑いの強い工作員らが一時期、活動に参加していた「在日本朝鮮留学生同盟中央本部」(留学同)など、朝鮮総聯傘下の団体や関連先など4か所を家宅捜索した[6]。捜索の際に在日朝鮮人の男性が“公務執行妨害”で逮捕され富坂警察署に連行された(この際容疑事実の告知はされなかった)ものの、5月末に不起訴処分・釈放となっている[7]。これに関し、家宅捜索の際に、捜査員が中に入るのを妨害した人間が複数いたのが、TVでも報道されていた。
- また、公安部は東京都内の貿易会社に、多数の工作員が入社した経緯などを知る立場にあった可能性があるとして、朝鮮総聯の徐萬述議長、許宗萬責任副議長、南昇祐副議長を参考人として事情を聞く方針で、同日に書面で出頭を求めたが聴取要請を拒否する旨を、高徳羽副議長は同年4月26日にマスメディア向け記者会見で述べた[8]。
在日本朝鮮人総聯合会の主張[編集]
- 1973年在日朝鮮人子弟失踪事件を日本政府の安倍政権が一連の日本人拉致事件に結びつけた政治的な民族弾圧だと主張している。[9]
課税減免措置撤廃の流れ[編集]
これまで朝鮮総聯は、ビザやパスポート発行代理業務を行うなど北朝鮮の窓口として、「外交機関に準ずる機関」であるという大義名分の下に課税減免措置がとられていた。
しかしながら、2002年9月の小泉純一郎首相(当時)訪朝で拉致問題に北朝鮮が関与を認めたことを境に、国内の北朝鮮関連組織や施設への優遇措置が見直される傾向が進んだ。
東京都による固定資産税減免措置撤廃が発表されて半年もしないうちに、朝鮮総聯施設が私的施設であり、対日・対南工作機関であるという現状のほうに強く焦点が当たりはじめた。 2009年現在では全額減免している都道府県および市町村は全国130自治体のうち、北海道釧路市のみにまで減っている。また7割以上の自治体が減免措置無しとなっている。
東京都にある朝鮮総連中央本部の不動産への固定資産税などの課税処分をめぐり、登記上の不動産所有者である合資会社「朝鮮中央会館管理会」が、東京都に課税処分取り消しなどを求め提訴した。一審、二審とも請求を棄却。2009年8月12日、最高裁も上告を退け総連側の敗訴が確定した[10]。
地方参政権[編集]
永住外国人に対する地方選挙参政権賦与問題に関しては、日本への政治参加が在日同胞の民族意識を稀薄化させることにつながるとして反対の論陣を張り、参政権獲得運動の中心である民団とは正面から対立している。参政権がもたらす党派分裂を危惧する声と結論が一致しているが、あくまで日本への政治参加に反対であるとの議論を、公式には撤回していない。
北朝鮮切手への登場[編集]
日本においては前述のように「権利能力のない社団」であるが、北朝鮮本国では度々記念切手に登場している。1965年4月27日には「総聯結成10周年」の記念切手が発行され、背景に総聯ビルを配し日韓基本条約締結反対運動をする群像が描かれるなどしている。また北朝鮮郵政当局は1970年、1975年、1985年、2005年にも総聯ビルを描いた切手を発行している。そのため、総聯は北朝鮮の政治機関と位置づけられているといえる。
北朝鮮への帰還運動[編集]
1950年代から1980年代にかけ、朝鮮総連は北朝鮮を「地上の楽園」などと宣伝し、在日朝鮮人とその家族の多くを集団的な永住帰国・移住させた。これが原因となり、2000年代に入り脱北者を中心に相次いで朝鮮総連に対する訴訟が行われている。2008年6月には、日本在住の脱北女性が朝鮮総連を相手に大阪地裁に訴訟を起こし、原告女性によると、朝鮮総連の「北朝鮮は地上の楽園」などという嘘の宣伝により北朝鮮へ帰還したが、実際は過酷な労働を強いられ、拷問され、差別され、囚人や奴隷と変わらない生活を強いられ、「(朝鮮総連は)人をだまし、組織的に誘拐した。人権と自由を無差別に奪った悪魔みたいな団体だ」「私1人の問題ではない。今も強制収容所の中で必死で生き延びようとしている人がいる」と訴えた。この訴えに対し、朝鮮総連は「同胞社会と日朝関係に害を与える以外のなにものでもない」と主張した。[11]
北朝鮮のスパイとの関係[編集]
2008年8月、韓国で、脱北者になりすました女性スパイが逮捕される事件が発生した。このスパイは、韓国軍の将兵に対して性的な関係を結んで機密情報を得る、いわゆるハニートラップを行っていた。そして、このスパイが日本でも情報収集活動を行っていた事が、韓国検察の起訴状によって判明した。
このスパイは、2007年6月から2008年5月、3回にわたって来日し、長い時には2か月以上も滞在している。そして、日本での調査を手伝ってくれる人物として、朝鮮総連の傘下団体の幹部と同名の人物と、もう大阪在住の「社長」という肩書になっている人物の2人が起訴状に実名で書かれている。
起訴状に読み上げられた傘下団体の幹部は、「朝鮮総連の関係団体の幹部で、同じ名前は自分しかいない」とした上で、「元被告と会ったこともないし、聞いたこともない。保衛部にも知り合いはおらず、全く関係がない。勝手に名前を使われたのだろう」と関与を否定している[12]。
中央本部ビル売却問題[編集]
中央本部(東京都千代田区富士見)の土地と建物が、元不動産会社社長の満井忠男の仲介により、2007年5月31日に元公安調査庁長官緒方重威が代表取締役を務めるハーベスト投資顧問株式会社に売却されていたことが判明した。また仲介者とされる満井忠男には朝鮮総連側から、手数料などの名目で4億9千万円が渡っていた。
中央本部のある土地(約2390平方メートル)と地上10階、地下2階の鉄骨鉄筋コンクリート造りの建物(延べ床面積約1万1700平方メートル)は40億円を超えるとみられている。そのうえで売却代金は35億円とされていたが、当初朝鮮総聯が整理回収機構から提起されていた訴訟に敗訴することで予想される差押から逃れるために、なされた脱法・違法行為をしようとしていたとして東京地検特捜部が電磁的公正証書原本不実記録等の容疑で捜査していた。
しかし捜査の結果、朝鮮総聯は所有権を売却譲渡しても、引き続き賃貸物権として使用を認めてもらえる売却先を探していたのが判明した。そのため、実際には朝鮮総聯側は被害者であったとして、前述の緒方、満井2名が資金調達の目処が立っていないにもかかわらず土地と建物と手数料を騙し取ろうとしていたとして、2007年6月28日に詐欺容疑で逮捕された。なお手数料として詐取した金銭のうち半分しか返却されていないと報道された。
「金正日の遺体が腐る寸前なので日本人から献金を募って対応する」上納金を収めない朝鮮総連に苛立つ北朝鮮[編集]
北朝鮮の金日成主席と金正日総書記の遺体を安置した宮殿を維持するための基金に献金を募る在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の内部文書を産経新聞が入手した。
金正恩第1書記が指示したとされる。海外献金強化の裏には、政権の資金難とともに、「資金源」として機能を失いつつある朝鮮総連の実態が浮かぶ。
朝鮮総連関係者によると、文書の内容は2013年8月に入って朝鮮総連中央本部から全国の組織に通達された。文書は「金正恩元帥の意志を受けた自主的貢献」を呼びかけながら、9月9日の建国記念日など期限を区切って集金状況の報告を課しており、現実には組織を挙げたノルマといえる。
一昨年12月の金総書記死去後、金第1書記は金総書記らの遺体を収めた平壌の錦繍山太陽宮殿の改修や銅像建設を推進。3億3千万ドル(約320億円)以上を投じたとされ、資金の枯渇を招いた。そこで集金手段として新設されたのが「金日成・金正日基金」だ。
朝鮮総連からの献金は北朝鮮を支えてきたが、最近は「思うようにカネが集まらなくなった」(朝鮮総連関係者)。
経済制裁で北朝鮮への資金持ち出しが難しいだけでなく、背景に「3代世襲への反発」があるという。このため文書では高額献金者に基金の名誉理事職などを与えるとし、敵対する在日本大韓民国民団関係者や日本人にも献金を働きかけるよう求めている。
基金の一部は2012年12月に創設された「国際金正日賞」の運営にも充てられるという。「平和などに寄与した人をたたえる賞」をうたいながら、実際はアフリカ諸国の指導者らに授与することで親北国家の確保を狙ったとみられている。
ただ、文書通達直後から朝鮮総連内部で既に不満が上がっているといい、基金が機能する見通しは低い。
長男は“裏”人事、次男は秘密資金運用(2015年3月)[編集]
北朝鮮産マツタケ不正輸入事件をめぐる捜査が、許宗萬(ホ・ジョンマン)議長一家による在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)「支配」を浮かび上がらせた。
許議長は、表立たない役職のまま、長男に人事、次男には資金運用の実権を握らせていたとされる。世襲を続ける本国の合わせ鏡のような体制。許議長の自宅まで捜索が入った今回の捜査が一家の権勢を揺るがすことになるのか。
2014年9月、8年ぶりの訪朝に当たり、許議長は組織員から盛大な見送りを受けた。その少し前、目立たないように出国した関係者の動向を公安当局が注視していた。議長の妻と長男(53)、次男だ。日朝関係者は「一家そろって金正恩(キム・ジョンウン)第1書記に面会し忠誠を誓うのが目的だった」と説明する。だが、金第1書記は足の手術もあり、結局、面会できなかった。“誤算”はこのとき、始まったのかもしれない。それ以前にも次男は捜索された貿易会社役員の肩書で頻繁に日朝間を往来していた。「密使役」を担っていたとみられ、報告対象は、正恩政権で朝鮮総連を管轄する工作機関225局の康寛周(カン・グァンジュ)局長。だが、彼は一家の訪朝を見届けた直後に死亡する。一家は最大の後ろ盾を失った
朝鮮総連関係者によると長男、次男ともに朝鮮大学校(東京)出身。長男は昭和60年ごろ、表向きはサッカー交流として1年間、北朝鮮に滞在し、組織教育をたたき込まれたとされる。平成24年に父が議長に就任した後は、中央本部組織局第2部副局長に就き、組織運営の“裏方”ながら、人事素案を作成するポジションを得たという。次男は傘下の青年組織のトップなどを務めたが、現在の役職は都内支部の副委員長にすぎない。公安関係者は「本国や海外を自由に行き来させるため、わざと本部の要職に就けなかったのだろう」とみる。代わりに日朝交易を担う企業運営を任され、正恩政権に上納する資金運用に携わっていたとみられている。
長男は人事、次男はカネと、息子を車の両輪にした許一家「支配」体制を築いたことになる。父が描いた人事を長男がまとめ、「密使」として次男が本国の承認を得る-。組織の私物化に道を開くトライアングルが完成したかに見えた。「歴代議長が息子に権力を譲れなかったのを見てきたからだろう。目につきにくい形で息子たちに権力を与えた」と朝鮮総連関係者は言う。だが、満を持した訪朝でも「代を継いだ忠誠」に対する最高指導者の承認を得る機会を逸した。
硬直化した幹部人事に対しては、組織内でも不満がくすぶっているという。中央本部競売問題は、購入企業との間接的な賃借契約で立ち退きを免れているものの、組織の「象徴」を失いかけた失策に、許体制は内部批判にもさらされた。その時期に自宅の捜索に直面した。金第1書記は側近らの権力の一極集中を防ぐため、人事の再編を繰り返しているといわれる。権勢を誇った叔父の張成沢(チャン・ソンテク)氏の処刑まで断行した。
日朝関係者は「今回の捜査の進展次第では、本国からも一家による組織運営が問題視され、何らかの責任を追及される事態も考えられる」と指摘している。
文献資料・脚注[編集]
- ↑ 報道などでは「朝鮮総連」と表記されることもある。固有名詞は同音の漢字による書きかえの例外だが、「聯」自体の使用頻度が高くないためであろう。
- ↑ 在日同胞6人も選出 朝鮮新報 2009.3.11
- ↑ 毎日新聞2007年6月14日朝刊
- ↑ また金日成が中ソ論争でソ連側についた為でもある
- ↑ 拉致、北朝鮮が指示か Nikkei Net 2007年4月10日
- ↑ 拉致事件で警視庁が初捜索・朝鮮総連系団体 Nikkei Net 2007年4月25日
- ↑ 「金曜アンテナ」週刊金曜日2007年6月8日号
- ↑ 朝鮮総連、2児拉致での聴取要請を拒否 Nikkei Net 2007年4月26日
- ↑ 朝鮮総聯中央本部広報室の強制捜索に関するコメント 朝鮮新報 2007年4月26日
- ↑ 課税訴訟で総連側の敗訴確定 最高裁『産経ニュース』2009年8月12日更新、同日閲覧
- ↑ 2008年6月13日 朝日新聞、産経新聞
- ↑ () 北の女スパイ日本で暗躍、指令「総連傘下団体幹部に会え」 読売新聞 [ arch. ] 2008-08-30
関連項目[編集]
- 在中朝鮮人総聯合会
- 在日本大韓民国民団
- 在日本韓国人連合会
- 在日本朝鮮人総聯合会脅迫事件
- 在日朝鮮人の帰還事業
- 朝鮮学校
- 朝銀信用組合
- 万景峰号
- 朝鮮新報
- 緒方重威
- 満井忠男
- 竹田菁滋
- 元正花
- 凍土の共和国
- 拉致
- パチンコ