福岡空港
福岡空港(ふくおかくうこう Fukuoka Airport)は、福岡県福岡市博多区大字下臼井(しもうすい)にある、国土交通大臣が設置・管理する第二種空港である。板付空港ともよばれる。 敷地の一角に航空自衛隊春日基地板付地区(かすがきちいたづけちく)〔「飛行場地区」の名もある〕、海上保安庁第七管区海上保安本部福岡航空基地(ふくおかこうくうきち)、福岡県警察航空隊、福岡市消防局航空隊、在日アメリカ軍板付飛行場を併設する。
福岡空港 | |||
---|---|---|---|
IATA:FUK - ICAO:RJFF | |||
概略 | |||
名称 | 福岡空港 | ||
目的 | 公共用 | ||
空港種別 | 第二種空港 | ||
航空管制 | 国土交通省 | ||
運用時間 | 24時間 | ||
標高 | 30ft(9.1m) | ||
位置 | 33 35 04 N 130 27 06 E | ||
滑走路 | |||
方向 | ILS | m×幅 | 表面 |
16/34 | cat1 両方向 |
2,800×60 | アスファルトコンクリート |
統計(2004年度) | |||
旅客数 | 1856万570人(日本第3位) | ||
貨物取扱量 | 260,452t(日本第4位) |
目次
歴史
- 1944年2月 - 旧陸軍の席田(むしろだ)飛行場として建設を開始。
- 1945年5月 - 滑走路完成。
- 1945年10月 - 米軍板付基地として接収。
- 1951年10月 - 民間航空の航空路(福岡-大阪-東京)が開設。
- 1960年6月 - 日本航空、東京国際空港(羽田空港)-福岡空港(板付空港)間に深夜割引便ムーンライト号運行開始。
- 1961年10月 - 日本航空、東京国際空港(羽田空港)-福岡空港(板付空港)間にジェット旅客機就航。
- 1965年9月 - 国際線(福岡-釜山)が開設。
- 1970年12月 - 運輸省への移管が決まる。
- 1972年4月 - 米軍より大部分が返還され、第二種空港として供用を開始。
- 1993年3月 - 福岡市地下鉄が乗り入れ。
- 1999年5月 - 新国際線旅客ビル完成。
- 2004年1月 - 滑走路34のILS運用開始。
主な事故・トラブル歴
- 1968年6月2日、米軍板付基地のRF-4Cファントム偵察機が着陸をしようとして九州大学箱崎キャンパスに建設中の大型計算機センターに墜落、炎上する事故を起こした。
- 1996年6月13日、ガルーダ・インドネシア航空865便(マクダネル・ダグラスDC-10)が離陸に失敗しオーバーラン、炎上。乗客3人死亡。乗客乗員18人が重傷を負う。(福岡空港ガルーダ航空機離陸事故)
- 2005年8月12日、午後7時45分発の福岡空港発ホノルル国際空港行きJALウェイズ58便(DC-10)が離陸直後、福岡市東区社領2丁目~3丁目上空で、第1エンジンが異常燃焼し爆発、エンジンの部品が同区内社領2丁目~3丁目に多数落下した。その後、同機は福岡空港に緊急着陸する為、引き返した。なお、本件は統計上は事故ではなく、イレギュラー運航扱いである。日本航空の信頼が無くなっている最中で、しかも日本航空123便墜落事故20年目のまさにその日の、しかも同じような時間帯に発生したため、偶然取材で福岡空港に来ていたNHK福岡放送局の取材クルーが、このJALウェイズ機のエンジンが火を噴く瞬間を撮影し、その日夜のNHKニュースなどで映像が流された。
- 2007年9月8日、アメリカ本土からアメリカ合衆国空軍ヒッカム空軍基地を経由し在韓米軍オーサン空軍基地へ向かっていた、F-16戦闘機がエンジントラブルにより福岡空港に緊急着陸した。第2種空港化した福岡空港への戦闘機着陸は今回が初。
特徴
福岡空港は中心市街地から至近距離に位置するアクセスに優れた空港として知られる。福岡市地下鉄空港線が乗り入れ、福岡空港駅から博多駅までは約5分(直線距離約2.5km、営業キロ3.3km)。福岡市の都心天神までは約11分(直線距離約4.5km、営業キロ5.8km)で結ぶ。福岡高速道路を利用すれば太宰府方面へも30分程度で行けるため、日本国内では最も利便性の優れた空港である。
ターミナルビルは国内線第一・第二・第三、国際線の4棟、貨物ビルは国内線、国際線の2棟がある。国内線は滑走路東側、1999年5月に開業した国際線ターミナルは滑走路西側に位置し、約10分間隔で無料のシャトルバスを運行する。地下鉄駅は第2ターミナル地下にある。複数のターミナルビルを持つ空港では航空会社ごとに入居するビルが異なるのが一般的だが、福岡空港では行き先ごとに利用するターミナルビルが異なる。振り分けはターミナル・路線の節を参照のこと。
福岡空港の年間発着回数14万回(国内線12.6万回、国際線1.4万回)は、羽田、成田に次いで国内で3番目に多い。2800m滑走路1本による運用のため、滑走路1本あたりの離着陸回数が日本で最も多い。また、2006年9月のYS-11最終退役時は、同型機が最も多く飛来する空港でもあった。
大都市圏拠点空港に次ぐ主要地域拠点空港と位置づけられ、国内路線の福岡-東京(羽田)線は新千歳-東京線に次いで乗降客数が多いドル箱路線である。京浜急行電鉄、東京モノレールの券売機も設置している。大阪や名古屋への便数も多く、同区間を運行している東海道・山陽新幹線、高速バスとの国内屈指とも言われる熾烈なシェア争いを繰り広げる。
日本の政令指定都市の中でも東南アジア(特に韓国釜山やソウル、中国上海や北京)に最も近い土地柄と言う事もあるため、国際線もアジアを中心に充実しており、路線数は22路線(2006年1月現在。因みに欧州・中東向けの路線は1便も無い)で、年間旅客数は約224万人(2004年)。国内線の路線数は25路線で、年間旅客数は約1632万人(乗客と降客の合計 2004年で日本第5位)。国内線、国際線の双方を併せた総旅客数では約1856万人(2004年)で、羽田、成田に次ぐ日本第3位の旅客数を誇る。(因みに大阪国際空港とは僅差ではあるが、7万人程度多く、中部国際空港、関西国際空港を大きく凌ぐ)。九州山口地域の空港輸送のシェアでは、国内旅客47%、国際旅客93%、国内貨物63%、国際貨物97%を占める(2000年)。
空港告示面積353haのうち109haが民有、7haが福岡市の所有となっており、これら116haは空港が借り受けている。借地料は約84億円で、歳出の約1/3を占めている(平成17年度)。このように民有地が多い理由は、飛行場の設置・拡張の過程で旧日本陸軍やアメリカ軍により土地の強制接収が行われたためである。
なお、余談ではあるがボーディング・ブリッジ(PBB)を日本で最初に設置した空港でもある(当時のPBBはすでに取り替えられており現存しない)。
空港が抱える問題点
福岡空港は市街地にあるため、利便性に優れている反面、問題も多い。空港の南から進入あるいは南へ離陸する際に、かつての香港の啓徳空港を思わせる様な市街地低空(中央区、博多区、大野城市、春日市)を航空機が頻繁に飛行する。また、北からの進入・北へ離陸する際にも、東区九州大学箱崎地区周辺の市街地上空を低空で飛行する。便数増大に伴い、騒音問題は市民生活に影響を及ぼすほど深刻化した。早朝深夜の離着陸が規制されているため、深夜の航空貨物便の就航ができないなど、今後の発展を阻害する要因も大きい。現在の福岡空港は容量の面からも限界にきており、実際、2006年現在までに3回の事故が発生している。ただし、市街地に突っ込む等の事故は現在のところない。
都心に近接していることは、一方で福岡市中心部に超高層ビルを建設出来ない理由になっている。航空法に定める制限表面による建造物の高さ制限により、JR博多駅周辺やキャナルシティ博多辺りでは45m、天神で70m程度、シーサイドももちで150m程度など、空港から半径16.5kmに至るまで徐々に高さ制限が緩和され、24kmより外側で制限がなくなる。すなわち、福岡空港の存在により、都心で10階程度、副都心で30階程度のビルしか建てられない状況にあり、他の大都市とは異なる東西に横長な都心部を形成する要因となっている。ちなみに、福岡市内で最も高い建築物はシーサイドももちにある福岡タワー(234m。但し展望室部分は123mで、それより上はアンテナ)、最も高いビルは同じくシーサイドももちにあるJALリゾートシーホークホテル福岡(143m)である。
さらにBSアナログ放送などの放送電波と干渉をきたし、電波障害を発生させるなど、福岡空港は市民にとって便利でもある反面悪影響も与えており、早期の対策が望まれている。
新空港建設論議と課題点
上記のような安全性の問題や慢性的な混雑状況の中で、新空港建設ないし滑走路増設が検討されている[1]。行政側も、国、福岡県、福岡市で構成する福岡空港調査連絡調整会議を設置し、パブリック・インボルブメント (PI) の手法を用いて今後の福岡空港のあり方を検討しているところである。福岡市は「福岡がアジアの交流拠点として、わが国の発展に貢献していくためには、福岡空港の需要を承継し、より高度な拠点機能を果たす代替空港が必要である」として、現在、新福岡空港建設の可能性を模索している。しかし、どこに移転したとしても現在の高い利便性を維持することはできず、利用者からは福岡空港の現在地での存続を求める声も多い。
代替案として、佐賀空港、新北九州空港と連携させ、機能分担させるという案もある。
航空管制
種類 | 周波数 | 運用時間(JST) |
CLR | 121.925MHz,256MHz | 24時間 |
GND | 121.7MHz,236.8MHz | 24時間 |
TWR | 118.4MHz,126.2MHz,236.8MHz | 24時間 |
DEP | 119.7MHz,261.2MHz | 24時間 |
APP | 119.1Hz,120.7MHz,121.125MHz,279.2MHz | 24時間 |
TCA | 121.275MHz,318.2MHz | 8:00-21:00 |
ATIS | 127.2MHz | 7:00-22:00 |
航空保安無線施設
局名 | 種類 | 周波数 | 識別信号 |
FUKUOKA | VOR/TACAN | 114.5MHz/1179MHz | DGC |
ターミナル・路線
航空会社名が2社以上の場合、最前の航空会社の機材・乗務員で運航する共同運航便
第1ターミナル
国内地方空港路線
(ジェイエア、JALエクスプレスの機材・乗務員で運航する便あり)
(エアーニッポン、エアーニッポンネットワーク、エアーネクスト、エアーセントラルの機材・乗務員で運航する便あり)
第2ターミナル
国内主要空港路線
- 日本航空
(ジェイエア、JALエクスプレス、日本トランスオーシャン航空の機材・乗務員で運航する便あり)
- 那覇空港
- 日本エアコミューター
- 大阪国際空港
- 全日本空輸
(エアーニッポン、エアーニッポンネットワーク、エアーネクスト、エアーセントラルの機材・乗務員で運航する便あり)
- 新千歳空港、東京国際空港、成田国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、関西国際空港、那覇空港
- 東京国際空港
第3ターミナル
国内線到着専用
- 旧・国際線ターミナル。
国際線ターミナル
- 大韓航空
- アシアナ航空・全日本空輸
- 仁川国際空港、釜山金海国際空港、済州国際空港
- キャセイパシフィック航空・日本航空
- 香港ドラゴン航空キャセイパシフィック航空
- 香港国際空港(2007年10月28日より)
- 台湾桃園国際空港
- 台湾桃園国際空港
- 中国国際航空・全日本空輸
- 上海浦東国際空港、青島国際空港経由北京首都国際空港
- タイ国際航空・日本航空・バンコクエアウェイズ
- ベトナム航空・日本航空
- シンガポール航空・全日本空輸
国内線の第1~3ターミナルとは滑走路を挟んで反対側に位置する。地下鉄は乗り入れておらず、地下鉄利用者や国内線との乗り換えは国内線ターミナルとを結ぶ無料シャトルバスを利用できる。
空港内施設
- 福岡空港内郵便局
- 福岡銀行福岡空港支店(国内線第2ターミナル地下1階)、国際線ターミナル出張所 外貨両替/ATMコーナー(国際線2階)
- 西日本シティ銀行福岡空港支店(国内線第2ターミナル地下1階)
- コンビニエンスストアは福岡空港商事直営のものが3店舗。
- 福岡入国管理局は本局が国内線第3ターミナル内にある。
空港へのアクセス
鉄道
バス
西鉄バス
バスはすべて国内線ターミナル発着。下記の行き先のバスが利用できる。
- 福岡タワー南口
- 博多駅
- ダイヤモンドシティ(博多の森競技場)
高速・急行バス
福岡空港内のバス停から、下記の地区へのバスが出ている。
- 国内線ターミナル発着
- 国際線ターミナル発着
道路
脚注
関連項目
外部リンク
- 福岡空港ビルディング株式会社(日本語・英語・韓国語・中国語版)
- 福岡空港調査委員会(日本語版)
- 国土交通省九州地方整備局港湾空港部 - 福岡空港の総合的な調査(日本語版)
- (財)アジア太平洋観光交流センター - 福岡空港の実態調査報告書
- 福岡県福岡市:福岡空港(日本語版)
テンプレート:Airport-infoテンプレート:Airport-stub
de:Flughafen Fukuokafi:Fukuokan lentoasema fr:Aéroport de Fukuoka id:Bandar Udara Fukuoka ko:후쿠오카 공항 vi:Sân bay Fukuoka zh:福岡機場