エリザベス女王杯
エリザベス女王杯( - じょうおうはい)とは日本中央競馬会(JRA)が京都競馬場の芝2200mで施行する中央競馬の重賞(GI)レースである。
正賞はエリザベス女王杯、京都府知事賞、日本馬主協会連合会長賞。
概要[編集]
前身の「ビクトリアカップ」は牝馬の菊花賞に位置付けられるものとして1970年から行われていたが1975年にエリザベス女王が来日したのを記念し、翌1976年に新たに「エリザベス女王杯」が創設されてビクトリアカップは廃止された。事実上は改称だが形式としてはエリザベス女王杯は新設のレースとされた為、1976年のエリザベス女王杯が「第1回」となっている[1]。
1995年の第20回までは京都競馬場の芝2400メートルで施行され牝馬三冠レースの最終戦であった[2]。
1996年、秋華賞の新設に伴い芝2400メートルから芝2200メートルに距離が短縮されると共に古馬牝馬も出走が可能になりこれまで古馬になると牡馬と戦うしかなかった牝馬最大の目標の1つとして定着、3歳牝馬三冠路線組も合わせ牝馬の一線級が一堂に会するレースとなった。また1995年以降JRAの方針によりGIレースが地方馬にも開放され秋華賞・京都大賞典・府中牝馬ステークスのいずれか2着以内の地方馬には出走資格が与えられる事になり、更に1999年より外国馬も出走可能となった。
なお2006年より春季に古馬牝馬限定のGIレースとしてヴィクトリアマイルが新設された為、春秋それぞれに古馬牝馬が出走可能な牝馬限定GIレースが存在する事となった。
2006年の同レースは1番人気のカワカミプリンセスが1位に入線したが、他馬の進路を妨害したため12着に降着となった。日本のGIにおける1位入線馬の降着は1991年天皇賞(秋)のメジロマックイーン以来となる。
2008年からは、ジャパン・オータムインターナショナルシリーズに指定される。
主なステップ[編集]
レース名 | 格付 | 団体 | 施行競馬場 | 施行距離 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 京都大賞典 | GII | 中央 | 京都競馬場 | 芝2400m |
2 | 府中牝馬ステークス | GIII | 中央 | 東京競馬場 | 芝1800m |
3 | 秋華賞 | GI | 中央 | 京都競馬場 | 芝2000m |
4 | 天皇賞(秋) | GI | 中央 | 東京競馬場 | 芝2000m |
歴史[編集]
- 1976年 - 京都競馬場の芝2400mの4歳(現3歳)牝馬限定の重賞レース「エリザベス女王杯」として創設。
- 1979年 - 京都競馬場の改修工事により阪神競馬場の芝2400mで施行。
- 1984年 - グレード制施行によりGIに格付け。
- 1986年 - メジロラモーヌが本レースを勝利し、史上初の牝馬三冠を達成。
- 1987年 - 菊花賞と開催週を交換。
- 1989年 - 岸滋彦騎乗のサンドピアリスが20頭中20番人気で勝利し、単勝払い戻し43060円を記録。(グレード制施行後のGI最高単勝配当記録)
- 1996年 - 秋華賞の創設により、出走資格が4歳(現3歳)以上牝馬に変更、距離も2200mへ短縮となる。
- 1999年
- 2004年 - アドマイヤグルーヴが史上2頭目の連覇を達成。
- 2006年 - カワカミプリンセスが1位入線するも進路妨害で12着へ降着(降着制度施行後のGIで2度目の1位入線馬の降着)。
- 2007年 - ウオッカが出走取り消し。この影響で15億円の大損失。
- 2008年
- ジャパン・オータムインターナショナルシリーズに指定。
- ポルトフィーノがスタート直後に躓き、鞍上の武豊が落馬。
- クリストフ・ルメールが外国人騎手として史上初の優勝。
- 2010年
- 2011年
- イギリスのスノーフェアリーが外国調教馬として史上初の連覇。またレース史上では3頭目の連覇。
- ライアン・ムーアが外国人騎手として初の連覇。
- 2012年
- 出走馬選定方法が変わり、レーティングで上位5頭に優先出走を認める。
- エリザベス女王の即位60年を記念する「ダイヤモンドジュビリー」記念レースとして施行。なお、「ダイヤモンドジュビリー」という名称の使用は英国王室から公式に許可を得たもの[3]。
- 本馬場入場曲に3年ぶりに「ザ・チャンピオン」が使用される。
- 2013年 - 英語のレース名表記を「Queen Elizabeth II Cup」に変更[4]。
歴代優勝馬[編集]
※馬齢は国際馬齢表記による。
回数 | 施行日 | 優勝馬 | 性齢 | タイム | 優勝騎手 | 管理調教師 | 馬主 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
第1回 | 1976年11月21日 | ディアマンテ | 牝3 | 2:28.5 | 松田幸春 | 稲葉幸夫 | 佐藤弘嘉 |
第2回 | 1977年11月20日 | インターグロリア | 牝3 | 2:28.7 | 福永洋一 | 柳田次男 | 松岡正雄 |
第3回 | 1978年11月19日 | リードスワロー | 牝3 | 2:29.1 | 武邦彦 | 服部正利 | 熊本芳雄 |
第4回 | 1979年11月18日 | ミスカブラヤ | 牝3 | 2:32.6 | 岡部幸雄 | 西塚十勝 | (有)鏑矢 |
第5回 | 1980年11月16日 | ハギノトップレディ | 牝3 | 2:27.9 | 伊藤清章 | 伊藤修司 | 日隈広吉 |
第6回 | 1981年11月15日 | アグネステスコ | 牝3 | 2:28.1 | 西浦勝一 | 久保道雄 | 渡辺孝男 |
第7回 | 1982年11月21日 | ビクトリアクラウン | 牝3 | 2:29.2 | 嶋田功 | 稲葉幸夫 | 飯田正 |
第8回 | 1983年11月20日 | ロンググレイス | 牝3 | 2:30.1 | 河内洋 | 小林稔 | 中井長一 |
第9回 | 1984年11月4日 | キョウワサンダー | 牝3 | 2:28.4 | 樋口弘 | 吉岡八郎 | 浅川吉男 |
第10回 | 1985年11月3日 | リワードウイング | 牝3 | 2:26.8 | 内田国夫 | 鶴留明雄 | 宮崎忠比古 |
第11回 | 1986年11月2日 | メジロラモーヌ | 牝3 | 2:29.1 | 河内洋 | 奥平真治 | (有)メジロ牧場 |
第12回 | 1987年11月15日 | タレンティドガール | 牝3 | 2:29.3 | 蛯沢誠治 | 栗田博憲 | 飯田政子 |
第13回 | 1988年11月13日 | ミヤマポピー | 牝3 | 2:27.2 | 松田幸春 | 松田由太郎 | 大宮良吾 |
第14回 | 1989年11月12日 | サンドピアリス | 牝3 | 2:28.8 | 岸滋彦 | 吉永忍 | (株)ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン |
第15回 | 1990年11月11日 | キョウエイタップ | 牝3 | 2:25.5 | 横山典弘 | 稗田研二 | 松岡正雄 |
第16回 | 1991年11月10日 | リンデンリリー | 牝3 | 2:29.6 | 岡潤一郎 | 野元昭 | 林田秋利 |
第17回 | 1992年11月15日 | タケノベルベット | 牝3 | 2:27.1 | 藤田伸二 | 小林稔 | 武岡大佶 |
第18回 | 1993年11月14日 | ホクトベガ | 牝3 | 2:24.9 | 加藤和宏 | 中野隆良 | 金森森商事(株) |
第19回 | 1994年11月13日 | ヒシアマゾン | 牝3 | 2:24.3 | 中舘英二 | 中野隆良 | 阿部雅一郎 |
第20回 | 1995年11月12日 | サクラキャンドル | 牝3 | 2:27.2 | 小島太 | 境勝太郎 | (株)さくらコマース |
第21回 | 1996年11月10日 | ダンスパートナー | 牝4 | 2:14.3 | 四位洋文 | 白井寿昭 | 吉田勝己 |
第22回 | 1997年11月9日 | エリモシック | 牝4 | 2:12.5 | 的場均 | 沖芳夫 | 山本慎一 |
第23回 | 1998年11月15日 | メジロドーベル | 牝4 | 2:12.8 | 吉田豊 | 大久保洋吉 | メジロ商事(株) |
第24回 | 1999年11月14日 | メジロドーベル | 牝5 | 2:13.5 | 吉田豊 | 大久保洋吉 | メジロ商事(株) |
第25回 | 2000年11月12日 | ファレノプシス | 牝5 | 2:12.8 | 松永幹夫 | 浜田光正 | (有)ノースヒルズマネジメント |
第26回 | 2001年11月11日 | トゥザヴィクトリー | 牝5 | 2:11.2 | 武豊 | 池江泰郎 | 金子真人 |
第27回 | 2002年11月10日 | ファインモーション | 牝3 | 2:13.2 | 武豊 | 伊藤雄二 | 伏木田達男 |
第28回 | 2003年11月16日 | アドマイヤグルーヴ | 牝3 | 2:11.8 | 武豊 | 橋田満 | 近藤利一 |
第29回 | 2004年11月14日 | アドマイヤグルーヴ | 牝4 | 2:13.6 | 武豊 | 橋田満 | 近藤利一 |
第30回 | 2005年11月13日 | スイープトウショウ | 牝4 | 2:12.5 | 池添謙一 | 鶴留明雄 | トウショウ産業(株) |
第31回 | 2006年11月12日 | フサイチパンドラ | 牝3 | 2:11.6 | 福永祐一 | 白井寿昭 | 関口房朗 |
第32回 | 2007年11月11日 | ダイワスカーレット | 牝3 | 2:11.9 | 安藤勝己 | 松田国英 | 大城敬三 |
第33回 | 2008年11月16日 | リトルアマポーラ | 牝3 | 2:12.1 | C.ルメール | 長浜博之 | (有)社台レースホース |
第34回 | 2009年11月15日 | クィーンスプマンテ | 牝5 | 2:13.6 | 田中博康 | 小島茂之 | (株)グリーンファーム |
第35回 | 2010年11月14日 | スノーフェアリー | 牝3 | 2:12.5 | R.ムーア | E.ダンロップ | アナモイン社 |
第36回 | 2011年11月13日 | スノーフェアリー | 牝4 | 2:11.6 | R.ムーア | E.ダンロップ | アナモイン社 |
第37回 | 2012年11月11日 | レインボーダリア | 牝5 | 2:16.3 | 柴田善臣 | 二ノ宮敬宇 | 田中由子 |
第38回 | 2013年11月10日 | メイショウマンボ | 牝3 | 2:16.6 | 武幸四郎 | 飯田明弘 | 松本好雄 |
第39回 | 2014年11月16日 | ラキシス | 牝4 | 2:12.3 | 川田将雅 | 角居勝彦 | 大島昌也 |
第40回 | 2015年11月15日 | マリアライト | 牝4 | 2:14.9 | 蛯名正義 | 久保田貴士 | (有)キャロットファーム |
第41回 | 2016年11月13日 | クイーンズリング | 牝4 | 2:12.9 | M.デムーロ | 吉村圭司 | 吉田千津 |
※第31回はカワカミプリンセスが1位で入線したが最後の直線入口で他馬の進路を妨害したとして審議の結果12着に降着処分、2位に入線したフサイチパンドラが繰り上がりで優勝となった(参考:カワカミプリンセスの走破時計 2:11.4)。
エリザベス女王杯の記録[編集]
- レースレコード - 2:11.2(第26回優勝馬トゥザヴィクトリー)
- 2着との最大着差 - 3 1/2馬身(第17回優勝馬タケノベルベット)
- 同一馬による連覇 - 2
- メジロドーベル - 第23、24回
- アドマイヤグルーヴ - 第28、29回
- スノーフェアリー - 第35、36回
- 同一騎手による連続優勝 - 4(第26~29回 武豊。同レースの最多勝利騎手でもある)
脚注[編集]
- ↑ レース名の改称が行われた場合は通常施行回数は引き継がれる。
- ↑ 但し桜花賞・優駿牝馬(オークス)とは違い英国競馬のクラシックレースに範を取ったレースでは無い為、クラシックレースには位置付けられていない。
- ↑ エリザベス女王杯(GI)をエリザベス女王即位60年記念として施行 JRA 2012年7月29日
- ↑ 競馬ブック エリザベス女王杯の英語名称の変更
関連項目[編集]
中央競馬のグレードワンレース | |
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