学生服
この項目では、、詰襟タイプで主に、指定された男子中高生や応援団などが着用する黒色の衣服について説明しています。男女問わず、学生・生徒が着用する学校の制服については「制服#学校の制服」をご覧ください。 |
学生服(がくせいふく)は、学校の所属者(学生・生徒)が着用することを目的に規定された服の中で、男子向けの詰襟を用いた共布上下の衣服を指す。
目次
概要
学生服は、広義には、学校の制服・標準服として定められたり、また学生・生徒向けのフォーマルウェアである衣服を意味するが、狭義には、その内でも特に「詰襟かつ立襟[1](ごく一部には折襟や開襟の学校も存在するが)の共布上下で、男子生徒・学生用の衣服」を指す。本項では主に、後者のものについて記述する。
基本的には中高生向けの制服であり、小学校や大学においても稀に用いられる。夏季には上衣を用いず[2]、主に白地のシャツのみとされることが多く、ズボン・スラックスも生地が薄く通気性に優れた夏用のものがある(夏用が存在するのは、主に標準型)。春や秋の衣替え期はベストやカーディガン等を温度調節に着る場合も多い。
主要生産地は岡山県倉敷市児島地区。学生服メーカーが集中し、国内生産量の7割を占める[3]。
全国で詰襟学生服の採用率は2000年代中盤で高校で約2割、中学校で約7割とのデータがある[4]。
色は、黒色のものが圧倒的に多いが、学校によっては濃紺、群青色、灰色、数こそ少ないが黒地にシャドーストライプの生地などが使われる場合もある。また、コスプレ用やイベントの衣装用等として赤や白[2]、柄物の学生服も少数ではあるが生産されている。
素材はウールやポリエステルやその混紡が主で、総裏のものと背抜きのものがある。また、戦前の夏服[2]には綿などが用いられることもあった。かつては純毛のサージ織が大半であったが、現在ではカシドスと呼ばれる目の細かい織りのものが増えてきており、夏用のズボンには平織りの生地が使われることもある。既成の変形学生服の多くは、ポリエステル100%のカシドスである。
前合わせは五つボタンが一般的であるが、七つボタンのものやホックやファスナーで留めるタイプもある。
詰襟タイプの男子学生服は学ランとも呼ばれる。学ランの「ラン」は和蘭陀の「ラン」を指し、江戸時代に洋服を蘭服と呼んでいたことに由来するという説がある。つまり呉服(中国由来のスタイルの服=今で言う和服)に対しての蘭服(西洋の服)として、蘭学同様鎖国中は和蘭陀が西洋全てを代表する名前となっていたためである[4]。その後隠語として生き続けた後、昭和50年代にマンガで使用されてから再び表舞台でも使われるようになった[5]。
なお、詰襟タイプの学生服が「男子学生の制服」として採用されていたのは、日本とその影響を受けた韓国、大陸時代の中華民国ほどであった(詳しくは制服#日本国外における学校の制服や詰襟#学生服としての詰襟を参照)。
歴史と文化
歴史
詰襟の学校制服としては学習院が1879年(明治12年)に定めたものが先ではあるが、現在に通じる学生服の起源は、東京帝国大学が1886年(明治19年)に定めた制服とされる[6]。同年、文部省通達により高等師範学校でも詰襟型学生服が採用された[6]。その後、師範・中学・高等中学・帝大・大学などでも採用し始められた[6]。生地は羅紗やサージ、色は冬服は当時の軍服に倣った黒[7]または紺色、夏服は白[2]または霜降りが主流(例外として神戸一中および二中の夏冬通してカーキ色[8]などがある)で、当時の軍服に倣ったボタン留めあるいは海軍士官型の蛇腹ホック式いずれかの形式であった。しかし当時はまだ着物が主流の時代であり、高価な学生服は明治時代~大正初期頃までは都市部を除いてあまり普及せず、和服に下駄姿で風呂敷を持ち、学生帽を被るというのが一般学生の典型的なスタイルであった。大正中期頃よりモダニズムの波が広がり、また第一次世界大戦の影響により日本への需要が急増し思わぬ好景気となったこともあって、それまで贅沢品扱いであった洋服が普及し始め、それと共に学生服も全国的に普及していくこととなる[9]。中には、当時としては珍しい背広型の制服が定められた学校もある(東京府立五中、東京市立第一中学校、東京市立第二中学校など)。
昭和10年代になると次第に戦時色が濃くなり、1940年(昭和15年)11月、勅令で大日本帝国国民服令が公布され「国民服」が誕生する。昭和17年からはこの国民服が全国共通の通学服として用いられることになり、従来の学生服は徐々に姿を消していった[9]。
1943年(昭和18年)10月21日、明治神宮外苑競技場にて「学徒出陣」壮行会が行われ、学生服に身を包んだ学生2万5千人が送り出され戦地に赴いた。
1945年(昭和20年)終戦。戦後の混乱により服装を気にする余裕もない人達が多かったため、学校へ通う人の服装はまちまちであった。1947年(昭和22年)3月31日に教育基本法・学校教育法公布、翌4月1日から施行、学校教育の6-3-3-4制が発足する。連合国軍総司令部 (GHQ) は軍国主義の払拭を図り、教育勅語の廃止や中等教育における三原則の推進など数々の教育改革を行ったが、学生や生徒の服装についてまでは介入しなかったために、詰襟学生服は戦後も日本の学校教育の中に生き延びることになる。戦後の復興が進むにつれて学生や生徒の服装も再び学生服へと戻っていった[2][10]。
昭和20年代までは大学生も学生服を着用していたが、大学が徐々に一般化してきた昭和30年代に入ると上着は学生服で下は黒色以外で好きな色のスラックスを穿くという崩したスタイルが見られ始め[11]、さらに大学生のスタイルの多種多様化により学生服離れが加速し、昭和30年代の後期にはほぼ姿を消した。現在、大学生で学生服を着用しているのは応援団と一部の体育会系など限られた人のみである(「詰襟#詰襟学生服の衰退と意味の変化」も参照)。
1963年(昭和38年)舟木一夫が学生服姿で歌う「高校三年生」が大ヒット。その後数曲の衣装は学生服路線であった。
昭和30年代以降、一般の大学生が学生服を着用しなくなり服装の自由を謳歌するようになった頃、制服という枠がある中学校や高校の中でも今までの一般的な学生服には無い個性や自己主張を盛り込みつつ、既定の路線から踏み外したデザインを求める動きが一部で現れ始めた。この頃はまだ上衣の改造はほとんど見られないが、1960年代には「ラッパズボン」と呼ばれる裾が大きく広がったズボンや、「マンボズボン」、「スカマン」と呼ばれる逆に裾を細く絞り込んだズボンが一部の不良の間で着用されていた[12]。
昭和40年代(1965年~1975年)に全国で起きた学園紛争により、高校生にも服装や頭髪自由化の流れが進んだ。ただし60年安保闘争の映像を見ると全学連の学生の多くは学生服姿であり、70年代初頭まではデモの隊列の中に学生服姿が必ず存在していた。
1970年代に、演舞の際に上衣の裾が乱れることを嫌った一部の大学応援団において、袷が深く長めの学生服と動きやすい腰周りが太めのズボンを誂えて着用するということが始まり、この流行は応援団員の持つ硬派なイメージと共に瞬く間に全国に広がった。いわゆる「長ラン」、「ボンタン」と呼ばれる変形の代表的なスタイルの誕生である[13]。1970年代中期以降、校内暴力が社会問題化するなど「荒れ」が深刻化していた頃、変形学生服はツッパリを象徴する制服として生徒の不良化の徴候であるとみなされた。そこで、各学生服メーカーは一般的な学生服と変形学生服との明確化の為「認証マーク制度」を1980年(昭和55年)に発足させて対応した[5]。日本被服工業組合連合会は、公立中学校に対して学生服に関するアンケートを行い、2503校から回答を得てその結果を集約・分析した上で基準を制定し[14]、1982年(昭和57年)に『標準型学生服認定基準』[15][16]として全国統一基準認証制度を発足させ、現在でも続いている[10]。
1980年代頃~1990年代前半は変形学生服の全盛時代で、ツッパリ以外の一般の学生も好んで普通に着用していた地域や学校(主に服装規制の緩い高校など)もある。「ビー・バップ・ハイスクール」を代表とするツッパリ系マンガやドラマの影響や、それによる変形学生服に対する憧れ、学生服に対するファッション意識の高さ等があった[13]。1980年代後半より、変形学生服対策といった学校側の理由や、学生服メーカーの方向性変化における学校制服タイアップ活動などの理由により、ブレザー型などへモデルチェンジが始まり、詰襟の学生服を採用する学校が減少していった[17]。
1990年代中盤以降は
- ブレザー型などへの制服のモデルチェンジ
- 不良文化の衰退、流行の変遷
- 中高生のファッション観や嗜好の変化
- 金銭的な価値観の変化(「制服にお金を掛けるよりも他の物にお金を掛ける」等)
- 少子化、不景気による学生服市場の縮小
- 以上の理由による変形学生服の種類の減少や、変形学生服を取り扱う販売店の減少
などの理由により(地域や学校により特色があるので一概に言い切れない部分あるが)全般的に変形学生服を着用する学生も減少し、標準型を着用する学生が大多数となった[13][17]。
2000年代に氣志團が変形学生服をまといパフォーマンスを行い、これがヒットをし変形学生服にも目が向けられたが、一般に普及するというよりはファンがコスプレのために変形学生服を着用するといったことにとどまった。また、ドラマ「ごくせん」では、主な登場人物(第一弾の白金学院3年D組や第二弾の黒銀学院3年D組の生徒)はセミ短にストレートのスラックスを着用していると推測されるがほとんど強調されず、むしろ学生服の中に着るインナーや髪型といった別の部分のファッションにこだわる様子が描かれている。
着こなしと文化
古くは旧制高等学校を中心にバンカラを象徴するスタイルとして、制帽や学生服、マントなどを故意に破ったり、油を塗って不潔にする、蝋を塗って光沢を出すなど「粗末なもの」「ボロいもの(あえてボロくしたもの)」を好んで着用する破帽弊衣と呼ばれる文化が存在した。これは当時のエリート階級である高校生が、「人間の価値は外見ではなく中身である」というテーゼを主張するために行ったデモンストレーションあるいはプラクティカル・ジョークの一種であると考えられる。こうした傾向は進学成績などが優秀でプライドの高い一流校ほど顕著であり、現在でも一部の旧ナンバースクールなどでは伝統として受け継がれている例も見られる。
また、昭和30年代以前の学生服に既製品は少なく、基本的にすべてオーダーメイドであり、標準型といった統一基準も無かった為、仕立屋や個人の好みによって一般的な学生服のデザインにある程度の個性的なデザインを追加することも既に一部では行われていたようである。こうした変形制服の歴史は戦前の職業軍人たちの間にも見られ、特に大正から昭和初期の青年将校文化華やかりし時代には、軍規に抵触しない範囲内で服地の色調や品質、ディテールやシルエットの優美さなどを競い合っていたと言われている。それらの流れが昭和30年代以降加速し、一部の不良等に着用されたラッパズボン・マンボズボン・スカマン等の個性の強い改造・変形学生服に繋がったと言える。
おおまかに変形学生服の流行の変遷をたどるならば、上衣においては1980年代前半までが長ラン・中ラン、1980年代後半に長ラン・中ランから短ランへの移行期、1990年代前半にかけて短ラン、1990年代後半よりセミ短という流れがある。スラックスは1960年代頃はラッパズボン・マンボズボン・スカマン等、1970年代はボンタン、1980年代前半まではドカン、1980年代後半は再びボンタンが主流であったが、その後B系ブームなどによりスケーターやドカンへと移り変わった(ただしボンタンが根強い人気を誇る地域もある)。現在(通販サイトを見る限りで)は、スケーター、ドカンのほうがボンタンより取り扱いが多い傾向にある。
1988年9月号から連載が開始された漫画「今日から俺は!!」において、三橋貴志が短ラン+ボンタン、相棒の伊藤真司が長ラン+ドカンという対照的ないでたちで登場するように、80年代後半は流行の移行期にあたると考えられるが地域差が激しく断定することは難しい。
1990年代中盤以降、脱変形学生服化が進む中でも詰襟のホックやボタンをかけずに胸襟を開けたままにしたり、校章や名札を装着しなかったり、B系ブームの影響などもあり腰パンスタイルや標準型の中でもサイズの大きなスラックスを選ぶなど、軽微な着崩しを行う学生は一般的に存在する[13]。なお腰パン等によって、裾を引きずることにより磨耗が生じ綻ばせた状態を「裾ボロ」とも呼ぶ。腰パンをしていても、ルーズな印象を好むものは積極的にスソをひきずって「裾ボロ」にする者がいる一方で、歩きにくいなどの理由によりスソを安全ピンなどで留めることによって損傷させない者もいる。
これまで見てきたように、学生服は「一定の型がある」が、これを逆手に取ってあえてその型を崩す流れもある。ベクトルは時代によってさまざまだが、「型を崩すことによる自己主張」は、時代を超えて受け継がれている。喫煙や飲酒などと同様に、規則に縛られることから逃避したいという思春期の反抗の一種であるが、反抗といった要素よりファッション性やラクな格好を求めただけの場合もある。いずれにしろ校則違反がなされることが多い領域であり、学校側と生徒側の間で緊張関係を生じうる(詳しくは服装の乱れの項を参照)。服装検査がいつ行われるか、抜き打ちで行われるか、どれくらい厳密に行われるか、違反が見つかった場合は没収されるか注意で済むのかどうかなどは、変形学生服を着る学生にとって、緊張の種である。隠しポケットやチェンジフラップのように教師の目を欺くような装飾もあり、また普段は変形学生服を着ていても服装検査の時だけ標準型を着用したり、教師の目の及ばない登下校時のみは変形学生服を着たり、教師の目に触れる際はワタリ巾を細く見せたりなど、学校側と生徒側の緊張関係から派生して様々な技術が生まれた。この緊張関係は、逆説的に新たな文化を生み出すきっかけとなっている。
また、学校や部活(応援団などは顕著)によっては先輩から後輩へと受け継がれる変形学生服もある。変形学生服に対する憧れを抱くきっかけも、マンガやドラマといったメディアの影響力が大きい一方で、身近な先輩の影響力も大きい。その反面、上級生以上の過激な変形学生服を着用することは、上級生の反感を買うため、裏校則と呼ばれるような暗黙のルールで禁止されていることもある。いずれにしても学生服文化は上級生-下級生の関係性に影響を受けている。同級生との関係でも、同調圧力(ピアプレッシャー)や、仲間意識など、クラス内の文化にも影響を受けるケースもある。
さらに、変形学生服全盛時代にそれを愛用してた学生が親となり、その子供が通う中学校や高校の制服が学生服指定の場合、懐かしさから変形学生服を子供に勧めている事も一部にあり、文化が伝達されているケースもある。この逆に親の嫌がる服を着ることは子の反抗の一形態であり、変形学生服を着用する事は、親の目を意識することもある。さらに、兄のお下がりの(変形)学生服を着たり、兄の影響で弟が変形学生服を好むようになるなど、学生服文化は家族関係にも影響を受けているケースもある。
制服を着崩す生徒の心理については、服装の乱れ#服装の乱れにいたる生徒の心理を参照。
その一方で元々変形学生服文化の無い学校や地域もあったり、前述のような理由で変形学生服文化が廃れたりするケースもある。
ボタンには特別な意味付けが成されていることもあり、卒業式の日に女子が好意を持つ男子の第二ボタンをもらう風習が古くから行われてきた。なぜ第二ボタンかは、小説を元に広まった、心臓に最も近い部分だから等諸説ある[5]。また、普段第二ボタンを開けたままにしていることは「恋人募集中」などといった意味が付される事も一部地域ではある。
再利用
かつてあまり豊かでなかった時代は制服・制帽を下級生や弟にお下がりをした。古いものや大秀才あるいは何年も留年した者のお古は箔が付くと珍重されたこともある。又社会人になっても自分の金で背広を買うまで学生服を仕事場で使用している場合も多かった(特に中・高卒就職者)。海軍少佐南郷茂章は学習院出身で制服を改造して軍服に仕立てた事もあった。
現在でも、前述のように、先輩・後輩・仲間内で受け継がれたり、売買されることがある。特に体形が標準サイズではないために特注された制服は受け継がれることが多い。ネットが普及してからはネットオークションやネット販売にて中古品が取引されている。さらに、学校や地域がリユースを推進しているところでは、学校行事、バザー、リサイクルセンター、リサイクルショップなどで無料~安価にて取引されている。ただし、再利用といった目的以外に収集家による収集の目的にも利用されている。
素材がポリエステル製のものも多いが、それらの素材はリサイクルする事が可能なので、一部においてリサイクルのシステムが構築されている[18]。
標準型学生服
日本被服工業組合連合会の「標準型学生服認定基準」[15][16]を満たし、認証された学生服は「標準型学生服」となり「認証マーク」 (※「標準マーク」と呼ばれることもある)が添付される。「標準型学生服」は略して「標準」、「標準型」、「標準服」といわれる。なお、この項では便宜上その呼称を『標準型学生服』または『標準型』に統一する。特徴
- 現在日本にある標準型学生服メーカーはトンボ(旧テイコク)、尾崎商事(カンコー)、明石被服興業(富士ヨット)、瀧本(スクールタイガー)の大手4社とカネマツ等いくつかの中小企業である。
- その他、標準型学生服・標準型制定前の一般的学生服メーカー・ブランド(現存・過去)は乃木服、大臣印、忠臣服、大楠公、東郷印、大西郷印、カブト印、鳩サクラ、太陽櫻、サクラ日本、旭ツバメ、日の出桜、アサヒデフネ、日章、宝富士、平和富士、鳩五輪、ニッショウ、まるいし、ヒシビ、つちや、マルトク、オノト、丸尾(まるお)、級友印、勉強印、ホームランボーイ、銀時計印、ダイヤ、幸福印、名誉印、ほまれ印、ブルドック、ワニ錨などである[19]。
- 全国で詰襟タイプを採用している中学校の大多数が標準型学生服を指定している[15][16]。服装の乱れを防いだり、服装管理をし易くする意味合いが大きいと思われる。高校に関しては地域や学校により特色があり対応がまちまちの為、服装規定により必ずしも標準型である必要が無いケースもある。
- 一部地域では標準型のことを「国民」や「文部」と呼んでいた(戦中の代用学生服「国民服」や学術・教育・学校等に関する行政機関だった旧文部省から)。
- 学校によっては標準型の中でも更に細かい服装規定を設けている場合もあるので購入時はよく確認する必要がある。
- 上衣(一例)
- 襟カラーの形状:通常型指定/ラウンドタイプ(ソフトタイプ)指定/不問 など
- スラックス・ズボン(一例)
- タックの有無:ノータック指定/ワンタック指定/不問
- 腰帯:有指定/無指定/不問
- 脇ポケットの形状:斜指定/縦指定/不問
- ベルト通し(後中央部):1本指定/1本・2本並列可(不問)
- ピスボタン:可(不問)/不可 など
- 上衣(一例)
- 変形学生服を主とするメーカー(後述)の一部でも認証マーク付きの標準型学生服を作っており、最近は標準型全盛の為、そちらに力を入れる事も多い。そのメーカーの学生服には、標準型でもひとつひとつの上衣やスラックスのデザインに名前があてがわれていることが多い。特にその名前とデザインの因果関係はなく、名付けには学生服メーカー側の好みが反映されている。あくまでも認証基準の範囲内ではあるが、通常の標準型では省略されやすいチケットポケット(上衣)やコインポケット(上衣・ズボン)を付けていたり、変形のテイストを感じさせるデザイン(ズボン:腰帯無/縦ポケ/ピスボタン/並行ループ 等)を盛り込んでいるタイプもある。
- ネットオークションなどでセミ短や中ランを「標準型と同等」「標準タイプ」などといって出品しているケースがあるが、これらのモデルには「認証マークが付いていない」「袖部分がボタンホール仕様になっている」など細部が標準型と異なり学校の服装規定外のケースも多い為、購入時には注意が必要である。
- コストダウン等の理由により、標準型に準拠しながらも認証マークを添付していないケースもあり(主に夏用のズボン等)、学校によって判断が変わるので購入時は注意が必要である。
- ボタンのデザインも全国統一標準タイプのものが制定されており、中学生用は桜をモチーフにしたもの、高校生用は月桂樹の葉冠をモチーフにしたものである。またオリジナルデザイン(校章をデザインしたものが多い)のボタンを作成し、装着指定している学校もある。
上衣
※標準型学生服認定基準[15]より、表示基準サイズ:170cm・A体
- 上衣丈:総丈の1/2±2cm→(身長-23cm)/2±2cm
- カラー
- 襟の高さ
- 後部襟:4cm±0.2cm。
- 前部襟:レギュラーカラー 3.6cm±0.2cm、ラウンドカラー 3.0cm±0.3cm(アールの中心部)。
- 別途考慮:B体または特殊体型
- 襟吊・襟釛
- ボタン
- 前身:5個(チェンジボタン仕様可)。御洒落仕様不可。
- 袖:2個
- 付け方:裏地までの通し縫い。チェーンステッチ不可。チェンジボタン仕様可(個別申請して認定された上衣限定)。
- チェンジボタン(ボタン止め)
- 色
- 地色:黒とする。
- 文字:黒、白、ゴールド、シルバーの4色とし、単色使い。
- 材質:金属性は可。
- 不可:七宝的なもの及び使用上不必要な装飾的なもの。
- 色
- ポケット
- 胴の部分:極端なウエストのしぼりは不可。
- カド:フロント裾、雨ブタのカドは小丸味のみ可(1円玉程度の大きさ)。
- 袖口
- 形状:筒状またはあきみせ状。それ以外は不可
- 構造:袖伸ばし仕立ては可。袖割可能な作りは不可。
- 幅:15cm±1cm。
- 前合せ:ボタンのみ。ファスナー使用不可。
- ダーツ:有無不問(1本は可)。
- ステッチ等
- 表:不可
- 裏:ステッチ、パイピング共に可。色は黒のみ。
- 裏地:黒無地のみ(メッシュは可)。
- 袖裏・ポケット地:黒無地とする。
- 「上衣丈(着丈)」並びに「第5釦から裾まで」のサイズ(単位:cm)
サイズ | 上衣丈 | 第5釦から裾まで |
160A | 66.5-70.5 | 21.5-24.5 |
170A | 71.5-75.5 | 23.0-26.0 |
180A | 76.5-80.5 | 24.5-27.5 |
スラックス・ズボン
※標準型学生服認定基準[16]より
- 腰部分
- 型(腰帯の有無):切替タイプ(腰帯有)、切替無し(腰帯無)タイプ共に可。
- 腰帯幅:3.5~4cm。
- 股上丈、装飾等:極端に深い(ハイウエスト)・浅い(ローライズ)ものは不可。腰後のセンター割不可。
- 型(腰帯の有無):切替タイプ(腰帯有)、切替無し(腰帯無)タイプ共に可。
- タック
- 有無・数:ノータック、ワンタックは可。
- 幅
- ウエスト72cm以下:1.5cmまで。
- 上記以上:2cmまで。
- ベルト通し(ループ)
- 数:7~9本
- 長さ:4~5cm
- ループダウン(下がり):1.5cmまで可。
- 後ろ位置:1本または2本並列のみ可(X・V字状不可)。並列の間隔は1cm以上空けること。
- ループ幅:0.8~1.2cm。
- ポケット
- 脇:斜、縦以外は不可。
- コインポケット:取付可(但し、ポケット口より内に2cm以上あけること)。
- コンシールファスナー:取付可。
- コインポケット:取付可(但し、ポケット口より内に2cm以上あけること)。
- 後:切ポケット以外は不可(但し、両玉、片玉は1cmまでとする)。
- 腰裏:腰裏の札入れは可(前身)。
- 脇:斜、縦以外は不可。
- 雨ブタ、ピス等
- 可:ピスボタン(華美にならないこと)。
- 不可:雨ブタ(フラップ)、特殊ヒモ類、ピスネーム、飾りシツケ等。
- 腰裏・ポケット地:黒、グレー、濃紺、クリームは可。
- スソ形状:シングル、ダブル可。ダブルの折返し幅は3~4cmが標準。
- ワタリ(股の付け根部分のサイズ)・ヒザ幅(すべての製品について股の付け根部分より下30cmの位置)・スソ幅・スソ口
- 単位:cm
Wサイズ | ワタリ幅 | ヒザ幅 | スソ幅 |
66 | 28-31 | 20-24 | 20-22 |
70 | 29-32 | 21-25 | 21-23 |
76 | 30-34 | 22-26.5 | 22-23.5 |
82 | 32-36 | 22-27 | 22-24 |
88 | 34-38 | 24-29 | 23-25 |
- ヒザ幅
- スソ幅に対し
- ヒザ幅
ウエストサイズ | ヒザ幅 |
74cmまで | 最大+2cm |
76-82cm | 最大+3cm |
84-100cm | 最大+4cm |
100cm以上 | 別注 |
上記以外 | 同上のサイズを基準として作成 |
変形学生服
標準型学生服認証マークの付かない学生服は一般的に変形学生服と呼称されることが多い。他に「ファッション学生服・学ラン」「改造学生服・学ラン」「特殊学生服・学ラン」「カスタム学生服・学ラン」「デザイン学生服・学ラン」「オシャレ学生服・学ラン」などと呼称される。また、前述のように学校の服装規定に違反することも多いため、「違反服」「違反学生服」とも呼称される。なお、この項では便宜上その呼称を『変形学生服』または『変形』に統一する。
特徴
- 変形学生服の主なメーカー・ブランド(現存・過去)はベンクーガー(BENCOUGAR)、ジョニーケイ(JOHNNY KEY)、ジョンカーター(JOHNCARTER)、マックスラガー(MAX RUGGER)、キングダッシュ(KingDash)、タクトン、ビックパーサー、リバックス・メンズ(Rivax Men's)K.Yoshihiro、BLACK 1、EAGLE FEATHER、極 KIWAME、極族、ベースキャンプ、マスクローズ、ブラックカイザー、ヤーバンDC、コブラ、ユニオンジャック、トップカルダンなどである。
- 変形学生服メーカーは独自にカタログを発行しているケースが1990年代中盤~後半頃までは多かったが、不景気の影響や前述のように変形学生服の需要が減少してる等の要因などもあり徐々にカタログを廃止するメーカー増えていき、2000年代中盤頃には殆どのメーカーで廃止されてしまった[21]。そのカタログには着こなし方などの情報も記されたり、様々なデザインの変形学生服が一覧でき、変形学生服への憧れを煽るようなモデルを使ったイメージ画などもあり、情報量は多かった。そのため、(変形学生服全盛の頃は特に)このカタログを見て様々な変形学生服を着ることを夢見たり、友人とこれを材料に雑談するなど「雑誌」としての意味も充分に持ちうるものであった。
- 近年は、変形学生服を取り扱う販売店の減退があるが[22]、一方でネット通販などに販売形態が移り変わりつつある。
- 変形学生服には、ひとつひとつの上衣やスラックスのデザインに名前があてがわれている。特にその名前とデザインの因果関係はなく、名付けにはメーカー側の好みが反映されている。
- 過去には一般的・標準型学生服に手を加えて変形学生服(改造学生服とも呼ばれる)にするケースもあった。だが、既製品が流通するようになってからは、そちらが変形学生服の主流となっている。中にはデザインを自分好みにフルオーダーする人もいた。それらは仕立て と呼ばれ、吊るし と呼ばれる既製品より価値が高いとする地域や学校もあった。
- 学校の服装規定にて標準型着用が指定されておらず、デザインがそれに沿ったものであれば、変形学生服であっても正規の制服として(黙認も含めて)認めているケースもある。
- 変形学生服にあわせて、ネックレス等アクセサリーやベルト、靴下や靴にも派手目のものを着用しこだわりを持つケースもある。腰パンをする場合は、必然的に下着を見せるためにここもこだわるポイントである。上衣の中に着る服には特にこだわりがある場合が多く、パーカーを着込みフード部分を外に出したり、B系のサイズの大きなTシャツを着たりする。他に染髪やパーマ、髪型や眉などに手を加えたり、香水を付けたり、財布や学生鞄(古くは、潰しカバンやチョンバッグ)など持ち物も含めた総合的なコーディネートを考えているケースもある。また、ポケットに手を入れたり股を開き気味に歩いたりして、ワタリの広さを強調することも行われるたり、学生鞄の持ち方などにもこだわりを持つなど、総合的なパフォーマンスに気を遣うケースもある。
- 卒業式では、普段は標準型を着用している者が変形学生服を着たり、普段から変形学生服を着用しているものがより華美な変形学生服を着るなど、いっそうの自己主張の場となることがある。なかには、黒色以外の「カラー学生服」を着用したり、刺繍を行う者もいる。また、特攻服を着て出席する場合もある。
- ただし、上のような「カラー学生服」を除けば、紺、グレーなどの変形学生服も生産されているものの種類は少なく、ほとんどは黒色のものである。
- 「ホコリやゴミが付きにくく落ちやすい」「しわになりにくい」「ファッション性が高く色々なデザインが選べる」「動きやすい」などの理由により、変形学生服のスラックス・ズボンが美容師など一部の職業用ユニフォームとして採用されているケースもある[23]。
- 学生服ではないものの変形学生服風のデザインの衣料には、変形学生服のネーミングが流用して使われることもあった(例:ボンタンジーンズ、短ランジャージ)。
- 変形学生服全盛時代は目立ってわかりやすいサイズやタイプが重要視され、それを言うことが(一例「上は短ラン、下はワタリ38スソ20」等)一種の挨拶的役割を果たしていた学校や地域もあったが、変形学生服文化の縮小と共に廃れていった。現在ではセミ短やスケーターが変形の中心的存在のモデルになっている背景からデザイン的な流行やバランスを重視して選んでいるケースが多い模様。
- 変形学生服全盛の頃はバリエーションも多かった為、少し変わったデザインやギミックを備えているモデルも存在した(下記参照)。現在では採用される事が少ない。
- 上衣(一例)
- 裏地の柄をチャックひとつで変えられるモデル(“忍者”と呼ばれる事もあった)
- シークレットポケット(一見わかりにくい部分に付いている隠しポケット)
- スラックス・ズボン(一例)
- 上衣(一例)
上衣
※記載されている数値は表示の基準となっているMサイズのもの、また着丈は背面の襟カラーの付け根から裾までの長さをいう。
- 分類
- タイプは着丈によって区分され、一般的に、短ラン・セミ短・中ラン・長ランの四種類に分けられる。
- 短ラン - 標準型より着丈が目に見えて短いタイプ(約65cm未満)を指す。おおよそ50cm未満になると「極短ラン」、通称:「極短」と呼ばれることがある。極短になると、前面の丈が、背面の丈より長くなる「スペンサーカット」が採用される傾向にある。
- セミ短 - 「セミ短ラン」の短縮形通称。標準型より着丈が若干短めのタイプ(約65~70cm位)を指す。通販サイトではここ数年売れ筋のモデルと書かれていることが多い。
- 中ラン - 標準型と着丈がほぼ同じ長さ~多少長いタイプ(約70~80cm位)を指す。以前は「標準型からのステップアップ用」「標準型の代用品として」など標準型+αを求める層や「適度な着丈にこだわりを持つ人」などに一定の人気を得ていたが、最近は標準型全盛であるため、またちょっとしたこだわりを求める者が減った為、一見標準型と変わらなく見えるデザインが逆に仇となり人気が大きく低迷している。それにより各メーカーは大幅にラインナップを縮小している。70cm台前半のものは「セミ中」、70cm台後半のものや中ラン自体を「セミ長」と呼ぶこともあった。解釈の仕方によっては中ランも長ランの一種として扱われている場合がある。
- 長ラン - 標準型より着丈が目に見えて長いタイプ(約80cm以上)を指す。詳しくは「長ラン」 参照。
- 細部の形態
- 襟カラーの高さは、短ランでは標準型より低く、セミ短は標準型よりやや低い~同等、中ランは標準型と同等~やや高く、長ランでは標準型より高いことが多い。短ランでは1cm台のものがあり、長ランでは5cmを超えるものもある。
- 肩の部分は、パットが多く詰め込まれたり肩幅が広くデザインされているものが多数を占め、体格をよく見せるようになっている。近年は細身が好まれる傾向もあり、肩幅も細くデザインされたものもある。
- 袖と胴体部の接合部は広くとってあり、二の腕部も太く、袖まわりに至って徐々に狭くなっているデザインが多い。
- ウエスト部分の絞りを大きくし、タイトなスタイルに見せるデザインのものもある。これは相対的に肩幅を大きく見せる意図を持ったものもある。
- 前ボタンの数は短ランでは4個以下(4個以下になる短ランは極短がほとんど)、長ランでは6個以上になるものもある。セミ短や中ランは標準型と同様5個のものが多い。短ランになればなるほど、ボタン間の間隔は狭くなる。
- フロントボタン(前ボタン)はメーカーのものや、全国統一標準タイプ中学生モデル(桜)をデザインベースとして光沢がないもの(イブシボタン)、ふくらみがないもの(潰しボタン)、表面をプラスチックでコーティングしてあるもの(エポキボタン)などといったデザインが特殊なものがある。同様に、チェンジボタン(裏ボタン)も、チェーンで連結されるなど派手に装飾される(取り外しが容易なので自分好みにカスタム可能)。この部分のカスタムは、他に比べ容易に可能なので、まず標準型から脱する際に手始めとして行われることが多い。
- 左前ポケット上には、メーカーやブランド名を記載したピスネーム(ネームタグ)付のものがある。
- 袖の作りはボタンホール仕様(本穴仕様)になっているものが殆どである。これは、縫いつけではなく生地にボタン穴が開いており、袖ボタン用の裏ボタンで留める仕様のことである。標準型と見分けが付きやすいポイントである。袖ボタン数は短ランでは1個、セミ短では1個-2個、中ランでは2個-3個、長ランで3個以上であることが多い。
- 生地同士の接合部分など生地端にステッチが入ることがある。すべての生地端にステッチが入ることをオールステッチと呼ぶ。
- 隠しポケットが存在するなど、ポケットにも技巧が凝らされている場合がある。また、短ランの場合、前ポケットが浅くなる。そして、スラックスのポケットにも共通することであるが、ポケット内部にある裏地は他の部分の裏地に比べて見えやすく、裏地のカラーをアピールできるところである。
- 胸ポケットは「クシポケット」と呼ばれるようなクシが入るような深いものもある。短ランでは斜めにデザインされていることもある。
- 長ランの中にはセンターベンツ(動きやすくするため、背中裾中央部分に入れた切れ込み)になっているものも存在する。
- 旧来は、裏地に竜や虎などの刺繍が施されることがあったが。現在は刺繍がされることは稀で、色も極端に派手なものは少数派である。標準型より多少派手目に見える色使い(パープル、ブラックワイン等)が主流。ただし、光沢や玉虫調を強めにして標準型とは差異化を図っている。
- なお、以上は「学ラン」タイプの変形学生服についての解説であるが、ブレザーにおいても「短ブレ」、スクールシャツにおいての「短シャツ」と呼ばれる着丈の短い変形タイプが存在する。
スラックス・ズボン
- 一部では「学ズン」と呼ばれることもある。
※記載されている数値は表示の基準となっているMサイズのもの
- 分類
- シルエットによりいくつかのタイプがある。ただし、上衣ほど明確に区分できず、境界が曖昧なものも多い。ワタリ巾、スソ巾によって分類される。「ボンタン」「ブーツカット」ではヒザ巾も重要な観点となる。以下、おおまかに見てワタリ巾の狭いものから取り上げるが、「ボンタン」「ブーツカット」はラインが幅広くこの順序にあてはまらないものもある。ストレートから遠ざかるにつれて過激なデザイン(校則違反になりやすいもの)になり、下記の細部の形態も標準型と離れて華美なものになるものが多い。以下、サイズ一例としてそのシルエットを代表する「ワタリ巾-スソ巾」または「ワタリ巾ーヒザ巾ースソ巾」を掲出する。なお、通販サイトカタログ等では「タック数-ワタリ巾-スソ巾」といった表示の仕方も多い。
- タイト・スリム:ストレートに比べ、ワタリ巾・スソ巾ともに細い。お兄系など男性においても細身のスタイルを求める傾向とも重なる。サイズ一例「31-20」
- ストレート:ベーシックなラインのモデル。標準型もこれに含まれる。サイズ一例「34-22」
- ブーツカット:「ラッパズボン」と呼ばれた変形ズボンに近いシルエット。ワタリ巾はストレート並だが、ヒザの部分が細くなりスソが大きく広がっている。「ベルボトム」とも呼ばれる。サイズ一例「35-24-28」
- バギー:ストレートに比べ、ヒザから下が若干太いシルエット。ストレートとスケーターの間のようなデザイン。サイズ一例「35-26」
- スケーター:ストレートに近いシルエットだがワタリ巾、スソ巾ともに若干広い(特にスソ巾が広い)。ルーズさを強調する為に折り目を無くしたものも存在する。箱ポケ(後ろポケットの入り口部分が1~2cm程度の帯状になっている仕様)モデルもある。通販サイトではここ数年売れ筋のモデルと書かれていることが多い。(ヒップホップ系ブームの影響もある模様)ワタリ巾が40cmを超えるものは、ドカンに近くなる。サイズ一例「38-28」
- ボンタン:変形学生ズボンの代名詞。広義では太目の変形ズボン全般を指す場合もある。狭義ではワタリ巾が広く、スソ巾が細くなっているタイプを指す(サイズ一例「40-20」)。「ボンタン」という言葉に対して時代遅れといった印象も付きまとうため、「ロックパンツ」などと別の呼称に置換されることもある。また、これに類するものでニッカボッカーのようにヒザ部分の太さをいっそう強調した「バナナ(ボンタン)」(別名「クジラ」、「ちょうちん」)と呼ばれるスラックスもある(サイズ一例「43-44-20」)。ひざからスソのスリムさを意識したデザインの場合、「ボンスリ」と呼ばれる(サイズ一例「40-25-20」)。なお、古くは「ボンタン狩り」と称して、敵対する者が履いているボンタンを強奪することがツッパリの中で流行したことがあった[24]。
- ドカン:文字通り土管のような極太ストレートラインのズボン。ボンスト(ボンタンストレート)、ズンドウと呼ばれることもある。ワタリ、ヒザ、スソいずれの部分もかなり広いシルエット。サイズ一例「55-35」
- 細部の形態
- ノータック~2タックが主流。ワタリ巾の広さにほぼ比例するようにタック数も多くなる傾向にある。中には3タックや4タックもある。
- スラックス後ろ中心のベルト通しは殆どクロスループ( X )、または並行ループ(※平行ループ・パラレルループとも呼称される)(||)になっている。極少数であるがVループ状のものもある。華美なものになると、後ろ中心のベルト通し以外のすべてのベルト通しでもクロスループ仕様の、オールクロスループというものもある。また、すべてのベルト通しが二本ずつになるダブルループというものもある。(標準型は1本ループが大多数で並行ループを採用してるものは少数である)。
- ワタリ巾の広いズボンにはループダウン(生地の端~ベルト通しの位置)が広いものがある。この部分がさらに広くなると(おおむね5cm以上)ハイウエスト と呼ばれ、前面中央部にフロントボタンが付いているものや背面中央部に切り込みが入っているもの(Vカット)がある。
- スケーターなどには、あえてセンタープリーツを消して、フォーマル色を和らげ、ルーズ感を出すものもある。
- ワタリ巾の広いズボンでは、股上が深くなりガッチリさを演出する傾向にある。反対に「タイト」や「ブーツカット」ではスタイルを際立たせるため、股上が浅いもの(ローライズ)もある。
- 脇ポケットは腰帯付仕様や斜めポケット仕様になってるものは極少数で、多くは縦ポケットである。(逆に標準型は腰帯付や斜めポケットであることが大多数)また、(「ヤンキー」が手を入れて歩きやすいようにするため、また手を入れた時にワタリを強調できるシルエットになるようにするために)脇ポケットは深い傾向にある。
- 腰裏ポケットは、外観上の大きな特徴であるフラップ(別名「雨ブタ」とも言われる)付きが多い。本来はフラップ付ポケットであるが、標準型と同様の玉縁ポケットに偽装して一見標準型のように見せる事もできるモデル「チェンジフラップ(ポケット)」タイプもある。
- 腰裏ポケット上には、メーカーやブランド名を記載したピスネーム(ネームタグ)付が大多数。
- ほぼ全てのモデルの腰裏ポケットのボタンには文字が刻印されているなどデザインされている。ピスボタンとも呼ばれる。カラーデザインボタンの場合もある(標準型は黒無地のボタンが大多数、ボタンに文字が書かれたデザインタイプものは極少数である)。
- 裏地は上衣と同様の傾向に極端に派手なものは多くなく、標準型より多少派手目に見える色使い(パープル、ブラックワイン等)が多い。ただし、光沢や玉虫調を強めにして標準型とは差異化を図っている。
その他
- 詰襟タイプでオリジナルデザインを指定し採用している学校も、私立校を中心に少なからず存在する。東京では学習院高等科、攻玉社高等学校、海城高等学校、明星中学校・高等学校、早稲田大学高等学院、慶大の一貫教育校、日本大学豊山中学校など。また、暁星学園とその系列校(大阪明星学園、長崎海星学園、札幌光星学園)では、全国的にも珍しい立折襟型で七つボタンの学生服を採用している。
学生服が印象的な人物・グループ・作品
- 3年B組金八先生
- 男子生徒の制服が詰襟学生服で一貫している。第1シリーズで長ランにスポットライトを当てた話「長ラン学ラン大混ラン」がある。
- ビー・バップ・ハイスクール
- 登場人物の殆どが変形学生服を着用。一部の変形メーカーで「トオル」「ヒロシ」というモデルが作られ、現在では「トオルⅡ」「ヒロシⅡ」という新たなデザインと共になお存在する。
- 大川興業
- 学ラン集団として登場しインパクトを与えた。
- 横浜銀蝿
- 歌詞中に「ヨーラン」「ドカン」という言葉がある「ツッパリHigh School Rock'n Roll(登校編)」が有名。
- なめ猫
- コスチュームの一つに学生服がある。
- たけし・逸見の平成教育委員会
- ぐるぐるナインティナイン
- 「グルメチキンレース・ゴチになります!」コーナーにて、男性の出演者が長ランを着用している。2015年まで坪井千夏が出ていた
- 氣志團
- V6
- 『HONEY BEAT』において、PVやテレビ出演の際に応援団風の演出を行い、短ランを着用した。
- オオカミ少年
- 学生服姿で時事ネタを応援団風に斬っていくコントのお笑いコンビ。
- 舟木一夫
- キテレツ大百科
- 登場人物の中に一般の浪人生→大学生ながら普段着が学生服の「苅野勉三(勉三さん)」がいる。
その他、上の記事中にあるように「今日から俺は!!」、「ごくせん」などがある。
脚注
- ↑ 現在、通常の用法としては詰襟という言葉に折襟やその他の形式は含まれず、専ら立襟のみを指す用語として用いられる例が多いため、以下の文中では特に記載のない限り、単に詰襟と記述する。
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 白や霜降りグレーの詰襟は戦前までは夏用の学生服として広く用いられていた。しかし夏服に関しては簡素化が進み、これらが学生服として戦後復活することはなかった。
- ↑ 岡山県アパレル工業組合HPトップより。
- ↑ 4.0 4.1 エキサイトニュース2006年4月20日『ところで学ランの「ラン」って何?』にて、尾崎商事マーケティング部社員談より。
- ↑ 5.0 5.1 5.2 岡山県アパレル工業組合HP「アパレルQ&A」 > 学生服より。
- ↑ 6.0 6.1 6.2 村田堂/制服の歴史より。
- ↑ セルロイドサロン/学生服より。
- ↑ 神戸一中および二中が採用したカーキ色は橙色に近い特殊な色であったが、それを模倣する形で軍服と同じ国防色の学生服を採用する学校(灘中など)も存在した。
- ↑ 9.0 9.1 モードの世紀/(2)大正~昭和戦中期:洋服大衆化の兆しより。
- ↑ 10.0 10.1 岡山県アパレル工業組合HP「岡山アパレルヒストリー」>昭和期・平成期より。
- ↑ キショウ堂:特別展示室/そしてより。
- ↑ MouRaトップページ > カルチャー&ビジネス > 巨乳をビジネスにした男 野田義治とEFGガールズ 第4回-2より。
- ↑ 13.0 13.1 13.2 13.3 30-35/特集:学園天国~裏ボタンVIEW~制服の変遷より。
- ↑ カンコー/制服Q&A:「標準型学生服認証マーク」って何ですか?
- ↑ 15.0 15.1 15.2 15.3 一番街 > 学生服図鑑 > 標準型学生服「標準型学生服の認定基準」より。
- ↑ 16.0 16.1 16.2 16.3 一番街 > 学生服図鑑 > 標準型スラックス「標準型スラックスの認定基準」より。
- ↑ 17.0 17.1 @nifty:デイリーポータルZ:学ランは今より。
- ↑ ポリエステル繊維の完全物質循環型リサイクルPDF (仙台市公式サイト)より。
- ↑ 琺瑯看板/学生服より。
- ↑ 標準学生服(幸新堂)より。
- ↑ 一番街 > お問い合わせ > Q&A > メーカー全般より。
- ↑ 株式会社松商様「安く、いいものを」詰襟学生服にこだわって30年-厳しい環境のなかで安定経営へ-(富士通公式サイト)より。
- ↑ 学生ズボン、番外コラム(学生服のマスコ)より。
- ↑ 週刊プレイボーイ2007年11/5号№45「鈴木おさむ×きうちかずひろ(前編)」より。
関連項目
外部リンク
- 日本被服工業組合連合会
- 岡山県アパレル工業組合
- 30-35/特集:学園天国~裏ボタンVIEW~制服の変遷
- 村田堂/制服の歴史
- モードの世紀/(2)大正~昭和戦中期:洋服大衆化の兆し
- 琺瑯看板◇学生服
- キショウ堂:特別展示室/そして
- 学生服のマスコ/1980年代の学生服
- エキサイトニュース2006年4月20日『ところで学ランの「ラン」って何?』
- @nifty:デイリーポータルZ:学ランは今
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