雑誌
雑誌(ざっし、Magazine) は、週刊、月刊、季刊、年刊などのように定期的に出版され、ニュース性のある記事やジャンル別の様々な事柄を集められた出版物。新聞と書籍の中間的な存在。大学、学会、特定の業界団体が刊行する研究年報、論文集、技術情報誌もこの中に含まれる。図書館ではこれらを「逐次刊行物(ちくじかんこうぶつ)」と呼ぶ。
目次
歴史[編集]
雑誌は、百科事典の誕生と同様、新しい知識や情報、視点を広く一般に開示、紹介するものとして出発した。日本では、明治6年に西村茂樹、福澤諭吉、森有礼、西周、中村正直らがつくった明六社の機関紙『明六雑誌』が刊行されたのがその最初だと言われる。
種類[編集]
内容による分類[編集]
様々なジャンルの専門雑誌がある。
- 総合誌
- 一般的な総合週刊誌
- 写真週刊誌
- 漫画雑誌
- 4コマ漫画誌
- パチンコ・パチスロ漫画誌
- 模型雑誌
- ゲーム誌
- ファッション雑誌
- 女性誌
- 男性誌
- 幼児誌
- 幼年誌
- 学年誌
- 少年誌
- 女性教養誌
- アニメ誌
- パズル誌
- 育児誌
- パソコン雑誌
- カメラ誌
- 釣り誌
- 天文雑誌
- 鉄道趣味雑誌
- 映画・ビデオ誌
- 音楽誌
- アイドル誌
- パチンコ・パチスロ情報誌
- アダルト誌
- 自動車雑誌
- 自転車専門誌
- 情報誌
- PR誌
- 小説誌
雑誌として想定されていない付録が付いたり、不定期に発行されると、雑誌ではなくムックになったりすることも多い。
特にページ数の少ないものは、冊子と呼ばれることが多い。
特定の漫画が載っているものは、コミック(コミックス)や単行本と呼ばれる。
刊行ペース[編集]
国立情報学研究所の目録・所在情報サービス(NACSIS-CAT)の目録システムコーディングマニュアルでは雑誌刊行頻度を以下のように区分する。
- 日刊 - 毎日刊行、デイリー(daily)
- 週3回刊 - 1週間に3回刊行、毎週月・水・金曜日などの刊行パターンがある。
- 週2回刊 - 1週間に2回刊行、セミウィークリー(semiweekly)、毎週火・金曜日などの刊行パターンがある。
- 週複数回刊は、アルバイト情報誌(「an」、かつては週3回、2006年時点で週2回)の例がある。
- 週刊(週刊誌) - 毎週刊行、ウィークリー(weekly)、毎週○曜日刊行の形になる。ただし、年末年始・ゴールデンウィーク・旧盆の前に2週分の合併号を出す場合が多い。
- 多くの雑誌の発刊サイクルの主流。
- 旬刊 - 定期や不定期で1ヶ月に3回刊行、毎月5日・15日・25日などの刊行パターンがある。
- 隔週刊(隔週刊誌) - 2週間に1回刊行、バイウィークリー(biweekly)、隔週○曜日刊行の形になる。
- テレビ情報誌など発売日の曜日を固定したい雑誌や、発刊予定数が決まっている分冊百科などに見られる。
- 月2回刊 - 1ヶ月に定期や不定期で2回刊行、セミマンスリー(semimonthly)、毎月1日・15日や毎月第1・第3○曜日などの刊行パターンがある。
- 月刊(月刊誌) - 1ヶ月に1回刊行、マンスリー(monthly)不定期に年9〜11回刊行も含む。
- 週刊に次ぐ発刊サイクルの主流。専門色の強い雑誌が多い。
- 隔月刊(隔月刊誌) - 2ヶ月に1回刊行、バイマンスリー(bimonthly)、不定期に年6〜8回刊行も含む。
- 代表例は「暮しの手帖」など。
- 季刊(季刊誌) - 3ヶ月に1回の季節ごとの刊行、クォータリー(quarterly)、不定期に年4〜5回刊行も含む。
- 隔月刊や季刊ベースはムックなどに多い。
- 年3回刊 - 4ヶ月ごとの定期や不定期で1年に3回刊行。
- 年2回刊 - 半年ごとに1回か不定期で年2回刊行、セミアニュアル(semiannual)。
- 年刊 - 1年ごとに1回刊行、アニュアル (annual)。
- 隔年刊 - 2年ごとに1回刊行、ビエンナル(biennial)。
- 3年1回刊 - 3年ごとに1回刊行、トリエンナル(triennial)。
- その他の刊行頻度 - 3年1回刊よりも刊行ペースが低いもの。
- 不定期刊 - 意図的に刊行ペースが不定期であるもの。但し、欠号による不定期は当初の刊行頻度となる。
- 主に、週刊誌や月刊誌の特別版(例・スポーツ雑誌によるプロ野球優勝チーム決定時に単発で発刊される優勝特集号など)の形で刊行される。
- 刊行頻度不明
刊行の間隔が短いものほど出版社への返品期限も短い傾向があるため、書店の棚に並ぶ日数は短くなる。
過去に刊行された号をバックナンバーと呼び、出版社に在庫がある限り、通信販売や取次ルートによる取り寄せなどで入手が可能な場合もある。また雑誌によっては特約店や一部の書店で常備している場合もある。
流通[編集]
小売店販売[編集]
取次を通して書店・駅売店・コンビニエンスストア等でに販売される一般的な流通方法である。この場合は雑誌コードの取得が不可欠だが入手が難しい。
また、古書店のなかには特定のジャンルの雑誌を専門に扱う店もある。ヨーロッパでは、書店の他に雑誌と新聞のみを扱う専門店(新聞スタンド、キオスク)がある。一部、ペーパーバックも置いていたりする。新聞・雑誌店という類のもの。
宅配販売[編集]
専門的な分野の雑誌は、契約制で企業や個人宅に直接配送するものがある。専門的でなくても読者の便宜を配慮して、定期購読契約すれば宅配してくれる場合が多い。
小売販売と宅配を両方する雑誌が多いが、宅配専門の雑誌も存在する。
小売販売と宅配を両方する雑誌の場合、定期購読契約すると送料が無料になり、さらにおまけなどの特典をくれる場合もある。
書籍や雑誌は、日本の文化政策の一環として郵便料金が安く抑えられており(冊子小包)、特に第3種郵便に指定された定期刊行物の郵便料金は安い。学術刊行物(学会誌)の場合は第4種郵便としてさらに安い料金で送ることができる。郵便局以外の民間の宅配便業者でも、メール便の大口割引などで、比較的安い値段で宅配することができる。
デジタル販売[編集]
これまでの紙の流通に加え、デジタル雑誌(aka 電子雑誌、デジタルマガジン)の発行が日本でも始まった。記事単位での販売や紹介ではなく、表紙から裏表紙までまるごと記事、広告ともに見せる形態である。 これらデジタル雑誌はその特性を用いて、雑誌内が検索できたり、動画をみせたり、編集ページや広告ページからホームページへのリンクを飛ばすなどの工夫がされているものもある。 2006年には主婦の友社が紙では休刊したefをデジタルefとしてデジタル版のみで発行。2007年初旬にはニューズウィーク日本版やR25 (雑誌)がデジタル版での流通を本格的に開始している。 ここにきて、他にも多くの雑誌(フリーペーパー含む)がデジタル雑誌として発売や発行されはじめている。 米国では2002年ごろからデジタル雑誌での販売が始まっていて、新たな流通手段として定着している。
広告[編集]
読者の購入によって出版社が得る販売代金の他に、特に近年においては広告料金の比率が高まっている。有名雑誌のカラー広告の出稿料金にはページ単価が200万円を超えるものもあり[1]、広告媒体としての存在感が増す一方で、スポンサーを向いた誌面作りの傾向が強まることなどの弊害もある。
純広告の他に、スポンサーとのタイアップ記事、広告企画記事が掲載されることもある。本文記事と区別するために広告であることが明記されたり、該当記事のみページ数を省いて印刷することもある。
雑誌広告は、より高い効果を期待して、当該雑誌の主な購読者層をターゲットにしたものとなる場合がほとんどである。とりわけ、一部の専門分野を対象にした雑誌では、一般の小売店では入手しづらい商品の通信販売を行う業者の広告が多く掲載される。その為「広告も情報のうち」として、広告の多い雑誌が重宝がられる雑誌も一部存在する。一例を挙げると、電気回路(エレクトロニクス)関連の専門誌の場合、半分以上が電子部品や工具などの広告で占められている。
近年の雑誌を取り巻く状況[編集]
インターネットの普及により企業がウェブサイト上でプレスリリースを発表するようになり、雑誌の情報発信機能が重視されなくなってきている。また、読者もウェブサイトで情報発信できるようになったため、情報交換の場としての雑誌の存在意義が失われつつある。
このため雑誌の多くが部数を減らすようになり、中には休刊(ほぼ廃刊)を余儀なくされる雑誌も現れている。