「生活保護問題」の版間の差分
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− | + | 厚生労働省が発表した平成17年の厚生労働白書によると、富山県の保護率が全国一少なく、保護率の高い北海道や大阪府との差は約十倍であった。このことについて、富山県の生活保護支給抑制策に起因しているという意見と、単に県内経済と勤勉な県民性に起因するという意見がある。後者の意見は富山県が各種統統計上で生活保護の対象となる家庭が少ないこと示唆されている事実に立脚している。たとえば持家率、住宅延面積、世帯当たりの所得で全国1位の座を保っており<ref>[http://www.stat.go.jp/ 統計局ホームページ]</ref>、世帯当たりの自動車保有数や共働き率等で上位を占める。 | |
全国的に見ても保護者が少ない富山県や保護者の増加が低い福岡県では、前述の「水際作戦」だけでなく、本来開始すべき事例について申請を却下されたという意見が「全国生活と健康を守る会」などで報告されている。扶養照会(福祉事務所が申請者・受給者の三親等以内の親族に対して扶養が出来ないかを確認する事務手続き)を逆手にとって、電話で朝な夕な多数の電話攻勢をして月1万円の援助なら可能という回答を理由にして「扶養義務者による扶養可能」と、本来扶養可能の判断基準は生活保護の最低生活費が基準になるのにもかかわらず、無理矢理扶養可能としたりなどの行為が生健会に多数報告されている。また酷い場合には扶養義務者ではない友人に扶養や支援をさせようとした例もあるという。 | 全国的に見ても保護者が少ない富山県や保護者の増加が低い福岡県では、前述の「水際作戦」だけでなく、本来開始すべき事例について申請を却下されたという意見が「全国生活と健康を守る会」などで報告されている。扶養照会(福祉事務所が申請者・受給者の三親等以内の親族に対して扶養が出来ないかを確認する事務手続き)を逆手にとって、電話で朝な夕な多数の電話攻勢をして月1万円の援助なら可能という回答を理由にして「扶養義務者による扶養可能」と、本来扶養可能の判断基準は生活保護の最低生活費が基準になるのにもかかわらず、無理矢理扶養可能としたりなどの行為が生健会に多数報告されている。また酷い場合には扶養義務者ではない友人に扶養や支援をさせようとした例もあるという。 |
2009年12月30日 (水) 14:20時点における版
テンプレート:子記事 生活保護問題(せいかつほごもんだい)とは、日本の生活保護制度を巡る諸問題のことである。
目次
生存権
なお、生活保護法は保護を請求する権利(保護請求権)を無差別平等に保障している。また、行政手続法第7条では「行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならない」と定められている[1]。
したがって、保護請求権を行使する具体的な方法である保護の申請は、絶対的な権利として保障されている。つまり、保護申請があれば福祉事務所は無条件に受理してすみやかに保護の要否についての審査を開始するというのが生活保護法の根本原則である。
そして、生活保護の申請は要式行為(定められた形式で行うことが成立要件である行為)ではない。つまり、保護申請に「形式上の要件」はなく、申請の意思表示が行われれば、それが所定の申請用紙ではなく独自用紙によるものであろうと、口頭によるものであろうと、それだけで申請行為は成立する。従って、申請者が福祉事務所に対して申請意思を表示すればその瞬間に福祉事務所は原則14日以内に保護を開始するか却下するかの決定を行う義務を負うことになる(前述のように、「保護申請を受理しない」ということは法令上ありえない)。
福祉事務所においては、通常生活相談に来た人に対し、失業中の場合は雇用保険の失業等給付を受給できないか、60歳以上の場合は年金を受給できないか、病気、ケガなどで障害を負った場合は障害年金を受給できないかなどの、他法優先の制度の趣旨説明の他に就労の可不可、扶養義務者の扶養義務などについて説明を行う。上記のように申請権は絶対で、福祉事務所は必ず申請を受けて審査しなければならず、申請自体を拒むことは違法である。にもかかわらず、一旦申請されてしまうと多くの場合、保護を開始しなければならないことから、違法に申請を拒否しているとの主張を、全国生活と健康を守る会連合会[2]や日本弁護士連合会[3]などが行っている。
最後の頼みとして相談に来た相談者に、「稼働能力がある(まだ、年齢が若い)」[4]、「扶養義務者がいる」[5]、「ホームレスである」(申請時に住所を有していないことが保護しない理由にならないことは言うまでもない。[6])」、「現住居の家賃が高すぎる」[7]、来所者が女性ならば「水商売に身を投じても働くべし」などを理由に窓口で申請自体を断念させているという事例が多いとされている。この問題は水島宏明が『母さんが死んだ―しあわせ幻想の時代に』で既に指摘していた他、朝日新聞(2006年7月16日付け)、2006年1月15日放送の日本テレビ系『NNNドキュメント』「ニッポン貧困社会生活保護は助けない」、2006年11月30日放送の『報道ステーション』、2007年2月25日放送の『NNNドキュメント』「その先は孤独死行き詰まる生活保護」で「ヤミの北九州方式による水際作戦」などマスコミでは多く報じられ、県議会や国会でも取り上げられた。
北九州市は『報道ステーション』の放送内容に抗議したが[8]、2007年2月に行われた市長選挙で、これまでの市の生活保護行政を批判した北橋健治候補が前市長の後継者を破って当選した。北橋新市長の下で、第三者による検証委員会が設置され、市の保護行政の検証が進められている。
政治・行政の背景
福祉事務所がこのような対応を行う背景として、いわゆる「123号通知」(昭和56年11月17日厚生省社会局保護課長・監査指導課長通知 社保第123号「生活保護の適正実施の推進について」)の存在が指摘されている[9]。ただし、議員などが同席したり弁護士やPSWなどが同席すると申請書の交付が比較的容易になされたりすることなどから、申請書の交付の遅延による申請の遅れにつき、審査請求において初回相談日を申請日と見なすと判断された事例もある。その他、最近は、昔のように隣近所、地域の人達が食料やお金を援助するなどの助け合いがなくなった。親族も援助を断る人が多くなったため行政の負担が多くなったと2009年1月16日付け日本経済新聞朝刊の生活保護の特集記事で指摘している。
また、山谷、あいりん地区などの日雇い労働者は本来は生活保護を受けられるはずなのに受けさせないのは全員に生活保護を実施すると財源がパンクするから実施しないのではないかと田中康夫はラジオ番組のBATTLE TALK RADIO アクセスなどで指摘している。
なお、この問題に対して日本司法支援センター(法テラス)は、2007年4月から生活保護申請時に弁護士が同行する事業を始めると発表した。
生活保護制度見直し問題
厚生労働省の生活保護見直し検討会議(座長は樋口美雄慶應義塾大商学部教授)は、近年問題になっている生活保護費不正受給、生活保護を受けている家庭より所得が低く貧窮している家庭の増加などを考慮し、生活保護費のうち、主に生活扶助の食料費などを減額していく見通しを明らかにしたが、政府の方針としては、当面の間、見送りとなった。
加算制度廃止問題
一定年齢以下の子供のいる、母子家庭に認められていた母子加算制度が、2005年度から段階的に縮小され2009年4月に全廃された[10]。それにより、子の教育に支障が出ているとの声が一部母子家庭から挙がっている[10]。ただ、生活保護費の現金支給によって教育を考えるのか、奨学金制度の拡充といった面において教育制度を考えるのか議論はあるが、将来を担う子供達にまでしわ寄せが来るのは問題である。2004年に宇都宮市でおきた、生活保護家庭の子の衰弱死問題も生活保護を受けている両親が改造車やコスプレ衣装に保護費を使っていたことが知られており、子の体内からセロハンテープが検出された[11]。現金支給が教育問題を全て解決する訳ではない。また子どもへの負担は一人親家庭・両親健全家庭のどちらでも存在するが、子どもがいる両親健全家庭には加算されていないため、離婚(または偽装離婚)を推奨する可能性もある。
厚生労働省は母子加算の打ち切りの代替措置として、母親に対する就業支援を実施している[10]。ちなみに、2009年4月に母子加算打ち切りとなった約5万世帯の内、約3万世帯が病気などによる就業困難世帯である[10]。
打ち切りに対し、日本全国で日本国憲法第25条の生存権の侵害を根拠とした行政訴訟が提起されている[10]。2008年12月25日広島県内の32人が広島市などに決定取り消しを求めた訴訟の判決が広島地裁であり、請求はすべて退けられ、原告控訴となった[12]。尚、将来的には障害者加算も廃止の方向であり、検討が必要とされる。既に高齢者加算は廃止されている。
母子加算廃止の根拠とされた社会保障審議会の答申は廃止を提案したものではないとする報道がある。また、同じく廃止の根拠とされた統計についてサンプル数が少なかったことなどを指摘されて、厚生労働省が問題があることを認めたとの報道がある。[13]
「私たちに何が必要かを考えてほしい」 生活保護毎月24万・携帯代2万5千円の受給者
「とにかくうれしいです」。金沢市のAさん(45)は、年内の母子加算復活が決まり、安心した表情を見せた。毎月、生活保護費など約二十四万円で暮らす。育ち盛りの小中学生の娘三人との四人家族で、五万円弱の食費は増える一方だ。支給日前の夕食は、具がモヤシだけのお好み焼きやふりかけご飯でしのぐこともある。「ごめん、もうお金ないから」「いいよ」。素直に納得してくれる娘たちには感謝している。
節約できるのは洋服代ぐらい。今年四月に中学校に入学した次女(12)には、体操服を一枚しか買ってやれなかった。「これでもう一枚買えます」
母子加算の復活に伴い、代替措置の「ひとり親世帯就労促進費」は廃止が決まった。所得に応じて月額最大一万円を支給し、就労による自立を支援する制度だ。九月に仕事が始まり、十一月分から受け取る予定だったAさんは、「一万円がなくなるのは大きい」と残念そうに話した。一方で、参考書の購入などに使える「学習支援費」は継続される見込みに。三人分で約九千四百円と少ない額ではなく、「もしなくなったら、生活費に食い込んでいた」と胸をなで下ろした。
当初「十月にも」としていた母子加算の復活時期は十二月までずれ込み、代替措置の扱いが継続と廃止に分かれた。要求額が過去最大に膨らんだ来年度予算の編成をにらんだ財務省と厚生労働省が“綱引き”した結果だ。「学習支援費は教育のためのお金で、母子加算とは趣旨が違う。まず、受ける側に何が必要かを考えてほしい」。当事者よりも予算ありきの議論に、違和感を隠さない。
母子加算では子ども一人に約二万円が支給されるが、二人目以降の上乗せ分は千円ほど。「子どもが三人いれば、お金も三人分かかるのに」。復活自体は喜ぶものの、仕組みには釈然としない部分も残る。
「母子家庭のみ」という条件にも疑問がある。「大変なのは父子家庭も一緒では」。この機会に「ひとり親加算にした方がいい」と提案する。
「生活第一」を旗印に掲げ、動きだした鳩山政権。その一歩一歩が私たちの暮らしをどう変えていくのか。石川、富山両県の十一人にその「監視役」にななってもらい、身近で起きた変化や感じたことを随時、報告していく。
Aさん(45) 約10年前に離婚し、両親とは死別。現在は金沢市内のアパートに住む。今年9月、派遣社員として旅行添乗員の仕事に就いた。 http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2009102502000188.html
保護水準を巡る議論
バブル崩壊後の「失われた10年」「ロストジェネレーション」に代表される長期不況のため、社会の低所得層の収入水準が低下し、また生活保護の支給額が上昇したため、また、最低賃金が低いことから低所得層と生活保護受給者においては所得額が接近した。そのため、生活保護を受けている方が働くよりも収入が増える場合も多く(ワーキングプア)、これに反発する声もある。しかし、現在生活保護を受けていない低所得層の多くは、実は生活保護の受給要件を満たしており、申請すれば生活保護が開始されるにもかかわらず、そうした知識を持っていない為に生活保護受給を申請するという発想が無いという問題が指摘されている[14]。
地域格差問題
生活保護の受給の難しさには地域較差があるとされているが、このような差が生じる説明として行政側の対応に原因を求める見方と単に地域に存在する保護対象者や申請者の数の差、または年齢差によって高齢者には積極的に保護する姿勢など、様々な視点で考える見方がある。
厚生労働省が発表した平成17年の厚生労働白書によると、富山県の保護率が全国一少なく、保護率の高い北海道や大阪府との差は約十倍であった。このことについて、富山県の生活保護支給抑制策に起因しているという意見と、単に県内経済と勤勉な県民性に起因するという意見がある。後者の意見は富山県が各種統統計上で生活保護の対象となる家庭が少ないこと示唆されている事実に立脚している。たとえば持家率、住宅延面積、世帯当たりの所得で全国1位の座を保っており[15]、世帯当たりの自動車保有数や共働き率等で上位を占める。
全国的に見ても保護者が少ない富山県や保護者の増加が低い福岡県では、前述の「水際作戦」だけでなく、本来開始すべき事例について申請を却下されたという意見が「全国生活と健康を守る会」などで報告されている。扶養照会(福祉事務所が申請者・受給者の三親等以内の親族に対して扶養が出来ないかを確認する事務手続き)を逆手にとって、電話で朝な夕な多数の電話攻勢をして月1万円の援助なら可能という回答を理由にして「扶養義務者による扶養可能」と、本来扶養可能の判断基準は生活保護の最低生活費が基準になるのにもかかわらず、無理矢理扶養可能としたりなどの行為が生健会に多数報告されている。また酷い場合には扶養義務者ではない友人に扶養や支援をさせようとした例もあるという。
また、生活保護者数の人口比が最も高い大阪市では、人口の約4.47%(約12万人)が生活保護を受給しており、市財政において市税収入6868億円[16]に対し、生活保護費が2443億円である[17]。
不正受給問題
水際作戦に代表されるような不当な生活保護受給権抑制の一方で、元来受給資格要件を満たしていないにも関わらず生活保護を受給する者や生活保護受給者として法定された義務も怠たり不正に生活保護を受給する者も数多い。また、実際に支給されるべき金額以上の保護費を不正に受給した者も存在している。
所得隠しによる不正受給
所得税の源泉徴収による申告をしない雇用主の下での現金払いによる就労や、友人の名義を借りた不正就労による賃金の受給、オークションや中古リサイクル店などへの売却金、仕送りの受け取り、主ではない未成年受給者(主に高等学校在学生)のアルバイト収入、生命保険解約返戻金や事故などによる賠償金、ギャンブルによる配当金、株取引や先物取引、外国為替証拠金取引など、これらは本来、全て収入として福祉事務所に申告するべきものであり、通常はその収入分を減額した金額で保護費が支給される[18]。
不正受給が過失によるものであるなど、再犯の可能性が低いものについては、生活保護法第63条による不正受給金額の返還命令が行われ、悪質な場合は同78条による徴収の実施や同85条に基づく罰則規定が適用されることとなる。また、保護の廃止が検討され、さらには刑法の詐欺罪や所得税法違反(虚偽申告)などが適用される。
課題
悪質な不正受給が跡を絶たない理由には、福祉事務所が積極的な不正追求を行う担保となりうる法令的根拠の整備が乏しいことにも原因があるという指摘がある。現状、近隣住民からの苦情や告発があっても刑事告訴にまで発展するケースは稀であり、警察も積極的に立件に乗り出さなかったという行政側の体制の不備を指摘する声もある。もっとも、悪質な不正受給は、言うまでもなくその行為を行う被保護者に非があることから、より厳格な受給決定手続や啓蒙の必要性が唱えられている。
これに関係し、不正受給者には暴力団その他の団体が絡む件も多い(後述、滝川市の事件)。また不正受給を是正しようとするケースワーカーに有形無形の圧力も加えられることもある要出典。不正受給の方法が被保護者同士の情報交換やインターネットなどによって広範囲に知れ渡る事例もある。過去に雑誌「裏モノJAPAN」で不正受給の方法についての特集が組まれた。
滝川市では、不正受給していた元暴力団員の夫婦のみならず、介護タクシー会社の役員が、不正受給に関与していたとして逮捕されている[19]。また、大阪府岸和田市では、43歳の男性が、通院交通費として同市から約438万円を受け取り、これを元に、東京都や福岡県の病院へ、新幹線や航空機を利用して遠距離通院していた事実が発覚している[20]。
生活保護費ピンはね問題
近年はホームレスに保護を受けさせ、受けた支給金を騙し取るグループの存在が指摘されている[21]。 一部の任意団体などが、路上生活者にアパートを借りさせ生活保護を申請させた上で、生活保護費の多くを「経費」と称してピンはねしていたことが報道されている[22][23]。
これは、住所のない者からの生活保護申請を「受理」しないという、役所の対応(前出のように問題がある)を逆手に取った「ビジネス」であると言える。
現業員の配置実態
厚生労働省は平成17年厚生労働白書の中で生活保護現業員(ケースワーカー、地区担当員など、福祉事務所によってその名称は異なる)の配置数不足が増加傾向にあることを発表した。2000年の配置定数に対する現業員不足数は354人であったが、2004年には1198人になっており、約3.4倍となっている。また、東京都は2004年6月に「生活保護制度改善に向けた提言」の試案を発表し[24]、その中で保護率の増加に現業員の配置が追いついておらず一人当たりの担当世帯数が増加していることを指摘した。同時に、現業員の経験不足や社会福祉主事の資格を持つ担当者の低下をも示している。地方自治体の職員にとって生活保護事務は事務処理の膨大さ(単に訪問業務をこなせば良い訳ではない)や前述の北九州市のように「申請します」「ハイどうぞ」と簡単に受理すると人事考課が下がる(北九州市は否定している。)、安全面(「10 担当職員への暴力行為」参照)から敬遠される傾向の高い業務の一つであり、結果的に社会人としても公務員としても経験が不足している新人職員が配置されることも少なくない。
福祉職員が作った福祉川柳が批判を受け掲載した機関紙が一時休刊、発行団体も事態の総括を余儀なくされた事があった。 一部を引用すると「金がない それがどうした ここくんな」「休みあけ 死んだと聞いて ほくそえむ」などの川柳があった[25]。
現業員の配置定数は、1951年に制定された社会福祉事業法(現:社会福祉法)から変更されておらず、その間にも介護保険制度の創設など現業員の業務は増加している。また、生活保護の他法優先の原則によって、現業員には広範な福祉制度に対する高い知識力が求められる。これら現業員の質をいかに高めるかについても大きな課題となっている。
脚注
- ↑ 「申請を受理したとき」ではなく「申請が到達したとき」という表現をとっていることに非常に重要な意味がある。申請が行われればその時点で行政庁は審査を開始する義務を負う。従って、行政庁には申請を受け付けないという選択肢は無い。そもそも、行政手続法は「受理」という概念をそもそも否定している。
- ↑ 「生活保護申請権保障を/全生連が厚労省申し入れ」しんぶん赤旗、2006年10月14日
- ↑ 「貧困の連鎖を断ち切り、すべての人の尊厳に値する生存を実現することを求める決議」日本弁護士連合会、2006年10月6日
- ↑ 「稼働能力がある」だけでは保護しない理由にはならず、「稼働能力があり、それを活用できる場があるにもかかわらず、稼働能力を活用しようとしない」場合にはじめて却下が可能となるものである。つまり、稼働能力を有していても、それを活用できる場がない場合や、求職活動をしていても職が得られない場合は保護の要件を欠けるものではない。
- ↑ 生活保護法4条2項は「民法に定める扶養義務者の扶養は保護に優先して行われるものとする」と規定しているが、この「扶養義務が保護に優先する」とは、保護受給者に対して実際に扶養援助が行われたら収入認定してその援助の金額の分だけ保護費を減額、または保護を廃止するという意味であり、「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる」とする4条1項とは異なり、扶養自体は保護の前提要件ではない。まだ扶養義務者に援助を求めていない場合や援助を求めたが断られた場合でも、そのことのみを理由に保護申請を却下することはできない。申請者がまだ扶養義務者に援助要請をしていなくても、要保護状態であれば保護を開始し、保護開始後に福祉事務所が扶養期待可能性に応じて扶養義務者に受給者への援助の可否を照会すればよいものである。この点、1946年制定の旧生活保護法では、「扶養義務者が扶養をなしうる者」は実際に扶養援助がなされていなくても保護の要件を欠くとされていたが、1950年制定の現行生活保護法ではこの欠格条項は撤廃されている。なお、申請者が20歳を超え成年を迎えていると申請者の親族が援助する余裕があっても援助したくないと主張した場合は扶養義務を強制することができない。
- ↑ 厚生労働省は2009年3月、住居がなくても生活保護申請を受け付けるよう自治体に通知している。
- ↑ 申請時点で住宅扶助基準額を超える家賃の住宅に居住しているとしても、そのこと自体は申請者の要保護性とは何の関係もなく、保護を開始してから転宅費を一時扶助して基準額以内の住居に転居させるべきものである。
- ↑ 「生活保護の実施に対する批判について」。掲載期間経過で削除済み。
- ↑ 「123号通知」自体は、暴力団関係者が絡んだ不正受給を契機として、申請書に添付する関係書類などを定めたものである。なお、この通知については2000年3月31日付け社援第15号厚生省社会局保護課長・監査指導課長通知によって、同意書(実施機関が金融機関や保険会社に対して、申請者が資産の有無等を調査することに同意したことを証明する文書)の提出が必ずしも必須ではないなどの改正が行われている。また、2001年6月以降は地方自治法第245条の9第1項に基づく「事務処理基準」とされた。
- ↑ 10.0 10.1 10.2 10.3 10.4 佐藤章「加算廃止窮する母子――病気で働けぬ生活保護家庭」『朝日新聞』2009年5月13日付朝刊、第13版、第5面。
- ↑ NewsZip
- ↑ 「生活保護費の加算廃止「不合理といえぬ」 広島地裁判決」『朝日新聞』2008年12月25日。
- ↑ 「母子加算:復活の動き活発化 うつで働けず母苦悩」『毎日新聞』2009年6月24日。
- ↑ 湯浅誠『反貧困-すべり台社会からの脱出』岩波書店、2008年、87-90ページ
- ↑ 統計局ホームページ
- ↑ 大阪市役所ホームページ 大阪市財政の現状 H20年度予算
- ↑ 朝日新聞 夕刊 2009年2月19日 大阪市内版:人口比4.47%、12万人速報値、2443億円(21年度予算)
- ↑ もっとも、申告した収入が正当な労働による収入である場合の必要経費や、事故賠償金の一部を治療費に当てるなど、生活費に用いる資産ではないことが明らかな場合は、その分を収入認定から控除することができる。ただし、その判断は福祉事務所で行うため、あらゆる収入は必ず福祉事務所に届け出なければならない。
- ↑ タクシー通院名目で2億円詐取、元組員ら4人再逮捕…北海道・滝川 読売新聞 2008年2月9日
- ↑ 生活保護男性が新幹線・飛行機通院、10か月438万受給 読売新聞 2008年2月10日
- ↑ NHK『クローズアップ現代』2007年3月7日放送「狙われた生活保護」
- ↑ 「生活保護費ピンハネ:板敷きに布団1枚(その1) 「食って寝るだけ」 /千葉」『毎日新聞』2009年7月18日]
- ↑ 「生活保護費ピンハネ:板敷きに布団1枚(その2止) 「通帳、受給者に返還」 /千葉」『毎日新聞』2009年7月18日]
- ↑ 福祉局 「~安心と自立を支える仕組み(セーフティネット)の構築に向けて~「生活保護制度改善に向けた提言」(東京都試案)を公表」 東京都、2004年6月17日
- ↑ 産経ニュース2008.4.6 09:15
関連文献
- 湯浅誠 『あなたにもできる! 本当に困った人のための生活保護申請マニュアル』 同文舘出版, 2005年8月, ISBN 4495568612
関連項目
外部リンク
- Q&A 生活保護編 - 自立生活サポートセンター・もやいサイト内