∀ガンダム

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∀ガンダム
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ジャンル ロボットアニメ
テレビアニメ:
原作
総監督
監督 富野由悠季
シリーズディレクター
チーフディレクター
企画
シリーズ構成
脚本
キャラクターデザイン
メカニックデザイン
音楽
アニメーション制作 サンライズ
製作 フジテレビ
サンライズ
放送局 フジテレビ
放送期間 1999年4月9日 - 2000年4月14日
話数 全50話
その他
コピーライト表記 ©創通・サンライズ
映画:劇場版∀ガンダムI 地球光
監督 富野由悠季
制作 サンライズ
封切日 2002年2月9日
上映時間 128分
その他
コピーライト表記 ©創通・サンライズ
映画:劇場版∀ガンダムII 月光蝶
監督 富野由悠季
制作 サンライズ
封切日 2002年2月10日
上映時間 128分
その他
コピーライト表記 ©創通・サンライズ
テンプレート使用方法 ノート

∀ガンダム』(ターンエーガンダム、Turn A Gundam)はサンライズ製作のテレビアニメで、「ガンダムシリーズ」の一作。1999年(平成11年)4月9日から2000年(平成12年)4月14日までフジテレビ系列の一部で全50話が放送された[1]2002年にはアニメーション映画として『地球光』『月光蝶』の2本にまとめられ、劇場公開されている。2007年にDVDメモリアルボックスI、IIが発売されている。


注意以降に核心部分が記述されています。

物語

正暦2343年、月の民(ムーンレィス)の少年 ロラン・セアックは、「地球帰還作戦」の潜入調査員として北アメリア大陸に降下した。旅の途中、川で溺れているところをキエルソシエのハイム姉妹に助けられた。鉱山を経営するハイム家は新興富裕階級[2]に属し、当主の長女キエルはロランが憧れる月の女王ディアナ・ソレルにそっくりだった。ロランは姉妹の力添えでハイム家に雇われ、のちに機械好きを買われて自家用車の運転手に起用されるなど、地球人として平穏な日々を重ねた。

2年後の夏至の夜、ロランとソシエは、マウンテンサイクルでの成人式の儀式に参加していた。同じ頃、地球と月との2年間にわたる秘密交渉が決裂し、月の女王の軍(ディアナ・カウンター)が「地球帰還作戦」を開始。

巨大MSで威圧するようなディアナ・カウンターに対し、地球のアメリア市民軍ミリシャ)は複葉機高射砲などの旧式装備で、果敢に郷土防衛戦をはじめた。この戦力差を理解していないミリシャの攻撃にいらだつディアナ・カウンターの一機(ポゥ少尉)は、発砲を禁じられていたにもかかわらず、強力な対艦ビーム砲を発射し、マウンテンサイクルに封印されている“黒歴史”の遺物「∀ガンダム」を目覚めさせてしまう。

ロランはなりゆきから∀ガンダムのパイロットになり、地球と月の共存のために活躍する。

作品解説

本作品は、『機動戦士ガンダム』誕生20周年企画の一環で製作された。

」という記号は、数学論理学に用いられる全称記号であり、「全ての~」を意味する。これを用いることで、「全てに対して」「全てを含む・包括する」という意味を作品に与えている。また、「A(最初)に戻る」という意味からターンエーと読むこととした。つまり「∀ガンダム」には、ガンダムという作品そのものを総括したいという思いが込められている。

ちなみに、企画の時点でのタイトルは、『リングオブガンダム』であった。これは富野由悠季の、「『リング・オブ・イデオン』は無理だから、『リング・オブ・ガンダム』という名称でイデオンみたいな輪廻の物語をやりたい」という趣旨による(『イデオンという伝説』より)。

本作品も、従来のガンダムと同じく、地球とその周辺の宇宙空間における人類・戦争・政治・歴史といった背景を背負いながら生きていく少年少女たちを通して、人の在り様を描写していく。また、演出には歴代作品へのオマージュがふんだんに盛り込まれている。

これまでのガンダム作品とは異なり、劇中に暗く重い悲惨さはあまり見られず、大規模な戦闘よりも政治的な駆け引きのシーンが多い。また19世紀ヨーロッパのような文明(産業技術のレベルは20世紀初頭から中期程度)を基礎としている世界のためか、菅野よう子の音楽も合わさって、むしろ『世界名作劇場』シリーズさえ連想させるような、牧歌的で穏やかな情景描写が多い。これについて富野は「SFでありがちな『恣意的につくっていく社会構造』をルーズにすることができて、作品的に成功している」「人の動きが狭いところには落ちていなくて、いつもゆったりと風が吹いているようなところがある」と語る。物語には、『竹取物語』『とりかへばや物語』をベースにしている部分がある。

戦闘シーンにおいても残酷な演出はあまり無く、ドラマと駆け引きが重視されているのも特徴。他にも、モビルスーツの動きが多く、モビルスーツ同士の肉弾戦なども多い。また、テレビシリーズとして放映されたガンダムとしては、『機動戦士ガンダム』以来となる主役機の乗り換えが無く、シリーズ中唯一「機動戦士」のような冠語がついていない作品である。

作品中、主人公のロランとともに、月の女王ディアナ・ソレルが物語における重要な位置を占めている。他にも個性的な女性キャラクターが多数登場し、もともと女性にも人気のある富野アニメではあるが、本作も女性に共感を持って受け入れられた。

放送当時、プラモデルはあまり売れず、商業的人気は大きなものとはならなかった。これについて富野やスタッフは「普通の人(=いわゆるオタクではない人)を相手にしているから」と語っている。ガンダムファンの間では、キャラデザインやメカニックデザインの特徴、なにより今までのシリーズとは一線を画した内容から好き嫌いの反応がはっきり分かれている。[3]

メインスポンサーのバンダイが、スポンサードセールス対象を系列全局としなかったためローカルセールス扱いとなり、放送していた系列局(フジテレビを除く)が27局中10局と半分以上の系列局が放送していなかった。また数話遅れで始まった再放送(深夜)は、番組改編によって打ち切られるなど、放送環境には恵まれなかった。前述の特徴から食わず嫌いされがちだが、通して観た視聴者の評価は概ね高く、見直されている作品でもある[4]

あまり自分の作品を褒めることの少ない富野だが[5]、おおむね本作品は自分でも褒めることが多い。なお、「月刊ニュータイプ」誌上で富野由悠季は、2005年に公開された劇場版『機動戦士Ζガンダム』と同じく、20年後(おそらく2019年)に新訳の『∀ガンダム』を創りたいと述べた。そして、朴璐美(ロラン)と高橋理恵子(キエル/ディアナ)も、その時には同じ役で出たいとコメントした。

スタッフ概要

総監督にガンダムの生みの親である富野由悠季が就き、メカニックデザインに映画『ブレードランナー』『スタートレック』のシド・ミード、キャラクター原案にゲーム『ストリートファイター』などを手がけたカプコン(当時)の安田朗が参加した。音楽は、同監督の前作である『ブレンパワード』から引き続き菅野よう子が担当した。

シド・ミードは、人体の可動性と機械の合理性をもとにしたデザインを行い、マンネリ化していたガンダムシリーズ(延いては、日本のロボットアニメ自体)のメカニックデザインに新風を吹き込んだ。主役機・∀ガンダムは従来のガンダムタイプとは大きく異なる外観を持ち、特に額のブレードアンテナに替わるチークガード(頬当て)に当たる「」が話題を呼んだ。

しかし、一部からは「新奇性のあるデザイン」などとして評価されたものの、旧来のファンに十分に受け入れられたとは言い難かった。富野は書籍のインタビューなどで「僕がガンダムのメカ・ファンだったら『∀』は承認しない。そんなことはわかっている」「(当時)あれ以上のものを手に入れる事ができなかった」といった発言をしている。

更に、主役機である∀ガンダムは、劇中にて「不細工である」と容姿について指摘されるシーンがあり、ガンダムシリーズ全般を通して、主役機の容姿を悪く言われるのはこの作品のみである。ただし、∀ガンダムはバンダイから発売されているガンプラシリーズのマスターグレードで、記念すべき100体目に選ばれている。シド・ミード自身は∀ガンダムではなくライバル機であるターンXを本作品の最高傑作と位置付けており、∀ガンダムとは対照的に肯定的な意見も多く見られる。

なお、ガンダムシリーズで初めて、外国人デザイナーがメカニックデザインを務め、女性の声優が男性の主人公を演じた作品でもある。

主要登場人物

詳細は各項目および∀ガンダムの登場人物を参照。

登場機動兵器

詳細は ∀ガンダムの登場機動兵器 を参照

スタッフ

シリーズスタッフ

各話スタッフ

主題歌

  • 前期オープニングテーマ『ターンAターン』(2話~38話)
    • 作詞:井荻麟 作曲:小林亜星 編曲:矢田部正 唄:西城秀樹キングレコード
      • 西城秀樹の起用は小林亜星の指名による。小林が本作を作成している時にふたりは「寺内貫太郎一家」の舞台で共演しており、また西城はちょうどBMG JAPANからポリドール・レコードへの移籍の狭間で契約が切れている期間だったためキングレコードから発売することができた[6]。また、西城はレコーディングにあたり、かつて『機動戦士Ζガンダム』の主題歌を歌っていた森口博子に問い合わせを行っている。
      • 「寺内貫太郎一家」舞台公演のスケジュールとの兼ね合いで、番組オンエアの2週間前に音源があがるという強行スケジュールであったが、富野は詞をもとに大まかなあたりをつけ、先にOP映像の絵コンテを完成させるという荒技を行った(通常は音源にタイミングを合わせ構成を立てる)。
  • 後期オープニングテーマ『CENTURY COLOR』(39話~50話)
    • 作詞:井荻麟・浜口祐夢 作曲:浜口祐夢 編曲:RAY-GUNS 唄:RAY-GUNS
  • 後期エンディングテーマ『月の繭』(41話~49話)
    • 作詞:井荻麟 作曲・編曲:菅野よう子 唄:奥井亜紀
  • 最終話エンディングテーマ『限りなき旅路』
    • 作詞:C.Piece 作曲・編曲:菅野よう子 唄:奥井亜紀
  • 挿入歌『羽化』
    • 作詞:岩里祐穂 作曲:菅野よう子 編曲:菅野よう子 歌:大塚宗一郎
  • 挿入歌『ALFA and OMEGA』
    • 作詞:Carla Vallet 作曲:菅野よう子 編曲:菅野よう子 歌:Carla Vallet
  • 挿入歌『月下美人』
    • 作詞:井荻麟 作曲:小林亜星 編曲:矢田部正 歌:西城秀樹
  • 挿入歌『Until』
    • 作詞:Chris Mosdell 作曲:菅野よう子 編曲:菅野よう子 歌:Maryanne Murray
  • 挿入歌『The song of a stone』
    • 作詞:Chris Mosdell 作曲:菅野よう子 編曲:菅野よう子 歌:大塚宗一郎
  • 劇中歌『月の魂(たま)』
    • 作詞:井荻麟 作曲:菅野よう子 編曲:菅野よう子 歌:レット隊

富野は「ターンAターン」をとても気に入っていたのだが、売り上げが良くなかったため後期OPを作ることとなった。ただしカラオケでは結構歌われている(『∀の癒し』より)。

サウンドトラック

  • キングレコードからオリジナルサウンドトラック1・2「ディアナ&キエル」・3「COCOA」と劇場版「惑星の午後、僕らはキスをした」
  • ∀ガンダムwith菅野よう子コンサートライブ(通常版、DVD付期間限定)

放送リスト

話数 サブタイトル 脚本 演出 絵コンテ 作画監督
第1話 月に吠える 星山博之 渡邊哲哉 斧谷稔 土器手司
第2話 成人式 千葉克彦 森邦宏 佐久間信一
第3話 祭の後 浅川美也 南康宏 鈴木藤雄
第4話 ふるさとの軍人 高橋哲子 西森章 佐久間信一
第5話 ディアナ降臨 星山博之 岩崎良明 斧谷稔
菱田正和
戸部敦夫
第6話 忘れられた過去 千葉克彦 池端隆史 横山彰利 しんぼたくろう
中田栄治
第7話 貴婦人修行 浅川美也 森邦宏 佐久間信一
第8話 ローラの牛 高橋哲子 渡邊哲哉 横田和 鈴木藤雄
第9話 コレン、ガンダムと叫ぶ 星山博之 西森章 佐久間信一
第10話 墓参り 高山治郎 山口美浩 斧谷稔
菱田正和
しんぼたくろう
中田栄治
第11話 ノックス崩壊 千葉克彦 池端隆史 川瀬敏文 佐久間信一
第12話 地下回廊 星山博之 杉谷光一 横田和 うのまこと
第13話 年上のひと 浅川美也 岩崎良明 斧谷稔
横山彰利
戸部数夫
菱沼義仁
第14話 別離、再び 高山治郎 西森章 しんぼたくろう
中田栄治
第15話 思い出は消えて 高橋哲子 渡邊哲也 斧谷稔 佐久間信一
第16話 ∀のすべて 総集編(クレジット無し)
第17話 建国のダストブロー 浅川美也 森邦宏 鈴木藤雄
第18話 キエルとディアナ 高山治郎 山口美浩 斧谷稔
菱田正和
佐久間信一
第19話 ソシエの戦争 星山博之 北川正人 斧谷稔
川瀬敏文
杉光登
第20話 アニス・パワー 高橋哲子 西森章 しんぼたくろう
中田栄治
第21話 ディアナ奮戦 星山博之 渡邊哲也 横田和 佐久間信一
第22話 ハリーの災難 高山治郎 森邦宏 戸部敦夫
第23話 テテスの遺言 大河内一楼 山口美浩 斧谷稔
工堂紘軌
佐久間信一
第24話 ローラの遠吠え 高橋哲子 南康宏 斧谷稔
金剛寺弾
しんぼたくろう
中田栄治
第25話 ウィルゲム離陸 太田愛 北川正人 斧谷稔
鳥羽聡
杉光登
第26話 悟りの戦い 高山治郎 渡邊哲也 アミノテツロー 佐久間信一
第27話 夜中の夜明け 鳥羽聡
森邦宏
斧谷稔 後藤雅巳
菱沼義仁
第28話 託されたもの 星山博之 西森章 しんぼたくろう
中田栄治
第29話 ソレイユのふたり 星山博之 山口美浩 斧谷稔
横田和
佐久間信一
第30話 胸に抱えて 浅川美也 北川正人 斧谷稔
工堂紘軌
杉光登
第31話 追撃! 泣き虫ポゥ 高橋哲子 南康宏 斧谷稔
小原正和
佐久間信一
第32話 神話の王 太田愛 池端隆史 横山彰利 しんぼたくろう
中田栄治
第33話 マニューピチ攻略 太田愛 森邦宏 斧谷稔
西本由紀夫
森邦宏
戸部敦夫
第34話 飛べ! 成層圏 高山治郎 山口美浩 川瀬敏文 佐久間信一
第35話 ザックトレーガー 斧谷稔
星山博之
西森章 斧谷稔
西森章
しんぼたくろう
中田栄治
第36話 ミリシャ宇宙決戦 大河内一楼 南康宏 佐久間信一
第37話 月世界の門 高橋哲子 池端隆史 横山彰利 佐久間信一
第38話 戦闘神ギンガナム 浅川美也 森邦宏 高田淳 しんぼたくろう
中田栄治
第39話 小惑星爆烈 高山治郎 山口美浩 奥田誠治 佐久間信一
第40話 月面の海戦 大河内一楼 渡邊哲也 アミノテツロー 戸部敦夫
菱沼義仁
第41話 戦いの決断 星山博之 西森章 佐久間信一
第42話 ターンX起動 浅川美也 南康宏 奥田誠治 しんぼたくろう
中田栄治
第43話 衝撃の黒歴史 高橋哲子 池端隆史 赤根和樹 佐久間信一
第44話 敵、新たなり 高山治郎 森邦宏 日高政光 戸部敦夫
第45話 裏切りのグエン 大河内一楼 鳥羽聡 奥田誠治 佐久間信一
第46話 再び、地球へ 星山博之 渡邊哲哉 奥田誠治
斧谷稔
しんぼたくろう
中田栄治
第47話 ギンガナム襲来 高橋哲子 西森章 斧谷稔
西森章
佐久間信一
第48話 ディアナ帰還 高山治郎 南康宏 奥田誠治
斧谷稔
第49話 月光蝶 高山治郎 池端隆史 斧谷稔
横山彰利
しんぼたくろう
中田栄治
第50話 黄金の秋 浅川美也 森邦宏 斧谷稔
川瀬敏文
後藤雅巳
菱沼義仁

放映ネット局

このアニメの未ネット局が地方局中心に多くあり、他系列とのクロスネット局テレビ大分(TOS)・テレビ宮崎(UMK)=はもとよりFNNFNS基幹局でも仙台放送(OX)とテレビ静岡(SUT)とテレビ新広島(tss)は未ネットだった。
この結果、中国地方5県では関西テレビ・テレビ西日本が視聴できる地域を除き全く視聴できず、同時に広島県域ではガンダムシリーズの地上波向け作品で唯一の未放送作品となった。(広島県域に系列局のないテレビ東京系『SDガンダムフォース』は広島ホームテレビ(HOME。テレビ朝日系)が放送。同局は系列内のメ~テレテレビ朝日制作作品は一部地域未放送作品も含め全て放送している)
また、番組販売の形で、他系列局で放送される事もなかった。


前後番組の変遷

フジテレビ 金曜17時台前半
前番組∀ガンダム(1~49話)
(1999.04 - 2000.03)
次番組
(17:55までドラマ再放送枠)
※月~金から月~木に縮小
FNNスーパーニュース
※枠拡大

※フジテレビでの最終話(50話)放映は、単発の枠を設けて行った(本来は2000年3月31日放送予定であったが、有珠山噴火に関する報道特番により、放送が中止されたため)。

関連作品

映画

  • 『劇場版∀ガンダムI 地球光』
  • 『劇場版∀ガンダムII 月光蝶』

2001年に制作され、2002年2月~3月に全国一斉公開された。2部作を日替わりで上映する「サイマル・ロードショー」方式がとられた。『地球光』はTV版第1話〜第27話、『月光蝶』は第28話〜第50話までをカバーしている。

エンディングテーマ『AFTER ALL』
作詞:Chris Mosdell 作曲・編曲:菅野よう子 唄:Donna Burke

小説

  • ターンエーガンダム(著:佐藤茂、発行:角川書店角川スニーカー文庫]、1999年-2000年)
    • 1巻「初動」
    • 2巻「騒乱」
    • 3巻「百年の恋」
    • 4巻「火と月」
    • 5巻「月光蝶」
    • 「Episodes」
    ※1~5巻までの挿絵を少女漫画家萩尾望都が担当した。番外編の「Episodes」では鶴田謙二が担当している。TV版のプロットをベースにしながらも、サイコガンダムと思われるブラックドールの登場や、ナノマシンによる性転換など、オリジナルの要素も含まれている。
  • ターンエーガンダム(上・下)(著:福井晴敏、発行:角川春樹事務所[ハルキ・ノベルス]、2000年)
    ※2001年に『月に繭 地には果実』(上・中・下巻)(幻冬舎)に改題され文庫版で出版された。また2005年には『月に繭 地には果実 From Called "∀" Gundam』(幻冬舎)としてハードカバーで出版されている。さらに2007年に講談社より講談社BOXというレーベルで『∀(ターンエー)ガンダム 月に繭 地には果実』(上・下)のタイトルで出版された。ハルキ・ノベルス版は写実コスプレ風、幻冬舎文庫版は戦国合戦絵巻風、幻冬舎ハードカバー版はアニメ版のキャラクター原案を担当した安田朗によるキエルとディアナのイラスト、講談社BOX版は同じく安田朗によるロラン(上巻)とディアナ(下巻)のイラストと、それぞれ出版ごとに装丁の方向が全く異なっている。
    その内容は初期プロットに沿っているため、中盤以降のその内容はアニメ版とは大きくストーリーが異なり、アニメ版の世界名作劇場的な穏やかな雰囲気とは反対に、かつての富野由悠季自らの執筆による宇宙世紀シリーズ・ガンダムのノベライズを思い起こさせるようなハードな作風となっている。また、「GUSOH」など福井作品でおなじみの兵器が登場したり(ファンサービス的なものであってストーリーにはほとんど関わらないが)、アニメ版では詳細に語られなかった熱核反応炉に代わるモビルスーツの主機関縮退炉やIフィールド駆動機構などの細密なSF描写やニュータイプの概念、(アニメ版では敢えて映像を引用するだけに留めていた)過去のガンダムシリーズの各シーンにも直結する黒歴史の描写を細密に描くなど、作風の違いには賛否両論がある(特にキエルの描写はアニメ版のファンからは顰蹙を買っている。ただしこれは後半のストーリー自体がアニメ版と大きく異なりいわゆる「黒富野」的な話で展開されるため)
    初版当時は江戸川乱歩賞受賞の作家が敢えてアニメ作品のノベライズに取り組むということでも話題を呼んだ。文庫化に際し「ガンダム」のタイトルを外した改題が行われたのは、幻冬舎の意向により、本作以降『亡国のイージス』等で世間に人気作家として認知されていた福井のオリジナル作品として、一般的な市場に売り出そうという思惑によるものだという(このタイトルはノベルズ版のときから検討されていたが、福井の「俺の印税が減ってもいいからガンダムと付けた方がいい。その方が若い読者を獲得できる」という意向により原題のまま発行された)ただし、タイトルそのものは福井自身考案によるもの。佐藤茂版の挿絵を担当した萩尾望都の作品をイメージしてつけられたものだという。内容に関して変更はなく、作中では「ガンダム」等の固有名詞や設定もそのままである。

漫画

  • コミックボンボンときた洸一講談社ボンボンコミックス・全2巻
    原作のアニメ版に準じた内容になっているが、月刊誌ということもあり、省略されているエピソードも多い。発掘されるモビルスーツの機種に関してもアニメ版とは多少異なり、ムットゥーに代わりバウンドドック、コレン専用カプルに代わりガンダムアスクレプオスが登場する。これはアニメとコミックの製作スケジュールの関係で、詳細が決定する前のシナリオを基に作画が行われているからだと思われる。放送前の時点でかなりのネタバレをしていたが、SEED以降は放送より遅れてエピソードが描かれる事になる。
  • マガジンZ曽我篤士講談社マガジンZコミックス・全5巻
    ボンボン版と同じく月刊誌での連載だが、ボンボン版よりも連載期間が長く、アニメ版が放送を終了した後も連載が続けられた(そのため後半は岩瀬昌嗣が描いた機動戦士ガンダムSEEDシリーズが平行して掲載されることとなった)。前半はアニメ版に沿った形でストーリーが進行していくが、後半からオリジナルエピソードが挿入されるなど漫画版独自の展開を見せ、アニメ版では死亡するキャラが生存していたり、逆に生存しているキャラが死亡していたりする。又、ラストに至る一連の展開もアニメ版とは違っている。
  • 月の風(著:あきまん) 角川書店カドカワコミックス・エース・全1巻
    アニメ本編のキャラクターデザインを手がけた安田朗による本編のプロローグ的エピソードを描いた完全オリジナル作品。著者明記は「あきまん(安田朗)」となっている。アニメ終了後に『ガンダムエース』誌で連載された。物語は地球に降りる前の降下訓練中のロランを中心に展開し、ライバルの訓練生シャルル・グレイなどのオリジナルキャラクターも登場する。諸事情により単行本化が延期されていたが、加筆・修正をした上で『∀ガンダム 月の風』のタイトルにて、2007年6月26日に発売された。SEEDシリーズの時間軸である「コズミック・イラ」が黒歴史に含まれることについて言及した作品として有名。

脚注

  1. サンライズの主力コンテンツであるガンダムの新作を前年のDTエイトロン程度しか取引の無いフジテレビでの放送とした判断には、富野由悠季が歴代ガンダム作品と同じく夕方の放送に拘ったが、フジ以外の在京局で放送枠が空いていなかったためといわれる。局側からのラブコールでなかったために、番組成功への熱意が薄く番宣もやる気がなかった反面、内容面への注文もほとんどなかった。
  2. ハイム家のある北アメリア大陸イングレッサは、領主(ラインフォード家)により統治されているので、「階級」と表現。また、産業革命を意識した設定が多く、ハイム家は「産業資本家」(注:ブルジョワジーへ)のイメージに近い。
  3. 大人のガンダム 完全版 日経BP出版センター
  4. 大人のガンダム 完全版 日経BP出版センター
  5. 『機動戦士Vガンダム』や『機動戦士ガンダムZZ』、さらに人気の高い『機動戦士Zガンダム』ですら否定的なコメントが多い。
  6. シングル裏ジャケットには「HIDEKI SAIJO by the courtesy of RCA ARIOLA/BMG JAPAN,INC.」の表記があり、厳密にはボーカルとして作品に参加しているという扱いである。

参考文献

  • ニュータイプ100%コレクション ∀ガンダム Vol.1・2 - 角川書店、2001年
  • ∀の癒し - 富野由悠季によるエッセイ
  • ∀ガンダム 全記録集1・2
  • ∀ガンダム フィルムブック1~5
  • ∀ガンダム DVD付属解説書
  • MEAD GUNDAM - シド・ミードによるメカニックデザインのラフイラスト

関連項目

外部リンク


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