単線並列
単線並列(たんせんへいれつ)とは鉄道の線路を2本以上並べたものであるが、複線などとは似て非なるものである。 おのおのの線路が単線として独立しているものと、複線と同じように扱えるものに大別される。 前者は単線併設、後者は双単線とも呼ばれる。
単線併設[編集]
主に、異なる線区の合流する駅からターミナル駅までの区間に見られる形態である。両路線をあわせた複線を敷設する場合に比べると、各路線のダイヤを並走区間でも独立に設定できるというメリットがある。
現行の例[編集]
日本では以下のような例がある。
- 同一軌間の系統の並行によるもの
- 佐古駅で分岐する高徳線と徳島線(共に単線)が系統別に徳島駅に乗り入れているもの。かつては高徳線と徳島線の二重戸籍区間であった。
- 佐古駅では、高徳線の列車は列車交換が出来るが、徳島線の列車は列車交換できない。
- 京急蒲田駅本線上りホームと直通する系統・下りホームと直通する系統で1線ずつ使用する。
- 2010年5月16日に京急蒲田駅・糀谷駅の上り線高架ホームを先行開業させた際、京急蒲田駅 - 大鳥居駅間の線路が暫定的に高架・地平に分かれ、同区間が単線並列となった。高架線は品川方面への上り列車と横浜方面からの下り(本線上り)列車、地平線は品川方面からの下り列車と横浜方面への上り(本線下り)列車が使用する。
- 2012年10月21日に下り線の高架化が行われた際、糀谷駅の京急蒲田寄りに分岐器(シーサスクロッシング)が挿入されたため、糀谷駅 - 大鳥居駅間は通常の複線に戻り、単線並列区間が京急蒲田駅 - 糀谷駅間となった。
- かつての小倉駅(現在の平和通駅)から現在の小倉駅に乗入れた際に小倉駅までの間に分岐器を設けなかったために単線並列となった。
- 分岐器は平和通駅の下り側(企救丘駅寄り)に設けられているため、平和通駅・小倉駅とも両側のホームに上下線の列車が止まる。
- 笹部駅近くで複線から単線となる。山下駅近くに分岐器がないため、折返し列車は所定の進行方向を逆に走る。
- 人身事故や車両故障の際は衣山駅で折り返す。しかし衣山駅には渡り線がないため、古町駅までは普段と反対側の線路を使用する。
- 軌間が異なる系統の並行によるもの
この他に、筑肥線・唐津線の山本駅 - 本牟田部駅間など、線路が併走しているものの途中の駅には片方の線にしかホームが無く、もう片方は通過する区間が多く存在する。また、通常は単線運行であるが、出入庫用や多客期用の単線が並行しているものとしては京成金町線 京成高砂駅 - 柴又駅間や、近鉄生駒鋼索線 鳥居前駅 - 宝山寺駅間などがある。
過去の例[編集]
- 東武熊谷線建設の際、上記区間は秩父鉄道の将来の複線化用地を間借りすることで開業したため、単線並列となった。
- 当時架線電圧600Vであった志度線が高松築港駅に乗入れるために、1500Vの琴平線と600Vの志度線の単線並列となっていた。
地下鉄やモノレールなどでは、暫定的に延伸した終着駅や、複線から単線に切り替わる主要駅などにおいてトンネル構造などの理由で渡り線が設置できない場合があり、直近の渡り線が設置された駅から終着駅などまでが単線並列となることがある。
過去に単線並列運転が行われた路線は、以下の例がある(駅名は渡り線のある駅 - 終着駅の順)。
なお、同じ状況でも単線運転を行う場合もあり、需要などを考慮して決められる(単線の項目を参照)。また、工事や災害で渡り線のない駅で折り返す場合などに、一時的に単線並列運転を実施することもある。
双単線[編集]
複線としての運用を前提としつつ、信号システムなどを単線に準じた形態にするものである。
トラブルなどで1線がマヒした場合でも単線運転が可能となる。また通常時でも駅や信号場などの待避設備によらない追い越しが可能なため、性能や種別の異なる列車を共存させやすい(複々線のように双方とも走行しながらの追い越しも可能)。
事実アメリカやヨーロッパ、そして台湾では通常ダイヤでも追い越しに使われる上、トラブル、保線作業で単線運転する機会も多い。そのため、駅間にも渡り線や安全側線が10数kmごとに存在する。アメリカやヨーロッパでは列車本数が比較的少ないのに対し、日本のように列車本数が多い国では、駅間での追い越しや保線での単線運転は難しいため、アメリカやヨーロッパに比べると採用例がきわめて少ない。
日本では以下のような例がある。
関連項目[編集]
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