鹿島線

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鹿島線

鹿島線(かしません)は、千葉県香取市香取駅から茨城県鹿嶋市鹿島サッカースタジアム駅に至る東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線地方交通線)である。

概要[編集]

成田線の佐原駅から銚子側の1駅先にある香取駅から分岐し、前川あやめ園や十二橋めぐりなどの水郷の観光地を持つ潮来駅鹿島神宮鹿島臨海工業地帯のある鹿嶋市の中心である鹿島神宮駅を経由し、鹿島サッカースタジアム駅を終点とする。ラインカラーは茶色()である。

日本鉄道建設公団によって建設され、開業は1970年と比較的新しい路線である。国家的な開発プロジェクトであった鹿島臨海工業地帯の開発・発展に寄与するため、現在の鹿島臨海鉄道の営業路線(大洗鹿島線鹿島臨港線)と共々に計画・建設され、香取駅 - 北鹿島駅(現在の鹿島サッカースタジアム駅)間が日本国有鉄道(国鉄)の「鹿島線」として開業した。

日本鉄道建設公団によって建設された路線であるため、全線のほとんどが高架路線となっている。成田線との分岐点を過ぎると、鹿島線内には踏切はひとつもない。このことは接続先の大洗鹿島線でも水戸駅付近をのぞけば同様である。また利根川常陸利根川・北浦に架かる橋梁はいずれも長大で、特に北浦に架かる北浦橋梁は1236mの長さを持ち、これらの高架・橋梁で水域が多い水郷地帯を貫通している。ただし、強風時は香取駅 - 十二橋駅間、延方駅 - 鹿島神宮駅間で速度制限や運転見合わせが行われることがある。

JRにおける実質的な旅客上の運用範囲は佐原駅 - 鹿島神宮駅間である。鹿島神宮駅 - 鹿島サッカースタジアム駅間はJRの区間であるが、旅客輸送は鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の車両が担う。よって鹿島線の同区間に大洗鹿島線が乗り入れる形態となるが、特に多客が見込まれる時は、鹿島神宮以西より鹿島サッカースタジアムにかけてJRによる旅客輸送が行われる場合がある。なお鹿島神宮駅 - 鹿島サッカースタジアム駅間はあくまでJRなので、「青春18きっぷ」など、企画きっぷもエリア内であれば使用可能である。

また旅客列車のほかに、日本貨物鉄道(JR貨物)による貨物列車も運行されている。このため交換可能な駅は、いずれも有効長がかなり長い。

利用者は地元の沿線住民がほとんどで、純然たるローカル輸送に留まっている。特急「あやめ」が東京まで運行されるものの、現在の本数は1日1往復に留まり、工業都市として発展が著しい鹿嶋市と東京間のアクセスは、東関東自動車道を経由する高速バスかしま号」が圧倒的なシェアを持つ。

全区間が旅客営業規則の定める「東京近郊区間」に含まれている。2012年8月現在、佐原駅 - 香取駅をのぞいてSuicaは利用できない。自動改札機は全駅とも設置されていない。関東地方で全駅に自動改札機がないJR線は他に烏山線がある。

路線データ[編集]

  • 管轄(事業種別):東日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者)・日本貨物鉄道(第二種鉄道事業者
  • 路線距離(営業キロ):17.4km
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:6駅(起終点駅含む)
    • 鹿島線所属駅に限定した場合、成田線所属の香取駅[1]が除外され、5駅となる。
  • 複線区間:なし(全線単線
  • 電化区間:全線(直流1500V)
  • 閉塞方式:自動閉塞式
  • 保安装置:ATS-P
  • 最高速度:85km/h
  • 表定速度:56.8km/h
  • 運転指令所:千葉総合指令室(成田指令・CTC
    • 準運転取扱駅(入換時は駅が信号を制御):鹿島サッカースタジアム駅

全区間がJR東日本千葉支社の管轄である。

運行形態[編集]

旅客列車[編集]

成田線からの分岐駅は香取駅であるが、運転系統上の分岐駅は佐原駅である。運行本数は1時間あたり1本程度で、千葉駅成田駅・佐原駅からの普通列車が鹿島神宮駅まで運転されている。1日1本のみ横須賀線総武快速線からの直通列車もあり、佐倉駅成田空港行き列車から分割された付属編成の4両が使用される。いずれも、終着は鹿島神宮駅である。

優等列車としては、東京駅 - 鹿島神宮駅間に特急「あやめ」が1往復運転されているが、佐原駅 - 鹿島神宮駅間は普通列車(特急料金不要の各駅停車)となる。

鹿島神宮駅 - 鹿島サッカースタジアム駅間は、車両の夜間滞泊のための回送列車以外JR車の運行はなく、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線からの乗り入れ列車(気動車)のみが運行される。

2002 FIFAワールドカップ開催時に東京方面から鹿島サッカースタジアム駅まで電車列車で直通運転する輸送計画が立てられたが、前年に発生した兵庫県明石市明石花火大会歩道橋事故を教訓に、警備上の問題から見送られた。その後、2006年7月15日の2006JOMOオールスターサッカーに際して、初めてJR東日本の旅客車両が鹿島サッカースタジアム駅まで営業運行(臨時列車)された。2008年からは、鹿島アントラーズホームゲームで多客が見込める試合開催時に、成田駅と鹿島サッカースタジアム駅を結ぶ臨時列車が運行されている(運行される場合はJR東日本千葉支社のホームページで告知される)。

貨物列車[編集]

貨物列車は全線で運転されており、鹿島臨海鉄道鹿島臨港線神栖方面へと引き継がれる。鹿島臨海鉄道鹿島臨港線内で荷役するコンテナ輸送や鹿島臨海工業地帯で製造・消費される化成品輸送が主な収入源である。化成品は従来タンク車で輸送されていたが、タンクコンテナ化が進んでいることからコキ100形コキ200形積載に置き換えられている。

新鶴見機関区所属のEF65形電気機関車が牽引しているが、2012年のダイヤ改正から1年間のみ愛知機関区所属のEF64形1000番台が牽引している。

かつてはDD51形ディーゼル機関車が牽引していた。1978年から1983年には、成田空港ジェット燃料を輸送する神栖から成田へのパイプラインが未完成であったことから、暫定措置としてタキ40000形貨車による輸送が行われていた。

使用車両[編集]

現在の使用車両[編集]

209系
E257系500番台

基本的に香取駅 - 鹿島神宮駅間はJR東日本の電車で、鹿島神宮駅 - 鹿島サッカースタジアム駅間は鹿島臨海鉄道の気動車で運転されている。JR東日本の車両は臨時列車で鹿島サッカースタジアム駅までの全線で運用される場合もある。貨物列車は「貨物列車」の節も参照。

普通列車
209系2000番台・2100番台電車(幕張車両センター所属)
2010年12月4日から運用開始し、4両編成で運行されている。
E217系電車(鎌倉車両センター所属)
4両の付属編成のみ入線する。横須賀線・総武快速線からの直通列車に加え、夜間帯には間合い運用で一部の線内運用にも使用される。
なお、2002 FIFAワールドカップの開催会場としてカシマサッカースタジアムが使用されたときは、グリーン車付きの11両編成が運用された。成田線成田以東にE217系の11両が入ったのはこのときが初めてである。その後1・2年はカシマサッカースタジアムで国際級の試合があるときに11両編成が入線したが、利用客が定着せずその後は11両編成が運転されることは滅多にない。
特急列車
E257系500番台電車(幕張車両センター所属)
2005年12月10日から運用開始。普通車のみの5両編成で、特急「あやめ」に充当されている。ただし鹿島線内は普通列車として運行する。
間合い運用として普通列車1往復にも運用されている。
貨物列車牽引用
EF65形電気機関車(新鶴見機関区
2001年から運転開始。2012年を除き貨物列車の牽引に使用されている。
鹿島臨海鉄道からの乗り入れ
6000形気動車
大洗鹿島線水戸方面から、鹿島サッカースタジアム駅 - 鹿島神宮駅間に乗り入れる定期運用に使用。
7000形気動車(茨城県所有)
あやめ祭り期間中などに鹿島サッカースタジアム駅 - 潮来駅間に乗り入れることがある。

過去の使用車両[編集]

普通列車
113系電車(幕張車両センター所属)
4両編成のみ入線していたが、2010年12月4日ダイヤ改正で鹿島線での運用が消滅した。6両編成や211系は佐原駅の鹿島線折り返し用ホームである0番線の有効長が4両分しかないため定期運用は持たないが、過去にダイヤ乱れで211系が入線したことが数回ある。113系が横須賀線・総武快速線で運用されていた時代は大船電車区配置の編成も入線し、成田で基本編成と増結する1日5本ほどの東京・逗子横須賀久里浜方面への直通列車も設定されていた。大船配置車も佐原駅 - 鹿島神宮駅間で間合い運用されたことがある。2010年時点では横須賀線・総武快速線からの直通は前述のE217系により運行されている。
特急・急行列車
183系電車
特急「あやめ」で1975年3月の新設時から2005年12月まで使用された。
165系153系電車
急行「鹿島」で1975年3月の新設時から1982年11月の廃止まで使用された。
キハ58系気動車
急行「水郷」で1970年10月から1975年3月まで使用された。
貨物列車牽引用
EF64形電気機関車(愛知機関区
2012年のダイヤ改正から1年だけ貨物列車の牽引に使用されていた。
DD51形ディーゼル機関車
2001年10月まで貨物列車の牽引に使用された。
鹿島臨海鉄道からの乗り入れ
2000形気動車
大洗鹿島線開業時に使用された。1991年に全廃。
キハ1000形気動車
1978年から1983年までの鹿島臨港線旅客営業時に使用された。

歴史[編集]

鹿島臨海工業地帯の開発に伴って敷設された路線である。予定線としては、改正鉄道敷設法別表第39号の2に「茨城縣鹿島ヨリ千葉縣佐原ニ至ル鐵道」と掲げられていた。同別表第39号の「茨城縣水戸ヨリ鉾田ヲ經テ鹿島ニ至ル鐵道」は北鹿島駅までの開業後、引き続き日本鉄道建設公団により鹿島線として建設され、1980年の日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(国鉄再建法)制定に際しても輸送需要が見込める(輸送密度4000人/日以上)として工事が続行されたが、国鉄が第三セクターでの運行を希望したため、鹿島臨海鉄道の路線として開業することになった。

  • 1970年昭和45年)
    • 8月20日:鹿島線香取駅 - 鹿島神宮駅間 (14.2km) が開業。開業当初より列車集中制御装置 (CTC) が導入。
    • 11月12日:鹿島神宮駅 - 北鹿島駅(現在の鹿島サッカースタジアム駅)間 (3.2km) が貨物線として開業。開業当初よりCTC導入。香取駅 - 北鹿島駅間で貨物営業開始。
  • 1974年(昭和49年)10月26日:香取駅 - 北鹿島駅間が電化。
  • 1978年(昭和53年)7月25日:鹿島臨海鉄道鹿島臨港線の旅客営業開始により、鹿島神宮駅 - 北鹿島駅間で旅客営業開始(ただし北鹿島駅での旅客扱いはなし)。
  • 1983年(昭和58年)12月1日:鹿島臨海鉄道鹿島臨港線の旅客営業廃止により鹿島神宮 - 北鹿島間の旅客営業廃止。
  • 1985年(昭和60年)3月14日:鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の開業によって鹿島神宮 - 北鹿島間で旅客営業開始(ただし北鹿島駅での旅客扱いはなし)。
  • 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄民営化により東日本旅客鉄道に承継。日本貨物鉄道が第二種鉄道事業者となる。
  • 1994年(平成6年)3月12日:北鹿島駅が鹿島サッカースタジアム駅に改称。サッカー試合日の鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の一部列車に限り、旅客営業開始。
  • 2009年(平成21年)3月14日:全線が東京近郊区間に編入される[2]
  • 2011年(平成23年)
    • 3月11日東北地方太平洋沖地震で被災し、高架や駅舎が被害を受け全線不通。
    • 3月18日:香取駅 - 延方駅間で運転再開[3]
    • 4月16日:延方駅 - 鹿島サッカースタジアム駅間で運転再開[4]。鹿島臨海鉄道大洗鹿島線鹿島神宮乗り入れ再開。
    • 12月18日:香取駅 - 鹿島サッカースタジアム駅間でATS-P使用開始。

駅一覧[編集]

便宜上、全列車が直通する成田線佐原駅からの区間を記載する。

  • 鹿島線内ではすべての定期旅客列車が臨時駅以外の全駅に停車
  • 線路(全線単線) … ◇:列車交換可、|:列車交換不可
路線名 駅名 駅間営業キロ 累計営業キロ 接続路線 線路 所在地
佐原駅 - 3.6 東日本旅客鉄道成田線成田方面) 千葉県
香取市
香取駅 3.6 0.0 東日本旅客鉄道:成田線(銚子方面)
鹿島線
十二橋駅 3.0 3.0  
潮来駅 2.2 5.2   茨城県 潮来市
延方駅 5.2 10.4  
鹿島神宮駅 3.8 14.2 鹿島臨海鉄道大洗鹿島線水戸方面:旅客列車乗換駅) 鹿嶋市
(臨)鹿島サッカースタジアム駅 3.2 17.4 鹿島臨海鉄道:大洗鹿島線・鹿島臨港線(貨物線)
  • ※:佐原駅 - 香取駅間は成田線
  • 鹿島臨海鉄道大洗鹿島線とは終点の鹿島サッカースタジアム駅で接続しているが、実際の佐原方面 - 鹿島神宮間の旅客列車との乗り換え駅は鹿島神宮駅となる。

脚注[編集]

  1. 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB 1998年 ISBN 978-4533029806
  2. Suicaをご利用いただけるエリアが広がります。 - 東日本旅客鉄道プレスリリース 2008年12月22日
  3. 東日本大震災災害情報 - 鹿嶋市 2011年3月23日
  4. 鹿島線・陸羽東線 全線で運転を再開 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2011年4月16日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]