流通経済大学
流通経済大学は、茨城県龍ケ崎市120に本部を置く日本の私立大学である。1965年に設置された。大学の略称は流経大(りゅうけいだい)、流大(りゅうだい)。
学校法人日通学園が設置、運営する大学である。
目次
概説[編集]
学生は、通学手段や居住地の状況に応じて、通学するキャンパスを選ぶことができる「キャンパス選択制」を実施している(ただし体育施設の関係から、スポーツ健康科学部は龍ケ崎キャンパスのみ)。
1965年1月に日本通運株式会社(日通)の寄付を元に、流通・物流・交通に関する教育・研究の振興を目的として開学。
建学の目的として「流通経済一般に関する研究と教育を振興して、わが国経済の飛躍的発展を図る」と記されていることから、開学以来、物流関係の研究・教育に力を入れており、陸運・倉庫・海運・国際輸送・物流情報システム・流通システムなど、物流・流通に関連する多様な科目が開講されている点が学術・教育面での大きな特色である。
また、産業界の支援を受けて開学した経緯を持つ大学として、「実学主義」に基く教育の実践を理念として掲げており、資格取得への課外講座の開講など他大学で取り組まれている事例は勿論、インターンシップや寄附講座も開講されている。
学生生活面では、1年生から4年生まで学生は必ずゼミに所属し、それぞれの課題に取り組む「全員ゼミ制度」を開学当時から一貫して大学の特色と位置づけて取り入れており、ゼミは必修科目として設定されている。 ゼミの定員は平均して15~20名程度と少人数に設定しているため、少人数のゼミ組織を基盤として、比較的学生と教員・学生同士の良好で幅広い人間関係が築きやすい環境であるという意見もある(ただし、少人数のゼミ組織は本学に限ったことではない)。
この制度を実施している大学は全国でも数少なく、「全員ゼミ制度」は教育上の特色にもなっている。
近年は、サッカー・ラグビー・硬式野球・吹奏楽などを中心に課外活動の充実にも力を入れている。
所在地[編集]
龍ケ崎キャンパス
- 法人本部が所在
- 茨城県龍ケ崎市(字平畑)120番地
- 佐貫駅(JR常磐線他)より大学直行バス(運行:関東鉄道)約15分
- 関東鉄道竜ヶ崎線竜ヶ崎駅より
- 徒歩約20分
- 龍ケ崎市コミュニティバス循環ルート内回り所要8分「流通経済大学前」停留所下車
- 駐車台数530台の駐車場や自転車・バイク駐輪場をキャンパス内に完備
- 学生の自動車及びバイク通学を認めている。
- 教務・学生課などが入居する5号館地下には書店「丸善」とコンビニエンスストア「ファミリーマート」がある。
新松戸キャンパス
- 千葉県松戸市新松戸三丁目2番1号(ダイエー新松戸店隣接地)
- 下記の駅より徒歩約4分
- 施設
キャンパス選択制[編集]
流通経済大学は、2004年度から経済・社会・流通情報・法の4学部で「キャンパス選択制」を実施している(体育施設の関係からスポーツ健康科学部は龍ケ崎キャンパスのみ。大学院・専攻科の学生も対象外)。 学生は原則として入学時に新松戸・龍ケ崎のどちらのキャンパスに通うか選択することができる(例外として、スポーツや課外活動のサークルで大学が活動を強化・支援している「課外活動重点部」に所属する学生など、活動拠点や施設の関係から龍ケ崎キャンパスに所属する場合もある)。
両キャンパスでは、同一カリキュラムの授業を実施し、同じキャンパスで卒業まで過ごすことが可能。また、学生の通学事情や転居などに伴う通学キャンパスの変更も可能。 近年ひとつのキャンパスで過ごす大学が増加しているが、その大学の一つである。
沿革[編集]
年 | 沿革 |
---|---|
1965 | 学校法人日通学園設立認可(1965年1月) |
1965 | 茨城県龍ケ崎市に流通経済大学開学(経済学部経済学科設置) |
1970 | 経済学部に経営学科を設置 |
1979 | 専攻科 開設(経済学専攻・経営学専攻) |
1985 | 千葉県柏市に付属柏高等学校を開設 |
1988 | 社会学部(社会学科)開設 |
1989 | 大学院経済学研究科(修士課程)開設 |
1991 | 大学院経済学研究科(博士後期課程)開設 |
1992 | 大学院社会学研究科(修士課程)開設 |
1993 | 社会学部に国際観光学科を設置 |
1994 | 大学院社会学研究科(博士後期課程)開設 |
1996 | 流通情報学部(流通情報学科)開設 |
2000 | 大学院物流情報学研究科(修士課程)開設 |
2001 | 法学部(企業法学科・自治行政学科)開設 |
2002 | 大学院物流情報学研究科(博士後期課程)開設 |
2003 | 留学生別科(日本語研修課程) 開設 |
2004 | 千葉県松戸市新松戸に「新松戸キャンパス」開設 |
2005 | 法学部・企業法学科をビジネス法学科に改編 |
2005 | 大学院法学研究科(修士課程)開設 |
2006 | 龍ケ崎キャンパスにスポーツ健康科学部(スポーツ健康科学科)開設 |
2010 | 大学院スポーツ健康科学研究科(修士課程)開設 |
「救急車を呼んだら大学に怒られる。生徒が死んでも構わない」熱中症の野球部員を救急搬送しなかった流通経済大の監督[編集]
流通経済大(茨城県龍ケ崎市)の硬式野球部で2013年7月、練習中に熱中症になった部員4人の病院への搬送が遅れ、うち1人が一時意識不明になっていたことが8月3日分かった。部員はいずれも回復したが、同大は指導していた監督(41)について「救急車を手配しないなど、対応が極めて不適切」として謹慎処分にした。保護者からは「一歩間違えば大変なことになっていた」との批判が出ている。
同部の大場敏彦部長らによると、7月7日午後2時ごろ、茨城県牛久市のグラウンドで練習をしていた1年生が過呼吸症状となり、監督の指示で救急車で同市内の病院に搬送された。練習を続けたところ、さらに4人が午後3時過ぎ~4時半ごろ相次いで不調を訴えた。
監督は4人を冷房付きの部屋で休ませた。しかし、症状は改善せず、午後5時ごろまでに順次、部員の運転する車で龍ケ崎市内の病院に向かったが、意識がなくなった1年生が集中治療室に運ばれたほか、3年生1人も入院。2人は翌日退院した。水戸地方気象台によると、7日の最高気温(同県土浦市)は34度を超えていた。
その後複数の部員が、当日は居合わせなかった部長に対し、監督が救急車を手配しない理由を「これ以上救急車を呼んだら大学に怒られる」と話したことや、病院の医師から搬送の遅れを批判された際に「死んでも構わないぐらいのつもりで練習させた」と言った、と証言。監督も事実関係を認めた。
大学は監督を7月14日から31日まで謹慎処分にし、8月1日に復帰した。大場部長は「監督は『同じことを繰り返さない』と反省している。 大学としては熱中症への対応マニュアルを作るなど対策を取った上で、監督を続けてもらうことにした」と説明した。監督に取材を求めたが応じてもらえなかった。
同大野球部は1977年創部。東京新大学野球連盟1部リーグに所属し、今年の春季リーグは6チーム中4位だった。
学部構成[編集]
※2008年4月より
- 経済学部
- 経済学科(250名)
- 経営学科(150名)
- 社会学部
- 社会学科(150名)
- 国際観光学科(120名)
- 流通情報学部
- 流通情報学科(160名)
- 法学部
- ビジネス法学科(100名)
- 自治行政学科(100名)
- スポーツ健康科学部
- スポーツ健康科学科(200名)
- 留学生別科
- 専攻科
- 経済学専攻
- 経営学専攻
大学院[編集]
- 経済学研究科(修士課程・博士後期課程)
- 社会学研究科(修士課程・博士後期課程)
- 物流情報学研究科(修士課程・博士後期課程)
- 法学研究科(修士課程)
- スポーツ健康科学研究科(修士課程)
研究組織[編集]
外部連携[編集]
寄附講座[編集]
私企業・団体によって企画され、講師やテキストが提供される講義が「寄附講座」として実施されている。
- 日本通運寄附講座「21世紀の物流と労働」
- 大学の設立母体でもある日本通運から提供された講座では、物流業の概要から今後の業界動向・事業戦略などを中心に、同社及びグループ会社の役員などの現役で事業に携わる幹部が講義を行うだけでなく、企業での雇用環境の変化や求める人材像についても講義する。
- 講座では、流通経済大学を卒業後、日本通運に勤務し要職に就いている卒業生も講師として講義を担当する機会もあり、物流業界における人材輩出に強みを持つ、大学の特色を象徴するものである。
- 野村證券寄附講座「資本市場の役割と証券投資」
- 社団法人 全国通運連盟寄附講座
- 環境問題に対する問題意識が高まる中、物流の分野でも温室効果ガスの削減が求められている。今日、環境に配慮した物流を目指す立場から、輸送手段をトラック輸送から鉄道貨物輸送を利用した通運へと切り替えるモーダルシフトを進める物流業者・荷主が増えつつある。
- 全国の通運業者が加盟する、社団法人 全国通運連盟から提供された講座では、日本通運などの通運事業者、鉄道貨物の輸送主体であるJR貨物、モーダルシフトを推進している荷主企業から講師を招き、環境に配慮した物流における通運や鉄道貨物輸送の重要性について講義する。
- 茨城県経営者協会寄附講座(龍ヶ崎キャンパスのみ開講)
- 茨城県に本社を構える企業の経営者,事業所を構える企業の管理者が、地域経済の現況や企業経営について講義する。
- 日本通信販売協会寄附講座「ダイレクト・マーケティング論」
- インターネットを用いた通信販売の普及は、B to CのみならずB to Bの分野にも普及し、流通における経済の形を大きく変化させた。この流通システムが確立されるためには、情報システム,物流システムなど、インターネットを用いた商取引を支える諸要素が有効に連携してはじめて成立するものである。
- 特定商取引法に定められた、通信販売業界を代表する公益団体である、日本通信販売協会から提供された講座では、流通システム,情報システム,物流システムが融合した新しい流通の形態である、ダイレクトマーケティングの現状と展望について、会員各社の実務者により講義が行われる。
サプライチェーン・ロジスティクス人材育成プログラム[編集]
(2008年(平成20年)度・経済産業省「産学連携人材育成事業(サービス人材分野)」採択事業)
生産効率化の手法として、近年、サプライ・チェイン・マネジメント(SCM)の手法が普及している。原材料や部品の調達から生産段階を経て、消費者への製品供給に至るまでの物流を一貫して管理することによる効率化を目指すSCMにおいて、物流業者は単に輸送や保管を受動的に担うのではなく、生産者の生産活動における物流の現状を調査・把握し、効率的な輸送や保管のあり方を提言する重要な役割を担っている。荷主の物流改善を提言し、物流業務を一括受託する。これがいわゆる、サード・パーティー・ロジスティクス(3PL)と呼ばれるビジネスの形態である。
現代の高度化した物流管理において、SCMや3PLの重要性は増し、社会人向けの教育プログラムや物流関連資格は多いものの、大学教育の段階ではこうした事項を体系的かつ現実の経済活動の変化に即して教授していく教育プログラムは皆無である。
流通経済大学は建学の背景から、物流や流通に関する専門科目やそれらの産業界から講師を招いた寄附講座・特別講座が数多く開講されている。これらを体系化し、更には近年伸長している国際物流や物流の現場で調査を行うことにより物流の効率化を考えるといった、現代のロジスティクスへの理解を深めるための産学連携による新規開講科目を追加することにより、SCMや3PLを担う人材を体系的に育成しようとするのが、サプライチェーン・ロジスティクス人材育成プログラムである。
また、プログラムで用いるための企業事例を盛り込んだオリジナルテキストも産学連携により作成されるほか、プログラムに参加する企業側委員と大学教員が共同の定期的懇談会(産学連携コンソーシアム)を設け、カリキュラムの検討,教育効果の測定を行い、プログラム運用の改良を常時実施して行く体制がとられている。
さらに、学生に対しては、プログラム受講によって得た知識の体系化と深化を図るため、ビジネス・キャリア検定試験における、ロジスティクス分野の検定である「ロジスティクス管理」の受験が推奨されている。(取得のための課外講座と試験対策講座を実施)
この検定は、主に社会人を対象とした専門的職業能力開発のものであり、管理職昇進などの際に判断材料とされ、ロジスティクス分野の企業内教育において、取得が勧められているものである。
企業内教育では一般的な、ホワイトカラー従業員の専門的能力開発のための取り組みを、学生時代に先取りして身につけられるのが、このプログラムの大きな特色である。
地域社会との連携[編集]
- 特定非営利活動法人 クラブ・ドラゴンズ
- 流通経済大学の学生や教職員などから成る有志が結成した特定非営利活動法人。龍ケ崎市を活動拠点とし、大学の教育活動を通じた地域社会への貢献を目指して活動している。大学が中心となり地域社会への貢献のため、NPO法人を展開している例は珍しい。
- 2003年に龍ケ崎市と流通経済大学は、「流・龍連携協定」(正式名称:「龍ケ崎市と流通経済大学との連携に関する協定」)と言う相互協力協定を締結し、地域社会と大学が連携して諸活動を積極的に展開する方向性が打ち出された。
- 流通経済大学との連携は龍ケ崎市の重点施策の一つとなっており、市役所に「流・龍連携協定」を担当する部署が設置されている。
- 「フリースクール」(学校5日制に対応した土曜日の児童向け課外学習プログラム)
- 「学び塾」(地元公民館と連携した児童向け教育プログラム)
- 「流経大ドラゴンズ」(ラグビーチーム)(小・中学生のラグビーチームの運営に協力)
- 「RKUラグビーフェスティバル」(※イベント実施に協力)
- 「龍・流カップ」(市内の中学校によるサッカー大会)(※イベント実施に協力)
- 地域住民を対象とするパソコン教室の開講
- 地元小・中学校への学生ティーチングアシスタント派遣
- 龍ケ崎市で実施される夏祭り等、地域行事への運営協力
全日本トラック協会推薦入試[編集]
物流業の将来を担う専門的知識を持った人材の発掘,育成を目的とし、物流事業者団体の全日本トラック協会からの推薦で、会員企業の関係者(会員企業の経営者及び従業員の子弟や親族)を対象としたAO入試による学生受け入れを行っている。
推薦に関する条件については、毎年6月ごろに各都道府県のトラック協会ホームページや会員向けの機関紙に情報が掲載される。
他大学との協定[編集]
三宅雪嶺記念資料館[編集]
- 龍ヶ崎キャンパスに設置されている、三宅雪嶺に関する博物館で一般にも公開されている。雪嶺の孫である、流通経済大学名誉教授(前・教授)の三宅立雄より寄贈された資料が展示されている。
学生サークル[編集]
- 就職活動支援サークル R↑KU(リク)
- 流通経済大学の学生と就職課の職員が「学生の視点から就職活動を支援する」という考えから結成したサークル。歴史は浅いものの、キャンパスのある松戸市の行政や市内のNPO法人、企業と協力してセミナーを開催する。
- 就職情報紙「R-就活」の発行
- 学生に対しての面接練習・グループディスカッション練習
- メンバーのスキルアップを計る、プレゼンテーション練習・ディベート練習
- 「キャリア プラン フォーラム」の開催(松戸市の行政、市内のNPO法人、聖徳大学と共同開催)。
- 大学内における「就活セミナー」の開催(第一回目は流通経済大学を担当する株式会社リクルートの社員の協力を得て開かれた)。
著名な教員・出身者など[編集]
- 流通経済大学の人物一覧を参照
大学関係者組織[編集]
- 卒業生団体として、流通経済大学校友会がある。
なお、校友会加盟団体で独自のホームページを設けている物は以下の通り。
- 流通経済大学松風会-流通経済大学剣道部の卒業生団体。
- 流通経済大学社会福祉士会-流通経済大学出身の社会福祉士による卒業生団体。
- 流通経済大学観光クラブ-社会学部国際観光学科出身者による卒業生団体。
大学歌[編集]
- 「流通経済大学校歌」(作詞:土岐善麿、作曲:渡辺浦人)
- キャンパスソング「風創る勇士たちよ」(作詞・作曲:小椋佳)
- 応援歌「われらが勇者」(作詞:北耕平、作曲:芥川也寸志)
- 「登竜の門」(作詞:松好貞夫、作曲:辻井敏雄)
イベントなど[編集]
- つくばね祭
- 毎年、10月の最終週または11月の第1週の週末の2日間に渡って開催される、龍ケ崎キャンパスの学園祭。
- 青春祭
- 毎年、6月第3週の土曜・日曜の2日間に渡って開催される、新松戸キャンパスの学園祭。
このほか、吹奏楽部・合唱部の定期演奏会が開催される。
流通経済大学出版会[編集]
流通経済大学出版会(りゅうつうけいざいだいがく しゅっぱんかい)とは、流通経済大学の出版部門(出版社)である。
不祥事[編集]
- 同大学の硬式野球部が、2013年7月7日の練習中に、部員4人が熱中症を訴えたにもかかわらず、監督が救急車を手配しなかったため病院への搬送が送れ、うち1人は一時意識不明の重態となった。大学側はこの監督について、「極めて不適切な対応」であるとして、7月14日から31日までの間謹慎処分とした。監督は「これ以上救急車を呼ぶと大学に叱られるから」などと言い訳をしたり、また、病院からの注意に対し「死んでも構わないくらいのつもりで練習させた」と話していた模様である。
関連項目[編集]
- 日本通運
- 日通学園
- 佐伯弘治(学校法人 国士舘理事長、学校法人 日通学園学園長)
- 流通経済大学サッカー部
- 流通経済大学ラグビー部
- 東京新大学野球連盟 - 硬式野球部が所属しているリーグ。
- 関東大学ラグビーリーグ戦グループ - 流通経済大学ラグビー部が所属しているリーグ。