中山グランドジャンプ
中山グランドジャンプ(なかやま - )とは日本中央競馬会(JRA)が中山競馬場の障害・芝4250mで施行する中央競馬の障害の重賞(J・GI)競走(国際招待)である。正賞は農林水産大臣賞と日本馬主協会連合会会長賞。正式名称は農林水産省賞典中山グランドジャンプ。
2000年から2010年までは国際招待競走であったが2011年より国際招待競走より通常の国際競走へと変更され、JRAからの招待および費用の負担は廃止された。
概要
1934年に障害の重賞競走として創設され年2回施行されていた中山大障害の春の競走を前身とし、1999年に障害競走にグレード制が導入されたと同時に中山大障害(春)の競走名が変更され、最高峰のJ・GIに格付けされた。年10戦有る障害重賞競走の中で2戦目に当たる。
前身の中山大障害は、中山競馬倶楽部理事長・肥田金一郎が東京競馬倶楽部(現在の東京競馬場)の東京優駿大競走(日本ダービー)に対抗して発案した。
2000年より国際招待競走となった事に伴い競馬番組で唯一障害競走が第11競走で編成、当日のメインレースとして施行され入場行進曲でも平地のグレードワン競走と同様に「グレード・エクウス・マーチ」が流されるなど平地のグレードワン競走に準じて行われる。
外国馬を招待して行われる日本の障害競走の春のチャンピオン決定戦であり、JRAの年間競走の中で最も長い距離で施行される。
出走条件はサラ系4歳(旧5歳)以上のJRA所属の競走馬及び出走登録を行った外国調教馬。
負担重量は定量で4歳は62キロ、5歳以上は63.5キロ、牝馬は2キロ減と定められている。
総額賞金は1億5200万円で1着賞金は8000万円、2着賞金は3200万円、3着賞金2000万円、4着賞金1200万円、5着賞金800万円であり障害競走としてはグランドナショナルの70万ポンド(約1億6300万円)に次いで世界第2位の高額賞金を誇る。そのためオーストラリアやニュージーランドといったオセアニアの陣営からは毎年のように出走登録がある。
この競走は春の中山大障害の直接の後身で日本国内における最高難度の特別な位置づけの障害競走であり、まさに人馬が一体となって大きな障害を乗り越えて長距離を駆け抜ける限りなく厳しいレースである。その事もあり、このレースと中山大障害については勝利馬はもとより勝ち馬から遥かに遅れて完走した馬たちにも多くの観客から温かい拍手が贈られるという他のレースでは見られない様な光景が毎回見られる。
名称
この競走の名称は「障害競走」を「ジャンプレース」と呼ぼうという事を考えて命名されたものである。
当競走の当初の計画時の名称は「中山スプリングジャンプ」であった。当初、「中山グランドジャンプ」は秋の中山大障害の改称予定名称であった。しかし競馬サークルの内外から「大障害という伝統のレース名は残すべき」という声が上がったことからJRAは再検討を行い、秋の大障害はそのままの名称での存続が決定しまた春の大障害の国際競走化が計画されたため春の大障害を「中山グランドジャンプ」とする事で決着した。
コース
スタートは中山の芝が向正面で内コースと外コースに分かれていてその合流点となる第3コーナー付近。約3/4周に渡って順回り。向正面から年に2回しか使わない大障害コース(大竹柵障害を飛越)を通過して逆回り。3~4コーナー側のコースを逆回りして2回目の大障害コース(大生け垣障害=通称・赤レンガ=を飛越)を通過。順回りで走り第2コーナーから置き障害が置かれた普段は平地競走で使う芝の外回りコースを利用して芝でゴールする。
ステップレース
競走名 | 競走格 | 施行競馬場 | 施行距離 | |
---|---|---|---|---|
1 | 阪神スプリングジャンプ | J・GII | 阪神競馬場 | 障害・芝3900m |
2 | ペガサスジャンプステークス | OP | 中山競馬場 | 障害・芝3350m |
本競走に出走登録する外国馬は国際競走のオープン特別、ペガサスジャンプステークスに出走する事ができる。
歴史
- 1999年 - 中山競馬場の5歳(現4歳)以上の障害・芝4100mの混合の定量の重賞(J・GI)競走「中山グランドジャンプ」として創設。
- 2000年
- 出走条件が混合から国際に変更、障害競走として初の国際招待競走になる。
- 2001年
- 2002年
- ニュージーランドのランドが競走前に鼻出血のため競走除外。
- 2006年
- オーストラリアのカラジが史上2頭目(外国調教馬としては史上初)の連覇。なお、外国調教馬による日本の重賞の連覇は史上初。11歳での勝利はJRAの障害競走(ジャンプレース)としての最年長勝利記録。
- ブレット・スコットが騎手として2人目の連覇。
- エリック・マスグローヴが調教師として2人目の連覇。
- 2007年
- オーストラリアのカラジが史上初の3連覇。なお、同一GIの3連覇も史上初。さらにJRAの障害競走(ジャンプレース)としての最年長勝利記録を2006年に記録した11歳に続き12歳に更新された。
- ブレット・スコットが騎手として史上初の3連覇。
- エリック・マスグローヴが調教師として史上初の3連覇。
- 2010年
- 1着賞金が7500万円に減額。
- 国際競走になってから初めて外国馬の出走なしで施行された(当初はオーストラリアから1頭参加予定だったが故障により出走を取りやめ[1])。
- 優勝タイムが中山大障害も含めて初めて5分台を記録する。
- 2011年
- 2012年
- 5歳以上の負担重量を63.5kg(牝馬2kg減)から63kg(牝馬2kg減)に変更。
- 柴田大知が騎手として3人目の連覇。
- 2013年 - アイルランドのブラックステアマウンテンがヨーロッパ調教馬として初の制覇。
歴代優勝馬
回数 | 施行日 | 優勝馬 | 性齢 | タイム | 優勝騎手 | 管理調教師 | 馬主 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
第1回 | 1999年4月11日 | メジロファラオ | 牡6 | 4:56.2 | 大江原隆 | 大久保洋吉 | メジロ商事(株) |
第2回 | 2000年4月15日 | ゴーカイ | 牡7 | 4:43.1 | 横山義行 | 郷原洋行 | 吉橋計 |
第3回 | 2001年4月14日 | ゴーカイ | 牡8 | 4:52.3 | 横山義行 | 郷原洋行 | 吉橋計 |
第4回 | 2002年4月13日 | セントスティーヴン | 騸8 | 4:50.9 | C・ソーントン | J.ウィーラー | J.ウィーラー |
第5回 | 2003年4月19日 | ビッグテースト | 牡5 | 4:48.9 | 常石勝義 | 中尾正 | (有)ビッグ |
第6回 | 2004年4月17日 | ブランディス | 騸7 | 4:47.0 | 大江原隆 | 藤原辰雄 | (有)サンデーレーシング |
第7回 | 2005年4月16日 | カラジ | 騸10 | 4:50.4 | B・スコット | E.マスグローヴ | P.モーガン |
第8回 | 2006年4月15日 | カラジ | 騸11 | 4:50.8 | B・スコット | E.マスグローヴ | P.モーガン |
第9回 | 2007年4月14日 | カラジ | 騸12 | 4:50.4 | B・スコット | E.マスグローヴ | P.モーガン |
第10回 | 2008年4月19日 | マルカラスカル | 牡6 | 4:57.7 | 西谷誠 | 増本豊 | 河長産業(株) |
第11回 | 2009年4月18日 | スプリングゲント | 牡9 | 4:49.1 | 白浜雄造 | 野村彰彦 | 加藤春夫 |
第12回 | 2010年4月17日 | メルシーモンサン | 牡5 | 5:03.5 | 高野容輔 | 武宏平 | 永井康郎 |
第13回 | 2011年7月2日 | マイネルネオス | 牡8 | 4:51.6 | 柴田大知 | 稲葉隆一 | (株)サラブレッドクラブ・ラフィアン |
第14回 | 2012年4月14日 | マジェスティバイオ | 牡5 | 5:02.9 | 柴田大知 | 田中剛 | バイオ |
第15回 | 2013年4月13日 | ブラックステアマウンテン | 騸8 | 4:50.5 | R.ウォルシュ | W.マリンズ | S.リッチー |
第16回 | 2014年4月19日 | アポロマーベリック | 牡5 | 4:50.7 | 五十嵐雄祐 | 堀井雅広 | アポロサラブレッドクラブ |
第17回 | 2015年4月18日 | アップトゥデイト | 牡5 | 4:46.6 | 林満明 | 佐々木晶三 | 今西和雄 |
第18回 | 2016年4月16日 | オジュウチョウサン | 牡5 | 4:49.4 | 石神深一 | 和田正一郎 | (株)チョウサン |
中山大障害との連覇
1999年に中山大障害(春)に変わって本競走が施行されて以来、ブランディス、マジェスティバイオ、アポロマーベリックの3頭が前年の中山大障害との障害GI競走連覇を果たしている。
注釈
- ↑ 中山グランドジャンプ(J・GI) -ペンティフィック号が故障- - JRA公式サイト 2010年4月18日閲覧。
- ↑ 平成23年度夏季競馬番組を一部変更しました JRA News 2011年5月13日告示
- ↑ [1]
関連項目
- 中山大障害(春) - 前身のレース
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