「鹿児島県」の版間の差分
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=== 自然公園 === | === 自然公園 === | ||
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+ | * [[国定公園]] | ||
+ | ** [[日南海岸国定公園]]、[[奄美群島国定公園]] | ||
+ | * [[都道府県立自然公園|県立自然公園]] | ||
+ | ** 阿久根県立自然公園、[[吹上浜]]県立自然公園、藺牟田池県立自然公園、坊野間県立自然公園、川内川流域県立自然公園、高隈山県立自然公園、[[大隅南部県立自然公園]]、甑島県立自然公園、トカラ列島県立自然公園 | ||
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+ | === 世界遺産登録地域 === | ||
+ | * 屋久島(屋久島町) - [[1993年]]登録、[[自然遺産 (世界遺産)|世界自然遺産]] | ||
+ | === [[ラムサール条約]]登録地域 === | ||
+ | * [[藺牟田池]]([[薩摩川内市]]) - [[2005年]][[11月8日]]登録 | ||
+ | * 屋久島永田浜(屋久島町) - 2005年11月8日登録 | ||
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+ | == 鹿児島の歴史 == | ||
+ | 奄美群島については[[奄美群島の歴史]]を参照。 | ||
+ | ===県名の由来と意味=== | ||
+ | [[鹿児島神宮]](霧島市隼人町)に由来する。「鹿児島」の語源は、[[ホオリ|天津日高彦穂々出見尊]](山幸彦)が海神(わたつみ)宮に行く際に乗った舟が鹿児山で作られたという説や、「神籠もる島」という説、「カゴ」は崖という意味で、四方が崖に囲まれている桜島は「カゴ島」と謂われ、鹿児島は桜島の古い名であるという説、など諸説ある。 | ||
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+ | 現在鹿児島市と鹿児島神宮は離れているが、鹿児島郡設置当初は[[天降川]]までが鹿児島郡内であった。 | ||
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+ | ===古代=== | ||
+ | 今から約24,000年前、[[姶良カルデラ]]が大爆発を起こした。この時噴出した火山灰を[[姶良Tn火山灰]]と呼ぶ。そのAT火山灰は、遠く北海道まで達している。南九州では[[入戸火砕流]]などにより[[シラス台地]]ができあがった。[[種子島]]にある[[立切遺跡]](たちきり、熊毛郡中種子町)31,000年前の火山灰層から磨石(すりいし)・敲石(たたきいし)、礫群、焼け土、土坑などが確認された。これらは後期旧石器人のキャンプ場と考えられている。 | ||
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+ | [[日本の旧石器時代|旧石器遺跡]]が、2005年現在、約40カ所発見されている。 | ||
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+ | 古代には[[ヤマト王権]]から異民族視された[[隼人]]の住地であった。隼人の古墳は地下式板石積石室墓を特徴とする。[[日向国]]から分離して[[702年]](大宝2)に[[薩摩国]]、[[多禰国]]([[824年]]に大隅へ編入)、[[713年]]に[[大隅国]]が成立し、他国からの植民も始まったが、その後も[[隼人の反乱]]は絶えなかった。 | ||
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+ | [[鎌倉時代]]の[[1185年]](文治元) [[島津荘]]下司職に補任された[[島津忠久]]を祖とする[[島津氏]]が薩摩国・大隅国・日向国守護を独占するようになり、戦国期には[[戦国大名]]化した。また、島津氏が守護を務めた南九州の薩摩・大隅・日向のことを「三州」と称し、島津氏が戦国大名化した戦国期には「三州の太守」と称される事になる。ただし、後述のように島津氏が県本土全域を支配するのは[[安土桃山時代]]に入ってからのことであり、三州に至っては1577年以降の10年程度に限られる。 | ||
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+ | ===中世=== | ||
+ | 中世には[[坊津]]、[[内之浦町|内之浦]]などが貿易港として[[中国]]、[[朝鮮]]、[[東南アジア]]地域との交易を盛んに行ったが、肥前([[長崎県]])などと同様に黒潮の乗って活動する[[倭寇]]の根拠地が[[南西諸島]]地域にあった。 | ||
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+ | * [[1543年]](天文12) [[ポルトガル]]船が種子島に漂着し、[[鉄砲]]伝来する。その6年後、[[マラッカ]](今のマレーシア)で出会った薩摩出身の元漁師のアンジロウという日本人の案内で[[フランシスコ・ザビエル]]が鹿児島に上陸し、[[キリスト教]]を伝える。 | ||
+ | * [[1574年]] 大隅の[[肝付氏]]が島津氏に降伏し、島津氏が県本土(薩摩・大隅)を統一。 | ||
+ | * [[1577年]] [[伊東氏]]を日向から追い出し、島津氏は三州のほぼ全域を統一した。 | ||
+ | * [[1587年]] [[島津義久]]はほぼ[[九州]]全域を征服したが、[[豊臣秀吉]]に屈服し、領国は薩摩・大隅・日向(諸県郡)に押し込められた。 | ||
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+ | ===近世=== | ||
+ | * [[1609年]][[薩摩藩]]は琉球出兵を行って[[琉球王国]]を服属させ、奄美群島を領土に組み入れ、当地を使った砂糖業を成功させ、莫大な利益をあげた。 | ||
+ | * [[1779年]][[桜島]]が噴火。 | ||
+ | * [[幕末]]には幕府との姻戚関係となり[[水戸藩]]・[[越前藩]]などの[[公武合体派]]を取り込み雄藩として活躍した。また、古来よりの島津家と[[近衛家]]との繋がりで朝廷からの信任も厚く、その後の[[討幕運動]]では旧幕府軍と対峙して、薩摩藩が官軍(政府軍)の戦闘主力となり、[[長州藩]]や[[土佐藩]]などとともに、[[明治維新]]を成功させ、多くの維新[[元勲]]を輩出している。 | ||
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+ | ===近・現代=== | ||
+ | * [[1871年]]([[明治]]4年) - [[廃藩置県]]により薩摩、大隅、日向の3ヶ国のうち薩摩藩の範囲で鹿児島県が成立。同年11月14日(新暦12月25日)に日向と大隅のうち本土部分を分離し[[都城県]]とした。 | ||
+ | * [[1872年]](明治5年) - 琉球を分離して[[琉球藩]]が成立。 | ||
+ | * [[1873年]](明治6年)1月15日 - [[宮崎県]](初代)の設置に伴い、都城県のうち大隅国の部分を鹿児島県に移管。旧日向国であった地域(現在の[[志布志市]]・[[大崎町]]など)は宮崎県所属となった。 | ||
+ | * [[1876年]](明治9年)8月21日 - 宮崎県を合併。 | ||
+ | * [[1877年]](明治10年) - [[西郷隆盛]]が不平武士に擁立されて新政府に対する反乱([[西南戦争]])を起こした。しかし[[東京]]にいた薩摩藩出身者は薩長藩閥政府を構成し、[[明治時代]]の政治を左右した。また、反乱軍の地元であり戦後の荒廃があったが、[[1894年]](明治27)から知事を努めた[[加納久宜]]により立て直しが図られ、今日の鹿児島県の基礎が築かれた。 | ||
+ | * [[1880年]](明治13年) - [[鹿児島県議会]]開会。 | ||
+ | * [[1882年]](明治15年) - 鹿児島新聞([[南日本新聞]]の前身)創刊。 | ||
+ | * [[1883年]](明治16年)5月9日 - 宮崎支庁側などの分県運動により、宮崎県が再置県され成立した([[宮崎県#宮崎県再置]]を参照)。ただし、[[諸県郡]]のうち志布志・松山・大崎(現在の志布志市・大崎町及び曽於市の一部)は鹿児島県に残り、同年6月に[[南諸県郡]]として分離された。 | ||
+ | * [[1889年]](明治22年)4月1日 - 鹿児島市[[市制]]施行、県本土・甑島列島・種子島・屋久島で[[町村制]]実施。鹿児島市を除いて全て「村」として発足した。大部分は薩摩藩の地域区分であった「[[外城制|外城(郷)]]」を継承している。 | ||
+ | * [[1908年]] - [[奄美群島]]及び現在の[[十島村]]・[[三島村]]において[[島嶼町村制]]施行。 | ||
+ | * [[1909年]] - [[鹿児島本線]]、現在の[[肥薩線]]ルートにて門司-鹿児島まで全通。 | ||
+ | * [[1912年]] - [[加治木町]](現[[姶良市]])、県内最初の町制施行。 | ||
+ | * [[1914年]] - 桜島噴火。桜島と大隅半島が陸続きとなる([[桜島#大正大噴火]]を参照)。 | ||
+ | * [[1935年]] - [[NHK鹿児島放送局]]、ラジオ放送開始。 | ||
+ | * [[1940年]] - [[川内市]](現[[薩摩川内市]])、鹿児島市に次いでの市制施行。 | ||
+ | * [[1945年]] - 北緯30度以南の地域が米軍軍政下に置かれる。 | ||
+ | * [[1952年]] - [[トカラ列島]]が日本に復帰。 | ||
+ | * [[1953年]] - 奄美群島が日本に復帰。県内初の民間放送局、ラジオ南日本(現[[南日本放送]])がラジオ放送を開始。 | ||
+ | * [[1958年]] - NHK鹿児島放送局、アナログテレビ放送を開始。 | ||
+ | * [[1971年]] - [[岐阜県]]と姉妹県となる。これは[[宝暦治水事件|宝暦治水]]に由来する。 | ||
+ | * [[1972年]] - [[第27回国民体育大会|太陽国体]]開催。[[鹿児島空港]]、鹿児島市鴨池から[[溝辺町]]([[霧島市]])に移転。 | ||
+ | * [[1993年]] - 県章とは別にシンボルマークを制定。8.6水害に代表される[[平成5年8月豪雨]]発生。 | ||
+ | * [[1995年]] - [[九州自動車道]]、門司-鹿児島まで全通。 | ||
+ | * [[1996年]] - [[鹿児島県庁舎]]が現在地に移転。 | ||
+ | * [[2004年]] - [[九州新幹線 (鹿児島ルート)|九州新幹線]]、鹿児島中央-新八代間が開業。 | ||
+ | * [[2011年]] - 九州新幹線、鹿児島中央-博多間が全線開業。 | ||
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+ | == 人口 == | ||
+ | {{人口統計|code=46000|name=鹿児島県}} | ||
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+ | == 政治 == | ||
+ | === 国政 === | ||
+ | [[衆議院小選挙区一覧#鹿児島県|鹿児島県選挙区]]参照 | ||
+ | |||
+ | [[衆議院]]の[[小選挙区]]が5。[[参議院]]では、全県で1区を構成。 | ||
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+ | === 県政 === | ||
+ | [[鹿児島県知事一覧|鹿児島県庁|鹿児島県議会]]参照 | ||
+ | |||
+ | * [[都道府県知事|知事]]:[[伊藤祐一郎]](いとう ゆういちろう、2期目) | ||
+ | |||
+ | === 財政 === | ||
+ | ==== 平成21年度 ==== | ||
+ | * 標準財政規模 4557億8100万円 | ||
+ | * [[財政力指数]] 0.30 (都道府県平均 0.52) | ||
+ | ** IIIグループ(財政力指数0.3以上、0.4未満)11自治体中11位 | ||
+ | ** 鹿児島県は全国にさきがけて高齢化が進行するとともに、過疎地域や離島が多く社会資本整備が立ち遅れている(行政コストがかかる過疎地域が多い)ことなどから財政需要が増大している。平成17年度3月の「県政刷新大綱」を示し県政を支える行財政構造のたてなおしおよび持続可能なシステムの構築に取り組んでいる。 | ||
+ | * 経常収支比率 96.9% (都道府県比率 95.9%) | ||
+ | ** 財政が硬直化している | ||
+ | * 将来負担比率 266.0% (都道府県比率 229.2%) | ||
+ | * [[実質公債費比率]] 16.0% (都道府県平均 13.0%) | ||
+ | * 人口100,000人当たり職員数 1,436.25人 (都道府県平均 1,138.41人) | ||
+ | ** 組織機構改革方針に基づいて、一般行政部門の職員数について、1,000人以上の純減を図るとしている | ||
+ | * [[ラスパイレス指数]] 94.3 (都道府県平均 98.9) | ||
+ | * 地方債残高 | ||
+ | ** 普通会計分の地方債現在高 1兆6554億7800万円 | ||
+ | ** 上記普通会計分以外の特別会計分の地方債(企業債)現在高 587億2500万円 | ||
+ | |||
+ | ==== 平成20年度 ==== | ||
+ | * 財政力指数 0.31 (都道府県平均 0.52) | ||
+ | ** IIIグループ(財政力指数0.3以上、0.4未満)11自治体中8位 | ||
+ | |||
+ | == 姉妹盟約等 == | ||
+ | * [[大韓民国]][[全羅北道]] | ||
+ | *: [[1989年]](平成元年)[[10月]] 共同宣言 | ||
+ | * [[シンガポール]] | ||
+ | * [[香港]] | ||
+ | * [[アメリカ合衆国]][[ジョージア州]] | ||
+ | *: [[1966年]](昭和41年)[[11月28日]] 姉妹盟約 | ||
+ | * [[中華人民共和国]][[江蘇省]] | ||
+ | * [[岐阜県]] | ||
+ | *: [[1971年]](昭和46年)[[7月27日]] 姉妹県盟約 | ||
+ | |||
+ | == 経済 == | ||
+ | === 産業 === | ||
+ | *平成20年度([[2008年]])の県内総生産は5兆3186億円である。これは世界の過半数の国の[[国内総生産]](GDP)より規模が大きい。一人当たり県民所得は225.3万円であり、全国平均の81.8%である。 | ||
+ | |||
+ | * 日本有数の農業県。農業産出額(2008年)は全国4位(九州1位)。鹿児島県が日本における主要な産地となっている農産物として[[サツマイモ]]、[[サヤインゲン]]、[[茶]]([[鹿児島茶]])などがある。 | ||
+ | * 伝統的に[[焼酎]]製造が盛んで県内の酒造業者はほぼ焼酎を中心商品としている。 | ||
+ | * [[養豚]]は鹿児島県の代名詞的な(東京都内で、鹿児島と言って連想する事で80%の人間が豚と答えたほどである)産業で、養豚による収益は約820億円と言われている県産業の基幹。鹿児島県内で[[ブタ|豚]]は約140万匹(ペット用のミニブタは除く)飼われているが、そのうち[[黒豚]]の示す割合は年々増加傾向気味で、2009年度には繁殖子取り雌豚の38%にまで黒豚の数が回復した。しかし1973年の白黒論争が発端となり一時は絶滅しかけ、1985年には黒豚の割合は3%まで落ち込むほどであった。 | ||
+ | * [[静岡県]]と並んで[[鰹節]]の生産が盛んであり、特に[[枕崎市]]の特産物として知られている。。 | ||
+ | * 大隅地方では[[うなぎ]]の養殖が盛んで、知名度は低いながらもうなぎの生産量は全国1位である。 | ||
+ | * 主に商業関係では伝統的に地元資本の影響力が強い。 | ||
+ | * 県内各地に宇宙関連の研究施設等が設けられている。それらは行政改革により現在は全て[[宇宙航空研究開発機構]](JAXA)による運営となった。 | ||
+ | ** JAXA[[種子島宇宙センター]] | ||
+ | ***JAXA[[増田宇宙通信所]] | ||
+ | ** JAXA[[内之浦宇宙空間観測所]] | ||
+ | |||
+ | === 鹿児島県に拠点事業所のある主要企業 === |
2012年4月30日 (月) 18:44時点における版
鹿児島県(かごしまけん)は、九州南部に位置する日本の都道府県。九州島の南側には離島(薩南諸島)が点在する。九州島の部分は県本土と表現され、2つの半島(薩摩半島・大隅半島)を有する。南北の距離は600km、海岸線は2,722kmに及ぶ。県庁所在地は鹿児島市。
世界遺産の屋久島や、種子島宇宙センター、霧島山などがあり、自然・文化・観光・産業などの面において、豊富な資源を有している。
目次
地理
主に本土と呼ばれる九州島の部分(薩摩・大隅地方)と離島と呼ばれる薩南諸島(種子島・屋久島地方と奄美地方)にわかれる。天気予報の予報区分では鹿児島地方気象台が薩摩・大隅・種子島・屋久島地方、名瀬測候所が奄美地方、にわかれている。
本土は、霧島山を除けば大部分はシラス台地の地質からなっており、水はけがよく非常に脆い。また、低地や平野が極端に少ないために、県内のほとんどの市町は周囲が山に囲まれている。それ故に各市町は本土の各地に点々と散らばっている。
島数は605個あり、薩南諸島は種子島、屋久島を含む大隅諸島、トカラ列島、奄美群島からなる。最北端は獅子島、最南端は与論島で、また有人島最大は奄美大島、有人島最小は新島である。
活火山桜島などの火山もあり、温泉の数も多く、泉源数は約2,730で、大分県に次いで全国2位で県内の入浴施設のほとんどが温泉である。
気候
南北の距離が600kmに及ぶことから伊佐市などの積雪地域もあれば、奄美群島のような亜熱帯地域も存在する。日本国内における気候区分では大隅地方は太平洋側気候九州型、薩摩地方・種子島屋久島地方は同気候南海型、奄美地方は南日本気候に属する。
鹿児島県本土は冬は温暖で、夏は日照時間も多いが降水量は多い。南国のイメージが強いが、薩摩半島は東シナ海に面するため、大陸からの寒気の影響を受けやすく、時に厳しい寒さとなることがある。冬は季節風の風向次第では多量の雪雲が供給されるため鹿児島市の中心部でも積雪に見舞われることがあり、2011年1月1日には鹿児島市内でも25cmの積雪を観測するなど、九州の県庁所在地なかで最も積雪する回数が多い。また、屋久島山岳部では毎年のように積雪があり、種子島屋久島地方の平野部でもごく稀に降雪するため、積雪観測地では日本最南端である。また、1901年2月12日には奄美市名瀬で降雪が観測されたことがある。2005年3月に奄美大島の山地での積雪が写真家によって確認されるなど、標高の高いところでは近年でもまれに降雪や積雪が見られることはあるが、この場合は気象台や測候所では観測されたことにはならないため、公式の記録とはならない。
夏から秋にかけては台風の影響を受ける。特に奄美群島・トカラ列島・大隅諸島には多くの台風が接近しており、日本有数の台風銀座と言っても過言ではない。1951年以降の台風上陸数が日本一であり、その中には日本列島に大被害をもたらした枕崎台風、ルース台風、洞爺丸台風、台風13号(1993年)、台風16号(2004年)などがある。
平年値 (月単位) |
甑島列島 | 薩摩地方 | 大隅地方 | ||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
薩摩川内市 中甑 |
阿久根 | 日置市 東市来 |
伊佐市 大口 |
さつま町 さつま柏原 |
薩摩川内市 川内 |
霧島市 溝辺 |
鹿児島 | 鹿児島市 喜入 |
指宿 | 枕崎 | 霧島市 牧之原 |
鹿屋市 輝北 |
志布志 | 鹿屋 | 肝付町 肝付前田 | ||
平均 気温 (℃) |
最暖月 | 27.4 (8月) |
26.8 (8月) |
26.5 (8月) |
25.7 (8月) |
27.0 (8月) |
27.2 (8月) |
28.2 (8月) |
27.7 (8月) |
27.6 (8月) |
27.3 (8月) |
24.8 (8月) |
24.9 (8月) |
26.2 (8月) |
26.8 (8月) |
27.0 (8月) | |
最寒月 | 9.1 (1月) |
7.5 (1月) |
7.2 (1月) |
4.3 (1月) |
5.8 (1月) |
6.5 (1月) |
8.3 (1月) |
8.5 (1月) |
8.6 (1月) |
8.6 (1月) |
5.1 (1月) |
5.7 (1月) |
7.0 (1月) |
7.1 (1月) |
7.4 (1月) | ||
降水量 (mm) |
最多月 | 433.5 (6月) |
403.0 (6月) |
426.2 (6月) |
549.5 (6月) |
505.0 (6月) |
439.0 (6月) |
502.1 (6月) |
442.9 (6月) |
478.4 (6月) |
432.5 (6月) |
432.5 (6月) |
505.9 (6月) |
521.6 (6月) |
424.0 (6月) |
455.7 (6月) |
413.1 (6月) |
最少月 | 90.0 (12月) |
68.5 (12月) |
67.2 (12月) |
54.2 (12月) |
64.5 (12月) |
78.4 (12月) |
50.1 (12月) |
67.5 (12月) |
74.4 (12月) |
70.0 (1月) |
70.0 (12月) |
51.2 (12月) |
62.3 (12月) |
52.3 (12月) |
51.9 (12月) |
58.6 (12月) | |
平年値 (月単位) |
大隅地方 | 薩南諸島 | |||||||||||||||
種子島 | 屋久島 | トカラ列島 | 喜界島 | 奄美大島 | 徳之島 | 沖永良部島 | 与論島 | ||||||||||
肝付町 内之浦 |
錦江町 田代 |
西之表市 種子島 |
中種子 | 南種子町 上中 |
屋久島 | 屋久島町 尾之間 |
十島村 中之島 |
喜界町 喜界島 |
奄美市 笠利 |
奄美市 名瀬 |
瀬戸内町 古仁屋 |
天城 | 伊仙 | 和泊町 沖永良部 |
与論町 与論島 | ||
平均 気温 (℃) |
最暖月 | 27.1 (8月) |
25.3br />(8月) | 27.8 (8月) |
26.4 (8月) |
26.9 (8月) |
27.4 (8月) |
28.4 (7月) |
28.0 (7月) |
27.9 (7月) |
28.2 (7,8月) |
||||||
最寒月 | 8.8 (1月) |
6.5 (1月) |
11.5 (1月) |
10.4 (1月) |
11.4 (1月) |
12.5 (1月) |
14.6 (1月) |
14.8 (2月) |
14.7 (1,2月) |
16.1 (2月) |
|||||||
降水量 (mm) |
最多月 | 532.0 (6月) |
446.5 (6月) |
416.4 (6月) |
520.3 (6月) |
697.1 (6月) |
545.8 (6月) |
258.3 (6月) |
401.2 (6月) |
311.2 (6月) |
271.4 (6月) |
264.2 (6月) |
197.1 (5月) | ||||
最少月 | 66.5 (12月) |
67.9 (12月) |
84.7 (12月) |
110.9 (12月) |
230.4 (12月) |
94.6 (12月) |
91.4 (12月) |
158.2 (12月) |
84.3 (12月) |
87.0 (12月) |
100.1 (12月) |
80.0 (12月) |
自然公園
- 国立公園
- 国定公園
- 県立自然公園
- 阿久根県立自然公園、吹上浜県立自然公園、藺牟田池県立自然公園、坊野間県立自然公園、川内川流域県立自然公園、高隈山県立自然公園、大隅南部県立自然公園、甑島県立自然公園、トカラ列島県立自然公園
世界遺産登録地域
ラムサール条約登録地域
鹿児島の歴史
奄美群島については奄美群島の歴史を参照。
県名の由来と意味
鹿児島神宮(霧島市隼人町)に由来する。「鹿児島」の語源は、天津日高彦穂々出見尊(山幸彦)が海神(わたつみ)宮に行く際に乗った舟が鹿児山で作られたという説や、「神籠もる島」という説、「カゴ」は崖という意味で、四方が崖に囲まれている桜島は「カゴ島」と謂われ、鹿児島は桜島の古い名であるという説、など諸説ある。
現在鹿児島市と鹿児島神宮は離れているが、鹿児島郡設置当初は天降川までが鹿児島郡内であった。
古代
今から約24,000年前、姶良カルデラが大爆発を起こした。この時噴出した火山灰を姶良Tn火山灰と呼ぶ。そのAT火山灰は、遠く北海道まで達している。南九州では入戸火砕流などによりシラス台地ができあがった。種子島にある立切遺跡(たちきり、熊毛郡中種子町)31,000年前の火山灰層から磨石(すりいし)・敲石(たたきいし)、礫群、焼け土、土坑などが確認された。これらは後期旧石器人のキャンプ場と考えられている。
旧石器遺跡が、2005年現在、約40カ所発見されている。
古代にはヤマト王権から異民族視された隼人の住地であった。隼人の古墳は地下式板石積石室墓を特徴とする。日向国から分離して702年(大宝2)に薩摩国、多禰国(824年に大隅へ編入)、713年に大隅国が成立し、他国からの植民も始まったが、その後も隼人の反乱は絶えなかった。
鎌倉時代の1185年(文治元) 島津荘下司職に補任された島津忠久を祖とする島津氏が薩摩国・大隅国・日向国守護を独占するようになり、戦国期には戦国大名化した。また、島津氏が守護を務めた南九州の薩摩・大隅・日向のことを「三州」と称し、島津氏が戦国大名化した戦国期には「三州の太守」と称される事になる。ただし、後述のように島津氏が県本土全域を支配するのは安土桃山時代に入ってからのことであり、三州に至っては1577年以降の10年程度に限られる。
中世
中世には坊津、内之浦などが貿易港として中国、朝鮮、東南アジア地域との交易を盛んに行ったが、肥前(長崎県)などと同様に黒潮の乗って活動する倭寇の根拠地が南西諸島地域にあった。
- 1543年(天文12) ポルトガル船が種子島に漂着し、鉄砲伝来する。その6年後、マラッカ(今のマレーシア)で出会った薩摩出身の元漁師のアンジロウという日本人の案内でフランシスコ・ザビエルが鹿児島に上陸し、キリスト教を伝える。
- 1574年 大隅の肝付氏が島津氏に降伏し、島津氏が県本土(薩摩・大隅)を統一。
- 1577年 伊東氏を日向から追い出し、島津氏は三州のほぼ全域を統一した。
- 1587年 島津義久はほぼ九州全域を征服したが、豊臣秀吉に屈服し、領国は薩摩・大隅・日向(諸県郡)に押し込められた。
近世
- 1609年薩摩藩は琉球出兵を行って琉球王国を服属させ、奄美群島を領土に組み入れ、当地を使った砂糖業を成功させ、莫大な利益をあげた。
- 1779年桜島が噴火。
- 幕末には幕府との姻戚関係となり水戸藩・越前藩などの公武合体派を取り込み雄藩として活躍した。また、古来よりの島津家と近衛家との繋がりで朝廷からの信任も厚く、その後の討幕運動では旧幕府軍と対峙して、薩摩藩が官軍(政府軍)の戦闘主力となり、長州藩や土佐藩などとともに、明治維新を成功させ、多くの維新元勲を輩出している。
近・現代
- 1871年(明治4年) - 廃藩置県により薩摩、大隅、日向の3ヶ国のうち薩摩藩の範囲で鹿児島県が成立。同年11月14日(新暦12月25日)に日向と大隅のうち本土部分を分離し都城県とした。
- 1872年(明治5年) - 琉球を分離して琉球藩が成立。
- 1873年(明治6年)1月15日 - 宮崎県(初代)の設置に伴い、都城県のうち大隅国の部分を鹿児島県に移管。旧日向国であった地域(現在の志布志市・大崎町など)は宮崎県所属となった。
- 1876年(明治9年)8月21日 - 宮崎県を合併。
- 1877年(明治10年) - 西郷隆盛が不平武士に擁立されて新政府に対する反乱(西南戦争)を起こした。しかし東京にいた薩摩藩出身者は薩長藩閥政府を構成し、明治時代の政治を左右した。また、反乱軍の地元であり戦後の荒廃があったが、1894年(明治27)から知事を努めた加納久宜により立て直しが図られ、今日の鹿児島県の基礎が築かれた。
- 1880年(明治13年) - 鹿児島県議会開会。
- 1882年(明治15年) - 鹿児島新聞(南日本新聞の前身)創刊。
- 1883年(明治16年)5月9日 - 宮崎支庁側などの分県運動により、宮崎県が再置県され成立した(宮崎県#宮崎県再置を参照)。ただし、諸県郡のうち志布志・松山・大崎(現在の志布志市・大崎町及び曽於市の一部)は鹿児島県に残り、同年6月に南諸県郡として分離された。
- 1889年(明治22年)4月1日 - 鹿児島市市制施行、県本土・甑島列島・種子島・屋久島で町村制実施。鹿児島市を除いて全て「村」として発足した。大部分は薩摩藩の地域区分であった「外城(郷)」を継承している。
- 1908年 - 奄美群島及び現在の十島村・三島村において島嶼町村制施行。
- 1909年 - 鹿児島本線、現在の肥薩線ルートにて門司-鹿児島まで全通。
- 1912年 - 加治木町(現姶良市)、県内最初の町制施行。
- 1914年 - 桜島噴火。桜島と大隅半島が陸続きとなる(桜島#大正大噴火を参照)。
- 1935年 - NHK鹿児島放送局、ラジオ放送開始。
- 1940年 - 川内市(現薩摩川内市)、鹿児島市に次いでの市制施行。
- 1945年 - 北緯30度以南の地域が米軍軍政下に置かれる。
- 1952年 - トカラ列島が日本に復帰。
- 1953年 - 奄美群島が日本に復帰。県内初の民間放送局、ラジオ南日本(現南日本放送)がラジオ放送を開始。
- 1958年 - NHK鹿児島放送局、アナログテレビ放送を開始。
- 1971年 - 岐阜県と姉妹県となる。これは宝暦治水に由来する。
- 1972年 - 太陽国体開催。鹿児島空港、鹿児島市鴨池から溝辺町(霧島市)に移転。
- 1993年 - 県章とは別にシンボルマークを制定。8.6水害に代表される平成5年8月豪雨発生。
- 1995年 - 九州自動車道、門司-鹿児島まで全通。
- 1996年 - 鹿児島県庁舎が現在地に移転。
- 2004年 - 九州新幹線、鹿児島中央-新八代間が開業。
- 2011年 - 九州新幹線、鹿児島中央-博多間が全線開業。
人口
600px | |
鹿児島県と全国の年齢別人口分布(2005年) | 鹿児島県の年齢・男女別人口分布(2005年) |
■紫色 ― 鹿児島県
■緑色 ― 日本全国 |
■青色 ― 男性
■赤色 ― 女性 }} |
鹿児島県(に相当する地域)の人口の推移 テンプレート:人口統計/46 | |
総務省統計局 国勢調査より |
政治
国政
鹿児島県選挙区参照
県政
財政
平成21年度
- 標準財政規模 4557億8100万円
- 財政力指数 0.30 (都道府県平均 0.52)
- IIIグループ(財政力指数0.3以上、0.4未満)11自治体中11位
- 鹿児島県は全国にさきがけて高齢化が進行するとともに、過疎地域や離島が多く社会資本整備が立ち遅れている(行政コストがかかる過疎地域が多い)ことなどから財政需要が増大している。平成17年度3月の「県政刷新大綱」を示し県政を支える行財政構造のたてなおしおよび持続可能なシステムの構築に取り組んでいる。
- 経常収支比率 96.9% (都道府県比率 95.9%)
- 財政が硬直化している
- 将来負担比率 266.0% (都道府県比率 229.2%)
- 実質公債費比率 16.0% (都道府県平均 13.0%)
- 人口100,000人当たり職員数 1,436.25人 (都道府県平均 1,138.41人)
- 組織機構改革方針に基づいて、一般行政部門の職員数について、1,000人以上の純減を図るとしている
- ラスパイレス指数 94.3 (都道府県平均 98.9)
- 地方債残高
- 普通会計分の地方債現在高 1兆6554億7800万円
- 上記普通会計分以外の特別会計分の地方債(企業債)現在高 587億2500万円
平成20年度
- 財政力指数 0.31 (都道府県平均 0.52)
- IIIグループ(財政力指数0.3以上、0.4未満)11自治体中8位
姉妹盟約等
経済
産業
- 日本有数の農業県。農業産出額(2008年)は全国4位(九州1位)。鹿児島県が日本における主要な産地となっている農産物としてサツマイモ、サヤインゲン、茶(鹿児島茶)などがある。
- 伝統的に焼酎製造が盛んで県内の酒造業者はほぼ焼酎を中心商品としている。
- 養豚は鹿児島県の代名詞的な(東京都内で、鹿児島と言って連想する事で80%の人間が豚と答えたほどである)産業で、養豚による収益は約820億円と言われている県産業の基幹。鹿児島県内で豚は約140万匹(ペット用のミニブタは除く)飼われているが、そのうち黒豚の示す割合は年々増加傾向気味で、2009年度には繁殖子取り雌豚の38%にまで黒豚の数が回復した。しかし1973年の白黒論争が発端となり一時は絶滅しかけ、1985年には黒豚の割合は3%まで落ち込むほどであった。
- 静岡県と並んで鰹節の生産が盛んであり、特に枕崎市の特産物として知られている。。
- 大隅地方ではうなぎの養殖が盛んで、知名度は低いながらもうなぎの生産量は全国1位である。
- 主に商業関係では伝統的に地元資本の影響力が強い。
- 県内各地に宇宙関連の研究施設等が設けられている。それらは行政改革により現在は全て宇宙航空研究開発機構(JAXA)による運営となった。
- JAXA種子島宇宙センター
- JAXA増田宇宙通信所
- JAXA内之浦宇宙空間観測所
- JAXA種子島宇宙センター