ヘリウム

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水素 - ヘリウム (- リチウム)
He
Ne
250px
一般特性
名称, 記号, 番号 ヘリウム, He, 2
分類 希ガス
, 周期, ブロック 18 (0), 1 , s
密度, 硬度 0.1785 kg·m−3, no data
単体の 無色
ヘリウム
原子特性
質量 6.6466 x 10-24 g
原子量 4.002602 u
原子半径 (計測値) no data (31) pm
共有結合半径 32 pm
VDW半径 140 pm
電子配置 1s2
電子殻 2
酸化数酸化物 0(no data)
結晶構造 六方晶系
物理特性
気体
融点 1.0 K (at 2.6 MPa)
(-272.2 , -458.0 °F)
沸点 4.216 K
(-268.934 ℃, -452.081 °F)
モル体積 21.0 × 10−3 m3·mol−1
気化熱 0.0845 kJ·mol−1
融解熱 5.23 kJ·mol-1
蒸気圧 no data
音の伝わる速さ 970 m·s−1 (293.15 K)
その他
クラーク数 8×10-7%
電気陰性度 no data (ポーリング
比熱容量 5193 J·kg−1·K−1
導電率 no data
熱伝導率 0.152 W·m−1·K−1
イオン化エネルギー 第1: 2372.3 kJ·mol−1
第2: 5205.5 kJ·mol−1
CAS登録番号 [7440-59-7]
発見者 ウィリアム・ラムゼー
発見年 1895年
(比較的)安定同位体
同位体 NA 半減期 DM DE/MeV DP
3He 0.000137% 中性子1個で安定
4He 99.999863% 中性子2個で安定
6He {syn.} 807 ミリ β- 3.508 6Li
注記がない限り国際単位系使用及び標準状態下。

ヘリウム (Helium) は原子番号 2、元素記号 He元素。無色、無臭、無味、無毒で最も軽い希ガス元素である。すべての元素の中で最も沸点が低く、加圧下でしか固体にならない。ヘリウムは不活性の単原子ガスとして存在する。また、存在量は水素に次いで宇宙で2番目に多い。ヘリウムは地球大気の0.0005%を占め、鉱物ミネラルウォーターのなかにも溶け込んでいる。天然ガスと共に豊富に産出し、気球や小型飛行船浮揚用ガスとして用いられたり、液体ヘリウムを超伝導用の低温素材としたり、深海へ潜る際の呼吸ガスとして用いられている。

特徴[編集]

標準状態ではヘリウムは単原子ガスとしてのみ存在できる。ヘリウムを固化するには非常に特殊な条件下におかなければならない。元素の中で沸点が最も低く、標準圧力下では温度を下げて絶対零度になっても液体のままであり、固化するにはさらに高い圧力をかける必要がある。液体とガスの臨界温度の差は 5.19 K しかない。固体ヘリウムは ヘリウム3ヘリウム4 で必要な圧力が異なり、圧力を調節して体積の30%をコントロールすることができる。ヘリウムは比熱容量が非常に高く、密度の高い蒸気となり、部屋の温度が上昇すると素早く膨張する。

固体ヘリウムは 1.5 K、2.5-3.5 MPa という非常に低い温度と高い圧力の下でしか存在できない。だいたいこのくらいの温度以上になると相転移を起こしてしまう。これ以下の温度ではそれぞれ立方体型の分子を作っている。

ヘリウム-4の2つの液体状態、ヘリウムIとヘリウムIIは、量子力学の研究(超流動現象)において重要で、物質が超伝導を帯びるような絶対零度に近い超低温で発現する。

用途[編集]

ヘリウムは空気よりも軽いため、浮揚用ガスとして使われ、広告用バルーンや天体観測用気球、軍事用偵察気球などに使用されている。ヘリウムは水素の92.64%もの浮揚力があり、燃えないため、水素よりも安全なガスとして風船のガスなど広く利用されている。

以下のような他の用途がある。

  • ヘリウムと酸素混合ガステクニカルダイビングなど、深海潜水用の呼吸ガスとして用いられる。ヘリウムは窒素よりも麻酔作用が少ないため、窒素中毒を起こしにくく、さらに粘度が低いため、高圧下でも呼吸抵抗が小さく、身体からの排泄速度が速いため、使い方によっては減圧症になる可能性を低減できる。欠点として熱伝導率が高いため、体温調節が難しくなり低体温症になる危険があること、また空気と比較してはるかに高価であることがある。
  • ヘリウム中では音速が空気中よりずっと速い(純粋ヘリウム中では約1000m/s)ため[1]、ヘリウムを吸入してから発声すると、甲高い音色の奇妙な声が出る(ドナルドダック効果)。これに着目して、いわゆるパーティグッズとしても利用される。ヘリウムに毒性はないが、酸素を混入していないヘリウムを吸入したことによる酸欠事故がまれに起こっている。このため、パーティグッズのヘリウム缶は酸素が20%ほど含まれている。
  • ヘリウムは沸点、融点ともに最も低い元素であり、液体ヘリウムは他の超低温物質よりも低温となり、超伝導低温学など、絶対零度に近い環境での研究が必要な分野で冷媒として使用されている。また、ヘリウム3とヘリウム4を使った希釈冷凍法がある。
  • 能美防災の民生用蓄圧式消火器には、窒素の代わりに圧力源として使われている。
  • ガスクロマトグラフィーなどの搬送ガスとしても使用される。
  • 水素爆弾では水素がヘリウムになる核融合反応が使用されている。
  • 液体ヘリウムはロケットの噴射口を守る冷却剤、シリコンゲルマニウム結晶の保護材、あるいは原子炉冷却材超音速風洞実験での充満ガスとして用いられている。
  • 同位体であるヘリウム3は核融合発電の燃料としての利用が考えられている。しかし、現在熱核融合炉で想定されている温度の領域では、トリチウム燃料の場合に比べて核融合反応が起こりにくい上、地球上で天然に採取する事はほとんど不可能である。太陽から噴出した太陽風月面に堆積した物を採取する、木星などの木星型惑星で採取する等の方法が検討されている。
  • 液体ヘリウムはNMRMRIの測定装置で超伝導電磁石の冷却に使われている。
  • ヘリウムは分子が小さく、きわめて微小な孔にも浸入可能であるため (ヘリウムを詰めた風船が時間が経つと小さくしぼみ、浮力が落ちるのはこのためである)、配管のリーク(漏れ)を高精度で非破壊検査するのに用いられることがある(配管に気体のヘリウムを流してヘリウムリークディテクタで漏れを検知する)。前述の特徴のほか、化学的に安定で人畜に無害、また大気中にほとんど存在しないため誤検出の心配がないなど、この用途には理想的な物質であるとされている。
    • しかしわずかな隙間にも侵入するため、防水として設計された時計などの隙間にも侵入し、浮上の際に圧力変化によって腕時計のガラスを吹き飛ばしてしまうことがある。このため、一部の腕時計にはヘリウム・エスケープ・バルブが付いており、この機構で内部のヘリウムを外へ逃がすことができる。

歴史[編集]

ヘリウムは1868年フランスピエール・ジャンサンイギリスノーマン・ロッキャーがそれぞれ別個に存在を予言した。二人ともその年にあった日食太陽光線について研究をしており、分光学での輝線スペクトルから未知の元素があることに気付いた。エドワード・フランクランドがジャンセンの予言を立証し、さらにその元素が太陽の観測から発見されたことから、ギリシャ神話の太陽神ヘリオスの名に -ium をつけた名前を提案した。-ium は本来金属につけるラテン語の派生名詞中性語尾だが、これはこの時点でヘリウムが金属と思われていたからだった。元素記号 He はその頭文字である。1895年にイギリスのウィリアム・ラムゼー卿によりウラン鉱石からヘリウム単体が取り出され、精製した結果金属でないことがわかったが、名前が変更されることはなかった。スウェーデン化学者ニールス・ラングレットペール・テオドール・クレーベはラムゼーと別個にヘリウムの分離に成功していた。

1907年アーネスト・ラザフォードトーマス・ロイズアルファ粒子がヘリウムの原子核(ヘリウム4)であることを発見した。また、1908年オランダのヘイケ・カメルリング・オネスは 0.9Kまで温度を下げることで液体ヘリウムを初めて製造した。この偉業により彼は1913年ノーベル賞を受けている。また、オネスの弟子であるウィレム・ヘンドリック・ケーソン1926年に初めて固体ヘリウムを作ることに成功した。

供給源[編集]

ヘリウムは地球の大気中に5ml/m3しか含まれていないため、産業的な供給源は北アメリカ産やアルジェリア産の天然ガスから得ている。これらのガスには、岩石中の放射性元素が自然に核崩壊して生じたヘリウムが1 - 7%含まれている。

ヘリウムの供給源は偏在しており、アメリカ合衆国が最大の供給元である。そのためアメリカ合衆国は、ヘリウムを国家戦略物質として取り扱い、その供給量を毎年調整していた。しかし近年、MRIなどの冷媒用などにヘリウムの需要が急拡大しており、その供給が追いついていない状況にある。また、ヘリウム供給の施設は老朽化が激しく改修も進んでおらず、現在の供給不足の状況は当分続くと思われる。そこでアメリカ合衆国は2007年に方針転換し、それまで供給調整のため大量に備蓄していた液体ヘリウムまで市場へ販売するようになっている。これにより、ヘリウム市場の供給と需要は何とかバランスを保っている。ただし、その備蓄している液体ヘリウムが状況改善前に底をつけば、深刻なヘリウム不足と価格高騰が予測される[2]

消費[編集]

デパートチェーンのメイシーズは、感謝祭のパレードで披露する巨大なキャラクターの風船にヘリウムを使用しており、アメリカ軍に次いで世界第二のヘリウム消費者となっている。

同位体[編集]

ヘリウム原子の原子核は 2つの陽子と2つの中性子からなり、周りを2つの電子が回って構成される(ヘリウム4)。同位体にヘリウム3(陽子 2、中性子 1、電子 2)がある。

ヘリウム3は、天然には非常に僅かしか存在しないので、原子炉で生成したものが利用される。原子炉内で、リチウム6に中性子を当てると、三重水素とヘリウム4ができ、この三重水素がベータ崩壊して、ヘリウム3となる(半減期12.5年)。

そのほか、人工的に作られた同位体としては、ヘリウム6、ヘリウム8、ヘリウム10などがある。

ヘリウムの同位体を用いた地球化学的な応用は大きく分けて2つある。まず、ヘリウム3をトレーサーとした地球物質の循環を探ることができる。もうひとつは岩石中に天然に存在する放射性同位体であるウランやトリウムの放射壊変(アルファ崩壊)に伴って放出されるヘリウム4の蓄積量から、その岩石の生成年代を求めることができる(U, Th/He 放射年代測定)。

アクシデント[編集]

2015年1月28日に番組ロケで3Bの大平ひかる?が倒れてしまった

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 共鳴の起こる波長(喉頭腔の大きさに依存)を一定とすると、周波数はその媒質を伝わる波の速さに比例する。周波数#定義を参照。
  2. サイエンス日本語版2007年12月号

1 元素周期表 18
1 H 2 13 14 15 16 17 He
2 Li Be B C N O F Ne
3 Na Mg 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 Al Si P S Cl Ar
4 K Ca Sc Ti V Cr Mn Fe Co Ni Cu Zn Ga Ge As Se Br Kr
5 Rb Sr Y Zr Nb Mo Tc Ru Rh Pd Ag Cd In Sn Sb Te I Xe
6 Cs Ba * Hf Ta W Re Os Ir Pt Au Hg Tl Pb Bi Po At Rn
7 Fr Ra ** Rf Db Sg Bh Hs Mt Ds Rg ...
* La Ce Pr Nd Pm Sm Eu Gd Tb Dy Ho Er Tm Yb Lu
** Ac Th Pa U Np Pu Am Cm Bk Cf Es Fm Md No Lr