朝鮮大学校
朝鮮大学校は東京都小平市に本部を置く各種学校扱いの朝鮮学校の一つである。略称は朝大。大韓民国光州広域市にある同名の「朝鮮大学校」(英文名Chosun University)と、同じ英文名Korea Universityを使う韓国ソウル市にある「高麗大学校」との関連性は全くない。
目次
概要
日本における朝鮮学校の最高教育機関に位置づけられる。学校関係者は大学水準の教育を行っているとしているが、文部科学省から大学としての認可を受けていないため、法律上は各種学校である。設置者は日本国の「私立学校法」に基づく『学校法人東京朝鮮学園』であり、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総聯)や朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)当局から支援を受けている。また、日本国内で文部科学省以外の省庁が管轄している「省庁大学校」には該当しない。朝鮮大学校の現学長である張炳泰は朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議代議員(国会議員)に選出されている。北朝鮮から各種の援助を受けていたこともある。
第二次世界大戦後の開学から50年余の歴史を有し、もろもろの組織改編を経て現在は4年制8学部(一部3年制)に在学生が学んでいる。開講科目は基本的に朝鮮語ですすめられるが、日本人教員も多く採用しており日本語の講義科目も多い。在学生の大半が朝鮮高級学校の出身者であるが、一部日本の高校卒業生や高認合格者も在籍する。朝鮮学校出身者以外の生徒は編入班と呼ばれるグループに入り(留学生別科に相当)、朝鮮語の習得などを行っている。生徒には韓国籍、日本国籍の者も在籍している。卒業生の進路は、朝鮮総聯職員、朝鮮学校教員などのほか、在日同胞企業などへの就職が多い。一方で他大学の学部、大学院進学者もおり、国内の大半の私立大学と一部を除く国公立大学は同校卒業生に大学院(法科大学院を含む)受験資格の門戸を開いている。
在学生の生活では全寮制を採用しており、一部寮生活が困難な者を除く全員が寄宿舎生活を行っている。部外者の普段のキャンパス内への入場は制限されており、訪問者は所定の手続きが求められる。以前より、学園祭期間中にはキャンパスが開放され、近隣住民などでにぎわいを見せていた。しかし、2007年に以降の学園祭は非公開とすることが決定された(2008年は悪天候のため学園祭は中止、2009年は校舎移転半世紀記念として一般にも公開された、だが今後の予定は未定である)。
沿革
- 1955年 - 10月20日から3日間、日本社会党の古屋貞雄を団長とする国会議員訪朝団が北朝鮮を訪問し金日成と会見、この時の依頼により朝鮮大学校建設資金を体に巻いて帰国し朝鮮総聯中央本部に届ける
- 1956年 - 東京朝鮮中高級学校(東京都北区下十条町)の敷地にて創立、2年制
- 1958年 - 4年制となる
- 1959年 - 東京都小平市に移転(校舎は1962年度の日本建築年鑑賞を受賞)
- 1964年 - 図書館及び講堂を竣工
- 1964年 - 文学部・歴史地理学部・政治経済学部(政治経済学科)・理学部(物理数学科)・師範教育学部(師範科、体育科、音楽科、美術科)の5学部体制となる
- 1967年 - 工学部(機械工学科・電子工学科)を設置
- 1968年 - 当時の美濃部亮吉東京都知事により各種学校扱いとなる
- 1968年 - 工学部に金属工学科を新設
- 1970年 - 朝鮮語研究所を新設
- 1970年 - 外国語学部(英語科、仏語科)を設置
- 1974年 - 研究院(日本の大学の大学院にあたる)、民族教育研究所を新設
- 1975年 - 歴史地理学部に歴史学科と地理学科を新設
- 1977年 - 政治経済学部に経営学科を新設
- 1978年 - 政治経済学部に哲学科と師範教育学部に保育科を新設
- 1982年 - 創立25周年記念館竣工
- 1982年 - 政治経済学部経営学科が経営学部に昇格設置、社会科学研究所を新設
- 1985年 - 師範教育学部に3年制の師範科を新設
- 1990年 - 第3研究棟と体育館を竣工
- 1999年 - 理学部と工学部を統合して「理工学部」に改称、理工学部に情報処理学科を新設、政治経済学部に「法律学科」を新設、師範教育学部を「教育学部」に改称し教育学科を4年制と3年制に改編、研究院を前期2年・後期3年に改編
- 2001年 - ラグビー部が関東大学ラグビーリーグ戦グループに加盟。
- 2003年 - 短期学部を新設、文学部と歴史地理学部を統合して「文学歴史学部」に改称
- 2004年 - 単位制を導入
- 2006年 - 創立50周年を迎える
- 2007年 - 蹴球部が東京都大学サッカー・リーグ優勝、関東大学サッカーリーグ(2部)に昇格
朝鮮大学校の在校生が激減。最盛期の4割の600人。北の兵器開発を学校ぐるみで支援(2016年4月)
在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の影響下にある朝鮮大学校(東京都小平市)在校生が最盛期の4割にあたる約600人に激減した。朝鮮総連関係者が明らかにした。
核開発を主導した金正日総書記、金正恩第1書記父子を絶対視した偏向教育への反発が進む一方、卒業生や教授の一部は北朝鮮の兵器開発を後押しする朝鮮総連傘下の在日本朝鮮人科学技術協会(科協)に所属していることも判明。10日に入学式とともに、創立60周年の節目を迎える同大は組織強化を図る構えで、政府が動向監視を強めている。
関係者によると、昭和31年に開校した朝鮮大学校は民族教育の最高学府と位置づけられ、朝鮮総連幹部職員や朝鮮学校教員を養成。当初、60人余りでスタートした在校生は平成に入ると1,500人台まで増えた。
ところが、核・ミサイルによる軍事的挑発を繰り返す北朝鮮への盲従を強いたり、総連の弱体化で傘下組織への就職が困難になったりしたことから受験生が激減。平成27年度の定員は1,220人だったが、実際は約600人しか集まらなかった。教職員数も減少の一途をたどり、財政難が影響して平均月給は約10万円にまで減っている。
一方、科協の現・元幹部の多くは同大理工学部出身者で占められ、一部の現職教授も所属するなど大学ぐるみで支援。加えて、同大は在校生に対し、金一族への忠誠を誓う団体「在日本朝鮮青年同盟」への加入を義務づけて思想も厳しくチェックしている。16日に金日成主席の誕生日祝賀行事を行うほか、国際シンポジウムなど60周年記念行事を相次ぎ開催する予定で、思想教育を通じた締め付けを強化している。
これに対し政府は2月、核実験と弾道ミサイル発射を強行した北朝鮮への制裁として、科協に在籍歴のある元同大男性教員の訪朝後の再入国を原則禁止にして警戒を強化している。さらに警視庁公安部は同月、経営学部の元副学部長を詐欺容疑で逮捕。同副学部長は、北朝鮮の指示で韓国での工作を主導した疑いがあり、同大のスパイ活動の拠点化が懸念されている。東京地検は起訴猶予とした。
同大と朝鮮総連は産経新聞の取材に対し「内部事情は話せない」などとしている。
応募資格と入学試験
朝鮮大学校の出願資格は朝鮮高級学校卒業もしくは見込みの者と日本の高等学校を卒業、もしくは見込みで朝鮮人の子孫であることである。なお、後者の場合は朝鮮総連の紹介状を出願書類に同封する必要がある。
試験科目は朝鮮学校出身者は朝鮮語、英語、数学、社会(日本で言う公民)、小論文、面接が必須で、文系なら朝鮮史と地理の選択、理系なら物理、化学、生物の選択となる。実技系学部では実技試験を課す。日本の高校出身者は朝鮮語の代わりに日本語(国語)、朝鮮史の代わりに世界史を課す。
学部
朝鮮大学校は全寮制であり、東京都小平市小川町1-700にキャンパス(校舎)を有している。人文科学・社会科学・自然科学3分野の各学部が存在する。
- 政治経済学部
- 政治経済学科
- 法律学科
- 文学歴史学部
- 語文学科
- 歴史地理学科
- 経営学部
- 外国語学部
- 英語学科
- 日本語学科
- 理工学部
- 理学科
- 電子情報工学科
- 教育学部
- 4年制教育学科(男子)
- 3年制教育学科(女子)
- 保育科
- 音楽科
- 美術科
- 体育学部
- 短期学部
- 生活科学科
- 情報経理科
附属施設
著名な出身・関係者
- 河信基(ジャーナリスト、元講座長・主任教授)
- 金蓮花(小説家、師範教育学部美術科卒)
- 李鳳宇(シネカノン代表、外国語学部フランス語学科卒)
- 金賛汀(ノンフィクション作家)
- 孫明日香(松嶋あすか)(フリーアナウンサー、テレビ番組レポーター)
- 鄭大世(サッカー選手、水原三星ブルーウィングス、朝鮮民主主義人民共和国代表)
- 黄学淳(サッカー選手、水戸ホーリーホック他)
- 金成勇(サッカー選手、京都サンガF.C.)
- 姜成浩(サッカー選手、大分トリニータ)
- 金聖基(サッカー選手、ヴィッセル神戸)
- 朴禎賢(テコンドー国際師範、国際審判員、世界最優秀審判員2009)
- 黄秀一(テコンドー国際師範、国際審判員、世界ライト級王チャンピオン1992)
- 金泰泳(格闘家)
- 李冽理(プロボクサー、第30代WBA世界スーパーバンタム級王者)
- 徐吉嶺(ラグビー選手、豊田自動織機シャトルズ、7人制日本代表)
所在地
敷地は武蔵野美術大学と隣接している。またすぐ近くに白梅学園大学、創価中学校・高等学校がある。最寄り駅は西武拝島線東大和市駅、および西武国分寺線鷹の台駅である、
関連項目
外部リンク
- 公式サイト (韓国語) (日本語) - 大韓民国では国家保安法により接続が遮断されている。
- 同胞生活ネットワーク (日本語) - 在日コリアンの暮らしと権利、民族文化活動をフォローする相談窓口。ソ ムンギョン代表。