怒羅権
怒羅権(「ドラゴン」)は、東京都江東区、港区台場、江戸川区を拠点とする暴走族。中国残留孤児の2、3世を中心としたグループである。構成員は成人すると東北系チャイニーズマフィアとして裏社会にも進出している。
「怒羅権」とは「日本人に対する怒り、団結、権利」を意味する。中国残留孤児帰国者の一時入所施設「常盤寮」があった東京都江戸川区葛西で1988年に結成された。
設立当初の構成員らの言によれば、中国残留孤児帰国者らは日本語が不自由なため授業に付いてゆくことが困難であり、また学校で差別やイジメを受けていた。そして自身らが日本人なのか中国人なのか分からなくなり、同じ境遇にあった中国残留孤児の2、3世で自然と集合化していった。
暴走族
東京都江東区、港区台場、江戸川区を縄張りとし、葛西怒羅権、深川怒羅権、府中怒羅権、王子華魂、赤羽華龍のようにいくつかのグループに分かれている。1990年代に凶悪な事件を起こしたことから、1990年代以降の関東最大の暴走族と言われている。
構成員は包丁、ナイフ、青竜刀で武装し、敵対する暴走族だけでなく警察(交番、パトカー)を襲撃。脱退しようとした構成員や暴力団員、通行中の一般市民を殺害する事件なども起こしており2011年11月28日現在、2000年の6月に発生した殺人事件で、怒羅権のメンバーが1人が全国公開指名手配されている。
このうち葛西怒羅権は2006年に一度解散したが、2008年に16代の構成員から指示を受け、少年17人で17代目が再結成。その後事件を起こすなどしている。
この他に東京の別地域や横浜、大阪、福井、福岡にもグループが存在する。
マフィア
暴走族グループは成人となるとマフィア的性格を帯び、東北グループ(東北幇)を形成する。通称、大偉(ター・ウェイ)・小偉(シアオ・ウェイ)の兄弟を中心にいくつかのグループに分かれている。大偉グループ(約200人)や金山(キンザン)グループ(約130人)などがある。彼らは日本国籍や一般永住者のため、逮捕されても強制送還されない。
歌舞伎町で新興の福建グループ(三弟グループ)が上海グループと抗争し共倒れると、東北グループが勢力を拡大。住吉会と対立し、2002年(平成14年)には射殺事件を起こすが、後に和解し協力関係を築く。
中国人の経営する店に対する「みかじめ料」の徴収、パチンコの裏ロム、ハイウェイカードやクレジットカードの偽造、振り込め詐欺、偽装結婚や不法就労、覚せい剤の密売、窃盗(自動販売機、車上狙い、貴金属)などの犯罪行為を行っている。
また日中貿易など合法的なビジネスにも手を伸ばそうとしている。大偉も現在は中国で合法的なビジネスをしている。合法的な商売であっても客の取り合いなどで暴力を行使するという事例が確認されたことがある。
== 2011年12月 因縁付け切り付け4容疑者を逮捕。4月に2人重体 == 繁華街で通りかかった男性2人に因縁を付け刃物で切り付けたとして、警視庁組織犯罪対策2課は2011年12月5日、中国残留孤児の子孫らのマフィアグループ「怒羅権(ドラゴン)」幹部、姜海鋒容疑者(40)らメンバー4人を殺人未遂などの容疑で逮捕した。全員が容疑を否認しているという。
逮捕容疑は2011年4月1日午前3時ごろ、東京都文京区湯島のディスカウントストアで、20~30代の男性2人の全身をパン切りナイフ(刃渡り約35センチ)などで繰り返し切り付けたとしている。2人は意識不明の重体になった。
組対2課によると、容疑者の一人が事件直前、近くの路上で被害男性と肩が触れたなどとしてトラブルになったとみられる。
暴力団関係
ある中堅幹部は2009年に受けたインタビューにおいて、山口組、住吉会、稲川会、工藤会などの暴力団組織の関係者らとの自身の繋がりを主張している。