赤福餅
赤福餅(あかふくもち)とは三重県伊勢市の和菓子屋赤福の商品。知名度の高い和菓子・お土産の一つであり日本全国の売上高ランキングの上位になる人気商品である。
目次
概要
1707年に皇大神宮(伊勢神宮内宮)前、五十鈴川のほとりで販売されたと言い伝えられている。「赤福」の名は「赤心慶福」(せきしんけいふく)に由来する。これは、まごころ(赤心)をつくすことで素直に他人の幸せを喜ぶことが出来る(慶福)という意味。名前の「赤」にちなんで包装も商品名のロゴも赤いが菓子自体の色は小豆色であり赤ではない。
餅を漉し餡でくるんだもので漉し餡には3つの筋が付き、五十鈴川の川の流れを表しているとされる。餅は傾けて持ち帰ると崩れることがあるほど非常にやわらかい。「ええじゃないか」のテレビCMと「赤太郎」というキャラクターで知られ、現在は中京・近畿圏のJR線主要駅や近鉄沿線の特急停車駅、サービスエリア、百貨店、空港売店で発売されているなど広範囲に及ぶ(遠くは神戸市内での販売もある)。この販売エリアは伊勢神宮の信仰が特に強い地域とほぼ等しいという説もあり興味深い。基本的に直営店と在庫を管理する営業所の近辺に限られる。また、全国の物産展では大変な人気があるという。また茶店風の店が伊勢神宮内宮前のおかげ横丁にあり、夏場は「あかふく氷」という抹茶氷に赤福餅を入れたもの、冬場は赤福の餅と餡を使った「ぜんざい」が供される。
赤福餅の箱には「伊勢だより」というその日にちなんだ文章と絵の入った紙片が入っており、500種類ほどある。箱に描かれている橋は内宮前の宇治橋である。
保存料を使わない生菓子であり、本来の消費期限は夏期は製造年月日を含め2日間、冬期は3日間である。従って、配達日数の関係で気温の高い6~10月の間は通信販売は行われない。しかし2007年、冷凍保存していた製品を解凍日を製造年月日としてを出荷していたことが明るみに出た。このことについては消費期限及び製造日、原材料表示偽装事件を参照。
コマーシャル
長年、赤太郎という侍をイメージしたマンガのキャラクターがCMに登場し「伊勢の名物・赤福餅はええじゃないか」のCMソング(藤田まことが歌っていたことでも知られる)とともに人気を博している。またこの赤太郎は三重県の県域新聞社・伊勢新聞(朝刊専売)の1面題字下に赤福提供で連日掲載中の「まんが天気予報」に登場している(これは三重県を北中部、南部、伊賀の3地域に分けて天気予報を掲載し、それに関連した赤太郎のイラストを掲載しているというもの)。週刊文春にも広告を出している。
主な商品と2007年5月現在の価格
- 小折箱 8個入 700円
- 中折箱 12個入 1,000円
- 大折箱 20個入 1,700円
- 銘々箱(2個入)220円
- 三個パック(3個入)280円
- 店頭飲食のみ
- 盆 (3個入1盆とほうじ茶) 280円
- 赤福氷(あかふくこおり) 500円 夏季(5~9月頃)のみ(店舗によっては10月頃まで販売)
- 赤福ぜんざい 500円 冬季(10~4月頃)のみ
- CdazziAkafukuKoori2.jpg
かき氷の中に赤福の餡と餅が別々に入っている。
朔日餅(ついたちもち)
毎月(1月を除く)1日にその月にちなんで発売される餅である。朔日参り(朔とは元来は太陰太陽暦である和暦の旧暦における新月でもある月の1日のこと)の参拝客へのもてなし用に1978年に発売開始した。開始当時は店で食べるのみであったが後に持ち帰り用が発売されるようになり、現在では本店及び四日市市・名古屋市・大阪市・神戸市にある百貨店内の直営店で予約販売をするようになった。本店では午前4時45分から発売開始するが、買い求める人が長蛇の列を作り悪質な場所取りや近隣への騒音が問題になってきたため、整理券を午前3時30分から配付するようにした。ところが、まもなく整理券待ちの長蛇の列が発生するようになった。整理券を受け取った時間待ちの客を目当てに周辺のおはらい町やおかげ横丁にはこの日のみ早朝営業する店舗があるほか、朝市なども深夜から行われるようになった。
各月の内容は次のとおり
- 2月:立春大吉餅、大豆・黒豆入り。節分の豆まきにちなむ。
- 3月:よもぎ餅
- 4月:桜餅
- 5月:柏餅
- 6月:麦手餅、餅麦で黒餡(黒砂糖の餡)を包む。
- 7月:竹流し、青竹に入った水羊羹。赤福の餡を使う。
- 8月:八朔粟餅、見た目は赤福餅に似ているが、餡は黒餡、餅は粟入り。
- 9月:萩の餅(おはぎ)
- 10月:栗餅(栗餡)
- 11月:ゑびす餅、11月のえびす講にちなむ。金と銀の小判に見立てた2色の餅。
- 12月:雪餅、もろこし粉の餅生地に氷餅を散らし、地面に降った雪に見立てる。
おかげ横丁
「赤福」が『約300年間変わらず商いを続けてこられたのも、お伊勢さんのおかげ』と感謝を込めて立ち上げた現代の鳥居前町である。伊勢の代表的な建築様式を取り入れた店舗に伊勢名物を集め、おみやげ購入やつまみ食いも楽しい無料のミニテーマパーク(一部有料の資料館あり)となっている。
企業としての赤福
現在の代表取締役社長は11代目の濱田典保。2005年10月より現職。
企業としても伊勢市における影響力は大きく、先代社長で会長の濱田益嗣(ますたね)は伊勢商工会議所会頭を兼ねている。伝統企業の国際組織であるエノキアン協会会員企業(他には清酒大手の月桂冠などが加盟している)。
『朝日新聞』2007年5月26日号「「参宮線廃止、駐車場に」 赤福会長、式年遷宮控え提案」によると、益嗣はJR参宮線を廃止して1000台規模の駐車場を整備すべしと提言。2月の段階で森下隆生・伊勢市長や地元選出国会議員らとの会合などで廃止を提言したという。森下市長は「1年間交通量調査をする。結果を待ってほしい」と述べた。また、JR東海の松本正之社長に存続を訴える伊勢市議が出るなど、波紋が広がっている。
消費期限及び製造日、原材料表示偽装事件
2007年10月12日、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律違反容疑で農林水産省及び伊勢保健所の立ち入り調査を受けていることがわかった。関係者によれば、夏場に製造日と消費期限を偽ったことがあると伊勢保健所に情報が入り、その結果9月19日より農水省と伊勢保健所が任意調査を行ったという。
農水省[1]によると、赤福は出荷の際余った餅を冷凍保存して解凍した時点を製造年月日に偽装して出荷していた。赤福は解凍しての再包装を「まき直し」と称していた。偽装は未出荷のものもあれば、配送車に積んだまま持ち帰ったものもあった。偽装品の出荷量は2004年9月1日から2007年8月31日までの間に6,054,459箱(総出荷量の約18%)に上り、これ以外の期間にも日常的に出荷していた。また、原材料表示では使用した重量順に「砂糖、小豆、もち米」と表示すべきところを「小豆、もち米、砂糖」と表示していた。
この問題が発覚後、三重県内や名古屋市、大阪市など東海・近畿の駅売店、百貨店などでは赤福餅の販売を自粛し、伊勢市の赤福本店は臨時休業となった[2]。また、時事通信によれば、製造日偽装は34年前から行っていた[3]。
製造年月日に関して赤福餅に対する疑惑がなかったわけではない。「余った餅を、関連企業のマスヤのおにぎりせんべいに再利用している」という都市伝説が存在し、マスヤ[4]と赤福が公式に否定したことがあった。マスヤの回答にあるように赤福餅はもち米、おにぎりせんべいは粳米を使用しており、両者の融通はあり得ない。しかし赤福餅に対する潜在的な不信が存在し、それがこのような形で噂になったものと思われる。
なお、テレビCMも公共広告機構に差し替えていた。
関連企業
- 伊勢福 - 「おかげ横丁」企画運営
- マスヤ - 米菓製造・販売
- 伊勢萬 - 酒造・販売
- 伊勢壽 - レストラン
- 濱田カンパニー - 菓子箱製造・販売
- 濱田総業 - 「五十鈴茶屋」運営、商標・不動産管理
- 五十鈴茶屋-和菓子専門店。季節に合わせた和菓子を販売。赤福の技術を生かした和菓子には定評がある。
- もめん屋藍 - 松阪木綿専門店
- 伊勢ガードシステム - 警備保障業務
類似の製品
御福餅
御福餅(おふくもち)とは伊勢市二見町の御福餅本家が製造販売する商品である。赤福餅とよく似ていて、間違えて購入する例もある。原材料は、小豆、砂糖、餅米、酵素、保存料(ソルビン酸K)。
伊勢自動車道のサービスエリアなどでも販売している。こちらは「創業200年」とされているが、現在の形になってからは60年ほどである。「餅と漉し餡の組み合わせ」はポピュラーなものであって、一時期はそれを販売する多くの商店がこの地域に存在していたが、現在まで大きく展開するもので残ったのが赤福餅と御福餅であったといえる。
「御福」の名は二見興玉神社(夫婦岩がある)にある天の岩屋に祀られる神のアマノウズメノミコト(天鈿女命)の通称が「御福さん」である事に因む。
なお餅の形は赤福餅と類似しているが、赤福餅が「五十鈴川の清流」を表現しているのに対して、御福餅は「二見浦の波の形」を表現している。パッケージには赤福餅と御福餅のいずれにも宇治橋が描かれているが、御福餅の方にはそれに加えておかめが描かれており、一方の赤福餅には伊勢神宮の神殿が、またパッケージ裏側に正岡子規の短歌が印刷されているため、識別が可能である。また小箱は赤福餅が8個700円、御福餅が8個640円で価格は、わずかに御福餅の方が安くなる。
さらに高速道路の販売では棲み分けと称すべき状態となっており、例として名阪国道の伊賀SAでは上り線(名古屋方向)のSAでは御福餅、下り線(大阪方向)の「道の駅いが」では赤福餅となっている。
以前はJR大阪駅の売店でも購入できたが、赤福と違い現在は販売されていない。
大阪地区は伊丹空港の一部売店で販売されている。
7~9月には御福餅の餡を使用したアイスキャンディーも販売される。「Merchant Adzuki Beans Candy」の頭文字をとって、「御福MAC(マック)」と呼ばれる。
なお、『赤福』(原作:花登筺)にて御福餅本家との葛藤が女一代記としてテレビドラマ化(主演・赤福社長:十朱幸代、御福餅本家社長:藤岡琢也)されている。作品前半ではライバル関係に描かれているが、後に御福餅本社が苦境に立つと援助するなど協力関係でもある。
伊賀福
伊賀福(いがふく)とは名阪国道下り線の伊賀IC横にある伊賀ドライブインオリジナル商品である。やはり「餅と漉し餡の組み合わせ」の菓子として売ってあり、形状も赤福餅と同様である。包装紙は違うが、お餅自体は朝倉商店が製造販売している名福餅である。
名福餅
名福餅(めいふくもち)とは名古屋市の朝倉商店が製造販売する商品である。名神高速道路多賀SA上り線などで販売されている。やはり「餅と漉し餡の組み合わせ」の菓子として売ってあり、形状も赤福餅と同様である。
栗福餅
栗福餅(くりふくもち)とは岐阜市の伸光製菓株式会社が製造販売する餅である。赤福餅と似ているが餡に栗餡を用いている。
脚注
- ↑ 平成19年10月12日 農林水産省 株式会社赤福が販売した商品(商品名「赤福餅」)における不適正表示に対する措置について
- ↑ 伊勢名物「赤福餅」、製造年月日を偽装表示の疑い 『讀賣新聞』2007年10月12日
- ↑ 2007/10/12-12:27 赤福、34年前から製造日偽装=最大14日改ざん-農水省が是正指示
- ↑ 商品案内 株式会社マスヤ、「おにぎりせんべいは、赤福餅の残りでつくっているとの「うわさ」は本当ですか?。」の項目を参照
外部リンク
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