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+ | {{otheruses|日本のビデオ|世界的な情報|ポルノ映画}} | ||
+ | {{独自研究}} | ||
+ | '''アダルトビデオ'''(adult video)は、性的欲求を満足させるために製作された[[映像]]作品である。略称'''AV'''(エーブイ)。 | ||
+ | [[性行為]]([[性交]]や[[フェラチオ]]など)を見せる映像作品で、「アダルトビデオ」は[[日本]]における名称のみならず、日本の製作環境から生産される作品群、或いはその系譜にある作品群を指すことが多く、本項ではそれについて記述する。 | ||
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+ | [[ピンク映画]]や「[[ロマンポルノ]]」とは制作手法が異なる別のジャンルとされる。 | ||
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+ | == 概説 == | ||
+ | メディア(媒体)は[[VHS]]が中心であったが、最近はほとんど[[DVD-Video|DVD]]で製作され、現在日本の合法セルビデオ(販売用ビデオ)のほとんど全てがDVDである。DVD登場前の一時期に[[ビデオCD]]により発売された作品がある。最近では、ハイビジョンで制作された[[ブルーレイディスク]]の物も存在する。[[NHK]]ではDVDパッケージのものを「娯楽用DVD」と呼んでいる。 | ||
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+ | == 歴史 == | ||
+ | [[1960年代]]後半、日本電機メーカー各社から最初期の[[ビデオテープレコーダ]]の市販(主に[[学校]]・[[教育]]施設や[[企業]]、[[ホテル]]や[[モーテル]]および[[遠洋漁業]]の[[船舶]]向け)が開始されたと同時に、[[ビデオテープレコーダ]]で視聴するための録画済ビデオソフトの製作が映像各社で始まった。 | ||
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+ | その頃より、少数ながらの[[ポルノ映画]]・[[ピンク映画]]を収録したビデオソフトが製作され、主に[[ホテル]]や[[モーテル]]向けに販売・貸し出しが開始された。一般的にこれらのソフトは「アダルトビデオ」の範疇には含まれない。しかし、[[ビデオテープレコーダ]]を持っていれば、非常に高価ながら個人的にも販売・貸し出しを受けられたことから、ルーツといえるものである。 | ||
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+ | * これら[[ポルノ映画]](または[[ピンク映画]])が、映画用フィルムで撮影された(当時は)低画質であったところが、[[アテナ映像]]が初めてプロ用の[[ベータカム]]で撮影を行い、その画質の良さに爆発的ヒットを記録したのが、AV誕生の歴史である。当時は、女性が一人だけ登場しオナニーの真似をするだけの内容であったが、画質の良さへの衝撃は相当なもので、ヒットに次ぐヒットを1社で連発した。 | ||
+ | * この[[アテナ映像]]の成功を聞きつけ、当時[[ビニ本]]([[エロ本]])の出版社が、撮影方法をアテナ映像に聞いて真似、後発メーカーが次々誕生したのである。AV普及期の初期作品として有名なのは、宇宙企画の『ミス本番』シリーズなど。1984年に素人学生風の女性が出演する『ミス本番・裕美子19歳』(田所裕美子)、『ミス本番有希子20歳めぐり逢い』(吉沢有希子―現[[早見瞳]])などが発売され、ブームとなった。その後、淫乱ブーム、巨乳ブームなどがあり、多くの[[AV女優]]がデビューしている。 | ||
+ | * かたやユーザー側。この頃[[1980年代]]に、家庭用[[ビデオテープレコーダー]]のデッキが普及し始めた。それまでの[[映画館]]等で上映される[[ポルノ映画]]・[[ピンク映画]]に代わって急速に発展した。これによって消費者は自宅の画面の前で[[オナニー|自慰]]行為が可能となり、作品に即物的な絡みシーンを求めるようになった。このことは映画において客を飽きさせないために重視されたストーリーの軽視につながり、映像文化としては衰退を指摘するものもいる。普及の要因は、家庭用ビデオデッキが廉価になったことと、[[ソフトウェア|ビデオソフト]]を貸し出す[[レンタルビデオ店]]が増加し、安価に自宅で鑑賞できる環境が増えていったことが挙げられる。逆に、AVの登場がビデオデッキの普及率に貢献したともといわれている。同様にインターネットの急速な普及も、アダルトが大きな牽引力となっていた。 | ||
+ | * 同様に、家電業界を二分した[[VHS]]と[[ベータ]]の争い、いわゆる[[ビデオ戦争]]の行方も決定づけている。当時のAVメーカーの大多数は小規模であり、両規格をリリースする体力がなかったため、1980年代前半からVHSがリードしていたという事情と機材が安価に調達できる環境が整っていったことから、AVのほとんどをVHSのみで供給した。結果、AVを見たいユーザーはVHSへ流れ、元々優位だったVHSがさらに優位に立ち、ビデオ戦争は事実上終結した。 | ||
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+ | == 流通の状況 == | ||
+ | レンタルビデオが一般に普及している一方、販売を主目的とした[[ビデオ]](セルビデオ)も登場している。市場規模を見ると現在では[[通信販売]]でも買える[[セルビデオ]]の方が大きくなっている。また、[[ビジネスホテル]]や[[ラブホテル]]の有料番組、[[CS放送]]番組、[[ケーブルテレビ]]等でも作品が放送される等、さまざまな場所で利用されている。 | ||
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+ | [[レンタルビデオ]]店の多くには、アダルトビデオの独立コーナーが設けられており、一般コーナーとは[[暖簾]]などで仕切られている場合が多い。これは、[[未成年者]]の目に触れさせないためとアダルトビデオに嫌悪感を抱く人々(主に女性)に配慮、およびにAV利用者の[[プライバシー]]に配慮をしたものである。1990年頃まではアダルトビデオ作品数が少なく、一般作品に並べられて展示されていた。 | ||
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+ | アダルトビデオのレンタル売上は一般の[[映画]]や[[アニメ]]等のビデオを上回ることが多く、レンタル店にとって欠かせない一大分野に成長した。数は少ないもののアダルトビデオ専門のレンタルビデオ店も存在する。また、セルビデオも急速に広まり、店舗数で言えばレンタルビデオ店を遥かに凌いでいる。 | ||
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+ | 昨今では[[インターネット]]の普及と共に、AV[[コンテンツ]]を[[ストリーミング]]放送やデータダウンロードの形で提供するものも現れている([[有料]]・[[無料]]がある)。 | ||
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+ | また、[[通信販売]]やネット上で申し込めるアダルトビデオの[[デリバリー|宅配サービス]]なども盛んである。これらは、店員や他の客に接することがなく24時間自宅にいながらにして視聴できるという特徴から、性風俗商品の特性上、今後も利用が増えてゆくことが予測される。 | ||
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+ | 2006年6月現在、大規模な業者は日本に3社あり、[[郵便]]や[[メール便]]を利用して貸出・回収を行う。月々の料金は借りようと借りまいと発生する。そのため、業者の配送センターの近くに住む等の特別な人以外は、月に10回転程度が実質的な上限となる。また、同一タイトルの在庫数も限りがある。 | ||
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+ | メーカーによっては独自に流通配送システムを構築し、通販サービスの向上と低価格化を実現しているところもある。 | ||
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+ | 違法流通として[[ファイル共有ソフト]]([[Winny]]/[[Share (ソフトウェア)|Share]]/[[BitTorrent]]など)や[[動画共有サービス|ファイル共有サービス]]([[YourFileHost]]や[[MEGAROTIC]]など)を利用したAV動画があげられる。[[Peer to Peer|P2P]]ソフト及び共有サービスサイトでは表・裏を問わずさまざまなAV動画が流通している。ほとんどが[[著作権法]]を無視しており、個人がAV動画をパソコンに[[キャプチャ (録画ソフト)|キャプチャー]]したアダルトビデオや、アダルトDVDを[[ISOイメージ]]にしたファイル、海外から送信される無修正アダルト映像で[[デジタル著作権管理|DRM]]解除された映像が違法かつ無料で流通している。 | ||
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+ | == 制作側の状況 == | ||
+ | 1作の撮影日数は1-3日程度が最もポピュラーで、製作費用は作品の規模によって数10万-数100万円と一般のロードショーの[[映画]]と比べると格段に安く、その大半が女優にかかるギャラであることも多い。高価な[[フィルム]]を使わないことで[[ランニングコスト]]を低く抑えることができる。 | ||
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+ | == 作品の内容 == | ||
+ | “視聴して[[オナニー|自慰]]をするためのソフト”という傾向が強い商品の特質上、[[映画]]・[[テレビドラマ]]などに見られるような芸術性はほとんど求められず、性的興味をそそることに力が注がれている作品が全てであると言っても過言ではない。こういった商品の特質上、毎月次々と新しい作品がリリースされ、1年あたりの作品量は膨大な数になる。 | ||
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+ | ちなみに、2007年2月28日に[[DMM]]の「DVD通販」の項目を調べたところ、アダルトDVDの2007年1月の発売数は1310本(一日あたり約42本)、2007年2月の発売数は1265本(一日あたり約45本)であり、毎年多数のアダルトビデオが生産され、そして消費されている。 | ||
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+ | 日本の合法アダルトビデオ作品の多くは、一般のドラマほどではないものの、シチュエーションやストーリー設定、出演者の衣装などの、演出全般にこだわるものが見受けられ、大手のレンタル物にその傾向が強い。例えば[[バスガイド]]なら、どちらかと言えばバスガイドの制服を着た[[コスプレ]]という“見た目”に重点を置き、主に男性視聴者の自らの妄想を手助けする要素が強い。 | ||
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+ | 演出や設定、テーマ、企画の“切り口”はさまざまであるが、ほとんどの場合において特定のパターンの性行為([[フェラチオ]]シーンなど)を行うなど、アダルトビデオの共通点のようなものがある。 | ||
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+ | また、作品タイトルや作品パッケージにおいて、実際には性交していないのに「本番」と銘打ったり、実際には膣内射精していないのに膣内射精に見せかけ「真正中出し」と表示されているケースが多々見られる。そもそもアダルトビデオは単なる性交記録映像ではなく、演出を施した演劇作品であるため、「品質偽装」としては問題視されないのが現状である。 | ||
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+ | ==== 本物志向 ==== | ||
+ | “視聴して自慰をするためのソフト”であり、如何に心地よい自慰に役立つかが重要であって、本番行為(男性器の女性器への挿入)が行われているか否かはあまり重要視されないという考え方もある(この点、性交行為そのものを観賞することを目的とした[[裏ビデオ]]とは、やや趣が異なる)。一部作品では挿入せずに疑似本番をし、偽物の精液を使用していることがある。疑似本番はモザイクをかけると分かりにくいが、女優の演技によってすぐに分かってしまうと感じる視聴者もいるため、より本物らしく見せるためには女優の演技力が求められる。いわゆる単体女優の場合、顔などの容貌で売れ行き(レンタルの回転率)を稼げると判断できるため、疑似本番が多かった時期もある。 | ||
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+ | 一方で本番でなければ満足できないという視聴者が増えていると見る向きもある。特にインディーズ系ビデオ(セルビデオ)や企画系ビデオでは、本番行為でなければ視聴者のニーズに応えられない状況にあり、ほとんどの作品で本番行為が行われているとされる。 | ||
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+ | ==== 避妊具の使用 ==== | ||
+ | 過去に[[性感染症]]に感染した女優が仕事を続けていたことが大きな騒ぎになり、それ以降(1990年代半ば以降)の撮影ではコンドームを使用することが通例となった(それ以前は男優・女優の合意があれば着用しないことが多かった)らしい。 | ||
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+ | モザイクをかける日本の合法アダルトビデオでは、1990年代半ば以降[[コンドーム]]を着用することが多くなっているとされ、顔射など膣外射精の類は、発射寸前に男優自身の手により、急いでコンドームが外され、手の中に隠されている。この事実はアダルトビデオの普及度と比べ、案外知られていない。 | ||
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+ | モザイクがあっても、ペニスが不自然に光っている、ペニスの根元の方に[[コンドーム]]末端のゴム輪がある、などの点に注意すればコンドームを着用していることは比較的簡単に見破ることができる。一部には、外した[[コンドーム]]が「見切れて」いる(=不意に見えてしまっている)作品もあるが、「コンドームの使用が視聴者に伝わると興奮度が薄れるのではないか」との観点から、その着用をあからさまにする映像は少ない。 | ||
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+ | 一方で、はっきりコンドームを着用していることを説明している作品もあり、あえて[[射精]]後の[[コンドーム]]から[[精液]]を垂らしてAV女優が飲む、という構成の作品も見受けられる。一例を挙げると『顔は日本カラダは車中!!』([[夏目ナナ]]・SODクリエイト) においては、AV女優が車外に顔のみを出し、直前に使用したコンドームから精液を手の上に搾り出して飲む行為を数回行っている。 | ||
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+ | また、童貞喪失ものでは、AV女優が相手となる童貞男性にコンドームを装着する場面から始まり、男性が射精した後に精液の溜まったコンドームを外し、その精液を見ながら童貞喪失の感想を話し合うなどの構成が見られる。 | ||
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+ | これらの場合においては、使用済みコンドームをアダルトビデオ撮影演出の小道具として積極的に利用しているといえる。 | ||
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+ | ==== 中出し ==== | ||
+ | 最近では、視聴者はもはや本番行為だけでは満足できず、膣内に実際に射精する「[[膣内射精|中出し]]」ものが増加傾向にある。真性中出しを売り物とする[[モブスターズ]]などのインディーズ系ビデオ(セルビデオ)や企画系ビデオでは本当に「中出し」を行っていると見られるが、一般作品では[[ヨーグルト]]などを使用した偽精液を使用した演出の場合がほとんどとではないかと見る向きが多い。 | ||
+ | 精液は[[妊娠]]させるための液体であるためその粘りにより膣内に留まろうとする性質があるが、偽精液では粘度が低くすぐに膣外に流れ出したり、不自然な色合いだったりで偽物であると判断が付く。また、中出し中の男優の下腹部や太股などの筋肉の動きを観察すれば、本当に膣内で射精しているのか判断できるとする見方もある。 | ||
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+ | 真性中出しの場合は、制作会社側がアフターピルや避妊フィルムなど避妊準備をするものや、事前に女優が[[経口避妊薬|低用量ピル]]([[経口避妊薬]])による避妊をしていることがある。例えば、『ナマでHしよ 中出し大好きなの』([[沖那つばさ]]・[[マルクス兄弟 (アダルトビデオ)|マルクス兄弟]]レーベル)では、女優自身が医師の処方を受けた[[経口避妊薬]]を示し用法を説明してから、男優に中出しされたり[[汁男優]]から採取した精液を注射器に集め膣内に注入したりしている。中出しものの増加の背景には、日本での「低用量ピル解禁」に伴い、実社会でも中出しが盛んに行われるようになったことが大きく影響していると考えられる。何よりもアダルトビデオ愛好者の中で、真性中出しでなければ満足できないというタイプが増えたのが原因と見る向きもある。 | ||
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+ | 特殊な例では、[[川奈まり子]]の引退作品において、妊娠を狙って婚約者のAV男優による真性中出しが行われたが、その作品での受精・妊娠には失敗した。 | ||
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+ | 真性中出しでは、本物の精液は膣内に粘り付くので膣外への精液溢れ出しが絵的に(モザイク越しでは)上手く撮影表現できないことがあり、また女優の妊娠や性病罹患の危険性も懸念されるので、前述の通りほとんどは疑似中出しだとといわれている。 | ||
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+ | == 性器の露出と規制 == | ||
+ | [[日本]]では[[アメリカ合衆国]]や[[オランダ王国|オランダ]]、[[フランス共和国|フランス]]などと違い、成人向けであっても[[性器]]を直接表現する映像を公開することは、刑法第175条[[わいせつ物頒布罪]]違反として[[性器]]を直接表現する映像の存在自体を禁止している。理由は、公衆の「健全」な性的風俗ないしは性秩序を守るためである。よって規制されるのは「徒に性欲を興奮または刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する」ものである。 | ||
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+ | そのため、倫理審査団体の[[自主規制]]によって性器に“モザイク”等さまざまな手法で“ぼかし”がかけられる。これは、性器を露出しないことはもちろんではあるが、(建前上では)実際には性行為を行っていないことを文字通り“ぼかす"という意味もある。なお、精液や、肛門(審査団体によっては自主規制)を映し出すことは、わいせつには当たらないと解釈されている。 | ||
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+ | 最近では日本のアダルトサイト業者、アダルトビデオメーカーが、性器の露出について日本とは法規制が違う他国の[[サーバ]]と[[プロバイダー]]経由で有料サイトを開設しており、日本国内からこれらのサイトにアクセスし“無修正映像”を簡単に視聴したり[[ダウンロード]]することができるようになった。これを通称[[海外配信]]という。 | ||
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+ | また、「修正映像」も時代と共に変化し、かつては女性のヘアや肛門が露出しているものは非合法とされていたが、現在では「合法」との見方に変わったり、児童の性器の露出はかつては、「合法」とされていたのが、最高裁の判例により「非合法」とされたりとわいせつの認識は変遷している。 | ||
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+ | == 倫理審査団体と「インディーズ」== | ||
+ | 倫理審査団体には[[日本ビデオ倫理協会]](ビデ倫)、[[コンピュータソフトウェア倫理機構]](ソフ倫)、[[コンテンツ・ソフト協同組合]]メディア倫理委員会(メディ倫)等があり、それぞれ所属する会員である製作会社のビデオが[[倫理]]を逸脱していないか監視している。ただし、法的な根拠はなく、審査をパスしていれば、警察に摘発されないという保証はない。 | ||
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+ | また、倫理審査と同時に[[海賊版]]製作者に対する警告・告発も行っている(ビデ倫加盟メーカーはビデオ倫理監視委員会を通じて監視を行っている)。 | ||
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+ | ;ビデオ倫理監視委員会が把握している審査団体 | ||
+ | *[[日本ビデオ倫理協会]](ビデ倫) | ||
+ | *[[コンピュータソフトウェア倫理機構]](ソフ倫) | ||
+ | *[[ビジュアルソフト・コンテンツ産業協同組合]](VSIC) | ||
+ | *[[日本映像ソフト制作・販売倫理機構]](JVPS、制販倫) | ||
+ | *[[コンテンツ・ソフト協同組合]]メディア倫理委員会(CSA、メディ倫) | ||
+ | *[[全日本ビデオ倫理審査会]](AJVS、全審) | ||
+ | *[[日本倫理審査協会]](JEJA、日倫) | ||
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+ | 倫理審査団体に所属していないアダルトビデオメーカーの作品は、“[[自主規制]]作品”([[インディーズ]])と呼ばれるが、ビデ倫・ソフ倫(両団体は相互に審査結果を尊重する旨の覚書を交わしている)以外の審査団体で審査を行った作品は[[モザイク処理]]などの点で自主規制作品と大差はなく、一般的にはインディーズとしての扱いを受ける。 | ||
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+ | 倫理については明確な基準がなく、モザイク処理部分の大小・強弱などでメーカーごとにばらつきがあったり、同一メーカーが製作した作品でも、発売年度などによって「ぼかし」に強弱があったりする。また、生き残りのため、性器のぼかしが少なく性行為も過激なものも増えてきている。 | ||
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+ | ビデ倫でも、ヘア([[陰毛]])・アナル([[肛門]])の露出を解禁(2004年末よりヘア露出の一部解禁、2006年8月審査タイトルより全面解禁)するなど、基準の見直しが行われている。 | ||
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+ | この見直しに対応して、従来、ビデ倫・ソフ倫、およびそれに準ずる審査団体(制販倫・VSIC)による審査済み作品のみ掲載していた業界誌「アダルトインサイダー」・「月刊DVDナビゲーター アダルト」([[ギャガ・クロスメディア・マーケティング]])でも、2006年9月号以降、それ以外の審査団体で審査を受けた作品も掲載するようになった。露出度と売り上げは比例しない。 | ||
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+ | == アダルトビデオのジャンル == | ||
+ | 制作者側での区分と消費者側の区分とが存在する。 | ||
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+ | 制作者側からの区分ジャンルはさまざまだが、容姿やスタイルが美しい女優を全面に打ち出した「'''単体女優物'''」と女優の容姿やスタイルにこだわらず企画内容を売りにした「'''企画物'''」に大きく分けられる。この分類は極めて明確で女優のギャランティーやパブリシティー、メーカーの制作体制などに差異が認められる。つまり女優のネームバリュー押しではなく企画や監督名が前面に出たパッケージ(甲斐正明など)こそ企画物というカテゴリーの目安と言えよう。 | ||
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+ | 「'''ゲイビデオ'''」では企画物が多いが、ここでは一つのジャンルとして詳述する。類型とといわれるものは、[[裏ビデオ]]を参照のこと。 | ||
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+ | === 単体女優物 === | ||
+ | '''単体女優物'''は、一般に容姿やスタイルが美しい女優を全面に打ち出している作品である。女優名を大きく出し、作品内容よりも女優そのものを大きくアピールする。[[AV女優]]一人が出演しているため単体女優物と呼ばれる。単体女優は、AV業界の中で企画物の女優(企画女優)と比較して、容姿やスタイルが美しいとされる。基本的には一人のAV女優が登場する1時間〜2時間物が多いが、一人の女優の出演本数が増えると2名以上の女優で共演したり、[[オムニバス]]形式で出演することがある。単体女優物は、セル・レンタル業界を問わず、各メーカーとも資金を投入し力を入れている。単体女優としてAV業界で有名になった後にタレント活動する人([[墨田ユキ]]<!--墨田ユキはAV女優としてトップでもなく、雨宮時空子は有名でもなかった-->・[[飯島愛]]・[[高樹マリア]]・[[及川奈央]]・[[蒼井そら]])や、AV女優になる前に[[タレント]]、[[グラビアアイドル]]、スポーツ選手、[[オナペットアイドル]]、[[レースクイーン]]、[[アナウンサー]]であった人([[桜樹ルイ]]・[[すぎはら美里]]・[[夏目ナナ]]・[[萩原舞 (AV女優)|萩原舞]]・[[小森美樹]]([[小森美樹|小森未来]])・[[渡瀬晶]]・[[麻生香]]・[[青木りん]]・[[範田紗々]]等)、果てはミスコン出身者([[瀬名涼子]])もいる。 | ||
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+ | === 企画物 === | ||
+ | '''企画物'''は女優の容姿やスタイルにこだわらず、特定の企画内容を売りにした作品。そのため女優の名前が出ないこともある。[[テレビ]]や映画の[[パロディ]]、大人数もの、人妻もの、素人もの、職業もの([[制服]]女性)、学生もの、[[レイプ]]もの、[[ナンパ]]もの等、ある[[ジャンル]]に特化し、それらを好む視聴者をターゲットにしている。このジャンルの境界にははっきりとした線はなく、例えば「[[人妻]][[ナンパ]]」「素人[[接吻]]」「[[女子校生]][[レイプ]][[中出し]]」といったように複数のジャンルをまたいだ商品も多い。また、単体女優が企画色の強い作品に出演することもある。 | ||
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+ | 1990年代の末から、元々は企画物の女優なのに単体女優並みの人気が出てしまうという例が見られるようになった。こういった女優を'''キカタン'''(企画単体の略)などと呼ぶ事がある。企画物に出る女優の中には、[[親バレ]]などを避けるためパブリシティーを制限している例が多く、容貌がきれいであっても単体女優にはなれない(あえてならない)。そのためにギャラが安く抑えられている。結果としてレンタル向けビデ倫系ビデオではなく、インディーズ系への出演が多い。こういったギャラが安いのに人気が高く、企画に凝らずともビデオが売れるキカタン女優が増え、2000年代初頭はキカタン女優がブームとなった。キカタン女優の代表例は[[長瀬愛]]、[[堤さやか]]、[[笠木忍]]、[[桃井望]]などで、前記4人は'''インディーズ四天王'''などと呼ばれたことがあった。この点、本来の意味での「企画物」と、少々意味合いが異なってきた部分もある。 | ||
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+ | <small>※企画のジャンルについては、あらゆるシチュエーションがあり、その組み合わせの多さから、数限りなく存在し得るため、ここでの列記は避ける。[[裏ビデオ]]の項も参照。</small> | ||
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+ | === 初体験もの === | ||
+ | 初めての性体験を作品にしたもので、[[処女喪失]]ものと[[童貞]]喪失ものに分かれ、作品の内容はさまざまであるが大体の傾向は次のようである。 | ||
+ | 処女喪失ものでは、女性が処女喪失を躊躇う様子に時間を割き残り数分で破瓜させるものや、早々に破瓜させてよりハードな性行為を行わせるものなどがある。童貞喪失ものでは、どう行動すればよいか迷う男性に過激な性的刺激を与えて性交前に射精させ嘲笑を誘うものや、熟練のAV女優が手取り足取り性行為を教え込むもの(「[[最高の筆おろし]]」シリーズ・[[マドンナ (アダルトビデオ)|マドンナ]])などがある。また、性交体験はあるものの膣内射精の経験はない女性が登場し、初めて膣内に射精される「初めての真正中出し」([[モブスターズ]])という作品もある。 | ||
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+ | === 野外露出もの === | ||
+ | おもに、山林、海浜など人目につかない大自然の中での性行為(野外プレイ)を取り扱ったものと、人目がある場所での性行為(露出プレイ)を取り扱ったものの2種類に大別される。野外プレイでは開放感溢れる屋外での性行為を売りにしたり、露出プレイでは[[露出狂]]とされる女優が公共の場で裸になったり、性器を露出したりする。とりわけ、公共の場で裸になったり性行為に及ぶのはもちろん犯罪行為であるので、まれに逮捕される監督や会社が現れる。 | ||
+ | |||
+ | === ニューハーフもの === | ||
+ | 女優が[[ニューハーフ]]である作品。性交の相手は主に男性であるが、女性を相手とした作品もある([[ニューハーフ童貞狩り]]等)。また、他ジャンルと組み合わさった作品も数多く発表されている([[スカトロ]]、[[近親相姦]]等)。 | ||
+ | |||
+ | === ゲイビデオ === | ||
+ | '''[[ゲイビデオ]]'''は、主に[[ゲイ]]=[[同性愛|同性愛者]]や[[バイセクシュアル]]=[[両性愛者]]向けに出されている作品で、複数の男性間の性行為、男性一人の自慰行為を撮ったものが中心だが、最近では男女間の性行為を主に男性にカメラを向けて撮ったものも増えている。また、数のうえでは少ないものの、複数の女性間の性行為を扱ったものもある。 | ||
+ | |||
+ | 値段は、有名[[レーベル]]や人気のシリーズなどでは一般のアダルトビデオに比べてやや高めであるが、その他のものは一般のものとさほど変わらない。主に[[ジャニーズ]]系といった[[美少年]]系や[[体育会系]]、[[ゲイ用語#ノンケ|ノンケ]]ものに人気がある。近年では、[[DVD]]で発売されることが増えており、もともとVHSで出ていたものをDVDにしたものや、DVDのみの作品もある。なお、男性を撮ったゲイビデオは、ヘテロセクシュアルの女性にとって、一般のアダルトビデオ(主に女性にカメラを向けている)よりも[[性的興奮]]を得やすいことから、女性が観ることもある。 | ||
+ | 近年では、大学の有名スポーツ選手達が、ゲイビデオにアルバイトで出演していたことが次々と発覚し、社会問題になった。 | ||
+ | これはスポーツ選手の体が筋肉質でゲイビデオとしては最適であることと(需要)、練習時間の関係でアルバイトのできない選手達の小遣い稼ぎの手段(供給)が一致したためとといわれている。 | ||
+ | |||
+ | かつては、いわゆる[[発展場]]に出入りしているタイプのゲイが出演することもあったが、1980〜1990年代に男性同性愛者の間で[[ヒト免疫不全ウイルス|HIV]]に対する危惧が広まり、HIVウイルスが同性愛行為から生じるのではないかという誤解もあった事などから、いわゆる素人俳優の起用が増えたと考えられる。 | ||
+ | |||
+ | [[ゲイビデオ]]は、異性愛者向けのAVに比べて市場規模が小さいため、大きな企画モノは不可能と言って良い。 | ||
+ | |||
+ | 射精シーン(ザーメンを出すシーンや、ぶっかけシーン)は何度も繰り返されたりしているため、ビデオを見ている側に、射精するタイミングを配慮して編集してある。 | ||
+ | |||
+ | === ノーマルもの === | ||
+ | 「えっ、こんなカワイイ娘が裸になってHするの?!」というもの。 | ||
+ | どうでもよいストーリーがあるが、可愛さをアピールするシーンがあり、裸になってHするシーンがあることはどのタイトルも変わらない。 | ||
+ | |||
+ | === フェチもの === | ||
+ | フェチビデオは、アダルトビデオ業界かそれに近い業者による、[[フェティシズム]]を追求した映像作品のことで、アダルトビデオから派生したジャンルと見られるが、性癖の展覧会ともいえる。 | ||
+ | 相手がいない等さまざまな理由で手軽にできない性行為の代理体験が基本である。 | ||
+ | 画面中に男女の性行為場面は最小限で、もっぱら女性の身体を映す。 | ||
+ | 制作者が、安い費用でタレントを確保するために、性行為が全く行われていない作品でも成立するのがこのジャンルである。デジタルビデオの普及で、誰でも供給側になれるようになり、一時は活況であったが、DVDの時代となり、ハイビジョン時代が見えてきて淘汰の時代となっている。 | ||
+ | |||
+ | 作品中に性行為があろうがなかろうが、消費者は見ながら抜く。 | ||
+ | |||
+ | 具体的なとしては以下のようなものがある。 | ||
+ | *[[性的ロールプレイ#性風俗での性的ロールプレイ|コスプレ]] | ||
+ | *[[排泄物]]([[脱糞]]・[[放尿]])や[[分泌]]物を口に入れたり顔や身体に掛けたり塗りつけたりする行為(いわゆる「[[スカトロ]]」) | ||
+ | *泥んこやペンキ | ||
+ | *食べ物を顔や身体に掛けたり塗りつけたりそこへ放り込んだりする行為 | ||
+ | *縛ったり、吊り下げたりする行為 | ||
+ | *物や生き物を踏み潰す行為(クラッシュビデオ) | ||
+ | *それらの組み合わせ。 | ||
+ | |||
+ | 制作の際には興味本位に走らず、事前に入念な準備をしなければ、タレントの生命が危うかったり、取り返しのつかないダメージを与える可能性がある。 | ||
+ | |||
+ | === SM === | ||
+ | 厳密に[[SM (性風俗)|SM]]行為に区分けされるものから、女優単体ものなどアダルトビデオのメインストリームの作品に[[緊縛]]などSM要素を含むものまで存在する。 | ||
+ | |||
+ | === アダルトアニメ === | ||
+ | 実写による撮影ではなく、アニメーションを用いたアダルトビデオについては[[アダルトアニメ]]の項目を参照のこと。 | ||
+ | |||
+ | === コスプレAV(キャラクター物)=== | ||
+ | 女優が特定の漫画やアニメ、ゲームのキャラクターにコスプレし(許諾を得られるはずもないので、伏字か名前が一部変更になっている)元ネタになった作品に基づいた寸劇を演じながら性行為にもっていくというもので、フェチ目的のコスプレ物とは別物である。基本的には企画物であるが、女優物としてリリースされることがある。 | ||
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+ | *二次元と現実の違い。イラスト、特に日本の漫画などはデフォルメが激しいので、そのキャラクターをまんま現実に持っていこうとすると、おかしな事になってしまう([[アホ毛]]の処理など)また、原作では基本的に絵が動くだけなので声優の演技がしっかりしていれば問題はないが、これが実写化されると俳優の演技力が問題になってくる。しかし、演技力を持ったAV女優というのは少ない。原作の声とコスプレしている女優との声のギャップに文句が来ることもある。 | ||
+ | *漫画やゲームなどで背景は絵で済ませてしまえるが、実写となるとそれなりの舞台を用意しなくてはならないし、時にはエキストラも必要になることもある。が、予算が限られているので適当になってしまうことも少なくない。ファミレスの設定だというのにビルの会議室だったり、俳優が歩いている背景の中で、小さくではあるが他人が歩いている事例もある。 | ||
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+ | 以上の点から、AV本来の抜くためのツールではなく、原作とのギャップを楽しむバラエティと化しており、最近の傾向としてはオープニングを忠実に再現してみせたり、寸劇の部分に力を入れる(AV女優の演技力が向上している)反面、肝心であるはずの性行為がおざなりにされていたり、本編にはなくオマケに収録されていたりとAVとは違った方向で発展しつつある。 | ||
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+ | 日本では、刑法第175条(わいせつ物頒布等)によって、わいせつ物を頒布できないことになっており、名目上はポルノ作品は流通してないことになっている。モザイクをかけた作品も法的にはわいせつ物ではないとされる。モザイクは[[日本ビデオ倫理協会]]などによる自主規制である。過去の判例によれば刑法上の規制対象となるのは、徒に性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的同義観念に反するものである。 | ||
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2022年10月4日 (火) 21:39時点における最新版
この項目では、日本のビデオについて説明しています。世界的な情報については「ポルノ映画」をご覧ください。 |
以下の内容は著者独自の見解で根拠がないのではないかと言っていた人がいたようです。 |
アダルトビデオ(adult video)は、性的欲求を満足させるために製作された映像作品である。略称AV(エーブイ)。
性行為(性交やフェラチオなど)を見せる映像作品で、「アダルトビデオ」は日本における名称のみならず、日本の製作環境から生産される作品群、或いはその系譜にある作品群を指すことが多く、本項ではそれについて記述する。
ピンク映画や「ロマンポルノ」とは制作手法が異なる別のジャンルとされる。
目次
概説[編集]
メディア(媒体)はVHSが中心であったが、最近はほとんどDVDで製作され、現在日本の合法セルビデオ(販売用ビデオ)のほとんど全てがDVDである。DVD登場前の一時期にビデオCDにより発売された作品がある。最近では、ハイビジョンで制作されたブルーレイディスクの物も存在する。NHKではDVDパッケージのものを「娯楽用DVD」と呼んでいる。
歴史[編集]
1960年代後半、日本電機メーカー各社から最初期のビデオテープレコーダの市販(主に学校・教育施設や企業、ホテルやモーテルおよび遠洋漁業の船舶向け)が開始されたと同時に、ビデオテープレコーダで視聴するための録画済ビデオソフトの製作が映像各社で始まった。
その頃より、少数ながらのポルノ映画・ピンク映画を収録したビデオソフトが製作され、主にホテルやモーテル向けに販売・貸し出しが開始された。一般的にこれらのソフトは「アダルトビデオ」の範疇には含まれない。しかし、ビデオテープレコーダを持っていれば、非常に高価ながら個人的にも販売・貸し出しを受けられたことから、ルーツといえるものである。
- これらポルノ映画(またはピンク映画)が、映画用フィルムで撮影された(当時は)低画質であったところが、アテナ映像が初めてプロ用のベータカムで撮影を行い、その画質の良さに爆発的ヒットを記録したのが、AV誕生の歴史である。当時は、女性が一人だけ登場しオナニーの真似をするだけの内容であったが、画質の良さへの衝撃は相当なもので、ヒットに次ぐヒットを1社で連発した。
- このアテナ映像の成功を聞きつけ、当時ビニ本(エロ本)の出版社が、撮影方法をアテナ映像に聞いて真似、後発メーカーが次々誕生したのである。AV普及期の初期作品として有名なのは、宇宙企画の『ミス本番』シリーズなど。1984年に素人学生風の女性が出演する『ミス本番・裕美子19歳』(田所裕美子)、『ミス本番有希子20歳めぐり逢い』(吉沢有希子―現早見瞳)などが発売され、ブームとなった。その後、淫乱ブーム、巨乳ブームなどがあり、多くのAV女優がデビューしている。
- かたやユーザー側。この頃1980年代に、家庭用ビデオテープレコーダーのデッキが普及し始めた。それまでの映画館等で上映されるポルノ映画・ピンク映画に代わって急速に発展した。これによって消費者は自宅の画面の前で自慰行為が可能となり、作品に即物的な絡みシーンを求めるようになった。このことは映画において客を飽きさせないために重視されたストーリーの軽視につながり、映像文化としては衰退を指摘するものもいる。普及の要因は、家庭用ビデオデッキが廉価になったことと、ビデオソフトを貸し出すレンタルビデオ店が増加し、安価に自宅で鑑賞できる環境が増えていったことが挙げられる。逆に、AVの登場がビデオデッキの普及率に貢献したともといわれている。同様にインターネットの急速な普及も、アダルトが大きな牽引力となっていた。
- 同様に、家電業界を二分したVHSとベータの争い、いわゆるビデオ戦争の行方も決定づけている。当時のAVメーカーの大多数は小規模であり、両規格をリリースする体力がなかったため、1980年代前半からVHSがリードしていたという事情と機材が安価に調達できる環境が整っていったことから、AVのほとんどをVHSのみで供給した。結果、AVを見たいユーザーはVHSへ流れ、元々優位だったVHSがさらに優位に立ち、ビデオ戦争は事実上終結した。
流通の状況[編集]
レンタルビデオが一般に普及している一方、販売を主目的としたビデオ(セルビデオ)も登場している。市場規模を見ると現在では通信販売でも買えるセルビデオの方が大きくなっている。また、ビジネスホテルやラブホテルの有料番組、CS放送番組、ケーブルテレビ等でも作品が放送される等、さまざまな場所で利用されている。
レンタルビデオ店の多くには、アダルトビデオの独立コーナーが設けられており、一般コーナーとは暖簾などで仕切られている場合が多い。これは、未成年者の目に触れさせないためとアダルトビデオに嫌悪感を抱く人々(主に女性)に配慮、およびにAV利用者のプライバシーに配慮をしたものである。1990年頃まではアダルトビデオ作品数が少なく、一般作品に並べられて展示されていた。
アダルトビデオのレンタル売上は一般の映画やアニメ等のビデオを上回ることが多く、レンタル店にとって欠かせない一大分野に成長した。数は少ないもののアダルトビデオ専門のレンタルビデオ店も存在する。また、セルビデオも急速に広まり、店舗数で言えばレンタルビデオ店を遥かに凌いでいる。
昨今ではインターネットの普及と共に、AVコンテンツをストリーミング放送やデータダウンロードの形で提供するものも現れている(有料・無料がある)。
また、通信販売やネット上で申し込めるアダルトビデオの宅配サービスなども盛んである。これらは、店員や他の客に接することがなく24時間自宅にいながらにして視聴できるという特徴から、性風俗商品の特性上、今後も利用が増えてゆくことが予測される。
2006年6月現在、大規模な業者は日本に3社あり、郵便やメール便を利用して貸出・回収を行う。月々の料金は借りようと借りまいと発生する。そのため、業者の配送センターの近くに住む等の特別な人以外は、月に10回転程度が実質的な上限となる。また、同一タイトルの在庫数も限りがある。
メーカーによっては独自に流通配送システムを構築し、通販サービスの向上と低価格化を実現しているところもある。
違法流通としてファイル共有ソフト(Winny/Share/BitTorrentなど)やファイル共有サービス(YourFileHostやMEGAROTICなど)を利用したAV動画があげられる。P2Pソフト及び共有サービスサイトでは表・裏を問わずさまざまなAV動画が流通している。ほとんどが著作権法を無視しており、個人がAV動画をパソコンにキャプチャーしたアダルトビデオや、アダルトDVDをISOイメージにしたファイル、海外から送信される無修正アダルト映像でDRM解除された映像が違法かつ無料で流通している。
制作側の状況[編集]
1作の撮影日数は1-3日程度が最もポピュラーで、製作費用は作品の規模によって数10万-数100万円と一般のロードショーの映画と比べると格段に安く、その大半が女優にかかるギャラであることも多い。高価なフィルムを使わないことでランニングコストを低く抑えることができる。
作品の内容[編集]
“視聴して自慰をするためのソフト”という傾向が強い商品の特質上、映画・テレビドラマなどに見られるような芸術性はほとんど求められず、性的興味をそそることに力が注がれている作品が全てであると言っても過言ではない。こういった商品の特質上、毎月次々と新しい作品がリリースされ、1年あたりの作品量は膨大な数になる。
ちなみに、2007年2月28日にDMMの「DVD通販」の項目を調べたところ、アダルトDVDの2007年1月の発売数は1310本(一日あたり約42本)、2007年2月の発売数は1265本(一日あたり約45本)であり、毎年多数のアダルトビデオが生産され、そして消費されている。
日本の合法アダルトビデオ作品の多くは、一般のドラマほどではないものの、シチュエーションやストーリー設定、出演者の衣装などの、演出全般にこだわるものが見受けられ、大手のレンタル物にその傾向が強い。例えばバスガイドなら、どちらかと言えばバスガイドの制服を着たコスプレという“見た目”に重点を置き、主に男性視聴者の自らの妄想を手助けする要素が強い。
演出や設定、テーマ、企画の“切り口”はさまざまであるが、ほとんどの場合において特定のパターンの性行為(フェラチオシーンなど)を行うなど、アダルトビデオの共通点のようなものがある。
また、作品タイトルや作品パッケージにおいて、実際には性交していないのに「本番」と銘打ったり、実際には膣内射精していないのに膣内射精に見せかけ「真正中出し」と表示されているケースが多々見られる。そもそもアダルトビデオは単なる性交記録映像ではなく、演出を施した演劇作品であるため、「品質偽装」としては問題視されないのが現状である。
本物志向[編集]
“視聴して自慰をするためのソフト”であり、如何に心地よい自慰に役立つかが重要であって、本番行為(男性器の女性器への挿入)が行われているか否かはあまり重要視されないという考え方もある(この点、性交行為そのものを観賞することを目的とした裏ビデオとは、やや趣が異なる)。一部作品では挿入せずに疑似本番をし、偽物の精液を使用していることがある。疑似本番はモザイクをかけると分かりにくいが、女優の演技によってすぐに分かってしまうと感じる視聴者もいるため、より本物らしく見せるためには女優の演技力が求められる。いわゆる単体女優の場合、顔などの容貌で売れ行き(レンタルの回転率)を稼げると判断できるため、疑似本番が多かった時期もある。
一方で本番でなければ満足できないという視聴者が増えていると見る向きもある。特にインディーズ系ビデオ(セルビデオ)や企画系ビデオでは、本番行為でなければ視聴者のニーズに応えられない状況にあり、ほとんどの作品で本番行為が行われているとされる。
避妊具の使用[編集]
過去に性感染症に感染した女優が仕事を続けていたことが大きな騒ぎになり、それ以降(1990年代半ば以降)の撮影ではコンドームを使用することが通例となった(それ以前は男優・女優の合意があれば着用しないことが多かった)らしい。
モザイクをかける日本の合法アダルトビデオでは、1990年代半ば以降コンドームを着用することが多くなっているとされ、顔射など膣外射精の類は、発射寸前に男優自身の手により、急いでコンドームが外され、手の中に隠されている。この事実はアダルトビデオの普及度と比べ、案外知られていない。
モザイクがあっても、ペニスが不自然に光っている、ペニスの根元の方にコンドーム末端のゴム輪がある、などの点に注意すればコンドームを着用していることは比較的簡単に見破ることができる。一部には、外したコンドームが「見切れて」いる(=不意に見えてしまっている)作品もあるが、「コンドームの使用が視聴者に伝わると興奮度が薄れるのではないか」との観点から、その着用をあからさまにする映像は少ない。
一方で、はっきりコンドームを着用していることを説明している作品もあり、あえて射精後のコンドームから精液を垂らしてAV女優が飲む、という構成の作品も見受けられる。一例を挙げると『顔は日本カラダは車中!!』(夏目ナナ・SODクリエイト) においては、AV女優が車外に顔のみを出し、直前に使用したコンドームから精液を手の上に搾り出して飲む行為を数回行っている。
また、童貞喪失ものでは、AV女優が相手となる童貞男性にコンドームを装着する場面から始まり、男性が射精した後に精液の溜まったコンドームを外し、その精液を見ながら童貞喪失の感想を話し合うなどの構成が見られる。
これらの場合においては、使用済みコンドームをアダルトビデオ撮影演出の小道具として積極的に利用しているといえる。
中出し[編集]
最近では、視聴者はもはや本番行為だけでは満足できず、膣内に実際に射精する「中出し」ものが増加傾向にある。真性中出しを売り物とするモブスターズなどのインディーズ系ビデオ(セルビデオ)や企画系ビデオでは本当に「中出し」を行っていると見られるが、一般作品ではヨーグルトなどを使用した偽精液を使用した演出の場合がほとんどとではないかと見る向きが多い。 精液は妊娠させるための液体であるためその粘りにより膣内に留まろうとする性質があるが、偽精液では粘度が低くすぐに膣外に流れ出したり、不自然な色合いだったりで偽物であると判断が付く。また、中出し中の男優の下腹部や太股などの筋肉の動きを観察すれば、本当に膣内で射精しているのか判断できるとする見方もある。
真性中出しの場合は、制作会社側がアフターピルや避妊フィルムなど避妊準備をするものや、事前に女優が低用量ピル(経口避妊薬)による避妊をしていることがある。例えば、『ナマでHしよ 中出し大好きなの』(沖那つばさ・マルクス兄弟レーベル)では、女優自身が医師の処方を受けた経口避妊薬を示し用法を説明してから、男優に中出しされたり汁男優から採取した精液を注射器に集め膣内に注入したりしている。中出しものの増加の背景には、日本での「低用量ピル解禁」に伴い、実社会でも中出しが盛んに行われるようになったことが大きく影響していると考えられる。何よりもアダルトビデオ愛好者の中で、真性中出しでなければ満足できないというタイプが増えたのが原因と見る向きもある。
特殊な例では、川奈まり子の引退作品において、妊娠を狙って婚約者のAV男優による真性中出しが行われたが、その作品での受精・妊娠には失敗した。
真性中出しでは、本物の精液は膣内に粘り付くので膣外への精液溢れ出しが絵的に(モザイク越しでは)上手く撮影表現できないことがあり、また女優の妊娠や性病罹患の危険性も懸念されるので、前述の通りほとんどは疑似中出しだとといわれている。
性器の露出と規制[編集]
日本ではアメリカ合衆国やオランダ、フランスなどと違い、成人向けであっても性器を直接表現する映像を公開することは、刑法第175条わいせつ物頒布罪違反として性器を直接表現する映像の存在自体を禁止している。理由は、公衆の「健全」な性的風俗ないしは性秩序を守るためである。よって規制されるのは「徒に性欲を興奮または刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する」ものである。
そのため、倫理審査団体の自主規制によって性器に“モザイク”等さまざまな手法で“ぼかし”がかけられる。これは、性器を露出しないことはもちろんではあるが、(建前上では)実際には性行為を行っていないことを文字通り“ぼかす"という意味もある。なお、精液や、肛門(審査団体によっては自主規制)を映し出すことは、わいせつには当たらないと解釈されている。
最近では日本のアダルトサイト業者、アダルトビデオメーカーが、性器の露出について日本とは法規制が違う他国のサーバとプロバイダー経由で有料サイトを開設しており、日本国内からこれらのサイトにアクセスし“無修正映像”を簡単に視聴したりダウンロードすることができるようになった。これを通称海外配信という。
また、「修正映像」も時代と共に変化し、かつては女性のヘアや肛門が露出しているものは非合法とされていたが、現在では「合法」との見方に変わったり、児童の性器の露出はかつては、「合法」とされていたのが、最高裁の判例により「非合法」とされたりとわいせつの認識は変遷している。
倫理審査団体と「インディーズ」[編集]
倫理審査団体には日本ビデオ倫理協会(ビデ倫)、コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)、コンテンツ・ソフト協同組合メディア倫理委員会(メディ倫)等があり、それぞれ所属する会員である製作会社のビデオが倫理を逸脱していないか監視している。ただし、法的な根拠はなく、審査をパスしていれば、警察に摘発されないという保証はない。
また、倫理審査と同時に海賊版製作者に対する警告・告発も行っている(ビデ倫加盟メーカーはビデオ倫理監視委員会を通じて監視を行っている)。
- ビデオ倫理監視委員会が把握している審査団体
- 日本ビデオ倫理協会(ビデ倫)
- コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)
- ビジュアルソフト・コンテンツ産業協同組合(VSIC)
- 日本映像ソフト制作・販売倫理機構(JVPS、制販倫)
- コンテンツ・ソフト協同組合メディア倫理委員会(CSA、メディ倫)
- 全日本ビデオ倫理審査会(AJVS、全審)
- 日本倫理審査協会(JEJA、日倫)
倫理審査団体に所属していないアダルトビデオメーカーの作品は、“自主規制作品”(インディーズ)と呼ばれるが、ビデ倫・ソフ倫(両団体は相互に審査結果を尊重する旨の覚書を交わしている)以外の審査団体で審査を行った作品はモザイク処理などの点で自主規制作品と大差はなく、一般的にはインディーズとしての扱いを受ける。
倫理については明確な基準がなく、モザイク処理部分の大小・強弱などでメーカーごとにばらつきがあったり、同一メーカーが製作した作品でも、発売年度などによって「ぼかし」に強弱があったりする。また、生き残りのため、性器のぼかしが少なく性行為も過激なものも増えてきている。
ビデ倫でも、ヘア(陰毛)・アナル(肛門)の露出を解禁(2004年末よりヘア露出の一部解禁、2006年8月審査タイトルより全面解禁)するなど、基準の見直しが行われている。
この見直しに対応して、従来、ビデ倫・ソフ倫、およびそれに準ずる審査団体(制販倫・VSIC)による審査済み作品のみ掲載していた業界誌「アダルトインサイダー」・「月刊DVDナビゲーター アダルト」(ギャガ・クロスメディア・マーケティング)でも、2006年9月号以降、それ以外の審査団体で審査を受けた作品も掲載するようになった。露出度と売り上げは比例しない。
アダルトビデオのジャンル[編集]
制作者側での区分と消費者側の区分とが存在する。
制作者側からの区分ジャンルはさまざまだが、容姿やスタイルが美しい女優を全面に打ち出した「単体女優物」と女優の容姿やスタイルにこだわらず企画内容を売りにした「企画物」に大きく分けられる。この分類は極めて明確で女優のギャランティーやパブリシティー、メーカーの制作体制などに差異が認められる。つまり女優のネームバリュー押しではなく企画や監督名が前面に出たパッケージ(甲斐正明など)こそ企画物というカテゴリーの目安と言えよう。
「ゲイビデオ」では企画物が多いが、ここでは一つのジャンルとして詳述する。類型とといわれるものは、裏ビデオを参照のこと。
単体女優物[編集]
単体女優物は、一般に容姿やスタイルが美しい女優を全面に打ち出している作品である。女優名を大きく出し、作品内容よりも女優そのものを大きくアピールする。AV女優一人が出演しているため単体女優物と呼ばれる。単体女優は、AV業界の中で企画物の女優(企画女優)と比較して、容姿やスタイルが美しいとされる。基本的には一人のAV女優が登場する1時間〜2時間物が多いが、一人の女優の出演本数が増えると2名以上の女優で共演したり、オムニバス形式で出演することがある。単体女優物は、セル・レンタル業界を問わず、各メーカーとも資金を投入し力を入れている。単体女優としてAV業界で有名になった後にタレント活動する人(墨田ユキ・飯島愛・高樹マリア・及川奈央・蒼井そら)や、AV女優になる前にタレント、グラビアアイドル、スポーツ選手、オナペットアイドル、レースクイーン、アナウンサーであった人(桜樹ルイ・すぎはら美里・夏目ナナ・萩原舞・小森美樹(小森未来)・渡瀬晶・麻生香・青木りん・範田紗々等)、果てはミスコン出身者(瀬名涼子)もいる。
企画物[編集]
企画物は女優の容姿やスタイルにこだわらず、特定の企画内容を売りにした作品。そのため女優の名前が出ないこともある。テレビや映画のパロディ、大人数もの、人妻もの、素人もの、職業もの(制服女性)、学生もの、レイプもの、ナンパもの等、あるジャンルに特化し、それらを好む視聴者をターゲットにしている。このジャンルの境界にははっきりとした線はなく、例えば「人妻ナンパ」「素人接吻」「女子校生レイプ中出し」といったように複数のジャンルをまたいだ商品も多い。また、単体女優が企画色の強い作品に出演することもある。
1990年代の末から、元々は企画物の女優なのに単体女優並みの人気が出てしまうという例が見られるようになった。こういった女優をキカタン(企画単体の略)などと呼ぶ事がある。企画物に出る女優の中には、親バレなどを避けるためパブリシティーを制限している例が多く、容貌がきれいであっても単体女優にはなれない(あえてならない)。そのためにギャラが安く抑えられている。結果としてレンタル向けビデ倫系ビデオではなく、インディーズ系への出演が多い。こういったギャラが安いのに人気が高く、企画に凝らずともビデオが売れるキカタン女優が増え、2000年代初頭はキカタン女優がブームとなった。キカタン女優の代表例は長瀬愛、堤さやか、笠木忍、桃井望などで、前記4人はインディーズ四天王などと呼ばれたことがあった。この点、本来の意味での「企画物」と、少々意味合いが異なってきた部分もある。
※企画のジャンルについては、あらゆるシチュエーションがあり、その組み合わせの多さから、数限りなく存在し得るため、ここでの列記は避ける。裏ビデオの項も参照。
初体験もの[編集]
初めての性体験を作品にしたもので、処女喪失ものと童貞喪失ものに分かれ、作品の内容はさまざまであるが大体の傾向は次のようである。 処女喪失ものでは、女性が処女喪失を躊躇う様子に時間を割き残り数分で破瓜させるものや、早々に破瓜させてよりハードな性行為を行わせるものなどがある。童貞喪失ものでは、どう行動すればよいか迷う男性に過激な性的刺激を与えて性交前に射精させ嘲笑を誘うものや、熟練のAV女優が手取り足取り性行為を教え込むもの(「最高の筆おろし」シリーズ・マドンナ)などがある。また、性交体験はあるものの膣内射精の経験はない女性が登場し、初めて膣内に射精される「初めての真正中出し」(モブスターズ)という作品もある。
野外露出もの[編集]
おもに、山林、海浜など人目につかない大自然の中での性行為(野外プレイ)を取り扱ったものと、人目がある場所での性行為(露出プレイ)を取り扱ったものの2種類に大別される。野外プレイでは開放感溢れる屋外での性行為を売りにしたり、露出プレイでは露出狂とされる女優が公共の場で裸になったり、性器を露出したりする。とりわけ、公共の場で裸になったり性行為に及ぶのはもちろん犯罪行為であるので、まれに逮捕される監督や会社が現れる。
ニューハーフもの[編集]
女優がニューハーフである作品。性交の相手は主に男性であるが、女性を相手とした作品もある(ニューハーフ童貞狩り等)。また、他ジャンルと組み合わさった作品も数多く発表されている(スカトロ、近親相姦等)。
ゲイビデオ[編集]
ゲイビデオは、主にゲイ=同性愛者やバイセクシュアル=両性愛者向けに出されている作品で、複数の男性間の性行為、男性一人の自慰行為を撮ったものが中心だが、最近では男女間の性行為を主に男性にカメラを向けて撮ったものも増えている。また、数のうえでは少ないものの、複数の女性間の性行為を扱ったものもある。
値段は、有名レーベルや人気のシリーズなどでは一般のアダルトビデオに比べてやや高めであるが、その他のものは一般のものとさほど変わらない。主にジャニーズ系といった美少年系や体育会系、ノンケものに人気がある。近年では、DVDで発売されることが増えており、もともとVHSで出ていたものをDVDにしたものや、DVDのみの作品もある。なお、男性を撮ったゲイビデオは、ヘテロセクシュアルの女性にとって、一般のアダルトビデオ(主に女性にカメラを向けている)よりも性的興奮を得やすいことから、女性が観ることもある。 近年では、大学の有名スポーツ選手達が、ゲイビデオにアルバイトで出演していたことが次々と発覚し、社会問題になった。 これはスポーツ選手の体が筋肉質でゲイビデオとしては最適であることと(需要)、練習時間の関係でアルバイトのできない選手達の小遣い稼ぎの手段(供給)が一致したためとといわれている。
かつては、いわゆる発展場に出入りしているタイプのゲイが出演することもあったが、1980〜1990年代に男性同性愛者の間でHIVに対する危惧が広まり、HIVウイルスが同性愛行為から生じるのではないかという誤解もあった事などから、いわゆる素人俳優の起用が増えたと考えられる。
ゲイビデオは、異性愛者向けのAVに比べて市場規模が小さいため、大きな企画モノは不可能と言って良い。
射精シーン(ザーメンを出すシーンや、ぶっかけシーン)は何度も繰り返されたりしているため、ビデオを見ている側に、射精するタイミングを配慮して編集してある。
ノーマルもの[編集]
「えっ、こんなカワイイ娘が裸になってHするの?!」というもの。 どうでもよいストーリーがあるが、可愛さをアピールするシーンがあり、裸になってHするシーンがあることはどのタイトルも変わらない。
フェチもの[編集]
フェチビデオは、アダルトビデオ業界かそれに近い業者による、フェティシズムを追求した映像作品のことで、アダルトビデオから派生したジャンルと見られるが、性癖の展覧会ともいえる。 相手がいない等さまざまな理由で手軽にできない性行為の代理体験が基本である。 画面中に男女の性行為場面は最小限で、もっぱら女性の身体を映す。 制作者が、安い費用でタレントを確保するために、性行為が全く行われていない作品でも成立するのがこのジャンルである。デジタルビデオの普及で、誰でも供給側になれるようになり、一時は活況であったが、DVDの時代となり、ハイビジョン時代が見えてきて淘汰の時代となっている。
作品中に性行為があろうがなかろうが、消費者は見ながら抜く。
具体的なとしては以下のようなものがある。
- コスプレ
- 排泄物(脱糞・放尿)や分泌物を口に入れたり顔や身体に掛けたり塗りつけたりする行為(いわゆる「スカトロ」)
- 泥んこやペンキ
- 食べ物を顔や身体に掛けたり塗りつけたりそこへ放り込んだりする行為
- 縛ったり、吊り下げたりする行為
- 物や生き物を踏み潰す行為(クラッシュビデオ)
- それらの組み合わせ。
制作の際には興味本位に走らず、事前に入念な準備をしなければ、タレントの生命が危うかったり、取り返しのつかないダメージを与える可能性がある。
SM[編集]
厳密にSM行為に区分けされるものから、女優単体ものなどアダルトビデオのメインストリームの作品に緊縛などSM要素を含むものまで存在する。
アダルトアニメ[編集]
実写による撮影ではなく、アニメーションを用いたアダルトビデオについてはアダルトアニメの項目を参照のこと。
コスプレAV(キャラクター物)[編集]
女優が特定の漫画やアニメ、ゲームのキャラクターにコスプレし(許諾を得られるはずもないので、伏字か名前が一部変更になっている)元ネタになった作品に基づいた寸劇を演じながら性行為にもっていくというもので、フェチ目的のコスプレ物とは別物である。基本的には企画物であるが、女優物としてリリースされることがある。
- 二次元と現実の違い。イラスト、特に日本の漫画などはデフォルメが激しいので、そのキャラクターをまんま現実に持っていこうとすると、おかしな事になってしまう(アホ毛の処理など)また、原作では基本的に絵が動くだけなので声優の演技がしっかりしていれば問題はないが、これが実写化されると俳優の演技力が問題になってくる。しかし、演技力を持ったAV女優というのは少ない。原作の声とコスプレしている女優との声のギャップに文句が来ることもある。
- 漫画やゲームなどで背景は絵で済ませてしまえるが、実写となるとそれなりの舞台を用意しなくてはならないし、時にはエキストラも必要になることもある。が、予算が限られているので適当になってしまうことも少なくない。ファミレスの設定だというのにビルの会議室だったり、俳優が歩いている背景の中で、小さくではあるが他人が歩いている事例もある。
以上の点から、AV本来の抜くためのツールではなく、原作とのギャップを楽しむバラエティと化しており、最近の傾向としてはオープニングを忠実に再現してみせたり、寸劇の部分に力を入れる(AV女優の演技力が向上している)反面、肝心であるはずの性行為がおざなりにされていたり、本編にはなくオマケに収録されていたりとAVとは違った方向で発展しつつある。
刑法第175条とマスク(モザイク)[編集]
日本では、刑法第175条(わいせつ物頒布等)によって、わいせつ物を頒布できないことになっており、名目上はポルノ作品は流通してないことになっている。モザイクをかけた作品も法的にはわいせつ物ではないとされる。モザイクは日本ビデオ倫理協会などによる自主規制である。過去の判例によれば刑法上の規制対象となるのは、徒に性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的同義観念に反するものである。
関連項目[編集]
- ゲイビデオ
- ハードコア (ポルノ)
- ジャポルノ
- セックス産業
- セックスワーカー
- AV事務所
- AV女優
- AV女優一覧
- AV男優
- AV監督
- AVメーカー
- アダルトビデオメーカー一覧
- 裏ビデオ
- ビニ本
- 裏本
- オリジナルビデオ
- R指定
- ピンク映画
- 性風俗用語一覧 (カテゴリ別)
- 書籍情報: AV産業 ISBN 4-7948-0573-X
性 | |
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