流行語
流行語(りゅうこうご)は、流行した語(単語、言葉)やフレーズ。
目次
概要[編集]
初出と同時に流行する場合もあるが、期間をおいてから他の事由を契機として流行する場合もある。
芸人がネタとして連発するものなどは一部の者にしかなじみのないものもあるが、近年では、ニュースなどで繰り返し放送されるもの(「想定内」や「クールビズ」)や、ベストセラー書籍のタイトル(「バカの壁」、「負け犬の遠吠え」、「国家の品格」)なども広く耳目を集めやすくなってきている。
1984年に自由国民社が「新語・流行語大賞」を設けて、毎年12月最初の平日に表彰式を行っている。同社発行の『現代用語の基礎知識』には入賞語以外にも当節の流行語が記載されている。なお、この賞の名称から誤解されることがあるが、「流行語の全てが新語」というわけではない。
流行語のその後[編集]
新しく生まれた流行語は一時だけのものとして死語(廃語)と化すことも多いが、一般的な語彙として定着していくものもある。逆に言えば、現在普通に使われている語彙の中には、かつての流行語もある。
また、一過性の流行や事件を表す語は、日常的には使われなくなっても、そのことを表す歴史用語として残ることもある。
一過性の「流行」と思われたものが継続し、それを表す「流行語」も継続的に使われ続けることがある。後から振り返ってみれば単に、新しく現れたものに新しい名前を付けただけであり、流行語とは思えなくなる。
以前から存在した流行語は、もとの使用状況に戻ることが多いが、希に、使い古された感から忌避され、別の語に取って代わられることがある。
日本における流行語[編集]
1920年代[編集]
1927年
- シャン(美人。後ろ姿美人をバックシャンなど)
- モボ・モガ(大正期のモダンボーイ、モダンガールの略)
- 大衆
- 何が彼女をさうさせたか(藤森成吉の戯曲)
1928年
1929年
1930年代[編集]
1930年
1931年
- いやじゃありませんか
- 生命線
- 電光石火
- テクシー
- アメション
- 非常時
1932年
1933年
1934年
1935年
1936年
1937年
- 持てる国と持たざる国
- 抱合せ
- 最後の関頭(蔣介石の演説)
1938年
- 大陸の花嫁
- 買溜め
- 相手とせず(近衞首相声明)
1939年
1940年代[編集]
1940年
1941年
1942年
- 欲しがりません勝つまでは(国民決意の標語)
1943年
1944年
- 月月火水木金金
- 鬼畜米英
1945年
- 一億総懺悔(東久邇宮首相の発言)
- ピカドン
- 四等国(マッカーサー元帥の発言)
- 銀シャリ(大戦後の食料難時代に、白米100%のメシを貴重品扱いして、このように言った)
- マッカーサー将軍の命により(占領解除まで)
1946年
1947年
1948年
1949年
1950年代[編集]
1950年
- オー・ミステーク(日大ギャング事件)
- レッドパージ
- エチケット
- 一辺倒(前年の毛沢東演説、国会での北村徳太郎演説)
- とんでもハップン(英語のネバーハプンをもじったもので、お笑い芸人のトニー谷が流行らせた。さらにこれをもじって「飛んでも8分歩いて10分」、「飛んでも8分転んで10分」とも言った)
1951年
- 逆コース
- BG(ビジネスガール。現在のOLと同義だが、Business Girlは売春婦の意であるとして後に放送禁止となる)
- 社用族
- ノーコメント(サンフランシスコ講和条約におけるグロムイコ代表の発言)
1952年
- ヤンキー・ゴー・ホーム
- デフレ
- こんな私じゃなかったに(神楽坂はん子デビュー曲)
- みてみてみ・きいてみてみ
- 人間機関車(エミール・ザトペック選手)
1953年
- お今晩は、さいざんす(トニー谷)
- むちゃくちゃでござりまする(花菱アチャコ)
- 八頭身(伊東絹子のミス・ユニバース日本人初入賞)
- ティーン・エイジャー
1954年
1955年
1956年
- 理由なき反抗(ジェームズ・ディーン主演の映画より)
- 一億総白痴時代(大宅壮一)
- マネー・ビル
- ドライ、ウェット
- 三種の神器
- エレガント
- 書きますわよ
- ケ・セラ・セラ
- 最低ネ・最高ネ(単に悪い・よいと言う意味)(舟橋聖一「白い魔魚」の映画化)
1957年
1958年
1959年
年未詳
- ハバハバ(早く早く・急げ急げ、語源はハワイ語とも米兵俗語とも中国語とも、1940年代後半か?)
- だいじょうビ(大丈夫)
1960年代[編集]
1960年
1961年
1962年
1963年
- わたしはカモメ(初の女性宇宙飛行士テレシコワの言葉)
- ガチョーン(谷啓)
- 鍵っ子
- お呼びでない?(植木等のアドリブ)
- カワイコちゃん
- オフィス・レディ、OL(翌年の東京オリンピックに合わせて公募)
- シェー(赤塚不二夫「おそ松くん」のイヤミがびっくりした際に片足をあげ、片手を頭にやるアクションつきで)
- 気にしない気にしない
- ナンデアル、アイデアル(アイデアルのCM)
1964年
1965年
- ワタシニモウツセマス(扇千景のフジカシングル8のCM)
1966年
1967年
- 大きいことはいいことだ(森永エールチョコレートCMソング 山本直純作詞)
- ハプニング(意外性のある美術インスタレーションのこと)
- ハイライフ(トヨタ・クラウンのキャッチコピー『白いクラウンは幸せなハイライフの象徴』から)
1968年
- 昭和元禄
- ズッコケる
1969年
- エコノミックアニマル
- はっぱふみふみ(パイロット万年筆(当時)・大橋巨泉#CM)
- Oh!モーレツ(丸善石油のCM)
- あっと驚くタメゴロー
- ニャロメ(赤塚不二夫原作のテレビアニメ「もーれつア太郎」)
1970年代[編集]
1970年
- 芸術はバクハツだ。(岡本太郎)
1972年
1974年
1975年
- あんた、あのコのなんなのさ(「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」の歌詞)
1976年
- (ぜんぜん)記憶にございません(ロッキード事件での政治家の証言から)
1977年
1978年
- 夢でござる(映画柳生一族の陰謀)
※1970年代(特に前半)には『8時だョ!全員集合』からも数多くの流行語(「痛いの痛いの飛んでけ〜」「どうもスンずれいしますた」など)が生まれた(8時だョ!全員集合#番組発の流行を参照)。
1980年代[編集]
1980年
- もみじまんじゅう!(島田洋七(B&B))
- とらばーゆ(求人情報誌とらばーゆから転職を意味する)
- アラレちゃん語(ほよよ、んちゃ、キーン、バイチャなど)(漫画『Dr.スランプ』より)
- ニャンニャンする(意味:性行為を行う)
1981年
- カイカン(映画『セーラー服と機関銃』より)
1982年
1983年
1984年
1985年
- 私はコレで会社を辞めました(禁煙パイポのCMより)
1986年
1988年
- ゴルゴムの仕業か! / ゴルゴムの仕業だ!(『仮面ライダーBLACK』より)
1989年
1990年代[編集]
90年代は数々のトレンディドラマが大ヒットし、大きな影響を与えた。また、中盤からはコギャルの登場とともに多数のギャル語が誕生。世間の耳目を集めた。
- ファジー
- オヤジギャル、おやじギャル(中尊寺ゆつこ『スイートスポット』より)
- キープくん(アッシーくん、メッシーくん、ミツグくん)
- 聞いてないよ〜!(ダチョウ倶楽部のギャグ)
- ビビビッ(松田聖子)
- ほめ殺し
- コギャル
- ジベタリアン(コンビニなどの入口付近で地べたにそのまま腰を下ろす若者)
- バツイチ
- 規制緩和
- 価格破壊
- 貸し渋り
- リストラ
- ID野球(野村克也)
- まずい、もう一杯(八名信夫:キューサイ「青汁」CM)
1991年
- 僕は死にましぇ〜ん(『101回目のプロポーズ』より)
- 嬉しいじゃあ〜りませんか(チャーリー浜)
1992年
- 冬彦さん(『ずっとあなたが好きだった』より)
1994年
- 同情するならカネをくれ(『家なき子』より)
- ヤンママ
1996年
1997年
1998年
1999年
2000年代[編集]
2000年以降はお笑い芸人の一発ギャグが必ずと言っていいほど挙がる。ただこれで成功した芸人は翌年から消える(=売れなくなる)というジンクスがある。またスポーツ界における「王子様ブーム」により「〜王子」という流行語も目立つようになる。
- 2000年
- 2001年
- やだねったらやだね(氷川きよし)
- 2002年
- 2003年
- 2004年
- 2005年
- 小泉劇場(自由民主党:武部勤他)
- 想定内(外)(ライブドア:堀江貴文)
- クールビズ(環境省:小池百合子)
- 刺客
- フォーー!(レイザーラモンHG)
- 富裕層(すみしんウェルスパートナーズ:田中嘉一)
- ブログ(鬼嫁日記ブロガー:カズマ)
- 萌え〜(秋葉原メイド完全メイド宣言)
- 2006年
- 2007年
- ハニカミ王子(石川遼)
- どげんかせんといかん(東国原英夫宮崎県知事)
- ナントカ還元水(松岡利勝)
- 身体検査
- どんだけ〜(IKKO)
- そんなの関係ねぇ、おっぱっぴー(小島よしお)
- 別に…(沢尻エリカ)
- KY(空気が読めない)
- アサヒる
- 2008年
- グ〜(エド・はるみ)
- OMORO!(オモロー)、1・2・さぁ〜ん!(世界のナベアツ)
- おバカ(クイズ!ヘキサゴンII)
- モンスターペアレント
- ワーキングプア
- 居酒屋タクシー
- ゲリラ豪雨
- アラフォー(Around40)
- あなたとは違うんです!(第91代内閣総理大臣 福田康夫)
- 何も言えねぇ…(北島康介)
- サプライズ
- 2009年
2010年代[編集]
- 2010年
- 仕分け(事業仕分け (行政刷新会議))
- 断・捨・離(『断捨離のすすめ』)
- 2011年
- 承知しました / それは業務命令ですか(『家政婦のミタ』のセリフ)
- こだまでしょうか
- なでしこジャパン
- スマホ
- 絆
- 2012年
- 殺したろかという感じ(松村晶史)
時代語[編集]
千石保によれば、流行語とは別に、時代語とでも呼ぶべきものがある。流行語が、「みんなが使っていて面白そうだから」程度の動機で採用され、一過性のものであるのに対して、時代語は、その時代の人間関係の在り方を反映したものとなり、採用しない者には、仲間外れなどの制裁が科せられる。
- 「あいつったら、ブーツとか、ジャケットなど、流行の最先端みたいな服装をしている。」
「とか」にせよ、「など」にせよ、例示であり、断定を避けた表現である。現代の若者は、価値観をぶつけ合う交際をしておらず、万が一価値観の相違による争いが発生した場合、従来の世代よりダメージが深刻になるため、曖昧語を使用するのだという。
ただし、時代語の使用に慣れたまま社会人になると、思わぬ失敗をすることになる。
- (課長)「今日の決算は、いくらだね。」
- (新卒社員)「一応、35000円です。」
一応とは、仮の結論という意味である。ここでも断定を避け、帳尻が合わなかった場合の責任を回避しようとする姿勢が出てしまう。