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(バーリンとケイの基本色名)
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一般に、色は、デザインや[[視覚芸術]]上の重要な要素であり、ある「様式」「作風」「文化」の特徴の一つに、特定の色の使用、特定の色の組み合わせ、色と結び付いた意味などが含まれている場合も多い。
 
一般に、色は、デザインや[[視覚芸術]]上の重要な要素であり、ある「様式」「作風」「文化」の特徴の一つに、特定の色の使用、特定の色の組み合わせ、色と結び付いた意味などが含まれている場合も多い。
  
=== バーリンとケイの基本色名 ===
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あらゆる[[文化]]には、RGBやCMYとは異なる、それぞれの文化的な'''原色'''がある。それはその文化の背骨となっている[[言語]]の中での、最も古い[[色名]]から辿る事が出来る。そのような色名は'''基本色名'''と呼ばれる。
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特別な名前が付けられた色や、また名前の付けられていないような色もあるが、それらは全て基本色名で言い換える事ができる。例えば、「蘇芳色(すおういろ)」は基本色名の「赤 (紅)」と言い代えることができ([[ソクラテス]]の言葉より)、空の色や海の色などをまとめて「青」と呼ぶ事ができる。
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しかし、[[中間色]]がどの基本色名で呼ばれるかは文化によって大きく異なる。例えば、英語の「yellow」は「ocher」([[wiki:アイボリー|黄土色]]や[[茶色]]、[[茶色|褐色]]に近い色)を含んでおり、日本語の「[[黄]]」よりも範囲が広い。また、漢字を使う地域([[日本]]など)や[[マヤ文明]]の『[[青]]』は「green (緑)」、「turquoise(緑青:みどりあお、青緑:あおみどり)」、「blue (青。紫青(或いは、紺))」が混同されているが、他の言語において混同はない。
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このような研究を最初に行ったのは文化人類学者の[[バーリン]]と[[ケイ]]であり、二人は98種の言語を比較し、[[言語]]によって基本色の数は異なること、基本色が対応する色の範囲が異なること、言語の進化によって次第に基本色が[[分化]]し増えてゆくことなどを見出した。また心理学者エレナは、基本色名に対応する色の中でも、その''焦点''となる色(例えば、「赤の中で最も『赤』らしい色」)は文化に拠らず共通する原型色が存在する事実を突き止めた。焦点の存在は[[ヒト]]の色の[[認識]]機能に関わる先天的な要因であり、基本色名に対応する色範囲の違いは[[文化]]など後天的な要因であると考えられる。
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バーリンらによると、最も基本色名が少ないのは二色であり、「[[白]]」「[[黒]]」である。そのような文化における言語に依る色の区分においては、全ての色は白いか黒いかにのみよる。次いで第三に「[[赤]]」が加わり、第四に「[[緑]]」が加わる。その後の過程は言語によって異なるが、「[[白]]」「[[黒]]」「[[茶色|褐]]」「[[赤]]」「[[オレンジ色|橙]]」「[[黄]]」「[[緑]]」「[[青]]」「[[紫]]」の 9種類の色が共通して基本色名に表れるとされる。なおこの9つの色は中国では「[[九色]]」と呼ばれ、特別な意味付けがされている。また、この9色から白・黒・褐を除いた[[六色]]は、[[虹]]の色でもあるが、文化によって虹を何色とするかは異なる。ロシア語の基本色名は最も数が多く、12色である。これは暗青 ''синий'' と水色 ''голубой'' を区別する為である。
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また、色名が存在する・しないことと、その色を他の色と区別できる・できないこととは関係が無い。実際に[[ドニ族]]の言語では色名が「黒(;暗い)」「白(;明るい)」しか存在しなかったが、認識実験の結果では色を識別する能力には何ら問題が無かった。但し、色名が少ないということは、普段の生活で色を細かく区別して考える必要のない文化であることの証左ではある。このように、色の認識に関しては後天的要素よりも先天的要素が上位に位置する。この、認識の可能不可能と名詞の有無の関係は「[[言語]]が[[思考]]を規定するか」という問題と密接に関わっている([[サピア・ウォーフの仮説]])。
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=== 日本語の色とその語源 ===
 
=== 日本語の色とその語源 ===

2012年5月22日 (火) 19:11時点における版

(いろ)とは、視覚を通して得られる感覚の一種で、「形状」や「距離」の様に空間の物理的な性質ではない。色の感覚はある広がりを持った領域(視界内の物の表面など)が発する電磁放射のスペクトルを反映していることが多い。つまり、目に入る可視光線)の波長と結び付いている。ある人が視覚を通して受け取る光の波長が変化すると、それに伴って変化する視覚経験の内容が色である、と言うことができる。但し、多数派の色覚を持つ者以外に、多数派の色覚をもつ人と色覚が部分的に整合しない(色覚特性:「色覚が弱い」のではない)人、色覚を持たない(全盲など)人もいる為、この事例にも例外がある。しかしながらこの事態に限っては、色覚特性があっても知覚可能な波長にあっては事情は同様である。

生理学的に言うと、網膜内にある3種類の錐体細胞が吸収する可視光線の割合が色の感覚を生む。これらの錐体細胞は、それぞれ赤(橙赤)、緑、青(紫青)の波長に最も反応するタンパク質(オプシンタンパク質)を含んでいる。これが3原色という感覚を生む原因である。

色感覚についてはまだ分かっていない事柄が多い。例えば、物理的な対応物が擬似的に存在しないのに色を知覚する例として、ベンハムの独楽という錯視現象がある。ベンハムの独楽とは独楽の上面を白と黒で塗り分けただけであるのに、回転させると色知覚が生まれるという実験を指す。 或いは、ある種の魚類ではヒトよりも1つ多い4種類の錐体細胞を持つ。従って、3原色ではなく4原色の「色」を知覚していると考えられている。

色気を出す」、「色をつける(おまけする)」、「焦りの色」というように、魅力や状態を表す単語でもある。

色と色覚

物理学的には、の変化は、物体と物体を照らす光との「相性」により説明される。物体に入射する何らかの波長の光が観測者の方向へ反射(正反射・乱反射を含む)する際に、その物体の物性に応じた特定の波長のみが反射されそれ以外は吸収される(=波長に応じ反射率が異なる)という現象が起こる。観測者には反射された光だけが届く為、その波長に基づき判断されるが、「その物体の」として認識される(つまり、光そのものに色という性質はなく、光を受けた器官が色を作っている)。

またそのように観測者に届く光とそれに対する認識とに左右される為、一般的なは、人間の視覚即ち可視光線の範囲内を基準として表現されている。逆に言えば、可視光線の範囲を超えた波長の光について観測すると、可視光域で見た場合に比べて全く別の「色」や模様になっている物体もある。例えば蝶の羽根の模様は紫外線領域では人の肉眼で見る場合とはまた異なる鮮やかな模様を描き出すし、真っ黒に焼け焦げた新聞紙などは赤外線領域のある波長では燃えた紙とインクが燃えた部分とで反射率が異なる為書かれていた元の内容を読み出す事が出来る。

錐体と三原色

人間の可視領域において緑6、赤3、青1程度の強度で光が観測される場合、その色は「白」と表現される。一方、全帯域において殆ど観測されない場合、その色は「黒」と表現される。なお、光を完全に反射もしくは吸収する物質は存在しない為、完全に黒い物質は無いが、光を完全に遮断する事で完全な闇を作る事は出来る。

人間の視覚が色を認識する際には、その光の分光分布を直接計っているのではなく、眼球錐体細胞に含まれる3つの色素が光を吸収する割合を計っているに過ぎない。その為、独立した複数の色を合成する事で人間に別の色を感じさせる事が出来る。例えば、黄色の波長の光は、赤の波長の光と緑の波長の光の組み合わせとほぼ同じ刺激を与えるから、黄色は赤と緑の組み合わせの光として表現出来る。そしてこの場合、黄色の波長の光だけが眼球に入っている場合と、赤の光と緑の光が組み合わせで眼球に入っている場合とは人間には区別出来ない。 白色の光を合成する為の波長を「光の三原色」や「色光の三原色」と言い、下記の三色を用いる。

  • (橙赤)(波長: 625-740 nm)
  • (波長: 500-565 nm)
  • (紫青)(波長: 450-485 nm)

色は3つの光を合成する事によって表現出来る(加法混色)。

一方、物体の表面を特定のにする為にインク等を塗る場合、元の光を遮る形で色を作る(減法混色)。その合成の元になる基本色は一般に「色の三原色」や「色料の三原色」(、「色材の三原色」、「絵具(インク)の三原色」など)と言われ、下記の三色を用いる。

この三色を合成して着色された物体の表面は、光の三原色の場合と反対に黒色になる。その為、印刷等に用いる場合には白色素材の表面に印刷することが前提となるし、白色インクの併用が必要になる場合もある。また実際の印刷工程においては三原色全てを混色した場合の色が黒の理想値と異なる。それゆえ、より自然にする目的で黒色インクも併用され、一般にCMYK(Cyan,Magenta,Yellow,Key plate)と呼ばれる。

これはあくまでも一般的な色覚を持つ人間を基準にした色の合成方法である。いわゆる赤緑色盲の強度の人にとっては、2つの原色で(その人にとっての)全ての色を合成することができるし、4つ或いはそれ以上の錐体(若しくはそれに相当するもの)を持つ生物にとっては、4つ或いはそれ以上の「原色」が必要になる。また、そのような生物には、我々が実際の色に近いと判断する写真が、実物と明らかに異なる色合いに見えると考えられる。

色の知覚

  • 人間には感知し易い色と知覚し難い色がある。
    • 赤や黄等暖色系の色は実寸より物が大きく近くに見える拡大色で、他の色より知覚し易い。日本の児童の帽子やランドセルカバーが黄色なのは、知覚し易い色を採用する事で自動車事故を減らす狙いがあるからである。
    • 逆に、青や黒等の寒色系の色は実寸より物が小さく遠くに見える色である。実際に黒色の自動車は他の色に比べて事故が多く、その為バスやタクシーの車体は黒色を避けているものが多い。また、囲碁の碁石も黒石と白石が同じ大きさだと黒石の方が小さく見えてしまうので、黒石を一回り大きく作っている。
  • 人間が暗闇で見え難い色は、茶、黒、青、紫であり、見え易い色は、黄、白、オレンジの順番である。
  • 赤ん坊は赤色を強く認識するので、赤ん坊の玩具は赤色を基調に作られている。
  • 老人性白内障に罹ると水晶体が黄色く濁り、波長の短い青色緑色系統の色は黒っぽく見えるようになる[1]。この為老人はガスコンロの青い炎が見え難く、火傷や火事を起こし易い。

反対色性

光(色光)の混合おいては、(橙赤)とによってマゼンタなどのを得られ、(橙赤)とを混ぜるとを得ることが可能である。このとき、紫には元の赤味も青味もあるが、黄においてこの印象は寡少である。黄には元の色彩(赤、緑)がないと主張する人がいる。然しながら、現実に得ら得る黄は赤気味であったり緑気味であったりする。赤気味でも緑気味でもない「理想の黄」が現実に得られるとは断言できない。また、黄と青から白を作る場合も、元の色味が極度に減じる。このような色味を打ち消しあう性質を反対色性、色自体についてはもう一方の色の反対色補色という。ただし補色という語は厳密な反対色を意味しない場合が多い。

反対色性は網膜から大脳へ効率的に色情報を伝達しようとする為に生じると考えられている。なぜなら、それぞれの色は錐体応答間でも高い相関があるからである。その為、相関が低くなるよう線形変換し、冗長性を低減している。

心理的補正

以上、人間が光線の波長そのものを知覚しているのではなく三種類の錐体の出力比を知覚していることを述べた。しかし、実際にはこれに更に心理的な補正が加わる。

太陽光と異なる波長分布を持つ照明下でも脳が「白色である」と考えるものは白色と感じられる。例えば、白熱灯の波長分布はかなり赤に偏っているが、白熱灯の照明下でも白い紙は白く見える。これは心理的な補正が働く所為である。

太陽光と同じ波長分布の光が最も自然な白色とされるが、それより青成分の強い光を「爽やかな白」と感じる者が多い。それ故、世の中のモニター上に表現される白色は純白より青味が強い色になっている。そのような青味の白も度が過ぎない限り、平時から白を吟味していないような人(多くの人)の眼には「青」でなく「爽やかな白」と感じられる。

白以外の色も心理的な補正を受ける。夜間など十分な光の得られない環境では錐体の機能、特に赤錐体の機能が低下する。その為夜間には赤と黒の識別が困難になるのだが、そのような環境にあっても赤色であると知っているものは赤く見える場合がある。例えば、林檎を黒く塗ったものを暗い環境下で見せると、赤く見える、といったことが起こる。

太陽光線の波長分布は季節や時刻によって異なる。また、周囲に反射した光によっても影響される。例えば周りが青い物ばかりならば反射光によって環境光は青みが強くなる。だが、周囲の色に引きづられて物の色が違って見えては困る。先述の補正の働きは、そのような場合でも出来るだけ一定の色覚を保つ為に発達したとの考えは、ある自然さを持っている。但し、この補正にも限度があり、極端に偏った波長分布では補正しきれない。このことは、地上まで届く太陽光の波長分布が可視領域においておおむね均等になり「白」色の光となることが、人間が進化の過程で形成した視覚器官(およびそれに基づく「色」の概念)に大きく影響を及ぼしているためと考えられる。

色彩心理

  • 暖色系の色は時間を長く感じさせ、寒色系の色は時間を短く感じさせる。
  • 色によってその物体の重さも違って感じられる。同じ重さ・形の物体でも、黒い物体は白い物体より1.87倍重く感じたという実験がある。
  • ロンドンのテムズ川にかかる橋『ブラックフライアブリッジ』は自殺の名所であったが、色を黒から緑に変えた所、自殺者が1/3に減った。
  • けばけばしい色を避けたがる人間の性格を利用して、イギリスの公園は遊具周辺が派手な色で塗られている。遊具目当ての子供であれば気にしないが、大人には心理的障壁となる様な色使いで、変質者が子供に接近する事を防ぐという狙いがある。
  • 子供部屋を黄色にすると,知能指数が高い子供が育つという説がある。

文化における色

一般に、色は、デザインや視覚芸術上の重要な要素であり、ある「様式」「作風」「文化」の特徴の一つに、特定の色の使用、特定の色の組み合わせ、色と結び付いた意味などが含まれている場合も多い。

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日本語の色とその語源

現代の日本語において基本色名と言える色は、上述のバーリンとケイによる報告では九色灰色ピンクを加えた11色である。しかし、彼らの定義に従えば、複合語、外来語、物質・植物・動物などに由来する色名は基本色名ではない。それゆえ、厳密には「赤」、「青」、「白」、「黒」が基本色名になる。英語でも pink, orange は植物由来、purple はラテン語由来である。 日本人が一般に基本的と判断する色には、黄緑色水色なども含まれる場合が多い。子供向けの12~16色程度の色鉛筆クレヨンの一式でこれらの色に馴染みがあることが原因だろう。具体的には「」「」「」「 (褐)」「 (紅)」「」「」「」「黄緑」「」「」「 (紫青)」「」などが挙げられる。また肌色に関しては、肌色という語が日焼けしていない日本人の肌の色のみを指すものではない、という理由で別の名前に変えられている場合がある。

古代から存在する色名は、上記の「アカ (赤)」「クロ (黒)」「アヲ (青)」「シロ (白)」の4色である。他の色は、鉱物植物名などからの借用が多い(簡単な区別法としては、「○○色」を「○○の色」というように分割できないものが古い、と言うことができる。)。

古代から在る色が上記4色である事実は現代日本語においても、その使い方の中に見られる。この4色は、「アカい」「アヲい」「シロい」「クロい」などのように〈色名+“い”〉で使えるが、黄は「黄色い」・茶は「茶色い」というように〈色名+“色”+“い”〉とする必要がある。言葉として熟れていない為、この「黄色い」・「茶色い」、特に「茶色い」に違和感を覚える人は、地域・年代によってはかなりの数が存在する。また、緑や紫では「緑色の」や「紫っぽい」などの表現を用いる必要がある(方言などでは「黄ぃい」「黄ぃない」「緑い」といった言い回しをする人も居る)。

それぞれの語源は、以下の通りとされる。

アカ(赤)
「アケ(朱)」「ア(明)ける」「アカ(明)るい」と同源で、夜が明けて明るくなるという意味から色の赤に転用されたもの。
クロ(黒)
古くはの字が多く使われた。「ク(暮)レる」「クラ(暗)い」と同源で、日が暮れて暗くなるという意味から色の黒に転用されたもの。その際、母音交替(a→o甲)を起こしただけでなく、アクセントまでも高起式から低起式に変化しているのは後述のシロと共通している。染料のクリ(涅。水底の黒土。クロと同様低起式)は意義分化に伴ってアクセント変化を遂げた後にクロから生じたものらしい。
アヲ(青)
植物名で染料名でもある「アヰ()」と同源。後述する「シル(顕)し」の対語で、はっきりしないという意味から色の青に転用されたものという。
シロ(白)
「シル(知)」「シルシ(印)」と同源で、はっきりした様を表わす「シル(顕)し」が、色の白に転用されたもの。その際、u→o甲(詳しくは上代特殊仮名遣参照)に母音交替したのみならず、アクセントまでも高起式から低起式に変化しているのは注目される。

文化の原色がこの4色であることから、古代日本語では、明るい色はアカ、暗い色はクロ、はっきりせず曖昧な色はアヲ、はっきりした色はシロと呼ばれていたと思われる。 これらはマンセル・カラー・システム等における明度、彩度の概念を想起させるが、現代において「赤」と呼ばれる色ははっきりした(彩度が高い)色であり、「白」と呼ばれている色は明るい(明度が高い)色であることから、赤と白の間で言語の逆転が起こったと思われる。

語源からも分かるように、原始日本語においてはクロの対義語はシロではなくむしろアカであったと判断されるが、奈良時代には既にシロ甲/クロ甲のようにロの母音が同じロ甲類音になっており、シロとクロが対義語として捉えられるようになっていたようである。「白黒はっきりさせる」などのように、或いは警察関係の隠語でシロ・クロというように、シロがクロに対置されるようになった経緯については様々な意見が見られるが、「クラさ」に対する「アカるさ」が、「事物を明瞭にシルことができること」として意味が移り変わっていったことや、中国から入ってきた五行思想の色彩観の影響が理由として挙げられている。


ミドリ(緑)の語源ははっきりしないが、アクセントからは「ミヅ(水)」と同源ではないかというのが有力(芽ではアクセントが合わない)である。「みどりの黒髪」という言い回しがは、『みずみずしさを感じさせる艶のある黒髪』の意で、おかしな表現ではない。 日本文化の四原色の中で「ミドリ」は「アヲ」の中に属するが、これは概念の問題に過ぎず、古代日本人が現代でいう(green)と(blue)を区別する能力を持たなかったことを意味しない。

ミドリ(緑、green)をアヲ(青、blue)の一部とする用法は広く残っている。また、ミドリをミドリとせずアヲと呼ぶ色彩観も方言などにおいては残っており、地方によっては今でもミドリ系統の色を含めてアヲと呼ぶ。また、中国語朝鮮語でも、ミドリとアヲを混同する傾向がある。漢字の「」も、「緑」と「青」が混同されており、実際には「緑」を意味する単語が多い。 また、その色彩観は、少なくとも近代まで、日本文化・政治にも存在した。「信号」という単語がその証明で、歩行者・自動車信号は法令により「色信号」(green light)として定められ、実際にも現代人が「ミドリ」と感じる色彩が用いられているにも関わらず、俗に「あお信号」と呼ばれ、そのまま定着した。現在では法令の方が『実情に合わせて』改正され、「信号」となった(更に、現在の緑信号は、赤緑色弱者に配慮し、青緑となっている。また、緑ではなく、実際に青い「青信号」も登場している。)。尚、現代の中国では、「信号」を「灯」と言い、「緑」と「青」を区別している。

キ(黄)はコガネ(黄金)のように複合語の形ではコという語形を取ることから、同様に複合語でコダマ(木霊)・コノハ(木の葉)という語形を取るキ(木)と同源の可能性が疑われる。但し、両者のアクセントは合わないので、その場合は先述したシル(顕)→シロ(白)、クラ(暗)→クロ(黒)と同様に意義分化に伴ってアクセント変化を遂げたものと解釈するしかない。

ムラサキ(紫)チャ(茶)などは染料の名からの借用、ハイ(灰)はその名の通りの色である。


色に対する一般的な印象

色彩は様々な感情を表現したり、事物を連想させることがある。 国や文化などによって違いはあるが、一般的な印象は次のようなものである。

善(主にキリスト教圏)、雪、無、清潔、純粋、無罪 など
悪(主にキリスト教圏)、死、男、武勇、汚濁、夜、有罪、無 など
(茶色)
土、豊穣、糞 など
血、生、火、力、女、情熱、危険、熱暑、太陽(日本)など
温暖、快活 など
太陽、穀類、金、注意、臆病、色欲(中国) など
植物、自然、安全、幼稚、真面目、嫉妬(英語圏)など
水、冷静、知性、憂鬱、寒冷 など
王位、高貴(中国)、貴重、神秘 など
神、宝、光、命 など

職種、階層、貧富を言い表す際にも色が用いられる事がある。例:ホワイトカラー(事務職)・ブルーカラー(肉体労働職)、ブルーブラッド(貴族・首筋が日焼けせず静脈が見える人間)・レッドネック(首筋が日焼けした屋外労働者・アメリカ南部者)・ホワイトトラッシュ(貧乏な白人(レッドネックが白人の男を指すのに対し、こちらは女を限定して指す事もある))

カラーギャングはそれまでのギャングと違い、互いの対立を色で示しあっている。

政治における色

政治の世界においては、色が特定の政治的な立場を現すことがよくある。

は、左翼社会主義共産主義を形容する色としてよく使われ、党派的にも容共で政府・資本家に反く側を表す。一説には、1848年革命パリ・コミューンの時に、革命軍が掲げていた三色旗が血に染まって赤くなったから、左翼的立場を形容するのに赤を使うようになったとされる。


は、右翼反共主義を指す色として使わる。反共で政府資本家に親しい側(資本主義など)を指す。フランスの王党派が使い始めたのが最初で、フランスのブルボン家の白百合紋章に由来する。以来、反革命軍は白旗を目印として、右翼的立場を形容するのに白を使うようになった。

も、右翼反共主義を指す色として使われる。反共だが政府・資本家に反く側(ファシズム)を指し、白と区別される。日本では天皇の臣下を意味する色として利用される事があった。ベニート・ムッソリーニファシスト党は制服の色として使った。

は、保守主義を形容する。

は、労資協調主義や自由主義リベラル派を形容する。御用組合は俗に「黄色組合」とも言われ、黄色は容共かつ政府・資本家に親しい党派を表す。

は、環境保護派や「緑の党」を形容する色として広く使われている。宗教ではイスラム教を象徴する事から、イデオロギーではイスラム原理主義を形容する使い方がある。

(茶色)は、独裁主義やナチズムを形容する。これは、ナチ党突撃隊(SA)の制服に因む。

ヨーロッパなどでは三色の縦縞または横縞の国旗が多いが、これらの色にも意味を持たせている。例えばフランス国旗では青=自由、白=平等、赤=博愛の意味があり、国家の在り方を色で示している。

商業における色

日本では、JAPAN FASION COLOR AUTHORITY (JAFCA)が毎年流行色を決めている。

  • 自動車業界では緑色は不人気色なので、中古車として買い取られる場合、他の色より値が下がる。
  • 玩具業界では、黒い玩具は売れない、と言われていたが、ダッコちゃん人形がそれを破った。
  • コンシュマーゲーム業界では、黒色の据え置きハードは売れない、と言われていたがプレイステーション2がそれを破った。
  • レゴブロックは、子供が兵器の模型を作って遊ばないようにと緑のブロックを極力作らなかった。

コーポレートカラー

企業や団体等の組織を象徴する色をコーポレートカラー(Corporate Color)と言う。

看板・標識

商業看板では色がもつ生理的反応や印象を利用してコーポレートカラーと同様の効果を期待した色や組み合わせを用いることが多い。茶色やオレンジ色の組み合わせは体温を上昇させ食欲を増す色とされる。飲食業にあっては、遠くから識別させる目的の商業看板では黒・オレンジ・茶の各種組み合わせが取り入れられている。 視神経はアルコールが入ると赤色に敏感になる為、居酒屋は赤提灯を下げている。

  • トンカツ屋:茶色の背景に白抜き文字。
  • 牛丼屋:橙の背景に黒文字。
  • 喫茶店:焦げ茶。
  • 各国料理:フランスに代表される三色旗から各国の料理を指す場合に用いられることが多い。一般にトリコロール(仏:Tricolore、赤・白・青)はフランスを指すが、イタリアの赤・白・緑、アイルランドの橙・白・緑の組み合わせも、同様の用いられ方をする。
  • ガソリンスタンド:赤
  • コカ・コーラ:赤の背景に白文字。
  • マールボロ:紅白のツートンカラーで、米国タバコ会社のコーポレートカラー。マールボロ・カラーとも言われる。
  • ロボットアニメロボット:1980年頃以前は青・赤・黄がロボット三原則に引っ掛けて「ロボット三原色」と言われ、玩具において子供に訴えかける印象が強いと考えられ必須のものとされていた。逆に子供に不人気な色は緑であり敵方ロボットに多く使われたが,機動戦士ガンダムザク等ではかえって実在の兵器に近い重厚感を醸しだし,人気の一因となった。
  • 清涼飲料水:白地に青。1980年大塚製薬が「飲む点滴液」として開発し発売したポカリスエットは既存のスポーツ飲料と差別化を図り、清涼飲料水としては前例のない色調を使った。色の専門家の多くは販売戦略上は不向きと予測したが企業戦略により新たな分野を開拓し、水分補給の色として確立・定着させた数少ない事例。財団法人ハイライフ研究所
  • 工事現場・バイオハザード放射能等の危険区域:黄と黒の二色一組。
  • 非常口:緑と白の二色一組。

外部リンク

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