土合駅
土合駅(どあいえき)は、群馬県利根郡みなかみ町湯桧曽にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)上越線の駅である。
概要[編集]
群馬県内の普通鉄道の駅としては最北端に位置する。当駅までが高崎支社管轄であり、上り線の清水トンネルの出口付近に新潟支社との境界が設置されている。ただし、定期の普通列車は全列車新潟支社の車両が乗り入れており、隣の湯檜曽駅とともに、高崎支社は施設管理のみの担当となっている。
下りホームが新清水トンネル内にあり、駅舎(地上)からは10分ほど階段を下りないと到達できない、「日本一のモグラ駅」として親しまれている。「関東の駅百選」認定駅の1つ。
年表[編集]
- 1931年(昭和6年)9月1日 - 上越線水上 - 越後湯沢間開通と共に信号場として開設。
- 1932年(昭和7年)12月17日 - スキー季節中に限り、旅客営業を開始。
- 1936年(昭和11年)12月19日 - 駅に昇格。
- 1967年(昭和42年)9月28日 - 新清水トンネル開通により、湯檜曽 - 土樽間が複線化。同トンネル内の下りホームを運用開始。
- 1985年(昭和60年)3月14日 - 無人化。その後、特別改札で1990年代中頃まで駅業務を継続。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により、東日本旅客鉄道が継承。
- 1998年(平成10年)8月29日 - 集中豪雨による土砂崩れで、上り線構内が被災。復旧作業のため約1か月にわたり、水上 - 土樽間で下り線を使用した単線運行を実施。
- 2000年(平成12年) - 関東の駅百選に認定される。
駅構造[編集]
山間部にある地上駅。無人駅となっている。ただし後述する臨時列車の運転時には、管理駅の水上駅から駅員が派遣されて臨時窓口が設けられる。駅舎内には待合室、自動販売機、トイレなどがある。
当駅最大の特徴は、上下のホーム間が大きく離れていることである。これは、上越線の複線化の際に下りホームを地下70mの新清水トンネル内に設置したことによるもので、駅舎と上りホームのある地上と下りホームの高さは81mもの高低差がある。下りホームから駅舎に行くには、ほぼ一直線に伸びる462段の階段(長さ338m)を上り、143mの連絡通路、さらに24段の階段を上る必要がある。改札口から下りホームまでは徒歩10分程度を要するため、駅員が配置されていた時代には、下り列車については改札が発車10分前に打切りという扱いになっており、市販の時刻表にもその旨が記載されていた。階段の中間部付近にはベンチが設置されている。エスカレーターの設置スペースが確保されている [1]が、現在エスカレーターを設置する予定はない。
下りホームは単式1面1線の構造である。かつては、通過線(本線)と副本線が設けられており、副本線にホームが設置されていたが、2008年5月から10月にかけてホーム改良工事が行われ、ホームが副本線から本線へ移された[2]。上記の通り地下深いトンネル内にあるため、季節に関わらずほぼ気温は一定となっている。ホーム上には、待合室の他、トイレが設置されている。照明はあるが、トンネル内ということもあって非常に薄暗い。本線側の側壁には作業員退避用の空間が設置されている。プラットホームの照明は夜中でも点灯したまま(連絡通路と階段は消灯)になっており、深夜帯に通過する夜行列車の車内から駅通過の模様を確認できる。
上りホームは単式1面1線で、駅舎に面する地上部にある。かつては上下で1本のホームを共用する島式ホームだったが、複線化の際に旧下りホームは待避線となり、優等列車の通過待ちに使われた[3]。その後、駅舎側の線路を剥がして1面1線にしている。1998年の土砂崩れによってホームの一部が破壊され、以後は駅舎に近い部分のホームしか使われていない。
下りホームは嵩上げ工事が行われたが、上りホームに関しては嵩上げ工事が行われていないため、列車とホームの段差は大きい。
のりば[編集]
1 | ■上越線 | (下り・地下ホーム) | 越後湯沢・長岡方面 |
2 | ■上越線 | (上り・地上ホーム) | 水上・高崎方面 |
利用状況[編集]
群馬県統計年鑑公式サイトによると、1日の平均乗車人員は以下の通りである。
年度 | 一日平均 乗車人員 |
---|---|
2000年 | 21 |
2001年 | 21 |
2002年 | 19 |
2003年 | 18 |
2004年 | 22 |
2005年 | 18 |
2006年 | 16 |
2007年 | 16 |
2008年 | 17 |
2009年 | 14 |
2010年 | 24 |
2011年 | 22 |
夏季や秋季には谷川岳などへの登山客を中心として一定の利用客がある。また、下り地下ホームを目当てに訪れる観光客が増えている[4]。
かつては多くのハイカー達による乗降客で賑わった時期もあり、列車到着後の改札口には長い行列ができる混雑ぶりだった[4]。下り地下ホーム完成当時、工事関係者が「谷川岳に登るのに、これぐらいの階段で疲れるようじゃだめだろう」と語り[5]、登山客の一部はウォーミングアップとして階段を駆け上がる競争を行なっていた[4]。かつて運行された列車としては、2001年頃までゴールデンウィーク時期に新宿発当駅着の臨時夜行快速があった。
しかし、1982年に上越新幹線が開業したことや1985年に関越自動車道が開通した影響を受け、少しずつ乗降客が減少したことにより1985年3月から無人駅化した[4]。
現在、関越自動車道の水上インターチェンジが車で20分程度の距離にあること、この区間の定期普通列車の本数が少ないこと、この付近で最も主要な観光ポイントである谷川岳ロープウェイの駅まで若干の距離があることなどから、ハイカーや登山客は、自家用車の利用か水上駅や上毛高原駅から谷川岳ロープウェイまでのバスを利用する人が多く、あえて当駅を利用する人は少なくなっている。
2000年代以降、7月 - 9月の観光シーズンには上野駅始発の快速「一村一山」号(当駅始発終着)や本来は水上駅折り返しの上野駅発の特急「水上1・4」号が延長運転(越後湯沢駅まで)されて当駅に停車している。また北関東地区から日本海岸への海水浴客輸送の臨時快速「マリンブルーくじらなみ」号も停車する。この臨時列車運転期間中のみ、管理駅からの駅員派遣により、当駅は有人駅となる(前述の通り、通常は無人駅で駅員は配置されない)。 また2011年からは6月終わりもしくは7月初旬に上野駅 - 当駅間の臨時快速列車「谷川岳山開き号」が運転されており、下り区間は夜行列車となっている[6]。
駅周辺[編集]
バス路線[編集]
乗場 | 系統 | 主要経由地 | 行先 | 運行会社 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
谷川岳ロープウェイ駅 | 関越交通 | ||||
ゆびそ温泉、湯檜曽駅前、水上駅 | 上毛高原駅 | 関越交通 |
その他[編集]
- 菊池直恵原作の『鉄子の旅』で取り上げられた。
- 地上ホームは携帯3社通信可能、地下ホームはNTTドコモのFOMAが使用可能(ソフトバンクモバイルの3G、au、ウィルコムは使用不可。)である。
- 2000年には『第20回全国高等学校クイズ選手権』(日本テレビ系)の全国大会に使用された。
- 2009年12月10日のおもいッきりDON!の「ニッポン勝手にランキング! 〜群馬県 BEST5〜」で紹介された。
- 横山秀夫著「クライマーズ・ハイ」また、同作品の映画、原田眞人監督の「クライマーズ・ハイ」のオープニングで同駅が登場した。
隣の駅[編集]
出典[編集]
- ↑ “【停車場ストーリー】JR上越線・土合駅 “地底”70メートル 日本一のモグラ駅”. MSN産経ニュース. (2008年4月26日).オリジナルの2010年12月7日時点によるアーカイブ。 2011年11月5日閲覧。
- ↑ 同様の工事は隣の土樽駅でも行われた。
- ↑ 国鉄全線各駅停車6 中央・上信越440駅
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 “【停車場ストーリー】JR上越線・土合駅 “地底”70メートル 日本一のモグラ駅(2/3ページ)”. MSN産経ニュース. (2008年4月26日).オリジナルの2010年12月7日時点によるアーカイブ。 2011年11月5日閲覧。
- ↑ “【停車場ストーリー】JR上越線・土合駅 “地底”70メートル 日本一のモグラ駅(1/3ページ)”. MSN産経ニュース. (2008年4月26日).オリジナルの2010年11月28日時点によるアーカイブ。 2011年11月5日閲覧。
- ↑ JR東日本が臨時上野発夜行列車「谷川岳山開き号」を運転 - 谷川岳プロジェクト(群馬県みなかみ町)2011年5月20日
ジョイフルトレイン・イベント列車の運転についてPDF - 東日本旅客鉄道高崎支社 2011年5月20日