ゼロゼロ物件

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ゼロゼロ物件(ゼロゼロぶっけん)は日本の住宅事情のひとつ。敷金礼金の支払いを必要としない不動産賃貸物件の通称である。

概要[編集]

1988年頃から東京の大手賃貸業者により始められた事業形態であり[1]、賃貸物件の供給過剰にともなう競争激化を背景に2005年前後から増加傾向となる[2]。初期費用が安く抑えられることから、低所得者層に人気があるとされている[1]

「ゼロゼロ物件」不動産賃貸借契約の貸し手側は、礼金だけでなく「原状回復費用」や「賃料不払いに備えた敷金」も「なし」としていることから、借り手側が契約期間中に支払う賃料を何らかの理由により支払えず契約義務を果たせない場合、その債務担保履行させる何らかの方法を確保せざるを得なくなる。そのような意味で、「ゼロゼロ物件」を敷金・礼金が必要ない単なる「格安物件」であると判断することは間違いである[3]

「ゼロゼロ物件」の語は、2005年に新聞[2]2006年にテレビのドキュメンタリー番組で紹介された[4]

トラブル[編集]

「ゼロゼロ物件」では、敷金・礼金を不要とするため、貸し手側のリスクは当然高い。借り手側が家賃を滞納したまま逃亡し、所在地が特定できない場合でも、敷金・礼金が存在しない以上、それらと相殺することができない。

こうした事情から、敷金・礼金がゼロであるとしながらも、「入会金」「保証金」「会員権維持費用」「鍵交換費用」「生存確認費用」などの名目を付けて「敷金・礼金数か月分に相当する金銭」を徴収するケース[5][2]があり、「敷金・礼金ゼロ」という宣伝広告と実質的に異なるとして、各地の消費者センターなどへの相談が相次いだ[2]

敷金・礼金がない分、家賃滞納への対処は厳しく、追い出し屋などを使った賃借人を強制退去させる強引な手法からトラブルにもなっている。

東京都新宿区の不動産会社スマイルサービス[6]は「鍵の一時的使用」という契約内容[7]を名目に、1日滞納しただけで強制的に鍵を交換し、「鍵の出張交換料」の名目で高額な違約金を取り立てており、入居者3人との間で訴訟事件となっている[1]。被害対策弁護団によると、「実態が住宅の賃貸契約であり、施設付き鍵の一時使用とするのは、借地借家法の脱法行為」と批判する[8]

また大阪府兵庫県でも同様の事例が発生し、鍵や施設の一時的賃貸借契約として立ち退きを迫られた入居者らが提訴している[9]

2009年3月9日にも東京都で同様の事例により賃借人の家財の一部を返還しない[10]などの行為があり、「不動産侵奪や住居侵入、窃盗などの罪にあたるおそれがある」として東京地方検察庁への告訴が行われた[11]

このほか(相殺に充てられるべき)敷金がないことにより、退去時に高額の「原状回復費用」を請求されるケースもある(敷金がある不動産賃貸物件の場合、原状復帰費用を差し引いた余りが出ると、その残額は退去時に返還される)。

こうしたトラブルについては、国土交通省による実態調査が行われている[12]

脚注[編集]

  1. 1.0 1.1 1.2 読売新聞 「敷・礼なし「ゼロゼロ物件」トラブル続出、若者ら提訴へ」(2008年9月20日時点のアーカイブ
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 日本経済新聞 2005年6月15日 夕刊 「敷金・礼金ゼロの死角」
  3. MSNマネー 「敷金礼金ゼロの物件、借りる時はここに注意」[リンク切れ]
  4. テレビ東京 2006年5月28日 放送「歌舞伎町ゼロゼロ物件に集まる女達」『給与明細
  5. 仕事情報誌ドカント 第1特集
  6. 同社は「自己保有物件を賃貸しているため、宅地建物取引業にはあたらない」と主張し、宅地建物取引業免許も取得していない。東京都内に本店を置く宅建業者を検索できる東京都都市整備局の宅地建物取引業者の免許情報提供サービスでも、該当なしと表示される。
  7. 契約の際に「施設付き鍵利用契約」なるものを結ばせ、「居住権はなく、ホテルとしての利用である」と説明している。
  8. 朝日新聞 「敷・礼金ゼロでも…家賃滞納で勝手にカギ交換 近く提訴」(2008年7月19日時点のアーカイブ
  9. 毎日新聞 「ゼロゼロ物件: 被害賠償を 「居住権侵害」4人訴え--大阪簡裁」[リンク切れ]
  10. 旅館であれば、民法第317条によって、宿泊客が負担すべき宿泊料及び飲食料に関し、旅館に在る宿泊客の手荷物について先取特権が存在し、民法第319条により旅館は手荷物を即時取得することができ、民事執行法に基づいて差押手続きをした上で手荷物を没収することができる。
  11. 産経新聞 2009年3月9日 「家賃滞納で荷物撤去は窃盗」(2009年3月12日時点のアーカイブ
  12. 「家賃債務保証業務の適正な実施の確保の要請等について」 - 国土交通省 報道発表資料 2009年2月16日

関連項目[編集]