紅白帽

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紅白帽(こうはくぼう)は、おもに日本小学校児童体操着の一部として使用される帽子(体操帽子)であり、赤白帽(あかしろぼう)とも呼ばれる。

生地の面と面がの2色で分けられており、リバーシブルで使用できる。

日本に特有[編集]

世界的には制服としての体操着という概念自体が一般的でなく、特に欧米の価値観では人権に抵触する強制との捉え方もあってむしろ否定的である。また、日本に近い考え方をする韓国では赤という色が共産主義を想起させるため、赤と白ではなくもっぱら青と白で区別されている。よって、紅白帽およびその機能的特徴は、世界に類似物が見当たらない日本に独自の衣裳であると言える。

使用方法[編集]

体育時に小・中学生が使用することが多く、特に小学校では運動会などで使用されることが多い。通学帽を採用していない小学校では、通学帽代わりとして採用しているところもある。

着衣水泳の授業で、紅白帽子をかぶらせる小学校もある。

構造的特徴[編集]

生地の表面を赤色、裏面を白色とする[1]2色分けの帽子であり、表と裏を使い分けられる機能(リバーシブル機能)を持っている。この機能が、体育の授業や運動会などで1グループを2手に分けて「赤組 - 白組」といった対抗型の競技構造を作るのに用いられる。ほかにも、運動会での組体操ダンスなどの協調性をテーマとしたいわゆるマスゲームの場合には、赤と白を交互に配するなど色彩的演出の小道具としても使われる。

紅白帽は、その登場以前から使われていた紅白の鉢巻の発展型との位置づけができる。紅白帽は帽子本来の機能や視認性の高さのほかにも、別々の2本を用意しなくてはならない場合があり[2]、紛失の可能性の高い鉢巻に比べて、それらの点でも優れている。

男子用と女子用とがあり、女子用は髪の毛の量を考慮して帽子の深さが深くなっている。小学生用を主として、ほかに幼稚園児用と大人用があり、大人用は「中学生以上、大人兼用」の規格である。また、(つば)が付いているものが一般的であるが、鍔がない頭巾型のものも存在する。加えて、後部に日差し避けとなる帽垂れ布[3]が付いている型もある。鍔つきと帽垂れつきはゴム製の顎紐(あごひも)によって、頭巾型はそれ自体のゴム紐の締まりで頭部に固定する。

素材には綿ポリエステル、および両方の混紡素材が用いられる。

なお、これらの特徴は後述のカラー帽子についても変わりない。

カラー帽子[編集]

近年では、表面の赤色に代えて黄色オレンジ色ピンク紺色水色茶色などさまざまな別の色が使われることもあり、これらは総じてカラー帽子と呼ばれている。幼稚園や保育園で採用されていることが多いが、小学校や中学校などでの使用例もある。

歴史[編集]

発案者[編集]

紅白帽は、昭和の中期・後期に活躍した喜劇俳優にして落語家発明家でもあった柳家金語楼が発案し、実用新案として登録したのが始まりで、当初から全国に広く普及し、今日の日本においてもほとんどすべての小学校で採用されている。また、幼稚園での採用も多い。

紅白の源流[編集]

そもそもこの紅白の組み分けによる対抗型の図式には起源があって、それは古代日本の最末期に源氏平家の間で繰り広げられた源平合戦における両者の対立構造である。平家と源氏がそれぞれに赤旗(紅旗)と白旗を旗印として戦った史実に由来して、後世の日本人の意識に根付いた色彩感覚であり、発達してきた習俗、その一例をこの紅白帽に見ることができる。なお、源平の紅白については「白旗#源氏の白旗」も参照のこと。

学校[編集]

日本人学校(小・中学校)では、日本の児童、生徒だけでなく現地(海外)の児童、生徒も同じ体操着を着用しているところもある。

例をあげるとシドニー日本人学校では、海外やオーストラリア現地の小学生男女が日本の小学生男女と同じ白無地のバレーシャツ半袖体操服に濃紺無地の短パン(スポーマー)、濃紺無地のブルマーを着用し、頭に紅白帽子をゴム紐を耳の後ろに通し顎にしっかりかけて被っている格好で体育の授業を受けていたところもある[4]

熱中症対策[編集]

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日よけ布付の紅白帽(カラー帽子)を着用する奈良県の園児たち。(2013年)

地球温暖化などの要因で夏期に熱中症の患者が急増するようになった2000年代後半以降、紅白帽を採用する小学校や幼稚園の多くで、熱中症を予防する為に紅白帽の後頭部に日よけの布(タレとも呼ばれる)を取り付けたものを着用させる例が増えてきている。日よけの布は紅白帽に縫い付けられた固定式と、任意に着脱が可能なタイプが存在しており、元々日よけ布が無い紅白帽を用いていた学年や施設の場合は、保護者の任意で日よけ布の後付けを許可している例も見られた。

このような機能性を持つ帽子自体は、旧日本軍第二次世界大戦中に酷暑の南方戦線を中心に用いていた略帽(戦闘帽)の着脱式の帽垂布や、戦後のフランス陸軍が旧日本軍の略帽の機能性を参考に開発した固定式垂布付のキャスケット・ビジャール(リザードキャップ)などの軍帽に先例が存在するが、紅白帽の日よけ布が具体的に何を直接の参考として開発されたものかは不明である。

日よけ布付紅白帽が一定以上の普及を見せた2010年代中盤以降は、成人向けの作業帽にも着脱式の垂布を後付けする為の用品(ネック・サンシェード)や固定式垂布を最初から取り付けてあるものが作業服店を中心に販売され始め、成人女性向けの日よけ帽にも大型の固定式垂布が取り付けられたものが普及するなど、帽垂布が本来有していた旧日本軍の軍帽としてのイメージは次第に希薄になってきている。

脚注[編集]

  1. 実売の状況に基づき、カタログ上の記述で赤色(カラー帽子の場合はその色)が表面、白色が裏面と紹介されている。
  2. ただし、紅白帽の登場以降は、鉢巻にもリバーシブル・タイプが存在する。
  3. ぼう-たれ-ぬの。「帽垂れ」「垂れ布」とも言う。
  4. 1989年4月23日付の読売新聞、首都圏教育の記事「先生不足に悩む日本人学校」より

関連項目[編集]