「お詫びCM」の版間の差分
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2014年7月8日 (火) 13:22時点における最新版
お詫びCM(おわびしーえむ)とは大量のリコールなど、メーカーが製品に関する不祥事を起こした場合、通常はそのメーカーのCM自体が自粛され、ACジャパンなど他のCMに差し替えられる。ただし、死亡事故が発生するなどの重大なケースでは事故の発生を謝罪し、該当製品の修理・取り替えなどを視聴者にお願いするCMが流れることがある。また稀にテレビ局側でも、不祥事の謝罪や、視聴者に呼び掛ける警告でもしばしばCMが流れることもある。これを俗にお詫びCMまたは謝罪CMという。
最初のお詫びCMは、三洋電機が1985年に石油ファンヒーター事故を受けて制作したCMであるとされる。このCMは動画やBGMが一切流れず、テロップと事故を起こした製品の写真のみが表示され、淡々と男性ナレーター(担当:津田英治)が事故の報告と謝罪、製品の修理のお願いを語るだけという、通常のCMの形式とは著しくかけ離れたものだった[1]。また、このCMはYouTubeやニコニコ動画で視聴可能。 また、同年から1986年に日立製作所が冷凍冷蔵庫の発火事件を受けてお詫びCMを流した。
その後同種のCMは途絶えて久しかったが、2003年に三菱ふそうがリコール隠しを受けて、関連会社の三菱自動車とともにお詫びCMを流した。また、同年には雪印企業グループが提供番組の終了を受け、雪印乳業、雪印食品の不祥事をお詫びするCMが3分間流された。
2005年には松下電器産業(現・パナソニック)がFF式石油温風機事故を受けてお詫びCMを流した。このころ、自動車や家電などの欠陥が内部で隠蔽されていたことがセンセーショナルに報道されていたため、欠陥発覚後いち早くお詫びCMを流し松下電器産業はむしろ株を上げる結果となった。これを受け松下電器産業以降、各企業によるお詫びCMが相次いだ。例として、2006年にはパロマ(湯沸器死亡事故)、アイリスオーヤマ(シュレッダーによる指切断事故)がそれぞれお詫びCMを流した。CM再開後は各社提供していた名古屋国際女子マラソンにて企業イメージの社告CMを流した。これらのCMの形式は松下電器産業のCMと酷似している。
2007年になるとリンナイ(湯沸器死亡事故)、INAX(現・LIXIL)(浴室換気乾燥暖房機発火事故)、ヨドコウ(ヨド物置閉じ込め事故)、日本生命(保険金不払い問題)、政府広報(年金記録問題)、日立ハウステック(現・ハウステック)および日立アプライアンス(ミニキッチンユニット用電気こんろのスイッチ不具合)、サンウエーブ(日立と同種の事故)、三洋電機(扇風機発火事故)、不二家(賞味期限切れ原材料使用問題、製品安全確保宣言を社告CMで後日1~2週間程度放送)と特に相次いだ。これらもほとんどが松下電器産業のCMと酷似しているが、日本生命のCMは他のお詫びCMとは異なり、テロップが下から上へ流れていく形であり、BGMが流れている。松下電器産業のお詫びCMも後にBGMが流れる新バージョンのCMがある(また、社名変更後も冬季を中心にCMでの活動を実施している)。なお、リンナイは現在までフジテレビ系列の平日朝の帯で放送している情報番組に長らく提供しているが、同番組のみお詫びCMを実施している。
2008年には、JT(子会社のJTフーズによる食中毒問題)・ADEKA(ハローキティ電動式カイロ発火事故)・伊藤ハム(地下水汚染問題)・マンナンライフ(蒟蒻畑窒息事故。同社は後日、「蒟蒻畑」のクラッシュゼリーを新規で開発・発売。)・小泉成器(電子レンジ発火事故)といった企業がお詫びCMを流した。また日清食品は、お詫びCMではないものの、当時問題となっていたカップヌードルの匂い移りを防ぐための、保存方法についての注意喚起を伝える、社告形式のCMを放映した。以降、カップ麺には必ず保存方法についての注意文を側面に追記している。
2009年には、日立(※家電子会社管轄)が冷蔵庫のCO2削減量不正表示問題についての、メットライフアリコ(旧アリコジャパン)が個人情報流出問題についての、長府製作所が石油風呂がまの無償点検についてのお詫びCMをそれぞれ放映した。
2010年には、トヨタ自動車が大規模リコールを受けての、また日清食品はタイムカン回収についてのお詫びCMを放映した。また、お詫びCMではないが、アイフルが放映した貸金業法改正の告知のCMが、お詫びCMと同じ「文字と音声のみ、BGMなし」という形式だった[2]。
2011年には、岩谷産業が電子レンジの発煙・発火事故防止のための無償点検を告知するお詫びCMを、武富士が倒産による債権届け出を呼びかけるCMを、東京ドームシティアトラクションズシアターGロッソがアトラクション「スピニングコースター舞姫」によって男性客が転落し死亡する事故により開催予定だった「天装戦隊ゴセイジャー」ショーの中止を告知するお詫びCMを放映している。
2013年には、長崎グループホーム火災でTDKの加湿器が火元であること、カネボウ化粧品はロドデノールを使用した化粧品の回収を促すお詫びCMを放映している。また、長府製作所が2009年に引き続きお詫びCMを放映している。他にも、ブラザー工業(猫の尿によるFAX発火事故)や、アクリフーズ(群馬工場で製造された冷凍食品に農薬が検出されたため)などがお詫びCMを放送した。
東日本大震災による影響[編集]
2011年3月11日に発生した東日本大震災による影響として、東京電力は福島第一原子力発電所事故、ならびにそれに伴う計画停電や節電への協力についてのお詫びCMを、またENEOS(JX日鉱日石エネルギー)や出光興産など石油元売各社は、地震による各製油所・油槽所の操業停止、ならびにそれに伴う石油製品の供給不足についてのお詫びCMを放送した。さらにJR西日本は、地震による鉄道車両の補修部品の供給不足を原因として、一部の在来線特急と地方路線における減便ダイヤ(間引き運転)、および列車の短編成化についてのお詫びCMを放映した。また、ユニチャームは震災の影響による商品仕様変更について、ヤマト運輸など運送業各社は震災による配送の遅延および被災地での集配送業務一部取り扱い停止のお詫びCMを放映した。
他にお詫びCMではないが、パナソニック・東芝・三菱電機など電機メーカー各社は、電力不足を受けて節電方法を紹介する内容の、またトヨタ自動車など自動車メーカー各社は、災害発生時の安全運転や、省燃費のための運転方法を紹介する内容の、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクの移動通信各社は、災害伝言ダイヤルの利用法を伝える内容の、それぞれ社告形式のCMを放映した。
また積水ハウスなど住宅メーカー各社や、明治安田生命保険・損保ジャパンなど生命保険・損害保険各社は、被災者へのお見舞いと顧客対応窓口のフリーダイヤルを案内するCMを放映した。また、損保ジャパンはJFN37局及び準加盟扱いのKiss-FM KOBEの共通時報に提供しているが、震災後は提供各社まとめて一時休止していたが再開後は2011年度の6月過ぎまで被災者へのお見舞いと合わせた簡易的な時報を流していた。
加えて、もともと原子力発電所を所有していない沖縄電力を除く、電気事業連合会加盟の電力会社各社は、上記東電の事故を受け、節電への協力についてのお詫びCMを放映している。
お詫びCMの特徴[編集]
お詫びCMは基本的にはBGMなしでナレーションが淡々と読み上げる、白地、フォントが明朝体であるという点が特徴である。
テレビ局側のお詫び[編集]
2006年にTBSが健康情報バラエティー番組『ぴーかんバディ!』で白インゲン豆ダイエットにより、下痢や嘔吐を訴える視聴者がいたため、このダイエット法はやめるようにという視聴者への警告とお詫びのCMをCM後の番組が再開する前に何回か流した。
その他の各局・各番組でも、番組内で不適切な表現・発言等があった際、また、それにかかわる事件・事故などの不祥事が発生した際には、その後に視聴者向けのお詫びを告知する、ということが行われた。
脚注[編集]
- ↑ 『笑えるけど超ヤバい! テレビ放送事故&ハプニング』p120
- ↑ 改正貸金業法啓発テレビCM 「アイフルからのお知らせ」 ~新しいお借入れのルール~(2010.7 アイフル株式会社)