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しかし、「返済能力あり」との判断は、母牛が年1頭安定的に子牛を産む優良牧場の成績を残すことが大前提で、安愚楽牧場の実態とはかけ離れている。安愚楽牧場は、繁殖事業の不振で慢性的な牛不足、資金不足に直面し、オーナー契約の伸びに見合う繁殖牛(母牛)を確保できない状態が続いていた。 | しかし、「返済能力あり」との判断は、母牛が年1頭安定的に子牛を産む優良牧場の成績を残すことが大前提で、安愚楽牧場の実態とはかけ離れている。安愚楽牧場は、繁殖事業の不振で慢性的な牛不足、資金不足に直面し、オーナー契約の伸びに見合う繁殖牛(母牛)を確保できない状態が続いていた。 | ||
消費者庁も11月末、繁殖牛としてオーナーに販売した10万頭前後の牛のうち3~4割は子牛など繁殖牛ではなかったとして、景品表示法違反(優良誤認)だと認定、違反事実の公表を同牧場に命じている。経営陣主導の民事再生手続きが廃止され、管財人主導の破産処理に切り替わったことで、経営陣の責任はあらためて検証される見通しだ。安愚楽牧場の厳しい経営の実情を知りうる立場にあった監督官庁や大口取引業者の責任を問う声も出ている。 | 消費者庁も11月末、繁殖牛としてオーナーに販売した10万頭前後の牛のうち3~4割は子牛など繁殖牛ではなかったとして、景品表示法違反(優良誤認)だと認定、違反事実の公表を同牧場に命じている。経営陣主導の民事再生手続きが廃止され、管財人主導の破産処理に切り替わったことで、経営陣の責任はあらためて検証される見通しだ。安愚楽牧場の厳しい経営の実情を知りうる立場にあった監督官庁や大口取引業者の責任を問う声も出ている。 | ||
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+ | === 出資金の半額以上を配当。管財人調査で判明(2012年8月) === | ||
+ | 和牛オーナー制度で出資金を集めていた「安愚楽(あぐら)牧場」(栃木県那須塩原市)が経営破綻した問題で、同社が過去20年に集めた約3700億円に上る出資金のうち半額以上をオーナーへの配当に充て、実質的に「自転車操業」だった。破綻から9日で1年。出資金の大半は返還されない。 | ||
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+ | 管財人が過去20年間に出資者から集めた約3700億円の使途を調べたところ、約2000億円(54%)が配当金としてオーナーに戻され、残りの約1700億円も畜産事業の赤字補填などに使われていた。全体の収支は76億円の赤字。 | ||
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+ | 和牛オーナー制度は安愚楽牧場が飼育する繁殖牛の権利を販売し、同社が生まれた子牛を譲り受けるシステム。同社は配当金を支払った上、契約終了時に出資金を払い戻すことになっていた。配当金を出すには子牛販売で利益を出す必要があったが、実際は販売価格が想定を下回り大幅な赤字だった。 | ||
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+ | 消費者庁の立ち入り検査では、繁殖牛の頭数はオーナーの契約頭数の55~69%だったことも判明。同社元役員は「契約が成立するたびにみんなで『牛が足りない』と言っていた」と証言しており、制度自体が成り立っていなかった。 | ||
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+ | 全国安愚楽牧場被害対策弁護団長の紀藤正樹弁護士は「牛の販売は名目に過ぎず、金を集めるための手段だった。実際の収支は火の車で、その状況を隠して金を集め続けたのは悪質だ」と指摘する。 | ||
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+ | 安愚楽牧場を巡っては、これまでに大阪、愛知など4府県警に弁護団から詐欺などの容疑で告訴状が提出されたほか、警視庁などに被害相談が相次いでいる。 | ||
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+ | 同社が破綻時にオーナーから預かっていた出資金の総額は約4200億円。警察当局が経営陣を立件すれば、[[豊田商事事件]](被害総額約2025億円)を上回る過去最大の詐欺商法事件に発展する。 | ||
== '''三ヶ尻久美子の自己破産''' == | == '''三ヶ尻久美子の自己破産''' == |
2012年8月13日 (月) 21:32時点における版
株式会社安愚楽牧場(あぐらぼくじょう)は、かつて存在していた日本史上最大・最悪の詐欺会社。社長は三ヶ尻久美子。表向きは畜産会社を装っていた。被害者数は7万人以上。被害総額は4300億円を超える。海江田万里が絶賛していたことで知られている。本社が置かれていたのは栃木県那須塩原市。
目次
概要
栃木県、北海道、宮崎県などで40ヶ所の牧場を運営し、黒毛和牛をはじめとする肉牛15万頭を飼育している。同社の特徴としてオーナー制度を実施している点があげられる。
商号は明治初期に「胡坐鍋」とよばれた牛鍋をたのしむ庶民のすがたをえがいた仮名垣魯文による小説『安愚楽鍋』からとられている。
沿革
- 1981年 - 有限会社安愚楽共済牧場設立。
- 1982年 - 農業生産法人資格取得。
- 1987年 - 那須地区以外では初の直営牧場となる遠野牧場開設。
- 2001年 - 食肉部設立、食肉および食肉加工品の製造を始める。
- 2009年4月 - 株式会社安愚楽牧場に商号変更。
- 2011年
オーナー制度
特定商品預託法に基づいたシステムで、オーナーは同社に売買・飼養委託契約金を払い込み、繁殖母牛の飼養委託契約を締結する。契約期間中に子牛が生まれた場合には、飼養管理費を差し引いた買い取り代金が支払われる。
おもな牧場
- 那須 - 栃木県那須郡那須町に、同社発祥の地である那須第一牧場、本社やホテル・食堂を併設した那須第二牧場、那須第三から第五牧場がある。
- 遠野牧場 - 岩手県遠野市にあり、1987年に市からの誘致により、直営牧場としては初めて県外に進出した。種雄牛センターを併設する。
- 胆振牧場 - 北海道勇払郡厚真町にあり、同社最大の2,800,000m2を有する。
- 児湯 - 宮崎県児湯郡川南町・高鍋町・新富町・木城町と西都市にまたがり、13箇所の牧場を有する。
口蹄疫の不適切対応
2010年におこった口蹄疫の問題に関して宮崎県の検証委員会は2011年1月18日に、複数の牛に発熱やよだれや潰瘍などの症状を確認したが県が聞き取り調査を実施するまで通報しなかった、獣医師がすべきところを一般従業員による家畜への投薬が日常的におこなわれていたという家畜伝染病予防法に違反している不適切な対応があったとして指導を行う方針を固め、2011年3月3日に、症状の通報が遅れたなどとして文書で厳重注意し、3月17日までに改善計画を提出するよう指導している。これに対して安愚楽牧場は「真摯に受け止め、改善策をさらに進めたい」とコメントした。
2010年4月24日に異常を家畜保健衛生所へ通報し、宮崎県で7例目扱いになって牛725頭が殺処分された川南町の安愚楽牧場・児湯牧場に対し、宮崎県の検証委は、通報前の4月8日には食欲不振の牛が確認されていたことや、通報した際、既に半数程度の牛が発症していたことを指摘し、「農場は4月9日以降に感染がまん延状態になった」と述べ、安愚楽牧場が口蹄疫感染の初発になった可能性にも言及している。
これについて地元紙は、『川南町の安愚楽牧場・児湯牧場が、都農町の第1例発表である2010年4月21日の約2週間前である4月はじめ、口蹄疫の疑いのある牛を発見したにもかかわらず約1ヶ月間も事実を隠ぺいしており、700頭の牛のうち多くが同じような症状になったこと』『上層部が、4月10日頃に「胃腸薬でも飲ませておけ」と約200頭分の胃腸薬を注文し牛に飲ませ、その後、今度は口蹄疫に利くかもしれないとペニシリン系の薬を大量発注して牛に接種し、さらには都農町の第一種感染の一報の後、胃腸薬とペニシリン系の薬を大量発注した領収書がなくなっていたこと』『当時、都農町で発生した口蹄疫感染牛の一報が伝わっていた4月20日に、そのうちの一頭が死亡し、上層部が21日に死体をトラックに載せ西都市の自社牧場へ移動させ、牛を西南市で死んだことにして業者に引き取らせようと画策し、同時にコンピュータ内のデータを4月16日死亡と改ざんしたこと』『口蹄疫の死体は家畜防疫員の許可を受けなければ、他の場所に移し、損傷し、解体してはならないという家畜伝染病予防法の禁止事項があるにもかかわらず、4月18日頃、川南町の第7牧場から口蹄疫感染の疑いのある牛5頭を10tトラックに載せ、えびの市の預託農家に向かい、そこでさらに10頭を載せて県外へ出荷しており、その10日後にあたる4月28日、えびの市の安愚楽牧場の預託農家から感染牛が出ているが、牛の潜伏期である6日~7日から計算して、ほぼ一致することから、これも安愚楽牧場が原因だった可能性があると関係者が証言していること』『えびの市で感染牛が発見された当時、えびの市は搬出制限の区域外にあったが、えびの市で感染牛が出たのは全て安愚楽牧場の預託農家であり、これについて農林水産省が「移動規制を敷く以前に牛の移動があったのが感染原因では」と述べたこと』などを報道しており、口蹄疫が発生したとき別の安愚楽牧場の農場にいた元従業員の男性も「当時の経営はかなりずさんだった」「上司は口蹄疫が疑われる症状を見つけても隠そうとしていた。投薬もやっていいと会社から言われていたので、疑問を持たず当たり前にやっていた」と述べている。
経営破綻と詐欺発覚
2011年8月9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、事実上経営破綻した。経営悪化の要因として、東京電力福島第一原発事故による契約解除の増加や和牛の価格下落を挙げている。東電の過失割合は大きいとして、東電に損害賠償を請求する考えを示した。 同社の地裁への申立内容では負債は4300億円。1991年以降牛肉自由化の影響で一頭当たりの利益は赤字へと転落しており、出資者の弁済率も1%以下に留まるとしている。
2011年11月8日、東京地方裁判所の鹿子木康裁判長は、「再生計画案作成の見込みはない」と判断し、安愚楽牧場に対して、破産法上の保全管理命令を出した。保全管理人は、第1東京弁護士会の渡邊顕。再生計画案作成の見込みがないとしたのは、すでに多くの資金が流出してしまった上に、牛の餌代だけで毎月20億円がかかってしまうため。
2011年11月30日、消費者庁は、2010年度時点で、オーナーの繁殖牛が3万3000頭足りていないことを公表した。安愚楽牧場は不足する繁殖牛に、子牛や食用牛、さらには雄牛を充てて、粉飾していた。消費者庁は、景品表示法に基づき、安愚楽牧場に対して、実態の周知を命じる行政処分を下した(今更命じたところで、どうせすぐに破産するんだけど^^; 消費者庁って、はっきり言って「馬鹿」なの?)
2011年12月5日、安愚楽牧場の現金が底をつき、安愚楽牧場は預託農家への預託料(牛の餌代など)の支払いを停止した。
破産
栃木県那須町に本拠を置く和牛オーナー制度運営の「安愚楽牧場」は、2011年12月9日付で東京地方裁判所より破産手続の開始決定を受け倒産した。
1981年に設立の同社は、個人投資家などの資金で繁殖牛を購入し、生まれてきた仔牛を同牧場が買い取る和牛オーナー制度により牧場運営を手掛けるほか、同オーナー制度が金融商品として人気を得るなど事業を拡大してきた。
しかし、東日本大震災による福島第一原発の事故に伴い、放射能への懸念から一部で牛の出荷制限を受けたほか、風評被害による市場の混乱などでオーナーから買い戻し要請が相次ぐなど業績が悪化したため、8月9日付で民事再生法の適用を申請し経営再建を目指すこととなった。
ところが、管財人が同社の財産状況を調査したところ、早期に牧場および牛を売却しなければ資金難により大量の牛が餓死するなど大きな社会問題に発展するおそれがあると判断したため、再建を断念し11月8日付で民事再生手続の廃止決定を受け破産手続に移行していた。
管財人によると、すでに大部分の牧場および牛の売却は済んでいるとのことで、今後は遊休地など残りの資産売却を進める一方、債権者への弁済手続に移る見通し。2011年7月期末時点の負債総額は約4330億8300万円で、負債額および債権者数の多さから、社会的に大きな影響を与える経営破綻となった。
2011年12月9日、東京地裁は、破産手続き開始を決定し、渡辺顕を破産管財人に選任した。渡辺顕は、2012年5月30日に日比谷公会堂で財産状況報告集会を行う予定である。
安愚楽牧場のからくり 資金不足、新規契約で穴埋め
2011年12月9日に破産手続きを開始した安愚楽牧場(栃木県那須塩原市)が、和牛オーナー契約収入のほとんどを、契約者への配当や解約金の支払いに充て、事業資金が慢性的に不足していたことが同社の資産内容を調査した監査法人の調査で分かった。
同社は2009年以降に農林中央金庫などJAバンクグループや銀行から融資を受けようと、食品加工で稼ぐ総合畜産会社化を目指す事業計画を立案したものの、融資交渉は失敗。不足資金をオーナー契約の拡大で埋め、経営破綻を先延ばししていた。 ある元経営幹部は「減配や無配にすれば解約ラッシュが起きて、事業の継続はたちまち困難になる。事業を縮小均衡させて立て直すことは資金不足で選択できなかった」と語った。
事業が実質的に赤字状態であるにもかかわらず、安愚楽牧場は和牛オーナーに対し予定通りの年4~8%とも言われる高配当を続けていた。
8月に安愚楽牧場が申し立てた民事再生手続きで同牧場の財産評定を担当した監査法人の報告によると、同社は2011年3月期までの10年間に和牛オーナー契約の新規獲得や更新で累計6,164億円を集めた。
一方で同じ期間中に、満期解約(繁殖牛の買い戻し)に3,902億円かけ、配当(子牛買い取り)に1,505億円を支出し、契約で集めた資金の9割近くが流出していた。牛へのエサ代や契約農場への預託費用など育成費1924億円の負担を加えると、この期間の和牛オーナー事業の資金収支は大幅な赤字だった。
報告によると、安愚楽牧場は和牛の飼養頭数(破綻時約15万頭)を近い将来、26万頭にまで拡大、高い付加価値が見込める食品加工、飲食事業も強化する中期計画を作成していた。
ただ、こうした計画の中身は社内でもほとんど知られず、「オーナー資金の返済負担から逆算した事業規模に過ぎない」(元幹部)ともみられていた。JAバンクや銀行も同牧場から受け入れた預金を担保とする限定的な融資にしか応じず、「交渉は失敗に終わった」(元経営幹部)という。
安愚楽牧場が抱えた約4,300億円の負債のうち、オーナーに対する負債(買い戻し条件付き契約残高)は約4,200億円にのぼる。 時価の10倍前後、1頭400万円以上もの値段で安愚楽牧場がオーナーに販売した繁殖牛の価値は、同社の経営破綻で暴落。9月5日時点での財産評定では、牧場、建物なども含めて資産総額はわずか132億円。和牛の処分が遅れれば、資産も飼料代に消えていく。東京地裁が11月8日、民事再生手続きの廃止を決定。破産が決まったのを受けて、安愚楽牧場は取引のあった飼料会社や契約農場などに対する和牛のまとめ売りを加速。畜産関係者によると、1頭数万円での処分が進んでいるもよう。 和牛オーナー制度のビジネスモデルも分析した監査法人の報告は「数年かけて返金するなら、保有牛が将来獲得する収益から滞りなく返金できた」と結論付け、経営破綻は「福島第1原子力発電所事故による放射能汚染の風評被害などで解約が殺到したためだ」とする経営陣の主張に一応の理解を示している。 しかし、「返済能力あり」との判断は、母牛が年1頭安定的に子牛を産む優良牧場の成績を残すことが大前提で、安愚楽牧場の実態とはかけ離れている。安愚楽牧場は、繁殖事業の不振で慢性的な牛不足、資金不足に直面し、オーナー契約の伸びに見合う繁殖牛(母牛)を確保できない状態が続いていた。 消費者庁も11月末、繁殖牛としてオーナーに販売した10万頭前後の牛のうち3~4割は子牛など繁殖牛ではなかったとして、景品表示法違反(優良誤認)だと認定、違反事実の公表を同牧場に命じている。経営陣主導の民事再生手続きが廃止され、管財人主導の破産処理に切り替わったことで、経営陣の責任はあらためて検証される見通しだ。安愚楽牧場の厳しい経営の実情を知りうる立場にあった監督官庁や大口取引業者の責任を問う声も出ている。
出資金の半額以上を配当。管財人調査で判明(2012年8月)
和牛オーナー制度で出資金を集めていた「安愚楽(あぐら)牧場」(栃木県那須塩原市)が経営破綻した問題で、同社が過去20年に集めた約3700億円に上る出資金のうち半額以上をオーナーへの配当に充て、実質的に「自転車操業」だった。破綻から9日で1年。出資金の大半は返還されない。
管財人が過去20年間に出資者から集めた約3700億円の使途を調べたところ、約2000億円(54%)が配当金としてオーナーに戻され、残りの約1700億円も畜産事業の赤字補填などに使われていた。全体の収支は76億円の赤字。
和牛オーナー制度は安愚楽牧場が飼育する繁殖牛の権利を販売し、同社が生まれた子牛を譲り受けるシステム。同社は配当金を支払った上、契約終了時に出資金を払い戻すことになっていた。配当金を出すには子牛販売で利益を出す必要があったが、実際は販売価格が想定を下回り大幅な赤字だった。
消費者庁の立ち入り検査では、繁殖牛の頭数はオーナーの契約頭数の55~69%だったことも判明。同社元役員は「契約が成立するたびにみんなで『牛が足りない』と言っていた」と証言しており、制度自体が成り立っていなかった。
全国安愚楽牧場被害対策弁護団長の紀藤正樹弁護士は「牛の販売は名目に過ぎず、金を集めるための手段だった。実際の収支は火の車で、その状況を隠して金を集め続けたのは悪質だ」と指摘する。
安愚楽牧場を巡っては、これまでに大阪、愛知など4府県警に弁護団から詐欺などの容疑で告訴状が提出されたほか、警視庁などに被害相談が相次いでいる。
同社が破綻時にオーナーから預かっていた出資金の総額は約4200億円。警察当局が経営陣を立件すれば、豊田商事事件(被害総額約2025億円)を上回る過去最大の詐欺商法事件に発展する。
三ヶ尻久美子の自己破産
和牛オーナー制度が行き詰まり、破綻した畜産会社「安愚楽牧場」(栃木県)の三ケ尻久美子社長は東京地裁に自己破産を申請し、12月21日に開始決定を受けた。決定は21日付で、負債額は約2億円。法人の安愚楽牧場は8月9日に民事再生法の適用を申請。管財人らが調査した結果、「牧場や牛を売却しなければ財産保全はおろか、大量の牛が餓死しかねない状況」であることが判明、12月9日に破産手続きに移行した。
負債額は約2億円。破産管財人は第一東京弁護士会の柴田祐之。自己破産は、全国安愚楽牧場被害対策弁護団が東京地裁に三ヶ尻久美子の破産を申し立てたための対抗措置。