「柄谷行人」の版間の差分
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2011年8月23日 (火) 01:00時点における最新版
柄谷 行人(からたに こうじん、男性、1941年8月6日 - )は、兵庫県尼崎市出身の文芸評論家、思想家。父は株式会社柄谷工務店代表取締役社長であった柄谷吉太郎(1970年没)。本名は、柄谷善男(-よしお)。子供は三人の息子がおり、一人はNAMで市民通貨Lを構想した柄谷(原)祐人。現在の妻は、翻訳家の柄谷菜生子(旧姓は山口。現在のペンネームは柄谷凛。山口菜生子・柄谷凛両名義で翻訳多数)である。
夏目漱石の研究により、『群像』誌の新人賞に応募し評論家としてデビュー。現代思想を中心に、文学、哲学、経済学、政治学、数学基礎論等、発言は多岐に渡る。雑誌『批評空間』を浅田彰と共に主宰。『探究』に見られるような現代思想の紹介に努めた。
(しばしば誤解を指摘されつつも)クルト・ゲーデルの不完全性定理に積極的に言及したことでも知られる(主に『隠喩としての建築』)。近年は、カントの読み直しを行う(例えば、『トランスクリティーク』)。
経歴[編集]
- 1960年 - 甲陽学院中学校・高等学校卒業。
- 1965年 - 東京大学経済学部卒業。
- 1965年 - 東京大学大学院英文科の同級生だった原真佐子(後の作家・冥王まさ子)と結婚。
- 1967年 - 同大学院人文科学研究科英文学専攻修士課程修了。
- 1968年 - 日本医科大学専任講師。
- 1970年 - 法政大学第一教養部専任講師。
- 1971年 - 法政大学助教授。
- 1975年 - 法政大学教授 (〜1994年)。イェール大学東アジア学科客員教授 (~1977年)。
- 1980年 - イェール大学比較文学科客員研究員 (~1981年)。
- 1983年 - コロンビア大学東アジア言語文化学科客員研究員。(〜1984年)。
- 1990年 - カリフォルニア大学アーバイン校客員教授。コロンビア大学比較文学科客員教授。
- 1991年 - コーネル大学客員教授 (〜1992年)。
- 1994年 - 近畿大学文芸学部教授 (〜2006年)。
- 1995年4月21日 - 元妻の冥王がカリフォルニア州サクラメントの病院で動脈瘤破裂のため急逝。
- 2000年 - NAMを創設。
- 2002年 - 近畿大学国際人文科学研究所所長 (〜2006年)。カリフォルニア大学ロサンゼルス校客員教授。
- 2003年 - NAMを解散。
受賞歴[編集]
- 1969年 - 「〈意識〉と〈自然〉 漱石試論」で第12回群像新人文学賞。
- 1978年 - 「マルクスその可能性の中心」で第10回亀井勝一郎賞。
- 1996年 - 「坂口安吾と中上健次」で第7回伊藤整文学賞。
著書[編集]
文学[編集]
- 『畏怖する人間』(トレヴィル, 1972年 / 講談社[講談社文芸文庫], 1990年) 夏目漱石、小林秀雄、吉本隆明、古井由吉、江藤淳、芥川龍之介、高橋和巳、マルコ伝、大江健三郎、安部公房、鮎川信夫らを論じる。
- 『意味という病』(河出書房新社, 1975年 / 講談社[講談社文芸文庫], 1989年) 島尾敏雄、庄野潤三、志賀直哉、森鴎外らを論じる。
- 『マルクスその可能性の中心』(講談社, 1978年 / 講談社学術文庫, 1990年) 夏目漱石、武田泰淳らを論じる。
- 『隠喩としての建築』(冬樹社, 1979年 / 講談社[講談社学術文庫], 1989年) サイバネティックスや、中上健次らを論じる
- 『日本近代文学の起源』(講談社, 1980年 / 講談社文芸文庫, 1988年)
- 『批評とポストモダン』(福武書店, 1985年 / 福武文庫, 1989年) 中上健次、梶井基次郎、『資本論』、森敦、唐十郎らや、エイズを論じる。。
- 『終焉をめぐって』(福武書店, 1990年 / 講談社[講談社学術文庫], 1995年)
- 『反文学論』(講談社[講談社学術文庫], 1991年) 「東京新聞」夕刊に連載された、唯一の文芸時評。
- 『漱石論集成』(第三文明社, 1992年 / 平凡社[平凡社ライブラリー], 2001年) 夏目漱石を論じる。
- Origins of Modern Japanese Literature, trans. and ed. by Brett de Bary, (Duke University Press, 1993).
- 『坂口安吾と中上健次』(太田出版, 1996年 / 講談社文芸文庫, 2006年)
- 『差異としての場所』(講談社[講談社学術文庫], 1996年)
- 『日本精神分析』(文藝春秋, 2002年)芥川龍之介、谷崎潤一郎、菊池寛らを論じた講演集。
哲学[編集]
- 『ダイアローグ』(冬樹社, 1979年 / 第三文明社, 1987年-1991年)
- 『内省と遡行』(講談社, 1985年 / 講談社学術文庫, 1988年)
- 『探究I』(講談社, 1986年 / 講談社学術文庫, 1992年)
- 『探究II』(講談社, 1989年 / 講談社学術文庫, 1992年)
- 『言葉と悲劇』(講談社[講談社学術文庫], 1993年) 講演集。
- 『ヒューモアとしての唯物論』(筑摩書房, 1993年 / 講談社[講談社学術文庫], 1999年)
- 『〈戦前〉の思考』(文藝春秋, 1994年 / 講談社[講談社学術文庫], 2001年) 憲法、湾岸戦争、国家、民族、議会制民主主義などを論じた講演集。
- 『倫理21』(平凡社, 2000年 / 平凡社ライブラリー, 2003年)天皇制、東京裁判、丸山眞男、昭和天皇の戦争責任、教育、宗教、酒鬼薔薇事件などを論じた、初の書き下ろし。
- 『トランスクリティーク――カントとマルクス』(批評空間, 2001年)
- 『柄谷行人初期論文集』(批評空間, 2002年)
- 『世界共和国へ――資本=ネーション=国家を超えて』(岩波書店[岩波新書], 2006年)
共著[編集]
- (中上健次)『小林秀雄をこえて』(河出書房新社, 1979年)
- (笠井潔)『<現在>との対話(1)ポスト・モダニズム批判――拠点から虚点へ』(作品社, 1985年)
- (蓮實重彦)『闘争のエチカ』(河出書房新社, 1988年)
- (岩井克人)『終わりなき世界――90年代の論理』(太田出版, 1990年)
- (小池清治・小森陽一・芳賀徹・亀井俊介)『漱石をよむ』(岩波書店, 1994年)
- (絓秀実・福田和也・富岡幸一郎・大杉重男・清水良典)『皆殺し文芸批評――かくも厳かな文壇バトル・ロイヤル』(四谷ラウンド, 1998年)
- (浅田彰・市田良彦・小倉利丸・崎山正毅)『マルクスの現在』(とっても便利出版部, 1999年)
- (浅田彰・岡崎乾二郎・奥泉光・島田雅彦・絓秀実・渡部直己)『必読書150』(太田出版, 2002年)
編著[編集]
- 『シンポジウム』(思潮社, 1989年 / 太田出版, 1994年)
- 『近代日本の批評』(福武書店, 1990年 / 講談社[講談社文芸文庫], 1997年)
- 『可能なるコミュニズム』(太田出版, 2000年)
共編著[編集]
選集[編集]
- 『定本柄谷行人集』(岩波書店, 2004年)
- 「日本近代文学の起源」
- 「隠喩としての建築」
- 「トランスクリティーク――カントとマルクス」
- 「ネーションと美学」
- 「歴史と反復」
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 公式サイト
- 関連サイト
- 研究サイト
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