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+ | == 北海道新聞で「セクハラ自殺」問題が法廷の場へ。宴会で嘱託看護師に複数中堅社員「愛人になれ」ペッティングで自殺(2016年8月) == | ||
+ | 人権尊重を日ごろ紙面で訴える新聞社の姿勢とは真逆の実態が、法廷の場で質されようとしている ── 。北海道新聞社函館支社の嘱託看護師だったM子さん=当時40=が2015年2月、男性社員2人から[[忘年会]]の席で受けた[[セクハラ]]によって自殺に追い込まれたとして、遺族が同社と社員2人に約8600万円の損害賠償を求める訴訟を[[2016年]][[8月22日]]、[[函館地裁]]に起こしたのだ。問題の忘年会に参加したのは計7人。セクハラ疑惑の場に同席した当時の函館支社長は2016年6月に取締役への昇格を果たしており、M子さんの死に絡む不祥事にフタをした形になっている。 | ||
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+ | 訴状などによると、北海道新聞社函館支社営業部の社員2人は[[2014年]][[12月8日]]夜、忘年会の場となった[[函館市]]内の[[カラオケ]]店や[[居酒屋]]で、卑猥な質問をしながら M子さんに体を押し付けたり、「愛人になれ」などと言いながら足をなでまわしたりした。M子さんは社内のセクハラ相談窓口に被害を訴えたものの、同社は加害者2人による謝罪で済まそうとし、M子さんが求めた処分や人事異動といった措置は取られなかった。こうした対応に失望したM子さんは[[2015年]][[2月21日]]早朝、自宅に火を付けて一酸化炭素中毒で死亡した。 | ||
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+ | M子さんは亡くなる前日の日付で、同社を告発する文書やセクハラ相談の内部報告書などを[[マスコミ]]各社や労基署などに郵送している。告発文にはセクハラ被害後から発症した心身の不調もつづられ、「終わりのない[[PTSD]](心的外傷後ストレス障害)から解放されて楽になりたい。でも、この手紙を書くまでは絶対に死ねない」と訴えていた。M子さんの「自殺」の引き金となったセクハラとは、どのようなものだったのか。 | ||
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+ | マスコミ各社に届いた告発文や内部資料から再現すると、忘年会の出席者は函館支社健康相談室に勤務するM子さんと加害者とされる2人(営業部K次長、同M部員)のほか、函館支社長、営業部長、契約スタッフの女性2人の計7人。K次長によるセクハラはまず、二次会に向かう時点で行われた。M子さんは突然、右手を握られた。 | ||
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+ | 二次会のカラオケ店では当初K次長はM子さんの斜め向かいに座っていたが、支社長に席替えを要求して立ち上がった。M子さんの隣に移ったK次長は「彼氏いるの?」「エッチしたいときはどうしてるの?」などの発言を繰り返し、体を押し付けてきたとされる。M子さんはソファーに押し倒されそうになり、必死で抵抗していたという。 | ||
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+ | 「あそこの2人は置いていったほうがよさそうだねえ」。支社長は二次会終了後(午後11時ごろ)、M子さんとK次長の様子を眺めながらそう言ったという。K次長の行為をセクハラと認識できなかったのだろうか。 | ||
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+ | M子さんは二次会のカラオケ店から三次会の居酒屋に移動した際のことはあまり記憶にない。飲酒はしていなかったものの、K次長への対応で疲れ切っていたからだ。ただ、一次会の場で三次会への出席もK次長から念押しされていたこともあり、「ついていかなくてはいけないという暗示にかかっていたような感じだった」。 | ||
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+ | [[居酒屋]]に着くとM子さんとK次長、M部員の3人だけだった。M子さんの隣に座ったK次長は、性的関係を強く迫る発言を連発しながらM子さんの足を触ったり、体を押し付けてきた。M子さんはK次長の手を払い続ける一方、M部員は止めにも入らず2人の様子をただ見ているだけ。閉店時間(午前零時半ごろ)が迫ってきたころ、M部員は威圧的な口調で「Kさんの愛人になっちゃえば」と言い、K次長は呼応するように「そうだよ、愛人になっちゃえ」とさらに体を押し付けてきたとされる。M子さんは閉店時間まで抵抗を続け、何とか無事に帰途に就く。 | ||
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+ | 忘年会でセクハラ被害に遭ってからM子さんは体調不良に陥った。朝から体の具合がすぐれず、食欲もなく、体重が落ちた。K次長と支社内で会うと体がこわばった。足がざわざわすることもあった。「話しても信じてもらえない」という気持ちから、本社のセクハラ相談窓口に電話するまで10日を要した。 | ||
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+ | 覚悟を決めて訴えたM子さんのセクハラ相談は、失意だけが増していくことになる。その根本の原因は、2人への処分を望んだM子さんに対し、担当者が「(加害者を)処分するには忘年会に参加した全員の事情聴取が必要」といったハードルを持ち出したことにある。 | ||
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+ | ちなみに、[[男女雇用機会均等法]]が各事業主に義務付けているセクハラ対策措置などによると、「セクハラ相談窓口の担当者らは相談者(被害者)と行為者(加害者)の双方から事情を聴き、主張に不一致があったり、事実確認が不十分な場合は第三者からも事情を聴取する」としている。これをM子さんのケースに当てはめれば、社員2人との主張が不一致にならない限り、全員からの聴取は必要なかったはずだ。 | ||
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+ | さらにセクハラの事実が確認された段階では、事案の内容に応じて「被害者と行為者を引き離すための配置転換や行為者による謝罪などのほか、被害者のメンタルヘルス不調の相談に対応する」「行為者に対しては、各職場のセクハラ規定に沿った懲戒などの処分を講ずる」といった措置を示している。 | ||
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+ | M子さんに話を戻すと、いったんは忘年会の参加者全員からの聴取が条件の加害者処分をあきらめる。契約スタッフの女性2人の立場に配慮し、「彼女たちが働きづらくなる」と思ったからだ。このためセクハラ相談窓口の報告書には次の記述がなされた。「今後について(相談者は)本格的な調査は望んでいない。現職場でこれからも働き続けたいので、大掛かりなことになっては困る。加害者には厳重に注意してもらいたい」 | ||
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+ | 年が明けた[[2015年]][[1月23日]]、本社担当幹部が立ち会う中、2次会と3次会での発言や行動に関してK次長ら2人はM子さんに謝罪文を提出し、本人を前に謝罪も行った。だがM子さんは「許しません」と突っぱね、「2人が健康相談室に入ってくることを想像しただけで動悸が激しくなる」という内容の、被害後から溜め込んだ思いを本社側にぶつけている。 | ||
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+ | セクハラの事実を認めているにも関わらず、2人に就業規則に沿った処分を科さず、謝罪のみで終わらせようとする道新の姿勢に、M子さんは憤りと不信感を募らせていく。2人が函館支社から異動するよう訴えてもまともには取り合ってもらえず、抑うつ状態が悪化していった。 | ||
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+ | 「人を人とも思わない。そのくせ、新聞では庶民や弱者の味方のようなふりをする。道新に不正を追及する報道機関の資格はありません」。死の数日前にしたためたとみられる告発文にはこうした文言も連なっている。 | ||
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+ | M子さんの死から2か月余りを経た2015年5月、遺族は暴行容疑などで社員2人を道警に告訴する。「ご両親は当初セクハラに関して道新を訴える気持ちはなかった。事実関係をきちんと調べて適切な処分を行ってくれれば十分で、私の事務所にも[[法テラス]](日本司法支援センター)を通じて相談に訪れたくらいです。娘さんが亡くなって1か月以上が経過しても調査の連絡が何もないことから、道新に事実解明を委ねるのではなく、道警への告訴に踏み切らざるを得なかった」(植松直弁護士)。 | ||
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+ | 道新の態度は告訴によって硬化する。2015年6月末、遺族に「忘年会でのセクハラ行為の存在は認められなかった」という趣旨の調査結果を伝えている。社員2人はM子さんにセクハラ行為を謝罪し、謝罪文を提出しているにもかかわらず、だ。 | ||
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+ | 告訴をめぐって道警は2016年2月、社員2人を[[函館地検]]に[[書類送検]]したものの、3月末に同地検は不起訴処分とした。一方、不起訴によって禊を済ませたかのように、忘年会に同席した当時の函館支社長は6月、取締役事業局長に就任した。 | ||
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+ | 今回の民事提訴について、遺族側の植松弁護士は「『自分と同じようなセクハラ被害者を二度と出さないでほしい』というM子さんの遺志に加え、『何が事実だったのかを解明して少しでも娘に良い報告をしたい』というご両親の思いが込められている」。さらに「この裁判を通じて、M子さんが告発文で指摘した道新の隠ぺい体質についても追及したい」と訴えた。 | ||
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+ | 北海道新聞社経営企画局は「提訴されたことは遺憾。当社の考えは、 裁判の中で明らかにする」としている。なお、遺族側は検察の不起訴処分を不服として検察審査会に審査も申し立てている。 | ||
== 歴史 == | == 歴史 == |
2016年9月6日 (火) 20:59時点における最新版
北海道新聞(ほっかいどうしんぶん)は、株式会社北海道新聞社(ほっかいどうしんぶんしゃ、The Hokkaido Shimbun Press、本社・札幌市中央区)が発行する北海道の日刊新聞。愛称は道新(どうしん)。ブロック紙に分類される。発行部数(日本ABC協会調べ)は朝刊約112万部、夕刊約53万部である(日本ABC協会報告部数・2012年4月)。
「赤い大地」北海道らしい左翼機関紙である。
目次
- 1 概要
- 2 北海道新聞で「セクハラ自殺」問題が法廷の場へ。宴会で嘱託看護師に複数中堅社員「愛人になれ」ペッティングで自殺(2016年8月)
- 3 歴史
- 4 報道姿勢と特色
- 5 朝刊
- 6 夕刊
- 7 日曜版(日曜Navi)
- 8 番組表の補足
- 9 地方版(朝刊)一覧
- 10 注目を浴びた報道
- 11 誤報、不祥事
- 12 「在留管理制度…不法滞在は好ましくない。だからといって国外退去が適切だろうか。何よりも多文化共生の視点が重要だ」
- 13 「自民・安倍さんはキラキラネーム許せないらしい。政権奪回し教育改革に再び乗りだそうかという人の見識とはあきれる」
- 14 安倍内閣は、集団的自衛権を行使できないとしてきた憲法解釈の見直し論議を再開した…許されない(2013年2月)
- 15 「道教委は卒業式で君が代をきちんと斉唱するよう指導するそうだ。教室は忠誠を強いる取調室のごときものとなろう」
- 16 安倍晋三首相は<しけていて、ずるくて、いやらしい>
- 17 縮刷版
- 18 関連項目
- 19 外部リンク
概要[編集]
国家総動員法・新聞事業令に基づく新聞統制の結果、1942年に小樽新聞・北海タイムス・函館新聞・釧路新聞(いずれも戦後創刊された同名紙とは無関係)など道内各地の11紙が統合して誕生。
発行元である北海道新聞社の系列放送局(北海道放送(HBC)、北海道文化放送(UHB)、テレビ北海道(TVh)、エフエム北海道(AIR-G'))を含めたネットワークによって、北海道マスコミで独占的な地位を確立し、発行部数もピーク時の2003年には約125万部(朝刊)を記録した。その後は漸減傾向にあり、現在の発行部数は朝刊約112万部、夕刊約53万部。それでも、北海道内の新聞購読世帯のシェアの大半を占め、圧倒的な影響力を持つ。全国的にみてもブロック紙の中では中日新聞に次ぐ規模で、東京でも中央省庁の全記者クラブに加盟してほぼ常駐する他、海外9都市の支局に記者を配置している。
北海道新聞のCMは前述の系列放送局を含め、道内の民放テレビ・ラジオ全局と道内の一部ケーブルテレビ局・コミュニティ放送局で流れている。
北海道新聞で「セクハラ自殺」問題が法廷の場へ。宴会で嘱託看護師に複数中堅社員「愛人になれ」ペッティングで自殺(2016年8月)[編集]
人権尊重を日ごろ紙面で訴える新聞社の姿勢とは真逆の実態が、法廷の場で質されようとしている ── 。北海道新聞社函館支社の嘱託看護師だったM子さん=当時40=が2015年2月、男性社員2人から忘年会の席で受けたセクハラによって自殺に追い込まれたとして、遺族が同社と社員2人に約8600万円の損害賠償を求める訴訟を2016年8月22日、函館地裁に起こしたのだ。問題の忘年会に参加したのは計7人。セクハラ疑惑の場に同席した当時の函館支社長は2016年6月に取締役への昇格を果たしており、M子さんの死に絡む不祥事にフタをした形になっている。
訴状などによると、北海道新聞社函館支社営業部の社員2人は2014年12月8日夜、忘年会の場となった函館市内のカラオケ店や居酒屋で、卑猥な質問をしながら M子さんに体を押し付けたり、「愛人になれ」などと言いながら足をなでまわしたりした。M子さんは社内のセクハラ相談窓口に被害を訴えたものの、同社は加害者2人による謝罪で済まそうとし、M子さんが求めた処分や人事異動といった措置は取られなかった。こうした対応に失望したM子さんは2015年2月21日早朝、自宅に火を付けて一酸化炭素中毒で死亡した。
M子さんは亡くなる前日の日付で、同社を告発する文書やセクハラ相談の内部報告書などをマスコミ各社や労基署などに郵送している。告発文にはセクハラ被害後から発症した心身の不調もつづられ、「終わりのないPTSD(心的外傷後ストレス障害)から解放されて楽になりたい。でも、この手紙を書くまでは絶対に死ねない」と訴えていた。M子さんの「自殺」の引き金となったセクハラとは、どのようなものだったのか。
マスコミ各社に届いた告発文や内部資料から再現すると、忘年会の出席者は函館支社健康相談室に勤務するM子さんと加害者とされる2人(営業部K次長、同M部員)のほか、函館支社長、営業部長、契約スタッフの女性2人の計7人。K次長によるセクハラはまず、二次会に向かう時点で行われた。M子さんは突然、右手を握られた。
二次会のカラオケ店では当初K次長はM子さんの斜め向かいに座っていたが、支社長に席替えを要求して立ち上がった。M子さんの隣に移ったK次長は「彼氏いるの?」「エッチしたいときはどうしてるの?」などの発言を繰り返し、体を押し付けてきたとされる。M子さんはソファーに押し倒されそうになり、必死で抵抗していたという。
「あそこの2人は置いていったほうがよさそうだねえ」。支社長は二次会終了後(午後11時ごろ)、M子さんとK次長の様子を眺めながらそう言ったという。K次長の行為をセクハラと認識できなかったのだろうか。
M子さんは二次会のカラオケ店から三次会の居酒屋に移動した際のことはあまり記憶にない。飲酒はしていなかったものの、K次長への対応で疲れ切っていたからだ。ただ、一次会の場で三次会への出席もK次長から念押しされていたこともあり、「ついていかなくてはいけないという暗示にかかっていたような感じだった」。
居酒屋に着くとM子さんとK次長、M部員の3人だけだった。M子さんの隣に座ったK次長は、性的関係を強く迫る発言を連発しながらM子さんの足を触ったり、体を押し付けてきた。M子さんはK次長の手を払い続ける一方、M部員は止めにも入らず2人の様子をただ見ているだけ。閉店時間(午前零時半ごろ)が迫ってきたころ、M部員は威圧的な口調で「Kさんの愛人になっちゃえば」と言い、K次長は呼応するように「そうだよ、愛人になっちゃえ」とさらに体を押し付けてきたとされる。M子さんは閉店時間まで抵抗を続け、何とか無事に帰途に就く。
忘年会でセクハラ被害に遭ってからM子さんは体調不良に陥った。朝から体の具合がすぐれず、食欲もなく、体重が落ちた。K次長と支社内で会うと体がこわばった。足がざわざわすることもあった。「話しても信じてもらえない」という気持ちから、本社のセクハラ相談窓口に電話するまで10日を要した。
覚悟を決めて訴えたM子さんのセクハラ相談は、失意だけが増していくことになる。その根本の原因は、2人への処分を望んだM子さんに対し、担当者が「(加害者を)処分するには忘年会に参加した全員の事情聴取が必要」といったハードルを持ち出したことにある。
ちなみに、男女雇用機会均等法が各事業主に義務付けているセクハラ対策措置などによると、「セクハラ相談窓口の担当者らは相談者(被害者)と行為者(加害者)の双方から事情を聴き、主張に不一致があったり、事実確認が不十分な場合は第三者からも事情を聴取する」としている。これをM子さんのケースに当てはめれば、社員2人との主張が不一致にならない限り、全員からの聴取は必要なかったはずだ。
さらにセクハラの事実が確認された段階では、事案の内容に応じて「被害者と行為者を引き離すための配置転換や行為者による謝罪などのほか、被害者のメンタルヘルス不調の相談に対応する」「行為者に対しては、各職場のセクハラ規定に沿った懲戒などの処分を講ずる」といった措置を示している。
M子さんに話を戻すと、いったんは忘年会の参加者全員からの聴取が条件の加害者処分をあきらめる。契約スタッフの女性2人の立場に配慮し、「彼女たちが働きづらくなる」と思ったからだ。このためセクハラ相談窓口の報告書には次の記述がなされた。「今後について(相談者は)本格的な調査は望んでいない。現職場でこれからも働き続けたいので、大掛かりなことになっては困る。加害者には厳重に注意してもらいたい」
年が明けた2015年1月23日、本社担当幹部が立ち会う中、2次会と3次会での発言や行動に関してK次長ら2人はM子さんに謝罪文を提出し、本人を前に謝罪も行った。だがM子さんは「許しません」と突っぱね、「2人が健康相談室に入ってくることを想像しただけで動悸が激しくなる」という内容の、被害後から溜め込んだ思いを本社側にぶつけている。
セクハラの事実を認めているにも関わらず、2人に就業規則に沿った処分を科さず、謝罪のみで終わらせようとする道新の姿勢に、M子さんは憤りと不信感を募らせていく。2人が函館支社から異動するよう訴えてもまともには取り合ってもらえず、抑うつ状態が悪化していった。
「人を人とも思わない。そのくせ、新聞では庶民や弱者の味方のようなふりをする。道新に不正を追及する報道機関の資格はありません」。死の数日前にしたためたとみられる告発文にはこうした文言も連なっている。
M子さんの死から2か月余りを経た2015年5月、遺族は暴行容疑などで社員2人を道警に告訴する。「ご両親は当初セクハラに関して道新を訴える気持ちはなかった。事実関係をきちんと調べて適切な処分を行ってくれれば十分で、私の事務所にも法テラス(日本司法支援センター)を通じて相談に訪れたくらいです。娘さんが亡くなって1か月以上が経過しても調査の連絡が何もないことから、道新に事実解明を委ねるのではなく、道警への告訴に踏み切らざるを得なかった」(植松直弁護士)。
道新の態度は告訴によって硬化する。2015年6月末、遺族に「忘年会でのセクハラ行為の存在は認められなかった」という趣旨の調査結果を伝えている。社員2人はM子さんにセクハラ行為を謝罪し、謝罪文を提出しているにもかかわらず、だ。
告訴をめぐって道警は2016年2月、社員2人を函館地検に書類送検したものの、3月末に同地検は不起訴処分とした。一方、不起訴によって禊を済ませたかのように、忘年会に同席した当時の函館支社長は6月、取締役事業局長に就任した。
今回の民事提訴について、遺族側の植松弁護士は「『自分と同じようなセクハラ被害者を二度と出さないでほしい』というM子さんの遺志に加え、『何が事実だったのかを解明して少しでも娘に良い報告をしたい』というご両親の思いが込められている」。さらに「この裁判を通じて、M子さんが告発文で指摘した道新の隠ぺい体質についても追及したい」と訴えた。
北海道新聞社経営企画局は「提訴されたことは遺憾。当社の考えは、 裁判の中で明らかにする」としている。なお、遺族側は検察の不起訴処分を不服として検察審査会に審査も申し立てている。
歴史[編集]
- 1887年 源流の北海新聞が札幌で発行
- 1942年 道内の11紙が「一県一紙」という国の方針により統合、北海道新聞が創刊
- 1979年 朝刊100万部
- 1982年 道新スポーツ創刊
- 1996年 ホームページ開設
報道姿勢と特色[編集]
1976年に函館空港で発生したベレンコ中尉亡命事件での亡命後の本人追跡インタビューや、1988年のソウル・金浦国際空港爆破事件直後のスクープ写真、1989年にはソビエト連邦(現ロシア)支配下の北方領土・国後島に西側報道機関で初めて取材を敢行するなど、全国紙に比してもロシアを中心に伝統的に極東アジア報道に強い。
朝刊[編集]
朝刊は休刊日(主に月曜日で前日の日曜日に新聞制作・発行を休止 そのほか毎年1月2日にも休刊日あり)を除き毎日発行。ただし、最近では、長野オリンピック時に、本来の休刊日を返上して、臨時に朝刊を発行したことがある。主な内容は以下のとおり。
- 天気
- 1面題字下に掲載される。2008年までは1面の記事によっては別面に掲載されることもあった。
- 道内17地点(札幌、小樽、岩見沢、函館、江差、室蘭、苫小牧、浦河、旭川、留萌、稚内、紋別、網走、北見、帯広、釧路、根室)の時間別気象と3日後までの気象を掲載
- 道外主要都市(青森、仙台、新潟、東京、名古屋、大阪、福岡、那覇)の3日後までの気象についても掲載
- 卓上四季(コラム)
- 1面記事と1面最下段の広告の間に掲載
- 社説
- 3面に掲載(2006年6月1日現在、2面の時期もある。)
- 政治漫画(1コマの風刺漫画)
- 週に数度、不定期に掲載、こうま・すう作
- 読者の声・どうしん川柳・うそクラブ(投書欄)・一筆軽笑(デザイン部による風刺漫画)
- その日によって変わるが、大抵4〜10いずれかの面に掲載
- 株価(東証1部、東証2部、マザーズ、札証、ジャスダック、ヘラクレス)
- いずみ(女性向け投書欄)
- 生活面に掲載
- 二世・易八大のきょうの運勢
- 第2テレビ番組欄(BS)と解説欄・ラジオ番組欄
- AM・FMラジオ…HBCラジオ、STVラジオ、NHK第1・第2・FM、AIR-G’、FMノースウェーブ(ハーフサイズ)
- 掲載順番は左からAIR-G’、NHK-FM、FMノースウェーブ、HBCラジオ、STVラジオ、NHKラジオ第1、NHKラジオ第2となっており、上段に掲載。
- BS…WOWOWライブ、WOWOWシネマ、スターチャンネル(1のみ掲載。2・3は非掲載)、BS11、TwellV(トゥエルビ)、放送大学(「テレビ放送大学」と表記)、BSスカパー!、J SPORTS1・2・3・4(1/3サイズ。)
- 以上の欄は下段に掲載(J SPORTSのみ放送大学とBSスカパー!の欄の下に2段に分けて1・2と3・4を掲載)。放送大学はテレビのみ掲載。なお、放送大学は9月30日付朝刊までは「CS205ch」として表記していたが、2011年10月1日付朝刊からBSデジタル放送開始に伴い「231ch」としての表記となった。
- ラジオNIKKEI、ラジオ深夜放送(0:00〜5:00放送分。TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送 、アール・エフ・ラジオ日本)の番組欄は以前は「二世・易八大のきょうの運勢」の下に掲載されていたが、2011年7月24日よりスターチャンネル(10月1日以降はWOWOWライブ)の番組欄の横に掲載。
- J SPORTS(1・2)は以前にも掲載されていた時期があったものの、BSイレブン、トゥエルビの掲載に伴い、2007年11月30日付朝刊で一旦打ち切りとなったが、2012年3月1日付朝刊から新たに掲載されるJ SPORTS3・4の番組欄とともに掲載を再開した。かつては、NHKデジタル教育テレビジョン(Eテレ)サブチャンネル(2009年4月6日よりワンセグ独自編成も追加。1/3サイズ。)も掲載されていたが、WOWOWライブ、WOWOWシネマ、BSスカパー!の掲載に伴い、2011年9月30日付朝刊で打ち切りとなった。
- 時々、HBCラジオの番組欄にピンクの背景色が付くことがある。
- AM・FMラジオ…HBCラジオ、STVラジオ、NHK第1・第2・FM、AIR-G’、FMノースウェーブ(ハーフサイズ)
- おくやみ(1997年10月6日付朝刊より全道について掲載。それ以前は発行地域の地方欄に掲載されていた。)
- 地方欄
- ちびまる子ちゃん(さくらももこ作)
- 第1社会面に掲載する4コマ漫画
- テレビ番組欄(最終面)
- 地上波…NHK総合・Eテレ(教育)、UHB、HBC、STV、HTB、TVh(フルサイズで掲載)
- 以前、地上波は年代によりHBC、NHK総合・教育、STV〈1968年11月以降はHTBも追加〉の順、UHB、NHK総合・教育、HBC、STV、HTBの順(1972年4月以降)、NHK総合・教育、UHB、HBC、STV、HTBの順(1985年頃のレイアウト変更以降)、NHK総合・教育、UHB、TVh、HBC、STV、HTBの順(1989年10月以降)に掲載されていた時期もある。
- BS…NHK BS1、BSプレミアム(地上波番組欄の横にハーフサイズで掲載)、WOWOWプライム(1/3サイズで2分割にしてNHK BS1、BSプレミアムの下に掲載。2011年3月31日まではNHK BSハイビジョンを掲載。)、BS日テレ、BS朝日、BS-TBS、BSジャパン、BSフジ(地上波番組欄の下段に1/3サイズで掲載)。
- 休刊日前日は2日分の掲載のためラジオ欄とともに掲載ページを中面に移動することがある。
- また、北見版のテレビ欄ではこれまで網走管内全域でTVhが直接受信できなかったため、1998年4月からTVhの個所はポスフール北見店や北見信用金庫などの地元網走管内の広告に差し替えられ、近年では地元企業の広告が左端に掲載されていたため、非掲載のTVh以外の各局の欄が右側にずれて掲載されていた。なお、網走管内では2011年10月28日に網走送信所・北見中継局の試験電波が発射されたことに伴い、前日付をもって地元広告の差し替えは終了した(北見版の夕刊も同様。釧根版の夕刊も8月17日に釧路送信所の試験電波が発射されたことに伴い、前日付をもって地元広告の差し替えは終了した)。そのため、普及型アンテナで直接受信できない地域でも高利得アンテナやブースターで直接受信可能な地域(特に放送エリアの境界付近)があることに配慮し、道内全域でそのままTVhの番組欄が掲載されている。以前は解説欄には「一部地域ではTVHは受信できません」と記載されていたが、2010年3月29日付の番組欄レイアウト変更により記載されなくなった。
- 2008年6月2日より番組欄の文字と掲載範囲が若干大きくなった(地上波のみ。BS・ラジオ番組欄は変更なし)。
- 2011年7月23日までWOWOWはアナログ(2011年3月まで第2テレビ番組欄。それ以降はNHK BS1、BSプレミアムの下に掲載)・デジタル(第2テレビ番組欄)で別々に掲載されていた。
- 2011年7月24日に番組欄レイアウトが一部変更され、これまで地上波テレビの番組欄上部にあった主要地域のアナログ放送チャンネルの表記が無くなり、放送局名(下段には電話番号)とリモコンキーIDのみの表記となった。
- 朝刊の定価は、以前は110円と他の全国紙(朝日・毎日・読売)より安かったが、北海タイムスの休刊後に全国紙と同じ値段に値上げされた。
- 朝刊は、JR青森駅売店でも販売されており、14版の早版で、函館支社エリアの道南版、渡島・檜山版が発行されている。
- 地上波…NHK総合・Eテレ(教育)、UHB、HBC、STV、HTB、TVh(フルサイズで掲載)
夕刊[編集]
夕刊は日祝日および年末年始(12月30日〜1月3日)を除き毎日発行(月曜日の朝刊が休刊日でも夕刊は通常通り発行)。ただし、最近では日曜日でも、長野オリンピックやトリノオリンピック開催時に、速報版としての日曜夕刊を発行したことがあり、札幌オリンピック期間中も日曜夕刊を発行していた。主な内容は以下のとおり。
- あすからの天気
- 道内17地点(札幌、小樽、岩見沢、函館、江差、室蘭、苫小牧、浦河、旭川、留萌、稚内、紋別、網走、北見、帯広、釧路、根室)及び東京の翌日並びに向こう5日間の天気予報
- 今日の話題
- 記者署名入りコラム
- はいはい道新
- 土曜日を除く毎夕刊に掲載。(1989年ごろは○曜ぷらざのワンコーナーで木曜日休載だった)
- 電話により投書を行う方式で、紙面上には氏名が掲載されない。
- ご近所関係に係る不満や官公庁等に対するクレームの掲載が多い。
- ニュースな言葉
- 毎週土曜日夕刊に掲載
- きのう きょう あす 地方版から
- その日の朝刊各地方版に掲載された記事から注目記事をピックアップして掲載
- ウチのげんき予報(新田朋子作)
- 芸能・放送関係のトピックス、AM/FMラジオ・BSデジタルテレビ番組欄
- 掲載順番は上段が左からAIR-G’、NHK-FM、FMノースウェーブ、HBCラジオ、STVラジオ、NHKラジオ第1、NHKラジオ第2、放送大学(「テレビ放送大学」)の順。下段が左からBS日テレ、BS朝日、BS-TBS、BSジャパン、BSフジ、WOWOWプライム、スターチャンネル1、BS11、TwellVの順にそれぞれ掲載。なお、朝刊に掲載されているWOWOWライブ、WOWOWシネマ、BSスカパー!、J SPORTS(1~4)、ラジオNIKKEIの番組欄は夕刊では非掲載となっている。
- 放送局名の文字が色分けされており、AMラジオが黄緑、FMラジオが紫、BSデジタルテレビが青でそれぞれ表記されている。
- テレビ番組欄(地上波、NHK BS1、NHK BSプレミアム)
- 北見版では、これまでTVhが網走管内全域で受信できなかったため、TVhの欄のところが地元管内の企業の広告に差し替えられていたが、網走送信所・北見中継局の試験放送開始に伴いTVhの欄が再び掲載されるようになった。
- 2008年8月より夕刊のテレビ番組欄のレイアウトが変更された(2011年7月23日まで放送局名のレイアウトは朝刊とは別物だったが、2011年7月25日付から朝刊と同じレイアウトとなった)。
- 「おふたいむ」
- 木曜日夕刊(祝日の場合は前日の水曜日)に折り込みで入る。
- 1週間のテレビ番組欄は地上波とBS(NHK BS1、NHK BSプレミアム、WOWOWのみ)を掲載。
- 年末の夕刊は休止となるが1週間のテレビ番組欄は夕刊本誌に掲載される。
- 2008年11月をもって休刊となり、2008年12月以降は朝刊折込の日曜版に1週間のテレビ番組表が掲載されている。
- 道新小学生新聞
- 土曜日の夕刊(祝日の場合は前日の金曜日夕刊)に折り込みで入る。
- どきどき動物学園(まるはま作)を連載。
- みなみ風
- 函館新聞(地方紙)に対抗すべく、折り込みで入る(渡島、檜山管内向け)。
- ななかまど
- 無料情報紙ライナーネットワークに対抗すべく、旭川市に密着した生活情報を中心に掲載。毎週金曜日の夕刊(祝日の場合は前日の木曜日夕刊)に折り込みで入る(道北限定)。 なお、本誌では「旭川市内を全戸配布・発行部数16万7千部(道北エリア北海道新聞本誌夕刊購読者含む)」と書かれているため、旭川市内では夕刊を購読していない世帯(朝刊のみ購読の世帯、道新自体購読していない世帯を問わず)にも配布されている(旭川市内でも一部未配布の地域がある。旭川市以外の道北エリアでは夕刊を購読してる世帯のみ配布)。
- 十勝・帯広版
- 十勝毎日新聞(地方紙)に対抗すべく、折り込みで入る。番組欄も、全道版とは別に、今夜の番組欄と翌日の番組欄が掲載されている。JRと航空機の空席情報や、お悔やみ欄などの生活情報も詳しく掲載されている。(十勝管内向け)
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日曜日に折り込みで入る。全8ページ
- 小説
- 漫画
- 占い
- おしゃべりルーム
- ファミリーランド
- クロスワードパズル
- どこが違う?
- 推理パズルなど
- 詰め将棋・詰め碁
- 1週間のテレビ番組表(2008年12月〜)
- 番組欄は地上波とBS(NHK BS1、NHK BSプレミアム、WOWOWプライムのみ)を掲載。
- 掲載レイアウトは朝刊・夕刊と共通である。
番組表の補足[編集]
- 日曜版に掲載(2008年11月までは木曜日夕刊別刷りの「おふたいむ」に掲載)の1週間分のテレビ番組表および系列紙道新スポーツのテレビ番組表は全道版として扱うため、上記の受信不可能だった地域であってもテレビ北海道(TVh)の番組欄は開局時より掲載されている。
地方版(朝刊)一覧[編集]
北海道新聞の地方版は配布場所によって大きく変わる。朝刊ではおおまかに、ブロック単位(道北、道南など)、振興局単位(渡島・檜山など)、市町村単位(札幌、小樽など)の3ページの地方版が平日には掲載される。(日・月曜や休日は統合版になる)
本社(道央)エリア[編集]
道央エリアのみ「Oh!さっぽろ」「現代かわら版」が入り、地方版は4ページになる日がある。
- 札幌圏版(石狩管内向け。統合版も)
- 小樽・後志版(後志管内向け。統合版も)
- 苫小牧・日高版(胆振管内東部、日高管内全域向け。統合版も)
- 苫小牧圏版(胆振管内東部、日高管内全域向け)
- とまこまい版(白老町以東の胆振管内向け)
- ひだか版(日高管内向け)
- 苫小牧圏版(胆振管内東部、日高管内全域向け)
- むろらん・胆振版(登別市以西の胆振管内向け)
- 空知ワイド版(空知管内向け。統合版も)
- 岩見沢・南空知版(美唄市以南の空知管内向け)
- 中・北空知版(奈井江町以北の空知管内向け)
旭川支社(道北)エリア[編集]
- 道北版(上川管内、留萌管内、宗谷管内向け)
函館支社(道南)エリア[編集]
北見支社(オホーツク)エリア[編集]
- オホーツク版(オホーツク管内向け)
- オホーツクワイド版(オホーツク管内向け。なお木曜日は統合版として、きたみ版、遠軽紋別版、網走美幌版は掲載されてない。)
釧路支社(道東)エリア[編集]
- 道東版(釧路管内、根室管内向け)
- 道東ワイド版 日曜日(釧路管内、根室管内、十勝管内、オホーツク管内向け)
帯広支社エリア[編集]
注目を浴びた報道[編集]
- 2003年、他紙に先駆けて北海道警察の裏金疑惑を報道し、道警側にその存在を認めさせた(北海道警裏金事件)。これら一連の報道によって、2004年の日本ジャーナリスト会議大賞、日本新聞協会賞、第52回菊池寛賞、2005年第9回新聞労連ジャーナリスト大賞受賞。
誤報、不祥事[編集]
- 1954年9月、当時、北海道深川市の深川西高校生がつくった人形劇やコーラスサークル「あゆみ会」に対し、「日共の触手高校生へ」などの見出しで、同会会員が日本共産党が当時行った軍事訓練に参加し、共産主義色の強い人形劇を公演していると報道。高校二年生の会長がこの記事は誤報として遺書を残して抗議の自殺をした。北海道新聞は同年10月の社説で、事実上誤報を認めた。
- 1989年10月31日、東京・永田町の料亭で鉄骨メーカー共和副社長と阿部文男北海道開発庁長官(両者とも贈収賄「共和事件」でその後、逮捕、起訴、実刑確定)が北海道新聞社常務と面談し、阿部と長嶋茂雄の対談記事を掲載要求。後日、共和幹部が北海道新聞社の役員室に現金入り封筒を置いていった(常務は翌日返したと主張)。常務から紹介された論説副主幹は「座談会記事は掲載価値がないが長官室での懇談ならば話題性があり記事になる」と助言をし、車代名目で現金を受け取った。その後、論説副主幹は担当記者に懇談の記事化を指示し、12月14日の朝刊に掲載。さらに、1990年2月には北海道新聞が取材していた阿部被告の献金要求疑惑について、同支店幹部に対し取材状況を説明した。この常務と論説副主幹は1992年1月、東京地検特捜部から参考人聴取された。両者は北海道新聞社を退職したが、関連団体に天下った。
- 1995年から翌年にかけて、北海道新聞は北海道庁の裏金問題を長期にわたって報道した。だが、道庁は報道機関向けにも約2500万円の食料費を支出しており、その大半は北海道新聞の記者に対してのものだった。この件に関して、同紙上で報道されることは全く無かった。
- 1997年に函館市で創刊された日刊紙「函館新聞」に対して、北海道新聞社が、時事通信社や系列の放送局に同社と取引しないよう働きかけ、妨害行為を実行したとして、独占禁止法違反の疑いで、公正取引委員会から排除勧告を受けた(函館新聞の「函館新聞の題字論争」の項参照)。2006年10月、東京地裁で、北海道新聞社側は函館新聞側に和解金2億2000万円を支払い、他の訴訟も取り下げる和解に応じた。
- 2000年2月、道央地方の支局に勤務する女性記者が警察署長からセクハラを受けたとして「警察署長が知り合いの女性会社員に酔ってセクハラ」と自社の社員であることを伏せて社会面で大きく報道。この署長が北海道警察の監察室の取調べを受け自殺した。
- 2001年7月28日夕刊で、小泉純一郎首相が参議院選挙のため札幌市内で行った街頭演説で「分数できぬ高校、大学生は障害者」と発言したと伝える記事を掲載した。しかし首相発言で「分数もできなければしょうがないだろう」といったのを「障害者だろう」と記者が聞き誤ったことが、報道各社の取材VTRなどから判明。自民党が抗議したものの「誠意ある回答がない」として、開票日の取材の立ち入り禁止の措置を取ったため、急遽30日付朝刊におわびと訂正の記事を掲載した。
- 2001年11月4日付の朝刊で、札幌弁護士会所属の弁護士Aが、不当労働行為を働いたとして、地方労働委員会に申し立てられたと報道。だが、実際の被申立人はAとは別の人物で、Aは誤報によって名誉を傷つけられたとして、同年11月21日に北海道新聞社を提訴。同訴訟は翌2002年7月2日に和解となったが、裁判所側の合意案には、「(道新の記事は)読者に誤解を与えかねない不正確で不適切な内容」と指摘する部分もあり、事実上Aの主張が認められた結果となった。
- 2003年10月6日の朝刊1面と社会面で、出光興産北海道製油所(苫小牧市真砂町)が、原油漏れの隠蔽工作を行っていたと報道。だが、そのような事実は存在しないことが後日判明し、23日朝刊で「不十分な取材に基く慎重な分析と検討を怠った報道」と謝罪した。
- 2004年10月30日の夕刊で、イラク人質事件に関する共同通信社の誤報記事を1面トップで扱い、後に訂正記事を出し関係者を処分した。
- 2005年3月13日の紙面で、北海道警察と函館税関が覚せい剤の「泳がせ捜査」に失敗し、大量の覚せい剤と大麻が北海道内に流入した疑いがあると報道したが、「泳がせ捜査」の実態が確証あるものではなく、伝聞に基づく「不適切な記事」だったとして、2006年1月14日の朝刊で「おわび」の記事を掲載。しかし記事の訂正には応じない姿勢を示したため、道警が記事の削除と結果説明を要求。また、毎日新聞などによる、道警との文書のやり取りの開示要求も拒否している。
- 2005年7月16日の朝刊一面で、さっぽろ雪まつりの真駒内会場に代わる新会場が中島公園に決定したと報道。だが、この時点ではまだ協議中の段階に過ぎず、その後8月末に新会場として正式決定したのはサッポロさとらんどであった。この誤報に関する道新側の訂正・謝罪は行われなかった。
- 2007年1月17日札幌市営地下鉄駅で同社社員(財務管理室の次長)が酒に酔って線路内で寝ていて列車と接触し、軽傷を負った。この事故の影響で列車12本が運休し2900人に影響が出た。同社は、事故直後に社員であることを確認したが公表せず、翌日の自社の紙面でも「会社員」と報道していた。また、このような報道を行った理由として経営企画室は「事故の態様を見て公表の必要はないと判断した」と述べた。また、この記者の実名は明らかにされず、読者への謝罪のコメントも全く無かった。
「在留管理制度…不法滞在は好ましくない。だからといって国外退去が適切だろうか。何よりも多文化共生の視点が重要だ」[編集]
在留管理制度 共生の視点欠かせない(2012年8月6日 北海道新聞)
3カ月を超え日本に正規滞在できる外国人だけを対象とする新たな在留管理制度が始まった。60年続き、不法滞在者も対象の外国人登録制度は廃止された。在日韓国・朝鮮人ら特別永住者は別の新制度に移行した。
正規滞在者は特別永住者と同様、住民基本台帳に登録される。滞在期間は従来の最長3年から5年に延びた。出国から1年以内の再入国の許可手続きも原則不要となった。部分的には利便性は向上した。
だが、全体的には管理を強める内容となっている。国には慎重な運用と柔軟な対応を求めたい。従来、外国人登録証の交付など登録事務は市町村が担ってきた。制度改正で外国人の在留管理は、出入国管理を受け持つ法務省に一元化された。個々の外国人の滞在状況をより正確に把握する目的からだ。法務省は正規滞在者に在留カードを交付する。以前の外国人登録証と同じで不携帯は処罰対象だ。
転居した場合に「正当な理由」なく90日以内に届け出ないと在留資格が取り消される。日本人の配偶者として在留資格を得ている人が6カ月以上、結婚しているとは言えない状態が続いた場合も同様だ。杓子定規な適用は慎むべきだ。
新制度開始に際し法務省は、資格取り消しを免れる「正当な理由」の具体例を公表した。配偶者の暴力からの避難―などだ。外国人の不安解消のため、こうした対応は積極的に進めてほしい。
これまで市町村は人道的見地から外国人登録制度を活用し、不法滞在者にも母子手帳の交付、子供の就学などのサービスを提供してきた。新制度でこれらの提供が難しくなるとの懸念が出ている。市町村が正規滞在者しか把握できなくなったためだ。札幌市は「従来通り対応したいが、就学案内などは出しようがない」と困惑する。この問題で住民基本台帳法付則は、政府が「必要な措置」を講じる、と定めている。政府は市町村の意見を聞き、対応を急ぐべきだ。
昨年末の外国人登録者は道内約2万人を含む全国約208万人、不法滞在は全国約7万人だ。新制度は不法滞在者の潜行を招き、治安に悪影響を及ぼすとの指摘もある。
不法滞在は好ましくない。だからといって在留期間の超過のみを理由とする国外退去が適切だろうか。わが国には高齢化を背景に外国人労働力に依存している現実がある。何よりも多文化共生の視点が重要だ。法務省は、在留特別許可制度の弾力的運用などで不法滞在者を減らすことこそ積極的に考えるべきだ。力ずくでは何も変わらない。
「自民・安倍さんはキラキラネーム許せないらしい。政権奪回し教育改革に再び乗りだそうかという人の見識とはあきれる」[編集]
キラキラネーム
生まれた子に当て字を使ってアニメの主人公などの名前を付ける親が増えているという。
判読が難しい、こうしたニュータイプの名前を「キラキラネーム」というそうだ。今年の「新語・流行語大賞」の候補語にも挙がっている
▼「今どきの若い親は」と眉をひそめる人もいるだろう。「個性的でかわいい」と共感する人もいよう。
多様な受け止め方があっていいと思うが、この人は「キラキラ」を許せないらしい
▼自民党総裁の安倍晋三さんが先日、東京都内の講演でこう述べた。「キラキラネームをつけられた多く(の子供)はいじめられている。
ペットではないのだから、そういう親も指導しなければいけない」
▼まるで「いじめられるような名前は付けるな」と言わんばかり。違うだろう。「いじめる側」が悪いに決まっている。
“異質”を理由にいじめるような者をいさめるのが教育だ。これが政権を奪回し、得意と自負する“教育改革”に再び乗りだそうかという人の見識とは、あきれる
▼「於菟(おと)」(オットー)「茉莉(まり)」(マリー)「不律(ふりつ)」(フリッツ)「杏奴(あんぬ)」(アンヌ)「類(るい)」(ルイ)。
あの森鴎外が3男2女に付けた名だ。明治時代にしては「キラキラ度」はかなりのものといえそう
▼世が世なら安倍さんの指導対象?天上の文豪も「ぜひ、ご指導をいただきたかった」と残念がっているかも。
安倍内閣は、集団的自衛権を行使できないとしてきた憲法解釈の見直し論議を再開した…許されない(2013年2月)[編集]
安倍晋三内閣は、集団的自衛権を行使できないとしてきた憲法解釈の見直し論議を再開した。
首相が第1次政権で設置した有識者会議を再招集した。会議は前回、報告書を後任の福田康夫首相に手渡したが、憲法解釈の変更は見送られていた。
再開した会議は、座長の柳井俊二元駐米大使らメンバーもそのままだ。5年間休眠していた議論が、再び目を覚ました格好だ。
この間、北朝鮮が核・ミサイル開発を進め、日本と中国との間の摩擦は強まった。安倍首相は「安全保障環境の大きな変化」を理由に解釈変更に踏み込もうとしている。 だが、日本を取り巻く情勢が緊張の度を増しているということは、集団的自衛権行使による紛争の危険性も高まるということだ。
情勢に押されて行使禁止の封印を解くべきではない。こんな時こそ冷静な議論が求められる。
会議は前回《1》近くにいる米国艦船が攻撃された場合の応戦《2》米国に向けて発射されたミサイルの迎撃《3》他国の軍隊が攻撃されたときの駆けつけ警護《4》戦闘地域での後方支援の拡大―の4類型について検討した。
その結果、報告書で《1》米艦船防護《2》ミサイル迎撃の2項目で集団的自衛権行使を認めるよう提言した。再開された会議から報告書をあらためて受け取った首相は、4類型以外にも行使容認が必要とされる事例を検討するよう求めた。
だが解釈変更は、憲法の平和主義を根底から覆すものだ。海外での武力行使に道を開くことになり、到底容認できない。
日本は国際法上、集団的自衛権を有しているが、憲法9条が許容する必要最小限度の自衛の範囲を超えるため行使できない―というのが政府の一貫した立場だ。
日本が攻撃されていないのに米艦を守って反撃したり、米国を狙ったミサイルを撃ち落としたりすることは必要最小限度の自衛を超える。
米国が攻撃された場合、そばにいる自衛隊も応戦するとなれば、相手国は日本も攻撃対象に想定する。
政府見解は内閣法制局が理論的に裏づけし、国会で議論を重ね、練り上げてきた経緯がある。国民的合意を得た憲法解釈であり、重みを無視することはできない。
首相の視線の先には憲法改正があり、集団的自衛権行使容認はその第一歩なのだろう。だが周辺国との関係が一層危うくなりかねない。
憲法は国家が守るべき規範だ。首相と考え方が近いメンバーを集めた有識者会議のお墨付きを得たからと、解釈を都合良く変えることは許されない。
「道教委は卒業式で君が代をきちんと斉唱するよう指導するそうだ。教室は忠誠を強いる取調室のごときものとなろう」[編集]
★うそ発見器
うそ発見器は1920年代にアメリカで開発された。人間は真っ赤なうそをつこうとすると、心臓は高鳴り、呼吸は乱れる。心のうちをうかがい知るには、脈拍、血圧、呼吸の深さ、発汗などを精密に測ればよい。そんな発想から作られた。
▼まず容疑者の尋問などに用いられた。やがて、核兵器の機密を守るために忠誠心を調べ、同性愛者を政府の仕事から追放したりするのにも利用されるようになったそう
▼80年代には年間200万人も検査を受けたという(ケン・オールダー著、青木創訳「嘘(うそ)発見器よ永遠なれ」早川書房)。アメリカの“狂信劇”には驚かされる。国家が市民の心の内面を知ろうとすると、とんでもないことが起こる
▼さて道教委は卒業式で「君が代」をきちんと斉唱するよう、小、中学校を指導するそうだ。今春、札幌市を除く道内各校の校長らが確認したところ、小学校で4割、中学で6割の学校で歌唱が「不十分だった」からという
▼14年前に国旗国歌法ができた際、政府は「強制しない」といっていたはずだ。ところが式での掲揚や斉唱を徹底し、ついには歌い方にまで口を出すとは
▼こんなことでは、声の音量や抑揚、声紋を数値化して、心がこもっているか判定する―などと言い出す時代になりかねない。そうなった時、子どもたちが通う教室は、忠誠を強いる“取調室”のごときものとなろう。
安倍晋三首相は<しけていて、ずるくて、いやらしい>[編集]
まど みちおさんの詩の言葉は、やさしくて温かい。が、安直な使い方については、けっして妥協を許さない厳しさがある
▼たとえば「ことば」という詩。<だいすきなのは「ゆうやけ」/「ゆうやけこやけ」すきでない/「こやけ」が しけてる/ゆうやけに しつれいだよ>。
「なかよし」は、もちろん好きだが、「なかよしこよし」は「きらい」と続く。「こよし」が「いやらしい」―と
▼語感の好悪は人それぞれあろうが、余計な付け足しが言葉の味わいや意味を台無しにしてしまうことがある。政治の言葉に、詩ほどのこまやかさは求めないが、これほど露骨な“付け足し”を見せつけられるとは
▼日米政府が合意した沖縄県の嘉手納基地より南の「基地返還計画」。6施設・区域の返還時期について「○○年度」のあとに「またはその後」が付け加えられた
▼借金を返せと迫った際、「来年、またはその後に返す」といわれ、「よかった」と納得する人はいない。来年まで返済されず、それ以降いくら遅れても違約したことにはならないと受け取るのが常識だ
▼安倍晋三首相は「時期を明記した」と胸を張ってみせた。その言語感覚を疑う。沖縄の地元紙が「何も言っていないのと同じではないか」(沖縄タイムス6日社説)と憤るのも当然だろう。「その後」の付け足しは、<しけていて、ずるくて、いやらしい>。2013・4・9
縮刷版[編集]
- 北海道新聞の新聞縮刷版も同社から発行されている。札幌本社発行の最終版の1カ月分の全紙面をA4サイズに縮小し、一冊の本にして発行。掲載月の翌月末に発売され、定価6500円(税込)である。
関連項目[編集]
- ブロック紙
- 日本の新聞
- 道新ニュース
- TEAM-NACS(イメージキャラクターに起用されている)
- 地球にやさしい・エコプロジェクト - 北海道洞爺湖サミットを契機に、北海道のCO2削減を掲げた北海道新聞の事業。
外部リンク[編集]
- 公式サイト
- 北海道新聞 (doshinweb)(@doshinweb)- Twitter
- 地球にやさしい・エコプロジェクト
- 道警裏金問題