「アイドル冬の時代」の版間の差分
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− | + | このアイドル氷河期を引き起こす要因となったものとして、代表的に挙げられる要素が3つある。決定打となったのが、直前の1986年に起きた遠藤康子と[[岡田有希子]]の自殺である。 | |
* 新機軸として素人性を強く打ち出した[[おニャン子クラブ]]が[[1985年]]にデビュー、[[フジサンケイグループ]]の強力なバックアップにより台頭させる事に成功した。だが、その手法により、それまで世間から手に届かない聖域にあったアイドルの存在を、世間の手が届くものへと降ろし、アイドル性・タレントを大量消費してゆくスタイルを作り上げてしまい、また、これの亜流のアイドルグループが次々と現れては消えていった。 | * 新機軸として素人性を強く打ち出した[[おニャン子クラブ]]が[[1985年]]にデビュー、[[フジサンケイグループ]]の強力なバックアップにより台頭させる事に成功した。だが、その手法により、それまで世間から手に届かない聖域にあったアイドルの存在を、世間の手が届くものへと降ろし、アイドル性・タレントを大量消費してゆくスタイルを作り上げてしまい、また、これの亜流のアイドルグループが次々と現れては消えていった。 | ||
* この頃から各芸能プロダクションは正統派アイドルをデビューさせる事をやめて[[J-ROCK]]に力を入れる様になった。これにより[[コンサート]]や[[ライブ]]だけで人気を掴められる事で[[音楽番組]]が衰退、ひいては放送終了となり、従来型のアイドル歌手の活躍の場が失われてしまった。 | * この頃から各芸能プロダクションは正統派アイドルをデビューさせる事をやめて[[J-ROCK]]に力を入れる様になった。これにより[[コンサート]]や[[ライブ]]だけで人気を掴められる事で[[音楽番組]]が衰退、ひいては放送終了となり、従来型のアイドル歌手の活躍の場が失われてしまった。 | ||
* この時期、[[写真週刊誌]]業界が過当競争状態で、[[女性週刊誌]]、[[ワイドショー]]なども巻き込んで有名人のゴシップなどを巡る取材合戦が過激化の一途を辿っていた。その事から、アイドルタレントといえどもこれらマスコミから狙われ恋愛などのスキャンダル記事にされる事が多く(一部には捏造さえあった)、従来の様なタレント管理やマスコミ対応だけでは「アイドル性」の維持ができなくなってしまった。 | * この時期、[[写真週刊誌]]業界が過当競争状態で、[[女性週刊誌]]、[[ワイドショー]]なども巻き込んで有名人のゴシップなどを巡る取材合戦が過激化の一途を辿っていた。その事から、アイドルタレントといえどもこれらマスコミから狙われ恋愛などのスキャンダル記事にされる事が多く(一部には捏造さえあった)、従来の様なタレント管理やマスコミ対応だけでは「アイドル性」の維持ができなくなってしまった。 | ||
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− | * | + | * 『いかすバンド天国』(本来は「平成名物TV」の中の一コーナー)の隆盛に代表される「バンドブーム」が起こり、女性アイドルに代わって[[渡辺美里]]などに代表される女性ロック歌手がブレイクした。 |
* その隙間を縫うように、『[[美少女戦士セーラームーン]]』([[テレビ朝日]]、[[1992年]]~[[1997年]])や『[[新世紀エヴァンゲリオン]]』([[テレビ東京]]、[[1995年]]~[[1996年]])等のTVアニメに出演した主役の女性声優([[三石琴乃]]・[[林原めぐみ]]・[[椎名へきる]]など)が新世代のアイドルとして注目され、彼女達の演じた2次元の美少女キャラクターと共に人気を博し、21世紀に[[秋葉原]]・[[日本橋 (大阪府)|日本橋]]を中心に発生する所謂「[[萌え]]ブーム」への原動力的なものと思われる「声優アイドルブーム」を巻き起こし、ひいては、ある意味ではアイドル産業と競合関係に位置する[[萌え]]産業の萌芽もここに形成されていった。 | * その隙間を縫うように、『[[美少女戦士セーラームーン]]』([[テレビ朝日]]、[[1992年]]~[[1997年]])や『[[新世紀エヴァンゲリオン]]』([[テレビ東京]]、[[1995年]]~[[1996年]])等のTVアニメに出演した主役の女性声優([[三石琴乃]]・[[林原めぐみ]]・[[椎名へきる]]など)が新世代のアイドルとして注目され、彼女達の演じた2次元の美少女キャラクターと共に人気を博し、21世紀に[[秋葉原]]・[[日本橋 (大阪府)|日本橋]]を中心に発生する所謂「[[萌え]]ブーム」への原動力的なものと思われる「声優アイドルブーム」を巻き起こし、ひいては、ある意味ではアイドル産業と競合関係に位置する[[萌え]]産業の萌芽もここに形成されていった。 | ||
− | * この時期、アイドル調のスタイルで継続的に人気を集める事ができたのは、アイドル的なキャラクター性以上に極めて個性的なポップス・デュオとしての性格を打ち出して成功した[[Wink]] | + | * この時期、アイドル調のスタイルで継続的に人気を集める事ができたのは、アイドル的なキャラクター性以上に極めて個性的なポップス・デュオとしての性格を打ち出して成功した[[Wink]]のみであった。アイドルとして1980年代末から1990年代前半(平成一桁期)にデビューしたタレントの多くは、芸能界・テレビ業界で生き残る為に本格的な歌手か俳優を目指す路線転換を行い、また、[[バラドル]]や[[ミュージカル]]などへ活動の軸足を移し、[[工藤夕貴]]や[[田村英里子]]の様に[[ハリウッド]]に活動の拠点を移した者も見られる。そして、所属事務所の意向などもあるが、一部ではアイドルタレントとして活動した時代の事を、事実上「なかったこと」や「空白の時代」の様に扱う者(例として[[岩男潤子]]。元「セイントフォー」のメンバー・いわお潤)も見られる様になった。 |
====第2次冬の時代の終焉==== | ====第2次冬の時代の終焉==== |
2019年2月23日 (土) 13:50時点における最新版
アイドル冬の時代とは、盛んに正統派アイドルがデビューした時期の後に、その数が急減もしくは不在の時期が発生・持続する事を言う。
目次
概要[編集]
日本におけるアイドル冬の時代は3期に区別される。
冬の時代[編集]
第1次冬の時代(1975年~1977年) 〔停滞期説もあり〕[編集]
- 1970年代前半に新三人娘・新御三家・花の中三トリオ・キャンディーズ・太田裕美などがデビューしたのに対し、1970年代半ば頃は岩崎宏美・岡田奈々・ピンクレディーなどが登場したものの1970年代前半に比べ平均的にアイドルが盛んに登場したとは言えず、一部の評論家からは冬の時代もしくは停滞期と言われている。ただ、この時期には前者のアイドル達が第一線で活躍しているために疑問に思う者もいる。
第1次冬の時代の終焉[編集]
第2次冬の時代(1988年~1993年)[編集]
単に「アイドル冬の時代」と言った際、一般に最も多く指すのはこの時期であり、特にこの時期を指す言葉として「アイドル氷河期」などというものも存在する。この時期にアイドルであった世代は、「就職氷河期世代」(団塊ジュニア~ポスト団塊ジュニア(真性団塊ジュニア))ともちょうど重なる。因みにアイドル冬の時代が始まった時期は、丁度元号が昭和から平成に変わった時期とも重なる。
第2次冬の時代に至った要因[編集]
このアイドル氷河期を引き起こす要因となったものとして、代表的に挙げられる要素が3つある。決定打となったのが、直前の1986年に起きた遠藤康子と岡田有希子の自殺である。
- 新機軸として素人性を強く打ち出したおニャン子クラブが1985年にデビュー、フジサンケイグループの強力なバックアップにより台頭させる事に成功した。だが、その手法により、それまで世間から手に届かない聖域にあったアイドルの存在を、世間の手が届くものへと降ろし、アイドル性・タレントを大量消費してゆくスタイルを作り上げてしまい、また、これの亜流のアイドルグループが次々と現れては消えていった。
- この頃から各芸能プロダクションは正統派アイドルをデビューさせる事をやめてJ-ROCKに力を入れる様になった。これによりコンサートやライブだけで人気を掴められる事で音楽番組が衰退、ひいては放送終了となり、従来型のアイドル歌手の活躍の場が失われてしまった。
- この時期、写真週刊誌業界が過当競争状態で、女性週刊誌、ワイドショーなども巻き込んで有名人のゴシップなどを巡る取材合戦が過激化の一途を辿っていた。その事から、アイドルタレントといえどもこれらマスコミから狙われ恋愛などのスキャンダル記事にされる事が多く(一部には捏造さえあった)、従来の様なタレント管理やマスコミ対応だけでは「アイドル性」の維持ができなくなってしまった。
この頃にエンターテインメント界で起こった現象[編集]
- 『いかすバンド天国』(本来は「平成名物TV」の中の一コーナー)の隆盛に代表される「バンドブーム」が起こり、女性アイドルに代わって渡辺美里などに代表される女性ロック歌手がブレイクした。
- その隙間を縫うように、『美少女戦士セーラームーン』(テレビ朝日、1992年~1997年)や『新世紀エヴァンゲリオン』(テレビ東京、1995年~1996年)等のTVアニメに出演した主役の女性声優(三石琴乃・林原めぐみ・椎名へきるなど)が新世代のアイドルとして注目され、彼女達の演じた2次元の美少女キャラクターと共に人気を博し、21世紀に秋葉原・日本橋を中心に発生する所謂「萌えブーム」への原動力的なものと思われる「声優アイドルブーム」を巻き起こし、ひいては、ある意味ではアイドル産業と競合関係に位置する萌え産業の萌芽もここに形成されていった。
- この時期、アイドル調のスタイルで継続的に人気を集める事ができたのは、アイドル的なキャラクター性以上に極めて個性的なポップス・デュオとしての性格を打ち出して成功したWinkのみであった。アイドルとして1980年代末から1990年代前半(平成一桁期)にデビューしたタレントの多くは、芸能界・テレビ業界で生き残る為に本格的な歌手か俳優を目指す路線転換を行い、また、バラドルやミュージカルなどへ活動の軸足を移し、工藤夕貴や田村英里子の様にハリウッドに活動の拠点を移した者も見られる。そして、所属事務所の意向などもあるが、一部ではアイドルタレントとして活動した時代の事を、事実上「なかったこと」や「空白の時代」の様に扱う者(例として岩男潤子。元「セイントフォー」のメンバー・いわお潤)も見られる様になった。
第2次冬の時代の終焉[編集]
- このアイドル氷河期とも言われる時代の終焉は、おニャン子クラブやその他80年代アイドル達の全盛期を知らない1970年代末期~1980年代初頭に生まれた世代が成長し、1990年代半ばに中学生・高校生となるのを待たねばならなかった。
- この時期に至り、ようやく正統派アイドルが少しながら復活し、役者業・バラエティー番組出演に力を入れたジャニーズ事務所や実力派の沖縄アクターズスクール出身のアイドル達が次々とデビューし活躍した。
- だが、その一方で価値観の多様化が急激に進んだしたこの時代にあっては、アイドルタレントが芸能界において大きな存在を占め、アイドルそのものが一大産業となっていた1980年代前半の様な状況が再来する事は無かった。
- この時期以降にもアイドル路線やそれに近い販売戦略を狙った芸能プロダクション・タレントは少なくない。だが、往時と比べれば極めて小さくなったアイドル産業の市場では活躍の場自体が少なく、芸能活動に行き詰まりをきたす者が続出した。
- その為、この第2次冬の時代以降の女性アイドルについては、前述した「声優アイドルブーム」や「萌えブーム」の先駆け的なものとの絡みからか、デビュー当初からアニメやテレビゲームとその関連産業(声優や主題歌)などに市場を求めたり、芸能活動の維持継続の為にも20歳前という早い段階から脱アイドル化(女優、アイドル声優などへの路線変更)を模索し始める例が相次ぐなど、清純派アイドルという存在の芸能界に於ける位置づけ自体が微妙なものになっていった。例としては高橋由美子、仲間由紀恵、千葉紗子などが挙げられる。いずれもアイドル時代にアニメ産業と何らかの関わりを持ち、千葉に至っては後に声優業に転じている。
- かつての様な幅広い層から支持を集めるビッグアイドルが作り出せなくなった状況下で、逆にある意味ではニッチ的な存在としてマニアックな層での市場開拓を狙う者が現れ始めたのもこの時期からである。代表的な例としては、パソコンを使いこなして「電脳アイドル」と呼ばれ、子供向け特撮番組にも主役としてレギュラー出演した千葉麗子が挙げられる。
なお、この「第2次」と言われる期間については、人によっても見方が大きく異なる。中には後述する「第3次」に至るまでの間にアイドル産業が立ち直れたとはっきり言える時代は無く、「第2次」から継続してそのまま「第3次」に突入しているとする見方をしている者もいる。
第3次冬の時代(2001年~2005年?)[編集]
第3次冬の時代に至った要因[編集]
- 1990年代末期にダンス&ヴォーカルグループのモーニング娘。が登場した事と、その一方で2000年3月に実力女性アイドルユニットのSPEEDが解散したのをきっかけとして、再びアイドルは冬の時代を迎えた。
この頃にエンターテインメント界で起こった現象[編集]
- 宇多田ヒカルや倉木麻衣に代表される実力派ボーカリスト、いわゆる歌姫が次々とデビューし、いづれもかつてアイドル歌手の平均デビュー年齢と思われる15~16歳(当時)でデビューしており、更に林明日香に至っては2003年に当時13歳でデビューしている。
- この他にも、時代が時代ならば、当初はアイドル歌手としてデビューさせ、知名度を得てから本格歌手へ移行する販売戦略が取られても不思議ではなかった様な者たちが、当初より本格的な歌手としてデビューを果たししている。
- 同じ頃、「仮面ライダーシリーズ」や「スーパー戦隊シリーズ」や「ウルトラシリーズ」等の特撮ヒーロー作品で、劇中の(正義・悪ともに)ヒロインを演じた女優(秋山莉奈・山本梓・加藤夏希など)がアイドル的人気を博し、バラエティ番組を始め、CM出演したりと、子供達だけではなく一般層(特に成人男性)のファンをも獲得した。
第2次と第3次との共通点[編集]
- いづれも、オタク文化(子供向け番組)から派生しているものが正統派アイドルよりも圧倒的な(?)人気を得ている。
- 第2次=アニメ(TV・ビデオ・映画)
- 第3次=TV特撮ヒーロー番組若しくは特撮映画
- アイドルファンの主な年齢層が高齢化(10~20代→30~40代。アイドル黄金時代を知る世代である)しており、今日ではこれに併せて若手女性タレントの平均年齢も上昇している。
- 多くの実力派の女性ボーカリストが、当初からアイドル的な販売戦略を全く取らずにデビューしている。
(この傾向は一覧には時代的に出て来ないが、小室哲哉が1994年~1997年までの全盛期に構築したものであり小室衰退後の今日でも継続している。)
関連項目[編集]