普通郵便局
普通郵便局(ふつうゆうびんきょく)とは、郵政民営化以前に存在した郵便局の分類のひとつで、「特定郵便局長を長とする郵便局以外で簡易郵便局を除く郵便局」である。内部の規則上はこれ以外に定義はない。
実質の業務上では、
に分類される。
47都道府県の県庁所在地に所在する中央郵便局は統括局といい、例えば局長のランクが高いなど、特別の地位が与えられている。中央郵便局は他に政令市(浜松市・堺市を除く)、旭川、釧路、函館の各市に配されていて、上記の地域区分局であることが多い。また、近年は郊外に集配普通郵便局を設置し、中央郵便局から地域区分局業務を移管することが多い。
目次
集配普通局と無集配普通局[編集]
集配普通局と無集配普通局との違いは、単純に集配事務を行うか行わないかの違いであり、局規模等にはよらない。また事業上は郵便事業上における分類であり、貯金保険の集金等を行う外務員が配置されているかどうかにはよらない。
したがって、無集配普通局はさらに便宜上以下のように分類できる。
- 貯保外務配置局
- 貯保外務非配置局
集配普通局[編集]
集配普通局はその名の通り集配事務を取り扱う局であるが、一部純粋に配達のみを行い、取集業務は行わない局がある。この場合、近隣局が当該局区内の取集を行っている。例として、名古屋中郵便局があてはまる。取集は名古屋郵便集中局が行う。
銀座郵便局(東京都中央区銀座8丁目)は、郵便業務の中でも冊子小包の大量差出や、超特急郵便などを専門に行う局であったが、平成16年9月27日に集配業務を開始した(中央区、港区の各一部)。芝郵便局、京橋郵便局管内の郵便物の差立区分や配達区分の業務の集中処理を行っている。銀座郵便局は貯金業務を行っていないため、かつて併設されていたATMは京橋郵便局の出張所扱いであった。
無集配普通局[編集]
輸送局[編集]
無集配普通局には、かつて輸送局という分類があった。これは鉄道郵便局廃止後、全国に6局設置されたが、順次廃止され、東小倉輸送局を最後に消滅した。
貯保外務配置局[編集]
貯保外務配置局には、石川県金石郵便局、宮城県仙台南郵便局が該当する。
地域区分局・起点局・集中局[編集]
地域内の郵便物を集約し、他の地域への郵便物を取りまとめる郵便局を地域区分局と称する。このほか、いくつかの集配局の郵便物を集約し、地域区分局へ送付する郵便局を起点局といい、主に普通郵便局がこれにあたる。
複数の集配局の取集業務を統合した郵便集中局が昭和50年代に名古屋・横浜に設置された。地域区分局としての役割もあるが、配達・貯金・保険業務は行わない。ところが、横浜では業務量の増加により取集業務がパンクし元の集配局に返上する事態となったため、単なる地域区分局となっている。配達をしないため無集配局に分類される。
再編計画[編集]
近年では輸送業務の効率化のため地域区分局の再編が進んでいる。今後、民営化や郵便物数の減少などにより一層の効率化が求められるため、さらなる再編も予想される。
東北地方[編集]
2000年以降、山形県では山形南郵便局、宮城県では新仙台郵便局(現・郵便事業新仙台支店)を設置することで、地域区分局業務(民営化後の郵便事業の統括支店)を各中央局から移管している(いずれも、近隣集配局の集配業務を統合している)。
関東地方[編集]
2006年11月20日に新越谷郵便局が無集配普通局として設置され、さいたま新都心郵便局、越谷郵便局から小包郵便物に係る地域区分局の移管も行われている。また2007年3月からは銀座郵便局で行っていた冊子小包等の大量差出の処理業務が移管された。
東海地方[編集]
愛知県の豊橋南郵便局の地域区分局業務を豊川インターチェンジに近い豊川郵便局へ移管する計画が浮上している。
近畿地方[編集]
中央郵便局が県の西端にある滋賀県では地域区分郵便局を大津中央郵便局から名神高速道路栗東インターチェンジ最寄の栗東郵便局または近江守山郵便局のいずれかへ移管する計画がある。
中央郵便局が県の北端に位置しかつ高速道路からも遠い奈良県の奈良中央郵便局では地域区分局業務を分離して郵便事業新奈良支店(仮称。郡山インターチェンジ に近い大和郡山市横田地区が有力)への移管の計画がある。 京都府福知山郵便局管轄(62)のうち、京都市に近い亀岡市と南丹市と京丹波町の分は京都中央郵便局へ移管の計画がある。
新神戸郵便局(仮称。神戸市北区の吉尾ランプ付近が有力)の計画があり、兵庫県のうち65神戸中央郵便局、66尼崎郵便局(66の小包は新大阪郵便局)の地域区分局業務の移管、再編が予定されている。
中国地方[編集]
人口が少ない鳥取県・島根県では地域区分郵便局を松江中央郵便局に統合する計画がある。岡山県や山口県では県内の地域区分郵便局の統一、岡山県に郵便事業新岡山支店設置の計画も予定されている。
四国地方[編集]
現時点では計画・予定なし。
九州地方[編集]
福岡県では、2007年3月26日に新福岡郵便局を開局、81博多郵便局と82飯塚郵便局の地域区分局業務の移管、再編が実施された。またこれに併せ、飯塚局管轄のうち瀬戸内海沿岸にある京築地域(87の吉富町を除く)の統括と82地域の小包に関する業務が80北九州中央郵便局へと移管された。
当初「新熊本郵便局(仮称)」として建設され2004年に開局した熊本北郵便局は、2002年に開局した新仙台郵便局・新金沢郵便局とは異なり、集配特定郵便局「菊陽郵便局」の移転・局名改称・局種別改定であるため、郵便事業専門の郵便局としての発足ではなく、菊陽郵便局が行ってきた郵便貯金・簡易保険の業務も引き継いでいる。併せて、宮崎中央郵便局及び鹿児島中央郵便局から小包の地域区分局としての機能が移管されており、南九州地域3県の小包業務を強化させている。
民営化に伴う措置[編集]
2007年10月1日の民営化実施後は、「普通郵便局」「特定郵便局」といったカテゴリーは「簡易郵便局」を除いて全廃され、以下の通りに分けられた。
2.は、各郵便局で集められた郵便物を集約し、他の地域とやりとりする業務を専門的に行う郵便局が該当する(例:新東京郵便局、名古屋郵便集中局、新大阪郵便局)。地域によっては無い。5.は、原則として郵便局株式会社、郵便事業株式会社以外の者が設置者となるが、民営化後は設置者によっては一般の利用が不可となるケースがある。
また、地域区分局はほとんどが日本郵便の統括支店に移行した。
地域区分局一覧[編集]
日本郵便における支社は、旧公社支社(郵便事業部)をそのまま引き継いでいる。※は日本郵便における統括支店とならなかった郵便局。なお、佐賀県内には統括支店がなく佐賀県の統括支店は福岡県の久留米東支店である。これにより県内の隣の支店へ荷物を送る際は一度久留米東支店へ移動後配達されるという状態になっている。
支社 | 受持地域 (郵便番号上2桁) |
地域区分局 | 都道府県 | 日本郵便統括支店 |
---|---|---|---|---|
北海道 | 00・06 | 札幌中央郵便局 | 北海道 | 札幌支店 |
04 | 函館中央郵便局 | 函館支店 | ||
札幌中央郵便局[1] | ||||
05 | 苫小牧郵便局 | 苫小牧支店 | ||
07・09 | 旭川東郵便局 | 旭川東支店 | ||
※北見郵便局[2] | ||||
08 | 帯広郵便局 | 帯広支店 | ||
東北 | 01 | 秋田中央郵便局 | 秋田県 | 秋田支店 |
02 | 盛岡中央郵便局 | 岩手県 | 盛岡支店 | |
03 | 青森西郵便局 | 青森県 | 青森西支店 | |
96・97 | 郡山郵便局 | 福島県 | 郡山支店 | |
98 | 新仙台郵便局 | 宮城県 | 新仙台支店 | |
99 | 山形南郵便局 | 山形県 | 山形南支店 | |
関東 | 26・28・29 | 千葉中央郵便局 | 千葉県 | 千葉支店 |
27 | 浦安郵便局 | 浦安支店 | ||
30 | 土浦郵便局 | 茨城県 | 土浦支店 | |
31 | 水戸中央郵便局 | 水戸支店 | ||
32 | 宇都宮東郵便局 | 栃木県 | 宇都宮東支店 | |
33・34 | さいたま新都心郵便局(通常) | 埼玉県 | さいたま新都心支店 | |
新越谷郵便局(小包) | 新越谷支店 | |||
35・36 | 川越西郵便局 | 川越西支店 | ||
37 | 高崎郵便局 | 群馬県 | 高崎支店 | |
東京 | 10-17 | 新東京郵便局[3] | 東京都 | 新東京支店 |
18-20 | 東京多摩郵便局 | 東京多摩支店 | ||
南関東 | 21 | 川崎港郵便局 | 神奈川県 | 川崎港支店 |
22・23 | 横浜郵便集中局 | 横浜神奈川支店 | ||
24・25 | 綾瀬郵便局 | 綾瀬支店 | ||
40 | 甲府中央郵便局 | 山梨県 | 甲府支店 | |
信越 | 38 | 長野東郵便局 | 長野県 | 長野東支店 |
39 | 松本南郵便局 | 松本南支店 | ||
94 | 長岡郵便局 | 新潟県 | 長岡支店 | |
95 | 新潟中央郵便局 | 新潟支店 | ||
北陸 | 91 | 福井南郵便局 | 福井県 | 福井南支店 |
92 | 新金沢郵便局 | 石川県 | 新金沢支店 | |
93 | 富山南郵便局 | 富山県 | 富山南支店 | |
東海 | 41 | 沼津郵便局 | 静岡県 | 沼津支店 |
42 | 静岡南郵便局 | 静岡南支店 | ||
43 | 浜松西郵便局 | 浜松西支店 | ||
44 | 豊橋南郵便局 | 愛知県 | 豊橋南支店 | |
45-49 | 名古屋郵便集中局 | 名古屋神宮支店 | ||
50 | 岐阜中央郵便局 | 岐阜県 | 岐阜支店 | |
51 | 四日市西郵便局 | 三重県 | 四日市西支店 | |
近畿 | 52 | 大津中央郵便局 | 滋賀県 | 大津支店 |
53-59 | 新大阪郵便局 | 大阪府 | 新大阪支店 | |
60・61 | 京都中央郵便局 | 京都府 | 京都支店 | |
62 | 福知山郵便局 | 福知山支店 | ||
63 | 奈良中央郵便局 | 奈良県 | 奈良支店 | |
64 | 和歌山中央郵便局 | 和歌山県 | 和歌山支店 | |
65 | 神戸中央郵便局 | 兵庫県 | 神戸支店 | |
66 | 尼崎郵便局(通常) | 尼崎支店 | ||
新大阪郵便局(小包) | ||||
67 | 姫路郵便局 | 姫路支店 | ||
中国 | 68 | 米子郵便局 | 鳥取県 | 米子支店 |
69 | 松江中央郵便局 | 島根県 | 松江支店 | |
70 | 岡山中央郵便局 | 岡山県 | 岡山支店 | |
71 | 倉敷郵便局 | 倉敷支店 | ||
72 | 福山東郵便局 | 広島県 | 福山東支店 | |
73 | 広島中央郵便局 | 広島支店 | ||
74 | 徳山郵便局 | 山口県 | 徳山支店 | |
75 | 下関郵便局 | 下関支店 | ||
四国 | 76 | 高松南郵便局 | 香川県 | 高松南支店 |
77 | 徳島中央郵便局 | 徳島県 | 徳島支店 | |
78 | 高知東郵便局 | 高知県 | 高知東支店 | |
79 | 松山西郵便局 | 愛媛県 | 松山西支店 | |
九州 | 80 | 北九州中央郵便局 | 福岡県 | 北九州支店[4] |
82 | 北九州中央郵便局(小包) | |||
新福岡郵便局(通常) | 新福岡支店[5] | |||
81 | 新福岡郵便局 | |||
83 | 久留米東郵便局 | 久留米東支店 | ||
84 | 佐賀県 | |||
85 | 大村郵便局 | 長崎県 | 大村支店 | |
86 | 熊本北郵便局 | 熊本県 | 熊本北支店 | |
87 | 大分東郵便局 | 大分県 | 大分東支店 | |
88 | 宮崎中央郵便局(通常) | 宮崎県 | 宮崎支店 | |
熊本北郵便局(小包) | ||||
89 | 鹿児島中央郵便局(通常) | 鹿児島県 | 鹿児島支店 | |
熊本北郵便局(小包) | ||||
沖縄 | 90 | 那覇中央郵便局 | 沖縄県 | 那覇支店 |
分課局と未分課局[編集]
普通局は集配事務の有無により上記のように分類されるが、一方で要員配置上から、以下の分類ができる。即ち三事業別に要員を配置する、単独定員配置局と、総合定員配置局である。これは課が設置されているかどうかとはまた違う分類であり、一部の未分課局には、事業別に要員が配置されている局が存在する。
分課局の課数は局の規模によって異なり、比較的大きい普通局では郵便課・貯金課・保険課・集配営業課・総務課の5課体制であることが多い。なお局によっては貯金課と保険課が一緒になった貯金保険課を設置し、貯金係・保険係と区別していることがある。管轄件数が多い場合は、第1集配営業課・第2集配営業課・・・という様に複数の課に分割している局もある。また集配営業課を設置せず、郵便課に外務職員を配置して集配を行っている局もある。最小は総務課と郵便課の2課体制で、貯金・保険は総務課で扱う。
未分課局では「課」を設置せず郵便内務係、郵便外務係、貯金保険係、総務係など事業別に要員を配置する。この場合、いわゆる係長相当職に総務主任(または局長代理)が充てられる。未分課局の多くは集配特定局からの格上げが多いため、一見しても普通局か特定局か見分けがつかないこともある。
民営化に向けての集配局統合で未分課局は統括センター傘下の配達センター(取集業務は行わなず、郵便物を配達するだけ)になることも検討されている。
貯金保険課の特徴としては、外務職員が貯金と保険の両方の取り扱うことが出来る点にある。貯金課・保険課が別々に設置されている場合は、所属している課の外務しかできない。
大規模局になると郵便課が細かく分けられ、郵便窓口課・普通郵便課・特殊郵便課・小包郵便課・法人郵便営業課などが設置されている。郵便関係の課長の上に部長職が設けられている(東京中央局、新東京局など)。また特殊な課として切手普及課(東京中央郵便局)・郵便企画課(大阪中央郵便局)などがあげられる。
分任局と渡切局[編集]
公社以前には、会計上、上記とはさらに別の分類として、分任局と渡切局とに細分されていた。これは事業別・あるいは課別に予算が組まれていた局と、一局に各事業分一括して予算が組まれていた局とに分類され、前者はその都度決裁を受け物品を調達していたのに対し、後者は責任者の判断で、随時調達できるという違いがあった。しかしながら、情報公開請求で、渡切予算について疑問が投げかけられ、廃止に至っている。
普通郵便局めぐり[編集]
郵便局巡りという趣味があるが、その一ジャンルとして普通局を巡る趣味がある。郵便局は全国およそ25,000局所もあり一生の間に全部廻りきるのは不可能に近いが、1千余局の普通局なら完全制覇も可能という考えによる。
しかしながら、東京より船で26時間かかる小笠原諸島にある小笠原局(2007年3月5日より無集配局へ移行、集配事務は新東京局へ集約)や、警備上の理由により一般人の利用が甚だ困難である皇居内の宮内庁内局へも訪問する必要があり、普通局イコール都市部と思って安易にかかると意外にハードルが高い。なお宮内庁への一般人の入構は認められていないが、平成11年頃までは坂下門の警備詰所で申し出て局に連絡をとってもらい、局員に手空きがあれば迎えにきてもらい同行してもらうことで訪問できた参考1参考2参考3。しかし現在は、前述のとおり警備上の理由等でこの方法は一切認められていない。
また、船内郵便局や南極の昭和基地内郵便局も、特定郵便局長が配属されていないため普通郵便局である。昭和基地内局長は観測隊員が兼務辞令を受けて局長の事務を取り扱う。参考
関連項目[編集]
脚注[編集]
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