G-SAVIOUR
『G-SAVIOUR』(ジーセイバー)は、日本とアメリカ合衆国で共同製作された、テレビ用映画特撮ドラマ作品で、アニメ作品群「ガンダムシリーズ」の一つ。コンピュータグラフィックスと実写を組み合わせた初の「ガンダムシリーズ」の映像作品として注目された(本作品以前に『GUNDAM 0079 THE WAR FOR EARTH』という実写ゲーム作品は存在していた)。
旅客機内での特別版上映やイベントでのショート版公開を経て、最初の『機動戦士ガンダム』放映後20周年を記念して2000年12月29日にテレビ朝日系で放映された。なお特別版とテレビ放送版ではキャスティングが異なっている。放送版の録音演出は飯田譲治が担当。
G-SAVIOUR | |
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放送局 | アメリカ合衆国 日本 |
ジャンル | テレビドラマ/単発特別番組 |
放送期間 | 2000年12月29日 |
放送時間 | 16:00 - 17:25〔JST〕 73 |
制作局 | ポールスター・テレヴィジョン |
企画/PD | 井上幸一、ミミ・メイナード、カタリーナ・コンティ、クリス・ダブス |
監督/総指揮 | グレーム・キャンベル |
演出 | |
原作 | |
脚本 | ステファニー・ペナ=シー、マーク・アマート |
出演者 | ブレナン・エリオット エヌーカ・オークマ デイヴィッド・ラヴグレン カタリーナ・コンティ フロスガー・マシューズ ケネス・ウェルシュ ブルー・マンクマ アルフォンソ・キーハダ ほか |
ナレーション | |
音声 | ステレオ放送 |
字幕 | |
データ放送 | |
オープニング | |
エンディング | |
公式サイト | [ 公式サイト] |
特記事項: TVアニメ『機動戦士ガンダム』20周年記念ドラマ、日米合作。 | |
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カテゴリ |
テレビドラマ |
目次
作品解説[編集]
前述のとおり、本作はアニメで制作されるのが主である「ガンダムシリーズ」の中では珍しい、コンピュータグラフィックスと実写を組み合わせた形態の作品である。制作費用はプロモーショントレーラー版までに2億、テレビ放映版までに8億、合わせて10億という破格の費用がかけられている。しかしこれはアメリカのテレビドラマのスペシャル番組としては普通の金額であり、映画としては安い部類に入る。
U.C.223年という宇宙世紀作品の中でも最も未来を描いた本作であるが、当初は年号がS.C.(スペースセンチュリー)と表記されていて、宇宙世紀という呼称は同じでも別の世界であるとの設定もあった。現在では宇宙世紀の物語とされているが、宇宙世紀の正史という面ではグレーな存在となっている。
物語の背景設定[編集]
スペースコロニー社会の変化[編集]
連邦政府は度重なる紛争を鎮圧するため、宇宙世紀0217年に各スペースコロニーの制圧という強行策を始める。その動きにコロニー側は激しく反発し、再び戦争状態となるが0222年に和解。しかし、これによって連邦政府の権威は完全に失墜、コロニーの独立を認めざるを得なくなる。宇宙世紀0218年時点で統治機構としての連邦政府は事実上崩壊しており、これを機にコロニーという名称がセツルメントと改められる。
しかし、旧連邦政府派は地球よりのサイド2、サイド3、サイド5、サイド7を糾合しセツルメント国家議会を形成する。月面都市、サイド1、サイド4はそれに対抗してセツルメント自由同盟を結成。地球圏は2大組織の対立する場となる。なお、サイド6及び建設中であったサイド・ガイアは独立・中立を保った。
そしてセツルメント国家議会は旧連邦政府の軍勢力をそのままセツルメント国家議会軍(CONSENT)として再編し更なる勢力拡大を志向する。こうした情勢を受け、新たな勢力たる秘密結社「イルミナーティ」が地球圏の秩序を守るための調停に動き出す。
地球連邦崩壊[編集]
宇宙世紀0100年代、腐敗と堕落を繰り返してきた地球連邦は宇宙戦国時代を経て形骸化の極みに達していた。宇宙世紀0217年、頻発する各コロニー間の紛争を鎮圧するべく、コロニー制圧という暴挙に出た地球連邦は完全にその権威を失墜させ、もはや再起不能の状態に陥った。翌宇宙世紀0218年、200年もの永きに渡って地球圏を支配してきた地球連邦は崩壊し、宇宙世紀はセツルメント国家議会とセツルメント自由同盟の対立という新たな局面へと移ったのである。
ガイアの光事件[編集]
本作で発生した武力紛争は、設定では「ガイアの光事件」と名付けられている(劇中には、事件の名称は登場しない)。
ストーリー[編集]
深海農業研究施設付近において、モビルスーツ11号に搭乗して作物の収穫中だったマーク・カランは、突然落下してきたモビルスーツ・ブグのパイロット、ティム・ハロウェイ中尉を救出するが、同時に落下してきたもう一つの物体が議会軍の反乱分子である可能性から施設は議会軍の管理下に置かれる。侵入者を発見したマークだが同時に居合わせた議会軍の指揮官、ジャック・ヘイルが発砲し、侵入者2人のうち1人を殺してしまう。
次の日、議会軍主催のパーティーに出席していたマークは、会場に居合わせたガーノー総督の依頼でパーティーを抜け出し、面会と事件の解明のため、侵入者が収容されている施設へ向かう。そこで侵入者シンシア・グレーブス博士と、地球圏に迫っている食糧問題を解決する鍵となる、熱源を持つ生物発光体のサンプルを手に入れるが、再度ジャックが現れ、その場から逃走する羽目になる。その後合流したシンシアの仲間とマークの婚約者ミミの一行はシャトルを奪い、サイド4(ニューマンハッタン)へ向かう。
更にサイド・ガイアへと逃れたマーク達は、生物発光体のサンプルを狙うセツルメント国家議会軍の襲撃を受ける。マークは新型モビルスーツ「Gセイバー」を駆り、味方の増援にも助けられてこれを退ける。
製作会社[編集]
スタッフ[編集]
- 監督:グレーム・キャンベル(Graeme Campbell)
- エグゼクティブプロデューサー(製作総指揮):吉井孝幸、植田益朗、アンソニー・スカラ(Anthony Scala)、フィリップ・デイヴィッド・セガール(Philip David Segal)
- プロデューサー:井上幸一、ミミ・メイナード(Mimi Maynard)、カタリーナ・コンティ(Catharina Conti)、クリス・ダブス(Chris Dobbs)
- 副プロデューサー:バディー・マリーニ(Buddy Marini)
- ストーリー:ステファニー・ペナ=シー(Stephanie Pena-Sy)
- 脚本:マーク・アマート(Mark Amato)、ステファニー・ペナ=シー
- 撮影監督:ジョエル・J・ランサム(Joel J. Ransom)
- 音楽:ジョン・デブニー(John Debney)、ルイス・フェブレ(Louis Febre)
- キャスティング:スーザン・テイラー・ブラウス(Susan Taylor Brouse)、リン・キャロウ(Lynne Carrow)
- 衣装デザイン:アントニア・バードン(Antonia Bardon)
- プロダクションマネージャー:ジェフリー・バーク(Jeffrey Berk)
- 第1助監督:ボブ・クリッペン(Bob Crippen)
- 第3助監督:デブラ・ハースト(Debra Herst)
- コンセプトデザイナー:池田繁美、ケヴィン・イシオカ(Kevin Ishioka)、大河原邦男
- モビルスーツ・コックピットデザイナー:デイヴィッド・J・ストーラリー(David J. Stollery)
- プロパティーマスター:ダン・シソンズ(Dan Sissons)
- アシスタント・プロパティーマスター:コリン・マシューズ(Colin Matthews)
キャスト[編集]
(※登場人物名……俳優/特別版吹替声優/テレビ放送&DVD版吹替声優」で記載)
大西洋深海農業研究所(リグ)[編集]
- マーク・カラン……ブレナン・エリオット(Brennan Elliott)/萩原聖人/加藤晴彦)
- 本作の主人公。元セツルメント国家議会軍のモビルスーツパイロットで、軍での最終階級は大尉。南欧系白人男性。軍ではエースとして名高かったが、演習中に発生した事故をきっかけに上官であったジャック・ヘイルと対立、軍を退役した。その後、深海農業研究施設において食糧問題解決のための研究を行っていた。
サイド・ガイア[編集]
- シンシア・グレーブス……エヌーカ・ヴァネッサ・オークマ(Enuka Vanessa Okuma)/山本未来/篠原涼子
- サイド・ガイア生物工学主任を務める助教授。グレーブス委員長の娘で黒人女性。マークと徐々に心を通わせていく。
- グレーブス委員長……ブル・マンクマ(Blu Mankuma)/?/内海賢二
- サイド・ガイアの代表、ガイア議会の委員長。黒人男性。
- フランツ・ディーター……アルフォンソ・キーハダ(Alfonso Quijada)/?/小宮孝泰
- サイド・ガイア生物研究所の研修生。若い中東系男性。
- クーヴィー(国内盤DVDパッケージ表記はコゥビィ)……ターイラ・マーケル(Taayla Markell)/?/佐久間レイ
- サイド・ガイア生物研究所の研究員で、シンシアの助手。若い東洋系女性。
イルミナーティ[編集]
- フィリッペ・サン・シモン……フロスガー・マシューズ(Hrothgar Mathews ※国内盤DVD等の表記はファーストネームのaが抜けた誤植)/?/小島敏彦
- 地球圏の平和の番人たる秘密結社イルミナーティの重要人物。白人男性。元セツルメント国家議会軍の軍人で、マークの親友であったが、戦死したことになっていた。サイド4のセツルメント、ニューマンハッタンにてマークと再会し、彼に劇場に隠していた最新鋭MS、Gセイバーを見せ、マークの腕を見込んでこれに乗るよう言った。そのマークが拒絶したのを見て、マークがいまだソウヤーの件から立ち直っていないことを見抜く。
- コンピューターの声……?/?/山口隆行
セツルメント国家議会軍[編集]
- ジャック・ヘイル中佐……デイヴィッド・ラヴグレン(David Lovgren)/?/土師孝也
- セツルメント国家議会軍中佐。北欧系白人男性。目的のためには手段を選ばず、冷酷な行動も平気で取る。かつてはマークの上官だったが、マークが10億ドルのモビルスーツに搭乗しての訓練飛行中に、僚機のパイロット、ソウヤーが機体のコントロールを失って墜落する際、マークに高価な機体の保護を理由に見捨てるよう命令を下した。
- ミミ・デビア……カタリーナ・コンティ(Catharina Conti)/?/高田由美
- セツルメント国家議会軍情報部に所属する白人女性。マークの恋人。議会軍の戦略立案員のポストを狙っており、マークに口添えを頼んだり、パーティー会場でのマークの反抗的態度をいさめる。ガーノー総督を信頼していたが、彼が生物発光体サンプルを活かす気が全くないことを知り、その考えを大きく変える。
- ガーノー総督……ケネス・ウェルシュ(Kenneth Welsh)/?/ラサール石井
- セツルメント国家議会軍総督。白人男性。サイド・ガイアを占領して地球の食糧危機をコントロールし、独裁者になろうとする。
- ティム・ハロウェイ中尉……ピーター・ウィリアムズ(Peter Williams)/?/坂東尚樹
- セツルメント国家議会軍中尉。黒人男性。ガイアのテロリスト(シンシア達)を追撃する任務の際、誤って大気圏に突入してしまい大西洋に着水。そのまま海中に没するがマークに救出される。
- ソウヤー……?/?/石野竜三
- かつてマークの同僚であった国家議会軍のモビルスーツパイロット。訓練飛行中の事故により、命令に背いて独断で急行したマークの努力も実らず、死亡。結果としてマークは辞表を提出し、軍を除隊した。
- シモンズ……ブレンダン・ベイサー(Brendan Beiser)/?/小野健一
- ダガット……マーロウ・ドーン(Marlowe Dawn)/?/篠原恵美
- フェーガン……?/?/熊谷ニーナ
- パイロット……サム・ヴィンセント(Sam Vincent)/?/?
- 警備兵1……ロナルド・セルモア(Ronald Selmour)/?/酒井哲也
- 議会軍に捕らえられたシンシアの監禁場所の受付カウンターにいた兵士。マークとは旧知の仲で、書面なしにシンシアに面会に来たマークに対し、内緒で便宜を図る。
- ウィングマン1……ジェイムズ・セバスチャン・ハットソン(James Sebastian Hutson)
- ガーノーの護衛2……ジョン・マコナック(John McConnach)
その他[編集]
- ホーク大統領……フレッド・ヘンダーソン(Fred Henderson)
- ステファニー・ホウィットマン……ナームア・デラニー(Naamua Delaney)
- バーテンダー……クリストファー・シャイヤー(Christopher Shyer)/?/梁田清之
- ウェイトレス……?/?/丹羽紫保里
- ニュースキャスター2……エド・ワトソン(Ed Watson)/?/宗矢樹頼
- リポーター・スチュワート……リー・ジェイ・バンベリー(Lee Jay Bamberry)/?/伊崎寿克
- リポーター・ファーガン……ロリーナ・ゲイル(Lorena Gale)/?/?
- 技術者1……シェイン・ワイラー(Shayne Wyler)/?/?
- 使節1……ターシャ・シムズ(Tasha Sims)
- 使節2……デイヴィッド・パルフィー(David Palffy)
音楽関係[編集]
アーティスト[編集]
作曲は、映画『カットスロート・アイランド』『エンド・オブ・デイズ』『キャッツ&ドッグス』『タキシード』『ブルース・オールマイティ』『ザスーラ』『チキン・リトル』等の音楽で知られるジョン・デブニー(John Debney)及びルイス・フェブレ(Louis Febre、映画『アウト・オブ・タイム』『クロスライン 凶弾のターゲット』『ヒューマン・ボム』『ブレイクアウェイ』等)が担当した。フルオーケストラ音楽である。
なお、日本放映版テーマ曲なのか、1曲だけ池頼広(映画『最終兵器彼女』、TV『ギャルサー』『おシャシャのシャン!』、OVA『鴉 -KARAS-』等)作曲の「G セイバーのテーマ」というオーケストラ曲が下記サウンドトラックCDに収録されている(DVDでは本編未使用)。
また、日本放映版のエンディング主題歌として、Emilyというグループの“Orb”という日本語の歌が作られ、同じくサウンドトラックCDにも収録されている。作詞・作曲は川口進、編曲は十川知司。
オリジナル・サウンドトラック盤CD[編集]
2001年2月7日に、ビクターエンタテインメント株式会社より、全18曲(74分42秒)収録のサウンドトラックCD(品番:VICL-60679、バーコード:4988002412020、税込定価3,045円)が発売された。
CDショップ店頭では、「ドラマ」や「洋画」、「特撮」の棚よりも、「アニメ」の棚や「ガンダム」のコーナーに紛れて置かれていることが多い。
曲目[編集]
- G セイバーのテーマ
- メインテーマ
- 救出
- 侵入者
- 生物発光
- 逃走
- 脱出
- イルミナーティ
- G セイバー
- 心の傷
- ロマンス
- 誤射
- MSバトル
- G セイバー 発進
- 独立宣言
- 地球へ
- 新たなる歴史
- Orb
映像ソフト[編集]
DVDソフト[編集]
バンダイビジュアル株式会社より、本編が日本でのTV放映時より20分長い93分の『Gセイバー フルバージョン』というDVDソフトが発売されている(品番:BCBF-0807、バーコード:4934569608079、税抜定価6,000円、字幕スーパー版と、TV放映時の吹替版を収録、画面は横4:縦3のスタンダードサイズ)
VHSビデオソフト[編集]
字幕スーパー版と日本語吹替版が各々発売されている。
関連作品[編集]
小説(ノヴェライズ)[編集]
本作を基にした小説版が、2000年12月に集英社スーパーダッシュ文庫から全2巻で発売された。著者は河原よしえで、挿絵は鈴木雅久が担当した。
ラジオドラマ[編集]
テレビ放映前に一部FMラジオ局で放送されたラジオドラマが全3枚のCDとして発売されている。
ゲーム[編集]
2000年9月14日にサンライズインタラクティブよりプレイステーション2用のシューティングゲームが発売されている。ガイアの光事件から一年後が舞台。Gセイバーの他、設定上で存在していたバリエーションモデルも扱う事ができる。映像媒体としては、本ゲーム作品中の出来事が宇宙世紀の最も未来に起きた騒乱となる。詳細はこの項目を参照。
関連項目[編集]
備考[編集]
- 本作の議会軍の軍服は、映画『スターシップ・トゥルーパーズ』に登場する軍服に酷似しており、衣装の流用と思われる。なお、同作品の原作小説『宇宙の戦士』(ロバート・A・ハインライン作)は『機動戦士ガンダム』の元ネタでもある。
参考文献[編集]
- 角川書店 ニュータイプ100%コレクション 42『G-SAVIOUR Full Weapon』(2001年発行) ISBN 4-04-853338-X
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