100円バス

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100円バス(ひゃくえんバス)とは、路線バスの路線において運賃が100であるもの、またその路線を指す。「ワンコインバス」とも呼ばれる。

1路線全区間において運賃を100円とするケースを100円バスと呼ぶのが一般的だが、類似例に区間・距離を限定して運賃を100円とするケースがある。

同一エリアで両者が混在している例もあるため、本項目では両者について説明する。ただし一般路線バスの最低運賃が100円以下だった時代のバスについては100円バスとは呼ばない[1]

概要[編集]

既存のバスに比べて低廉で覚えやすい運賃を設定することで、バス利用を促進するものである。市街地・観光地での回遊性向上のため、住宅地の生活の足としての利便性を向上させるため等、目的はさまざまである。住宅地の生活路線的なバス路線にはコミュニティバスがあるが、100円運賃のコミュニティバスも数多い。コミュニティバスブームの立役者となった武蔵野市ムーバス」も100円バスである。なお、一般路線バスの初乗り運賃を100円とするケースもある[2]が、これを特別に「100円バス」と呼ぶことは少ない。

歴史[編集]

1995年より先述の「ムーバス」が100円バスとして運行していたが、コミュニティバスを除く日本初の100円バスは、1998年9月1日に運行開始した、青森県弘前市での弘南バスによる「土手町循環100円バス」である。当初は試行運行で、弘前商工会議所より補助金を得て運行していたためコミュニティバスに近い形態だったが、収支が良好なことから1999年4月1日からは補助金なしの本格運行に移行している。

これに先んじて、群馬県前橋市において、前橋駅から1kmの区間に限り運賃を190円から100円とした例がある。これは「区間・距離を限定して運賃を100円とするケース」にあたる。1998年1月1日から試行実施され、翌年より本格実施された。本格実施にあたり、2kmまでの区間も150円に値下げされている。

一方、1998年7月1日には遠州鉄道が(浜松市内外に関わらず)バス電車全路線一斉に(試験実施は行われず本格実施)初乗りを従来の150円から100円に値下げした(バスに関してはバス停間距離によっては1区間でも100円とならないことはある)。遠州鉄道ではこれと同時に120円、130円、140円、新・150円区間が設定された。これは、浜松市オムニバスタウン施策の一環として行われたものであるが、路線バス鉄道における初乗り100円運賃の効果の実験も兼ねていた。結果は、収入は微減となったものの、バス・電車とも利用者が増え、利用者の減少が続く公共交通事業での利用者増加の例を示した。なお、コミュニティバスや1路線全区間において運賃を100円とする100円バスなどではなく、一般路線としての100円運賃は、(最低運賃が100円以下ではなくなった時代以降の)日本では初の本格導入である。

補助金や市町村等の施策が関わらない完全な民間ベースの100円運賃の例としては、福岡市での西日本鉄道(西鉄)が1999年7月1日より開始した「100円循環バス」と「福岡都心100円エリア」がある。1日あたり延べ9,000便ものバスが行きかう福博都心約1.5km四方のエリア全域において運賃を100円とし、併せてエリア内を循環する「100円循環バス」を運行するものである。バス事業の自由化を見据え先手を打った形であるが[3]福岡市営地下鉄マイカー・徒歩からの転移もあって乗客数が前年比173.9 %を記録するという結果を収め[4]2000年4月1日からエリア拡大・100円エリア定期券新設のうえで本格実施に移行した。後に西鉄では、福岡市内および近郊の主要駅・北九州市内主要駅・西鉄久留米駅から1km以内のエリアでも「駅から100円・駅まで100円バス」と呼ばれる100円運賃を実施したほか、小倉都心にも100円バスを運行開始した[5]。また、かつては熊本都市圏においても熊本市内4運行業者(九州産交バス熊本市営バス熊本電鉄バス熊本バス)は2002年4月1日より熊本市内1.5km区間は初乗り100円としていたが、近年の原油価格高騰の影響により2008年8月31日をもって終了し、従来の初乗り130円に戻されている。

京都市では、MKタクシーが都心部の循環100円バス運行を計画したことがあるが、京都市・京都商工会議所等からの反対により断念している。のちに京都市営バスが京都市内中心部で土曜日休日に限り100円バスの運行を開始した。ただし2000年に特定日のみ平日にも試験運行を行った時期もあった。また2007年には試験的に特定日に増発も行ったが、この増発分については小型ノンステップバスの日野・ポンチョを使用していた(小型車両の使用も試験的)。

2013年3月31日限りで運行を廃止したが、大阪市営バス赤バスも100円の運賃となっていた。

実例[編集]

100円バスの路線は日本全国に無数にあるため、ここでは紹介せず、各バス事業者または営業所記事、および日本のコミュニティバス一覧のページを参照のこと。なお前述の通り、コミュニティバス以外のバスであっても一部区間または全区間で100円(あるいはその前後)の運賃となっている路線も存在する。

脚注[編集]

  1. 大都市圏近郊でも1980年代中頃まで京阪宇治交通などの一部のバス事業者では初乗り運賃は100円ないしそれ以下であったが、これらは100円バスと呼称されていなかった。
  2. 京阪バスでは滋賀県大津市のうち、大津駅 - 浜大津駅相互間のみを利用する場合、現金に限り100円で乗車できる(全路線で適用)。
  3. 九州の礎を築いた群像 西鉄編 (7) バス事業(後編) 「逆転の発想」で奏功した100円バス/「快適性」こだわり、需要開拓 (1/6ページ) msn産経ニュース、2013年12月9日(2014年3月13日閲覧)。
  4. 九州の礎を築いた群像 西鉄編 (7) バス事業(後編) 「逆転の発想」で奏功した100円バス/「快適性」こだわり、需要開拓 (2/6ページ) msn産経ニュース、2013年12月9日(2014年3月13日閲覧)。
  5. のちに駅から100円・駅まで100円バスは対象駅を減らし、小倉都心100円バスは運行終了している。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

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