財前貴男
財前 貴男(ざいぜん たかお、1986年12月2日 - )は、福岡県遠賀郡遠賀町出身の元プロ野球選手(内野手)。
経歴[編集]
西日本短大附高時代、第86回全国高等学校野球選手権大会に出場。
高校卒業後、駒澤大学に進学するも、2年時の夏に腰椎ヘルニアを患い、3年時の秋に野球部を退部した。しかし、治療の傍らトレーニングを続け、4年時の秋に受けた読売ジャイアンツの入団テストでは最終選考まで残った。
大学卒業後は、高校時代の同期から誘われエイデン愛工大OBブリッツに入団。
2010年10月28日、プロ野球プロ野球ドラフト会議にて読売ジャイアンツから育成5位指名を受ける。俊足を活かした高い運動能力とミート力を買われている。
2012年4月3日のプロ・アマ交流戦で首の付け根に死球を受け、第6頸椎棘突起を亀裂骨折し復帰まで2ヶ月かかってしまう。結局、プロ2年間で二軍での出場も無く、同年10月3日に戦力外通告を受け、現役引退。
2012年12月より、茨城県つくば市の筑波病院で介護のデイサービス部でヘルパーの見習いを始めた。将来は、プロ球団のトレーナーになり、日本代表のトレーナーを目指している。
巨人から解雇された26歳。病院チーム練習後は介護職員見習い[編集]
プロ野球は日本シリーズが終わると、選手の契約更改やドラフト会議にかけられる新人選手の話題一色になる。その裏で、毎年70、80選手が職場を追われる。ドラフト5位で巨人に入団しながら、1軍で活躍するチャンスをつかめぬまま戦力外となった財前貴男氏のいまの一日を追った。
茨城県つくば市〈筑波病院〉。ドラフト5位、1軍戦公式出場なしで、巨人軍を戦力外通告された財前貴男(26歳)は、ここの野球チームにいた。
朝7時、体育館入り。ランニングに続いてキャッチボール、トスバッティング。9時まで週3回の朝練。チームメイトは財前を絶賛する。
「やっぱり刺激になります。なんたって巨人ですよ。おれたち学生野球あがりとは全然違う。何が違うか。すべての動作が精確です。しかも穏やかで優しくて」
その性格ゆえにめざしたのか。練習を終えると病院付属のデイサービス・グループホーム〈桑林〉で介護職員の見習いとなる。始めて10か月。支援1から要介護5まで、30人ほどの老人を看る。財前と一緒にホームの〈食堂兼機能訓練室〉に入ってみた。
「おトイレッ。おトイレよぉ」
大声の老婆に財前が駆けよる。おむつとタオルを手に便所に入る。車椅子から老婆を便器に移し、終わると尻を拭いてあげ、おむつを穿かせ、また車椅子に乗せた。仲間の爺さんが声をあげる。
「いっぱい出たかい」「出た。売りたいぐれえ出た。こん人のおかげさ」
財前はぺこんと頭を下げ、汚れたおむつをビニールに入れ、外に持って行く。勤務は夜7時まで。ひっきりなしに動く。静かに坐って食べる時間もない。
寮、ひとり暮らし。いまなお巨人を愛し、毎夜、プロ野球ニュースを追う。
「野球で身に染みているチームプレイに通ずるこの仕事、嫌いじゃないんです。死んだじいちゃんのことも思いだしますし。巨人に入れてうれしかったんですが、ケガが多くて。呼び出されたときは、覚悟しました。来たなっ。ケガのせいにはしませんが、悔恨ばかりです。悔しいです。でも頑張ります。いずれ、鍼灸師になります」
別な婆さんが声をあげる。
「入れ歯、あたしの入れ歯どこやった」「はいはい、ここに」
財前は歯ブラシで磨き始めた。
詳細情報[編集]
年度別打撃成績[編集]
- 一軍公式戦出場なし
背番号[編集]
- 003 (2011年 - 2012年)