江戸川乱歩
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江戸川 乱歩(えどがわ らんぽ、正字体:江戸川 亂步、男性、明治27年(1894年)10月21日 - 昭和40年(1965年)7月28日)は大正~昭和期にかけて主に推理小説を得意とした小説家・推理作家である。また、戦後は推理小説専門の評論家としても健筆を揮った。本名:平井 太郎(ひらい たろう)。筆名はアメリカの文豪エドガー・アラン・ポーをもじったもの。日本推理作家協会初代理事長。正五位勲三等瑞宝章。
目次
経歴[編集]
三重県名賀郡右名張町(現・名張市)に名賀郡役所書記の平井繁男・きくの長男として生まれる(本籍地は津市)。祖父の代まで津藩士であった。父の転勤に伴い2歳の頃亀山町、翌年名古屋に移る。小学生のころに母に読みきかされた菊池幽芳訳『秘中の秘』が、探偵小説に接した最初であった。中学では、押川春浪や黒岩涙香の小説を耽読した。旧制愛知県立第五中学校(現・愛知県立瑞陵高等学校)卒業後早稲田大学政治経済学部に入学した。
卒業後、貿易会社社員や古本屋、夜鳴きソバ屋などの仕事を経た後、大正12年(1923年)、『新青年』に掲載された「二銭銅貨」でデビュー。初期は欧米の探偵小説に強い影響を受けた本格探偵小説を送り出し、黎明期の日本探偵小説界に大きな足跡を残した。一方で岩田準一とともに研究していた衆道の少年愛や少女愛、草双紙、サディズムやグロテスク趣味などへの志向も強く、これを活かした通俗的探偵小説は昭和初年以降当時の一般大衆に歓迎されたが、反面、世間が乱歩の虚像を肥大化することを嫌い本格作品執筆の意欲は衰えた。海外作品にも通じ、翻案性の高い作品として『緑衣の鬼』、『三角館の恐怖』、『幽鬼の塔』等がある。また少年向けに、明智小五郎と小林少年をはじめとする少年探偵団が活躍する作品『怪人二十面相』等を多数発表した。その他、探偵小説に関する評論(『幻影城』など)でも知られる。戦後は評論家、プロデューサーとして活動。経営困難に陥った探偵小説誌『宝石』の編集・経営に携わる。日本探偵作家クラブの創立と財団法人化に尽力。同クラブに寄付した私財100万円の使途として江戸川乱歩賞が制定され、同賞は第3回より長編推理小説の公募賞となる。
一人息子の平井隆太郎は心理学者で立教大学教授(のち社会学部長、現在は名誉教授)。「少年探偵」シリーズの著作権継承者でもある。孫の平井憲太郎は鉄道雑誌『とれいん』の編集長である。乱歩が住んでいた屋敷は、立教大学と隣接していた。その縁で現在は立教大学によって「旧江戸川乱歩邸」として公開保存されている。
乱歩は、ファンにサインを求められると必ず色紙に「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」あるいは「晝〔ひる〕は夢 夜〔よ〕ぞ現〔うつつ〕」と書き添えたことは有名。
大阪府守口市八島町に大正時代、乱歩が書斎として使っていた家が今も残っているが、老朽化が進んでおり保存策はとられていない。かつては開放されていたが、この家を所有していた人物が亡くなり、今は開放されていない。また、「心理試験」や「人間椅子」「屋根裏の散歩者」などの初期の作品を含む21作品がこの家で執筆されており、そのほとんどが大正14年(1925年)に創作された。昭和55年(1980年)1月になって、この家にかつて乱歩が住んでいたことが判明。当時「守口町外島694番地」であったこの家に、大正13年(1924年)9月から東京へ転居する大正15年(1926年)1月まで2階を書斎にしていた。「江戸川乱歩寓居の跡」と書かれた看板が掲げられており、明智小五郎が初登場をする「D坂の殺人事件」もこの家で創作された。また乱歩はこの家に住んでいた当時、床の間の天井より屋根裏に侵入し徘徊していたことがあり、その経験を元に「屋根裏の散歩者」が書かれた。
業績[編集]
戦後は評論による啓蒙や日本推理作家協会の設立に携わるなど多大な業績を残した。また新人発掘にも熱心で、筒井康隆、大薮春彦など乱歩に才能を見出された作家は少なくない。星新一の商業デビューにあたって大下宇陀児に推賞を依頼したのも乱歩だったと伝えられている[1]。
小林信彦を宝石社にスカウトし、『ヒッチコックマガジン』の編集長に抜擢したのも乱歩である。
作品一覧[編集]
小説[編集]
- 二銭銅貨 (『新青年』1923年4月) デビュー作。短編
- 一枚の切符 (『新青年』1923年7月)
- 恐ろしき錯誤 (『新青年』1923年11月)
- 二癈人 (『新青年』1924年6月)
- 双生児 (『新青年』1924年10月)
- D坂の殺人事件 (『新青年』1925年1月) 明智小五郎、初登場作品。但し、まだ名探偵明智小五郎ではなく素人探偵明智小五郎である。
- 心理試験 (『新青年』1925年2月) 明智小五郎登場作品。
- 黒手組 (『新青年』1925年3月)
- 赤い部屋 (『新青年』1925年4月)
- 算盤が恋を語る話 (『写真報知』1925年4月)
- 日記帳 (『写真報知』1925年4月)
- 幽霊 (『新青年』1925年5月)
- 盗難 (『写真報知』1925年5月)
- 白昼夢 (『新青年』1925年7月)
- 指環 (『新青年』1925年7月)
- 夢遊病者の死 (『苦楽』1925年7月)
- 百面相役者 (『写真報知』1925年7月)
- 屋根裏の散歩者 (『新青年』1925年8月) 明智小五郎登場作品。
- 一人二役 (『新小説』1925年9月)
- 疑惑 (『写真報知』1925年9月)
- 人間椅子 (『苦楽』1925年10月)
- 接吻 (『映画と探偵』1925年12月)
- 闇に蠢く (『苦楽』1926年1月~)
- 湖畔亭事件 (『サンデー毎日』1926年1月~)
- 空気男 (原題:二人の探偵小説家)(『写真報知』1926年1月~) (未完)
- 踊る一寸法師 (『新青年』1926年1月)
- 毒草 (『探偵文芸』1926年1月)
- 覆面の舞踏者 (『婦人之国』1926年1月~)
- 灰神楽 (『大衆文芸』1926年3月)
- 火星の運河 (『新青年』1926年4月)
- 五階の窓 (『新青年』1926年5月)
- 陰影 (『婦人グラフ』1926年6月~) 代作:平井蒼太 or 井上勝喜
- モノグラム (『新小説』1926年7月)
- お勢登場 (『大衆文芸』1926年7月)
- 蜃気楼 (『戦車』1926年9月) 代作:水谷準
- 犯罪を猟る男 (『現代』1926年10月) 代作:横溝正史
- 人でなしの恋 (『サンデー毎日』1926年10月)
- パノラマ島奇談 (『新青年』1926年10月~)
- 鏡地獄 (『大衆文芸』1926年10月)
- 木馬は廻る (『探偵趣味』1926年10月)
- 一寸法師 (『朝日新聞』1926年10月)
- 陰獣 (『新青年』1928年8月)
- 芋虫 (『新青年』1929年1月)
- 孤島の鬼 (『朝日』1929年1月)
- 押繪と旅する男 (『新青年』1929年6月)
- 蟲 (『改造』1929年6月~)
- 渦巻 (『文芸倶楽部』1929年8月~) エドガー・アラン・ポー「大渦巻」の翻案 代作:平井蒼太 or 井上勝喜
- 蜘蛛男 (『講談倶楽部』1929年8月~) 明智小五郎登場作品。
- 何者 (『時事新報』1929年11月~) 明智小五郎登場作品。
- 猟奇の果 (『文芸倶楽部』1930年1月~) 明智小五郎登場作品。
- 魔術師 (『講談倶楽部』1930年7月~) 明智小五郎登場作品。
- 黄金仮面 (『キング』1930年9月~) 明智小五郎登場作品。
- 吸血鬼 (『報知新聞』1930年9月~) 明智小五郎登場作品。小林少年、初登場。
- 盲獣 (『朝日』1931年2月~)
- 白髪鬼 (『富士』1931年4月~」) 黒岩涙香「白髪鬼」の翻案。
- 目羅博士 (『文芸倶楽部』1931年4月~)
- 地獄風景 (『平凡社版江戸川乱歩全集』1931年5月~)
- 疑問の戦死者 (『実話雑誌』1931年6月) 代作:平井蒼太 or 井上勝喜
- 恐怖王 (『講談倶楽部』1931年6月~)
- 鬼 (『キング』1931年4月)
- 火縄銃 (『平凡社版江戸川乱歩全集』1932年4月9月~)
- 殺人迷路 (『探偵倶楽部』1931年10月)
- 蠢く触手 (『新作探偵小説全集』第1巻、新潮社、1932年11月) 代作:岡戸武平
- 悪霊 (『新青年』1933年11月~) (未完)
- 妖虫 (『キング』1933年12月~)
- 黒い虹 (『婦人公論』1934年1月)
- 黒蜥蜴 (『日の出』1934年1月~) 明智小五郎登場作品。
- 人間豹 (『講談倶楽部』1934年5月~) 明智小五郎登場作品。
- 石榴 (『中央公論』1934年9月)
- 緑衣の鬼 (『講談倶楽部』1936年1月~) イーデン・フィルポッツ「赤毛のレドメイン家」の翻案。
- 大暗室 (『キング』1936年12月~)
- 幽霊塔 (『講談倶楽部』1936年12月~) 黒岩涙香「幽霊塔」の翻案。
- 悪魔の紋章 (『日の出』1937年9月~) 明智小五郎登場作品。
- 暗黒星 (『講談倶楽部』1939年1月~) 明智小五郎登場作品。
- 地獄の道化師 (『富士』1939年1月~) 明智小五郎登場作品。
- 幽鬼の塔 (『日の出』1936年4月~) ジョルジュ・シムノン「聖フォリアン寺院の首吊男」の翻案。
- 新宝島 (『少年倶楽部』1940年4月~1941年3月)
- 智恵の一太郎 (『少年倶楽部』1942年1月~)
- 偉大なる夢 (『日の出』1943年11月~)
- 断崖 (『報知新聞』1950年3月~)
- 三角館の恐怖 (『面白倶楽部』1951年1月~) ロジャー・スカーレット「エンジェル家の殺人」の翻案。
- 畸形の天女 (『宝石』1953年10月~)
- 女妖 (『探偵実話』1954年1月~)
- 兇器 (『大阪産業経済新聞』1954年6月) 明智小五郎登場作品。
- 悪霊物語 (『講談倶楽部』1954年8月~)
- 化人幻戯 (『別冊宝石』~『宝石』1954年11月~) 明智小五郎登場作品。
- 影男 (『面白倶楽部』1955年1月~) 明智小五郎登場作品。
- 月と手袋 (『オール読物』1955年4月~) 明智小五郎登場作品。
- 探偵少年 (『読売新聞』1955年9月~)
- 防空壕 (『文芸』1955年7月~)
- 大江戸怪物団 (『面白倶楽部』1955年7月)
- 十字路 (講談社、1955年11月、書き下ろし) 渡辺剣次による代作をリライト。
- 堀越捜査一課長殿 (『オール読物』1956年4月)
- 妻に失恋した男 (『産経新聞』1957年10月~)
- ぺてん師と空気男 (桃源社、1959年11月、書き下ろし)
- 指 (『ヒッチコック・マガジン』1960年1月)
- 薔薇夫人(未収録作品)
怪人二十面相/明智小五郎/少年探偵団[編集]
1936年1月から1962年12月にかけて『少年倶楽部』や『少年』に連載された少年向けの小説。乱歩の作品を少年向けにリライトしたゴーストライターによる作品『名探偵明智小五郎文庫』他も含む。
これらは1964年から1973年にかけてポプラ社から『江戸川乱歩・少年探偵シリーズ』全46巻として刊行され、ロングセラーとなった。1998年より刊行された『江戸川乱歩・(新訂)少年探偵シリーズ』は代筆による作品を除いた全26巻(28作品)になっている。
- 怪人二十面相 (『少年倶楽部』1936年1月~12月)
- 妖怪博士 (『少年倶楽部』1937年1月~12月)
- 少年探偵団 (『少年倶楽部』1938年1月~12月)
- 大金塊 (『少年倶楽部』1939年1月~1940年2月)
- 青銅の魔人 (『少年』1949年1月~12月)
- 地底の魔術王 (「虎の牙」改題 『少年』1950年1月~12月)
- 透明怪人 (『少年』1951年1月~12月)
- 怪奇四十面相 (『少年』1952年1月~12月)
- 宇宙怪人 (『少年』1953年1月~12月)
- 鉄塔王国の恐怖 (「鉄塔の怪人」改題 『少年』1954年1月~12月)
- 黄金の虎 (「探偵少年」改題 『読売新聞』1955年1月~12月)
- 灰色の巨人 (『少年クラブ』1955年1月~12月)
- 海底の魔術師 (『少年』1955年1月~12月)
- 黄金豹 (『少年クラブ』1956年1月~12月)
- 魔法博士 (『少年』1956年1月~12月)
- 天空の魔人 (『少年クラブ増刊』1956年1月15日)
- サーカスの怪人 (『少年クラブ』1957年1月~12月)
- 魔人ゴング (「妖人ゴング」改題 『少年』1957年1月~12月)
- 悪魔人形 (「魔法人形」改題 『少女クラブ』1957年1月~12月)
- 奇面城の秘密 (『少年クラブ』1958年1月~12月)
- 夜光人間 (『少年』1958年1月~12月)
- 塔上の奇術師 (『少女クラブ』1958年1月~12月)
- 鉄人Q (『小学四年生』~『小学五年生』1958年4月~1960年3月)
- 仮面の恐怖王 (『少年』1959年1月~12月)
- 電人M (『少年』1960年1月~12月)
- 二十面相の呪い (「おれは二十面相だ」改題 『小学六年生』1960年4月~1961年3月)
- 空飛ぶ二十面相 (「妖星人R」改題 『少年』1961年1月~12月)
- 黄金の怪獣 (「超人ニコラ」改題 『少年』1962年1月~12月)
以下は少年向けに書かれたゴーストライターによる完全な代筆作品である。乱歩ファンの多くはこれらを無視する傾向があるが、表向きは江戸川乱歩の著作である。
ポプラ社刊『江戸川乱歩・少年探偵シリーズ』全46巻の内の27~46にあたる。ロングセラーとなった。代筆による本は20巻(23作品)であるが、1998年より刊行された『江戸川乱歩・(新訂)少年探偵シリーズ』は、これら代筆作品を除いた上記全26巻(28作品)になっている。ゴーストライターでなく著者名を明記しての復刊を望む声も多い。
- 黄金仮面 (1953年11月 ポプラ社) 「黄金仮面」を少年向けにリライトしたもの。代作:武田武彦。
- 人間豹 (1954年11月 ポプラ社) 「人間豹」を少年向けにリライトしたもの。代作:氷川瓏。
- 呪いの指紋 (1955年8月 ポプラ社 日本名探偵文庫1) 「悪魔の紋章」を少年向けにリライトしたもの。代作:氷川瓏。
- 赤い妖虫 (1956年2月 ポプラ社 日本名探偵文庫12) 「妖虫」を少年向けにリライトしたもの。代作:氷川瓏。
- 大暗室 (1956年12月 ポプラ社 日本名探偵文庫21) 「大暗室」を少年向けにリライトしたもの。代作:武田武彦。本編の犯人を二十面相に変えてリライトしたため、二十面相が残虐な殺人者になっている。
- 魔術師 (1957年10月 ポプラ社 名探偵明智小五郎文庫1) 「魔術師」を少年向けにリライトしたもの。代作:氷川瓏。
- 黒い魔女 (1957年12月 ポプラ社 名探偵明智小五郎文庫2) 「黒蜥蜴」を少年向けにリライトしたもの。代作:氷川瓏。
- 緑衣の鬼 (1958年3月 ポプラ社 名探偵明智小五郎文庫3) 「緑衣の鬼」を少年向けにリライトしたもの。代作:氷川瓏。
- 地獄の仮面 (1958年6月 ポプラ社 名探偵明智小五郎文庫4) 「吸血鬼」を少年向けにリライトしたもの。代作:氷川瓏。
- 三角館の恐怖 (1958年7月 ポプラ社 名探偵明智小五郎文庫5) 「三角館の恐怖」を少年向けにリライトしたもの。代作:氷川瓏。
- 暗黒星 (1958年9月 ポプラ社 名探偵明智小五郎文庫7) 「暗黒星」を少年向けにリライトしたもの。代作:氷川瓏。
- 二銭銅貨 (1958年9月 ポプラ社 名探偵明智小五郎文庫7) 「二銭銅貨」を少年向けにリライトしたもの。代作:氷川瓏。
- 蜘蛛男 (1958年11月 ポプラ社 名探偵明智小五郎文庫8) 「蜘蛛男」を少年向けにリライトしたもの。代作:氷川瓏。
- 地獄の道化師 (1959年1月 ポプラ社 名探偵明智小五郎文庫9) 「地獄の道化師」を少年向けにリライトしたもの。代作:氷川瓏。
- 心理試験 (1959年1月 ポプラ社 名探偵明智小五郎文庫9) 「心理試験」を少年向けにリライトしたもの。代作:氷川瓏。
- 幽鬼の塔 (1959年2月 ポプラ社 名探偵明智小五郎文庫10) 「幽鬼の塔」を少年向けにリライトしたもの。代作:氷川瓏。
- 一寸法師 (1959年4月 ポプラ社 名探偵明智小五郎文庫12) 「一寸法師」を少年向けにリライトしたもの。代作:氷川瓏。
- 時計塔の秘密 (1959年8月 ポプラ社 名探偵明智小五郎文庫14) 「幽霊塔」を少年向けにリライトしたもの。代作:氷川瓏。
- 影男 (1960年4月 ポプラ社 名探偵明智小五郎文庫15) 「影男」を少年向けにリライトしたもの。代作:氷川瓏。
- 白い羽根の謎 (1961年2月 ポプラ社 少年探偵小説全集7) 「化人幻戯」を少年向けにリライトしたもの。代作:氷川瓏。
- 死の十字路 (ポプラ社) 「十字路」を少年向けにリライトしたもの。代作。
- 恐怖の魔人王 (ポプラ社) 「恐怖王」を少年向けにリライトしたもの。代作。
- 黒手組 (ポプラ社) 「黒手組」を少年向けにリライトしたもの。代作。
- ポプラ社版未収録
- 黄金の恐怖 (1948年10月 「冒険少年」増刊号) 「黄金仮面」を少年向けにリライトしたもの。代作?
- 黄金宮殿 (1954年5月 ポプラ社) 「新宝島」を少年向けにリライトしたもの。代作。
- まほうやしき (光文社文庫収録) (1957年1月~3月 たのしい三年生)
- 赤いかぶとむし (講談社文庫収録) (1957年4月~1958年3月 たのしい三年生)
- ふしぎな人 (光文社文庫収録) (1958年8月~1959年3月 たのしい二年生)
- 名たんていと二十めんそう (光文社文庫収録) (1959年4月~12月 たのしい三年生)
- かいじん二十めんそう (1959年4月~12月 たのしい三年生)
- かいじん二十めんそう (光文社文庫収録) (1959年11月~1960年12月 たのしい一年生~たのしい二年生)
- 怪人と少年探偵 (創元推理文庫収録) (1960年9月~1961年9月 こども家の光)
- 江戸川乱歩先生出題の犯人さがし大懸賞 (1949年2月号~1963年頃まで、「少年」) 江戸川乱歩名義で書かれた短編だが、すべて編集部による代作。
随筆・評論[編集]
- 悪人志願 (1925年)
- 無駄話 (1928年)
- 探偵小説十年 (1932年)
- 鬼の言葉 (1935年~1936年)
- 蔵の中から (1936年~1937年)
- 彼 (1937年)
- 探偵小説十五年 (1938年~1939年)
- 幻影城通信 (1946年~1951年)
- 探偵小説四十年 (1949年~1960年)
- 幻影城 (1951年発行。評論集)
- 類別トリック集成 (1953年)
- 続幻影城 (1954年発行。評論集)
- 海外探偵小説作家と作品 (1957年発行。評論集)
- わが夢と真実 (1957年発行。それまでの随筆のうち、乱歩自身にかかわるものを収録したもの)
- 幻影の城 (1963年)
- 探偵小説の「謎」
翻案・リライト[編集]
作品一覧に掲載した作品を含めて、翻案、リライト作品。
- 渦巻 (『「文芸倶楽部」』1929年8月~) エドガー・アラン・ポー「大渦巻に呑まれて」の設定を鳴門の渦潮に変えて翻案 代作:平井蒼太(乱歩の実弟) or 井上勝喜
- 白髪鬼 (1931年) - メアリ・コレリ(Marie Corelli)作 「ヴェンデッタ」(Vendetta, A Story of One Forgotten)の黒岩涙香による翻案小説「白髪鬼」を、更に翻案したもの。
- 緑衣の鬼 (1936年) - イーデン・フィルポッツ(Eden Phillpotts)作 「赤毛のレドメイン家」(The Red Redmaynes)の翻案小説。
- 幽霊塔 (1937年) - アリス・マリエル・ウィリアムソン(Alice Muriel Williamson)作 「灰色の女」(A Woman in Grey)の黒岩涙香による翻案小説「幽霊塔」を、更に翻案したもの。
- 鉄仮面 (講談社、1938年) - 世界名作物語5→少国民名作文庫→世界名作物語→世界名作全集5 黒岩涙香による翻案小説「鉄仮面」を小中学生向けにリライトしたもの。
- 幽鬼の塔 (1939年) - ジョルジュ・シムノン(Georges Simenonlli)作 「聖フォリアン寺院の首吊男」(Le Pendu de Sant-Phollien)の翻案小説。
- 三角館の恐怖 (1951年) - ロジャー・スカーレット(Roger Scarlett)作 「エンジェル家の殺人」(Murder Among the Angells)の翻案小説。
- 十字路 (1955年) - 渡辺剣次による小説(未発表)をリライトしたもの。スランプに陥っていた乱歩に出版社が提案し、乱歩作品として出版された。この出版は当初より「原作:江戸川乱歩、脚本:渡辺剣次」として日活で映画化されることも決まっており、「死の十字路」のタイトルで公開された。乱歩らしからぬスマートな構成で評判も良く、出版社は次回作も同様のリライトを提案したが、さすがに2度目は乱歩が断ったという。(渡辺剣次は後に江戸川乱歩賞の選考委員になっている)
- 死美人 (1956年) - F・D・ボアゴベの原作で黒岩涙香による翻案小説「死美人」をリライトしたもの。代作:氷川瓏
- 海底の黄金(1962年、ポプラ社) - F・D・ボアゴベの原作で黒岩涙香による翻案小説「海底の重罪」を小中学生向けにリライトしたもの。代作。
翻訳(代訳)[編集]
海外の探偵小説の日本語訳本にも江戸川乱歩の著作とした本が多く刊行されているが、これらのほとんどは代訳または代作者によるリライトである。
- 「黄金虫」(1949年) - 世界名作少年文庫(光文社) 世界名作全集59(講談社) エドガー・アラン・ポーの「黄金虫」「大渦巻」「死頭蛾」「モルグ街の殺人事件」「ぬすまれた手紙」他を小中学生向にリライトしたもの。代作。
- 「名探偵ルコック」(1948年) - 世界名作物語→世界名作全集73(講談社) エミール・ガボリオの原作を小中学生向にリライトしたもの。代作。
- 「妖犬」「恐怖の谷」「シャーロック・ホームズの冒険(飛模様の紐/技師の拇指/緑玉の宝冠/ボヘミヤ王宮事件/赤髪社/花婿紛失事件/ボスコム谷謎の事件/五粒の蜜柑の種/唇の曲った男/緑の柘榴石 )」(1946年) 原作:コナン・ドイル、代作:井上勝喜。
- 「モルグ街の殺人」「黄金虫」「窃まれた手紙」「メエルストロウム」「陥穽と振子」「赤き死の仮面」「黒猫譚」「早過ぎた埋葬」「物言う心臓」「アッシャア館の崩壊」(1956年) 原作:エドガー・アラン・ポー、代作:渡辺啓助、渡辺温。
- 「暗黒街の恐怖」(1955年) 「第三の恐怖」(1962年) 原作:ジョンストン・マッカレー、代作。
- 「怪傑ドラモンド」(1955年) 「鉄人対怪人」(1962年) 原作:サッパー、代作。
- 「灰色の幻」(1955年) 原作:ハーマン・ランドン、代作。
- 「海峡の秘密」(1956年) 「怪船771号」(1962年) 原作:F・W・クロフツ、代作。
- 「赤い館の怪事件」(1957年) 原作:A・A・ミルン、代作。
- 「紅はこべ」(1963年) 原作:バロネス・オルツィ、代作。
- 「首の綱」 原作:エミール・ガボリオ、代作:水谷準。
- 「運」 原作:エルンスト・ホフマン、代作:水谷準。
- 「仮面城秘話」 原作:アンドレ・ド・ロルド、代作:水谷準。
映画化[編集]
- 一寸法師(1927年)
- 一寸法師(1948年)
- 怪人二十面相(1954年)
- 一寸法師(1955年)
- 少年探偵団/妖怪博士(1956年)
- 少年探偵団/二十面相の悪魔(1956年)
- 死の十字路(1956年)
- 少年探偵団/二十面相の復讐(1957年)
- 少年探偵団/透明怪人(1958年)
- 少年探偵団/首なし男(1958年)
- くも男(1958年)
- 黒蜥蜴(1962年)
- 黒蜥蜴(1968年)
- 盲獣(1969年)
- 江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間(1969年)
- 屋根裏の散歩者(1970年)
- 江戸川乱歩の陰獣(1977年)
- 押繪と旅する男(1994年)
- 屋根裏の散歩者(1994年)
- RAMPO(1994年)
- 人でなしの恋(1995年)
- 人間椅子(1997年)
- D坂の殺人事件(1998年)
- 盲獣対一寸法師(2001年)
- 乱歩地獄(2005年)
- 人間椅子(2006年)
- 屋根裏の散歩者(2007年)
- 陰獣(フランス映画 2009年)
参考文献[編集]
- 仁賀克雄監修『江戸川乱歩99の謎-生誕百年・探偵小説の大御所』(『二見wai wai文庫』)、二見書房、1994年11月。ISBN 4-576-94168-2
- 平井隆太郎監修・中相作編『江戸川乱歩著書目録』(『江戸川乱歩リファレンスブック』3)、名張市立図書館、2003年3月[1]。
その他[編集]
- 前述の『空気男』は掲載誌の廃刊に伴い中断している。
- 『悪霊』は途中で話が続かなくなり中断した。乱歩本人が掲載誌にお詫びとして読者へ謝罪し、中断を発表している。
脚注[編集]
- ↑ 最相葉月は『星新一 一○○一話をつくった人』(新潮社、2007年)pp.208-217で「矢野からしきりに『セキストラ』を読むよう勧められた乱歩は、一読してこれは傑作だと思い『宝石』に掲載することを考えたが、自分が責任編集をしている雑誌に自分が推薦するのではどうも具合が悪い。そこで乱歩が大下宇陀児に『提灯もち』(『矢野徹・SFの翻訳』)を依頼し、九月末発行の十一月号でデビューさせることになった」「大下が推賞したのは事実であるとしても、大下が『発掘』したというのは宣伝用の惹句で、矢野が書き残している通り、乱歩から依頼された大下の『提灯もち』が、いつのまにか大下の『発掘』という定説になってしまった」と述べている。その根拠として当事者だった矢野の証言の他、肝心の大下本人の推賞文が短い一文しか存在しないこと、それに比して乱歩が『宝石』の『セキストラ』末尾に記したルーブリックは約800字と長く、作品の具体的内容にまで言及して絶賛していることなどを挙げている。
関連項目[編集]
- 平井蒼太 - 乱歩の次弟
- 平井隆太郎 - 乱歩の一人息子
- 松村喜雄 - 乱歩の従妹の息子
- 黒岩涙香 - 乱歩に最も大きな影響を与えた作家
- 江戸川乱歩賞
- 江戸川乱歩の美女シリーズ - 1977年~1985年 テレビ朝日系 土曜ワイド劇場
- 乱歩R
外部リンク[編集]
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