正倉院展
正倉院展(しょうそういんてん,Shosoin Exhibition)は奈良県奈良市にある正倉院宝物の中から毎年40件から60件ほどを選んで奈良国立博物館で一般公開する展覧会である。1946年(昭和21年)に始まり、現在まで毎年1回、一般公開されている。正倉院展は奈良国立博物館で開催される展覧会の名称であり、東京開催は「特別展」という。
概要[編集]
正倉院は奈良時代に建立された東大寺の倉庫で、聖武天皇の遺愛の品々を中心として約9000件の宝物を保管している。戦前は非公開であった。 毎年5月中頃に宮内庁正倉院事務所より出陳する宝物の内示がある。博物館の研究員が展示図面に落とし込み、配置や展示ケース、展示順、コーナー分けを決める。宝物を選ぶ基準は、宝物の全容が分かるように、分野や倉に偏りがないように選ばれる。また正倉院事務所の特別調査の成果を紹介するため、関連する宝物が選ばれることがある。一度出陳された宝物は、その後、10年以上出陳されないことが通例であるが、例外もある。
第1回正倉院展[編集]
1946年(昭和21年)10月、奈良国立博物館において、第1回とは名が打たれていないものの、「正倉院御物特別拝観」としてその後に続く展覧会があった。当時の博物館長が東大寺まで足を運び、「御物拝観許可のため、大仏殿にて法要を行ってもらいたい」管長に依頼した。一山会議の結果、9月18日に公開のための無障碍安全法要と11月11日に無事終了のため無障碍法要が行われた[1]。 出陳御物は、奈良帝室博物館収蔵庫に分散疎開中のものから、33点が選定された。10月19日は知名人が招待され、20日は進駐軍を招待、21日から一般公開となった[1]。終戦後の混乱期であったが、奈良国立博物館開設以来の盛況で、期間中の観覧者は14万7千人であった。入館待ちの人々が東大寺大仏殿南大門前に至るまで長蛇の列をなした。以来、奈良国立博物館で年1回展示公開されるようになった。2021年には第73回の正倉院展が開催された。
東京開催[編集]
これまで正倉院宝物の東京開催は5回ある。
- 1940年11月5日から27日、帝室博物館、皇紀2600年記念正倉院御物特別展
- 1949年10月30日から11月13日、東京国立博物館、御物特別展。
- 1959年11月1日から11月20日、東京国立博物館、皇太子殿下御結婚記念。
- 1981年10月31日から11月25日まで、東京国立博物館、昭和天皇満80歳記念。
- 2019年10月14日から11月24日(日)、東京国立博物館)、即位記念。
即位記念特別展[編集]
2019年10月14日(月) ~ 2019年11月24日(日)には御即位記念特別展「正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―」が東京国立博物館で開催された。38年ぶりの大規模な正倉院宝物の東京公開であった。螺鈿紫檀五絃琵琶、紫檀木画槽琵琶、漆胡瓶、黄熟香(蘭奢待)、紺夾纈絁几褥、平螺鈿背八角鏡、東大寺献物帳(国家珍宝帳)などの名品が展示された。
展示会の来歴[編集]
回数は、奈良での開催を表す。1949年、1959年は東京のみで開催された。
開催回数 | 開始日 | 終了日 | 目玉品 | 出品点数 | 来場者数 |
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第73回 | 2021年10月30日 | 2021年11月15日 | 螺鈿紫檀阮咸, 漆金薄絵盤 | 55点 | 73,968名 |
第72回 | 2020年10月24日 | 2020年11月9日 | 平螺鈿背円鏡 ,紫檀槽琵琶 | 59点 | 36,000名 |
第71回 | 2019年10月26日 | 2019年11月14日 | 七條刺納樹皮色袈裟,赤漆文欟木御厨子 | 41件 | 13,856名 |
第70回 | 2018年10月27日 | 2018年11月12日 | 平螺鈿背八角鏡,最勝王経帙 | 56件 | 14,461名 |
第69回 | 2017年10月28日 | 2017年11月13日 | 羊木臈纈屛風 | 58件 | 12,768名 |
第68回 | 2016年10月22日 | 2016年11月7日 | 漆胡瓶,花虫背八角鏡 | 64件 | 12,271名 |
第67回 | 2015年10月24日 | 2015年11月9日 | 七条褐色紬袈裟,紫檀木画槽琵琶 | 63件 | 13,011名 |
第66回 | 2014年10月24日 | 2014年11月12日 | 白瑠璃瓶,鳥獣花背円鏡 | 59件 | 13,467名 |
第65回 | 2013年10月26日 | 2013年11月12日 | 漆金薄絵盤,平螺鈿背円鏡 | 66件 | 14,486名 |
第64回 | 2012年10月27日 | 2012年11月12日 | 螺鈿紫檀琵琶,木画紫檀双六局 | 64件 | 14,001名 |
第63回 | 2011年10月29日 | 2011年11月14日 | 七条織成樹皮色袈裟, 金銀鈿荘唐大刀 | 62件 | 14,093名 |
第62回 | 2010年10月23日 | 2010年11月11日 | 山水夾纈屏風,鳥獣花背八角鏡 | 71件 | 14,740名 |
第61回 | 2009年10月24日 | 2009年11月6日 | 紫檀木画槽琵琶,金銀花盤 | 66件 | 14,964名 |
第20回 | 1967年10月22日 | 1967年11月5日 | 黄銅合子,犀角如意 | 77件 | 81,787名 |
第19回 | 1966年10月23日 | 1966年11月7日 | 紫檀木画挟軾, 緑牙撥鏤尺 | 72件 | 84,507名 |
第18回 | 1965年10月24日 | 1965年11月7日 | 麟鹿草木夾纈屏風,長斑錦御軾 | 101件 | 60,727名 |
第17回 | 1964年10月25日 | 1964年11月8日 | 漆胡瓶,桑木木画碁局 | 95件 | 111,611名 |
第16回 | 1963年10月20日 | 1963年11月3日 | 緑瑠璃十二曲長杯,琵琶 | 84件 | 48,609名 |
第15回 | 1962年10月21日 | 1962年11月4日 | 螺鈿紫檀琵琶,平螺鈿八角鏡 | 88件 | 51,372名 |
第14回 | 1961年10月22日 | 1961年11月5日 | 銀鉢,紫檀金鈿柄香炉 | 82件 | 46,435名 |
第13回 | 1960年10月23日 | 1960年11月6日 | 螺鈿紫檀阮咸,山水人物鳥獣背面鏡 | 84件 | 42,301名 |
第12回 | 1958年10月21日 | 1958年11月3日 | 磁瓶,酔胡王面 | 54件 | 34,939名 |
第11回 | 1957年10月21日 | 1957年11月3日 | 金銀荘横刀,漆葛胡禄 | 50件 | 36,757名 |
第10回 | 1956年10月21日 | 1956年11月3日 | 東大寺献物帳,螺鈿紫檀五絃琵琶 | 64件 | 60,936名 |
第9回 | 1955年10月21日 | 1955年11月3日 | 杜家立成,金銀平文琴 | 72件 | 39,160名 |
第8回 | 1954年11月1日 | 1954年11月14日 | 銀壺,金銅幡 | 62件 | 43,118名 |
第7回 | 1953年11月1日 | 1953年11月14日 | 鳥毛篆書屏風,銀薫炉 | 63件 | 49,350名 |
第6回 | 1952年10月15日 | 1952年10月28日 | 螺鈿楓琵琶,天平宝物筆 | 83件 | 41,652名 |
第5回 | 1951年10月26日 | 1951年11月4日 | 琵琶袋残欠,孔雀花卉文刺繍紫綾幡身 | 85件 | 21,028名 |
第4回 | 1950年11月1日 | 1950年11月14日 | 平螺鈿背円鏡,白瑠璃瓶 | 60件 | 43,118名 |
第3回 | 1948年10月29日 | 1948年11月10日 | 紫檀木画槽琵琶,鳥毛立女屏風 | 33件 | 48,336名 |
第2回 | 1947年10月27日 | 1947年11月15日 | 黄麝香,螺鈿玉帯箱 | 33件 | 72,351名 |
第1回 | 1946年10月21日 | 1946年11月9日 | 紫檀木画雙六局,白瑠璃椀 | 33件 | 147,487名 |