エム・クルー

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株式会社エム・クルー
M.crew, inc.
種類 株式会社
市場情報 非上場
略称
本社所在地 日本の旗 日本 171-0022
東京都豊島区南池袋二丁目五番五号
電話番号 03-3590-2552
設立 1997年3月18日
業種 9050
事業内容 建設雑工請負業務
代表者 代表取締役 德永吉秀
資本金 5150万円
売上高 非公表
総資産
従業員数 非公表
決算期 3月
主要株主
主要子会社
関係する人物
外部リンク http://www.mcrew.co.jp/
特記事項:

株式会社エム・クルー(英文表記:M.crew, inc.)は、東京都豊島区に本社を置く業務請負業者。『フリーター・求職者支援ビジネス』を掲げている。

会社概要[編集]

ホームレスという経歴を持つ前橋靖(まえばし おさむ)が、1997年3月に設立した建設作業請負会社『有限会社トラスティー』が前身である。社名のMは、Mind(心)・Mentality(精神力)の「2つのM」を意味しており、crewは船などの乗組員を指す。同社では、社員や登録スタッフの事をクルーと呼んでいるという[1]

レストボックス[編集]

エム・クルーが運営する簡易宿泊施設。ネットカフェ等で寝泊りしている人達をターゲットにしたもので、一つの部屋に2段ベッドを備えている。2006年24店舗の営業をしていたが、2009年現在は6店舗と縮小傾向にあり、年内全店舗閉鎖する予定である。

さまざまな問題[編集]

社会的企業#「貧困ビジネス」問題 も参照 これまで、ソーシャル・ベンチャーとしての取り組みがマスメディアによって高評価されて来たエム・クルーであった。しかし、貧困者の支援活動に尽力するNPO法人自立生活サポートセンター・もやい』事務局長の湯浅誠は、同社が行っている“支援事業”の危険性を自著などで早くから指摘し、「貧困ビジネス」と名付け厳しく批判していた。程無くして湯浅の読み通り、次第に同社の悪辣な実態が明らかになる。また湯浅は、マスコミに対しても、「フリーターに朗報」などと、まるで新しいビジネスの様に宣伝し、貧困ビジネスとして捉える視座を欠いていた事に対しても苦言を呈している[2]

“破格”の天引き[編集]

まず、エム・クルーは派遣1日当たり最大で500円の不明朗な天引きをしており、内訳は(「安全協力費」名目(1稼動につき100~300円)及び「福利厚生費」名目(1稼動につき200円)合わせて1稼動につき300~500円)である。更に、「優良手当ST」名目(1稼動につき300円)でも天引きをしている。同様の天引きは過去に日雇い派遣大手のフルキャストグッドウィル(廃業)でも行われていたが、前者の250円、後者の200円と比べても高額である。なお、同社は労働者側が求めない限りは、給与明細にあたる「支払明細書」を発行しない為、同社に登録して働く人の多くはこの事実を知らず、湯浅らに声をかけられて初めて天引きを知った人も少なくないという[3]

雇用・労働に関する違法行為[編集]

同社は主に建設作業の雑工事を請け負っているが、実際には、送り込まれた先の会社から指揮または命令を受けている事実が判明した。しかし、同社はこれを「請負である」と主張しているが、本来であれば同社が現場の担当部署を管理・運営しなければならない。従って、請負契約または業務委託契約を偽装した、いわゆる偽装請負に該当する。他にも、労働者派遣法で禁止されている建設業務への派遣や多重派遣、労働者を個人事業主と偽装する「偽装雇用」も行なっている[3]。ついに平成21年3月30日に東京労働局から労働者派遣事業改善命令が出された。

賃金の不払い・ワーキングプアを助長[編集]

賃金の不払いなども目立っており、まず、集合時間から作業開始時間までの拘束時間に対する賃金、次に、会社都合により仕事がキャンセルした場合の賃金が支払われていなかった。

根本的な問題としては、労働者らが国民健康保険国民年金に加入出来ない事、中間マージン率が40%を超える高率であり、仕事そのものが低賃金である事(時給換算では1時間当たり500円強にしかならない)、加えて出費も多く、通勤費(交通費)や、会社側が義務付けている現場責任者への連絡などに掛かる代金は全て自腹にさせている事、レストボックスの利用料が1日当たり最大で1980円と、生活困窮者にとっては高額である事など、ワーキングプアからの脱出をより困難にしている。

2007年にこれらの実態を日本テレビがスクープ、当時、同局は年間を通じてネットカフェ難民を始めとした貧困問題を大きく取り上げていた為、「ネットカフェ難民の救世主が弱者を食い物にしている」と厳しい論調で報じた[4]

また、これに先立ち同年10月1日には同社に登録して働く労働者らが、労働組合『派遣ユニオン』や湯浅らの助力により、派遣ユニオン・エム・クルー支部(通称:エム・クルーユニオン)を結成[3]、労使交渉を開始、日本テレビは、その様子にも密着した。しかし、当初前橋は社長室に“籠城”し、交渉には一切応じない姿勢を見せるなどしていた[4]

参考文献[編集]

  • 湯浅誠著『貧困襲来』147-151ページ(山吹書店、2007/7)
  • 渡邊奈々著『社会起業家という仕事 チェンジメーカー』フリーターのための短期滞在施設運営-エム・クルー/前橋靖より(日経BP社、2007/11/1)
  • 湯浅誠著『反貧困-「すべり台社会」からの脱出』第5章(岩波書店岩波新書、2008/4/22)
  • J-WAVE『Make IT 21』 - J-WAVE『Make IT 21』(2006/10)


関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. NEWS C-master』(チバテレビ)2007年2月放送分での前橋へのインタビューより。
  2. 湯浅誠著『貧困襲来』147-148ページ(山吹書店)より
  3. 3.0 3.1 3.2 エム・クルーユニオン結成
  4. 4.0 4.1 2007年10月8日放送『NNN Newsリアルタイム』・『NEWS ZERO』(日本テレビ)

外部リンク[編集]