ニコニコ動画
ニコニコ動画(ニコニコどうが)はドワンゴの関連会社ニワンゴが2007年1月15日〜同年2月24日までにβ(ベータ)テストとして開始した動画配信サービス。愛称「ニコ動」。なお、2006年12月12日からβ版が開始する2007年1月15日までの間、ニコニコ動画(仮)として実験サービスを運用していた。
2月24日、ニコニコ動画開発チームが、YouTubeからアクセスの一部を遮断されているというアナウンスがあり、一旦βサービスを終了し、24日から1週間以内に新バージョンをリリースするとの発表をした。
特徴
動画を直接アップロードするサービスではなく、動画投稿サイトであるYouTube、AmebaVision、フォト蔵へアップロードされた動画にリンクして活用するサービスである。YouTube等の閲覧ページのURLをニコニコ動画に投稿するとリンクされ、それ以降ニコニコ動画内でその動画を見る事ができる構造となっている。
リンク元サイトの元動画と比較すると画質が異なるような主張をする者がいるが、再生しているFLVファイル自体および再生に使うフラッシュのシステムは同一であり、異なるのは表示倍率のみである。また、ローカルに保存すると画質が劣化するという意見が存在するが、あくまでダウンロードされたFLVファイルが劣化するわけではなく、各自が再生に使用するプレーヤーに搭載ないしプラグインされたFLVデコーダ群(コーデック codec)と、再生しようとするファイルとの相性によるものである。
当初は、ユーザーがコメント数(合計)・コメント数(本日)・再生数(合計)・再生数(本日)・再生数(新着)の各条件で、順位ごとに動画を検索することができ、自分の関心のありそうな動画を効率的に探すことができるように設定されたが、当サービスへの閲覧者の増加にともない、リロード(ユーザーの間ではキーボードへの機能対応から「F5」と通称されている)を繰り返しカウント数を稼いでランク上位を狙う利用者が多く見られるようになったため、この負荷対策として再生数を基準にしたランキング検索は除外されることとなった。
また、すべての動画に対して、文字色や文字の大きさ・表示方法などを数種類から選び、その動画の好きな位置に自由にコメントを行うことができ、投稿されたコメントはリアルタイムで表示される。コメントには投稿者の名前を付加することもできるが、ペンネームないしハンドルネームを付加するユーザーはごく僅かである。ひとつの動画につき、再生時間の長さによって250から最大1000のコメントまでが表示されるように構成されており、それを越えた場合には古いコメントから順に表示されなくなる構造となっているが、コメント自体は実際には全て保持されている。当サービス発足にあたっての監修者であるひろゆきがニコニコ動画(β)のサービス開始直後のインタビューにおいて、コメントの最大表示数として発言している200という数字はあくまで2007年1月のサービス開始直後のものであり、同サービス開発者の手によって翌月には250から最大1000表示の仕様に拡充されている。
投稿されるコメント内容は、おしなべて掲示板「2ちゃんねる」に通じる特徴が見られ、特に人気上位の動画になるとほぼ2ちゃんねるのニュース速報(VIP)板の様相を呈し、過剰な歌詞テロップや空耳コメント、動画の内容に対する罵倒、他者に対する誹謗中傷や無意味な「荒らし」行為などで多数のコメントが溢れかえり、映像部分が見えなくなる場合がある(このコメントの洪水は一部では「弾幕」と称されている)。この場合「コメントを表示しない」のチェックボックスにチェックすることによりコメントを非表示とすることもできる。
また、匿名で自由に動画にコメントを投稿することができ、管理者による削除もなされないため、他人への誹謗中傷や荒らしが起こりやすいというデメリットもある。ただし、人気上位の動画になると、同時表示数をはるかに越える大量のコメントが投稿されるため、わずか数分でコメントは総入替となり、荒らしや誹謗中傷もほとんど目立たなくなってしまう傾向がある。また、せっかく投稿された秀逸なコメントも、その後の多数のコメントによって流れてしまい、時を経て総体的にコメントのレベルが劣化する傾向が強い。
何らかの理由でリンク元の動画が削除されると、リンク切れしたサムネイルには「削除されたかも?」と表示され、これを再生しようとすると、「笛」と呼ばれる「本日はニコニコ動画にお越し下さいまして…」という音声と映画のエンドロールのような映像が、Fooというスタッフの下手なリコーダー演奏によるBGMとともに表示されて、その動画が削除された事を伝える構造となっている。BGMには、『蛍の光』(Auld Lang Syne)、『大きな古時計』(My Grandfather's Clock)、『ずいずいずっころばし』などの古今東西の有名曲が用いられている。
歴史
- 2006年12月12日 - 実験サービスを開始。
- 2006年12月13日 - ひろゆきが自身の日記ブログや2ちゃんねるにて紹介したため、アクセスが急増。
- 2007年1月15日 - βテストとしてサービス開始。サービス開始から一週間程度でコメント数が100万件に達する。コメント表示コマンドは、文字サイズ3(標準・big・small)、文字色4(標準・red・green・blue)、表示位置3(標準・ue・shita)が設定されていた。
- 2007年2月1日 - コメント数が500万件に達する。
- 2007年2月7日 - 1月の月間ページビューが1億を超えていたことが発表される。
- 2007年2月8日 - コメント数が1000万件に達する。
- 2007年2月10日 - コメント表示コマンドに、「yellow」・「orange」・「pink」・「purple」が追加された。
- 2007年2月19日 - コメント数が2000万件に達する。対応動画サイトにフォト蔵が追加された。
- 2007年2月20日 - この頃から、不特定多数のIPアドレスからDDoS攻撃を受け始める。
- 2007年2月23日 - DDos攻撃の影響がドワンゴのモバイルサイトにも出た為、サービスを一時停止。攻撃を行っている端末は、判明分で一時3000台以上になっていたとのこと。また同時期にYouTubeからのアクセス遮断も確認された。
- 2007年2月24日 - βテストサービスを終了し、新バージョンの開発に入る事が発表される。
- 2007年3月3日 - 3月5日からスタートする新バージョンの「ニコニコ動画(γ)」のアカウント限定10万人募集スタート。
その他
- 稼動初期以来、プロモーションビデオ(PV)やシューティングゲーム・格闘ゲームなどの高速プレイなどが上位に食い込んでいるほか、ロールプレイングゲーム(RPG)や対戦ゲームの稚拙なプレーがツッコミネタとしてあえて重宝されたり、いわゆる「ギャルゲ」・「エロゲ」とよばれる恋愛ゲームのプレー画面などが人気を呼ぶ傾向にある。
- 2007年2月上旬に入ると、『新・豪血寺一族 -煩悩開放- レッツゴー!陰陽師 PV』、『Nursery Rhyme -ナーサリィ☆ライム- OP』、『あいつこそがテニスの王子様(ミュージカル版テニスの王子様 氷帝戦)』の、人気上位動画3つの合計で、わずか1晩で30万回再生・10万コメントを超えるような「祭り」状態が続いた。
- 2007年2月23日現在、不特定多数のIPアドレスからのDDoS攻撃(SYN flood)により、運営側でサービスを一時停止。攻撃の目的などは今のところ定かではない。また、それとほぼ同時期に、YouTubeへのアクセスが一部遮断されていることが判明した。
- 2007年3月3日、「ニコニコ動画(γ)」のアカウント限定10万人募集スタート。限定10万人だがテスターは追加予定があり、その際はAmeba Vision、フォト蔵、ニワニュース会員が優先される。
関連項目
外部リンク