Adobe Flash
Adobe Flash | |
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開発元: | アドビシステムズ |
最新版: | CS4 / 2008年11月11日 |
評価版: | / |
対応OS: | MS Windows、Mac OS X |
プラット フォーム: |
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種別: | Multimedia Content Creator |
ライセンス: | プロプライエタリ |
公式サイト: | adobe.com/jp/products/flash/ |
Adobe Flash Player | |
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開発元: | アドビシステムズ |
最新版: | 10.0.22.87 / 2009年2月25日 |
評価版: | / |
対応OS: | MS Windows, Mac OS X, Mac OS 9, Linux OS, Solaris, Pocket PC, OS/2, HP-UX, IRIX |
プラット フォーム: |
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種別: | |
ライセンス: | プロプライエタリ |
公式サイト: | adobe.com/jp/products/flashplayer/ |
Adobe Flash(アドビ フラッシュ)は、アドビシステムズ (Adobe Systems) が開発している動画やゲームなどを扱うための規格及びそれを制作する同社のソフトウェア群の名称。略称は FLASH、フラッシュ、Fl など。旧称は Macromedia Flash であり、かつての開発会社はマクロメディア (Macromedia)。競合他社の類似ソフトに Microsoft Silverlight がある。
概要
ベクターイメージが規格の中心で、それにスクリプトで制御することによりマウスの動きに合わせてアニメーションしたり、音を鳴らしたりなど、インタラクティブなウェブサイトを作成するのに向いている。アニメーション、ゲーム、ウェブサイトのナビゲーション、音楽再生などのコンテンツを作るためのソフトウェア。再生環境への依存度が低く、ベクターイメージであるためウインドウサイズを変えても画質が劣化しないという特徴がある。
Flashを用いるとインタラクティブ性の高いウェブサイトにすることも可能だが、Webブラウザやプレーヤーからテキスト検索できないなどの欠点がある。ただし、Googleなど一部の検索エンジンは Flash内のテキストを抜き出して、検索対象とすることができる。
Flash 再生ソフトとしては主に Flash Player が使われる。Microsoft Windows、Mac OS X、Linux OS などのオペレーティングシステム上で動作し、Internet ExplorerやFirefoxなどの代表的なWebブラウザの中でプラグインとして動作させることもできる。携帯電話機にもFlashプレーヤが搭載されているものがあるが、ハードウェアスペックやセキュリティーの配慮等により制限が多い(Adobe Flash Lite によるもの)。
また、アドビシステムズは Flash をウェブ以外にも利用できるようにする意向を発表している。Flash のファイルフォーマットは仕様が一般に公開されており、アドビシステムズ以外の企業、個人でも Flash データを加工、生成するソフトウェアを自由に開発、配布することができる。しかし、仕様書に基づいてFlashファイルを再生するソフトウェアを開発することは認められていなかった。そのため、例えば Flash 再生ソフトである Gnash では、ウェブ上に存在する Flash を収集し、それらを解析することを通じて開発が行われていた。その後ライセンスの変更が行われ、現在では互換ソフトの開発が可能になっている。
Flashによるアニメーションは、ポータルサイトや企業や公的機関、歌手や個人のウェブサイト等においてトップページに使用されることが多いが、ナローバンドにおいてはダウンロードに時間がかかるため、かつて日本においてブロードバンドが普及する以前には、トップページにおけるFlashの使用を好ましく思わないユーザーも多くみられた。
また、Flash上に表示されたテキストは、通常のテキストや画像のようにブラウザの機能を用いてコピーや印刷、保存することが不可能なため、たとえば歌詞などのテキストをFlashを用いて表示すし、容易にコピーペーストされないようにするという特殊な使われ方もある。
そのほか、バナー広告をはじめとしたウェブ広告の分野においても広く使用されている。
近年のバージョンでは、インタラクティブなコンテンツの表現手段だけにとどまらずリッチインターネットアプリケーション向けの機能が拡充されており、高度なユーザーインターフェイス、複数ファイルの同時アップロード、シームレスな動画の再生など、DHTMLなどではまかないきれない柔軟で利便性の高いインターフェイスをクロスプラットフォームで比較的容易に提供できる手段としても普及している。
とくに、2006年に脚光を浴びたYouTubeとともに急成長した動画配信の分野においては、(DRMの保護が必要な一部のケースを除いて)非常に広く使われており、従来のメディアプレイヤープラグイン(Windows Media Player, QuickTimeなど)に頼った方式よりも環境の依存性が低いため、動画配信において欠かせない技術のひとつとなっている。
バージョンアップの歴史
Flash 1, 2
1996年にアメリカ合衆国のコンピュータ・ソフトウェア会社 FutureWave Software が アニメーション・データを作成するソフト FutureSplash Animator と再生プラグイン FutureSplash Player を開発。これをマクロメディアが会社ごと買収し、FutureSplash を略し、Shockwaveシリーズに組み込むことによりこの規格は Shockwave Flash(ファイルフォーマット名及び拡張子で使われる SWF は ShockWave Flash Object の略)、作成ソフトは Macromedia Flash に改名された。このころからすでに数多くの基本的な機能を備えており、またベクターイメージで描画する事により動画データとしては非常にデータ量を小さくした事により注目される。
Flash 3, 4
1998年、 Flash 3 のベータ版公開と同時に Shockwave Flash (.swf) の仕様をオープン・スタンダード化する事が発表される。同年発売されたMacromedia Flash 3 からインタラクティブ関連の機能が強化され、次第に「アニメーションソフト」の枠にとどまらない発展をするようになる。Flash 4で変数、文字列処理、条件分岐ができるようになる。
Flash 5, 6
Macromedia Flash 5、Macromedia Flash MX (Flash Player 6) でActionScriptが搭載され、プログラミングの機能が大幅に強化されたため、プログラマたちも Macromedia Flash を使うようになる。なお、MXは「Miracle Experience」の略称である。
Flash 7, 8
Macromedia Flash MX 2004 (Flash Player 7) では、ActionScript2が搭載され、動画配信もサポートし、2005年秋にリリースされたMacromedia Flash 8 Professionalではアニメ、グラフィック関連を中心に大幅なバージョンアップが行われ、また機能制限版の Macromedia FLASH 8 BASIC も同時リリースされ、新たな層の開拓にも意欲的である。
Adobe による買収
2005年4月にマクロメディアはアドビシステムズに買収され、プレイヤーは Adobe Flash Player に改名される。作成ソフトは新バージョンの発売まで Macromedia Flash の名称のまま販売を継続された。2007年4月アドビのクリエイティブ製品群である「Adobe Creative Suite 3」に組み込まれて新バージョンとなる Adobe Flash CS3 Professional が発売され、作成ソフトの名称も Adobe Flash に改名された。
Flash CS3
バージョン8までは Macromedia Flash と Flash Player がほぼ同時にリリースされていたが、Windows・Mac用 Flash Player 9 が2006年6月にリリースされた(開発環境は現在、Adobe Flash CS3 ProfessionalかFlex 2およびFlex 3)。
Linux OS 用について見ると、Flash Player 8 はそのリリースが見送られることとなった。その後、Flash Player 9 が Windows・Mac 用よりも数ヵ月遅れた2007年1月にリリースされた。Linux OS 用のリリースが遅れた理由は、多くの Linux ディストリビューションに対応させる必要から、開発に相当時間がかかったためであるといわれている。
Flash CS4
CS4製品の米国での発表は2008年9月2日、発売は同年10月15日。日本語版の発表は同年11月11日、発売は同年12月19日であった。
3D変換、H.264のエンコード、Adobe AIRとの連携、新フォーマットXFLなどをサポートしている。
バージョン
作成ソフト
- 1996年 Future Splash Animator (Macromedia FLASH 1)
- 1997年 Macromedia FLASH 2
- 1998年 Macromedia FLASH 3
- 1999年 Macromedia FLASH 4
- 2000年 Macromedia FLASH 5
- 2002年 Macromedia FLASH MX (6)
- 2003年 Macromedia FLASH MX2004 (7)
- 2003年 Macromedia FLASH MX Professional 2004 (7)
- 2005年 Macromedia FLASH Basic 8
- 2005年 Macromedia FLASH Professional 8
- 2007年 Adobe FLASH CS3 Professional (9)
- 2008年 Adobe FLASH CS4 Professional (10)
プレイヤー
- 1996年 Future Splash Player
- 1997年 Macromedia FLASH Player 2
- 1998年 Macromedia FLASH Player 3
- 1999年 Macromedia FLASH Player 4
- 2000年 Macromedia FLASH Player 5
- 2002年 Macromedia FLASH Player 6
- 2003年 Macromedia FLASH Player 7
- 2005年9月13日 Macromedia FLASH Player 8
- 2006年6月28日 Adobe FLASH Player 9
- 2008年10月15日 Adobe FLASH Player 10
日本における普及
日本での本格的な流通はFlash 2の頃からであるが、実際にはFutureSplashの直輸入版も一部店舗では取り扱われていた。Flashに最初期から注目していたメンバーが開設した現在のFlash-japanにあたるメーリングリストはこの時点で既に活動が始まっている。また「おしえて!!Flash」に代表される解説書がこの時期に一挙に発売された。
ウェブサイトの一般ユーザーに広くFlashが認知されるようになったのはFlash 4の時期である。多くの企業サイトで採用されるに至っていたが、特にフォークデュオのゆずの公式サイトは、ホームページほぼ全てをFlashで構築した上に、「ゆず一家の家の中」を探索するアドベンチャーゲーム風の演出をそれに取り入れ大きな反響を得た。他方で個人制作されたFlash作品もこの時期を境に増え始めている。個人制作Flashの「投稿型コミュニティ」や、自動リンクで主催者が気に入った作品を登録する形式で紹介するフラッシュ倉庫と呼ばれるウェブサイトが派生してきたのもこの時代である。
いわゆるMADムービーの制作ツールとしてFlashが多用されていた時期があり、「サザエさん」や「ドラえもん」、コミックソング等を素材に使用した作品は数多く出回っている。一方で個人製制作ながら表現において高レベルの水準に到達した「つきのはしずく」や、脚本に注力されFlashに興味の無い一般層も抵抗無く作品世界へ引き入れることに成功した「キミとボク」など、黎明期を代表する作品が発表されている。この頃より個人制作のFlash作品は多様化の一途を辿っているが、現在はFlash Videoの普及により、流行としては終息傾向にあるという見方もある。
また2ちゃんねるの利用者増加にしたがって2ちゃんねる内での内輪受けを狙ったFlash作品からも大きな流行が起こり、2002年始めに設立されたFLASH・動画板はその中核となった。作品にアスキーアートを多用している(比較的キャラが決まっているので、一から設定する必要がない、画力の差がそれほどでない、などの利点がある)。掲示板内の有志で様々なテーマに沿った「発表会」も主催されるなど、制作者同士の情報交換が頻繁に行なわれた。他にも作品に「泣ける系」「PV系」などの独特なジャンル分けを行なったり、Flash制作者を「Flash職人」と呼称するなど、独自の文化を形成している。後にコミュニティ内出身者がプロデビューするなど、商用利用の動きも存在した。
2005年春には商用音楽を無断転載して公開していた Flash を逆に企業が注目し、プロモーションとして大々的に抜擢する異例の「大出世」があった。それが日本を席巻した恋のマイアヒであったが、結果、今後の著作権問題などに大きな影を落とすこととなった(のまネコ問題参照)。一方で、2006年には同じく商用音楽を無断使用していたFlash「WALKING TOUR」が絵本化され、その際同梱されたCDに収録のFlashに、当初無断使用していたプラネテスの「PLANETES」と同じ黒石ひとみによって新規に書き下ろされた曲が使われるという快挙を成し遂げた。
Flashのバージョンアップに従って、Flashに搭載されているスクリプト言語であるActionScriptが高度化していった点は前述の通りであるが、ここからプログラマー達によるFlashの新たな使用方法が多く模索された。ウェブブラウザ上なら軽快に動作し、比較的容易な開発環境にあるFlashを使用した数多くの大規模なネット・ゲームやコミュニケーション・サイト、動画配信や地図ナビゲーション、Flash Liteを使用した携帯アプリなど、スクリプトベースで「作品」が制作されることが企業・個人問わずに近年増加傾向にある。
メディア・アート、インタラクティブ・アートやインスタレーションの制作ツールとしてFlashが使用されることもある。
2006年春、「菅井君と家族石」で注目されていたFROGMAN(蛙男商会)が、全編Flashで制作された史上初のテレビアニメーションシリーズ「THE FROGMAN SHOW」を制作し、テレビ朝日・朝日放送にて放映。映画化(一部の工程をのぞきほぼ全てでFlashを使用)、ゲーム化などのメディアミックスも行なわれた。またうすた京介の漫画、「ピューと吹く!ジャガー」が蛙男商会の手によりFlashでOVA化されている。
注意すべき作品傾向
Flash作品の中には、最初に間違い探しや色盲テストなど鑑賞者に画面を注視させる画像を表示しておいて、突然画面が切り替わり、怪物や血まみれの人物が絶叫と共に表示されるといったドッキリ映像も少なからずある。電子掲示板にFlash作品への直リンクが書き込まれている場合は、しばしばこの類いの作品への誘導である事があるため、再生には注意が必要である。しかし、中にはそれらの代わりに屁をしている男の写真が出るなど、アメリカンジョーク的なユニークな作品もある。なお、こうした鑑賞者を驚かせる目的で作成されたFlashのさきがけは、1990年代後半に一部で「心霊写真の画像」として有名となったアニメーションGIF画像である。一見すると何の変哲もない小屋の写真で、どこを見ても幽霊らしきものを探すことはできないのだが、表示から一定の時間を過ぎると、突然小屋の扉から幽霊が飛び出してくるといった内容で、昨今頻繁に出回っている「絶叫Flash」は基本的にはすべてこの模倣であると言える。
また、●○の曲を逆再生すると…といったFlashと見せかけて、再生し始めてしばらくは音量が小さく、鑑賞者がボリュームを上げて注意深く聴いていると、突然大音量で絶叫する声が再生されるといった音声系の悪戯もある。
Flash を紹介している総合サイトや、広く知られているFlash職人の作品にはそのような要素が含まれていることは少なく、また入っていたとしても注意を促すメッセージが書かれていることが多いため、比較的安心して鑑賞できるが、「不快なFlash」の定義は個人によって異なるため、不審なリンクは無闇に押さない事を心掛けるべきである。
インターネットのグロテスク画像も参照のこと。
セキュリティ問題
Flash Playerは本格的なプログラミング言語であるActionScriptの処理系を含んでいる。そのためFlashデザイナやFlexプログラマは任意の機能を実現できるが、信頼性の保証がないサーバから読み込まれたプログラムが動作することについて、セキュリティ上の懸念がある。
Flash Playerにはサンドボックスモデルに基づいたセキュリティ機構が実装されている。ローカルストレージや周辺機器へのアクセス、ダウンロード元と異なるドメインのサーバとの通信は制限されており、例えば自由に読み書きできるローカルストレージはWebブラウザのCookieに相当するSharedObjectに限られ、ファイルの読み書きにはユーザの選択による許可を必要とする。
このため通常はFlashによってシステムが破壊されたり、ローカルファイルに保存した情報が盗まれることはないが、Flash Playerや(PDFに組み込まれたFlashを再生できる)Adobe Readerにはシステムのクラッシュや悪意のあるプログラムの実行を許す脆弱性が過去にいくつか発見されている。多くのユーザはWebブラウザに組み込まれたFlash Playerを有効にした状態でWebを利用しているので、それらの脆弱性を突くJSRedir-RやTROJ_PIDIEF.INのようなウィルスは修正アップデートが公開されるまでの間に急速に感染を拡大した。
ソフトウェアには脆弱性がつきものだが、日常的に利用されるWebブラウザやPDFビューアに組み込まれたFlashのそれは影響が甚大である。Flash Playerは常に最新版を使用し、脆弱性が発表された場合はアップデートが公開されるまで無効化することが望ましい。
アドビシステムズ以外の実装
再生ソフトウェア
アドビシステムズ以外が実装する Flash 再生ソフトウェアは存在するものの、いずれもまだバグが多く実用レベルに達していない。なお、swfのファイルフォーマットの仕様は公開されている。昔は、この仕様書を再生ソフトウェアの作成に用いることはできなかったが、2008年5月1日に、ライセンスが変わり、Open Screen Project が始まり、互換プレーヤーを作ることが可能になった[1]。
作成ソフトウェア
Flash のファイルフォーマットである SWF は仕様が公開されており、サードパーティー製の Flash 作成ソフトも多数存在する。
Windows 版
Free Motion、MotionMaker 4(FlashMakerの後継ソフトウェア)、かんたんWebアニメーション、flaave、In A Flash、SWiSH、Toon Boom Studio、ParaFla!、Suzuka
Mac OS X 版
かんたんWebアニメーション、flaave、Toon Boom Studio
フリーの Flash 作成ソフトウェア
Liveswif lite、MotionSWF、Powerbullet、jaMing、ParaFla!、Suzuka 等が存在するがあまり数は多くない。また、Windows環境でしか使用できない物がほとんどである。うち ParaFla、Suzuka は日本人によって開発が進められている。
関連項目
- Adobe Flash Lite
- Adobe Flash Media Server
- Adobe Flex
- Adobe Media Player
- Gnash
- Swfdec
- ActionScript
- リッチインターネットアプリケーション
- Flash Video
- FlashPaper
- Adobe Shockwave
- Microsoft Silverlight
- MINICLIP.COM(en:Miniclip)
- Hatten är din(2000年頃大流行した、日本でも有名なFlash作品)
- Flash職人
- フラッシュ倉庫
- Local Shared Object