アスキーアート
コンピュータ上において、アスキーアート(ASCII Art)とは、プレーンテキストによる視覚的表現技法をいう。テキストアートや、文字絵などとも呼ばれる。AAと略される事もある。
欧米で、アスキー(ASCII)コードの図形文字領域0x20〜0x7eに含まれる文字・記号を用いたことからこの名があるが、他のキャラクタを含むものについても、あまり区別せずアスキーアートと呼ばれている。そもそも、現在ではラテン文字圏でもアスキー以外の文字コードを利用することはごく一般的である。
概要[編集]
アスキーアートは、広義には顔文字を含むが、より複雑な図形表現のため複数行を使うものがあり、狭義にはこれをいう。古くはタイプライターやテレタイプで同様の表現を試みた者もいたが、この語が人口に膾炙するようになったのは、パソコン通信の電子掲示板が知られるようになってからである。
現在、日本語webサイトで見られるものは、一部の顔文字を除いていわゆる全角文字や半角カナのような非アスキー文字を使っているが、「アスキーアート」と呼ばれている。ただし、とくに海外では日本の"アスキーアート"のうち、ASCIIになくシフトJISにある文字を使うものを、厳密に区別する目的でShift_JIS artなどと呼ぶこともあるので注意を要する。
伝統的には等幅フォントを使用するが、日本語のwebサイトにおいては表示にプロポーショナルフォントである「MS Pゴシック」が指定されていることが多いので、それに最適化されたアスキーアートが普及している。
尚、国産MMORPGのファイナルファンタジーXIにおいては、チャットウィンドウに表示される日本語は外国言語版ソフトでもそのままのため、簡単なアスキーアートに興味を持つ外国人が多く、日本のアスキーアート文化の輸出に一役買っている。
欧米で使われているアスキーアート[編集]
古くから愛好者が多く、専用のニュースグループもある。またANSIエスケープシーケンス (カーソル移動や色・反転表示を記述することができる) を使ったアニメーションも存在する。
ここで使用しているアスキーアートは半角\が半角¥に置き換わって表示される場合あり。
1行のアスキーアート[編集]
最もシンプルなアスキーアートは、2〜3文字を組み合わせた感情を表現するためのもの。スマイリーとも言う。 これらの顔文字は時計周りに90度回転させ(または首を左側に90度傾け)ると認識しやすい。 主に英語圏で使用されている。
:-) または :) または:D スマイル :-( しかめ面 ;-) ウィンク :-p 揶揄 :P 舌出し :O 驚き
複数行のアスキーアート[編集]
より大きく、より複雑な図形を書くためには、複数行を使用。
(oo)
/-------\/ O
/ | || /o)\ /H\
* ||----|| \(o/ / \
~~ ~~
牛 陰陽 人
日本で使われているアスキーアート(テキストアート)[編集]
顔文字(フェイスマーク)[編集]
顔文字参照
感情を表すために4〜8文字程度を組み合わせたもので、おおむね1行に収まる。 メールの本文・チャット・電子掲示板・メーリングリストなど、さまざまな場所で使用される。欧米では、1バイト文字のみで構成されているものが日本のサブカルチャーに興味を持つ人々の間で使用されている。orzは中国・台湾にも輸出され、独自のアスキーアートが作り出されている
(例:圙rz 老人の顔)。
笑い (^▽^) (*´∀`*) (・∀・) ヽ(´ー`)ノ (●´艸`●) (^ω^) (・∀・)ニヤニヤ (*ノ≧∀)ノ (*^_^*) v(^_^)v (´▽`〃)ヾ 喜び キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!! ヽ(´▽`)ノ♪ ヽ(*´∀`)ノ *+。('∀'*)*+。 (*^^)v (^^♪ (*^ー゚)b (*´`) 怒り (#`Д´) (♯・∀・) ヽ(`Д´)ノ (°〆°#) (`益′) ( ゜Д゜)ハァ? 泣き (>_<) (T_T) (ΩoΩ) (つд`) 。・゜・(ノД`)・゜・。 (つ↑↑) 。 ゜(゜´Д`゜)゜。 (ぅω・) 。・゜(゜⊃ω⊂゜)゜・。 (´;ω;`) 落胆 _| ̄|○ orz OTL Σ(´д`;) ('A`) ( ̄∧ ̄) (´Д`) or2 困り (´・ω・`) マダァー(・∀・ )っ/凵⌒☆ (-ω- ?) 失敗 (ノ∀`) (´∀`;A ) ^^; /(^o^)\ 驚き Σ(゜Д゜;) Σ(@Д@) Σ(゜Д゜ノ)ノ (゜д゜) (ヽд) ゜゜ (;・`д・´) (ΦДΦ)!? \(゜ロ\)(/ロ゜)/ \(;゚Д゚)/ 怯え (>_<) ((((;゜Д゜))) (((;゜Д゜)))ガクガクブルブル (ili゜Д゜) 余裕 (*´σー`) ( ̄ー ̄) (・ー・) ( ´_ゝ`)フーン 別れ (T_T)ノシ (・∀・)ノシ (*・ω・)ノ~~~ ヾ(。・ω・。) 謝罪/依頼 m(_ _)m (>人<) (●´・ω・)(●´_ _)ペコ <●> 挨拶 |・ω・)ノ (・∀・)ノ ちら見 |ω・`)チラッ |д・ ) チラ 威嚇 (「・ω・)「 がおー ( ゚Д゚)y─┛ 恥ずかしい (/ω\) 無邪気 ヾ(・ω・ )ノ゛
固定ピッチフォントのアスキーアート(テキストアート)[編集]
3〜25行程度を使用する、より大きなアスキーアート(テキストアート)。
∧ ∧ ~′ ̄ ̄(´ー`)<初期型 UU ̄ ̄ U U ↓ ∧ ∧ ~′ ̄(´ー`)<現在 UU ̄ U U ↓ ____ ∧ ∧ |\ /(´~`)\<変化球 | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | |=みかん=| \|_____| ↓ ∧ ∧ /(´Д`)ノ<汎用  ̄ ̄ ̄ ̄|
プロポーショナルフォントのアスキーアート(テキストアート)[編集]
Internet Explorer5.0での表示を基準としたMS Pゴシック16ピクセル(12ポイント)、行間2ドットを標準として作られている。数行〜十数行であることが多いが、巨大なものでは50行に達する場合もある。W3C勧告のCSSを利用してアスキーアートに適した表示を行う場合は、以下のように指定することが望ましい。 <source lang="css"> font-family:IPAMonaPGothic,'IPA モナー Pゴシック',Monapo,Mona,'MS PGothic','MS Pゴシック',sans-serif; font-size:16px; line-height:18px; </source>
MS PゴシックがプリインストールされていないWindows以外では正しく表示しにくい。その欠点を解決するため、利用がフリーなフォント「モナーフォント」が開発された。このモナーフォントは、Linuxを始めとする他のオペレーティングシステムでも利用可能であることから、この問題点は既に克服されている。モナーフォントには、IPAモナーフォント、M+IPAモナーフォントなど数種の派生フォントが存在する。
- ヨシフ・スターリン(政治家)
, -.―――--.、 ,イ,,i、リ,,リ,,ノノ,,;;;;;;;;ヽ .i;}' "ミ;;;;:} |} ,,..、_、 , _,,,..、 |;;;:| |} ,_tュ,〈 ヒ''tュ_ i;;;;| | ー' | ` - ト'{ .「| イ_i _ >、 }〉} `{| _.ノ;;/;;/,ゞ;ヽ、 .!-' | ='" | i゙ 、_ ゙,,, ,, ' { 丿\  ̄ ̄ _,,-"ヽ ''"~ヽ \、_;;,..-" _ ,i`ー- ヽ、oヽ/ \ /o/ |
- ウィキペたん(擬人化キャラクター)
ru‐┐__ ru‐┐ .} Ω_{' ⌒´ヾー、.{ ´rー゙f(ノノ))))!i.「 ノ乂k(l゚ ヮ゚ノ'ノ乂 ´ ' と}i凹{つ ' fく/{__}〉 ´ し'ノ
プロポーショナルフォントのアスキーアートの特徴[編集]
日本では他国に比べアスキーアートが非常に発展しているが、その要因の一つとして、ひらがな、カタカナ、漢字、英字、数字、記号といった多彩な文字種類、ダブル半角スペースの影響を受けない全角スペースの存在、MS Pゴシック12ポイントにおける文字幅が挙げられる。
日本におけるアスキーアートは、環境に非常に依存するという弱点がある。Windows VistaからはMS Pゴシックとは文字幅も字体も違う、メイリオフォントが導入された。また、MS Pゴシックなどのフォントも一部の字体が変更されており、一部のアスキーアートを正常に表示することが出来ない事が判明している。その他にも、フォント設定が正常に反映されない等の不具合も多く、これらの要因によるアスキーアートの衰退が心配されている。
プロポーショナルフォントの作成上の制約[編集]
MS Pゴシックのアスキーアートには作成上の制約が二つある。
- 行頭での半角スペースの使用禁止(行頭半角スペース)
- 連続した二つ以上の半角スペースの使用禁止(ダブル半角スペース)
どちらもInternet ExplorerやGeckoを使用したWebブラウザでは、省略されてしまい表示されない。
最近ではこの制約を逆手に取ったアスキーアートが作られている。ある種の騙し絵であり、アスキーアートの中にわざとダブル半角スペースを仕込み、Webブラウザ上とそれ以外での表示を別物にするものである。
HTMLタグでフォントのサイズや色を変えたりすることはない。 文字を大きくしたい場合は、アスキーアートで大きな文字を作ったり、(下図参照)色を付けたい場合には画素とする文字の濃淡を利用し、マンガにおけるスクリーントーンのような効果(下図参照)で濃淡を表すようにする。
__|__ -┼- 七_ ,-|ナ、 ,.-┼ト、 あ (乂 ) し'ヽ ノ ヽ__ レノ 小←──────────────────────→大 薄 ↑米米米米米米米 : : : : : : : : : : : : : : : |髟髟髟髟髟髟髟 :..:..:..:..:..:..:.:..:..:..:..:.:..: |面面面面面面面 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.: |鼎鼎鼎鼎鼎鼎鼎 :.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::: |蠻蠻蠻蠻蠻蠻蠻 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |鬣鬣鬣鬣鬣鬣鬣 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |麌麌麌麌麌麌麌 ;:;::;::;::;::;::;::;::;::;::;::;::;:: |黌黌黌黌黌黌黌 :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::;:;:;:;:;:;:;:;: |鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱 ;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;; ↓黼黼黼黼黼黼黼 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; 濃
プロポーショナルフォントのアスキーアートの種類[編集]
プロポーショナルフォントのアスキーアートは、作風によって大きく3種類に分けられる。制作の場として用いられる2ちゃんねるの板名をつけて呼ぶことが多い。
顔文字板系アスキーアート[編集]
顔文字板参照
イラスト、写真などをトレースしたアスキーアートで、20行以上に渡る巨大なものが多い。大抵は漫画やアニメ、ゲームの一枚絵を元に作られている。簡単なものでも制作にはある程度の技術が必要。
このタイプのアスキーアートはオートトレースツールを用いて機械的に制作することも出来るが、精度は低く雑然とした文字の固まりにしかならない。オートトレース後に修正するなど、手書きの工程省略には使われる。
モナー板系アスキーアート[編集]
モナー板参照
漫画のように大きくデフォルメされたアスキーアートが分類される。顔部分が1行分の顔文字、全身が(通常の等身では)5行程度に収まる。2ちゃんねるのアスキーアートキャラクターと言えばこのタイプである。
単純なものであれば顔文字系アスキーアートより遙かに制作が簡単である。すでに作られたアスキーアートがあればそれを改変することで、「コピペ改変」として新たに作り替えることも出来る。
2ちゃんねるの1レスを漫画の1コマとして作り上げるストーリーAAは、ほぼ全てがモナー板系列で作られ、長いものでは3000コマを越す。
ガイドライン板系アスキーアート[編集]
ガイドライン板参照
クマーややる夫に代表されるアスキーアート。大きくデフォルメされているのはモナー板系と同じだが、目鼻口の顔部分だけで5行、全身が10行を越す。
顔だけで5行を利用しているので、顔文字板系同等な多彩な表情を表現できるが、デフォルメされているためモナー板系並に制作のハードルが低い。顔文字板系、モナー板系の中間と言うべきタイプであり、どちらともに親和性が高い。
2002年頃までは顔文字板で最も作られていた。
表現の方法[編集]
大きく二つの型がある。
- 文字の形を線と見なし、それを連結させてゆくもの。いわゆる顔文字や小さなアスキーアートに用いられる。
- 文字を一つのドットと見なし、文字の違いは濃淡の差として扱うもの。全体の形は大きくなりやすい。
アスキーアートが発祥であるキャラクターの例[編集]
ここでは代表的なもののみ記述する。
その他のキャラクターについては2ちゃんねるAAキャラクターの一覧を参照。
余談[編集]
2011年6月現在、PC版Googleで「AA」または、「アスキーアート」と検索するとGoogleのロゴがアスキーアート調になる。ホリデーロゴとは関係ない。