塩素

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硫黄 - 塩素 - アルゴン
F
Cl
Br
 
 
Cl-TableImage.png
一般特性
名称, 記号, 番号塩素, Cl, 17
元素の分類ハロゲン
, 周期, ブロック17 (VIIB), 3 , p
密度, 硬度3.214 kg/m3 (273Kで), 不明
単体の色黄緑色
Chlorine ampoule.jpg
原子特性
質量58.069 x 10-24 g
原子量35.453 u
原子半径 (計測値)100 (79) pm
共有結合半径99 pm
VDW半径175 pm
電子配置[Ne]3s2 3p5
電子殻-1, 1, 3, 5, 7
酸化数酸化物±1,3,5,7(強酸性酸化物
結晶構造斜方晶
物理特性
気体反磁性
融点171.6 K (-101.5)
沸点239.11 K (-34.04)
モル体積17.39 ×10-3 m3/mol
気化熱10.2 kJ/mol
融解熱3.203 kJ/mol
蒸気圧1300 Pa
音の伝わる速さ不明
その他
クラーク数0.19 %
電気陰性度3.16(ポーリング
比熱容量480 J/(kg*K)
導電率不明
熱伝導率0.0089 W/(m*K)
第1イオン化エネルギー1251.2 kJ/mol
第2イオン化エネルギー2298 kJ/mol
第3イオン化エネルギー3822 kJ/mol
第4イオン化エネルギー5158.6 kJ/mol
第5イオン化エネルギー6542 kJ/mol
第6イオン化エネルギー9362 kJ/mol
第7イオン化エネルギー11018 kJ/mol
第8イオン化エネルギー33604 kJ/mol
第9イオン化エネルギー38600 kJ/mol
第10イオン化エネルギー43961 kJ/mol
(比較的)安定同位体
同位体NA半減期DMDE MeVDP
35Cl75.77%中性子18個で安定
36Cl{syn.}301000年β-
ε
0.709
1.142
36Ar
36S
37Cl24.23%中性子20個で安定
注記がない限り 国際単位系使用及び標準状態下。

塩素(えんそ、Chlorine)は、原子番号17 の元素元素記号Clハロゲン元素の一種。

一般に「塩素」という場合は、塩素の単体である塩素分子(Cl2、塩素ガス)を示すことも多い。塩素分子は常温常圧では特有の臭いを持つ黄緑色の気体で、毒性腐食性を持つ。

性質 [編集]

塩素原子の電子親和力は非常に大きく、通常イオン化する際は一価の陰イオンとなる。

単体(塩素ガス)は、常温常圧では特有の臭いを有する黄緑色の気体融点 -101℃、沸点 -34.1℃、比重 2.49。非常に反応性が高く、多くの金属や有機物と反応し塩化物を形成する。

強い漂白殺菌作用をもつため、パルプや衣類の漂白剤や、水道水プールの殺菌剤として使用される。ただし、気体を扱うのは困難であるため、水酸化ナトリウム水溶液に化合させた次亜塩素酸ナトリウムの形で利用されることが多い。

生産[編集]

現在では一般的に塩化ナトリウム水溶液からイオン交換膜法によって水酸化ナトリウムと共に生産される。塩素ガスの2004年度日本国内生産量は 4,034,549t、消費量は 3,549,565t、液体塩素の2004年度日本国内生産量は 618,809t、消費量は215,833tである。黄色ボンベに保管するように決められている。また液化塩素専用タンク車タキ5450形も塗装は黄色である。

塩酸クロロホルムなど各種塩化物の原料として多方面で使用される。

人体・環境への影響[編集]

消毒[編集]

塩素は水道水の消毒に使用されており、水道法の規定で、各家庭の蛇口で1リットル当たり0.1mg以上の濃度を保つように規定されている。一方、有機物と塩素が反応することにより、発癌性が疑われるトリハロメタンを生成するといわれ、同様に塩素で汚水処理を行うと水路に塩素化有機物が流れ出てしまうのではないかという懸念の声もある。ただし、コレラなどの病気がほとんどの国で駆逐されたのは塩素を含んだ水道水のおかげでもある。

単体の毒性[編集]

塩素は強い毒性を持つ為、人類初の化学兵器としても使われた。塩素を吸引するとまず呼吸器に損傷を与える。空気中である程度以上の濃度では、皮膚粘膜を強く刺激する。や呼吸器の粘膜を刺激して嘔吐を催し、重大な場合には呼吸不全に至る場合もある。液体塩素の場合には、塩素に直接触れた部分が炎症を起こす。

塩素を浴びてしまった場合、直ちにその場からはなれ、着ていた衣服を脱ぎ、毛布に包まるなどして体を温めなければならない。直ちに医療機関での処置を要する。呼吸が停止している場合には一刻も早く人工呼吸による蘇生を行わなければならない。呼吸が苦しい場合には酸素マスクの着用を要する。

特に塩素を含む漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)と酸性の物質を混合すると、有毒な単体の塩素ガスが遊離し危険な状態となる。このため、漂白剤には「混ぜるな危険」の表示がある(しかしこれだけの表示では、具体的に何と混ぜると危険なのかが示されていない)。この表示がされる前には1986年には徳島県で、1989年には長野県で、実際に塩素系漂白剤と酸性洗浄剤を混ぜたことにより、塩素ガスが発生し死亡した事故が起こっている。

又、ポリ塩化ビニルなどの有機塩化物ポリマーを低温で燃焼するとダイオキシンなどの毒性物質が発生するため、環境への影響に対して問題視する声も上がっている。

オゾン層への影響[編集]

塩素はオゾンホールの原因物質としても指摘されている。フロンなどの塩素原子を含む化合物が紫外線に当たると、結合が切断され塩素ラジカルが生じる。塩素ラジカルは周囲のオゾンと反応して触媒的にオゾンを酸素分子へと分解するため、オゾン層の破壊効果が大きい。

この反応の化学反応式などは、「一酸化塩素」を参照する事。

歴史[編集]

1774年スウェーデンカール・ヴィルヘルム・シェーレが、海塩酸(塩酸)と二酸化マンガンを加熱させることによって単体を分離し、「脱フロギストン海塩酸気」と命名。1810年ハンフリー・デービーが元素であると認め、気体が黄緑色である点から、ギリシャ語で「黄緑色」を意味するχλωρος(Chloros)を取ってChlorineと命名した。日本語に直訳すれば緑気(りょっき)である。

日本語の「塩素」は、食塩の主成分である点による命名である。

塩素の化合物[編集]

塩化物イオンあるいは置換基として塩素を含む化合物は塩化物あるいは塩素化合物と呼ばれる。塩素はほとんどすべての元素と安定な化合物を形成し、また有機化合物にも塩素を含むものが多く知られている(記事 塩化物に詳しい)。個々の化合物については、「塩化物のカテゴリ」及び「有機ハロゲン化合物のカテゴリ」を参照されたい。

有機塩素化合物は、安定で、かつ安価に合成できるために、クロロホルムやジクロロメタンのような代表的な有機溶媒として、あるいはポリ塩化ビニルなどのプラスチックとして、大量に生産・使用されている。

反面、多くは毒性を持ち、環境中に放出された際に化学分解され難い点、更に焼却時にはダイオキシンを発生する点から、法令等で規制されている物質も多い。

塩素のオキソ酸[編集]

塩素のオキソ酸は慣用名をもつ。次にそれらを挙げる。

オキソ酸の名称 化学式(酸化数) オキソ酸塩の名称 備考
次亜塩素酸
(hypochlorous acid)
HClO(+I) 次亜塩素酸塩
( - hypochlorite)
次亜塩素酸塩はアルカリ性を示し、遊離酸よりも安定で漂白剤、殺菌剤として使用される。
亜塩素酸
(chlorous acid)
HClO2(+III) 亜塩素酸塩
( - chlorite)
亜塩素酸は中程度の酸(pKa2.31)。亜塩素酸塩は危険物第1類
塩素酸
(chloric acid)
HClO3(+V) 塩素酸塩
( - chlorate)
塩素酸は強酸。塩素酸塩は危険物第1類マッチ火薬などの酸化剤として用いられる。
過塩素酸
(perchloric acid)
HClO4(+VII) 過塩素酸塩
( - perchlorate)
過塩素酸は強酸で危険物第6類。過塩素酸塩は危険物第1類

オキソ酸塩名称の'-'にはカチオン種の名称が入る。

塩素のオキソ酸はいずれも酸化力が強い。代表的な化合物に次のようなものがある。

参照資料[編集]

外部リンク[編集]


1 元素周期表 18
1 H 2 13 14 15 16 17 He
2 Li Be B C N O F Ne
3 Na Mg 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 Al Si P S Cl Ar
4 K Ca Sc Ti V Cr Mn Fe Co Ni Cu Zn Ga Ge As Se Br Kr
5 Rb Sr Y Zr Nb Mo Tc Ru Rh Pd Ag Cd In Sn Sb Te I Xe
6 Cs Ba * Hf Ta W Re Os Ir Pt Au Hg Tl Pb Bi Po At Rn
7 Fr Ra ** Rf Db Sg Bh Hs Mt Ds Rg ...
* La Ce Pr Nd Pm Sm Eu Gd Tb Dy Ho Er Tm Yb Lu
** Ac Th Pa U Np Pu Am Cm Bk Cf Es Fm Md No Lr