草の根BBS
草の根BBS(くさのねビービーエス)とは、パソコン通信のうち主に個人やグループが運営していた全国規模ではない小規模なものをいう。多くがTTY無手順接続方式を採用し、BBS (Bulletin Board System) を中心としたサービスが行われた。無料で運営されることが多く、1980年代後半から1990年代前半頃が最盛期であった。「草の根ネット」または「ローカルBBS」とも言う。
主な草の根ネット
現在稼働中のネット
- はんぞーBBS(接続方法解説ページ) KTBBSを利用。(SSH経由は接続方法解説ページ参照) (telnet: bbs.hanzou.jp:11123)
- WANI-NET(telnet: wani.net)
- ういるすネット(MTBBSサポートネット)(telnet: 211.133.151.119)
- 西和ネット(telnet: jp3tlc.no-ip.biz)
著名なネット
- 東京がらくた工房
- 東京BBS
- AFH-NETwork東京
- ゆいネット
- センターネット
- MIYA-NET
- けやきTDUネット - 東京電機大学(埼玉県鳩山町)が運営。
- Zob Station BBS
- 本庄ネット - モデム回線は2008年12月で廃止、2011年3月には無計画停電に負けて自宅サーバーを停止、レンタルサーバーに移管してホームページのみ再開。
- Mapletown Network - 1986年よりスタートしたアニメ専門BBS。2017年現在は、webで過去ログのみ参照可能。
相互の連携
話題の共通する草の根BBS間では、掲示板の内容やメールを相互に交換する試みが行われていた。同一もしくは隣接区域間では電話回線を用いた一定間隔でのデータ転送、遠隔地間ではフロッピーディスク郵送やパケット通信 (アマチュア無線)、あるいは地方アクセスポイントを持つ大手パソコン通信の掲示板やメールあるいはチャット(暗号化したうえishを用いるなど)等を用いての転送を試みていたグループがあったが、通信手段・費用およびデータ同期の問題などから実験の域を出なかった。
1986年に北海道の6つの草の根BBSの間で週に1度、フロッピーディスクで書き込みを交換して、共有掲示板を運営するという北海道インターネット(HINT)は1989年まで継続した。
世界の草の根BBSを接続するネットワークとして使われていたFidoNetは、日本では帝塚山マイコンクラブを始め、いくつかのグループの間で数ヶ月の実験として行なわれたが、そのまま実験で終わり、普及することなく終わった。
その他にホストプログラムにWWIVを使った一部の草の根BBSが接続され、メール交換や掲示板の共有が行なわれた例があった。
開局告知
開局した草の根BBSを告知をしたいときは、既存の草の根BBSで宣伝したり、パソコン通信の専門誌やパソコン雑誌にコーナーとして設けられた草の根BBS開局を知らせるページを利用したり、電波新聞社から定期刊行されていた全国の草の根BBSを網羅した『BBS電話帳』に載せてもらうなどの方法があった[1]。
現在
前述のように、1990年代後半以降、閉鎖したものやパソコン通信ベースからインターネットのウェブサイトベースへ移行したものが多いことから、運営情報を総括的に把握することは、現在は困難になってきている。
ウェブブラウザを備えないワープロ専用機のユーザや視覚障害者、文字通信の愛好者に向け、パソコン通信ベースで運営しているごく一部の草の根BBSもあるものの、過去に発行されたBBS電話帳などに記載された電話番号は、ほぼ全てが既に解約されていたり、他の契約者が別の用途に使用している。
参考資料
- 小口寛『パソコン通信開拓者伝説-日本のネットワークを作った男たち』小学館、1998年
- クーロン黒沢『マイコン少年さわやか漂流記』ソシム、2003年
- ばるぼら『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』翔泳社、2005年
- ぺけろく教 - 1980年代後半から1990年代前半にかけて運営されていたBBSのログが保存されている。
出典
- ↑ 『BBS開局ガイド』pp.229-230