タレント
タレント(たれんと)とは、テレビなどによく出る人のことである。
概要
タレントとは、テレビやラジオなどのメディアおよび各種イベントに出演し出演料を得ることを職業としている人(本業としている人だけでなく、副業や一種のアルバイトとしている人なども含めて)の一般的呼称である。アナウンサー・評論家・歌手・俳優・お笑い芸人などの明確な職能分類にあてはまらず、職称を確定しにくい人に対して用いられることが多い。また、複数の専門分野にまたがって活躍する人をとくにマルチタレントと呼ぶ場合もある。ただし、原語の意味とは反対に、タレントと呼ばれる職種は、通常、何らかの専門的な技能を発揮するよりは、人目を引くような容貌・服装・話し方・振る舞いなどによって視聴者の関心を集め、場の雰囲気を盛り上げる役割を果たす。また、何らかの堅実な職業をもちながら、マスメディアへの露出度の高い人を(しばしば揶揄をこめて)タレントと呼ぶこともある。
タレントは、通常、芸能事務所に所属しており、芸能活動は事務所を通じて行っている。収入は事務所から支給される給料という形をとるため、一般に出演料の大半は事務所の収入とされ、その一部が本人の手に渡るだけである。
語源
元は古代ギリシャ語のtalantonで、重量および貨幣の単位である。ラテン語ではtalentum、その複数形は talentaで、古英語に入って同様に単位を意味するtalenteやtalentanとなった。[1]「重さ」の意味が転じて、中世英語で意向・傾向・性向などの語義が生じ、19世紀にはすでに「才能・技量」の語義が確立している。さらに、「才能」の語義が転じて、何らかの技能に長けた「人材」を意味する用法が生じた。また20世紀になると、通俗表現として、人目を引く(しばしば性的な)魅力をもった人を指して用いられることもある。[2]
日本語の「タレント」には、以下の用法がある。 1.古代ギリシアおよびヘブライでの量衡(重さ)の単位、および貨幣の単位。 2.才能や技量。 3.(「才能がある人」という意味が転じて)テレビやラジオなどに職業的に出演している人。「芸能人」。[3]
このうち現在もっとも一般的なのは第三の「芸能人」を指す用法である。これは英語の「人材」や「魅力的な人物」という用法が芸能関係者によって日本に移入された結果と考えられる。和製英語とまでは言えないが、原語に比してかなり意味内容が限定された用法であり、通常の英英辞典ではこれに対応する用法は載せていない。日本語の「タレント」に相当するより正式な英語表現として、「TV personality」「radio personality」などがある。