幹線
幹線(かんせん)とは、鉄道網・道路網・電話網などで、主要地点間を結び網の骨格をなす重要路線である。本線と呼ぶ場合もある。
鉄道
JR
国鉄の末期、「日本国有鉄道経営再建促進特別措置法」(国鉄再建法)に基づいて国鉄の路線は幹線と地方交通線とに分類され、異なる運賃を適用することになった。それまでは、大都市近郊などの一部をのぞく全国すべての路線で同一の運賃体系を使用していた。その分類はJRにも引き継がれている。一般的な時刻表の索引地図では、幹線は黒の太線で表される。なお、路線名として○○本線と名乗っていても、地方交通線に分類された路線もある。
幹線・地方交通線の区分は1977 - 1979年度の平均の輸送人員等によって線名単位に機械的に決められた。基準は、次のように規定されている。
- 1980年3月末現在で人口10万人以上の都市(主要都市)を相互に連絡する区間で、(イ)旅客営業キロが30kmを超えるか、(ロ)隣接駅間の旅客輸送密度(1977年 - 79年度3年間平均の1日1kmあたりの輸送人員)が4,000人以上である区間を有する線。35線(函館本線、千歳線、室蘭本線、東北本線、常磐線、奥羽本線、羽越本線、磐越西線、仙石線、仙山線、上越線、信越本線、高崎線、両毛線、総武本線、内房線、東海道本線、南武線、武蔵野線、横浜線、相模線、御殿場線、中央本線、篠ノ井線、北陸本線、関西本線、阪和線、山陽本線、伯備線、山陰本線、予讃本線、高徳本線、鹿児島本線、長崎本線、日豊本線)
- 1.の条件にあてはまる営業線と主要都市を連絡する区間で(イ)と(ロ)の条件を満たす区間を有する線。9線(根室本線、水戸線、湖西線、奈良線、紀勢本線、福知山線、呉線、土讃本線、佐世保線)
- 貨物輸送密度が4,000t以上である線。7線(夕張線、白新線、山手線、青梅線、宇野線、宇部線、美祢線)
上記の条件を満たす路線を幹線鉄道網と呼び、上記の条件に満たないが、輸送密度8,000人以上の線(15線。赤羽線、五日市線、鶴見線、根岸線、横須賀線、川越線、外房線、成田線、伊東線、草津線、大阪環状線、桜島線、片町線、篠栗線、筑肥線)を加えて幹線系線区と呼んだ[1]。
JR移行後に開業した路線については、利益予測を元にその路線を管轄するJRが幹線・地方交通線の別を決定している。
線名単位で決めたため、幹線とされた路線の中にも区間によってはローカル線のようになっている所がある。例えば、美祢線は旅客輸送の実情はローカル線であるにも関わらず、石灰石などの貨物輸送が多かったため幹線に指定されている。
また、1981年に決められたまま変更されていないため、状勢の変化により実態と合わなくなっている路線も多い。実際、幹線の支線でJR化後に廃止されたり(函館本線上砂川支線など)、幹線の本線部でも廃止(信越本線横川 - 軽井沢)・他社移管(信越本線→しなの鉄道、東北本線→青い森鉄道・IGRいわて銀河鉄道、鹿児島本線→肥薩おれんじ鉄道。いずれも一部区間)された例もある。信越本線、東北本線、鹿児島本線の事例は、整備新幹線の敷設に伴う並行在来線の経営分離によるもので、いわば「新幹線ができたことで元『幹線』が『幹線』の地位から転落した」、「『幹線』でありすぎたが故に『幹線』ではなくなった」ことになっている。
私鉄
その会社の中で最も重要な路線は「本線」と称することが多いが、熊本市交通局(熊本市電)では熊本駅前 - 水道町間の路線を幹線と称している。JR以外の鉄道で、路線名に幹線が入っているのはここだけである。
道路
道路名に「幹線」が入ることもある。明姫幹線(現・国道250号)など。
航空
日本の国内航空では、東京地区(都市コードTYO:東京国際空港(羽田)、成田国際空港)、大阪地区(都市コードOSA:大阪国際空港(伊丹)、関西国際空港)、札幌地区(都市コードSPK:新千歳空港)、福岡地区(都市コードFUK:福岡空港)、沖縄地区(都市コードOKA:那覇空港)を幹線空港と呼び、幹線空港同士を結ぶ路線を幹線と呼ぶ。
東京地区(首都圏)に位置する調布飛行場と茨城空港、大阪地区に位置する神戸空港、札幌地区に位置する丘珠空港、福岡空港と運賃計算上で同一空港と扱われる場合がある北九州空港と佐賀空港は幹線空港には含まれない。
上記のほか、便数が特に多い路線や各航空会社における基幹路線で、便宜上幹線と呼ぶ場合もある。
- 2012年11月現在の幹線
- 東京国際空港 - 大阪国際空港、関西国際空港、新千歳空港、福岡空港、那覇空港
- 成田国際空港 - 大阪国際空港、関西国際空港、新千歳空港、福岡空港、那覇空港
- 大阪国際空港 - 新千歳空港、福岡空港、那覇空港
- 関西国際空港 - 新千歳空港、福岡空港、那覇空港
- 新千歳空港 - 福岡空港、那覇空港
- 福岡空港 - 那覇空港
脚注
- ↑ 鉄道ジャーナル1989年10月号NO.276