サングラス
サングラス(Sunglasses)とは、日差しや強い照明で眼を焼かれるのを防ぐために着用する保護眼鏡のこと。眩しさや紫外線などを低減するために着用する。白人は、日光から健康被害を受けやすいため、瞳を日光から守るという健康上の理由でよく使う。オゾンホールの影響で紫外線が強いオーストラリアやニュージーランドなどでは児童がかける事も珍しくない。
なお、日本では家庭用品品質表示法の適用対象とされており雑貨工業品品質表示規程に定めがある。
概要
サングラスの起源は明らかでない。古代ローマ皇帝ネロ(在位54~68)も円形闘技場の催しを観戦する際にエメラルドのレンズを入れた眼鏡を使っていたとされる。また、12世紀頃の中国では、スモーキークォーツを使用したものを裁判官が着用していた。 最初の安価な大量生産品は、1929年(昭和4年)にアメリカ人事業家のサム・フォスターによってもたらされた。
黒っぽい色がついているものが主で、マジックミラーを用いたもの(ミラーグラス)もある。外から不透明に見えるものがサングラスに分類されることが多く、黒っぽくない色や 透明度が高いものは伊達眼鏡に分類されることもある。
黒眼鏡、色眼鏡やグラサンなどとも言う。黒眼鏡は、年配の世代で用いられることが多い。なお、色眼鏡は、「予断」「偏見」「先入観」の比喩として用いられることもある。
偏光フィルターを用いたものは偏光グラスと呼ばれ、水面や雪面で反射して来た光を選択的に反射でき、スポーツや釣りなどの際に使用される(波からの反射を防ぐので水中が見通せる)。基本的にミラーグラスでもあるが、反射防止コートにより反射を軽減させたものもある。
日本の雑貨工業品品質表示規程ではサングラスの規格を「屈折力がいかなる経線においてもマイナス〇・一二五ディオプトリから〇・一二五ディオプトリまでの範囲内であり、かつ、任意のいかなる二経線間の屈折力の差が〇・一二五ディオプトリ以下であって、平行度が〇・一六六プリズムディオプトリ以下のもの」としている。その上で日本の雑貨工業品品質表示規程ではサングラスの項に掲げる区分に該当するもののうち、偏光度が九十パーセント以上であるもので偏光軸のずれが十五度以下であるものを「偏光サングラス」と定義している。
色が濃いほど紫外線を低減する能力が高いとは限らない。透明でもUVカット加工を施した眼鏡がある。また色が濃く視界が暗いと瞳孔が開き、サングラスと顔の隙間から入った紫外線が眼球内に届きやすくなるため好ましくないとされている。
なお、日本の雑貨工業品品質表示規程では「サングラス」の規格を満たさないものは「ファッション用グラス」に区分している。
派生的な用法
本来は外出時に着用されることを想定した製品だが、目元が隠れるという付随効果があるため、夜間や屋内であっても、目元に傷を負っていたり眼病を患っていたりする人などが外観を整える目的で着用したまま過ごす場合もある。また、目元を隠すことで人相を判別しがたくしたり見る者に威圧感を与えたりできるので、日本では著名人が他人の注目を集めたくない場面で掛けることも多い。その他、バブル期を中心に暴力団関係者が好んで着用したため、映画や漫画、ゲームに登場するヤクザやマフィアは記号的な表現としてサングラスを着用したスタイルで登場する例が多い。
特殊なサングラス
- 度つきサングラス
- 屈折異常矯正用に、レンズに屈折度がある眼鏡機能を併せ持つサングラス。
- ミラーグラス
- マジックミラーを使い、透過光以外を反射させるサングラス。
- 調光サングラス
- 光によって濃度が変わる調光レンズを使ったもの。明るい場合レンズ色の濃度が増して眩しさを押さえ、暗くなれば色が薄くなるので便利である。多くの調光レンズは紫外線に反応して濃度が変わる。最近の自動車ではフロントガラスに紫外線カット加工がされている場合が多く、その場合紫外線反応タイプの調光レンズは運転時の防眩用としては不向きである。このような欠点に対処するため、可視光線に反応するタイプの調光レンズも出てきている。調光レンズの調光性能は経年劣化する。2年ほどでほとんど調光しなくなってしまうものもある。
- ラップアラウンド型(ラップ型)
- 顔を覆うように、横幅が広く顔面に沿って曲がっているサングラス。幅広のレンズ(通常プラスチック製)を使ったものと、左右に不透明のカバーを伸ばしたものとがある。横から光が入り込まないようにすることでレンズ裏に斜め後方の風景や自分の顔が映りこみ視界を妨げるのを防ぐ効果や、正面からだけでなく横からも目元を隠す効果がある。
- エスキモーのスノーゴーグル
- 半透明の素材を使うかわりに、木の板に薄い覗き孔を空けている。
- オーバーグラス
- 眼鏡着用者が眼鏡の上から掛ける、保護眼鏡風の大型のサングラス。
- パソコン用眼鏡(PCメガネ)
- パソコンや携帯電話などの液晶ディスプレイからの光にはブルーライトが多く含まれ目が疲れやすいとされる。その目の疲れを軽減させる目的でブルーライトだけを反射もしくは吸収するレンズを採用した眼鏡のこと。
有名なメーカー
サングラスにまつわる逸話
- 各国の政治家の報道写真や映像において、その人物に「独裁者」といったネガティブなイメージを加えて伝えられる場合、サングラス姿である場合が多い。例:朴正煕、ピノチェト、パーレビ、サッダーム・フセイン、金正日等。またヤルゼルスキがサングラスを着用していたのは視覚障害のためであったが、1981年に戒厳令を敷いた際にはサングラス姿の写真・映像が同様の意図で用いられた。
- セキュリティポリスやシークレットサービスなどの警護官は、警護対象者が浴びるマスコミのカメラによるフラッシュや日光によって目を眩ませられないようにするために、しばしば着用する。なお、シークレットサービスといえば「スーツにサングラス」のイメージが一般的だが、シークレットサービスによる公式のFAQでは、いつもサングラスを掛けているわけではない、との説明がなされている。
- 野球選手が屋外球場のデーゲームの守備時に太陽の眩しさで捕球に支障を来さないように着用することも多い。こちらはアイウェアとも呼ばれる。スポーツモデルなので非常に軽い上、激しい動きをしても落ちにくいようになっている。
- 公の場で常にサングラス姿の著名人も多い。有名なところではタモリ、浜田省吾、鈴木雅之、井上陽水、桜井賢(THE ALFEE)、みうらじゅん、スガシカオ、ATSUSHI(EXILE)、黒田俊介(コブクロ)、m-floなどが挙げられる。彼らの場合、ファッションではなく、ある種のキャラクター・アイテムとして着用していると言える。